JP4898568B2 - 触媒層および膜−電極接合体 - Google Patents

触媒層および膜−電極接合体 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池を構成するための電極を兼ねる触媒層と、これを備えた膜−電極接合体に関する。
燃料電池は、燃料として水素、メタノール、化石燃料からの改質水素等の還元剤を用い、空気や酸素を酸化剤として、電池内で燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものである。そのため、内燃機関に比較して効率が高く、静粛性に優れると共に、大気汚染の原因となるNOx、SOx、粒子状物質(PM)等の排出量が少ないことから、近年、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。例えば、自動車用エンジンの代替、住宅用等の分散型電源や熱電供給システムとしての利用が期待されている。
このような燃料電池は、用いる電解質の種類によって、アルカリ形、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、固体高分子形等に分類される。これらのうちプロトン伝導性の電解質を用いるリン酸形および固体高分子形は、熱力学におけるカルノーサイクルの制限を受けることなく高い効率で運転できるものであり、その理論効率は、25(℃)において83(%)にも達する。特に、固体高分子形燃料電池は、近年電解質膜や触媒技術の発展により性能の向上が著しくなり、低公害自動車用電源や高効率発電方法として注目を集めている。
ところで、固体高分子形燃料電池は、板状や円筒状等の高分子電解質層の両面に一対の触媒層を介してガス拡散電極を設けた構造を備えるものであり、通常は、このような膜−電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEA)をセパレータを介して積層したスタック構造で用いられる。上記ガス拡散電極は、触媒層および電解質層表面に燃料ガスや空気を導くと共に、発生した電流を取り出すために、高いガス拡散性能と高い導電性とが共に要求される。従来、このようなガス拡散電極としては、炭素繊維紙(すなわちカーボンペーパー)と称されるものが一般的に用いられている。炭素繊維紙は、カーボンファイバーにポリビニルアルコールやセルロース等をバインダーとして加えて抄紙し、これにフェノール樹脂を含浸させて硬化させた後、窒素雰囲気中において2000(℃)前後の温度で焼成処理を施して樹脂を炭化させたものである。
また、これに代えて炭素繊維を織った炭素繊維織物(すなわちカーボンクロス;例えば特許文献1を参照。)、カーボンナノファイバーやカーボンナノホーンを含む不織布(例えば特許文献2を参照。)、或いは導電性物質を含浸した不織布(例えば特許文献3を参照。)等を用いることも提案されている。上記カーボンナノファイバーやカーボンナノホーンを含む不織布は、カーボンナノファイバーやカーボンナノホーンと有機高分子等を混合し、乾燥および抄紙して作製するものである。また、上記導電性物質を含浸した不織布等は、例えば、カーボンファイバーを含む不織布にカーボンや高導電性の金属を含浸させたものである。
特開平07−105957号公報 特開2005−149745号公報 特表2000−513480号公報 特開2003−323897号公報 特表2006−512724号公報
しかしながら、前記炭素繊維紙は、2000(℃)もの高温の窒素雰囲気中で焼成する必要があることから製造コストが著しく高く、また、全体が炭素で構成されることから硬く且つ脆いため取扱い性が悪い問題があった。前記炭素繊維織物等は、このような不都合を解消することを目的として提案されたものであるが、炭素繊維織物は未だ取扱性が不十分であると共に、厚み方向では繊維が相互に接触するに留まるためその方向における導電性が低い問題がある。また、前記カーボンナノファイバーやカーボンナノホーンを含む不織布では、細かなファイバーやホーンを分散させて一様な組織を得るのが困難であると共に、これらが高価であるため製造コストが高く、しかも、ファイバーやホーンを有機高分子で接合するため高い導電性が得られない問題がある。また、カーボンや金属を含浸させた不織布では、含浸量が多くなるほどガス拡散性が低下するため、導電性とガス拡散性との両立が極めて困難である。特に、金属は電池反応で発生する過酸化水素と反応してOHラジカルを生成し、高分子電解質層を破壊する可能性がある点も好ましくない。
これらに対して、炭素繊維および導電性ポリマーを含み、好適には更に樹脂結合剤を含む炭素繊維紙を燃料電池用多孔質炭素電極基材(すなわちガス拡散電極)として用いることが提案されている(例えば特許文献4を参照)。このような炭素繊維紙によれば、炭素繊維が導電性ポリマーで接合されることから、樹脂結合剤を炭化させて導電性を得るための高温の焼成処理が無用になる。そのため、柔軟性が高く且つ取扱いが容易で、高い導電性を有するガス拡散電極が得られる。特に、導電性ポリマーに加えて樹脂結合剤を含む場合には、機械的強度にも優れたものが得られる。しかしながら、このようなガス拡散電極を用いても、MEAの製造工程が多段階に亘るため製造コストが未だ高い問題があった。
