JP4899173B2 - カッタ機構及び食肉切断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、食肉用家畜屠体のうで部位又はもも部位等の骨付き食肉を骨表面に沿って骨の長手方向に切断する作業を人手に拠らず機械化可能とし、これによって該骨付き食肉の除骨作業の能率を向上させたカッタ機構及び該カッタ機構を用いた食肉切断装置に関する。
本発明者等は、先に半自動化した豚もも部位の除骨機と該除骨機を用いた豚もも部位の除骨方法を提案している(特許文献1;特開2000−106818号公報)。
この除骨装置は、ワークの足首部を搬送チェーンに取り付けられて移動するクランパで懸垂して搬送しながら前処理工程、下腿骨除骨工程及び大腿骨除骨工程を行なうようにしたものである。即ちすべての処理工程でワークを宙吊りに懸垂した状態で行ない、ワークの自重の影響を最小限に抑えるようにし、かつまな板上での作業を排除してまな板からの細菌類の付着を防止した衛生的な除骨作業を行なえるようにするとともに、人手による作業を最初の前処理工程のみとし、作業の能率化と労働の低減を図ったものである。
前記前処理工程では、ワークをクランパで搬送しながら作業員がワークの腰骨に当る寛骨と仙尾骨を除去し、下腿骨及び大腿骨の筋入れ等を行なう。前処理後の自動化された工程では、各ステーションにおいてワークをクランパで宙吊り状態としながらミートセパレータで骨に付着した肉を引き剥しながらカッタ機構により下腿骨又は大腿骨の周回りに筋入れを行い、骨に付着した肉、筋、腱等の生体組織を切断し、徐々に肉の分離を行なっていく。この筋入れは、該カッタ機構に対してワークを所定の角度で回転可能とし、骨の長手方向の所定位置で骨の周回りにカッタを入れ、該生体組織を切断できるようにしている。
また本出願人等は、先に骨付き食肉から肉をカッタで切断分離する方法及び装置を提案している(特許文献2;特開2004−321032号公報)。
この発明は、カッタ及びに併設され該カッタから一定量だけ該カッタに先行して配置されたカッタガイドを骨付き食肉側に移動させて該カッタガイドの端部と骨の表面との接触を検知し、この検知信号に基づきカッタの刃先部を骨の表面近傍で移動させて肉を骨から分離、切断するように構成したものである。
特開2000−106818号公報 特開2004−321032号公報
しかしながら特許文献1に開示された除骨機では、下腿骨及び大腿骨の筋入れ工程を人手に頼っており、自動化率はそれほど高くない。下腿骨又は大腿骨に沿って長手方向に切断する筋入れは、骨に沿ってかつ骨に刃を食い込ませないように切断刃を操作する必要があり、かつ骨の形状が曲がりやねじれがある複雑な3次元曲線をしているため、筋入れの奥行きを適正にしながら骨の形状に沿って筋入れする作業を機械で自動化することは従来困難であった。
また特許文献2に開示された切断技術は、カッタに併設されたカッタガイドを一旦骨に当ててその検知信号に基づいてカッタの移動を制御するようにしているため、骨付き腿肉等骨付き食肉の骨に向かってカッタを当ててから該骨の周回りにカッタを移動させて骨に付着した肉、筋、腱等の生体組織を切断、分離する場合には適しているが、前述の筋入れ工程のように骨の表面に沿って骨の長手方向にカッタを移動させる場合には不向きである。
このような事情から骨付き食肉の骨の表面に沿って筋入れを行なう作業は機械により自動化することができず、人手により行なわざるを得なかった。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、食肉用家畜屠体の骨付き食肉、例えば豚もも部位等の骨付き腿肉の除骨作業で行われる筋入れ工程において、従来人手で行なっていた筋入れ工程を機械によって自動化可能とし、これによって除骨作業全体の自動化率を高めて作業能率を向上させ、かつ歩留まりの向上を図ることができるカッタ機構及び該カッタ機構を用いた食肉切断装置を実現することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明のカッタ機構は、
食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断するカッタ機構において、
切断動作を行なうカッタと、
該カッタを取り付けた支持アームを駆動して該カッタに切断動作を行なわせるカッタ駆動手段と、
該カッタの進行方向に対し交差する方向に移動可能となるように該支持アームに取り付けたスライド機構と、
前記スライド機構のスライド方向の垂直面に設けた揺動軸に対して該カッタを揺動可能に支持し、該揺動軸を該カッタの進行方向に対して該カッタより先行する位置に設けた揺動機構と、
前記揺動機構に対してスライド方向に負荷がかかっていない状態において前記揺動機構が一定位置に留まるように弾性力を付勢する手段と、を備え、
前記カッタ駆動手段による切断動作軌跡と前記骨付き食肉の骨の表面形状との差を該スライド機構で補って該カッタを該骨の表面に沿わせるようにするとともに、該揺動機構により該カッタの切り込み角度を該カッタの進行方向に向くように構成したものである。
