JP4899173B2 - カッタ機構及び食肉切断装置 - Google Patents
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Description
この除骨装置は、ワークの足首部を搬送チェーンに取り付けられて移動するクランパで懸垂して搬送しながら前処理工程、下腿骨除骨工程及び大腿骨除骨工程を行なうようにしたものである。即ちすべての処理工程でワークを宙吊りに懸垂した状態で行ない、ワークの自重の影響を最小限に抑えるようにし、かつまな板上での作業を排除してまな板からの細菌類の付着を防止した衛生的な除骨作業を行なえるようにするとともに、人手による作業を最初の前処理工程のみとし、作業の能率化と労働の低減を図ったものである。
この発明は、カッタ及びに併設され該カッタから一定量だけ該カッタに先行して配置されたカッタガイドを骨付き食肉側に移動させて該カッタガイドの端部と骨の表面との接触を検知し、この検知信号に基づきカッタの刃先部を骨の表面近傍で移動させて肉を骨から分離、切断するように構成したものである。
このような事情から骨付き食肉の骨の表面に沿って筋入れを行なう作業は機械により自動化することができず、人手により行なわざるを得なかった。
食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断するカッタ機構において、
切断動作を行なうカッタと、
該カッタを取り付けた支持アームを駆動して該カッタに切断動作を行なわせるカッタ駆動手段と、
該カッタの進行方向に対し交差する方向に移動可能となるように該支持アームに取り付けたスライド機構と、
前記スライド機構のスライド方向の垂直面に設けた揺動軸に対して該カッタを揺動可能に支持し、該揺動軸を該カッタの進行方向に対して該カッタより先行する位置に設けた揺動機構と、
前記揺動機構に対してスライド方向に負荷がかかっていない状態において前記揺動機構が一定位置に留まるように弾性力を付勢する手段と、を備え、
前記カッタ駆動手段による切断動作軌跡と前記骨付き食肉の骨の表面形状との差を該スライド機構で補って該カッタを該骨の表面に沿わせるようにするとともに、該揺動機構により該カッタの切り込み角度を該カッタの進行方向に向くように構成したものである。
しかし骨付き食肉を除骨するための切断工程においては、該骨付き食肉に個体差が存在するため、前述のように予め設定された切断動作軌跡では個体差に起因した該カッタの切断動作軌跡の誤差を解消することができない。
このときの該切断動作プログラムによるカッタの初期位置と実際の切断対象となる骨付き食肉の骨表面の位置との誤差は前記スライド機構及び弾性力付勢手段によりカッタの前記揺動支点をカッタ進行方向と交差する方向にスライドさせることにより吸収する。その後該誤差を該スライド機構によって吸収しながらカッタを該骨付き食肉の骨の表面に沿って該骨の周方向又は長手方向に沿って移動させることにより、該骨の表面に付着した肉を切断する。
このように支持アームが切断動作プログラムに従う動きをすると、カッタは前記スライド機構、弾性力付勢手段及び揺動機構により、切断対象となる骨付き食肉の個体差を補いながら、骨付き食肉の骨表面に沿う切り込み角度で該骨表面に沿う動きをすることができる。
またカッタの刃先を断面がV字形状に形成するようにすれば、カッタ面の左右どちら側からでも切断が可能になり、切断動作の自由度を増すことができる。
食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断する装置において、
上記の構成を有するカッタ機構と、
切断対象となる骨付き食肉の部位又は大きさ、形状を判別する手段と、
該骨付き食肉の部位又は大きさ、形状に応じてカッタの動きを予め設定した複数の切断動作プログラムと、
該複数の切断動作プログラムの中から該判別手段の判別結果に対応する切断動作プログラムを選出する手段とを備え、
該選出手段によって選出された切断動作プログラムに従って前記カッタ機構を駆動させるように構成したものである。
例えば家畜屠体のうで部位又はもも部位では、左うでか右うでか、左脚か右脚かを判別したり、あるいは該骨付き食肉の全長、特定骨間の距離(例えばうで部位であれば、足首部から大腿骨頭までの長さ)等を検知し、これらの判別結果及び検知結果に対応した切断動作プログラムを選出する。
