以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を基に説明する。
図1は、本発明に係るチルトアンドシェードパネル装置1を備えた自動車(車両)のルーフ2の斜視図である。ルーフ2に形成された開口部3には、チルトパネル4が設けられている。チルトパネル4の前部には、ヒンジ部41が設けられている。チルトパネル4は、ヒンジ部41を中心に上下方向に回動する。
図2は、図1におけるA−A線に沿う概略断面図で、図2(a)〜(d)は、チルトアンドシェードパネル装置1の作動状態をそれぞれ示す。ルーフ2は、自動車の外装を形成するルーフパネル21と、ルーフパネル21の下方に設けられ、自動車の車室(室内空間)の天井(内装の一部)を形成する天井部材22と、から形成されている。ルーフパネル21には、外開口部31が設けられている。天井部材22には、ルーフパネル21の外開口部31に対応した内開口部32が設けられている。これらの外開口部31と内開口部32が、ルーフ2の開口部3(図1参照)を形成している。
ルーフパネル21の外開口部31は、チルトパネル4によって開閉される。チルトパネル4は、透明または半透明のガラス材・樹脂材等から形成され、略矩形状を成すパネルである。チルトパネル4は、ヒンジ部41(図1参照)を中心に上下方向に回動(チルトアップ/チルトダウン)することで、ルーフパネル21の外開口部31を開閉する。
天井部材22の内開口部32は、シェードパネル5によって開閉される。シェードパネル5は、樹脂材等から形成された略矩形状のパネルである。チルトパネル4は、天井部材22の内開口部32の上方に配置されている。シェードパネル5は、前後方向に移動(スライド)することで、天井部材22の内開口部32を開閉する。シェードパネル5は、チルトパネル4の下方にて、天井部材22の内開口部32を開閉する。これにより、チルトパネル4を介した車室内への日射の射し込みが調節される。
図2(a)〜(d)は、チルトアンドシェードパネル装置1の作動状態をそれぞれ示す。図2(a)は、全閉状態を示す。この状態においては、ルーフパネル21の外開口部31及び天井部材22の内開口部32が閉鎖されている。全閉状態において、シェードパネル5が後方に移動すると、図2(b)に示す様に、天井部材22の内開口部32が部分的に開放される(シェードパネル半開状態)。この状態において、シェードパネル5がさらに後方に移動し、チルトパネル4が上方に回動すると、図2(c)に示す様に、天井部材22の内開口部32及びルーフパネル21の外開口部31が完全に開放される(全開状態)。全開状態において、シェードパネル5が前方に移動すると、図2(d)に示す様に、天井部材22の内開口部32が部分的に閉鎖される(シェードパネル半開状態)。この状態において、シェードパネル5がさらに前方に移動し、チルトパネル4が下方に回動すると、図2(a)に示す様に、ルーフパネル21の外開口部31及び天井部材22の内開口部32が閉鎖され、チルトアンドシェードパネル装置1は再び全閉状態となる。
図3は、チルトアンドシェードパネル装置1の正面図、図4は、チルトアンドシェードパネル装置1の分解斜視図である。なお、図4においては、チルトアンドシェードパネル装置1の右半分のみが描かれている。
チルトアンドシェードパネル装置1は、シェードパネル5と、ガイドレール6と、駆動機構7と、機能部品8と、チルトリンク9とを備えている。シェードパネル5は、パネル部材51と、シュー部材52と、から成る。パネル部材51は、樹脂材等を用いて略矩形に形成されている。シュー部材52は、樹脂材等から形成され、ベース部材51における左右方向(図3示上下方向、車両の幅方向)の端部にそれぞれ取り付けられている。
図5は、図4において右側から見たシュー部材52の前部53の斜視図である。同図に示す様に、シュー部材52の前部53には、2つのカム溝54、55が設けられている。カム溝54、55は、シュー部材52の前部53における一部を切り取った様な形状、いわゆる切り欠き形状を成している。