従来食肉に限らず比較的複雑な切断工程を機械化する場合には、多軸多関節ロボットアームを用い、該ロボットアームの先端にカッタを装着し、予め設定された該カッタの切断動作プログラムに基づいて該カッタを予め設定された切断動作軌跡を辿らせるようにしている。
しかし骨付き食肉を除骨するための切断工程においては、該骨付き食肉に個体差が存在するため、前述のように予め設定された切断動作軌跡では個体差に起因した該カッタの切断動作軌跡の誤差を解消することができない。
これに対し本発明のカッタ機構では、前記カッタ駆動機構、スライド機構及び弾性力付勢手段により、個体差に起因した切断動作軌跡の誤差を補うようにしている。まずカッタ機構は予め設定された切断動作プログラムに従ってカッタ駆動手段によって作動される。該設定された切断動作プログラムによるカッタの初期位置は、切断対象となる骨付き食肉の個体差に拘らず常に該骨付き食肉の骨の表面に沿うように設定される。
このときの該切断動作プログラムによるカッタの初期位置と実際の切断対象となる骨付き食肉の骨表面の位置との誤差は前記スライド機構及び弾性力付勢手段によりカッタの前記揺動支点をカッタ進行方向と交差する方向にスライドさせることにより吸収する。その後該誤差を該スライド機構によって吸収しながらカッタを該骨付き食肉の骨の表面に沿って該骨の周方向又は長手方向に沿って移動させることにより、該骨の表面に付着した肉を切断する。
また本発明のカッタ機構では、カッタを前記揺動支点を介して支持アームに取り付け、該揺動支点を該カッタよりカッタ進行方向に先行する位置にあるので、支持アームを骨の表面に沿って進行させると、該カッタは骨表面からの反力を受けて、該揺動支点を中心として骨表面に沿うように切り込み角度を変更する。
このように支持アームが切断動作プログラムに従う動きをすると、カッタは前記スライド機構、弾性力付勢手段及び揺動機構により、切断対象となる骨付き食肉の個体差を補いながら、骨付き食肉の骨表面に沿う切り込み角度で該骨表面に沿う動きをすることができる。
なお本発明のカッタ機構において、前記スライド機構は、前記支持アームに前記カッタの進行方向と交差する方向に向けて取り付けたリニアガイド部材を備え、前記揺動機構を前記リニアガイド部材に取り付けて構成することができ、また前記弾性力付勢手段は、該揺動機構の両側にバネ部材を設けてスライド方向に負荷がかかっていない状態のときに前記揺動機構が一定位置に留まるように弾性力を付勢するように構成することができる。
またカッタの刃先を断面がV字形状に形成するようにすれば、カッタ面の左右どちら側からでも切断が可能になり、切断動作の自由度を増すことができる。
このように本発明のカッタ機構によれば、骨付き食肉の骨の表面に沿った切断、即ち骨の長手方向に対して直交する方向にカッタを当て骨の周回りにカッタを動かして骨の周囲に付着した肉、筋、腱等の生体組織を切断分離する場合のみならず、骨の表面に沿って長手方向にカッタを動かして該骨に付着した肉等の生体組織を切断分離する場合でも、カッタを骨に食い込ませることなく骨に沿って正確に動作できるので、該骨の表面に付着した肉を歩留まり良く切断することができる。
また、本発明の食肉切断装置は、
食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断する装置において、
上記の構成を有するカッタ機構と、
切断対象となる骨付き食肉の部位又は大きさ、形状を判別する手段と、
該骨付き食肉の部位又は大きさ、形状に応じてカッタの動きを予め設定した複数の切断動作プログラムと、
該複数の切断動作プログラムの中から該判別手段の判別結果に対応する切断動作プログラムを選出する手段とを備え、
該選出手段によって選出された切断動作プログラムに従って前記カッタ機構を駆動させるように構成したものである。
本発明の食肉切断装置においては、予め複数の切断動作プログラムを用意しておき、切断工程の前段に設けられた前記判別手段により切断対象となる骨付き食肉の部位又は大きさ、形状を判別し、該判別結果に対応した切断動作プログラムを選出し、この選出された切断動作プログラムに従ってカッタ機構の支持アームをカッタ駆動装置で駆動するようにしているため、切断対象となる骨付き食肉の実際の切断動作軌跡に近い切断動作プログラムでカッタを動かすことができる。
例えば家畜屠体のうで部位又はもも部位では、左うでか右うでか、左脚か右脚かを判別したり、あるいは該骨付き食肉の全長、特定骨間の距離(例えばうで部位であれば、足首部から大腿骨頭までの長さ)等を検知し、これらの判別結果及び検知結果に対応した切断動作プログラムを選出する。
しかし選出された切断動作プログラムと切断対象となる骨付き食肉とは該骨付き食肉の個体差による誤差が残る。そのため本発明では、前記揺動機構、スライド機構及び弾性力付勢手段によりその個体差を補うことができる。
例えば切断対象となる骨付き食肉が豚もも部位である場合は、前記判別手段が、脂肪面が常に同一方向を向くように足首部を把持して前記クランプ装置に懸垂した豚もも部位の下方から、前記豚もも部位の中心と同一線上に揺動中心点を持つプレートを上昇させ、該プレートが大腿骨頭に接触して傾斜した方向を検出して左脚又は右脚の別を判別する左右判別手段と、前記プレートの上昇量を検出して該上昇量から該豚もも部位の長さを演算するワーク長検出手段とからなり、前記構成の判別手段により左脚又は右脚の判別を行い、またワーク長を検出して、この判別結果に対応した切断動作プログラムを選出する。
