JP4896925B2 - 発泡樹脂材 - Google Patents

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Description

この発明は、発泡樹脂材に関し、より具体的には金型に発泡性原料を充填して成形される発泡樹脂材に関する。
一般的に、発泡樹脂材(例えば、発泡ポリスチレン材や発泡エチレン材)は、金型に充填された発泡性原料(発泡ビーズ)を発泡溶着させて成形される。発泡樹脂材は、軽量であって衝撃吸収力や断熱性に優れることから、梱包資材、建築材などとして広く使用されている。しかしながら、表面硬度が低くて脆い(場合によっては、表面が粗い(光沢感がない))などの理由から、製品の外装面としてそのまま使用されるには適さない材料である。そこで、例えば下記特許文献1や2に記載されるように、発泡樹脂材の表面に別に作った表皮材を貼り付けることによって製品の外装面に適した材料を得ている。
特開平6−55650号公報 特開2001−277399号公報
しかしながら、そのようにして得られた材料は同質の素材からなるものではないことから、廃棄時には分離が必要であり、リサイクルに適さないといった問題があった。一方、発泡樹脂材と同質の素材からなると共に、高い硬度を有する表面部材を別途作製し、発泡溶着によって発泡樹脂材に接合することも考えられる。しかしながら、その場合、接合強度が不十分で剥離し易いといった問題があった。
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、製品の外装面に適するような高硬度の表面層を有すると共に、それが剥離することがないような発泡樹脂材を提供することにある。
上記の目的を解決するために、請求項1にあっては、発泡性原料から成形される発泡樹脂材であって、前記発泡性原料を溶融固化させて成形される第1層と、前記第1層に積層されると共に、前記発泡性原料を発泡溶着させて成形される第2層と、前記第1層と前記第2層の間に積層されると共に、前記第2層の発泡率に比して小さい発泡率を有するように前記発泡性原料を発泡溶着させて成形される中間層とからなり、前記第1層と中間層の成形に用いられる前記発泡性原料が同一の発泡性原料であり、前記中間層の発泡率は、前記第1層に近づくにつれて小さくなると共に、前記発泡性原料は、ブタジエンを5〜20質量%含有する如く構成した。
請求項1にあっては、発泡樹脂材が、発泡性原料を溶融固化させて成形される第1層と、第1層に積層されると共に、発泡性原料を発泡溶着させて成形される第2層と、第1層と第2層の間に積層されると共に、第2層の発泡率に比して小さい発泡率を有するように発泡性原料を発泡溶着させて成形される中間層とからなり、第1層と中間層の成形に用いられる発泡性原料が同一であり、中間層の発泡率は、第1層に近づくにつれて小さくなると共に、発泡性原料は、ブタジエンを5〜20質量%含有する如く構成、換言すれば、第1層、第2層および中間層を同質の素材原料から成形すると共に、第1層と第2層の間で第2層の発泡率に比して小さい発泡率を有するように発泡性原料を発泡溶着させて成形される中間層を設ける如く構成したので、中間層によって高硬度の第1層と高発泡率の第2層を強く接合することができ、よって剥離することがない高硬度の表面層を有する発泡樹脂材を得ることができる。また、第1層、第2層および中間層は同質の素材原料から成形されるので、リサイクル性に優れた発泡性樹脂材を得ることができる。尚、第1層の硬度が高いのは、それが発泡性原料を溶融固化させた発泡率1倍の完全樹脂層であるためである。
また、中間層の発泡率は、第1層に近づくにつれて小さくなる如く構成、換言すれば、中間層の第1層側の発泡率を第1層の発泡率に、第2層側の発泡率を第2層の発泡率に近づける如く構成したので、中間層による第1層と第2層の接合強度を飛躍的に向上させることができる。
また、発泡性原料は、ブタジエンを5〜20質量%含有する如く構成したので、上記した効果に加え、曲げ強さと発泡ビーズ間結合力を兼ね備えた発泡樹脂材を得ることができる。
