JP4900600B2 - 高純度シリコンの製造方法 - Google Patents

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本発明は、金属シリコンから不純物、特にホウ素(B)及び燐(P)を同時に簡単な方法で、効果的に除去し、高純度化するシリコンの製造方法に関する。
太陽電池は、再生可能な自然エネルギー源として注目されている。現在、実用段階にある商用太陽電池の大部分は、シリコン(Si)を用いたシリコン系太陽電池である。
シリコンは、一般的に珪石(SiO2)をカーボンで還元して得る。これを一般的に金属グレードシリコン(MG−Si)と呼び、純度は98%〜99%程度で、Fe,Ca,Ti等の金属不純物と、半導体のドーパント材料であるB,P等が含まれている。このMGシリコンをシーメンス法により精製し、高純度化する。これをCZ法やFZ法により純度を99.999999999%(11N)程度にまで超高純度化し、各種半導体の製造に使用する。これを半導体用シリコン(SE−Si)と呼ぶ。
太陽電池に使用されるシリコンは、99.9999%(6N)程度の純度が必要とされ、各金属不純物は0.1質量ppm以下であり、ドーパントとして作用するB,Pも0.3質量ppm以下であることが要求される。これを一般的にソーラーグレードシリコン(SOG−Si)と呼ぶ。SE−SiはSOG−Siの純度の要求値を十分満たしている。
しかしながら、SE−Si製造に用いられるシーメンス法は、MG−Siを塩素と反応させてガス化し、さらに水素と混合し、電流で赤熱させた純粋Si上に還元・析出させるという複雑な工程と、大量のエネルギーを要する。したがって、コストが高く、大量にSiを必要とする太陽電池の低コスト化の障害となる。
そこで、MG−Siから簡便な手法で、安価なSOG−Siを得る試みが多くなされてきた。MG−Si中の不純物のうち、Fe、Al、Ca等の金属不純物は、Siの固液間における分配係数が小さいことを利用して一方向凝固法で除去することができる。
ところが、Bの分配係数は0.8程度、Pは0.35程度であり、工業的に上述の一方向凝固を利用して除去することは困難である。
B及びPの除去に対して、種々の方法が提案されている。特開平9−202611号公報(特許文献1)には、1400℃以下で分解し、H2O及び/又はCO2を発生する1種又は2種以上の固体をAr、H2、COなどのキャリアガスと共に溶融Si浴中に吹き込むBの除去方法が提案されている。
特開2003−12317号公報(特許文献2)には、ホウ素濃度が100質量ppm以下であるSiに、塩基性成分を含むフラックスを添加し、これらを溶融させるフラックス添加工程と、Siにノズルを浸漬し、酸化性ガスを吹き込む反応工程と、Siからフラックスを除去するフラックス除去工程を有し、フラックスにはCaO、CaCO3又はNa2Oを含み、特にCaO−CaF2混合フラックスが好ましいBの除去方法が開示されている。
特許第3205352号公報(特許文献3)には、溶融Siの溶湯面に、不活性ガス又はこれにH2を混入した混合ガスに水蒸気を添加したガスをプラズマガスとして用いて発生させたプラズマガスジェット流を噴射して溶融Siを撹拌するBの除去方法が開示されている。
一方、Pは蒸気圧が高いことを利用して、Siを高真空下で溶解することによりSiから揮散、除去する方法が提案されている。
特許第3325900号公報(特許文献4)には、金属Siを真空下において電子ビーム等で溶解し、その含有する燐を気化脱Pした後、酸化性雰囲気でプラズマトーチ等を用いて加熱し、Bを除去する方法が開示されている。
特開2005−255417号公報(特許文献5)には、金属Siと不純物除去用の添加剤を加熱して、Siを溶融状態にし、添加剤が溶融Siと混合するように撹拌しながら不揮発性であるB等を低減した後、高真空下で揮発性のP等を除去する方法が開示されている。
しかし、特許文献1〜3の方法は、いずれもB除去を主眼にしており、P除去には触れていない。したがって、別途P除去のための工程が必要になる。
また、特許文献1、3は不純物除去用添加剤についての記述は無く、効果は溶融Si中に吹き込む固体、あるいは吹き付けるプラズマガスジェット流によるものに限定される。
