JP4896843B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば有機EL(エレクトロルミネセンス)素子の製造工程等において、ITO(インジウム酸化スズ)層と、SiN(窒化珪素)等の無機珪素化合物層と、PI(ポリイミド)等の樹脂層を有する被処理物の表面を処理する方法に関し、特にITO層及び無機珪素化合物層に対しては親水性(親液性)を確保ないしは向上させ、樹脂層に対しては撥水性(撥液性)を確保ないしは向上させる表面処理方法に関する。
特許文献1に記載の有機EL素子の製造方法によれば、ITO基板にポリイミドのバンクを設け、酸素プラズマでITOの表面を親水化し、続いて、CFプラズマでポリイミドバンクを撥水化している。これにより、バンク内に注入されるインクが、ITOの表面になじむ一方、バンクを超えて流れ出るのが防止される。
特許文献2によれば、バンクが上下2層になっており、上層バンクはポリイミド樹脂で構成され、下層バンクはSiO(酸化珪素)で構成されている。酸素プラズマの照射とそれに続くCFプラズマの照射の後、大気中に放置すると、大気中の水蒸気によってSiOの親水性が向上する一方、ITO電極の親水性が劣化することが示されている。
特許文献3によれば、下層バンクの材質としてSiOの他、SiNが挙げられている。
特開2002−372921号公報(段落0191〜0193) 特開2007−44582号公報(段落0037〜0044、図4) 特開2007−95415号公報
有機EL素子等の電子デバイスにおいて、上記下層バンク等に用いられるSiN層の表面は、ITO電極と同程度の親水性が求められる。しかし、SiNは、ポリイミド樹脂の撥水化処理の際のCFプラズマによって親水性が損なわれる。SiOについても処理条件によっては同様の現象が起きる可能性がある。これを回復するために、特許文献2と同様の水蒸気処理を行なうことが考えられるが、そうすると今度はITO電極の親水性が劣化する。また、特許文献2では、SiO層を大気中に1時間も放置して水蒸気と接触させており、処理に時間がかかる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、有機EL素子となるべき被処理物の表面に、ITOと、SiNやSiO等の無機珪素化合物と、ポリイミド等の樹脂との3つの層が存在する場合、ITOと無機珪素化合物については親水性を確保ないしは向上させ、樹脂については撥水性を確保ないしは向上させることが短時間で可能な表面処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ガラス基板上に設けられた電極となる複数のITO層と、隣り合う前記ITO層どうし間に設けられた絶縁隔壁となるSiNやSiO等の無機珪素化合物の層と、前記無機珪素化合物層上に積層されたバンクとなるポリイミド等の樹脂層とがそれぞれ露出された被処理物表面処理して有機EL素子を製造する方法であって、
ハロゲン含有ガスをプラズマ化(分解、励起、ラジカル化、活性化、イオン化等を含む)して前記被処理物に接触させる第1工程と、
前記被処理物を水性の洗浄液で洗浄し、乾燥させる第2工程と、
実質的にハロゲン非含有の不活性ガスをプラズマ化して前記被処理物に接触させる第3工程と、
を順次実行し、前記第3工程の後、前記無機珪素化合物層及び前記樹脂層にて囲まれた前記各ITO層上の凹部内に発光層となる水性のインクを供給することを特徴とする。
前記第1工程によって、樹脂層を撥水化できる。一方、SiN等の無機珪素化合物層については親水性が低下する傾向がある。次に、前記第2工程を行なうことによって、無機珪素化合物層の親水性を回復することができる。一方、ITO層については洗浄によって親水性が低下する傾向がある。次に、第3工程を行なうことによって、ITO層の親水性を回復することができる。
前記第1工程で用いるハロゲン含有ガスが、フッ素化合物を含むことが好ましい。フッ素化合物としては、CF、C、CHF等のフッ素化合物が挙げられる。これにより、第1工程において、フッ素系活性種がSiN等の無機珪素化合物の表面に接触し、表層にフッ化膜が形成される。このフッ化膜の成分は、フッ化アンモニウム((NH)または珪フッ化アンモニウム(Si(NH)と推察され、SiN等の無機珪素化合物自体と比べると撥水性である一方、水溶性が極めて高い。したがって、第2工程の洗浄によって簡単に除去することができる。
なお、SiNの対水接触角は、10°以下であるのに対し、上記フッ化アンモニウムなどからなる表層膜の対水接触角は、20〜40°程度である。
前記ハロゲン含有ガス中のハロゲンは、フッ素の他、塩素などの他のハロゲンであってもよい。