例えば切断対象となる骨付き食肉が豚もも部位である場合は、前記判別手段が、脂肪面が常に同一方向を向くように足首部を把持して前記クランプ装置に懸垂した豚もも部位の下方から、前記豚もも部位の中心と同一線上に揺動中心点を持つプレートを上昇させ、該プレートが大腿骨頭に接触して傾斜した方向を検出して左脚又は右脚の別を判別する左右判別手段と、前記プレートの上昇量を検出して該上昇量から該豚もも部位の長さを演算するワーク長検出手段とからなり、前記構成の判別手段により左脚又は右脚の判別を行い、またワーク長を検出して、この判別結果に対応した切断動作プログラムを選出する。
従って左脚又は右脚の別、又はワーク長に拘らず複数の切断動作プログラムの中から切断対象となる骨付き食肉に最も近い切断動作プログラムを選出することができる。
第1実施形態のカッタ機構を示す図1〜3において、本実施形態のカッタ機構10は、6軸多関節ロボット11のロボットアーム12にカッタ15を装着し、該ロボット11の本体に設けられたカッタ駆動装置13によってカッタ15を動作させるようにしたものである。カッタ15は、該カッタ15と同一方向に配置された揺動軸14に一体に取り付けられ、該揺動軸14は基台16に正逆に(図3の矢印c方向に)回転可能に支持されている。またカッタ15の刃先15aの断面は鋭角なV字形をなし、カッタ15のどちら側の面からでも肉部の切断が可能になっている。
一方ロボットアーム12の先端部12aには、基台17がロボットアーム12によって動作されるカッタ15の進行方向(矢印a方向)に対して直交する方向に向けて取り付けられ、基台17にはリニアガイドレール17aが基台17の長手方向に沿って設けられている。また基台16は、リニアガイドレール17aに矢印d方向に摺動可能に嵌合している。
図4でカッタ15の切断動作を説明する。該切断動作プログラムは、カッタ15の初期位置が骨付き食肉Mの骨bの表面に当る位置に設定されているので、図4に示すように、まずカッタ15は骨bに当る位置まで挿入される。
この位置から該切断動作プログラムに従ってロボットアーム12が骨bの表面に沿って矢印a方向に移動すると、カッタ15は揺動軸14を中心として角度c1だけ回転して骨bの表面に沿う方向(ロボットアーム12の進行方向a)に回転する。
このようにカッタ15は揺動軸14を中心に骨bの表面に沿う方向に回転するので、骨bに食い込むことなく、また骨bの表面から離れることなく、骨bの表面に沿って移動するため、骨bの周回りの切断動作のみならず、骨表面に沿った骨長手方向の筋入れをスムーズに行なうことができる。
このため従来機械による自動化が困難であり、人手で行なっていた骨の表面に沿う長手方向の筋入れが機械により自動化可能になるので、該筋入れ工程を伴う骨付き食肉の除骨作業を効率化でき、作業時間を短縮できるとともに、骨の表面に沿った正確な筋入れが可能になるので、歩留まりも向上させることができる。
次に本発明の切断装置を豚もも部位の除骨作業に適用した第2実施形態を図5〜9により説明する。図5は本実施形態の除骨対象となる豚もも部位(以下ワークという。)の左脚又は右脚の判別を行い、またワーク長を検知する判別工程を示す。ワーク1は、足首7側から下腿骨2、大腿骨3、及び大腿骨3のひざ関節部4付近の前側に位置するさら骨(膝蓋骨)5、及びこれらの骨を取り巻く肉部6とからなる。
判別装置20は、昇降台24と、昇降台24に揺動可能に取り付けられたセンシングプレート21と、該昇降台24を昇降可能にするエアシリンダ25とから構成されている。センシングプレート21の揺動中心点Pはワーク1の中心線Cと同一線上に配置されている。また昇降台24はエアシリンダ25のシリンダロッド26に昇降可能に取り付けられ、昇降台24の左側端部には左脚用近接センサ23が取り付けられ、昇降台24の右側端部には右脚用近接センサ22が取り付けられている。
左右判別時に、センシングプレート21が大腿骨頭3aに接触した際の上昇量Aを測定し、クランパ31の下面から上昇前のセンシングプレート21の位置までの距離Bから上昇量Aを減算することにより、ワーク長さWを演算する。
この筋入れ工程で使用するカッタ機構は、前記第1実施形態で使用された図1〜3に示すカッタ機構10と同一構造のものを用いる。図8はこのカッタ機構を制御する制御装置を示す。図8において、コントローラ100にはカッタ15の動作軌跡を決める複数の切断動作プログラム102が記憶されている。