特許文献3によるプラズマ溶解法では、高価なプラズマトーチを設置する必要があるだけでなく、不純物除去の反応領域がプラズマ直下の火点に限定されるため、生産性が低く、いずれも低コストのSOG−Siの製造には不適である。
特許文献4、5の方法は、脱Bと脱Pが別の工程で行われており、非常に煩雑である。また、高真空下で処理を行う工程を有し、高真空に耐える大型、強固な設備の導入が不可欠になる。さらに、特許文献5は、電子ビームやプラズマトーチなどの高価な設備も必要とし、いずれも低コストのSOG−Siの製造には不適である。
この結果、いずれの方法も工業化には至っていない。
特開平9−202611号公報 特開2003−12317号公報 特許第3205352号公報 特許第3325900号公報 特開2005−255417号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、Siの精製における、B,P等の不純物を同時に、かつ簡便で効果的に除去する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、不純物を含むシリコンと、不純物除去用添加剤として酸化カルシウム及び酸化アルミニウムを含む固体とをそれぞれが溶融するよう加熱し、上記シリコン及び上記添加剤の融液を上層及び下層の二層に分離させた後、これら上層及び下層のいずれか一方又は両方の融液中に水素ガスを含むガスを吹き込むことで、あるいは上層の融液の上面に水素ガスを含むガスを吹き付けることで、シリコン中の不純物、特にホウ素及び燐を同時に、効率よく除去することができることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の高純度シリコンの製造方法を提供する。
〈1〉 不純物としてホウ素及びリンを含むシリコンと、不純物除去用添加剤として酸化カルシウム40〜80質量%及び酸化アルミニウム20〜50質量%を含む固体とをそれぞれが溶融するよう加熱し、上記シリコン及び上記添加剤の融液を上層及び下層の二層に分離させた後、これら上層及び下層のいずれか一方又は両方の融液中に水素ガスを含むと共に、不活性ガス50〜80質量%及び塩素20〜50質量%を含むガスを吹き込むことにより、シリコン中のホウ素及びリンを除去することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
〈2〉 不純物としてホウ素及びリンを含むシリコンと、不純物除去用添加剤として酸化カルシウム40〜80質量%及び酸化アルミニウム20〜50質量%を含む固体とをそれぞれが溶融するよう加熱し、上記シリコン及び上記添加剤の融液を上層及び下層の二層に分離させた後、該上層の融液の上面に水素ガスを含むと共に、不活性ガス50〜90質量%を含むガスを吹き付けることにより、シリコン中のホウ素及びリンを除去することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
〉 前記不純物除去用添加剤が、さらにフッ化カルシウムを含む〈1〉又は〈2〉記載の高純度シリコンの製造方法。
〉 前記不純物除去用添加剤が、さらにアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物の1種又は2種以上を含む〈1〉〜〈〉のいずれかに記載の高純度シリコンの製造方法。
〉 前記不純物除去用添加剤の融点が、800℃以上2200℃以下である〈1〉〜〈〉のいずれかに記載の高純度シリコンの製造方法。
本発明によれば、Si中の不純物、特にBとPを1つの工程で同時に除去することができる。また、一般的な大気開放炉を使用するため、高真空雰囲気も必要とせず、さらに、電子ビームやプラズマトーチ等の高価な設備も不要であるため、設備投資額を大幅に低減できる。この結果、極めて安価にB,P等の不純物が低減されたSiを得ることができる。
