JP4889185B2 - ジスルフィド結合を含む活性タンパク質の向上したインビトロ合成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の背景
大腸菌(Escherichia coli)は、異種タンパク質の発現に広く用いられている生物である。大腸菌は安価な培養基上で高細胞密度まで容易に増殖して、優れた容積生産性および経済生産性をもたらす。十分に確立した遺伝学的技術および様々な発現ベクターが、大腸菌を生産宿主として使用する価値をさらに与える。しかしながら、活性生体分子の効率的な生産にはタンパク質合成速度が速いことが必要であるが、決して十分ではない。ポリペプチド鎖は、生物学的に活性であるために、適切なジスルフィド結合形成を含む正しい天然の3次元構造に折りたたむ必要がある。
【0002】
多くの場合において、組換えポリペプチドは、封入体として知られる大きな屈折凝集物(refractile aggregate)の中に隔離されていることが見出されている。変性剤により誘導される凝集物可溶化、それに続くリフォールディングに好ましい条件下での変性剤除去のくり返しによって、封入体から活性タンパク質を回収することができる。封入体の形成が時として発現タンパク質の精製を容易にすることもあるが、ほとんどの場合、凝集タンパク質のリフォールディングが依然として課題となっている。
【0003】
細菌細胞質内での異種タンパク質のフォールディングを改善するために様々な試みがなされている。培養物の温度を下げることを含む従来の方法に加えて、タンパク質フォールディングの機構およびエフェクターについての知識の増加によって、凝集の問題を解決するための新たなアプローチが可能になった。
【0004】
インビトロでの研究によって、ポリペプチドの大部分について、フォールディングはアミノ酸配列および溶媒条件に支配される自発的なプロセスであることが証明されている。さらに、未変性の状態が熱力学的に好ましいにもかかわらず、フォールディングのための時間は数ミリ秒から数日の間で違うことがある。例えば、サブユニットおよびサブドメインを並べる必要によって、動力学的障壁(kinetic barrier)が採用されている。特に真核生物タンパク質の場合、正しく折りたたまれたタンパク質が形成するために共有結合反応が起こらなければならない。後者のタイプの反応として、ジスルフィド結合形成、プロリンペプチド結合を中心にしたポリペプチド鎖のシス/トランス異性化、プロタンパク質プロセシング、および補欠分子団の連結が挙げられる。これらの動力学的制限は、自己会合および凝集物形成を促進する暴露された「粘着性の」疎水性表面を含む部分的に折りたたまれた中間体の蓄積をもたらす。
【0005】
哺乳動物タンパク質の発現は細菌タンパク質より複雑である。なぜなら、哺乳動物タンパク質の大部分は活性のために分子内ジスルフィド結合を必要とするからである。従って、未変性の状態を得るために、フォルダーゼおよび適切な酸化還元電位などのさらなるエフェクターが必要とされる。大腸菌の細胞周辺腔は酸化環境ならびにDsbA、DsbB、DsbC、およびDsbDなどのフォールディングタンパク質をもたらすが、多くの場合、細胞周辺腔への複合体タンパク質の単なる分泌は正しいジスルフィド結合を形成するのに十分でない。
【0006】
フォルダーゼおよびシャペロンとして知られる補助タンパク質は、インビボで適切なタンパク質フォールディングを助けることが見出されている。フォルダーゼは、フォールディングにおける律速の共有結合段階を促進するように働く触媒活性を有する。他方で、シャペロンは多くの機能を果たしており、このうち最も重要なものは、競合する自己会合プロセスなく新生タンパク質が折りたたむ環境を提供する機能である。GroELおよびDnaKタンパク質などの十分に特徴付けられた分子シャペロンに加えて、異種タンパク質のフォールディングに影響を及ぼす多くのさらなる細胞質タンパク質が同定されている。
【0007】
非常に多くの細菌フォルダーゼまたは真核生物フォルダーゼならびに酸化およびジスルフィド結合の異性化におけるそれらの特異的な役割が発見された後、これらのタンパク質を大腸菌の細胞周辺腔において、さらには細胞質において利用しようという多くの試みがなされている(例えば、ベセッテ(Bessette)ら(1999)を参照のこと)。分子シャペロンの同時発現は、ある組換えタンパク質の発現における封入体形成の問題をある程度解決することが示されている(例えば、リチャードソン(Richardson)ら(1998)Trends Biochem.Sci.23:138-143;およびブカウ(Bukau)ら(1998)Cell 92:351-366を参照のこと)。
【0008】