しかし該切断動作プログラムに従った切断動作軌跡だけでは切断対象となるワーク1の個体差に起因した誤差を解消できないので、前記第1実施形態で説明した機構により該誤差を解消した切断動作軌跡とすることができる。
このように下腿骨2の上部からひざ関節4の下側まで下腿骨2の表面に沿った筋入れ57及び58と、下腿骨2の上部からひざ関節4を経てしんたま53とうちもも54の境界をなす膜部を切断した筋入れ56を行なうことにより、後工程で下腿骨2及び大腿骨3からの肉の引き剥しを容易にすることができる。
次に第3実施形態として、豚もも部位の左脚又は右脚の別な構成の判別手段を図10〜図12に基づいて説明する。図10は豚もも部位1の縦断面図、図11は図10中のC−C線に沿う横断面、図12は、計測アーム111(112)の駆動装置である。
図10及び図11において、寛骨が除去された豚もも部位(ワーク)1に対して、左右からそれぞれ一対ずつの計測アーム111及び112がワーク1を挟む位置に接近してくる。そして、一対の計測アーム111又は112は互いに接近し、ワーク1を挟んだ位置で停止する。図12で計測アーム111又は112の駆動機構を説明する。図12において、計測アーム111(又は112)にはそれぞれ直角方向にラック113及び114が接続されている。そして、ラック113及び114はピニオン115に螺合している。
次に第4実施形態として、豚もも部位の別な構成のワーク長検出手段130を図13〜図16に基づいて説明する。図13〜16において、台座131に設けられたブラケット133に回動可能に検知アーム132が設けられている。検知アーム132の先端部下方の台座131には近接スイッチ又はリミットスイッチ134(以下「スイッチ134」という。)が設けられ、検知アーム132がスイッチ134に接近又は接触したとき、それをスイッチ134が検知した時の台座131の上昇量を計測可能に構成されている。
検知アーム132が大腿骨頭3aに当ることによって、検知アーム132が下方に回動し、スイッチ134に近接又は接触する。これをスイッチ134が検知して、このときの台座131の上昇量を計測することにより、図5に示す前記第2実施形態と同様の演算をして、ワーク長Wを算出する。
次に第5実施形態として、筋入れ工程時のワーク1のサポート機構において、図6及び図7に示すサポート機構とは別のサポート機構を図17〜19に基づいて説明する。本実施形態のサポート機構は、ワーク1を背面(脂肪層1a側)から支持する背面サポート機構150が設けられている。図18及び図19に示すように、背面サポート機構150は、ワーク1に向かって斜めに配置された基部151と基部151から両側に斜め前方に八の字状に延びる腕152と、基部151を支持する支軸153とで構成されている。かかる構成の背面サポート機構150によってワーク1を斜めに傾斜させて支持することにより、ワーク1の重量が腕152に付加されるので、ワーク1に多関節ロボットアーム11による筋入れ時の負荷が加わってもワーク1を静止させることができる。また、ワーク1を斜めに傾斜させることにより、ロボットアーム12の筋入れ作業をやりやすくしている。
ブロック154はタイミングベルト157に結合している。そして、サーボモータ158でタイミングベルト157を駆動(回転)させることで、ブロック154はクランパと同期して搬送方向aに動く。
また、ブロック154は搬送方向aと平行に設置した直動(LM)ガイド155にも摺動可能に嵌合されており、ロボットアームからの負荷に対してガタつくことなくスムーズに動作させることができる。筋入れ工程時には背面サポート機構150はクランパ31と同期してクランパ31と同一速度で搬送方向に移動し、クランパ31に懸垂されたワーク1を背面から支持している。筋入れ工程の終点位置で、ブロック154に取り付けられたエアシリンダ156が作動して背面サポート機構150が搬送路32から離れる。クランパ31の搬送路から後退する。そして、該サーボモータの作動によりワーク1の搬送方向と反対方向に向い、始点位置に戻る。そして、始点位置でエアシリンダ156の作動により、再びクランパ31の搬送路まで前進し、クランパ31と同期して次のワーク1を背面から支持する。なお、筋入れ工程が複数あり、複数のロボットアームが並置される場合、各筋入れ工程で背面サポート機構150は別々に設けられる。
Claims (7)
- 食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断するカッタ機構において、