以下、添付図面に即してこの発明に係る発泡樹脂材を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、この発明に係る発泡樹脂材の製造方法に使用される成形機の一部を断面的に示す図である。
図1において、符号10はその成形機の金型装置を示す。金型装置10は成形品形状の空間部(以下、「金型キャビティ」という)を形成するように対向配置される凹型金型装置12と凸型金型装置14とからなる。
凹型金型装置12は、金型キャビティを区画する凹型金型12aと、凹型金型12aの背面(金型キャビティ側と反対の面)に配置されるように形成されるチャンバ12bとを備える。
チャンバ12bは、凹型金型12aに接続されるインサイド板12b1と、それに連続して接続されるフレーム12b2とからなる。フレーム12b2の重力方向において上方側には、チャンバ12b内に蒸気を導入する蒸気供給管16と冷却水を導入する給水管18が接続される。一方、下方側にはチャンバ12b内から蒸気や冷却水を排出するドレーン管20が接続される。また、ドレーン管20の下流側には、チャンバ12b内の空気を強制的に排気するバキューム装置(図示なし)が設けられる。
チャンバ12b内には、凹型金型12aの背面に配置されるように形成される2重チャンバ12cが設けられる。2重チャンバ12cには、チャンバ12bに導入される蒸気に比して高圧の蒸気を導入する高圧蒸気供給管22と、それを排出するドレーン管24とが接続される。
凸型金型装置14は、金型キャビティを区画する凸型金型14aと、凸型金型14aの背面(金型キャビティ側と反対の面)に配置されるように形成されるチャンバ14bと、金型キャビティに発泡性原料(発泡ビーズ)を充填する充填機14cとを備える。
凸型金型14aは、固定部材14a1と、それに摺動自在に接続される移動部材14a2とからなる。移動部材14a2には、それを固定部材14a1に対して紙面左右方向に移動させるエアシリンダ25が接続される。凸型金型14a(固定部材14a1や移動部材14a2)には、後述する圧縮空気や蒸気が通過可能な無数のベントホール(図示なし)が穿設される。
チャンバ14bも、チャンバ12bと同様、凸型金型14aに接続されるインサイド板14b1と、それに連続して接続されるフレーム14b2とからなる。フレーム14b2の重力方向において上方側には、チャンバ14b内に蒸気を導入する蒸気供給管26と冷却水を導入する給水管28が接続される。一方、下方側にはチャンバ14b内から蒸気や冷却水を排出するドレーン管30が接続される。また、ドレーン管30の下流側には、チャンバ14b内の空気を強制的に排気するバキューム装置(図示なし)が設けられる。尚、エアシリンダ25はチャンバ14b内においてフレーム14b2に固定される。
充填機14cは、凸型金型14aに穿設された孔に接続されると共に、発泡性原料を圧縮空気と共に金型キャビティ内に供給する原料供給管14c1と、金型キャビティに露出する部位において原料供給管14c1の供給口を封止する封止部材14c2とからなる。封止部材14c2は、発泡性原料が充填された後、原料供給管14c1内を上記部位までスライドして供給口を封止する。
尚、凹型金型装置12は紙面左右方向に移動自在に構成され、後述する型閉め工程や型開き工程などにおいて凸型金型装置14との離間距離を変更するように移動される移動側の金型装置である。一方、凸型金型装置14は固定側の金型装置である。
図2は、この発明に係る発泡樹脂材の製造方法を示す工程図である。
はじめのS10の型閉め工程において、凹型金型装置12を凸型金型装置14に対して所定の離間距離まで移動させる(所定のクラッキング量となるように型閉めする)。所定の離間距離(クラッキング量)は、成形品の厚みや発泡性原料のビーズ径や予備発泡率に応じて適宜に設定される。尚、凸型金型14aの移動部材14a2は固定部材14a1に対して突出するような初期位置にある。
次いで、S12の溶融充填工程に進む。