しかしながら、分子シャペロンの効果はやや産物特異的であり、各分子シャペロンと標的タンパク質との同時発現は扱いにくいことが多い。さらに、場合によっては、分子シャペロンの発現は細胞増殖にとって良くなく、有害でさえある。最近の進歩にもかかわらず、大腸菌における適切に折りたたまれた哺乳動物タンパク質の発現は依然として大きな課題となっている。これは、主として、細胞内の酸化還元電位を含む、ジスルフィド結合形成のための重要なパラメータの制御が難しいためである。
【0009】
数十年間、インビトロタンパク質合成は、クローニングされた遺伝物質または合成された遺伝物質の実験室規模の発現のための有効なツールとして役立ってきた。近年、インビトロタンパク質合成は、細胞発現に関連した不都合のために従来の組換えDNA技術の代替法とみなされてきている。インビボで、タンパク質は、細胞増殖と共に合成された数種類の酵素によって分解または修飾され、合成後に、グリコシル化、脱アミド、または酸化などの翻訳後プロセシングによって修飾されることがある。さらに、多くの産物が代謝プロセスを阻害し、それらの合成は、細胞を再生し、細胞の遺伝情報を保護するのに必要とされる他の細胞プロセスと競合するのにちがいない。
【0010】
インビトロタンパク質合成は、細胞の遺伝子発現調節とは本質的に無関係であるので、細胞毒性タンパク質、不安定なタンパク質、または不溶性タンパク質の生産に有利である。インビボでは、発現レベルが産物の濃度によって調節されるので、予め決められた濃度を超えるタンパク質の過剰発現は達成するのが難しいことがある。一般的に、細胞に蓄積したタンパク質の濃度は細胞の生存能力に影響を及ぼし、その結果、所望のタンパク質の過剰生産は達成するのが難しい。単離および精製プロセスにおいて多くの種類のタンパク質が不溶性または不安定であり、細胞内プロテアーゼによって分解されるか、または封入体内に凝集し、その結果、損失率が高い。
【0011】
インビトロ合成はこれらの問題の多くを回避する(キム(Kim)およびシュバルツ(Swartz)(1999)Biotechnol.Bioeng.66:180-188;ならびにキムおよびシュバルツ(2000)Biotechnol.Prog.16:385-390を参照のこと)。また、多重配置(multiplexed configuration)において様々なタンパク質を同時かつ迅速に発現させることによって、この技術は、タンパク質を研究するためのコンビナトリアルアレイを開発するのに、およびタンパク質をスクリーニングするのに有用なツールをもたらす可能性がある。さらに、特定の目的のために、様々な種類の非天然アミノ酸をタンパク質に効率的に組み込ませることができる(ノレン(Noren)ら(1989)Science 244:182-188)。
【0012】
インビボでの遺伝子発現とは異なり、無細胞タンパク質合成は、全細胞の代わりに単離された翻訳機構を使用する。結果として、この方法を用いると細胞の生理機能を維持する必要が無くなり、標的タンパク質の合成/フォールディングを最適化するために様々なパラメータの直接的な制御が可能になる。特に関心があるのは、複数のジスルフィド結合を有する生物学的に活性な哺乳動物タンパク質の無細胞合成の問題である。本発明は、タンパク質合成中の酸化還元電位を制御することによって、哺乳動物タンパク質の共役した合成およびフォールディングに対処する。
【0013】
発明の概要
反応混合物中の酸化還元条件を最適化することによる、向上したインビトロタンパク質分子合成のための組成物および方法が提供される。本発明の1つの態様において、適切なジスルフィド結合の形成のために適切な酸化環境を維持するために、例えば、グルタチオンを適切な酸化型:還元型比で含めることによって、反応混合物に酸化還元緩衝液を含める。
【0014】
反応混合物は、好ましくは、抽出物中の還元活性を有する分子(例えば、内因性酵素)の活性を低下させるようにさらに改良される。好ましくは、このような分子は、例えば、抽出物をヨードアセトアミド(IAA)または遊離スルフヒドリル基を不可逆的に不活化する他の化合物で処理することによって、無細胞タンパク質合成前に化学的に不活化される。還元活性を有する内因性酵素の存在は、このような酵素(例えば、チオレドキシン還元酵素、グルタチオン還元酵素など)に不活化変異を有する遺伝子組換え細胞から調製された抽出物を使用することによってさらに減らすことができる。
【0015】
反応混合物の酸化還元電位の安定化に加えて、インビボで適切なタンパク質フォールディングを助ける補助タンパク質を含めることによって、インビトロ合成をさらに向上させることができる。特に関心があるのは、フォールディングにおける律速の共有結合段階を促進するように働く触媒活性を有するタンパク質であるフォルダーゼ(例えば、PDI、dsbCなど)を含めることである。