従って左脚又は右脚の別、又はワーク長に拘らず複数の切断動作プログラムの中から切断対象となる骨付き食肉に最も近い切断動作プログラムを選出することができる。
また、豚もも部位の左脚又は右脚の別な判別手段として、脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位を左右両側から挟み込む位置に配置された二対の計測アームと、各計測アーム間の間隔を可変とし該豚もも部位を挟んだ位置で該計測アームを停止させる駆動装置と、停止した該左右二対の計測アーム間の間隔を検知しそれらの大小を比較して左脚又は右脚の別を判別する左右判別手段と、を備えるようにしてもよい。
豚もも部位は通常前処理として寛骨を除去される。寛骨を除去した後の豚もも部位は、左右で厚さが異なる。この構成の左右判別手段は、これを利用して左脚又は右脚の判別を行なう。かかる構成によれば、懸垂された豚もも部位を二対の計測アームで左右から挟むようにしているので、クランプ装置に懸垂された豚もも部位に多少の揺れがあっても、その揺れを抑えながら、確実に精度良く左脚又は右脚の判別を行なうことができる。しかも2対の計測アームを用意するだけでよいので、大掛かりな構成とならず、かつ複雑な制御装置を必要としない。
また、別な構成をもつワーク長検出手段を設けてもよい。このワーク長検出手段は、筋入れ手段のクランプ装置移動方向上流側に配置され、脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位の下方から、該クランプ装置と同一方向かつ同速度で移動しながら該豚もも部位に向かって前進かつ上昇可能に構成された台座と、該台座に回動可能に設けられ大腿骨頭に当って下方に回動する検知アームと、該台座に設けられ該検知アームの接近又は接触を検知するスイッチと、該検知アームの前方に位置して該台座に回動可能に設けられ、該台座が該豚もも部位に接近したときに最初に該豚もも部位下部に接触し、該検知アームと豚もも部位下部との間隔を保つとともに、豚もも部位からの反力により下方に回動する押し退けアームと、該スイッチが該検知アームの接近又は接触を検知したときの該台座の上昇量を検出して該上昇量から該豚もも部位の長さを演算するワーク長検出手段を設けたものである。
かかる構成では、前記押し退けアームを設けたことにより、検知アームを確実に大腿骨頭に接触させることができる。押し退けアームがない状態では、台座が豚もも部位側に接近かつ上昇した時、検知アームが大腿骨頭以外の部位に当り、該に引っかかって、大腿骨頭に確実に接触できない場合が起こり得る。前記構成では、台座が豚もも部位に接近かつ上昇した時、押し退けアームが検知アームの前方に位置しているので、先ず押し退けアームが豚もも部位下部のどこかの部分に当たる。そして、押し退けアームが豚もも部位を押し退けるので、検知アームと豚もも部位下部との間で一定の間隔を保つことができるため、検知アームが豚もも部位の下部に係止することがない。その後押し退けアームは豚もも部位からを押し退けながら台座の上昇に伴って豚もも部位からの反力を受けて下方に回動するため、検知アームが大腿骨頭に接近することができる。これによって、検知アームを確実に大腿骨頭に接触させることができる。
本発明のカッタ機構によれば、切断動作を行なうカッタと、 該カッタを取り付けた支持アームを駆動して該カッタに切断動作を行なわせるカッタ駆動手段と、該カッタを揺動支点を介して揺動可能に該支持アームに取り付けるとともに、該揺動支点を該カッタの進行方向に対して該カッタより先行する位置に設けた揺動機構と、該揺動支点を該カッタの進行方向に対し交差する方向に移動可能となるように該支持アームに取り付けたスライド機構と、該揺動支点が該スライド機構の一定位置に留まるように弾性力を付勢する手段と、を備え、前記カッタ駆動手段による切断動作軌跡と前記骨付き食肉の骨の表面形状との差を該スライド機構で補って該カッタを該骨の表面に沿わせるようにするとともに、該揺動機構により該カッタの切り込み角度を該カッタの進行方向に向くように構成したことにより、従来人手で行なっていた筋入れ工程を機械により自動化できるため、作業員の労働を軽減させ、切断作業の能率の向上させることができる。またこれによって切断工程を含む除骨作業の自動化率を高めて作業能率を向上させ、かつ切断対象となる骨付き食肉の個体差を補ってカッタの切断動作を正確に行なうことができるので、骨に残留する肉を低減し、歩留まりを向上することができる。
また本発明の食肉切断装置によれば、前記構成を有する本発明のカッタ機構と、該カッタ機構の前段に配設され切断対象となる骨付き食肉の部位又は大きさ、形状を判別する手段と、該骨付き食肉の部位又は大きさ、形状に応じてカッタの動きを予め設定した複数の切断動作プログラムと、該複数の切断動作プログラムの中から該判別手段の判別結果に対応する切断動作プログラムを選出する手段とを備え、該選出手段によって選出された切断動作プログラムに従って前記カッタ機構を駆動させるように構成したことにより、前記本発明のカッタ機構による作用効果に加え、切断対象となる骨付き食肉の部位又は大きさ、形状等の性状に合わせて該骨付き食肉に近い切断動作プログラムを選出することができるので、切断対象となる骨付き食肉の個体差を吸収することがさらに容易になり、更に正確な切断動作を行なうことができる。