カム溝54は、シュー部材52の前部53のうち、下部に設けられている。カム溝54は、前方向に開口している。カム溝54には、傾斜面54aと垂直面54bとが設けられている。傾斜面54aと垂直面54bは、自動車の前側に面している。傾斜面54aは、垂直面54bの下部と連続し、垂直面54bに対し、下方に位置する。カム溝55は、シュー部材52の前部53のうち、上部に設けられている。カム溝55は、カム溝54に対し、上方に配置されている。
シュー部材52のカム溝54には、前チェック部材81と係合して前方に移動する際に前チェック部材81のシュー部材52に対する相対移動を規制する規制壁56が形成される。また、シュー部材52のカム溝54には、シェードパネル5が全閉の際に前チェック部材81が規制壁56からの規制を解除できる隙間57を形成する。
カム溝55は、後方向に開口している。カム溝55には、カム溝54と同様に、傾斜面55aと垂直面55bとが設けられている。傾斜面55aと垂直面55bは、自動車の後側に面している。傾斜面55aは、垂直面55bの上部と連続し、垂直面55bに対し、上方に位置する。
ガイドレール6は、アルミ材等から形成され、前後方向(図3示左右方向、車両の前後方向)に延在している。ガイドレール6は、ルーフ2における右側(図3示上側)に設けられている。ルーフ2における左側(図3示下側)には、左右方向に関してガイドレール6と対称な構造を有するガイドレール6’が設けられている。以下の説明では、ガイドレール6についての説明を中心に行い、ガイドレール6’についての説明は必要に応じて行うこととする。
図6は、ガイドレール6の側面図、図7は、図6におけるB−B線に沿う断面図である。ガイドレール6には、ベース部61と、縦壁62と、上壁63と、ガイド部64が一体に設けられている。ベース部61及び縦壁62は、板状に形成されている。ベース部61は、ルーフパネル21(図2参照)の下方のボディパネル(図示なし)に固定される。縦壁62は、ベース部61から上方に延在している。縦壁62の前部には、前チェック溝66が設けられている。縦壁62の後部には、後チェック溝67が設けられている。前チェック溝66及び後チェック溝67は、縦壁62を幅方向(図7示左右方向)に貫通する貫通孔である。
前チェック溝66及び後チェック溝67は、前後方向(図6示左右方向)に延在している。前チェック溝66の後部には段部66a、前部には段部66b、が設けられ、後チェック溝67の前部には、段部67aが設けられている。上壁63は、縦壁62の上端から幅方向(図7示右側)に突出し、縦壁62に対してひれ状(つば状)に形成されている。ガイド部64は、その上面64aにて、シェードパネル5のシュー部材52を支持し、シェードパネル5を前後方向に移動自在にガイドする。ガイド部64には、収容空間64bが設けられている。収容空間64bは、前後方向に延在し、溝状に形成されている。
駆動機構7は、減速機付きモータ71と、ギヤボックス72と、ブラケット73と、ケーブル74と、ロッド75と、から成る。駆動機構7は、ガイドレール6の前部に設けられている。
図8は、図3におけるC示部分の拡大図、図9は、図8におけるD−D線に沿う断面図、図10は、図8におけるE−E線に沿う断面図、図11は、図8におけるF−F線に沿う断面図である。
減速機付きモータ71は、モータと減速機(ウォームギヤ)とを一体に備えた公知のものである。減速機付きモータ71は、自動車に搭載された給電ユニット(図示なし)によって給電される。と、駆動力を発生し、出力ギヤ71aを介して(出力ギヤ71aの回転として)駆動力を出力する。出力ギヤ71aは、かさ歯車(はすば歯車)である。減速機付きモータ71から出力された駆動力は、ギヤボックス72に入力される。
ギヤボックス72は、入力ギヤ72aと、シャフト72bと、駆動ギヤ72cと、ブロック72dと、から成る。入力ギヤ72aは、かさ歯車(はすば歯車)であり、減速機付きモータ71の出力ギヤ71aに噛み合っている。シャフト72bは、入力ギヤ72aに連結され、入力ギヤ72aと一体に回転する。駆動ギヤ72cは、平歯車であり、入力ギヤ72aと同軸に配置されている。駆動ギヤ72cは、シャフト72bに連結され、シャフト72b及び入力ギヤ72aと一体に回転する。シャフト72bは、入力ギヤ72a及び駆動ギヤ72cの回転軸として機能している。ブロック72dは、入力ギヤ72a及び駆動ギヤ72cを収容すると共にシャフト72bを支持する軸受として機能するものである。