図3は、S12の溶融充填工程を模式的に示す説明図である。以降の図において、図中の矢印はその方向に供給あるいは排出が行われること示し、×印は管がバルブ等によって閉鎖されて供給や排出が行われないことを示す。
溶融充填工程において、まず2重チャンバ12cに0.2〜0.5MPaの高圧蒸気を供給する。これにより、凹型金型12aは発泡性原料の溶融温度まで加熱される。次いで、充填機14cを用いて発泡性原料(ブタジエン5〜20質量%含有の発泡性スチレンビーズ、予備発泡率3〜20倍)を圧縮空気と共に金型キャビティ内に導入する。これにより、凸型金型14aのベントホールおよびクラッキング量に応じた隙間を介して圧縮空気のみが排出され、金型キャビティには発泡性原料が充填される。
ここで、凹型金型12aは発泡性原料の溶融温度まで加熱されることから、充填される発泡性原料の内、凹型金型の近傍の一部の発泡性原料は溶融する。
次いで、S14の型プレス工程に進む。
図4は、S14の型プレス工程を模式的に示す説明図である。図5は、図4の金型キャビティ付近の拡大図である。
型プレス工程において、高圧蒸気と発泡性原料の供給を停止した後、封止部材14c2を原料供給管14c1の供給口までスライドさせて供給口を封止すると共に、凹型金型装置12を凸型金型装置14との離間距離が0になるまで移動させる(クラッキング量が0となるように型プレスする)。これにより、金型キャビティの容積は移動量(クラッキング量)に応じた分だけ減少する。
高圧蒸気の供給を停止して凹型金型12aの温度を発泡性原料の溶融温度未満とすれば、凹型金型12a近傍の溶融した発泡性原料は固化するので、図4および図5に示すように、凹型金型12aに沿って溶融固化層(第1層)32が成形される。また、溶融固化層32に沿って非溶融層(部分的に溶融固化しているため、以下「半溶融層」という)34が成形される。尚、溶融固化層32と半溶融層34の比率は高圧蒸気の圧力や充填時間に依存する。
次いで、S16の発泡溶着工程に進む。
図6は、S16の発泡溶着工程を模式的に示す説明図である。
発泡溶着工程において、凸型金型装置14側の蒸気供給管26から低圧蒸気(0.05〜0.09MPa)をチャンバ14bに供給する。供給された蒸気は、凸型金型14aのベントホールを介して金型キャビティ内部に浸透する。これにより、半溶融層34の発泡溶着が進行する。ここでの発泡溶着とは、低圧蒸気によって半溶融層34の発泡性原料粒子間の空気を排気させると共に、発泡性原料を加熱発泡させて粒子同士を溶着させることをいう。これにより、金型キャビティの形状の一体品が成形される。
次いで、S18の再溶融工程に進む。
図7は、S18の再溶融工程を模式的に示す説明図である。
再溶融工程において、高圧蒸気を再び2重チャンバに供給する。これにより、凹型金型12aは発泡性原料の溶融温度まで加熱され、溶融固化層32は再び溶融する。
次いで、S20の冷却融工程に進む。
図8は、S20の冷却工程を模式的に示す説明図である。
冷却工程において、まず冷却水を両チャンバ12b,14bに供給し、金型キャビティ内の成形品を冷却する。次いで、バキューム装置を用いて両チャンバ12b,14b内を減圧し、冷却水の蒸発潜熱を利用して冷却を促進すると共に、成形品に付着した冷却水を揮散させる。
図2の工程図に戻って説明を続けると、1回目の冷却工程の後はS22には進まず、S10に戻る。即ち、2回目のS10においては、凹型金型装置12を凸型金型装置14に対して所定の距離(クラッキング量)まで離間させる(2回目のS10は型開き工程)。
次いで、S12の溶融充填工程に進む。
図9は、2回目の溶融充填工程を示す説明図である。
2回目の溶融充填工程においても、2重チャンバ12cに高圧蒸気を供給しつつ発泡性原料を金型キャビティ内に導入する。これにより、2回目のS10の型開き工程における凹型金型装置12の移動量(クラッキング量)に応じた金型キャビティ空間に発泡性原料が充填される。
次いで、S14,S16,S18,S20の順に進み、1回目と同一の工程が繰り返される。