このように、ガス拡散電極の製造方法や構造が従来から種々提案されているが、何れも、所望する特性を満たしつつMEAの製造コストを十分に低下させ延いては固体高分子形燃料電池の製造コストを十分に低下させ得るものでは無かった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、固体高分子形燃料電池を安価に製造可能とする触媒層およびMEAを提供することにある。
斯かる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、固体高分子形燃料電池を構成するために固体高分子電解質上に気体を導き得る状態で設けられる多孔質の触媒層であって、(a)触媒粒子と、炭素繊維と、それら触媒粒子および炭素繊維を相互に接合する導電性ポリマーおよび熱硬化性樹脂とを含むことにある。
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、固体高分子電解質層が一対のガス拡散電極で挟まれた膜−電極接合体であって、前記一対のガス拡散電極の少なくとも一方が前記第1発明の触媒層から成る触媒兼電極層で構成されたことにある。
前記第1発明によれば、触媒層は、触媒粒子および炭素繊維が導電性ポリマーで相互に接合されることから、それら炭素繊維および導電性ポリマーによって十分に高い導電性を有し、且つ、触媒粒子および炭素繊維が熱硬化性樹脂によっても相互に接合されることから十分に高い機械的強度を有する。このとき、触媒層は炭素繊維相互が絡み合あった組織に構成されることから、触媒層には層全体に亘って連通する空隙が形成されるので、高いガス拡散性をも有する。そのため、触媒層が十分な導電性、機械的強度、およびガス拡散性を有することから、その触媒層を電極として機能させ得る。したがって、ガス拡散電極を別に設けることが無用になることから、MEAを構成する際の層構成が簡単になるので、固体高分子形燃料電池を安価に製造することが可能となる。
因みに、従来のMEAは、前述したように固体高分子電解質層の両面の各々に触媒層およびガス拡散電極を設けた積層構造に構成されており、触媒層およびガス拡散電極は何れも必須のものと考えられていた。例えば、前記特許文献5には、触媒粒子を全体に均一に分散させたガス拡散電極が提案されている。しかしながら、上記触媒粒子は、燃料中の一酸化炭素によるアノード触媒被毒を抑制するためのもので、固体高分子電解質層とガス拡散電極との間にはアノード触媒層が備えられている。すなわち、触媒層でガス拡散電極を兼ねることは従来においては全く考えられていなかったが、炭素繊維、導電性ポリマー、および熱硬化性樹脂を併用することにより、意外にも、触媒層の特性を損なうことなく、導電性、機械的強度、およびガス拡散性を十分に高め得ることを見出した。本願第1発明は、このような知見に基づいて為されたものである。
なお、上記第1発明において、熱硬化性樹脂は、炭素繊維を直接的に接合していても、導電性ポリマーを覆う状態で炭素繊維を間接的に接合していてもよい。直接的に接合されている部分では、接合部の強度が一層高められ、間接的に接合されている部分では、接合部の強度が一層高められると共に導電性ポリマーが露出しないためその耐水性が高められる利点がある。
また、導電性ポリマーは、触媒層の導電性を高めながらその柔軟性をも高める役割を果たしている。導電性ポリマーを含まない組成で導電性を高めるためには炭素繊維量を多くする必要があるが、炭素繊維量を多くするほど相対的に樹脂成分量が減じられる。そのため、十分な導電性が得られる程度まで炭素繊維量を多くすると樹脂成分量が不足するので、柔軟性が不十分になり延いては触媒層が脆くなると共に、炭素繊維の分散が困難になる。
また、前記第2発明によれば、MEAは一対のガス拡散電極の少なくとも一方が上記第1発明の触媒層から成る触媒兼電極層で構成されることから、そのガス拡散電極が無用になる。そのため、層構成が簡単になるので、固体高分子形燃料電池を安価に製造することが可能となる。
ここで、好適には、前記触媒層は、前記導電性ポリマーを前記触媒粒子100(重量部)に対して1〜6(重量部)の範囲内の割合で含むものである。このようにすれば、導電性ポリマーが1(重量部)以上の範囲で含まれることから、触媒層の導電性が十分に高められると共に、導電性ポリマーが6(重量部)以下の範囲で含まれることから、触媒層内に十分な空隙が形成されてガス透過性が十分に高められる。
また、好適には、前記触媒層は、前記炭素繊維を前記触媒粒子100(重量部)に対して20〜150(重量部)の範囲内の割合で含むものである。このようにすれば、炭素繊維が20(重量部)以上の範囲で含まれることから、触媒層の導電性およびガス拡散性が十分に高められると共に、炭素繊維が150(重量部)以下の範囲で含まれることから、触媒層と電解質層との界面に存在して有効に働く触媒量を十分に確保できる。