本発明のカッタ機構の実施形態(第1実施形態)を示す立面図である。 前記第1実施形態を示す平面図である。 前記第1実施形態を示す側面図である。 前記第1実施形態に係るカッタ機構の動作説明図である。 本発明の切断装置を豚もも部位の除骨に適用した実施形態(第2実施形態)の判別手段を示す立面図である。 前記第2実施形態の切断工程を示す全体構成図である。 図6の平面図である。 前記第2実施形態の制御装置を示すブロック線図である。 前記第2実施形態の切断工程での切断位置を示し、(a)は豚もも部位の縦断面図、(b)は(a)中のA−A線に沿う下腿骨部の横断面図、(c)は(a)中のB−B線に沿う大腿骨部の横断面図である。 本発明の第3実施形態に係る左右判別装置110の立面視説明図である。 図10中のC−C線に沿う横断面図である。 前記第3実施形態の左右判別装置110の駆動装置の説明図である。 本発明の第4実施形態のワーク長検出手段130の立面図である。 前記第4実施形態のワーク長検出手段130の立面図である。 前記第4実施形態のワーク長検出手段130の立面図である。 前記第4実施形態のワーク長検出手段130の平面図である。 本発明の第5実施形態に係る背面サポート機構150の平面図である。 前記第5実施形態の背面サポート機構150の一部平面図である。 前記第5実施形態の背面サポート機構150の一部立面図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
第1実施形態のカッタ機構を示す図1〜3において、本実施形態のカッタ機構10は、6軸多関節ロボット11のロボットアーム12にカッタ15を装着し、該ロボット11の本体に設けられたカッタ駆動装置13によってカッタ15を動作させるようにしたものである。カッタ15は、該カッタ15と同一方向に配置された揺動軸14に一体に取り付けられ、該揺動軸14は基台16に正逆に(図3の矢印c方向に)回転可能に支持されている。またカッタ15の刃先15aの断面は鋭角なV字形をなし、カッタ15のどちら側の面からでも肉部の切断が可能になっている。
カッタ15は、ロボットアーム12の動きに追従して進行方向aに移動するが、揺動軸14を介してロボットアーム12に取り付けられ、かつ揺動軸14の位置は、カッタ15の進行方向aに対して先行した位置にある。
一方ロボットアーム12の先端部12aには、基台17がロボットアーム12によって動作されるカッタ15の進行方向(矢印a方向)に対して直交する方向に向けて取り付けられ、基台17にはリニアガイドレール17aが基台17の長手方向に沿って設けられている。また基台16は、リニアガイドレール17aに矢印d方向に摺動可能に嵌合している。
また基台16は、リニアガイドレール17aの上方にリニアガイドレール17aと同一方向に配設されたリニアガイド棒19に対しても摺動可能に嵌合され、基台16の両側でリニアガイド棒19の周囲にコイルバネ18,18が装着されて、基台16がリニアガイドレール17aの中央に位置されるように弾性力を付勢している。
かかる構成の第1実施形態において、カッタ駆動装置13には予め切断対象となる骨付き食肉に対応した切断動作プログラムが記憶され、該切断動作プログラムに従ってカッタ15の移動軌跡が決められる。
図4でカッタ15の切断動作を説明する。該切断動作プログラムは、カッタ15の初期位置が骨付き食肉Mの骨bの表面に当る位置に設定されているので、図4に示すように、まずカッタ15は骨bに当る位置まで挿入される。
このとき該切断動作プログラムによる初期位置と実際の骨bの位置とに個体差による誤差があると、カッタ15が骨の反力を受けて基台16がリニアガイドレール17a上で左右どちらかに摺動してその誤差を吸収する。
この位置から該切断動作プログラムに従ってロボットアーム12が骨bの表面に沿って矢印a方向に移動すると、カッタ15は揺動軸14を中心として角度c1だけ回転して骨bの表面に沿う方向(ロボットアーム12の進行方向a)に回転する。
このようにカッタ15は揺動軸14を中心に骨bの表面に沿う方向に回転するので、骨bに食い込むことなく、また骨bの表面から離れることなく、骨bの表面に沿って移動するため、骨bの周回りの切断動作のみならず、骨表面に沿った骨長手方向の筋入れをスムーズに行なうことができる。
このように本実施形態によれば、予めカッタ駆動装置13に記憶された切断動作プログラムに従って、先ずカッタ15の初期位置を骨付き食肉Mの肉部の骨bの表面に沿わせる位置とし、該切断動作プログラムと骨付き食肉Mの個体差に起因した誤差を、カッタ15の基台16をリニアガイドレール17a上を摺動させることによって吸収し、かつカッタ15をカッタ進行方向aに対して先行した位置にある揺動軸14に揺動可能に取り付けたことにより、カッタ進行方向aに従動回転させることができる。
このためカッタ15を骨bに食い込ませることなく、且つカッタ15が骨bの表面から離れることなく、骨bの表面に沿って移動するので、骨bの表面に沿って骨bの長手方向に向かう切断動作を円滑に行なうことができる。従って骨bと肉mとの境界を正確に移動できるため、骨bに付着した肉を歩留まり良く切断することができる。