2回目の溶融充填工程においても凹型金型12aは発泡性原料の溶融温度まで加熱されることから、2回目の溶融充填工程の後に成形される溶融固化層32の厚さは増加する。
図2の工程図に戻って説明を続けると、2回目の冷却工程の後、S22の金型容積増大工程に進む。
図10は、S22の金型容積増大工程を模式的に示す説明図である。
金型容積増大工程において、エアシリンダ25を駆動して凸型金型14aの移動部材14a2を固定部材14a1に対して突出方向とは逆方向(紙面左から右方向)に移動させる。これにより、金型キャビティの容積は移動部材14a2の移動量に応じて増大する。尚、かかる容積増大は、凹型金型装置12を凸型金型装置14に対して移動させる(クラッキング量を設ける)ことによるものではない。
次いで、S24の充填工程に進む。
図11は、S24の充填工程を模式的に示す説明図である。
充填工程において、充填機14cを用いて発泡性原料を圧縮空気と共に増大された金型キャビティに導入する。これにより、凸型金型14aのベントホールを介して圧縮空気のみが排出され、増大された金型キャビティには発泡性原料が充填される。
ここで充填する発泡性原料としては、S12の溶融充填工程で充填する発泡性原料と同質の素材であるが、難燃性であって高い予備発泡率(10〜70倍)のものを用いる。充填された高予備発泡率の発泡性原料は半溶融層34に沿って積層され、高発泡層36(次図12,13に示す)が成形される。
また、高圧蒸気も供給する。ここで供給する高圧蒸気は、S12の溶融充填工程やS18の再溶融工程で供給する高圧蒸気(0.2〜0.5MPa)に比して低圧(0.1〜0.2MPa)に設定される。これにより、凹型金型12aは発泡性原料の溶融温度直下の温度まで加熱される。
次いで、S26の第2の発泡溶着工程に進む。
図12は、S26の第2の発泡溶着工程を模式的に示す説明図である。図13は、図12の金型キャビティ付近の拡大図である。
第2の発泡溶着においても、S16と同様、凸型金型装置14側の蒸気供給管26から低圧蒸気(0.05〜0.10MPa)をチャンバ14bに供給する。供給された蒸気は、凸型金型14aのベントホールを介して金型キャビティ内部に浸透する。これにより、S24の充填工程で成形された高発泡層36の発泡溶着が進行する。また、S12の溶融充填工程で成形された半溶融層34の発泡溶着も再び進行する。
次いで、S28の第2の冷却工程に進む。
図14は、S28の第2の冷却工程を模式的に示す説明図である。
第2の冷却溶着において、S20と同様、まず冷却水を両チャンバ12b,14bに供給し、金型キャビティ内の成形品を冷却する。次いで、バキューム装置を用いて両チャンバ12b,14b内を減圧し、冷却水の蒸発潜熱を利用して冷却を促進すると共に、成形品に付着した冷却水を揮散させる。
次いで、S30の型開き工程に進む。
型開き工程においては、凹型金型装置12を凸型金型装置14に対して大きく移動させて金型キャビティ内の成形品(製品)を取り出す。
図15は、上記の工程を経て成形された成形品の外観を示す写真図である。(A)は溶融固化層32側の成形品外観を、(B)は高発泡層36側の成形品外観を示す。
溶融固化層32側の成形品の表面は、高発泡層36側に比して滑らかなである(光沢感がある)。S10からS20の工程を繰り返して溶融充填工程と再溶融工程をそれぞれ2回行うと共に、S24の充填工程において溶融温度直下の温度で再加熱することにより、このような滑らかな(光沢感がある)表面となる。
図16は、図15に示す成形品の断面を拡大して示す写真図である。
成形品は溶融固化層32、半溶融層34、高発泡層36の順に積層されて成形される。溶融固化層32はS12の溶融充填工程で発泡性原料を溶融させてその後固化させた発泡率1倍の完全樹脂層であるため、発泡樹脂特有の粒子状物質は見られない。一方、半溶融層34や高発泡層36はS16やS26の発泡溶着工程で発泡溶着させた発泡層であるため、発泡樹脂特有の粒子状物質が見られる。その大きさは高発泡層36の方が大きく、半溶融層34の中で比較すると高発泡層36側より溶融固化層32側の方が小さい。即ち、半溶融層34の発泡率は、高発泡層36のそれに比して小さいと共に、溶融固化層32に近づくにつれて小さくなる。高発泡層36の発泡率は略均一である。