また、好適には、前記触媒層は、プロトン伝導性高分子を含むものである。このようにすれば、触媒層内に含まれているプロトン伝導性高分子すなわち高分子電解質と触媒粒子との間の界面も反応に寄与することから、一層高い効率が得られる。上記プロトン伝導性高分子は特に限定されず後述する高分子電解質層を構成し得るものの中から選択した適宜のものを用いることができるが、例えば、その高分子電解質層と同一のものを用いることが好ましい。
また、好適には、前記炭素繊維は50〜200(μm)の範囲内の繊維長と5〜20(μm)の範囲内の繊維径とを備えたものである。このようにすれば、平均繊維長が50(μm)以上であることから、炭素繊維相互の絡み合いが十分に多くなって機械的強度が十分に高められる。また、平均繊維長が200(μm)以下であることから、炭素繊維の十分な分散性が得られ触媒層の組成の均質性が十分に高くなる。また、平均繊維径が5(μm)以上であることから、炭素繊維の折損が十分に抑制され、延いては、十分に高い機械的強度を有する触媒層が得られる。また、平均繊維径が20(μm)以下であることから、炭素繊維の十分な分散性が得られる。なお、平均繊維長が200(μm)超、或いは平均繊維径が20(μm)超でも、分散剤を添加することで十分な分散性を得ることが可能であるが、分散剤を用いることは導電性およびガス拡散性の観点から好ましくない。
また、前記炭素繊維は特に限定されず、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の適宜のものを用い得る。ポリアクリロニトリル系炭素繊維を用いた場合には、炭素繊維の強度が高いため特に機械的強度の高い触媒層が得られる。また、ピッチ系炭素繊維を用いた場合には、特に電気伝導性の高い触媒層が得られる。
また、好適には、前記導電性ポリマーは非水溶性である。このようにすれば、固体高分子形燃料電池の使用中に供給され或いは発生した水や水蒸気に触媒層が曝された場合にも、導電性ポリマーが変質させられ延いてはその導電性が損なわれることが生じ難い利点がある。なお、「非水溶性」とは、導電性ポリマーを水に分散させて電極用スラリー調製した場合に、調製時の品質をある程度の時間(例えば1〜30日程度)は保つことのできる程度に水に対する耐性を有することを意味する。
また、好適には、前記導電性ポリマーはポリエチレンジオキシチオフェンである。このようにすれば、ポリエチレンジオキシチオフェンは、導電性ポリマーの中でも特に高い導電性を有することから、一層導電性の高い触媒層が得られる。前記触媒層を構成する導電性ポリマーは特に限定されず、ポリジオフェン系、ポリアニリン系等の中から適宜のものを用い得るが、可及的に導電性の高いものが好ましいから、ポリジオフェン系が特に好ましい。また、導電性ポリマーは熱硬化性樹脂で覆われることによってある程度は保護されるから、必ずしも高い耐水性を必要としないが、完全に覆われることは期待できない。そのため、耐水性も可及的に高いことが望ましく、この点においてもポリジオフェン系、特に、ポリエチレンジオキシチオフェンが好ましい。
また、前記熱硬化性樹脂は特に限定されず、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、シリコーン樹脂等の適宜のものを用い得る。これらの樹脂は、耐熱性、機械的強度、柔軟性等を考慮して用途に応じて選択されるが、例えば、機械的強度および耐熱性の点では特にフェノール樹脂が好ましい。
また、好適には、前記熱硬化性樹脂の割合は、炭素繊維100(重量部)に対して0.5〜2.0(重量部)の範囲である。熱硬化性樹脂は、触媒層の機械的強度や耐水性を確保するための構成成分であるが、自身が導電性を有しておらず、触媒層の空隙を塞ぐものでもある。そのため、触媒層の機械的強度や耐水性等を十分に高くするためには、熱硬化性樹脂を0.5(重量部)以上とすることが好ましい。また、触媒層のガス透過性や導電性を十分に高くするためには、熱硬化性樹脂を2.0(重量部)以下に留めることが好ましい。
また、好適には、前記触媒層は、前記熱硬化性樹脂の硬化温度よりも沸点の高い高沸点溶剤を含むものである。このようにすれば、理由は定かでは無いが、触媒層の導電性が一層高められる。高沸点溶剤は特に限定されないが、非プロトン性極性溶剤が好ましく、例えば、エチレングリコール、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。また、「硬化温度よりも沸点が高い」とは、熱硬化性樹脂を硬化させるための乾燥処理で揮発させられないことを意味し、沸点が180〜190(℃)程度のものが好ましい。
また、好適には、前記触媒層は、撥水剤を含むものである。このようにすれば、触媒層に接した水や水蒸気がその内部に侵入することが抑制されるので、耐水性および耐水蒸気性が高められる。撥水剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やシランカップリング剤が挙げられる。
