JP4891194B2 - N−(1(s)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−l−アラニンn−カルボキシ無水物の晶析法 - Google Patents
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Description
従来の化合物(1)の使用方法には、工業的に利用する上で幾つかの問題があった。例えば、反応液として次の工程で用いる場合では、溶媒置換工程を経ない限り、次工程での反応溶媒種が、N−カルボキシ無水物化反応(以降、NCA化反応と称する)での使用溶媒種、又は、NCA化反応での使用溶媒との混合溶媒に制限されることになる。また、溶液での移送と保管が必要となるため、汎用性のある中間体としての取り扱いに関して利便性が悪いという欠点がある。
本発明者らが化合物(1)の晶析を予備的に検討したところ、化合物(1)の結晶化は、工業的規模では油状化やスケーリングが非常に起こりやすく、工業的規模で安定的に結晶化を実施するのは難しいことが分かった。また、高純度でかつ粉体特性の良好な結晶として取得することが困難であることも判明した。
即ち、第二の本発明は、N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液へ脂肪族炭化水素溶媒を添加して該N−カルボキシ無水物を晶析する方法であって、60℃以下の温度で脂肪族炭化水素溶媒を1/4時間以上かけて逐次添加することで、該N−カルボキシ無水物の油状化及びスケーリングを抑制することからなる、N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の晶析法に関する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、上記化合物(1)の富溶媒溶液と脂肪族炭化水素溶媒を混合して化合物(1)を結晶化させる。化合物(1)の晶析を好適に実施するためには、脂肪族炭化水素溶媒の存在が必須である。
なかでも、CnH2n+2又はCnH2nで表されるC5−12の鎖状若しくは環状の飽和炭化水素類又はそれらの混合溶媒が好適である。晶析だけでなく、取得結晶の乾燥時間などを考慮すれば、工業的により好ましい脂肪族炭化水素溶媒は、CnH2n+2又はCnH2nで表されるC5−C10の飽和炭化水素類又はそれらの混合溶媒である。
第一の本発明においては、上記化合物(1)の富溶媒溶液と脂肪族炭化水素溶媒の混合は上記化合物(1)の富溶媒溶液を脂肪族炭化水素溶媒に添加する方法で実施される。
富溶媒溶液の添加時の温度は、60℃以下が好ましいが、本発明の効果を最大に発揮するためには、富溶媒溶液の添加時に−30〜50℃がより好ましく、−20〜45℃がさらに好ましい。
第一の本発明の晶析においては、予め脂肪族炭化水素溶媒中に一定量の化合物(1)の結晶を添加しておいた状態で、化合物(1)の富溶媒溶液を添加すると、油状化及びスケーリングをほとんど生じない、さらに良好な結晶化が実施可能である。具体的には、添加する富溶媒溶液中の該化合物(1)の全量に対して、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下の該化合物(1)の結晶(下限は普通0.1重量%である)を脂肪族炭化水素溶媒に添加して該化合物(1)の結晶スラリーを調製し、該スラリーに化合物(1)の富溶媒溶液を添加、好ましくは逐次添加することにより行う。
言うまでもないが、化合物(1)の富溶媒溶液全量を脂肪族炭化水素溶媒に長時間かけて徐々に連続又は分割添加することは、上記の該化合物(1)の結晶スラリーを一旦調製した後に、富溶媒溶液を添加する操作を連続して実施していることと同じであり、上記と同様の油状化及びスケーリングの抑制効果を期待できる。
添加終了時の富溶媒と脂肪族炭化水素溶媒との比率は、使用する富溶媒と脂肪族炭化水素溶媒の組み合わせや使用する化合物(1)の富溶媒溶液中の濃度により異なるが、脂肪族炭化水素溶媒に対する富溶媒の重量比率として、生産性などを考慮して、0.001〜1が好ましく、0.003〜1がより好ましく、0.003〜0.8がさらに好ましく、0.01〜0.5が特に好ましい。
第一の本発明では、富溶媒溶液の脂肪族炭化水素溶媒への添加が終了した後、析出している結晶を分離する前に、液温を25℃以下に調整して晶出量を高めることが好ましい。上記液温は、より好ましくは−30〜25℃であり、さらに好ましくは−20〜15℃の温度である。これにより、結晶を十分に析出させて、高回収率で結晶を取得できる。
本発明の晶析法は、化合物(1)の再結晶方法として使用することができるし、反応液からの化合物(1)の単離方法として使用することもできる。
晶析時に用いる溶媒種と上記NCA化反応で用いる溶媒種は必ずしも同一でなくとも良い。すなわち、本発明で使用する化合物(1)の富溶媒溶液としては、NCA化反応後、反応溶媒を含む低沸点成分(ホスゲンを使用した場合にはホスゲン、塩化水素ガス等を含む)を除去するために、1回又は複数回の濃縮操作を行ったものを用いてもよいし、反応溶媒を晶析に適した溶媒へ置換したものを用いてもよい。言うまでもなく、反応溶媒が晶析溶媒(富溶媒)を兼ねるのが好都合である。例えば、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類をNCA化反応溶媒として用い、NCA化試剤としてホスゲンを使用した場合では、反応後に濃縮して化合物(1)の濃度を調整して、これを化合物(1)の富溶媒溶液として好ましく用いることができる。
このようにして得られた結晶は、遠心分離や加圧濾過、減圧濾過などの一般的な固液分離操作により分離し、好ましくは脂肪族炭化水素溶媒で洗浄した後、必要に応じて、常圧乾燥、減圧乾燥(真空乾燥)などにより乾燥することができる。
第一の本発明によれば、該化合物(1)の油状化及びスケーリングを抑制しながら、良好に結晶化が実施でき、高回収率で該化合物(1)の結晶を取得することができる。
第二の本発明においては、上記化合物(1)の富溶媒溶液へ脂肪族炭化水素溶媒を添加して化合物(1)を結晶化させる。化合物(1)の晶析を好適に実施するためには、脂肪族炭化水素溶媒の存在が必須である。
上記脂肪族炭化水素溶媒としては特に制限されないが、例えば、ペンタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカンなどのCnH2n+2で表されるC5−12の鎖状の飽和炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、プロピルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサンなどのCnH2nで表されるC5−12の環状の飽和炭化水素類、及び、それらの混合溶媒等を挙げることができる。また、2−ペンテン、1−ヘキセン、シクロヘキセンなどのCnH2n又はCnH2n−2で表されるC5−12の不飽和炭化水素類、及び、それらの混合溶媒又はそれらと上記飽和炭化水素類の混合溶媒等も使用可能である。
なかでも、ペンタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン又はそれらの混合溶媒が好ましい。特に、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン又はそれらの混合溶媒が好適であり、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン又はそれらの混合溶媒がさらに好適である。
上記化合物(1)の富溶媒溶液への脂肪族炭化水素溶媒の添加は、逐次添加により行われる。逐次添加は、上記脂肪族炭化水素溶媒を連続的に添加することにより行ってもよいし、上記脂肪族炭化水素溶媒をいくつかに分割してそれらを順次添加することにより行ってもよい。
逐次添加にかける時間は、添加時の温度、濃度や攪拌状態によって異なるが、一般に所定の脂肪族炭化水素溶媒全量の添加を1/4時間以上かけて行う。大きな粒径の結晶を得るためには1/2時間以上かけて逐次添加を行うのが好ましく、1時間以上かけるのがより好ましい。
第二の本発明では、脂肪族炭化水素溶媒の添加時に、油状化やスケーリングを抑制するのに十分な攪拌を与えることが好ましい。撹拌の強さを単位体積当たりの攪拌所要動力として表した場合、単位体積当たりの攪拌所要動力として、一般に0.1kW/m3以上の攪拌力で攪拌しながら添加するのが好ましく、より好ましくは0.3kW/m3以上の撹拌力である。