このため従来機械による自動化が困難であり、人手で行なっていた骨の表面に沿う長手方向の筋入れが機械により自動化可能になるので、該筋入れ工程を伴う骨付き食肉の除骨作業を効率化でき、作業時間を短縮できるとともに、骨の表面に沿った正確な筋入れが可能になるので、歩留まりも向上させることができる。
(実施形態2)
次に本発明の切断装置を豚もも部位の除骨作業に適用した第2実施形態を図5〜9により説明する。図5は本実施形態の除骨対象となる豚もも部位(以下ワークという。)の左脚又は右脚の判別を行い、またワーク長を検知する判別工程を示す。ワーク1は、足首7側から下腿骨2、大腿骨3、及び大腿骨3のひざ関節部4付近の前側に位置するさら骨(膝蓋骨)5、及びこれらの骨を取り巻く肉部6とからなる。
該判別工程の前段階で、前処理工程として作業員による手作業で寛骨(不図示)が除去される。その後作業員が寛骨が除去されたワーク1の足首部7を、図7に示すように、クランパ31に右脚又は左脚の区別なくランダムに把持させ懸垂する。クランパ31は、図7に示すクランパ移動チェーン32に等間隔で取り付けられ水平方向(矢印f方向)に定速で移動し、移動しながらワーク1の自動化された除骨作業を行なう。このときワーク1は脂肪層側1aを背面側(カッタ機構10を設置した側と反対側)に向けて懸垂される。
図5に示す判別工程では、クランパ31で懸垂され移動してきたワーク1の下方には、判別装置20が設けられている。判別装置20は、クランパ31に脂肪層側(図6及び図7中の符号1a)を背面にして懸垂されたワーク1の大腿骨頭3aが、右脚の場合は右側に、左脚の場合は左側に位置することを利用して、右脚か左脚かの判別を行う。
判別装置20は、昇降台24と、昇降台24に揺動可能に取り付けられたセンシングプレート21と、該昇降台24を昇降可能にするエアシリンダ25とから構成されている。センシングプレート21の揺動中心点Pはワーク1の中心線Cと同一線上に配置されている。また昇降台24はエアシリンダ25のシリンダロッド26に昇降可能に取り付けられ、昇降台24の左側端部には左脚用近接センサ23が取り付けられ、昇降台24の右側端部には右脚用近接センサ22が取り付けられている。
かかる構成において、移動してきたワーク1に対して、エアシリンダ25によってセンシングプレート21を大腿骨頭3aの下方から矢印e方向に上昇させる。センシングプレート21が大腿骨頭3aに接触すると、接触した側が下方に傾斜する。近接センサ22又は23で下方に傾斜した側のセンシングプレート21を検出して、センシングプレート21の傾斜方向を検出する。その結果から右脚か左脚かの判別を行なう。
左右判別時に、センシングプレート21が大腿骨頭3aに接触した際の上昇量Aを測定し、クランパ31の下面から上昇前のセンシングプレート21の位置までの距離Bから上昇量Aを減算することにより、ワーク長さWを演算する。
前記判別工程後、ワーク1をクランパ31で懸垂し移動しながらワーク1の足首部7の周回りの全周カットを行ない、その後下腿骨2又は大腿骨3の表面に沿いこれら骨の長手方向に切断面を入れる筋入れを行なう。この筋入れ工程を図6〜9により説明する。
この筋入れ工程で使用するカッタ機構は、前記第1実施形態で使用された図1〜3に示すカッタ機構10と同一構造のものを用いる。図8はこのカッタ機構を制御する制御装置を示す。図8において、コントローラ100にはカッタ15の動作軌跡を決める複数の切断動作プログラム102が記憶されている。
切断動作プログラム102は、右脚又は左脚の別、及びワーク1の長さの大、中、小の別により6種類のプログラムを用意してあり、使用プログラム選別手段103では、前記判別工程での左右判別結果を左右脚判別手段101から入力するとともに、検出手段27で検出したセンシングプレート21の上昇量から演算手段104で演算したワーク長さを入力し、これらの判別結果から一番適合した切断動作プログラムを筋入れ前に選定する。この選定された切断動作プログラムによってカッタ駆動装置13を駆動し、ロボットアーム12の先端部12aを該選定された切断動作プログラムに従って動作させる。
しかし該切断動作プログラムに従った切断動作軌跡だけでは切断対象となるワーク1の個体差に起因した誤差を解消できないので、前記第1実施形態で説明した機構により該誤差を解消した切断動作軌跡とすることができる。
図6及び図7に示すように、筋入れ工程では、ワーク1を矢印f方向にクランパ31で定速で搬送しながらワーク1の揺動を固定手段で防止している。クランパ31はクランパ移動チェーン32に等間隔で取り付けられ、定速で移動する。該固定手段は、ワーク1の背面側からさら骨6付近の脂面1aを押える背面サポート33と、寛骨を除去した部分を前面側から押えるガイドバー35とで構成される。
ガイドバー35は、図7に示すように、ワーク1の搬送路を形成する移動チェーン32の配設路に沿った方向に位置固定されている。背面サポート33は、ワーク1の移動速度と等速で移動する移動チェーン34に取り付けられ、両端部の面33aが前面側に傾斜した八の字形状をしており、脂面1a側のサポート機能と、奥行き方向の基準面を決定する機能と、ワーク進行方向に対する押え機能を合わせもっている。