また、好適には、前記触媒層は、(a)触媒粉末、炭素繊維、導電性ポリマー、熱硬化性樹脂、および溶媒を含む触媒スラリーを調製するスラリー調製工程と、(b)その触媒スラリーを高分子電解質層上に塗布する塗布工程と、(c)その塗布した触媒スラリーに乾燥処理を施して前記熱硬化性樹脂を硬化させる乾燥工程とを、含む工程によって形成される。すなわち、触媒層を形成するに際しては、触媒スラリーを調製するための構成材料が相違する他は、触媒粉末、水、および溶媒から成る従来の触媒スラリーを用いる場合と同様に塗布および乾燥処理を施すだけで足りる。
また、好適には、上記の触媒層の形成方法において、触媒スラリーを調製するに際しては、前述したように触媒層に含まれ得る他の成分を添加できる。すなわち、プロトン伝導性高分子、高沸点溶剤、および撥水剤が含まれ得る。
また、好適には、前記スラリー調製工程は、前記触媒粉末に前記溶媒を添加するに先立って蒸留水を添加するものである。触媒と溶媒とは反応性が高く発火する可能性があるため、これらを混合する際には、触媒粉末を蒸留水で湿らせておくことが望ましい。
また、好適には、前記触媒層はカソード触媒層であって、アノード側ガス拡散電極を構成するための電極層を用意する工程と、その電極層上にアノード触媒スラリーを塗布し乾燥処理を施すことによってアノード触媒層を形成する工程と、そのアノード触媒層上に所定のプロトン伝導性高分子溶液を塗布し乾燥処理を施すことによって高分子電解質層を形成する工程とを、含む工程を経て形成されたその高分子電解質層上に形成されるものである。本発明の触媒層は、アノード触媒層およびカソード触媒層の両方に適用することもできるが、上記のように一方の触媒層のみに適用しても、製造コストを低下させる効果を享受できる。
また、本発明は、種々の固体高分子電解質が用いられた固体高分子形燃料電池に適用され、固体高分子電解質の材質は特に限定されない。本発明が適用される燃料電池の固体高分子電解質としては、例えば、イオン交換基(-SO3H基等)を有するモノマーの単独重合体または共重合体、イオン交換基を有するモノマーとそのモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、加水分解等の後処理によりイオン交換基に転換し得る官能基(すなわちイオン交換基の前駆的官能基)を有するモノマーの単独重合体、または共重合体(プロトン伝導性高分子前駆体)に同様な後処理を施したもの等が挙げられる。
上記高分子電解質の具体例としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂等のパーフルオロ型のプロトン伝導性高分子、パーフルオロカーボンカルボン酸樹脂膜、スルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)共重合体膜、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE共重合体膜、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)スルホン酸膜、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ATBS)膜、炭化水素系膜等が例示される。
また、本発明が適用されるMEAの形状は特に限定されない。例えば平板形や円筒形等の種々の形状のMEAに適用することができる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の平板型のMEA10の断面構造を示す図である。図1において、MEA10は、薄い平板層状の電解質膜12と、その両面に備えられた触媒層14,16と、その一方の触媒層14の下面に設けられたガス拡散電極18とから構成されている。
上記の電解質膜12は、例えばNafion(デュポン社の登録商標)等のプロトン伝導性高分子から成るもので、例えば20〜200(μm)の範囲内、例えば200(μm)程度の厚さ寸法を備えている。
また、上記の触媒層14は、例えば球状の炭素粉末に白金等の触媒を担持させたPt担持カーボンブラック(以下、Pt/Cという)とNafion等のプロトン伝導性高分子とから成る多孔質層である。このPt/Cは、例えば田中貴金属工業(株)から市販されているものが用いられている。触媒層14の厚さ寸法は、例えば50(μm)程度である。
一方、上記の触媒層16は、上記Pt/Cおよび炭素繊維が導電性ポリマーおよび熱硬化性樹脂で結合されたものである。この触媒層16は、例えば20(μm)程度の平均細孔径と、70(%)程度の気孔率とを有するもので、図2に表面の顕微鏡写真を示すように多孔質に構成されている。図2において、白色部分が炭素繊維、灰色部分がPt/C、黒色部分が細孔である。触媒層16の厚さ寸法は例えば10〜100(μm)の範囲内、例えば100(μm)程度である。