ブラケット73は、金属材等を用いて形成され、ギヤボックス72をガイドレール6に対して保持する。ブラケット73は、ギヤボックス72に被せられ、締結部材73aを用いてガイドレール6の上面に固定される。これにより、ギヤボックス72がブラケット73とガイドレール6との間に挟みこまれ、ギヤボックス72がガイドレール6に対して保持される。なお、減速機付きモータ71も、締結部材73aを用いて、ガイドレール6の下面に固定される。つまり、減速機付きモータ71と、ギヤボックス72を保持したブラケット73とが、締結部材73aを用いてガイドレール6に共締めされる。これにより、減速機付きモータ71の出力ギヤ71aとギヤボックス72の入力ギヤ72aとの間の噛み合いが確実に保持される。
ケーブル74は、駆動力伝達用の公知のものである。ケーブル74は、上述したガイドレール6におけるガイド部64の収容空間64b内に配置される(図7参照)。ケーブル74の一方側は、シェードパネル5のシュー部材52の前部53に連結される(図4及び図5参照)。ケーブル74は、ギヤボックス72の駆動ギヤ72cと噛み合っている。減速機付きモータ71が給電されると、駆動ギヤ72cが回転し、駆動ギヤ72cに連結されたケーブル74がガイドレール6に沿って移動する。これにより、ケーブル74に連結されたシェードパネル5は、ガイドレール6に沿って前後方向に移動する。ケーブル74が前方に移動する場合、ケーブル74の他方側は、ガイドレール6の前端に取り付けられた筒状の連結部材65を介して、ガイド部材83内に送られる(図4参照)。ガイド部材83は、可撓性を持ったホース状の部材である。
ロッド75は、金属製の管であって、その一端75aは、ガイドレール6上のギヤボックス72のシャフト72bに、溶接固定される。ロッド75は、シャフト72bの回転、すなわち、駆動機構7の作動にともなって回転する。
なお、図12に示す様に、上述したガイドレール6’には、左右方向に関して駆動機構7と対称な構造を有する駆動機構7’が設けられる。駆動機構7’のギヤボックス72’は、駆動機構7のギヤボックス72と同様な態様で、ガイドレール6’に保持される。ただし、駆動機構7’には、駆動機構7における減速機付きモータ71に相当するモータと、入力ギヤ72aに相当するギヤが設けられない。駆動機構7’のシャフト72b’は、駆動機構7におけるロッド75の他端75bに溶接固定される。これにより、駆動機構7のシャフト72bと駆動機構7’のシャフト72b’とが一体に回転する。つまり、ロッド75は、ガイドレール6上の駆動機構7にて発生した駆動力をガイドレール6’上の駆動機構7’に伝達する駆動力伝達部材として機能する。さらに、ロッド75は、ガイドレール6の前部とガイドレール6’の前部とを連結することで、ガイドレール6に対するガイドレール6’の位置を左右方向に関して規制しており(フロント側のピッチ固定)、位置規制部材としても機能する。
機能部品8は、前チェック部材81と、ストッパ部材82と、ガイド部材83と、後チェック部材84と、から成る。
図13は、機能部品8のガイドレール6に対する配置を示す図である。同図においては、ガイドレール6が2点鎖線で描かれている。機能部品8は、上壁63の下方に位置するようにガイドレール6に組み付けられる。なお、機能部品8は、ガイドレール6にのみ配置され、ガイドレール6’(図3参照)には配置されない。
図14は、図13におけるG−G線に沿う断面図、図15は、図13におけるH−H線に沿う断面図、図16は、図13におけるJ−J線に沿う断面図、図17は、図13におけるK−K線に沿う断面図である。
前チェック部材81は、ベース部81aと、連結部81bとから成る。連結部81bは、ベース部81aの前部に一体に形成されている。連結部81bには、ピン81cと、凸部81dとが一体に設けられている。ピン81cは、円形を成し、連結部81bから右方(図14示右方)に突出している。凸部81dは、角型を成し、連結部81bから左方(図14示左方)に突出している。凸部81dは、ガイドレール6の縦壁62に形成された前チェック溝66に挿通されている。凸部81dと前チェック溝66との間には、上下方向に関して若干の隙間(クリアランス)が設定される。凸部81dは、シェードパネル5におけるシュー部材52のカム溝54(図3及び図5参照)と前方向に係合する。また、前チェック部材81におけるベース部81aには、板バネ部81eが設けられている(図4及び図13参照)。板バネ部81eにより、前チェック部材81は、ガイドレール6に対し、下方向に常時付勢されている。