上記予備晶析で予め作成するスラリーの懸濁量としては特に制限はないが、生産性などを考慮すると、晶析終了時点での該N−カルボキシ無水物全量の30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下であり、下限は通常0.1重量%である。
上記懸濁量を達成するための好ましい混合組成は、晶析濃度や使用する溶媒種類により一律に規定できないが、脂肪族炭化水素溶媒に対する富溶媒の重量比率は、化合物(1)の富溶媒溶液に脂肪族炭化水素溶媒を添加する場合、0.1〜10が好ましく、0.1〜5がより好ましく、0.1〜3がさらに好ましい。
上記N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液へ該N−カルボキシ無水物の結晶を添加して予備晶析のスラリーを作成する場合では、該N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液での濃度を飽和溶解度近辺以下にコントロールする方が好都合である。富溶媒溶液の該N−カルボキシ無水物の濃度や溶液温度を調整することにより、及び/又は、所定量の脂肪族炭化水素溶媒を添加することにより、実施することができる。
次に、第二の本発明の晶析での富溶媒と使用する脂肪族炭化水素の添加量の関係について説明する。
第二の本発明では、富溶媒溶液への脂肪族炭化水素溶媒の添加が終了した後、析出している結晶を分離する前に、液温を25℃以下に調整して晶出量を高めることが好ましい。上記液温は、より好ましくは−30〜25℃であり、さらに好ましくは−20〜15℃の温度である。これにより、結晶を十分に析出させて、高回収率で結晶を取得できる。
本発明の晶析法は、化合物(1)の再結晶方法として使用することができるし、反応液からの化合物(1)の単離方法として使用することもできる。
このようにして得られた結晶は、遠心分離や加圧濾過、減圧濾過などの一般的な固液分離操作により分離し、好ましくは脂肪族炭化水素溶媒で洗浄した後、必要に応じて、常圧乾燥、減圧乾燥(真空乾燥)などにより乾燥することができる。
第二の本発明によれば、該化合物(1)の油状化及びスケーリングを抑制しながら、操作性良く結晶化が実施でき、粉体特性の良好な、一般に、平均粒径が約200μm以上の該化合物(1)の結晶を高回収率で安定的に取得することができる。化合物(1)を安定的に大粒径結晶として取得することは、不安定な化合物(1)の長期保管、高温保管における安定化に大きく寄与すると期待できる。
分析条件機種 :(株)島津製作所製、LC−9Aカラム :日本分光(株)製ODSカラム Finepak SIL−C18−5 4.6mm×250mm溶離液 :アセトニトリル/60mM燐酸バッファー=35/65(v/v)
流速 :0.8ml/min検出 :210nm(UV検出器)
温度 :30℃
環流冷却器をセットした2L容量の4つ口丸底フラスコにN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン25g(89.6mmol)とジクロロメタン500mlを加え、攪拌しながらホスゲン32gを吹き込んだ後、50℃の油浴上にて8時間加熱環流した。反応後、ジクロロメタン(ホスゲン、塩化水素ガスを含む)を減圧下に留去した後、残査にジクロロメタンを加え、N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の濃度として約62重量%溶液を調製した(収率98%)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.2g(62重量%濃度)をノルマルヘキサン250ml中へ、−12℃にて1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン50mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して全体量の約6重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、37.2gの乾燥品を得た(回収率93%、化学純度98%、光学純度99%e.e.以上、平均粒径50μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.2g(62重量%濃度)をノルマルヘキサン250ml中へ、45℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、4時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して全体量の約8重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、36.8gの乾燥品を得た(回収率92%、化学純度98%、光学純度99%e.e.以上、平均粒径20μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液160g(60重量%濃度)をノルマルヘキサン700ml中へ、27℃にて1時間かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、1時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.13)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン200mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して、全体量の約5重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、92.1gの乾燥品を得た(回収率94%、化学純度98%、光学純度99%e.e.以上、平均粒径20μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液100g(62重量%濃度)を、N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶1.9gを懸濁させたノルマルヘキサン700ml(添加結晶によるスラリー濃度は約1.8重量%)中へ、27℃下、15分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、1時間かけて10℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.08)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン80mlで洗浄した。濾過の際、スケーリングは殆ど生じていないことを確認した。また、油状化も生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、61.4gの乾燥品を得た(回収率96%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径40μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液160g(62重量%濃度)の一部(同左溶液5g)をノルマルヘキサン700ml中へ、27℃下、15分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、予備晶析を行った(予備晶析時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.004、生じたスラリーの懸濁量は2.3重量%)。次いで、上記ジクロロメタン溶液の残り(155g)を、27℃下、15分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、1時間かけて10℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(添加終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.13)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン130mlで洗浄した。濾過の際、スケーリングが殆ど生じていないことを確認した。