上記の触媒層16を構成する炭素繊維は、例えば繊維径が8(μm)程度、繊維長が120(μm)程度のものである。また、導電性ポリマーは、例えばポリエチレンジオキシチオフェン等の高い導電性を有する非水溶性のポリマーから成るものである。また、熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール樹脂(レゾール樹脂)から成るものである。また、この触媒層16には、上記の他、Nafion等のプロトン伝導性高分子と、撥水剤として機能するシランカップリング剤と、高沸点溶媒であるエチレングリコールとが含まれている。なお、上記レゾール樹脂の硬化温度は80(℃)程度であり、エチレングリコールはそれよりも十分に高い190(℃)程度の沸点を備えている。
また、前記図2では観察が困難であるが、触媒層16内において、炭素繊維は、各繊維が相互に絡み合い、それらの接触点において導電性ポリマーおよび熱硬化性樹脂によって接合されている。ある部分においては導電性ポリマーのみで接合され、他の部分においては、導電性ポリマーで接合されると共にその導電性ポリマーが熱硬化性樹脂で覆われた状態で接合され、また、更に他の部分においては、熱硬化性樹脂のみで接合されている。導電性ポリマーで接合されている部分は触媒層16の全体に亘って存在し、この結果、触媒層16は、厚み方向および面方向の何れにおいても、例えば体積抵抗値が0.1〜0.2(Ω・cm)程度の高い導電性を備えている。Pt/Cは、このような炭素繊維が絡み合った組織中の全体に分散し、導電性ポリマーおよび熱硬化性樹脂で接合されている。
なお、導電性ポリマーが熱硬化性樹脂で覆われている部分では、耐水性および耐水蒸気性が不十分な導電性ポリマーが水が水蒸気から保護されることになる。そのため、触媒層16の耐水性および耐水蒸気性が高められている。また、熱硬化性樹脂のみで炭素繊維が直接接合された部分では、導電性に劣るものの接合部分の高い機械的強度が得られるため、触媒層16の機械的強度が高められることになる。
また、上記の触媒層16は、上述したように炭素繊維が相互に絡み合って接合された組織を有することから、その厚み方向において、例えば100〜150(ml・mm/(min・cm2・kPa))程度の十分に高いガス透過性を有している。
また、前記のガス拡散電極18は、例えば380(μm)程度の厚さ寸法を備えた炭素繊維紙(カーボンペーパー)から成るもので、厚み方向に容易に気体が流通し得る多孔質層である。この炭素繊維紙は、例えば東レ(株)から燃料電池用として市販されているものが用いられている。なお、上述したように、本実施例では触媒層16が十分に高い導電性を有すると共に細孔径および気孔率が十分に大きいことから、この触媒層16はガス拡散電極としても機能する。そのため、触媒層16上にはガス拡散電極は設けられていない。
図3は、従来から提案されてきたMEA30の構成を示す図である。MEA30は、前記電解質膜12と同様に構成された電解質膜32と、その両面にそれぞれ設けられた前記触媒層14と同様に構成された触媒層34,36と、それら触媒層34,36の表面に設けられた前記ガス拡散電極18と同様に構成されたガス拡散電極38,40とを備えている。このような炭素繊維および導電性ポリマーが含まれていない触媒層34,36では、ガス拡散電極38,40に比較して導電性およびガス透過性が著しく低い。そのため、このMEA30では、触媒層34,36で集電およびガス拡散を行うとそれらの導電性およびガス拡散性が低いので出力が低くなることから、ガス拡散電極38,40を設けることが必須である。
これに対して、本実施例のMEA10は、上述したように一方の触媒層16が、Pt/Cおよび炭素繊維が導電性ポリマーで相互に接合されて構成されていることから、それら炭素繊維および導電性ポリマーによって高い導電性を有する。また、Pt/Cおよび炭素繊維が熱硬化性樹脂によっても相互に接合されていることから、十分に高い機械的強度を有する。更に、炭素繊維相互の絡み合いによって層全体に亘って連通する空隙が形成されるので、高いガス拡散性も有している。そのため、このように触媒層16の導電性、ガス拡散性、および機械的強度が高められることによって、その触媒層16がガス拡散電極としても機能させられるので、図1における下面側のように触媒層14上にガス拡散電極18を設けた構成とする必要がなく、ガス拡散電極を省略でき、従来のMEA30に比較して低コストで製造することができる。
また、前記触媒層16内にはプロトン伝導性高分子が含まれていることから、その触媒層16内におけるPt/Cとプロトン伝導性高分子との界面も反応に寄与する。そのため、一層高い出力特性が得られる。
また、触媒層16を構成する導電性ポリマーとしてポリエチレンジオキシチオフェン等の非水溶性材料が用いられているため、触媒層16は、反応により水が発生しても変質が生じ難く延いては導電性が損なわれ難い特徴がある。なお、前記撥水剤は、触媒層16に接した水や水蒸気がその内部に侵入することを抑制するもので、この結果、導電性ポリマーの変質が一層抑制される。