本発明を用いて得られたシリコンに、一方向凝固等を施すことで、B,P等の不純物以外の金属不純物等を除去し、極めて安価に純度6N程度の太陽電池に使用可能なソーラーグレードシリコン(SOG−Si)とすることができる。また、本発明の方法により、金属シリコン(MG−Si)に限らず、半導体製造工程でB,P、その他の不純物をドープしたオフグレード品と呼ばれる廃Si材も精製することができる。なお、得られた高純度Siは、太陽電池用のSi原料に限定されることなく、高純度Siを必要とする各種産業に利用することができる。
本発明の高純度シリコンの製造方法は、不純物を含むシリコンと、不純物除去用添加剤として炭酸カルシウム及び酸化カルシウムのいずれか一方又は両方を含む固体とをそれぞれが溶融するよう加熱し、上記シリコン及び上記添加剤の融液を上層及び下層の二層に分離させた後、これら上層及び下層のいずれか一方又は両方の融液中に水素ガスを含むガスを吹き込むことで、あるいは上層の融液の上面に水素ガスを含むガスを吹き付けることで、シリコン中の不純物、特にホウ素及び燐を同時に除去するものである。
本発明の特徴は、不純物を除去する添加剤として、炭酸カルシウム及び酸化カルシウムのいずれか一方又は両方を含む固体を用いることである。この不純物除去用添加剤には、必要に応じて二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化クロムの1種又は2種以上と、更に必要に応じてフッ化カルシウムと、更に必要に応じてアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物の1種又は2種以上とを用いることができる。そして、シリコンと、上記添加剤とを加熱溶融し、シリコン及び不純物除去用添加剤の融液が、上層と下層の二層に分離した後、これら上層及び/又は下層の融液中に、水素ガスと、必要に応じて不活性ガス、水蒸気及び塩素ガスの1種又は2種以上を含むガスを吹き込む、あるいは上層の融液上面に上記水素ガスを含むガスを吹き付けることで、シリコン中の不純物、特にホウ素及び燐を同時に除去する点にある。
ここで、不純物除去用添加剤の炭酸カルシウムは、Siの融点付近の温度では分解し、酸化カルシウムとして作用すると考えられる。Si中のBは、溶融Si及び溶融不純物除去用添加剤中の酸化カルシウム間のBの分配率:
B=(不純物除去用添加剤(酸化カルシウム)中のB濃度)/(溶融Si中のB濃度)
が正の値をとることから、不純物除去用添加剤中へ移動することにより、Si中より除去される。
また、Si中、及び不純物除去用添加剤中へ移動したBは、水素ガスにより、
B+1/2H2→BH(gas)↑ ・・・(1)
B+H2→BH2(gas)↑ ・・・(2)
B+3/2H2→BH3(gas)↑ ・・・(3)
等の反応によって、Si及び不純物除去用添加剤より除去される。
Si中のPは、溶融Si及び不純物除去用添加剤中の酸化カルシウム間のPの分配率:
P=(不純物除去用添加剤(酸化カルシウム)中のP濃度)/(溶融Si中のP濃度)
が正の値をとることから、不純物除去用添加剤中へ移動することにより、Si中より除去される。
また、Si中、及び不純物除去用添加剤中へ移動したPは、水素ガスにより、
P+1/2H2→PH(gas)↑ ・・・(4)
P+H2→PH2(gas)↑ ・・・(5)
B+3/2H2→PH3(gas)↑ ・・・(6)
等の反応によって、Si及び不純物除去用添加剤より除去される。
ここで、不純物除去用添加剤中へ移動したB,Pは、水素ガスにより、上記反応の通り、気体となって不純物除去用添加剤の系外へ連続的に揮散するため、不純物除去用添加剤中のB,Pの濃度の上昇が抑制される。そのため、Si中のB,Pは、それぞれの分配率LB、LPを満足しようと濃度が飽和するまでSi中から不純物除去用添加剤中へ移動し続け、結果的に、不純物除去用添加剤を経由してSi中から除去されるB,Pを大幅に増加させることができる。
したがって、本発明におけるSi中のB,Pの除去は、溶融Si及び酸化カルシウム間のB,Pの分配率LB、LPに由来するB,Pの溶融Siから不純物除去用添加剤への移動による作用と、水素ガスを含むガスにより、Si中、及び不純物除去用添加剤中で生成したB,Pの反応生成物が、Si及び不純物除去用添加剤の系外へ揮散する作用との相乗効果による。