ストッパ部材82は、樹脂製であって、ブロック状に形成されている。ストッパ部材82は、ガイドレール6のベース部61に取り付けられ、ガイドレール6に対して位置が保持される。ストッパ部材82の上面は、ガイドレール6の上壁63と対向している。ストッパ部材82には、ガイド溝82aが設けられている。ガイド溝82aは、ガイドレール6の縦壁62の前チェック溝66(図6参照)とほぼ同じ形状を有している。ガイド溝82aには、前チェック部材81のピン81cが挿入される。ガイド溝82aの後部には、ガイドレール6の前チェック溝66と同様に、段部82bが設けられている。
ガイド部材83は、樹脂製であって、ブロック状に形成されている。ガイド部材83の上面は、ガイドレール6の上壁63と対向している。ガイド部材83の前部には、円形の連結ピン83aが設けられている。ガイド部材83は、連結ピン83aを介して、前チェック部材81の後部と回転自在に連結している。また、ガイド部材83には、昇降溝83bが設けられている。昇降溝83bの後部は、昇降溝83bの前部に対して下方に位置している。昇降溝83bは、前部と後部との間に傾斜部分を有する。
後チェック部材84は、樹脂製であって、ブロック状に形成されている。後チェック部材84の前部には、円形の連結ピン84aが設けられている。後チェック部材84は、連結ピン84aを介して、ガイド部材83の後部と回転自在に連結している。後チェック部材84には、凸部84bが一体に設けられている。凸部84bは、角型を成し、前チェック部材81の凸部81dと同様な態様で(図14参照)、ガイドレール6の縦壁62に形成された後チェック溝67に挿通されている。凸部84bは、シェードパネル5におけるシュー部材52のカム溝55(図3及び図5参照)と後方向に係合する。また、後チェック部材84には、板バネ部84cが一体に設けられている(図4及び13参照)。板バネ部84cにより、後チェック部材84は、ガイドレール6に対し、上方向に常時付勢されている。
チルトリンク9は、アーム91と、ロッド92と、軸受台93と、から成る。チルトリンク9は、ガイドレール6の後部に設けられている。
アーム91は、金属材から形成されており、チルトパネル4を上下方向に回動させるべく、支持部91aを中心に上下方向に回動する。アーム91には、円形のピン91bが設けられている。ピン91bは、左右方向に延在し、機能部品8におけるガイド部材83の昇降溝83bに挿入されている。アーム91は、連結部91cにて、チルトパネル4と連結される。ロッド92は、鋼管(金属製の管)である。ロッド92の一側92aは、アーム91の支持部91aを貫通し、アーム91の支持部91aに溶接固定されている。軸受台93は、締結部材93a(図4参照)を用いてガイドレール6に固定されている。軸受台93は、アーム91を貫通したロッド92の一側92aを回転自在に支持している。また、軸受台93は、左右方向に関して、アーム91の位置を保持しており、これにより、アーム91の回動がより安定したものとなる。
なお、図18に示す様に、ガイドレール6’には、左右方向に関してチルトリンク9と対称な構造を有するチルトリンク9’が設けられる。チルトリンク9におけるロッド92の他側92bは、チルトリンク9’のアーム91’を貫通し、アーム91’に溶接固定されている。軸受台93’は、チルトリンク9の軸受台93と同様な態様により、ガイドレール6’に固定される。軸受台93’は、アーム91’を貫通したロッド92の他側92aを回転自在に支持している。チルトリンク9におけるアーム91が駆動力によって回動すると、この駆動力がロッド92を介してアーム91’に伝達される。これにより、アーム91とアーム91’とが一体に回動する。つまり、ロッド92は、ガイドレール6上のアーム91に伝達された駆動力をガイドレール6’上のアーム91’に伝達する駆動力伝達部材として機能する。さらに、ロッド92は、ガイドレール6の後部とガイドレール6’の後部とを連結することで、ガイドレール6に対するガイドレール6’の位置を左右方向に関して規制しており(リヤ側のピッチ固定)、上述した駆動機構7のロッド75(図4参照)と共に、位置規制部材としても機能する。