このように筋入れ工程では、ワーク1をクランパ31と、背面サポート33と、ガイドバー35とにより、ワーク1の上部、中央部及び下部で3点支持するより、ワーク1を揺動させることなく移動でき、ワーク1の正確な位置に筋入れを行なうことができる。この筋入れ工程を経た後、下腿骨2及び大腿骨3からの肉部の引き剥し工程を経てワーク1の骨と肉が分離される。
なお図9は、4箇所の筋入れライン56〜59を行なった下腿骨部及び大腿骨部の横断面を示す。下腿骨2(脛骨2aと腓骨2bとからなる。)の周囲はちまき51とすね肉52で囲まれ、大腿骨3の周囲はしんたま53、うちもも54及びそともも55で囲まれている。まず筋入れライン56は、ひざ関節4の上部から入り、カッタ先端は大腿骨3の表面に達して該表面を沿うようにし、カッタの中間部はうちもも54としんたま53の間の膜に沿い、大腿骨3の下端まで切断するラインである。
筋入れライン57は、下腿骨2の上部からひざ関節4の下側までの筋入れである。筋入れライン58は、下腿骨2の上部から入りちまき51に入り、カッタ先端がさら骨5の側面を通り、ひざ関節4の下側まで達するものである。また筋入れライン59は、さら骨5の側面を丸刃カッタで縦方向にカットするものである。なお図9の(b)と(c)で筋入れライン58が約90度ずれているが、これは下腿骨2から大腿骨3に向けて骨がねじれているためであり、筋入れライン58も骨に沿うため、ねじれたラインとなる。
このように下腿骨2の上部からひざ関節4の下側まで下腿骨2の表面に沿った筋入れ57及び58と、下腿骨2の上部からひざ関節4を経てしんたま53とうちもも54の境界をなす膜部を切断した筋入れ56を行なうことにより、後工程で下腿骨2及び大腿骨3からの肉の引き剥しを容易にすることができる。
第2実施形態によれば、左脚又は右脚の別およびワーク長の大、中、小に応じて用意された6種類の切断動作プログラムの中から、判別装置20で判別した左脚又は右脚の判別結果及びワーク長の検知結果に対応した切断動作プログラムを選定し、該選定された切断動作プログラムを使用して豚もも部位1の筋入れを行い、またカッタ機構10の揺動機構及びスライド機構により該選定された切断動作プログラムと切断対象となる豚もも部位1との個体差に基づく誤差を解消しているので、従来人手で行なっていた骨表面に沿って該骨の長手方向に切断する筋入れ作業を多軸多関節ロボットを用いて自動化でき、これによって作業時間を短縮して作業効率を向上できるとともに、骨の表面に沿って骨の長手方向に切断する難しい切断も正確に行なえるので、肉の歩留まりも向上させることができる。
(実施形態3)
次に第3実施形態として、豚もも部位の左脚又は右脚の別な構成の判別手段を図10〜図12に基づいて説明する。図10は豚もも部位1の縦断面図、図11は図10中のC−C線に沿う横断面、図12は、計測アーム111(112)の駆動装置である。
図10及び図11において、寛骨が除去された豚もも部位(ワーク)1に対して、左右からそれぞれ一対ずつの計測アーム111及び112がワーク1を挟む位置に接近してくる。そして、一対の計測アーム111又は112は互いに接近し、ワーク1を挟んだ位置で停止する。図12で計測アーム111又は112の駆動機構を説明する。図12において、計測アーム111(又は112)にはそれぞれ直角方向にラック113及び114が接続されている。そして、ラック113及び114はピニオン115に螺合している。
計測アーム111(又は112)の一方にはエアシリンダ116のピストン116aに接続されたピストンロッド117が取り付けられ、エアシリンダ116の駆動によって計測アーム111(又は112)間の間隔α(又はβ)が調整されるようになっている。ピニオン115にはエンコーダ118が取り付けられ、エンコーダ118の回転角又は回転数を左右判別手段119で検知することにより、間隔α(又はβ)を検知する。エアシリンダ116は圧縮性流体である空気で駆動されるので、計測アーム111(又は112)がワーク1を挟み、ワーク1から一定の反力を受けた時点で、計測アーム111(又は112)は自動的に停止する。
そして、間隔α及びβを比較し、例えば、α>βであるときは、ワーク1が右脚であり、α<βであるときは左脚であると判定する。かかる構成の左右判別装置110によれば、ワーク1が左右判別装置110の前面にタクト送りされ、左右判別装置110の前面で静止した状態で計測アーム111及び112で両側から挟まれ、完全に固定された状態で計測されるので、確実かつ正確な左脚又は右脚の判別が可能になる。また、装置構成も計測アームなど簡単な構成で済む。
(実施形態4)
次に第4実施形態として、豚もも部位の別な構成のワーク長検出手段130を図13〜図16に基づいて説明する。図13〜16において、台座131に設けられたブラケット133に回動可能に検知アーム132が設けられている。検知アーム132の先端部下方の台座131には近接スイッチ又はリミットスイッチ134(以下「スイッチ134」という。)が設けられ、検知アーム132がスイッチ134に接近又は接触したとき、それをスイッチ134が検知した時の台座131の上昇量を計測可能に構成されている。