上記作用についてより詳しく説明すると、本発明におけるB,P等の不純物の除去反応は、次の(1)〜(4)の複合効果と考えられる。
(1)B,Pが溶融状態のSiから溶融状態の不純物除去用添加剤へ移動。
(2)B又はPと、水素ガスを含むガスとの反応による生成物が、溶融状態の不純物除去用添加剤へ移動。
(3)B,Pあるいはこれらと水素ガスを含むガスとの反応による生成物が、溶融状態のSi表面あるいは溶融状態の不純物除去用添加剤表面から系外へ移動。
(4)B,Pあるいはこれらと水素ガスを含むガスとの反応による生成物が、水素ガスを含むガス中へ移動し、さらに系外へ移動。
ここで、(1)、(2)におけるB,Pあるいはこれらと水素ガスを含むガスとの反応生成物は、Si及び不純物除去用添加剤の界面間を移動すると考えられる。このとき、界面から離れた位置では、対流と拡散により不純物は均一濃度になっているが、界面近傍では、流体は静止層(境膜)を形成し、不純物はこの層を拡散により移動すると考えられる。境膜の厚さは溶融状態のSiが10-5m、溶融状態の不純物除去用添加剤が10-4mのオーダーである。不純物及び反応生成物の移動速度は、10-4〜10-5m/秒程度ときわめて速いことから、不純物及び反応生成物は境膜内を速やかに移動し、反応は実質的に直ちに平衡に達すると考えられる。
(2)について、B,Pと水素ガスを含むガスとの反応生成物が溶融Si中から溶融不純物除去用添加剤中へ移動するのは、これら不純物と溶融Si及び溶融不純物除去用添加剤との化学親和力の差によるものと考えられている。なお、反応の親和力とは、等温等圧変化ではギブズ自由エネルギーの減少を、等温等積変化ではヘルムホルツ自由エネルギーの減少で表される。
(3)について、B,Pあるいはこれらと水素ガスを含むガスとの反応生成物が揮散するのは、溶融Siあるいは溶融不純物除去用添加剤と周囲雰囲気の界面(気液界面)における移動であり、反応生成物が持つ蒸気圧に起因する。したがって、溶融Siあるいは溶融不純物除去用添加剤と雰囲気との接触界面(例えば反応容器の内径)を増すことで溶融Si層又は溶融不純物除去用添加剤層の表面積が増し、反応生成物の系外への移動がより促進される。
また、(4)について、反応生成物が水素ガスを含むガス中へ移動するのは、溶融Siあるいは溶融不純物除去用添加剤と前記ガスの界面(気液界面)における移動であり、反応生成物が持つ蒸気圧に起因する。したがって前記ガスを吹き込む場合、あるいは吹き付ける場合は、溶融Si及び溶融不純物除去用添加剤が反応容器外へ飛散しない程度までガス量を増すことで溶融Si層及び溶融不純物除去用添加剤層が撹拌され、反応生成物の系外への移動がより促進される。
したがって、溶融SiからのB,Pの除去速度は、水素ガスを含むガスとB,Pとの反応、及び反応により生成した生成物質が溶融状態のSi、及び溶融不純物除去用添加剤から系外へ移動する速度が支配的(律速)となる。
本発明においては、シリコンと不純物除去用添加剤を加熱して溶融状態とし、シリコンと不純物除去用添加剤の融液が上層と下層とに分離した後に、上層及び/又は下層の融液中に水素ガスを含むガスを吹き込んで作用させるが、溶融温度としては、シリコンと不純物除去用添加剤がそれぞれ溶融する温度であれば特に制限されず、一連の反応を液層で行う点を考慮し、シリコンの融点(1410℃)以上であればよく、局所的な低温部を避けるために1450℃以上が好ましい。工業的な用途としては、2400℃以下、特に2200℃以下が好ましい。これより高温であると、溶融シリコンと精製用添加剤が激しく反応し、シリコンの収率が低下し、炉材の損傷が激しくなる場合がある。
また、上記より不純物除去用添加剤の融点は、2400℃以下、特に2200℃以下が好ましく、より好ましくは2000℃以下である。添加剤の融点がSiの融点に対して低すぎる場合は、不純物除去用添加剤の組成が変化し、所望の効果が得られなくなるおそれがあるため、800℃以上、特に1200℃以上がよい。