次に、チルトアンドシェードパネル装置1の作動について、図19乃至図22を参照して説明する。図19乃至図22は、シェードパネル5の移動にともなう機能部品8及びチルトリンク9の動きを模式的に示す図である。
図19は、チルトアンドシェードパネル装置1の全閉状態(図2(a)参照)を示す。シェードパネル5におけるシュー部材52の前部53は、機能部品8における前チェック部材81の凸部81dと後チェック部材84の凸部84bとの間に位置している。前チェック部材81のピン81cは、ストッパ部材82におけるガイド溝82aの前部に位置している。前チェック部材81の凸部81dは、ガイドレール6の前チェック溝66の前部に位置している。後チェック部材84の凸部84bは、ガイドレール6の後チェック溝67の前部に位置し、後チェック溝67の段部67aに係合している。チルトリンク9におけるアーム91のピン91bは、ガイド部材83における昇降溝83bの後部に位置している。
図19に示す全閉状態において、駆動機構7が作動すると、シェードパネル5のシュー部材52は、ガイドレール6に沿って後方に移動し、図20に示す様に、そのカム溝55(図5参照)にて、後チェック部材84の凸部84bと後方向に係合する。これにより、チルトアンドシェードパネル装置1は、シェードパネル半開状態(図2(b)参照)となる。チルトアンドシェードパネル装置1の作動状態が全閉状態からシェードパネル半開状態に移行するまでの間は、シェードパネル5のみが動き、チルトパネル4は動かない。
図20に示すシェードパネル半開状態において、シェードパネル5がさらに後方に移動すると、シュー部材52のカム溝55の傾斜面55aが、後チェック部材84の凸部84bを押し下げ、後チェック部材84の凸部84bが、ガイドレール6の後チェック溝67の段部67aから離脱する。後チェック部材84の凸部84bは、後チェック溝67の段部67aから離脱した後、シュー部材52のカム溝55の垂直面55bにより、後チェック溝67に沿って後方に押し動かされる。後チェック部材84が後方に移動すると、後チェック部材84と連結したガイド部材83及び前チェック部材81も、ガイドレール6に沿って後方に移動する。これにともなって、チルトリンク9におけるアーム91のピン91bが、ガイド部材83の昇降溝83bに沿って動かされ、アーム91がロッド92を中心に上方に回動する。これにより、図21に示す様に、チルトパネル4が上方に回動し、チルトアンドシェードパネル装置1が全開状態(図2(c)参照)となる。全開状態においては、前チェック部材81の凸部81dは、ガイドレール6の前チェック溝66の段部66aに係合している。チルトアンドシェードパネル装置1の作動状態がシェードパネル半開状態から全開状態に移行するまでの間は、シェードパネル5の動きがチルトパネル4に伝達され、シェードパネル5とチルトパネル4が共に動く。なお、全閉状態において、ガイド部材83は、チルトリンク9のアーム91のピン91bを介して、チルトパネル4から上方向に力を受ける。上述した様に、ガイド部材83は、ガイドレール6の上壁63の下方に位置しているので、ガイド部材83に大きな力が作用しても、ガイド部材83がガイドレール6の上壁63によって確実に保持される。これにより、ガイド部材83が必要とする強度が下がることとなり、例えば、ガイド部材83を樹脂成型品とでき、コストダウンが可能となる。
図21に示す全開状態において、駆動機構7が作動すると、シェードパネル5のシュー部材52がガイドレール6に沿って前方に移動し、シュー部材52のカム溝55が、後チェック部材84の凸部84bから離脱する。そして、シェードパネル5のシュー部材52がさらに前方に移動すると、図22に示す様に、シェードパネル5は、シュー部材52のカム溝54(図5参照)にて、前チェック部材81の凸部81dと前方向に係合し、チルトアンドシェードパネル装置1は、シェードパネル半閉状態(図2(d)参照)となる。チルトアンドシェードパネル装置1の作動状態が全開状態からシェードパネル半閉状態に移行するまでの間は、シェードパネル5のみが動き、チルトパネル4は動かない。