【0016】
態様の詳細な説明
生物学的に活性なタンパク質、特に、1つまたはそれ以上のジスルフィド結合を含むタンパク質の向上したインビトロ合成のための組成物および方法が提供される。インビトロタンパク質合成のための反応混合物は、タンパク質フォールディングおよびジスルフィド結合の形成を改善するように改良される。適切な酸化環境を維持するために、例えば、グルタチオンを適切な酸化型:還元型比で含めることによって、反応混合物に酸化還元緩衝液を含める。酸化還元緩衝液は、内因性酸化還元酵素の反応を不活化することによってさらに安定化される。酸化還元緩衝液を含めると、活性のために1つまたはそれ以上の分子内ジスルフィド結合の形成を必要とする生物活性タンパク質の生産が可能になる。
【0017】
好ましい態様において、酸化還元緩衝液を還元する内因性分子は、例えば、遊離スルフヒドリル基を不可逆的に不活化する化合物(例えば、ヨードアセトアミド(IAA))で抽出物を処理することによって、合成前に化学的に不活化される。
【0018】
一部のインビトロタンパク質合成法では、反応に用いられるエネルギー源を発生または補充するために内因性酵素が用いられる(例えば、同時係属中の特許出願第09/270,814号を参照のこと)。場合によっては、このような内因性酵素は前記の化学的不活化段階によって不活化され、この場合、合成前または合成と同時に、これらの酵素を外部供給源から補充することが望ましいことがある。一例として、解糖初期中間体(例えば、グルコース6-リン酸)などの従来にはない二次エネルギー源の使用が望ましい場合、当技術分野において周知のいくつかの方法のいずれかによって、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ活性を回復させることができる。
【0019】
還元活性を有する内因性酵素の存在は、このような酵素(例えば、チオレドキシン還元酵素、グルタチオン還元酵素など)に不活化変異を有する遺伝子組換え細胞から調製された抽出物を使用することによってさらに減らすことができる。
【0020】
反応混合物の酸化還元電位の緩衝に加えて、インビボで適切なタンパク質フォールディングを助ける補助タンパク質を含めることによって、インビトロ合成をさらに向上させることができる。特に関心があるのは、フォールディングにおける律速の共有結合段階を促進するように働く触媒活性を有するタンパク質であるフォルダーゼ(例えば、PDI、dsbCなど)を含めることである。
【0021】
これらの方法は、連続反応、半連続反応、およびバッチ反応に適用することができる。半連続系では、内因性還元酵素が不活化されない場合でも、酸化還元緩衝液の酸化レベルは長期間のインキュベーション後に実質的に回復する。反応チャンバにおける酸化環境の回復は、合成されたタンパク質がジスルフィド結合および活性を獲得するのを可能にする。しかしながら、不活化された酸化還元酵素を含む抽出物を用いると、生物活性タンパク質がより迅速に形成される。
【0022】
一部の合成反応(例えば、多重反応)については、半連続系ではなくバッチ系を使用することが好ましい。バッチ合成法の場合、反応混合物は、好ましくは、抽出物中の還元活性を有する分子(例えば、内因性酵素)の活性を減らすように改良される。
【0023】
定義
本発明は、説明された特定の方法、プロトコール、細胞株、動物の種または属、および試薬に限定されず、異なってもよいことが理解されるべきである。本明細書で使用した専門用語は特定の態様のみを説明するために用いられ、本発明の範囲を限定すると意図されないことも理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0024】
本明細書において使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、特に文脈によってはっきりと規定されていない限り複数の指示物を含む。従って、例えば、「1つの細胞」への言及は複数のこのような細胞を含み、「特定のタンパク質」への言及は1つまたはそれ以上のタンパク質および当業者に周知のその等価物などを含む。本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、特にはっきりと指示されていない限り、本発明が属する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0025】