図4は、上記のMEA10の製造工程の一例を示す工程図である。図4において、先ず、アノード用触媒スラリー塗布工程P1では、前記ガス拡散電極18を構成するためのカーボンペーパーを適宜の大きさに切断し、その一面に別途調製したアノード用触媒スラリーを塗布する。アノード用触媒スラリーは、例えば、Pt/Cを3.0(g)、Nafion溶液(固形分5(%))を18.0(g)、それぞれ量り取り、適量の蒸留水にこれらを投入して例えば1時間程度撹拌して混合することで調製する。また、スラリーの塗布は、刷毛塗りやディップコート等の適宜の方法で行えばよい。
次いで、乾燥工程P2では、例えば25(℃)で18時間程度の乾燥処理を施す。これにより触媒スラリー中の溶媒および蒸留水が除去され、前記触媒層14が形成される。
次いで電解質溶液塗布工程P3では、上記の触媒層14上に電解質溶液を塗布する。この塗布も、刷毛塗りやディップコート等の適宜の方法で行われる。電解質溶液は、例えば、市販のNafion溶液(固形分20(%))等を用い得るが、市販のものに濃縮処理や希釈処理等を適宜施して調製しても良い。
次いで、熱処理工程P4では、塗布した電解質溶液に加熱処理を施す。この加熱処理は、例えば80(℃)で30分程度保持した後、120(℃)に昇温して1時間程度保持することで行う。これにより、Nafion溶液中の溶媒が除去されて前記電解質膜12が形成される。
次いで、カソード用触媒スラリー塗布工程P5では、別途調製したカソード用触媒スラリーを上記の電解質膜12の表面に塗布する。この塗布も、刷毛塗りやディップコート等の適宜の方法で行われる。カソード用触媒スラリーは、Pt/Cを3.0(g)、炭素繊維を0.3〜6.0(g)、導電性ポリマーを0.015〜0.24(g)、Nafion溶液(固形分5(%))を12.5(g)をそれぞれ量り取り、適量の蒸留水にこれらを投入すると共に、1-プロパノール、エチレングリコール、レゾール樹脂、シランカップリング剤を適量添加して、例えば5時間程度撹拌して混合することで調製する。
次いで、乾燥工程P6では、上記のカソード用触媒スラリーに乾燥処理を施す。この際の乾燥条件は、添加したレゾール樹脂が硬化し且つエチレングリコールが消失しないように定められるもので、例えば、80(℃)で1時間程度加熱する。なお、レゾール樹脂の種類は、導電性ポリマーの分解温度を考慮して硬化温度がそれよりも十分に低温となるように定められている。これにより、前記触媒層16が形成され、前記MEA10が得られる。前記レゾール樹脂は、触媒層16の機械的強度や耐水性を高めるために添加されるものであるが、その添加量が多くなるほど炭素繊維相互の接触が妨げられ延いては導電性が低下すると共に、空隙が減じられてガス透過性も低下する。そのため、レゾール樹脂の添加量は、十分な機械的強度および耐水性を確保できる範囲で可及的に少ない量とすることが好ましく、概ね2.0(重量部)未満が好ましい。
このとき、上記のように触媒スラリーには、炭素繊維が含まれていることから、この触媒用スラリーから生成される触媒層16(すなわちカソード側触媒層)は、前記図2に示したように炭素繊維が相互に絡み合った構造を有し、繊維相互間には大きな空隙が形成される。そのため、前述したように高い導電性および高いガス透過性を有する。
ところで、上述したMEA10では、一方の触媒層16だけが炭素繊維および導電性ポリマーを含むものとされ、他方の触媒層14は従来のMEA30の触媒層34,36と同様に触媒および高分子電解質で構成されていた。これに対して、図5に示すMEA50のように、電解質膜52の両面に設けられる触媒層54,56を何れも触媒層16と同様な構成とすることもできる。この構成によれば、アノード側のガス拡散電極も無用となるので、MEA10に比較して一層製造コストを低減できる。
なお、上記のMEA50は、MEA10と同様に前記図4に示される工程に従って製造することもでき、その場合には、例えばアノード用触媒スラリーを適当な離型フィルム等の上に塗布して触媒層52を形成し、その形成後或いは触媒層54の形成後にその離型フィルムを剥離すればよい。また、この他、電解質溶液を適当な離型フィルム等の上に塗布して電解質膜52を先に作製し、その両面に触媒ペーストを刷毛塗りやディップコート等の適宜の方法で塗布して触媒層54,56を形成することもできる。
下記の表1は、前記MEA10において、導電性ポリマーの添加量を種々変更してMEA10の特性を測定した結果をまとめたものである。実施例1〜6は、炭素繊維および導電性ポリマーを何れも含むもので、比較例1は炭素繊維のみを含み導電性ポリマーは含まないもの、比較例2は何れも含まないものである。炭素繊維は全て繊維径が8(μm)、繊維長が120(μm)で、Pt/C 100(重量部)に対して50(重量部)の割合で添加した。また、導電性ポリマーは全てポリエチレンジオキシチオフェンで、Pt/C 100(重量部)に対して0.5〜8(重量部)の範囲で添加した。なお、特に示していない条件は、前述したMEA10の構成および製造方法に従う。