溶融固化層32は発泡率1倍の完全樹脂層であるため、その硬度は半溶融層34や高発泡層36に比して高い。また、S18の再溶融工程によって溶融固化層32を再び溶融固化させることで、溶融固化層32の硬度は高くなる。
溶融固化層32と半溶融層34と高発泡層36は同質の素材原料から成形されると共に、S16の発泡溶着工程やS26の第2の発泡溶着工程で半溶融層34や高発泡層36を発泡溶着させるため、溶融固化層32と高発泡層36は半溶融層34によって接合される。
図17は、半溶融層による接合力をその発泡率に対して示すグラフである。
図17に示すように、半溶融層34の溶融固化層32との接合力は、半溶融層34の発泡率が溶融固化層32の発泡率(1倍)の近傍では高いが、半溶融層34の発泡率が大きくなると急激に低くなる。半溶融層34の高発泡層36との結合力も、半溶融層34の発泡率が高発泡層36の発泡率(n倍)の近傍では高いが、発泡率に差があると急激に低くなる。それら結合力の内、低い方の結合力が半溶融層34による接合力であるから、半溶融層34の高発泡層36側の発泡率を高発泡層36の発泡率に、溶融固化層32側の発泡率を溶融固化層32の発泡率に近づけることにより、半溶融層34による接合力を飛躍的に向上させることができる。そのような発泡率を有する半溶融層34は、S10からS20の工程を繰り返すことによって得られる。尚、実測によれば、半溶融層34の発泡率が高発泡層36の発泡率とほぼ同一である場合の半溶融層34の高発泡層36との結合力は、3.0(N/mm)であった。また、その実測に用いた試験片の溶融固化層32側の半溶融層34の発泡率は3倍であった。
また、発泡層(半溶融層34、高発泡層36)の粒子間結合力はブタジエン含有率が高くなるにつれて低下すると共に、発泡層の曲げ強さはブタジエン含有率が高くなるにつれて増大する。即ち、発泡層はブタジエン含有量が高いほど柔軟であって割れ難いが、粒子間結合力が低いため分解し易い。逆に、ブタジエン含有量が低いと分解し難いが、曲げに対して割れ易くなる。従って、ブタジエン含有率を5〜20質量%とすることで、両方の特性を兼ね備えた耐久性のある発泡層を得ることができる。
このように、発泡樹脂材は、発泡性原料を溶融固化させて成形される溶融固化層32と、溶融固化層32に積層されると共に、発泡性原料を発泡溶着させて成形される高発泡層36と、溶融固化層32と高発泡層36の間に積層されると共に、高発泡層36の発泡率に比して小さい発泡率を有するように発泡性原料を発泡溶着させて成形される半溶融層34とからなる、換言すれば、溶融固化層32、高発泡層36および半溶融層34を同質の素材原料から成形すると共に、溶融固化層32と高発泡層36の間で高発泡層36の発泡率に比して小さい発泡率を有するように発泡性原料を発泡溶着させて成形される半溶融層34を設けたので、半溶融層34によって高硬度の溶融固化層32と高発泡率の高発泡層36を強く接合することができ、よって剥離することがない高硬度の表面層を有する発泡樹脂材を得ることができる。また、溶融固化層32、高発泡層36および半溶融層34は同質の素材原料から成形されるので、リサイクル性に優れた発泡性樹脂材を得ることができる。
また、半溶融層34の発泡率は、溶融固化層32に近づくにつれて小さくなる、換言すれば、半溶融層34の溶融固化層32側の発泡率を溶融固化層32の発泡率に、高発泡層36側の発泡率を高発泡層36の発泡率に近づけたので、半溶融層34による溶融固化層32と高発泡層36の接合強度を飛躍的に向上させることができる。
また、高発泡層36の成形に用いられる発泡性原料を難燃性としたので、溶融化を防止して所望の発泡率を有する高発泡層36を成形することができる。