前記第2工程で用いる洗浄液は、水であることが好ましい。これによって、コストを削減できるとともに、SiN等の無機珪素化合物層の親水性を確実に回復させることができる。
前記洗浄液は、アルコールを含んでいてもよい。これにより、洗浄後の乾燥を効率化することができる。前記洗浄液として、水とアルコールの混合液を用いてもよい。
前記洗浄液は、前記被処理物の表面上を通過するように流れる液流状態であるのが好ましい。これにより、洗浄液中に溶解した表層膜成分を洗浄液と共に確実に排出することができる。
洗浄液を被処理物に霧状に吹き付けた後、エアナイフ等のガス流を吹き付けて上記被処理物に付着した洗浄液を液流状態にし、被処理物の表面上から流出させることにしてもよい。
洗浄後の乾燥は、乾燥窒素または乾燥空気などの乾燥ガスを用いるのが好ましく、洗浄液を吹き飛ばすようにして乾燥させるのが好ましい。これによって、洗浄液中に溶けた表層膜成分が乾燥後の被処理物の表面に残留するのを防止することができる。
前記第3工程で用いる不活性ガスは、例えば窒素であるが、これに限定されるものではなく、アルゴン(Ar)を用いてもよく、ヘリウム(He)を用いてもよい。前記不活性ガスに酸素を微量混入したガスをプラズマ化して前記被処理物に接触させることにしてもよい。第3工程で用いる不活性ガスには、ハロゲン含有物質(CF等)が実質的に含まれていないことが好ましい。「実質的」とは、ハロゲン含有物質の濃度がゼロ、若しくはほぼゼロ、または第3工程における親水性付与作用を阻害しない範囲内であることを意味する。
第1工程および第3工程におけるプラズマ化は、大気圧(常圧)近傍の圧力下で行なうのが好ましい。ここで、大気圧近傍とは、1.013×104〜50.663×104Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×104〜10.664×104Paが好ましく、9.331×104〜10.397×104Paがより好ましい。プラズマ照射は、被処理物をプラズマ空間の外部に配置し、プラズマガスをプラズマ空間から噴き出して被処理物に当てる所謂リモート方式によるのが好ましい。
前記第3工程の処理量が、前記第1工程の処理量より小さいことが好ましい。
これによって、第3工程によって樹脂層の撥水性が損なわれるのを防止することができる。
ここで、処理量は、処理時間、供給ガスの流量、供給ガス中の撥水化または親水化に寄与する成分の濃度、プラズマ生成のための投入電力等を含む。
前記第3工程におけるプラズマ化したガスの噴出部に対する前記被処理物の移動速度が、前記第1工程におけるプラズマ化したガスの噴出部に対する前記被処理物の移動速度より大きいことが好ましい。
これによって、第3工程の処理時間を第1工程の処理時間より短くでき、第3工程によって樹脂層の撥水性が損なわれるのを確実に防止することができる。
前記第3工程におけるプラズマ化したガスの噴出部に対する前記被処理物の移動速度は、好ましくは5〜16mm/secであり、より好ましくは8〜12mm/secである。これによって、樹脂層の撥水性が損なわれるのを確実に防止できるとともに、ITO層の親水性を確実に回復させることができる。
本発明によれば、比較的短時間で、かつ確実にITO層と無機珪素化合物層については親水性(親液性)を向上ないし確保でき、樹脂層については撥水性(撥液性)を向上ないし確保することができる。
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、EL素子となるべき被処理物10を示したものであり、ガラス基板11上にITO電極12(ITO層)が設けられている。
隣り合うITO電極12,12どうしの間には、絶縁隔壁(又は下層バンク)として無気珪素化合物であるSiNの層13が設けられている。SiNの成膜は、例えばシラン(SiH)やアンモニア(NH)を原料とするCVDによってなされる。成膜工程後のSiN層13の表面には、一般に汚染膜13aが付着している。汚染膜13aの多くは炭素を含有する有機系であり、これがSiN層13の親水性を妨げている。
SiN層13の上に、バンクとして有機化合物のポリイミド(PI)からなる樹脂層14が積層されている。
この段階で、ITO電極12の中央部分とSiN層13の側端部とポリイミド樹脂層14の表面がそれぞれ露出されている。
各ITO電極12上の層13,14で囲まれた凹部15内に発光層(図示省略)を形成するのに先立ち、ITO電極12とSiN層13の露出面の親水性(目標接触角10°以下)を確保するとともに、樹脂層14の表面の撥水性(目標接触角90°以上)を確保するために、以下の表面処理を行なう。
