JP4900583B2 - 医療用複室容器 - Google Patents
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Description
その一つとしては、袋状に製袋されたバッグ内における複室の形成のために、隔壁となる弱シール部を形成するが、安定した隔壁形成が困難であることが挙げられていた。
すなわち、バッグ内に形成される複室は、可撓性樹脂製フィルムの弱シールによる熱溶着で区画化されているが、使用時に個々の複室同士が容易に連通可能となるためには、その弱シールの強度として引き剥がし強度を2〜4N/15mm程度にする要求があり、そのような強度の弱シールの溶着部を得ることが困難であった。そのため、弱シール部を形成させる金型の形状・模様等に種々の工夫を凝らしたり、或いは弱シール部分に相当する樹脂製フィルムの内層の樹脂を、特定の樹脂に限定したりすることが行われていた。
しかしながら、この段階で相対向するフィルム同士のブロッキングがあり、重ね合ったフィルム同士を引き剥がすのに手間が掛かり、またフィルムの開口が不十分のために、製造ライン上でポートの装着がされないバッグの発生、更には、薬液の充填がされないバッグの発生が多いものであった。その薬液未充填バッグの発生率の大きさは、時として10〜20%にも及び、複室輸液製剤の製造効率を低いものとしていた。
すなわち、フィルム面に凹凸面を設けたことから、相対向するフィルム同士の密着によるブロッキングは防止されており、その結果、ポートの装着、或いは輸液の充填が良好なものとなる。
したがって、より簡便な方法によるフィルムのブロッキング現象を回避し、かつ複室形成のため、所望の引き剥がし強度を有する弱シール部の形成を可能にした、薬液収納複室容器の登場が望まれているのが現状である。
(1)本発明の医療用の複室容器は、可撓性を有する樹脂製フィルム材をシールして袋状に成形してなる複室容器であり、容器本体の少なくとも一方の樹脂製フィルムの内表面に、凹凸状からなる複数のスジエンボス加工を施したことから、容器の上下縁部に薬液の排出ポート及び混注ポートを装着させる時、及び薬液充填時における側縁部のフィルムの開口時にブロッキングの発生を防止でき、生産効率を著しく向上させることができる。
なお、スジエンボス加工を施す樹脂製フィルムは、容器本体を構成する少なくとも一方のフィルムであれば良く、特に容器本体に対する印刷面となる面の内表面でないことが好ましい。したがって、フィルム表面上への印刷が極めてきれいなものとなる利点を有している。
特に本発明が提供する複室容器にあっては、弱シール部は容器本体に対して横方向に設けられることから、容器本体の縦方向或いは横方向の全面にエンボス加工を施すものと異なり、その熱溶着による弱シール部の形成が、シール金型を特別の形状のものとすることなく、簡単に行えるものであり、かつ安定な隔壁強度を有する弱シール部で区画された複室を形成することができる。さらに、インフレーション成形により、フィルム内面側に容易に、スジエンボス加工部と非スジエンボス加工部の両者を確保することができる利点を有している。
特にフィルム表面に設けるスジエンボス加工は、5〜20μm程度の凹凸からなるエンボスであることから、そのフィルム表面は比較的滑らかなものであり、ポート装着後、或いは薬液充填後における容器密封をこれまでの金型による熱溶着で確実に行える利点を有している。
(5)また本発明においては、スジエンボス加工は、容器に対して横方向に設けるのが好ましいものであり、この場合には、直線上のスジエンボスが薬液の液面に平行となるため、液面がバッグ横手方向に出易く、残液量が見易くなる。
さらに、液面を確認するための容器内空間量も25%程度減量できるため、薬液収納室の空間部を少なくし、残留する酸素量を減量することが可能となり、酸素に不安定な製剤の安定性向上も期待できる利点を有している。
なお以下の説明は、複数のスジエンボス加工を、容器本体に対して横方向に設けた好ましい一実施例に基づくものであるが、このスジエンボス加工を容器本体に対して縦方向に設けたものも基本的には同一であり、同じように実施し得ることはいうまでもない。
なお、本実施例における複室容器10は、混合後の容器全量として500mL充填の複室容器を示した。
図1の複室容器10は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる可撓性の樹脂フィルムによりバッグ状に形成される薬液収納室20の内壁の一部を、熱溶着して形成される隔壁部となる弱シール部30により、薬液収納室20が350mL容量を有する第1室21、及び150mL容量を有する第2室22に区画されている。
この第1室及び第2室の容量は、本実施例においては、薬液がそれぞれ350mL及び150mL充填可能のように区画されているが、この容量は複式容器の使用目的によって種々変更されることが可能である。
