JP4894694B2 - 車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法 - Google Patents
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以下、本発明を、自動二輪車両の制動制御装置及び自動二輪車両の制動制御方法に具体化した第1の実施形態を図1〜図4に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。
各液圧回路20f,20rは、マスタシリンダ16f,16r内のブレーキ液をホイールシリンダ19f,19rに向けて流動させるための上流側ブレーキ液路24f,24rと、各ホイールシリンダ19f,19rから流出したブレーキ液が流動する下流側ブレーキ液路25f,25rとをそれぞれ備えた構成とされている。各液圧回路20f,20r上には、ホイールシリンダ19f,19r側から下流側ブレーキ液路25f,25r内を流動してきたブレーキ液を一時貯留するリザーバ26f,26rと、リザーバ26f,26r内に一時貯留されているブレーキ液を内部に吸引して上流側ブレーキ液路24f,24r側に吐出するポンプ27f,27r(例えば、ピストンポンプ)とがそれぞれ設けられている。これら各ポンプ27f,27rは、共通のモータM(本実施形態では直流モータ)の回転に基づきそれぞれ駆動するようになっている。
ECU15は、入力側インターフェース(図示略)と、出力側インターフェース(図示略)と、CPU40、ROM41、RAM42、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory )43などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路とを主体として構成されている。ECU15の入力側インターフェースには、上記各ブレーキスイッチSW1,SW2、各車輪FW,RWの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE1,SE2、及び自動二輪車両の車体加速度を検出するための車体加速度センサSE3、及び自動二輪車両のイグニッションスイッチIGSWが電気的に接続されている。なお、車体加速度センサSE3は、車両が加速した場合にはECU15が正の値を示すような信号を出力する一方、車両が減速した場合にはECU15が負の値を示すような信号を出力するように構成されている。
図2に示すテーブルには、各液圧回路20f,20rにおいて第2開閉弁32f,32rよりも上流側となる負圧解消用液路33f,33rと下流側ブレーキ液路25f,25rとを連通させる連通制御に関して、連通液路28f,28r上の第1開閉弁31f,31r及び第2開閉弁32f,32rの駆動態様を示す駆動パターンが記憶されている。この駆動パターンに基づく連通制御では、該連通制御が開始された時点から第1弁制御時間Tvm1(本実施形態では20msec. (ミリ秒))が経過するまでの間、第1開閉弁31f,31rのソレノイドを通電にすることで第1開閉弁31f,31rの閉じ状態が維持される。また、連通制御が開始された時点から第2弁制御時間Tvm2(本実施形態では5msec. )が経過した場合には、第2開閉弁32f,32rのソレノイドへの通電を開始することで第2開閉弁32f,32rが開き状態になる。
さて、連通制御が実行されると、第1開閉弁31f,31rが閉じ状態になると共に第2開閉弁32f,32rが開き状態になる。すると、下流側ブレーキ液路25f,25rは、液圧回路20f,20rにおいて第2開閉弁32f,32rと第1開閉弁31f,31rとの間の負圧解消用液路33f,33rと連通状態になり、負圧解消用液路33f,33rから下流側ブレーキ液路25f,25r内にブレーキ液が流入する。その結果、負圧解消用液路33f,33r内は、該負圧解消用液路33f,33rから下流側ブレーキ液路25f,25r側に流動したブレーキ液の液量分だけ、上流側ブレーキ液路24f,24rに対して負圧になる。そして次に、第2開閉弁32f,32rが閉じ状態になると共に第1開閉弁31f,31rが開き状態になった場合、負圧解消用液路33f,33r内には上流側ブレーキ液路24f,24rからブレーキ液が流入し、負圧解消用液路33f,33r内の上流側ブレーキ液路24f,24rに対する負圧が解消される。その後、第1開閉弁31f,31rが閉じ状態になると共に第2開閉弁32f,32rが開き状態になると、負圧解消用液路33f,33rのブレーキ液の一部が、下流側ブレーキ液路25f,25r内にブレーキ液が流入する。