本明細書で使用するフォールディングはポリペプチドおよびタンパク質の3次元構造を意味し、ここで、アミノ酸残基間の相互作用が構造を安定化するように作用する。構造の決定において非共有結合相互作用が重要であるが、通常、関心対象のペプチドおよびタンパク質は、2つのシステイン残基によって形成された分子内共有結合および/または分子間共有結合を有する。天然に生じるタンパク質およびポリペプチドまたはその誘導体および異型について、適切なフォールディングは、一般的に、最適な生物学的活性をもたらす配置であり、活性(例えば、リガンド結合、酵素活性など)のアッセイ法によって便利にモニターすることができる。
【0026】
場合によっては(例えば、望ましい産物が合成由来である場合)、生物学的活性に基づくアッセイ法はあまり意味がない。このような分子の適切なフォールディングは、物理的特性、エネルギーに関する事項、モデリング研究などに基づいて決定することができる。
【0027】
本明細書で使用するインビトロ合成は、生物学的抽出物および/または定義された試薬を含む反応混合物におけるポリペプチドの無細胞合成を意味する。反応混合物は、少なくとも、エネルギー源であるATP;高分子(例えば、DNA、mRNAなど)を生成するための鋳型;アミノ酸、このような補因子、酵素、および合成に必要な他の試薬(例えば、リボソーム、tRNA、ポリメラーゼ、転写因子など)を含む。このような合成反応系は当技術分野において周知であり、文献において述べられている。無細胞合成反応は、当技術分野において周知なように、バッチ合成、連続フロー合成、または半連続フロー合成として行ってもよい。
【0028】
酸化還元緩衝液
本発明における合成反応混合物は、酸化還元緩衝液を添加することによって改良される。このような緩衝液は、遊離スルフヒドリル基を有する化合物(例えば、グルタチオン、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、βメルカプトエタノール、チオグリコレート、システインなどの1つまたはそれ以上)を含む。選択された反応時間で望ましい還元力を得るために必要な還元剤の濃度ならびに酸化型と還元型の比は、還元剤の強さ、この系におけるO2レベル、および反応時間の長さによって異なる。
【0029】
好ましい態様において、グルタチオンが酸化還元緩衝剤として用いられ、少なくとも約1mMであり約25mM以下の濃度で、好ましくは約5〜10mMの濃度で添加される。
【0030】
酸化還元緩衝液は、酸化型および還元型の両方のスルフヒドリル化合物を、例えば、約10:1〜1:1で、通常、約5:1〜2:1の酸化型:還元型比で含んでもよく、4:1の比でもよい。
【0031】
生物学的抽出物
本発明のために、生物学的抽出物は、タンパク質合成機構の成分を含む任意の調製物であり、通常、細菌細胞抽出物である。ここで、このような成分は、望ましいタンパク質をコードする核酸を発現することができる。従って、細菌抽出物は、望ましいタンパク質をコードするメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を翻訳することができる成分を含み、選択的に、望ましいタンパク質をコードするDNAを転写することができる成分を含む。このような成分として、例えば、DNA依存性RNAポリメラーゼ(RNAポリメラーゼ)、望ましいタンパク質をコードするDNAの転写開始に必要とされる任意の転写アクチベーター、トランスファーリボ核酸(tRNA)、アミノアシル-tRNA合成酵素、70Sリボソーム、N10-ホルミルテトラヒドロ葉酸塩、ホルミルメチオニン-tRNAfMet合成酵素、ペプチジルトランスフェラーゼ、開始因子(例えば、IF-1、IF-2、およびIF-3)、伸長因子(例えば、EF-Tu、EF-Ts、およびEF-G)、終結因子(例えば、RF-1、RF-2、およびRF-3)などが挙げられる
【0032】
本発明の好ましい態様において、反応混合物は、当技術分野において周知の細菌細胞に由来する抽出物(例えば、大腸菌S30抽出物)を含む。便宜のため、抽出物の供給源として用いられる生物を供給源生物と呼んでもよい。活性抽出物を生成する方法は当技術分野において周知であり、例えば、プラット(Pratt)(1984)「原核生物無細胞系における共役した転写翻訳(Coupled transcription-translation in prokaryotic cell-free systems)」、179-209頁、ハムズ(Hames,B.D.)およびヒギンズ(Higgins,S.J.)(編)、「転写および翻訳:実践アプローチ(Transcription and Translation:A Practical Approach)」、IRL Press、New Yorkにおいて見つけることができる。クドリキ(Kudlicki)ら(1992)Anal Biochem 206(2):389-93は、超遠心分離によってS30からリボソーム画分を収集することによってS30大腸菌無細胞抽出物を改良している。このような抽出物は、タンパク質合成に必要なリボソームおよび他の因子の有用な供給源であるが、その一方で、タンパク質合成に関係ないが、反応の酸化環境を調節し、新生ポリペプチド上の基および酸化還元緩衝液を還元するように作用することが可能な望ましくない副反応を担う少量の酵素も含んでいる可能性がある。