第1室21及び第2室22のそれぞれには、それらの室に連通され、かつ栓(図示せず)で密封された薬液の排出用ポート40及び混注ポート41が装着されている。なお、栓は、点滴用のチューブに取り付けられた注射針(図示せず)を突き通すことが可能なゴム栓からなる。
第1室21及び第2室22のそれぞれに装着される薬液の混注ポート40及び薬液の排出用ポート41は、該ポートの周囲を液漏れのないように密封溶着され、その補強のために、それぞれの縁部24、25において樹脂製フィルムが幾分幅広く溶着されている。
図1においては、複式容器10の上縁部24には、薬液使用時に容器を吊り下げ得るように透孔29が備えられている。
なお、本実施例にあっては、複数のスジエンボス加工を、該複室容器10を形成する一方の可撓性樹脂フィルム51(図1にあっては、背面側のフィルム)の内表面に設けているが、複室容器1を形成する可撓性フィルムのいずれの内表面にスジエンボス加工を施してもよいことはいうまでもない。
但し、複室容器の表面側(可撓性樹脂フィルム51の表面側)には、充填した薬液成分の概要、使用方法、注意事項等を印刷加工することから、印刷面とならないフィルムの内表面にエンボス加工を施すのが好ましい。
したがって、弱シール部30を挟む両部分にはエンボス加工が施されていないが、仮にこの部分にフィルム同士のブロッキングが発生していたとしても、エンボス加工部分でのブロッキング防止効果により薬液収納室(第1室、第2室)における薬液充填空間の確保時、並びに薬液充填時に、重ね合わされたフィルムは自然と引き剥がされることとなり、薬液はそれぞれの薬液収納室の内部に充填されるのである。
したがって、第1室21及び第2室22における薬液の混注ポート及び薬液の排出用ポートの装着にあっても、容易にポートを挿入できるフィルム開口部を確保することができ、その上で、従来の金型による熱溶着で、それぞれの薬液収納室(第1室、第2室)に、ポートを強固に装着することが可能となる。
また、本実施例においては、複室容器1は、混合後の容器全量として500mL充填の複室容器であるが、この容器の容量は、目的に応じて種々変更が可能であり、これらの変形も本発明の技術的範囲内に包含される。
このスジエンボス加工は、インフレーション成形における押出成形時のダイコアの形状に深さ5〜20μmの凹状の切り込み線を0.8〜1.5mm間隔で入れ、隔壁部となる弱シール溶着部分に該当するダイコア部分にはかかる切り込み線を入れないものを使用することで、容易に成形することができる。
[本発明の樹脂製フィルムA]
ポリプロピレン(MFR2)を主成分としスチレン系エラストマーを混合した樹脂を、リング状ダイス(半周部分に1mm間隔で10μmの高さの浅い溝を予め加工したリップをダイセンターに装着、端から180〜210mmは溝加工されてない)を備えた水冷式押出インフレーション成形機によって、幅420mm、厚さ300μmのチューブ状のフィルム(フィルムA)を得た。
このフィルムは、巻取り方向に半周の内表面に円周方向に1mm間隔で6〜12μmの高さに連続したスジを有し、片端から180〜210mmの30mm幅はスジのないチューブ状フィルムとなっている。
ポリプロピレン(MFR2)を主成分としスチレン系エラストマーを混合した樹脂を、リング状ダイス(無加工)を備えた水冷式押出インフレーション成形機によって幅420mm、厚さ300μチューブ状のフィルム(フィルムB)を得た。
上記で成形したポリプロピレン系樹脂製フィルムの内表面について、エンボスの高さ、及び非エンボス加工部のフィルム表面を測定した。
10μ高にエンボス加工したフィルムの内表面を、表面粗さ計(Surftest SJ-301)により、エンボスの高さを8mm毎に測定した。また、デジタルマイクロスコープ(DMS)によっても測定した。
測定したフィルムは、インフレーション成形したそれぞれ2枚について行った。
その結果、エンボス加工の高さは、以下のとおりであった。
ポリプロピレン系樹脂製フィルム−1:
平均8.5μm(最小6.23μm〜最大10.78μm)
DMSの結果:12.22〜14.67μm
ポリプロピレン系樹脂製フィルム−2:
平均8.87μm(最小7.27μm〜最大11.29μm)
DMSの結果:11.00〜14.67μm
非エンボス加工部分:
1.5μm〜2μm
以上の結果から、インフレーション加工により良好にスジエンボス加工が施された樹脂製フィルムが成形されていることが判明した。
製袋用形成シール金型を用いて、上記でインフレーション成形したフィルムA或いはフィルムBを製袋して、縦方向360mm/横方向180mm寸法のバッグを作成した。
このバッグは、図1に示したように、弱シール部30からなる隔壁を有する2室形成用のバッグであり、2つのポート40及び41を備えている。
このバッグの表裏両方の樹脂フィルムを吸盤開口し、ポート(40、41)を挿入しフィルムに装着する際の開口性を評価した。