図22に示すシェードパネル半閉状態において、シェードパネル5がさらに前方に移動すると、シュー部材52のカム溝54の傾斜面54aが前チェック部材81の凸部81dを押し上げ、前チェック部材81の凸部81dがガイドレール6の前チェック溝66の段部67aから離脱する。前チェック部材81の凸部81dは、前チェック溝66の段部66aから離脱した後、シュー部材52のカム溝54の垂直面54bにより、前チェック溝66に沿って前方に押し動かされる。前チェック部材81が前方に移動すると、前チェック部材81と連結したガイド部材83及び後チェック部材84も、ガイドレール6に沿って前方に移動する。これにともなって、チルトリンク9におけるアーム91のピン91が、ガイド部材83の昇降溝83bに沿って動かされ、アーム91がロッド92を中心に下方に回動する。これにより、図19に示す様に、チルトパネル4が下方に回動し、チルトアンドシェードパネル装置1が全閉状態(図2(a)参照)となる。
なお、全閉状態においては、後チェック部材84の凸部84bは、ガイドレール6の後チェック溝67の段部67aに係合している。チルトアンドシェードパネル装置1の作動状態がシェードパネル半閉状態から全閉状態に移行するまでの間は、シェードパネル5の動きがチルトパネル4に伝達され、シェードパネル5とチルトパネル4が共に動く。
図23の(a)〜(d)は、チルトパネル4が閉回動する際のシュー部材52のカム溝54と前チェック部材81との係合状態を模式的に示したものである。チルトパネル4が閉回動する際、シュー部材52のカム溝54は前チェック部材81と係合して前方に移動している。このとき、前チェック部材81はシュー部材52に形成した規制壁56によりシュー部材52に対する前方への相対移動が規制される。また、シュー部材52は、シェードパネル5が全閉の際には、(d)に示すように、ガイドレール6の前チェック溝66の段部66bで、隙間57により前チェック部材81との係合が解除される。
なお、本実施形態においては、チルトアンドシェードパネル装置1が1枚のシェードパネル(シェードパネル5)を備える例を示したが、これに限定されない。本発明は、2枚以上のシェードパネルを備えたいわゆる多板シェードパネルにも適用可能である。
なお、本実施形態において、チルトリンク9のロッド92は、左右の各側に設けられたアーム91とアーム91’とを連結することで、ガイドレール6に対するガイドレール6’の位置を左右方向に関して規制しているが、これに限定されない。例えば、ロッド92に相当するロッドを設け、このロッドを用いてシェードパネル5の各側のシュー部材52同士を連結することで、ガイドレール6とガイドレール6’との左右方向のピッチを固定しても良い。この場合、当該ロッドを支持する部材(軸受台93に相当)は、ガイドレール6(ガイドレール6’)に沿って前後方向に移動可能とする必要がある。
以上説明した様に、本実施形態のチルトアンドシェードパネル装置1によれば、シェードパネル5が駆動機構7の減速機付きモータ71によって駆動される。場合に、シェードパネル5に設けられたシュー部材52は、前チェック部材81又は後チェック部材84と係合することで、前チェック部材81、ガイド部材83及び後チェック部材84をガイドレール6に沿って駆動する。チルトパネル4及びガイド部材83と連結するチルトリンク9のアーム91は、前チェック部材81、ガイド部材83及び後チェック部材84の移動にともなって、チルトパネル4を回動させる。この構造によれば、シェードパネル5に係る減速機付きモータ71によってチルトパネル4が駆動されるので、1つの減速機付きモータ71によってチルトパネル4とシェードパネル5の両方を駆動することができる。これにより、追加の減速機付きモータを設置するためのスペースが必要なく、構造を簡略化できる。
また、チルトパネル4が閉回動する際に、前チェック部材81はシュー部材52に形成した規制壁56によりシュー部材52に対する相対移動が規制されるため、チルトパネル4の自重もしくはチルトパネル4に外力が作用した場合でも、チルトパネル4の閉回動の速度を一定に制御できる。
また、シュー部材52はシェードパネル5が全閉の際に規制壁56からの規制を解除する隙間57を形成するため、チルトパネル4を閉じたままで、シェードパネル5のみを開くことが可能になる。