また、台座131に立設された支柱135に支軸136が架設され、支軸136に押し退けアーム137が取り付けられ、押し退けアーム137の先端に水平方向に丸棒138が架設されている。押し退けアーム137の他端にはカウンタウエイト139が取り付けられている。なお、検知アーム132の下面には離隔バネ140が設けられ、離隔バネ140のバネ力により検知アーム132に他の力が加わらないときは、検知アーム132の先端はスイッチ134から離れた上向き位置に保持される。図16に示すように、押し退けアーム137の丸棒138は長いので、押し退けアーム137は台座131の下方に回動することができる。
ワーク1は、寛骨4が除去されているため、下部が深くえぐれて大腿骨頭3aが露出している。また大腿骨頭3aとワーク1の下端部1bとはそれほど離れておらず、押し退けアーム137がない場合、検知アーム132がワーク1に接近すると、下端部1bに引っかかりやすい。ワーク長検出手段130では、台座131が先ず矢印u方向に所定位置まで前進した後、矢印v方向に上昇する。図14に示すように、台座131がワーク1に向かって前進かつ上昇すると、押し退けアーム137の先端に取り付けられた丸棒138がワーク1の下部に当り、ワーク1を押し退けるため、検知アーム132がワーク1の下部に当ることはない。そして、丸棒自身もワーク1からの反力を受けて下方に回動する。そして図15に示す状態となり、台座131の上昇により、検知アーム132が大腿骨頭3aに当る。
検知アーム132が大腿骨頭3aに当ることによって、検知アーム132が下方に回動し、スイッチ134に近接又は接触する。これをスイッチ134が検知して、このときの台座131の上昇量を計測することにより、図5に示す前記第2実施形態と同様の演算をして、ワーク長Wを算出する。
かかるワーク長検出手段130によれば、押し退けアーム137がまず豚もも部位1に当って豚もも部位1を押し退けた後、検知アーム132がワーク1に接触するので、検知アーム132がワーク1の下部等に引っかかることなく、確実に大腿骨頭3aに接触することができる。従って、ワーク長Wを確実且つ精度良く検出することができる。
(実施形態5)
次に第5実施形態として、筋入れ工程時のワーク1のサポート機構において、図6及び図7に示すサポート機構とは別のサポート機構を図17〜19に基づいて説明する。本実施形態のサポート機構は、ワーク1を背面(脂肪層1a側)から支持する背面サポート機構150が設けられている。図18及び図19に示すように、背面サポート機構150は、ワーク1に向かって斜めに配置された基部151と基部151から両側に斜め前方に八の字状に延びる腕152と、基部151を支持する支軸153とで構成されている。かかる構成の背面サポート機構150によってワーク1を斜めに傾斜させて支持することにより、ワーク1の重量が腕152に付加されるので、ワーク1に多関節ロボットアーム11による筋入れ時の負荷が加わってもワーク1を静止させることができる。また、ワーク1を斜めに傾斜させることにより、ロボットアーム12の筋入れ作業をやりやすくしている。
なお、本実施形態では、前記第2実施形態(図6及び図7参照)で、正面側に配置されているガイドバー35を用いていない。即ち、背面サポート機構150によってワーク1を斜めに支持しているので、該ガイドバー35を用いなくても筋入れ時のワーク1の固定を可能とする。逆に、該ガイドバー35を設けないため、ワーク長の異なるワーク1にも対応が可能である。
次に、背面サポート機構150の駆動機構を説明する。図17において、背面サポート150は、その基部151が支軸153を介してブロック154に取り付けられている。
ブロック154はタイミングベルト157に結合している。そして、サーボモータ158でタイミングベルト157を駆動(回転)させることで、ブロック154はクランパと同期して搬送方向aに動く。
また、ブロック154は搬送方向aと平行に設置した直動(LM)ガイド155にも摺動可能に嵌合されており、ロボットアームからの負荷に対してガタつくことなくスムーズに動作させることができる。筋入れ工程時には背面サポート機構150はクランパ31と同期してクランパ31と同一速度で搬送方向に移動し、クランパ31に懸垂されたワーク1を背面から支持している。筋入れ工程の終点位置で、ブロック154に取り付けられたエアシリンダ156が作動して背面サポート機構150が搬送路32から離れる。クランパ31の搬送路から後退する。そして、該サーボモータの作動によりワーク1の搬送方向と反対方向に向い、始点位置に戻る。そして、始点位置でエアシリンダ156の作動により、再びクランパ31の搬送路まで前進し、クランパ31と同期して次のワーク1を背面から支持する。なお、筋入れ工程が複数あり、複数のロボットアームが並置される場合、各筋入れ工程で背面サポート機構150は別々に設けられる。
かかる構成の背面サポート機構150によれば、サーボモータにより駆動されるため、速度制御が可能になり、クランパ31の任意の搬送速度に対応できる。また、前記第2実施形態の背面サポート33のチェーン駆動式のように広い設置スペースを必要としない利点がある。また、背面サポート機構150が始点位置に戻るときは、無負荷状態であるので、搬送速度の2〜3倍の速度で戻すことができる。このため、ワーク1の搬送速度の高速化に対応できる。