その結果、スジエンボス加工を施した本発明のフィルムAは、比較例のフィルムBと比較して、開口不良の発生は1/3以下であった。
上記3の場合と同様に、縦方向360mm/横方向180mm寸法のバッグにポートが溶着された形状のバッグ(図1を参照)を作成した。このバッグには弱シール部30からなる隔壁を有する2室形成用のバッグであり、2つのポート40及び41を備えている。
このバッグの薬液充填部60(開口65)の表裏両方の樹脂フィルムを減圧パット(吸盤)で開口しながら、薬液を充填する際のフィルムの開口性を評価した。
その結果、スジエンボス加工を施した本発明のフィルムAは、比較例のフィルムBと比較して、開口不良の発生は1/8以下であった。
(1)引き剥がし強度
インフレーション成形したチューブ状のフィルム(ポリプロピレン:PP/ポリエチレンPE)の相対向する内面同士を、接触させたままMD方向(注:インフレーション成形の巻取り方向:インフレーションフィルムが押出される方向)に50mm(幅)×130mm(長さ)の試験片を切り出し、端15mmを保持させ、オートグラフAGS(島津製作所製)により200mm/分の速度で引き剥がし、内面同士のブロッキング強度を測定した。
なお、スジエンボスは10μmの凹凸からなるものである
その結果を、下記表1に示した。
JIS 7125のプラスチックフィルム及びシートの摩擦係数試験法に準じてインフレーション成形したフィルム内面の摩擦係数を測定した。
使用機器:テンシロンRTCシリーズ
その結果を下記表2に示した。
なお、動摩擦係数が0.5以下であれば、特にエンボスは必要ないものとなり、2.0を超える場合には使用できないものとなる。
製袋用シール金型を用いて、インフレーション成形したチューブ状のフィルム(ポリプロピレン:PP/ポリエチレンPE)を製袋し、縦方向360mm/横方向180mm寸法のバッグ(複室バッグ)を作成した。
このバッグ200を図3に示した。図中の符号は、図1と同様である。
この複室バッグ200は、弱シール部30からなる複室を隔壁する弱シール部形成部31にはスジエンボス100が設けられておらず、それを除く樹脂フィルムの内表面に複数のスジエンボス100が施され、側縁部(サイドシール部)26及び上縁部(アップシール部)24及び下縁部(ボトムシール部)25が熱溶着され、薬液の排出用ポート及び混注ポートの両ポートの挿入部、並びに上下の複室(第1室及び第2室)への薬液充填口60は熱溶着されていないものである。
その結果を、下記表3にまとめて示した。
上記の表3に示した結果からも判明するように、フィルムの内表面に施したスジエンボス加工における凹凸の存在により、シール部の剥離強度の低下の有無をサイドシール部、ボトムシール部で確認したが、スジエンボスの高さが5〜20μmであれば十分なシール強度を得ることができ、医療用容器として問題なく使用できることが判明した。
特に本発明が提供する医療用の薬液収納複室容器は、容器本体の少なくとも一方の樹脂製フィルムの内表面に複数のスジエンボス加工を施したことから、容器の上下縁部に薬液の排出ポート及び混注ポートを装着時、及び薬液充填時におけるフィルムのブロッキングを防止できるものであり、生産性の向上が図れ、さらに従来の製造ラインをそのまま使用することができるものであり、産業上の貢献度は多大なものである。
20 薬液収納室
21 第1室
22 第2室
24 上縁部
25 下縁部
26 側縁部
30 弱シール部
31 弱シール形成部
40 薬液排出用ポート
41 混注用ポート
60 薬液充填口
65 開口
100 スジエンボス
200 複室バッグ
Claims (6)
- 可撓性を有する樹脂製フィルム材をシールして袋状に成形してなる複室容器であり、前記薬液を収納する複室が弱シール部により隔壁された医療用複室容器において、弱シール形成部を除く容器本体の少なくとも一方の樹脂製フィルムの印刷面とならない内表面に、凹凸状からなる複数のスジエンボス加工を施したことを特徴とする医療用複室容器。
- 複数のスジエンボス加工が、5〜20μmの凹凸からなることを特徴とする請求項1に記載の医療用複室容器。
- 複数のスジエンボス加工が、0.8〜1.5mm間隔で施されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用複室容器。
- 複数のスジエンボス加工を容器本体に対して横方向に設けたことを特徴とする請求項1に記載の医療用複室容器。
- 樹脂製フィルムがポリプロピレン系樹脂フィルムまたはポリエチレン系樹脂フィルムからなるものである請求項1〜4いずれかに記載の医療用複室樹脂容器。
- スジエンボス加工が施された樹脂製フィルムがインフレーション成形されたものである請求項5に記載の医療用複室樹脂容器。
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