また、上記の表1において、体積抵抗値は、よく知られた直流四端子法で測定した値である。ガス透過性は、空気を用い、圧力5(kPa)にて厚み方向における透過量を測定した値である。また、出力密度は、図6に概略構成を示す燃料電池評価装置60を用いて測定した。
図6において、燃料供給源62から燃料として例えば水素がアノード側加湿槽64を経由してアノード側のガス拡散電極18に供給される。水素および水が供給される電極18上では下記(1)式の酸化反応が生じ、プロトンH+と電子e-が発生する。プロトンは電解質層12内を通ってカソード側の触媒層16に向かって流れ、電子は電極18に接続された図示しない端子から取り出され、外部回路を経由して負荷66に流れる。負荷66に供給された電子は、更に外部回路を経由して触媒層16に向かう。そして、触媒層16上において、プロトンおよび電子が、酸素供給源(或いは空気供給源)68からカソード側加湿槽70を経由して供給された酸素との間で下記(2)式の還元反応を発生させる。なお、燃料側は水素に代えてメタノールを供給してもよく、その場合の酸化反応を下記(3)式に示す。
3H2 → 6H+ + 6e- ・・・(1)
3/2O2 + 6H+ + 6e- → 3H2O ・・・(2)
CH3OH + H2O → 6H+ + CO2 + 6e- ・・・(3)
前記表1の出力密度は、上記の評価装置60において、セル温度(MEA10の温度)を60(℃)、水素流量を0.1(l/min)、空気流量を1.0(l/min)に保って、負荷66を調節することで電流密度を変化させつつ端子電圧を測定し、それら電流密度および端子電圧から算出した最大値である。
上記の表1に示されるように、Pt/C 100(重量部)に対して炭素繊維を50(重量部)添加した場合には、導電性ポリマーを添加することで0.12〜0.25(Ω・cm)の範囲の十分に低い体積抵抗値が得られると共に、90〜140(ml・mm/(min・cm2・kPa))の範囲の十分に高いガス透過性と、140〜240(mW/cm2)の範囲の十分に高い出力密度を得ることができる。特に、導電性ポリマーが1〜6(重量部)の範囲では、定積抵抗値が0.20(Ω・cm)以下と一層低く、ガス透過性が110(ml・mm/(min・cm2・kPa))以上と一層高く、200(mW/cm2)以上の極めて高い出力密度が得られる。
これに対して、導電性ポリマーを含まない比較例1では、体積抵抗値が0.30(Ω・cm)とやや高く、出力密度も130(mW/cm2)と若干低い値であった。しかも、この比較例1は、触媒層の柔軟性が不十分で脆く、取扱性の面においても問題があるので、出力密度はやや低い程度に留まっているが、少なくとも工業的に用い得るものではない。また、炭素繊維および導電性ポリマーを何れも含まない比較例2では、体積抵抗値が1.20(Ω・cm)と極めて高く、ガス透過性が10(ml・mm/(min・cm2・kPa))と極めて低く、出力密度は30(mW/cm2)に留まった。これらの結果によれば、体積抵抗値を低くすると共にガス透過性を高くして十分に高い出力密度を得るためには、炭素繊維および導電性ポリマーを添加することが必須である。なお、比較例1において柔軟性が不十分になったのは、導電性ポリマーが添加された実施例に比較して樹脂成分が少ないためである。また、樹脂成分の不足に伴って炭素繊維の分散も不十分になっているため、このことが体積抵抗値を一層増大させ、柔軟性を一層低下させたものと考えられる。
下記の表2は、Pt/C 100(重量部)に対する導電性ポリマーの添加量を前記表1に示す評価において出力密度が最大であった2(重量部)に固定し、炭素繊維の添加量を10〜200(重量部)の範囲で添加して、表1の場合と同様にして特性を評価したものである。表2における実施例9は、表1の実施例3と同じデータを再掲した。なお、何れの実施例も、炭素繊維の添加量が異なる他は、前記表1に示す実施例3等と同じ条件である。
上記の表2に示されるように、炭素繊維の添加量が10(重量部)でも体積抵抗値およびガス透過性の改善が認められ、180(mW/cm2)の比較的高い出力密度が得られた。また、炭素繊維の添加量が200(重量部)でも体積抵抗値およびガス透過性共に良好な値になり、200(mW/cm2)の十分に高い出力密度が得られた。この結果によれば、炭素繊維および導電性ポリマーを併用すれば、炭素繊維の添加量の比較的広い範囲で高い出力密度が得られることが明らかである。特に、添加量が20(重量部)以上の範囲では200(mW/cm2)以上の出力密度が得られ、一層好ましい。また、20〜150(重量部)の範囲の添加量であれば、220(mW/cm2)以上の出力密度が得られて更に好ましい。