本発明によれば、食肉用家畜屠体の骨付き食肉の筋入れ工程等骨と肉とを切断する作業、特に骨に沿って骨の長手方向に切断する作業を機械で自動化可能とし、これによって骨付き食肉の除骨作業の能率を大幅に改善でき、かつ作業員の労働を軽減できるようにしたものである。

Claims (7)

  1. 食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断するカッタ機構において、
    切断動作を行なうカッタと、
    該カッタを取り付けた支持アームを駆動して該カッタに切断動作を行なわせるカッタ駆動手段と、
    該カッタの進行方向に対し交差する方向に移動可能となるように該支持アームに取り付けたスライド機構と、
    前記スライド機構のスライド方向の垂直面に設けた揺動軸に対して該カッタを揺動可能に支持し、該揺動軸を該カッタの進行方向に対して該カッタより先行する位置に設けた揺動機構と、
    前記揺動機構に対してスライド方向に負荷がかかっていない状態において前記揺動機構が一定位置に留まるように弾性力を付勢する手段と、を備え、
    前記カッタ駆動手段による切断動作軌跡と前記骨付き食肉の骨の表面形状との差を該スライド機構で補って該カッタを該骨の表面に沿わせるようにするとともに、該揺動機構により該カッタの切り込み角度を該カッタの進行方向に向くように構成したことを特徴とするカッタ機構。
  2. 前記スライド機構は、前記支持アームに前記カッタの進行方向と交差する方向に向けて取り付けたリニアガイド部材を備え、前記揺動機構は前記リニアガイド部材に取り付けられ、
    前記弾性力付勢手段は、該揺動機構の両側にバネ部材を設けてスライド方向に負荷がかかっていない状態のときに前記揺動機構が一定位置に留まるように弾性力を付勢することを特徴とする請求項1記載のカッタ機構。
  3. 前記カッタの刃先を断面がV字形状に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のカッタ機構。
  4. 食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断する装置において、
    請求項1の構成を有するカッタ機構と、
    該カッタ機構の前段に配設され切断対象となる骨付き食肉の部位又は大きさ、形状を判別する手段と、
    該骨付き食肉の部位又は大きさ、形状に応じてカッタの動きを予め設定した複数の切断動作プログラムと、
    該複数の切断動作プログラムの中から該判別手段の判別結果に対応する切断動作プログラムを選出する手段とを備え、
    該選出手段によって選出された切断動作プログラムに従って前記カッタ機構を駆動させるように構成したことを特徴とする食肉切断装置。
  5. 前記骨付き食肉が豚もも部位であり、
    前記判別手段が、
    脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位の下方から、豚もも部位の中心と同一線上に揺動中心点を持つプレートを上昇させ、該プレートが大腿骨頭に接触して傾斜した方向を検出して左脚又は右脚の別を判別する左右判別手段と、
    該プレートの上昇量を検出して該上昇量から該豚もも部位の長さを演算するワーク長検出手段と、を備えたことを特徴とする請求項4記載の食肉切断装置。
  6. 前記骨付き食肉が豚もも部位であり、
    前記判別手段が、
    脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位を左右両側から挟み込む位置に配置された二対の計測アームと、
    各計測アーム間の間隔を可変とし該豚もも部位を挟んだ位置で該計測アームを停止させる駆動装置と、
    停止した該左右二対の計測アーム間の間隔を検知しそれらの大小を比較して左脚又は右脚の別を判別する左右判別手段と、を備えたことを特徴とする請求項4に記載の食肉切断装置
  7. 前記骨付き食肉が豚もも部位であり、
    前記判別手段が、
    脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位の下方から、該クランプ装置と同一方向かつ同速度で移動しながら該豚もも部位に向かって前進かつ上昇可能に構成された台座と、
    該台座に回動可能に設けられ大腿骨頭に当って下方に回動する検知アームと、
    該台座に設けられ該検知アームの接近又は接触を検知するスイッチと、
    該検知アームの前方に位置して該台座に回動可能に設けられ、該台座が該豚もも部位に接近したときに最初に該豚もも部位下部に接触し、該検知アームと豚もも部位下部との間隔を保つとともに、豚もも部位からの反力により下方に回動する押し退けアームと、を備え、
    該スイッチが該検知アームの接近又は接触を検知したときの該台座の上昇量を検出して該上昇量から該豚もも部位の長さを演算するワーク長検出手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の食肉切断装置
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