(1)非ブレーキ操作判定条件Aが成立していないことに起因した連通制御の実行の規制が連続した回数(即ち、規制回数RC)が規制回数閾値KRC以上になった場合には、報知制御及び連通制御が実行される。そのため、報知制御の実行により、下流側ブレーキ液路25f,25r内の上流側ブレーキ液路24f,24rに対する負圧が大きくなってしまったことを運転手に報知できる。また、連通制御の実行により、下流側ブレーキ液路25f,25r内の上流側ブレーキ液路24f,24rに対する負圧を解消できる。したがって、運転手によるブレーキ操作によってABS制御が実行された場合に、ブレーキレバー22やブレーキペダル23の操作量に対して運転手が感じる違和感を低減させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図5〜図7に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第2制動機構14の構成、及びイグニッションスイッチが「オン」である場合に連通制御を定期的に実行する点が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
さて、連通制御処理ルーチンにおいて、ECU15は、上記ステップS10,S11に相当するステップS40,S41の各判定処理を順番に実行する。そして、ステップS40,S41の各判定結果のうち少なくとも一方が否定判定である場合、ECU15は、連通制御処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS40,S41の各判定結果が共に肯定判定である場合、ECU15は、最後に連通制御が実行されてからの第1経過時間T1を更新する(ステップS42)。なお、本実施形態では、第1経過時間T1の初期値は、後述する第1経過時間閾値KT1と同等の値である。
(7)本実施形態では、連通制御は、自動二輪車両のイグニッションスイッチIGSWが「オン」になった直後だけではなく、自動二輪車両の走行中に定期的(第1経過時間閾値KT1毎)に実行される。しかし、連通制御を実行するタイミングで非ブレーキ操作判定条件Aが成立していない場合には連通制御が実行されることなく、第1経過時間T1に「0(零)」がセットされる。そこで、本実施形態では、自動二輪車両の走行中に定期的に実行されるべき連通制御の実行が規制された場合でも規制回数RCが更新される。そのため、自動二輪車両の走行中に定期的に実行されるべき連通制御が実行されなかった場合においても、規制回数RCが規制回数閾値KRC以上になったときには、連通制御が実行される。そのため、自動二輪車両の走行中に、下流側ブレーキ液路25f,25r内の上流側ブレーキ液路24f,24rに対する負圧を解消できる。
・各実施形態において、規制回数RCが規制回数閾値KRC以上になった場合には、報知制御及び連通制御のうち何れか一方のみが実行されるようにしてもよい。ただし、報知制御のみを実行する場合には、連通制御を強制的に実行させる際に運転手が操作するための操作部を自動二輪車両に設けることが望ましい。
・各実施形態において、連通制御時において、第1開閉弁31f,31rが開き状態である場合に第2開閉弁32f,32rも開き状態になるようにしてもよい。このように構成した場合、連通制御が実行されると、下流側ブレーキ液路25f,25r内には、上流側ブレーキ液路24f,24rからブレーキ液が一気に流入することになるため、連通制御の実行時間を短くできる。なお、この場合には、連通制御の実行時に非ブレーキ操作判定条件Aが非成立になったときには、連通制御の実行を中止させることが望ましい。
・各実施形態において、報知手段は、下流側ブレーキ液路25f,25r内に上流側ブレーキ液路24f,24rに対する負圧が発生していることを音声にて報知するスピーカなどであってもよい。
Claims (5)
- 運転手によるブレーキ操作手段(22,23)の操作に基づきブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ(16f,16r)と、該マスタシリンダ(16f,16r)から供給されたブレーキ液のブレーキ液圧に応じた制動力を対応する車輪(FW,RW)に付与するためのホイールシリンダ(19f,19r,50)と、該ホイールシリンダ(19f,19r,50)から流出したブレーキ液を貯留するためのリザーバ(26f,26r)と、該リザーバ(26f,26r)内に貯留されているブレーキ液を吸引して前記マスタシリンダ(16f,16r)側から前記ホイールシリンダ(19f,19r,50)に向けてブレーキ液を流動させるための上流側ブレーキ液路(24f,24r)に吐出するポンプ(27f,27r)と、前記上流側ブレーキ液路(24f,24r)と前記ホイールシリンダ(19f,19r,50)から前記リザーバ(26f,26r)に向けてブレーキ液を流動させるための下流側ブレーキ液路(25f,25r)との間に配置された開閉弁(29f,29r,30f,30r,31f,31r,32f,32r)と、を有する制動装置(11)の駆動を制御するために、前記ブレーキ操作手段(22,23)が非操作状態であることを判断するための非ブレーキ操作判定条件(A)が成立している場合には前記開閉弁(29f,29r,30f,30r,31f,31r,32f,32r)よりも前記マスタシリンダ(16f,16r)側となるブレーキ液路(25f,25r,33f,33r)と前記下流側ブレーキ液路(25f,25r)とを連通するために前記開閉弁(29f,29r,30f,30r,31f,31r,32f,32r)を開閉駆動させる連通制御を実行する一方、前記非ブレーキ操作判定条件(A)が非成立である場合には前記連通制御の実行を規制する制御手段(15)を備える車両の制動制御装置(15)であって、