また、発泡性原料にブタジエンを5〜20質量%含有させたので、曲げ強さと発泡ビーズ間結合力を兼ね備えた発泡樹脂材を得ることができる。
また、当該発泡樹脂材の製造方法は、凹型金型12aを加熱して金型キャビティに発泡性原料を充填し、その一部を溶融させる溶融充填工程と、充填された発泡性原料の残部を発泡溶着させる発泡溶着工程とから少なくともなるので、製品の外装面に適するような高硬度の溶融固化層32を有すると共に、同質の素材から構成されるリサイクルに適した発泡樹脂材を少ない作業工数で成形できる。
即ち、溶融充填工程で凹型金型12a近傍の発泡性原料を部分的に溶融させてその後固化させることから、製品の外装面に適するような高硬度の溶融固化層32を備える発泡樹脂材を成形することができる。また、発泡溶着工程で残りの発泡性原料を発泡溶着させることから、所望の発泡率(衝撃吸収性)を有する半溶融層34を備える発泡樹脂材を成形することができる。また、使用される発泡性原料は同質であることから、同質の素材から構成されるリサイクルに適した発泡樹脂材を成形することができる。そして、溶融充填工程と発泡溶着工程は同一の金型装置10で行われることから、当該発泡樹脂材を少ない作業工数で成形することができる。
また、発泡溶着工程の後に、金型キャビティの内部容積を増大させる金型容積増大工程と、増大させた内部容積に前記発泡性材料を充填する充填工程と、少なくとも充填工程で充填された発泡性原料を発泡溶着させる第2の発泡溶着工程とを設けたので、溶融固化層32と半溶融層34に加え、より高い発泡率(衝撃吸収性)を有する高発泡層36を備える発泡樹脂材を成形することができる。また、金型容積増大工程と充填工程と第2の発泡溶着工程も同一の金型装置10で行われることから、当該発泡樹脂材を少ない作業工数で成形することができる。
また、発泡溶着工程と金型容積増大工程の間に、溶融充填工程と発泡溶着工程とを少なくとも1回繰り返すので、より厚い溶融固化層32を備える発泡樹脂材を成形することができる。また、半溶融層34における溶融固化層32側の発泡率を溶融固化層32の発泡率に、高発泡層36側の発泡率を高発泡層36の発泡率に近づけることができ、よって溶融固化層32と高発泡層36の接合性に優れた半溶融層34を備える発泡樹脂材を成形することができる。
また、発泡溶着工程の後に、凹型金型12aを加熱して発泡性原料の一部を再び溶融させる再溶融工程を設けたので、より高硬度の溶融固化層32を備える発泡樹脂材を成形することができる。
また、発泡溶着工程と金型容積増大工程の間に、凹型金型12aを加熱して発泡性原料の一部を再び溶融させる再溶融工程を設けると共に、再溶融工程と金型容積増大工程の間に、溶融充填工程と発泡溶着工程と再溶融工程とを少なくとも1回繰り返すので、より一層高硬度の溶融固化層32を備える発泡樹脂材を成形することができる。また、より厚い溶融固化層32を備える発泡樹脂材を成形することができる。また、半溶融層34における溶融固化層32側の発泡率を溶融固化層32の発泡率に、高発泡層36側の発泡率を高発泡層36の発泡率に近づけることができ、よって溶融固化層32と高発泡層36の接合性に優れた半溶融層34を備える発泡樹脂材を成形することができる。
また、当該発泡樹脂材の金型装置10にあっては、凹型金型12aの近傍に配置されると共に、発泡性原料の一部を溶融可能な温度まで凹型金型12aを加熱する金型加熱装置を備えるので、凹型金型12aを容易に加熱することができ、よって簡易な構成の金型装置10を用いて当該製造方法を使用することができる。
また、金型加熱装置は、凹型金型12aの背面側に形成される2重チャンバ12cと、2重チャンバ12cに高圧蒸気を供給する高圧蒸気供給管22とからなる如く構成したので、発泡溶着工程(第2の発泡溶着工程も含む)の発泡溶着に用いられる蒸気と同一のユーティリティを用いて凹型金型12aを加熱することができ、よって簡易な構成の金型装置10を用いて当該製造方法を使用することができる。