切断動作を行なうカッタと、
該カッタを取り付けた支持アームを駆動して該カッタに切断動作を行なわせるカッタ駆動手段と、
該カッタの進行方向に対し交差する方向に移動可能となるように該支持アームに取り付けたスライド機構と、
前記スライド機構のスライド方向の垂直面に設けた揺動軸に対して該カッタを揺動可能に支持し、該揺動軸を該カッタの進行方向に対して該カッタより先行する位置に設けた揺動機構と、
前記揺動機構に対してスライド方向に負荷がかかっていない状態において前記揺動機構が一定位置に留まるように弾性力を付勢する手段と、を備え、
前記カッタ駆動手段による切断動作軌跡と前記骨付き食肉の骨の表面形状との差を該スライド機構で補って該カッタを該骨の表面に沿わせるようにするとともに、該揺動機構により該カッタの切り込み角度を該カッタの進行方向に向くように構成したことを特徴とするカッタ機構。 - 前記スライド機構は、前記支持アームに前記カッタの進行方向と交差する方向に向けて取り付けたリニアガイド部材を備え、前記揺動機構は前記リニアガイド部材に取り付けられ、
前記弾性力付勢手段は、該揺動機構の両側にバネ部材を設けてスライド方向に負荷がかかっていない状態のときに前記揺動機構が一定位置に留まるように弾性力を付勢することを特徴とする請求項1記載のカッタ機構。 - 前記カッタの刃先を断面がV字形状に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のカッタ機構。
- 食肉用家畜屠体の骨付き食肉を骨の表面に沿って切断する装置において、
請求項1の構成を有するカッタ機構と、
該カッタ機構の前段に配設され切断対象となる骨付き食肉の部位又は大きさ、形状を判別する手段と、
該骨付き食肉の部位又は大きさ、形状に応じてカッタの動きを予め設定した複数の切断動作プログラムと、
該複数の切断動作プログラムの中から該判別手段の判別結果に対応する切断動作プログラムを選出する手段とを備え、
該選出手段によって選出された切断動作プログラムに従って前記カッタ機構を駆動させるように構成したことを特徴とする食肉切断装置。 - 前記骨付き食肉が豚もも部位であり、
前記判別手段が、
脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位の下方から、豚もも部位の中心と同一線上に揺動中心点を持つプレートを上昇させ、該プレートが大腿骨頭に接触して傾斜した方向を検出して左脚又は右脚の別を判別する左右判別手段と、
該プレートの上昇量を検出して該上昇量から該豚もも部位の長さを演算するワーク長検出手段と、を備えたことを特徴とする請求項4記載の食肉切断装置。 - 前記骨付き食肉が豚もも部位であり、
前記判別手段が、
脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位を左右両側から挟み込む位置に配置された二対の計測アームと、
各計測アーム間の間隔を可変とし該豚もも部位を挟んだ位置で該計測アームを停止させる駆動装置と、
停止した該左右二対の計測アーム間の間隔を検知しそれらの大小を比較して左脚又は右脚の別を判別する左右判別手段と、を備えたことを特徴とする請求項4に記載の食肉切断装置。 - 前記骨付き食肉が豚もも部位であり、
前記判別手段が、
脂肪面が常に同一方向を向くように足首部をクランプ装置に懸垂された豚もも部位の下方から、該クランプ装置と同一方向かつ同速度で移動しながら該豚もも部位に向かって前進かつ上昇可能に構成された台座と、
該台座に回動可能に設けられ大腿骨頭に当って下方に回動する検知アームと、
該台座に設けられ該検知アームの接近又は接触を検知するスイッチと、
該検知アームの前方に位置して該台座に回動可能に設けられ、該台座が該豚もも部位に接近したときに最初に該豚もも部位下部に接触し、該検知アームと豚もも部位下部との間隔を保つとともに、豚もも部位からの反力により下方に回動する押し退けアームと、を備え、
該スイッチが該検知アームの接近又は接触を検知したときの該台座の上昇量を検出して該上昇量から該豚もも部位の長さを演算するワーク長検出手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の食肉切断装置。
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