また、油状化も生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、94.8gの乾燥品を得た(回収率95%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径40μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液26.4g(62重量%濃度)をノルマルヘキサン300ml中へ、35℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、3時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.05)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン50mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して全体量の約2重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、15.7gの乾燥品を得た(回収率96%、光学純度99%e.e.以上、取得結晶の平均粒径は約20μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液131.6g(62重量%濃度)をノルマルヘキサン152ml中へ、35℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、3時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.5)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン150mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して全体量の約1重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、75.0gの乾燥品を得た(回収率92%、光学純度99%e.e.以上、取得結晶の平均粒径は約20μm)。
N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物24.0gを含む酢酸エチル溶液48.0g(50重量%濃度)をノルマルヘキサン250ml中へ、35℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、3時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン60mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して、全体量の約3重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、22.3gの乾燥品を得た(回収率93%、光学純度99%e.e.以上、取得結晶の平均粒径は約30μm)。
N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物39.2gを含むアセトン溶液63.2g(62重量%濃度)をノルマルヘキサン250ml中へ、30℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、2.5時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して、全体量の約1重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、34.4gの乾燥品を得た(回収率88%、光学純度99%e.e.以上、取得結晶の平均粒径は約40μm)。
N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物39.2gを含むテトラヒドロフラン溶液63.3g(62重量%濃度)をノルマルヘキサン250ml中へ、35℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、3時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して、全体量の約1重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、37.8gの乾燥品を得た(回収率96%、光学純度99%e.e.以上、取得結晶の平均粒径は約30μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.3g(62重量%濃度)をイソオクタン240ml中へ、35℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、3時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して全体量の約1重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、38.0gの乾燥品を得た(回収率97%、光学純度99%e.e.以上、取得結晶の平均粒径は約20μm)。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.3g(62重量%濃度)をメチルシクロヘキサン235ml中へ、35℃にて30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌し、更に、3時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した。濾過後、器壁に付着したスケーリング量は別途乾燥して全体量の約1重量%であることを確認した。また、油状化はほとんど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、40.4gの乾燥品を得た(回収率95%、光学純度99%e.e.以上、取得結晶の平均粒径は約20μm)。
富溶媒溶液の調製例と同様の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液253g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン200mlを温度40〜41℃で30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.71、生じたスラリーの懸濁量は約25重量%)。次いで、ノルマルヘキサン800mlを温度40〜41℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、1時間かけて5℃まで冷却し、同温度で2時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.14)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン200mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して2重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、145.9gの乾燥品を得た(回収率93%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約400μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.7〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