ここで、不純物除去用添加剤の融点や粘度を調節するために、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化クロムの1種又は2種以上を不純物除去用添加剤に含有させることもできる。また、同様の効果を目的としてフッ化カルシウムを含有させることもできる。これらの物質は、B,P除去の反応への関与は小さいと考えられるが、不純物除去用添加剤にこれらの物質を添加することで、不純物除去用添加剤の融点、粘度を調節し、シリコンとの良好な接触状態を発生、維持する溶媒の役割を担う。
さらに、溶融Siと不純物除去用添加剤の分離を良好とし、不純物除去用添加剤が溶融Si中に混入し、Siの純度の低下を抑制する作用もある。
また、不純物除去用添加剤にアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物の1種又は2種以上を含有させることもできる。
ここで、具体的にアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウムである。アルカリ土類金属は、不純物除去用添加剤の炭酸カルシウム及び酸化カルシウムに含まれるカルシウムを除く、ベリリウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムである。これらの物質の存在により、B,Pと、水素ガス、もしくは水素ガスと、不活性ガス、水蒸気、塩素ガスの1種又は2種以上を含むガスとの反応を促進する効果がある。
本発明において、不純物除去用添加剤の使用量は、合計使用量として、金属シリコンの10質量%〜100質量%が好ましく、より好ましくは20質量%〜80質量%である。不純物除去用添加剤が上記の範囲より多い場合、使用済みの不純物除去用添加剤が大量に発生するため、これを処理、再利用する費用が増大し、工業的な有効性が低下するおそれがある。上記の範囲より少ない場合、溶融Si層から不純物除去用添加剤層へ移動する不純物が減少し、不純物の除去率が低下するおそれがある。
また、炭酸カルシウム及び/又は酸化カルシウムの使用量は、炭酸カルシウムにおいては、高温による分解後の酸化カルシウムとしての量とし、不純物除去用添加剤の20質量%以上、特に40質量%以上が好ましく、100質量%以下、特に90質量%以下、とりわけ80質量%以下が好ましい。炭酸カルシウム及び/又は酸化カルシウムの使用量が上記の範囲より少ない場合、溶融Si層から不純物除去用添加剤層へ移動する不純物が減少し、不純物の除去率が低下するおそれがある。
不純物除去用添加剤に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロムの1種又は2種以上を添加する場合、その合計量は、不純物除去用添加剤の合計量の0質量%〜80質量%、特に20質量%〜50質量%が好ましい。
不純物除去用添加剤に、フッ化カルシウムを添加する場合、その合計量は、不純物除去用添加剤の合計量の0質量%〜80質量%、特に20質量%〜50質量%が好ましい。
これらの化合物は不純物除去用添加剤の融点、及び反応温度における不純物除去用添加剤の粘度を考慮して適宜増減する。これらの化合物の使用量が多すぎる場合、溶融Si層にこれらの化合物が不純物として混入する場合があり、処理後のSi純度が低下するおそれがある。少なすぎる場合、溶融Si層から不純物除去用添加剤層へ移動する不純物が減少し、不純物の除去率が低下するおそれがある。
不純物除去用添加剤に、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物の1種又は2種以上を添加する場合、その合計量は、不純物除去用添加剤の合計量の0質量%〜80質量%、特に20質量%〜50質量%が好ましい。多すぎる場合、溶融Si層にこれらの化合物が不純物として混入する場合があり、処理後のSi純度が低下するおそれがある。少なすぎる場合、溶融Si層から不純物除去用添加剤層へ移動する不純物が減少し、不純物の除去率が低下するおそれがある。