第1工程
図2に示すように、第1工程ではプラズマ表面処理を行なう。プラズマ生成には、例えばリモート式の大気圧プラズマ処理装置を用いる。詳細な図示は省略するが、大気圧プラズマ処理装置は、少なくとも一対の電極を有し、これら電極間への電界印加によって大気圧プラズマ放電が生成されるようになっている。この電極間に、ハロゲン含有化合物のCFをNで希釈したハロゲン含有ガスを導入する。CF濃度は、CF/(CF+N)=0.1〜1vol%程度が好ましい。CF濃度が0.1vol%より少ないと撥水性を発揮しない。CF濃度が1%より多くてもよいが、そうするとエッチング速度が速くなり、SiN層12が消失することがある。また、PFC削減の観点から好ましくない。
CFとNの混合ガスが、上記電極間の大気圧プラズマ空間でプラズマ化され、フッ素系活性種等が生成される。このプラズマ化したガスを、上記電極間空間に連なる噴出部21から噴出して被処理物10に吹付ける。これによって、ポリイミド樹脂層14の表層にフッ素化物の撥水膜14aが形成され、良好な撥水性が発現する。
また、SiN層13の露出面の汚染層13aが除去される。
一方、プラズマ照射を終了すると、SiN層13の露出面にフッ素含有膜13bが形成される。膜13bの厚さは、1〜2nm程度である。膜13bの成分はフッ化アンモニウム((NH)または珪フッ化アンモニウム(Si(NH)等であると考えられる。膜13b中のフッ素(F)は、プラズマガス中のフッ素成分に由来する。水素(H)は、SiN層13に含有されていたものであり、成膜工程時の成膜原料(例えばSiH、NH)に由来する。このフッ素含有膜13bによってSiN層13の親水性が損なわれ、対水接触角は、C.A.=20〜40°程度になる。
プラズマ照射と併行して、被処理物10を移動手段22によってプラズマ噴出部21に対し相対移動させる。この移動速度は、例えば8〜12mm/secが好ましい。
プラズマ噴出部21が位置固定され、被処理物10が移動されるようになっていてもよく、被処理物10が位置固定され、プラズマ噴出部21が移動されるようになっていてもよい。
リモート式大気圧プラズマ処理装置は、電極間のプラズマ空間の内部ではなく外部に被処理物10が配置されるため、被処理物10に設けられたEL素子用のTFT回路等(図示省略)がプラズマで損傷するのを防止することができる。
第2工程
次に、図3に示すように、被処理物10の表面を水性の洗浄液fの液流で洗浄する。水性の洗浄液fとして水(HO)を用いる。上記SiN層13の表層を構成するフッ化アンモニウム及び珪フッ化アンモニウムの膜13bは、水溶性が高い。したがって、洗浄水fによって簡単に溶解され、洗浄水fと共に排出される。洗浄時間は、1秒〜数秒程度で十分である。これによって、親水性の高いSiN(対水接触角C.A.=10°以下)が露出される。一方、ITO電極12については、水との接触によって表面に撥水基12aが付着するものと考えられ、親水性が劣化する。一般に、ITO電極12の第1工程終了時における対水接触角は10°以下であるのに対し、第2工程の洗浄によって20〜30°程度になる。
次に、乾燥窒素または乾燥空気からなる乾燥ガスを被処理物10に吹き付け、SiN層13上の洗浄水fを吹き飛ばすとともに蒸発させ、乾燥させる。乾燥時間は数秒程度で十分である。これにより、洗浄水f中に溶け込んだフッ素含有膜13bの成分が乾燥後の被処理物10上に残留するのを確実に防止することができる。
第3工程
次に、図4に示すように、被処理物10にNプラズマ(不活性ガスプラズマ)を照射する。プラズマ生成は、上記第1工程と同様の例えばリモート式大気圧プラズマ処理装置を用いるとよく、上記第1工程と同一の装置を用い、供給するガス種だけを変えることにしてもよい。供給ガスはNの純ガスを用い、撥水化作用を有するCF等のハロゲン含有物質は含有させない。このN100%のガスを電極間の大気圧プラズマ空間に導入してプラズマ化し、Nプラズマを得る。このNプラズマをプラズマ噴出部21から噴出して被処理物10に接触させる。これによって、ITO電極12の表面の撥水基12aを除去でき、ITO電極12の親水性を回復することができる。
プラズマ照射と併行して、移動手段22によって被処理物10をプラズマ噴出部21に対し相対移動させる。この移動速度は、上記第1工程での移動速度以上であるのが好ましく、例えば5〜16mm/secが好ましく、8〜12mm/secがより好ましい。これによって、第3工程の処理時間(処理量)を第1工程以下にでき、ポリイミド樹脂層14の撥水性が損なわれるのを防止することができる。プラズマ処理装置がリモート式であるため、被処理物10のTFT回路等の損傷を防止できることは、第1工程と同様である。