なお、上記評価と併せて、触媒層14およびガス拡散電極18に代えて触媒層54を備えた前記MEA50の特性も評価した。調合仕様は前記実施例3,9と同一、すなわち、炭素繊維を50(重量部)、導電性ポリマーを2(重量部)それぞれ添加するものとした。このMEA50の触媒層54,56の体積抵抗値は0.15(Ω・cm)、ガス透過性は130(ml・mm/(min・cm2・kPa))で、出力密度は260(mW/cm2)であった。アノード側およびカソード側を共に触媒層54,56でガス拡散電極を兼ねる構成とすることにより、一方のみをそのように構成した場合に比較して一層高い出力を得ることができる。
下記の表3は、炭素繊維の繊維長を種々変更して触媒層16の特性およびMEA10の特性を評価した結果をまとめたものである。この評価でも、炭素繊維の添加量を50(重量部)、導電性ポリマーの添加量を2(重量部)とした。また、下記の表3において、「分散性」は、触媒スラリーを調製するに際して、十分に均一な混合が可能であるか否かを目視にて判定したものである。表に示す炭素繊維長の他の構成や製造条件は、前記表1に示す実施例3等と同一である。
上記の評価結果によれば、炭素繊維長が200(μm)以下の範囲で良好な分散性を有し、体積抵抗値が低く且つガス透過性の高い触媒層を得ることができた。この結果、160〜250(mW/cm2)の十分に高い出力密度が得られた。したがって、触媒スラリーに添加する炭素繊維は、繊維長が200(μm)以下のものが好ましい。また、繊維長が50(μm)以上の炭素繊維を用いれば、200(mW/cm2)以上の出力密度が得られて一層好ましい。なお、炭素繊維長が300(μm)の実施例17は、良好な分散性が得られなかったため特性を評価していないが、この調合も、適当な分散剤を添加することで分散性を高めて十分な出力密度を得ることは可能である。但し、分散剤は導電性やガス拡散性を低下させる傾向にあるため、上述したように繊維長が200(μm)以下の炭素繊維を用いることが好ましい。
下記の表4は、炭素繊維の繊維径を種々変更して触媒層16の特性およびMEA10の特性を評価した結果をまとめたものである。この評価でも、炭素繊維の添加量を50(重量部)、導電性ポリマーの添加量を2(重量部)とし、「分散性」の評価基準は表3の場合と同一である。表に示す炭素繊維径の他の構成や製造条件は、前記表1に示す実施例3等と同一である。
上記の表4に示されるように、炭素繊維径が20(μm)以下の範囲で良好な分散性が得られ、体積抵抗値が十分に低く、ガス透過性が十分に高くなり、延いては180(mW/cm2)以上の十分に高い出力密度を得ることができた。したがって、炭素繊維は繊維径が20(μm)以下のものを用いることが好ましい。また、繊維径が5(μm)以上の実施例19〜21では、220(mW/cm2)以上の一層高い出力密度が得られ、特に好ましい。繊維径が30(μm)の実施例22については、良好な分散性が得られなかったことから特性を評価していないが、これも実施例17と同様に、適当な分散剤を添加することで分散性を高めて、十分な出力密度を得ることができる。但し、前述したように分散剤は導電性やガス拡散性を低下させる傾向にあるため、繊維径が20(μm)以下の炭素繊維を用いることが好ましい。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
本発明の一実施例の平板型のMEAの構成を示す模式図である。 図1のMEAに備えられている電極を兼ねた触媒層の表面を拡大して示す顕微鏡写真である。 従来の平板型のMEAの一例の構成を示す模式図である。 図1のMEAの製造方法の一例を説明する工程図である。 本発明の他の実施例のMEAの構成を示す模式図である。 燃料電池評価装置の構成を模式的に示す図である。
符号の説明
10:MEA、12:電解質膜、14,16:触媒層、18:ガス拡散電極、50:MEA、52:電解質膜、54,56:触媒層

Claims (6)

  1. 固体高分子形燃料電池を構成するために固体高分子電解質上に気体を導き得る状態で設けられる多孔質の触媒層であって、
    触媒粒子と、炭素繊維と、それら触媒粒子および炭素繊維を相互に接合する導電性ポリマーおよび熱硬化性樹脂とを含むことを特徴とする触媒層。
  2. 前記導電性ポリマーを前記触媒粒子100(重量部)に対して1〜6(重量部)の範囲内の割合で含むものである請求項1の触媒層。
  3. 前記炭素繊維を前記触媒粒子100(重量部)に対して20〜150(重量部)の範囲内の割合で含むものである請求項1の触媒層。
  4. プロトン伝導性高分子を含むものである請求項1の触媒層。
  5. 前記炭素繊維は50〜200(μm)の範囲内の繊維長と5〜20(μm)の範囲内の繊維径とを備えたものである請求項1の触媒層。
  6. 固体高分子電解質層が一対のガス拡散電極で挟まれた膜−電極接合体であって、
    前記一対のガス拡散電極の少なくとも一方が前記請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の触媒層から成る触媒兼電極層で構成されたことを特徴とする膜−電極接合体。
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