ここで、精製対象となる不純物を含有するシリコンとしては、金属グレード(MG)シリコン、あるいは半導体用単結晶製造工程の端材を用いることができる。一般的な金属グレード(MG)シリコンは、Bを5〜30質量ppm、Pを5〜50質量ppm含有する。半導体用単結晶製造工程の端材は、より高濃度にB,あるいはPを含むが、いずれのシリコンも本発明の精製方法を適用できる。金属グレード(MG)シリコンは、その他の不純物として、Fe,Al,Ti,Cu,Ni,Cr等が通常1〜3質量%含有されているが、これらの不純物は、本発明の精製方法を実施する前、あるいは実施した後に、一方向凝固法、真空溶解法等の公知の精製方法を行って、除去、低減することができる。
本発明においては、シリコン及び/又は不純物除去用添加剤の融液中に、水素ガスを含むガスを吹き込む、あるいは溶融液上面に水素ガスを含むガスを吹き付ける。この場合、水素ガスを含むガスに、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、水蒸気及び塩素ガスの1種又は2種以上を含むこともできる。このとき、水蒸気は、B,P除去の反応式(1)〜(6)を促進し、さらに、HBO2,H3BO3,HPO,PO等の化合物を生成することで、Si中、及び不純物除去用添加剤中へ移動したB,Pを除去すると考えられる。また、塩素ガスは、PCl3,BCl3等を生成することで、Si中、及び不純物除去用添加剤中へ移動したB,Pを除去すると考えられる。さらに、不活性ガスは、反応性ガスの濃度を希釈することで、気液の接触状態を改善、調節し、B,Pの除去反応の進行を促進する効果がある。
用いるガスが、水素ガスと、不活性ガス、水蒸気及び塩素ガスの1種又は2種以上とを含むガスの場合、その組成は全ガス量に対し、不活性ガス0体積%〜99体積%、好ましくは50体積%〜80体積%、水蒸気0体積%〜70体積%、好ましくは20体積%〜50体積%、塩素ガス0体積%〜70体積%、好ましくは20体積%〜50体積%である。上記範囲を外れると、B,Pとの反応生成物の生成の減少、B,P及びこれらの反応生成物の水素ガスを含むガスへの移動の減少、溶融Si層及び不純物除去用添加剤層の撹拌効果の減少等に伴い、いずれもB,Pの除去率が低下する場合がある。ただし、いずれもその範囲に限定されるものではない。
水素ガスを含むガスを吹き込む方法としては、不純物除去用添加剤の密度が溶融Siの密度より小さい場合は、反応容器中、溶融Siが下層、溶融不純物除去用添加剤が上層にあるが、上層及び下層のどちらの融液の中に吹き込んでもよいし、上下層の両方に吹き込んでもよいが、上下層の両方に吹き込むことが好ましい。上層及び下層のいずれか一方に吹き込む場合、特に、下層の溶融Si中に吹き込むことが好ましく、この場合、吹き込まれたガスは、溶融Si層中でB,Pと反応すると共に、溶融Si層を経て上層の溶融した不純物除去用添加剤へ到達し、B,Pと反応する。
不純物除去用添加剤の密度が溶融Siの密度より大きい場合は、反応容器の下層に不純物除去用添加剤が沈み、上層が溶融Siとなる。この場合も上層及び下層のいずれか一方又は両方の層の融液中に吹き込んでもよいが、上下層の両方に吹き込むことが好ましく、上層及び下層のいずれか一方に吹き込む場合、特に、下層の不純物除去用添加剤の融液中に前記ガスを吹き込むことが好ましい。吹き込まれたガスは、下層の溶融した不純物除去用添加剤中でB,Pと反応すると共に、上層の溶融Siへも到達し、B,Pと反応する。
水素ガスを含むガスは、アルミナ、ジルコニア、黒鉛、石英等の耐火性材料からなる中空管等を用いて反応容器中のSi溶融体内及び/又は溶融添加剤中に吹き込み、吹き込むガスにより、溶融状態のSi、もしくは溶融不純物除去用添加剤が反応容器外へ飛散しない程度までガス流速を増すことが好ましい。ガス流速を増すことで溶融状態のSiと溶融不純物除去用添加剤を撹拌する効果が強まり、反応を促進する効果が得られる。吹き込みは1〜180分間、特に20〜120分間継続することが好ましい。
水素ガスを含むガスを吹き付ける場合は、不純物除去用添加剤の密度にかかわらず、上層の溶融状態のSi、もしくは不純物除去用添加剤の溶融面直上に吹き付けることで、吹きつけ部の界面で水素ガス等がB,Pと反応する。上述したように、B,Pの溶融Siから溶融添加剤への移動速度はきわめて早いため、不純物除去用添加剤の溶融面への吹き付けは、二層に分離した後、すぐに開始してもよいし、1〜30分間、特に2〜10分間放置した後、吹き付けを開始してもよい。