前記非ブレーキ操作判定条件(A)が非成立であることによって前記連通制御の実行が規制された規制回数(RC)を計測する規制回数計測手段(S20、S52)をさらに備え、
前記制御手段(15)は、前記規制回数計測手段(S20、S52)によって計測された規制回数(RC)が予め設定された規制回数閾値(KRC)以上である場合に、その旨を報知手段(LP)が報知する報知制御及び前記連通制御のうち少なくとも一方を実行する車両の制動制御装置。 - 前記規制回数計測手段(S20、S52)によって計測された規制回数(RC)を記憶する不揮発性の記憶手段(43)をさらに備え、
前記制御手段(15)は、前記記憶手段(43)に記憶されている規制回数(RC)が前記規制回数閾値(KRC)以上である場合に、前記報知制御及び前記連通制御のうち少なくとも一方を実行する請求項1に記載の車両の制動制御装置。 - 前記制御手段(15)は、車両のイグニッションスイッチ(IGSW)が「オン」になった場合において前記記憶手段(43)に記憶されている前記規制回数(RC)が前記規制回数閾値(KRC)以上であるときには、前記報知制御及び前記連通制御のうち少なくとも一方を実行する請求項2に記載の車両の制動制御装置。
- 前記制御手段(15)は、車両のイグニッションスイッチ(IGSW)が「オン」になった場合において前記非ブレーキ操作判定条件(A)が成立しているときに、前記連通制御を実行するようになっており、
前記規制回数計測手段(S20、S52)は、車両のイグニッションスイッチ(IGSW)が「オン」になった場合において前記非ブレーキ操作判定条件(A)が非成立であることに起因して前記連通制御の実行が規制された規制回数(RC)を計測する請求項2又は請求項3に記載の車両の制動制御装置。 - 運転手によるブレーキ操作手段(22,23)の操作に基づきブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ(16f,16r)と、該マスタシリンダ(16f,16r)から供給されたブレーキ液のブレーキ液圧に応じた制動力を対応する車輪(FW,RW)に付与するためのホイールシリンダ(19f,19r,50)と、該ホイールシリンダ(19f,19r,50)から流出したブレーキ液を貯留するためのリザーバ(26f,26r)と、該リザーバ(26f,26r)内に貯留されているブレーキ液を吸引して前記マスタシリンダ(16f,16r)側から前記ホイールシリンダ(19f,19r,50)に向けてブレーキ液を流動させるための上流側ブレーキ液路(24f,24r)に吐出するポンプ(27f,27r)と、前記上流側ブレーキ液路(24f,24r)と前記ホイールシリンダ(19f,19r,50)から前記リザーバ(26f,26r)に向けてブレーキ液を流動させるための下流側ブレーキ液路(25f,25r)との間に配置された開閉弁(29f,29r,30f,30r,31f,31r,32f,32r)と、を有する制動装置(11)の駆動を制御する車両の制動制御方法であって、
前記ブレーキ操作手段(22,23)が非操作状態であることを判断するための非ブレーキ操作判定条件(A)が成立している場合には前記開閉弁(29f,29r,30f,30r,31f,31r,32f,32r)よりも前記マスタシリンダ(16f,16r)側となるブレーキ液路(25f,25r,33f,33r)と前記下流側ブレーキ液路(25f,25r)とを連通するために前記開閉弁(29f,29r,30f,30r,31f,31r,32f,32r)を開閉駆動させる連通制御実行ステップ(S24、S56)と、
前記非ブレーキ操作判定条件(A)が非成立である場合には前記連通制御の実行を規制する連通制御規制ステップ(S12,S14,S16、S44,S46,S48)と、
該連通制御規制ステップ(S12,S14,S16、S44,S46,S48)が連続して実行された回数を規制回数(RC)として計測する規制回数計測ステップ(S20,S52)と、
該規制回数計測ステップ(S20,S52)によって計測された規制回数(RC)が予め設定された規制回数閾値(KRC)以上である場合に、その旨を報知手段(LP)が報知する報知制御及び前記連通制御のうち少なくとも一方を実行する規制解除ステップ(S22,S23、S54,S55)と
を有する車両の制動制御方法。
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