このようにして、ITO電極12とSiN層13の表面については親水性を確保でき、ポリイミド樹脂層14の表面については撥水性を確保することができる。しかも、第1〜第3の各工程に要する所要時間が短く、全工程を短時間で終了することができる。
その後、各凹部15に正孔注入層となる水性のインクを充填し、さらに発光層となる水性のインクを充填する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、種々の改変をなすことができる。
例えば、絶縁隔壁13を構成する無機珪素化合物は、SiNに限られず、SiOであってもよい。
第1工程において、供給ガスは、CFに限られず、C、CHF等の他のハロゲン化合物を用いてもよい。
第2工程の洗浄液fとして、水に代えてアルコールを用いてもよく、水とアルコールの混合液を用いてもよい。アルコールは蒸発し易く、洗浄後の乾燥を一層短時間で行なうことができる。
洗浄液は、被処理物10に当初から液流状態で供給されるものに限られず、例えば霧吹き器で霧状に吹き付けられることにより被処理物10に付着して静止するようになっており、その後、エアナイフ等のガス流を吹き付けて上記付着した洗浄液を液流状態にし、被処理物10の表面上から流出させることにしてもよい。
図5に示すように、第3工程において、Nに微量の酸素(O)を混入してプラズマ化し、NとOの混合ガスのプラズマを被処理物10に照射することにしてもよい。酸素の混入量は、200〜1000ppmが好ましい。また、第3工程の不活性ガスとして、Nに代えて、Ar、He等の他の不活性ガスを用いてもよく、これら他の不活性ガス(Ar、He等)に微量の酸素を混入してもよい。
第3工程において、供給ガス流量やプラズマ生成用の投入電力を第1工程より小さくしてもよい。
第1、第3工程のプラズマ処理は、大気圧近傍で行なうものに限られず、減圧下で行なうことにしてもよい。
実施例を説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
ITO層とSiN層とポリイミド樹脂層とがそれぞれ露出した試料を用意した。
第1工程
装置としてリモート式大気圧プラズマ処理装置を用い、CFをNで希釈したガスをプラズマ化して上記試料に吹き付けた。供給ガス中のCFの濃度は、CF/N=0.7vol%とし、供給ガス流量は20L/minとした。プラズマ生成の投入電力は190W(190V、1A)とした。プラズマ処理装置の噴射口と試料との間の間隔は1mmとし、プラズマ処理装置のプラズマ噴射部21に対する試料の移動速度は5mm/secとした。
第2工程
第1工程後の試料を純水の流液fで洗浄した。液fの流量は、5mLとした。洗浄時間は約1秒であった。
洗浄後、乾燥窒素で乾燥させた。噴き付け時間は2〜3秒であった。
乾燥後、各層の対水接触角を測定した。図6の一点鎖線PIに示すように、ポリイミド樹脂層の対水接触角は、約90°であった。同図の一点鎖線ITOに示すように、ITO層の対水接触角は、約30°であった。同図の一点鎖線SiNに示すように、SiN層の対水接触角は、約5°であった。
第3工程
次いで、試料にNプラズマを照射した。装置として第1工程と同様のリモート式大気圧プラズマ処理装置を用いた。供給ガスとして100%のNガスを用い、流量は20L/minとした。プラズマ生成の投入電力は190W(190V、1A)とした。プラズマ処理装置の噴射口と試料との間の間隔は1mmとし、プラズマ処理装置のプラズマ噴射部21に対する試料の移動速度を5〜16mm/secの範囲で調節した。
第3工程後の各層の対水接触角を移動速度ごとに測定したところ、図6に示すように、移動速度5〜16mm/secの範囲では、ITO層の接触角が第3工程前より小さくなり、ITO層の親水性を回復できた。ただし、移動速度が16mm/secの場合、回復の程度が比較的小さかった。また、SiN層の接触角がITO層の接触角に近くなり、ITO層とSiN層の親水性能を略同等にすることができた。一方、ポリイミド樹脂層については、接触角が第3工程前より大きくなり、却って撥水性が向上した。
この結果、移動速度5〜16mm/secの範囲では、ITO、SiN、及びポリイミド樹脂の各層について、EL素子用のITO電極12、絶縁隔壁13、バンク14としての親水性能ないしは撥水性能を十分に確保できることが判明した。
第1工程及び第2工程までは上記実施例1と同じとした。第3工程において、供給ガスのNにOを500ppm混入してプラズマ化し、これを試料に吹き付けた。第3工程の他の条件は実施例1と同じとした。
第3工程後の各層の対水接触角の測定結果を、図7に示す。