富溶媒溶液の調製例と同様の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.2g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン50mlを温度35℃で15分かけて添加した後、同温度で該N−カルボキシ無水物の結晶0.5gを添加し、さらに30分攪拌を実施した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒重量比率は0.71、生じたスラリーの懸濁量は約20重量%)。次いで、ノルマルヘキサン200mlを温度35℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、1時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.14)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して2重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、37.6gの乾燥品を得た(回収率96%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約400μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.5〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
富溶媒溶液の調製例と同様の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.3g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン100mlを温度35℃で30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.35)。次いで、ノルマルヘキサン200mlを温度35℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、1時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.12)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン50mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して1重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、37.7gの乾燥品を得た(回収率94%、化学純度98%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約380μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.4〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
富溶媒溶液の調製例と同様の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.2g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン250mlを温度45℃で1.5時間かけて添加した後、同温度で1時間攪挿した(富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.14)。次いで、2時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して3重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、37.9gの乾燥品を得た(回収率94%、化学純度97%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約300μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.42〜0.8kW/m3の攪拌力で実施した。
富溶媒溶液の調製例と同様の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液131.6g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン50mlを温度18〜23℃で30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は1.52)。次いで、ノルマルヘキサン102mlを温度24〜26℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、2時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.5)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン200mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して約1重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、75.1gの乾燥品を得た(回収率92%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約200μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.7〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
富溶媒溶液の調製例と同様の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液26.3g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン50mlを温度15〜18℃で15分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.30)。次いで、ノルマルヘキサン250mlを温度18〜23℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、2時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.05)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン60mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して約5重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、15.2gの乾燥品を得た(回収率94%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約200μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.7〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
富溶媒溶液の調製例と同様の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液63.2g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン50mlを温度15〜18℃で15分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.73)。次いで、ノルマルヘキサン200mlを温度15〜18℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、2時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して約5重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、36.7gの乾燥品を得た(回収率94%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約200μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.7〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物24.0gを含む酢酸エチル溶液48.0g(50重量%濃度)に、ノルマルヘキサン50mlを温度30℃で30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.73)。