また、凸型金型14aの移動部材14a2に接続されると共に、凸型金型14aの移動部材14a2をその固定部材14a1に対して移動させるエアシリンダ25を備えるので、金型キャビティの内部容積を容易に増大させることができ、よって汎用の金型装置を利用して当該製造方法を使用することができる。
以上のように、この発明の実施例にあっては、発泡性原料から成形される発泡樹脂材であって、前記発泡性原料を溶融固化させて成形される第1層(溶融固化層32)と、前記第1層に積層されると共に、前記発泡性原料を発泡溶着させて成形される第2層(高発泡層36)と、前記第1層と前記第2層の間に積層されると共に、前記第2層の発泡率に比して小さい発泡率を有するように前記発泡性原料を発泡溶着させて成形される中間層(半溶融層34)とからなり、前記第1層(溶融固化層32)と中間層(半溶融層34)の成形に用いられる前記発泡性原料が同一の発泡性原料であり、前記中間層(半溶融層34)の発泡率は、前記第1層(溶融固化層32)に近づくにつれて小さくなると共に、前記発泡性原料は、ブタジエンを5〜20質量%含有する如く構成した。
尚、上記において、S10からS20までの工程を1度繰り返すようにしたが、2回以上繰り返しても、逆に繰り返さなくても良い。また、繰り返すに際し、一部の工程を省略しても良い。
また、S24の充填工程で充填する発泡性原料として、S12の溶融充填工程で充填する発泡性原料に比して高い予備発泡率(10〜70倍)を有するものを用いたが、同一のものを用いても良い。
また、S22の金型容積増大工程において増大する容積を分割すると共に、予備発泡率の異なる発泡性原料を充填することにより、発泡率の異なる多層の高発泡層を成形しても良い。
また、S12の1回目の溶融充填工程、2回目の溶融充填工程、S24の充填工程において同質の素材の発泡性原料を充填したが、リサイクル性を考慮した上であれば、異なる素材の発泡性原料を充填しても良い。
また、溶融固化層側の成形品の表面を滑らかな(光沢感がある)ものとしたが、シボ加工を行っても良い。
この発明に係る発泡樹脂材の製造方法に使用される成形機の一部の断面図である。 この発明に係る発泡樹脂材の製造方法を示す工程図である。 図2の溶融充填工程を模式的に示す説明図である。 図2の型プレス工程を模式的に示す説明図である。 図4の金型キャビティ付近の拡大図である。 図2の発泡溶着工程を模式的に示す説明図である。 図2の再溶融工程を模式的に示す説明図である。 図2の冷却工程を模式的に示す説明図である。 図2の溶融充填工程の2回目のものを示す説明図である。 図2の金型容積増大工程を模式的に示す説明図である。 図2の充填工程を模式的に示す説明図である。 図2の第2の発泡溶着工程を模式的に示す説明図である。 図12の金型キャビティ付近の拡大図である。 図2の第2の冷却工程を模式的に示す説明図である。 図2に示す製造工程を経て成形された成形品(製品)の外観を示す写真図である。 図15に示す成形品の断面を拡大して示す写真図である。 図15に示す成形品の半溶融層による接合力をその発泡率に対して示すグラフである。
符号の説明
S12 溶融充填工程、S16 発泡溶着工程、S18 再溶融工程、S22 金型容積増大工程、S24 充填工程、S26 第2の発泡溶着工程、32 溶融固化層(第1層)、34 半溶融層(中間層)、36 高発泡層(第2層)

Claims (1)

  1. 発泡性原料から成形される発泡樹脂材であって、前記発泡性原料を溶融固化させて成形される第1層と、前記第1層に積層されると共に、前記発泡性原料を発泡溶着させて成形される第2層と、前記第1層と前記第2層の間に積層されると共に、前記第2層の発泡率に比して小さい発泡率を有するように前記発泡性原料を発泡溶着させて成形される中間層とからなり、前記第1層と中間層の成形に用いられる前記発泡性原料が同一の発泡性原料であり、前記中間層の発泡率は、前記第1層に近づくにつれて小さくなると共に、前記発泡性原料は、ブタジエンを5〜20質量%含有することを特徴とする発泡樹脂材。
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