実施例1と同様に、ITO層の接触角を第3工程前より小さくでき、親水性を回復できた。ただし、移動速度が5mm/sec及び16mm/secの場合は、回復の程度が比較的小さかった。
SiN層については第3工程前とほぼ同じ親水性を維持できた。
一方、ポリイミド樹脂層については、移動速度が8〜16mm/secの範囲では撥水性の向上が見られたが、5mm/secでは接触角が第3工程前より小さくなり、撥水性が劣化した。したがって、供給ガスにOを混入する場合、移動速度は8mm/sec以上が好ましいことが判明した。
実施例1、2を総合すると、移動速度は8〜12mm/secがより好適であることが判明した。
本発明は、有機EL素子の製造に利用可能である。
本発明の第1実施形態に係る被処理物を、第1工程前の状態で示す断面図である。 第1工程における被処理物を示す断面図である。 第2工程の洗浄時における被処理物を示す断面図である。 第3工程における被処理物を示す断面図である。 本発明の他の実施形態を示し、第3工程における被処理物の断面図である。 実施例1による第3工程後の対水接触角を示すグラフである。 実施例2による第3工程後の対水接触角を示すグラフである。
符号の説明
10 被処理物
11 ガラス基板
12 ITO電極(ITO層)
12a 撥水基
13 SiN層(無機珪素化合物層)
13a 汚染膜
13b フッ素含有膜
14 ポリイミド層(樹脂層)
14a 撥水膜
21 リモート式大気圧プラズマ処理装置の噴出部
22 上記処理装置の移動手段
洗浄液

Claims (11)

  1. ガラス基板上に設けられた電極となる複数のITO層と、隣り合う前記ITO層どうし間に設けられた絶縁隔壁となる無機珪素化合物層と、前記無機珪素化合物層上に積層されたバンクとなる樹脂層とがそれぞれ露出された被処理物表面処理して有機EL素子を製造する方法であって、
    ハロゲン含有ガスをプラズマ化して前記被処理物に接触させる第1工程と、
    前記被処理物を水性の洗浄液で洗浄し、乾燥させる第2工程と、
    実質的にハロゲン非含有の不活性ガスをプラズマ化して前記被処理物に接触させる第3工程と、
    を順次実行し、前記第3工程の後、前記無機珪素化合物層及び前記樹脂層にて囲まれた前記各ITO層上の凹部内に発光層となる水性のインクを供給することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記無機珪素化合物層が、SiNにて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記第3工程の処理量が、前記第1工程の処理量より小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記第3工程におけるプラズマ化したガスの噴出部に対する前記被処理物の移動速度が、前記第1工程におけるプラズマ化したガスの噴出部に対する前記被処理物の移動速度より大きいことを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記第3工程におけるプラズマ化したガスの噴出部に対する前記被処理物の移動速度が、5〜16mm/secであること特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記第3工程におけるプラズマ化したガスの噴出部に対する前記被処理物の移動速度が、8〜12mm/secであること特徴とする請求項5に記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 前記ハロゲン含有ガスが、フッ素化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記不活性ガスが、窒素であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 前記第3工程において前記不活性ガスに酸素を微量混入したガスをプラズマ化して前記被処理物に接触させることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  10. 前記洗浄液が、水であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
  11. 前記洗浄液が、前記被処理物の表面上を流れる液流状態であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
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