次いで、ノルマルヘキサン200mlを温度30℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、3時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して約2重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、23.3gの乾燥品を得た(回収率95%、化学純度98%、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約200μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.4〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物39.2gを含むアセトン溶液63.2g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン50mlを温度15℃で30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.73)。次いで、ノルマルヘキサン200mlを温度15℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、1時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して約1重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、34.7gの乾燥品を得た(回収率88%、化学純度99%以上、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約200μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.4〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物39.3gを含むテトラヒドロフラン溶液63.3g(62重量%濃度)に、ノルマルヘキサン50mlを温度30℃で30分かけて添加した後、同温度で30分攪拌した(この時点での富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.73)。次いで、ノルマルヘキサン200mlを温度30℃で1時間かけて添加した後、同温度で1時間攪拌し、更に、2時間かけて5℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した(晶析終了時の富溶媒/脂肪族炭化水素溶媒の重量比率は0.15)。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取し、ノルマルヘキサン100mlで洗浄した(濾過性は極めて良好であった)。容器からのスラリー払い出し後、スケーリング量を確認したところ、容器壁に付着した結晶量は全量に対して約1重量%であった。また、油状化は殆ど生じなかった。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、38.9gの乾燥品を得た(回収率97%、化学純度98%、光学純度99%e.e.以上、平均粒径約200μm)。尚、晶析時の攪拌は、攪拌所要動力として、約0.4〜1.3kW/m3の攪拌力で実施した。
富溶媒溶液の調製例の方法で調製したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物のジクロロメタン溶液323.0g(62重量%濃度)を4時間かけて−12℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した。析出したN−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の結晶を減圧下にブフナーロートにて濾取した(スケーリングや油状化は生じなかった)。取得した湿結晶は、真空下、25℃で15時間乾燥し、53.5gの乾燥品を得た(回収率26.7%)。
従来の化合物(1)の取得法としては、工業的に操作性の良い結晶として取得する方法が知られていなかったが、本発明の晶析法によれば、回収率90%以上で大粒径の結晶として、高純度品の取得が可能である。また、光学純度を非常に高く保持したままで、化合物(1)を回収できる。
Claims (13)
- N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液へ脂肪族炭化水素溶媒を添加して該N−カルボキシ無水物を晶析する方法であって、上記富溶媒がジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、又は、それらの混合溶媒であり、上記脂肪族炭化水素溶媒がノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、イソオクタン、メチルシクロヘキサン、又は、それらの混合溶媒であり、
60℃以下の温度で富溶媒溶液へ脂肪族炭化水素溶媒の一部を添加して攪拌することにより該N−カルボキシ無水物のスラリーを予め作成した後、該スラリーに残りの脂肪族炭化水素溶媒を逐次添加し、1/4時間以上かけて脂肪族炭化水素溶媒全量の添加を行うことで、該N−カルボキシ無水物の油状化及びスケーリングを抑制することを特徴とする、N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の晶析法。 - N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液へ脂肪族炭化水素溶媒を添加する際の温度が0〜45℃である請求項1に記載の晶析法。
- 富溶媒が、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、又は、これらの混合溶媒である請求項1または2に記載の晶析法。
- 富溶媒がジクロロメタンである請求項3に記載の晶析法。
- N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液への脂肪族炭化水素溶媒の添加は、攪拌所要動力として0.3kW/m3以上の攪拌力で攪拌しながら実施する請求項1〜4のいずれか1項に記載の晶析法。
- 予め作成する該N−カルボキシ無水物のスラリーの懸濁量は、晶析終了時点での該N−カルボキシ無水物全量の30重量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の晶析法。
- スラリーの作成は、該N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液へ脂肪族炭化水素溶媒を逐次添加することによるか、及び/又は、該N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液へ該N−カルボキシ無水物の結晶を添加することにより行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の晶析法。
- 予備晶析において、脂肪族炭化水素溶媒に対する富溶媒の重量比率が0.1〜10となる割合で、富溶媒溶液に脂肪族炭化水素溶媒を添加する請求項1〜7のいずれか1項に記載の晶析法。
- 添加終了時において、脂肪族炭化水素溶媒に対する富溶媒の重量比率が0.003〜0.8である請求項1〜8のいずれか1項に記載の晶析法。
- 添加が終了した後、液温を−30〜25℃に調整して晶出量を高める請求項1〜9のいずれか1項に記載の晶析法。
- N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液は、N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニンにN,N’−カルボニルジイミダゾール若しくはホスゲンを反応させて得られるNCA化反応液であるか、又は、それを濃縮若しくは溶媒置換して得られる溶液である請求項1〜10のいずれか1項に記載の晶析法。
- 晶析に際し、予め、NCA化反応で副生した不純物又は着色成分を吸着剤を用いて除去する請求項11に記載の晶析法。
- NCA化反応溶媒が、N−(1(S)−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピル)−L−アラニン N−カルボキシ無水物の富溶媒溶液における富溶媒を兼ねる請求項11又は12に記載の晶析法。
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