この場合、吹き付けたガスにより、溶融状態のSi、もしくは溶融不純物除去用添加剤が反応容器外へ飛散しない程度までガス流速を増すことが好ましい。ガス流速を増すことで溶融状態のSi、もしくは溶融不純物除去用添加剤を撹拌する効果が強まり、反応を促進する効果が得られる。ガスの吹き付けは、上記と同様な耐火性の管等を用いて、流速1m/秒以上、特に5m/秒以上(吹き付け圧10Pa以上、特に100Pa以上)で、1〜180分間、特に20〜120分間吹き付けることが好ましい。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において使用した不純物を含有するシリコンのB,Pの各不純物濃度は以下の通りである。
B:20質量ppm、P:40質量ppm
不純物濃度の測定は、ICP−AES法((株)Perkin Elmer製)により行った。
[実施例
内径200mmφ黒鉛製るつぼにシリコン10kgと不純物除去用添加剤として酸化カルシウム3kg、酸化アルミニウム2kgを入れ、500℃/時で昇温し、1700℃に加熱した。シリコン、及び不純物除去用添加剤が融解後、アルミナ製内径10mmφ円管を用いて水素10体積%、アルゴン70体積%、塩素20体積%の混合ガスを溶融部(上層の溶融Si部)に吹き込んだ。20分後、ガスの吹き込みを終了し、溶融シリコンから不純物分析用サンプルを採取した。サンプル中のB,Pの不純物濃度は、B:0.25質量ppm、P:0.29質量ppmであった。
[実施例
内径200mmφ黒鉛製るつぼにシリコン10kgと不純物除去用添加剤として酸化カルシウム2kg、酸化アルミニウム2kg、二酸化ケイ素2kgを入れ、500℃/時で昇温し、1700℃に加熱した。シリコン、及び不純物除去用添加剤が融解後、アルミナ製内径10mmφ円管を用いて水素10体積%、アルゴン90体積%の混合ガスを溶融部上面(上層の溶融Si部)に吹き付けた。30分後、ガスの吹き付けを終了し、溶融シリコンから不純物分析用サンプルを採取した。サンプル中のB、Pの不純物濃度は、B:0.24質量ppm、P:0.28質量ppmであった。

Claims (5)

  1. 不純物としてホウ素及びリンを含むシリコンと、不純物除去用添加剤として酸化カルシウム40〜80質量%及び酸化アルミニウム20〜50質量%を含む固体とをそれぞれが溶融するよう加熱し、上記シリコン及び上記添加剤の融液を上層及び下層の二層に分離させた後、これら上層及び下層のいずれか一方又は両方の融液中に水素ガスを含むと共に、不活性ガス50〜80質量%及び塩素20〜50質量%を含むガスを吹き込むことにより、シリコン中のホウ素及びリンを除去することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
  2. 不純物としてホウ素及びリンを含むシリコンと、不純物除去用添加剤として酸化カルシウム40〜80質量%及び酸化アルミニウム20〜50質量%を含む固体とをそれぞれが溶融するよう加熱し、上記シリコン及び上記添加剤の融液を上層及び下層の二層に分離させた後、該上層の融液の上面に水素ガスを含むと共に、不活性ガス50〜90質量%を含むガスを吹き付けることにより、シリコン中のホウ素及びリンを除去することを特徴とする高純度シリコンの製造方法。
  3. 前記不純物除去用添加剤が、さらにフッ化カルシウムを含む請求項1又は2記載の高純度シリコンの製造方法。
  4. 前記不純物除去用添加剤が、さらにアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸塩の水和物、アルカリ土類金属の炭酸塩の水和物、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物の1種又は2種以上を含む請求項1〜のいずれか1項記載の高純度シリコンの製造方法。
  5. 前記不純物除去用添加剤の融点が、800℃以上2200℃以下である請求項1〜のいずれか1項記載の高純度シリコンの製造方法。
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