【0033】
酸化還元に最適化された抽出物
本発明の方法のための生物学的抽出物は、好ましくは、酸化還元緩衝液を還元するように作用する、抽出物に存在する酵素および他の生体分子を実質的に無くすように最適化される。望ましくない酵素は、反応混合物中で除去または不活化することができる。
【0034】
好ましい態様において、遊離スルフヒドリル基を有する内因性分子は、スルフヒドリルを化学的にブロックする化合物で処理することによって(例えば、遊離スルフヒドリルのアルキル化またはアセチル化によって)、合成開始前に不活化される。次いで、不活化化合物は、例えば、透析などによって反応混合物から除去される。
【0035】
有用な不活化剤として、当技術分野において周知のヨードアセトアミド、N-エチルマレイミド、ヨードアセテート、およびN-ヨードアセチル-N'-(5-スルホニック-1-ナフチル)エチレンジアミンなどが挙げられる。特に、このような化合物として、ヨードアセトアミド、マレイミド、ハロゲン化ベンジル、およびブロモメチルケトンが挙げられる。不活化剤の濃度および反応時間の長さは選択された特定の化合物によって決められる。不活化剤は、抽出物の合成活性を維持しながらも内因性スルフヒドリル還元活性を実質的に無くす濃度で添加される。両活性は、記載の実施例に示した方法によって容易に決められる。通常、合成活性の少なくとも約50%が保持され、さらに通常、少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約90%が保持される。一例として、不活化剤がヨードアセトアミドである場合、これを約1〜10mMの濃度で添加し、15〜60分間インキュベートすることができる。
【0036】
生物学的抽出物を前処理するために不活化剤を使用することに加えて、この望ましくない活性を有する酵素を「ノックアウト」または遺伝的に不活化するように供給源株を遺伝子組換えすることによって、抽出物の還元活性をさらに改良することができる。このような酵素として、チオレドキシン還元酵素、グルタチオン還元酵素などを挙げることができる。
【0037】
酵素のコード配列は、コード配列の全てまたは一部の欠失;フレームシフト挿入;ドミナントネガティブ変異などによって供給源生物の染色体内で「ノックアウト」または不活化される。大腸菌を含む多くの生物のゲノムが完全に配列決定されており、それにより遺伝子組換えが容易になった。例えば、マーカーレスノックアウトストラテジー法が、アリゴーニ(Arigoni)ら(1998)Nat Biotechnol 16(9):851-6によって述べられている。
【0038】
標的遺伝子を不活化する好ましい方法は、ホン(Hoang)ら(1998)Gene 212:77-86によって述べられている。この方法では、組換えのための選択マーカーとしてテトラサイクリン耐性遺伝子およびレバンスクラーゼをコードする遺伝子(sacB)を含む遺伝子置換ベクターが用いられる。まず最初に、標的遺伝子をクローニングし、好ましくは、遺伝子の大部分を欠失させることによって変異誘発する。次いで、連結によって、この遺伝子を、染色体遺伝子置換を容易にするように設計されたベクターに挿入する。次いで、このベクターで大腸菌細胞を形質転換する。プラスミドが染色体の標的遺伝子部位に組み込まれた細胞を選択し、次いで、細胞をスクロース上で増殖させることによって、プラスミドを強制的に染色体から放出させる。sacB遺伝子が染色体に存在する場合、スクロースは有毒である。適切に変異された株は、テトラサイクリン感受性およびスクロース耐性の表現型に基づいて選択される。次いで、PCR解析またはDNA配列決定によって望ましい遺伝的変化が確かめられる。
【0039】
酵素は、細胞破壊後および使用前に細胞抽出物から除去することができる。タンパク質精製の当技術分野において周知のいくつかの手段のいずれを使用してもよい。このような手段として、親和性精製技術(例えば、標的酵素に対して特異的親和性を有する抗体または抗体断片の使用;細胞抽出物からの標的酵素の除去を容易にするために標的酵素の一部として発現される親和性タグの使用;および従来の精製法)が挙げられる。
【0040】
例えば、ファージディスプレイまたは他の十分に開発された技術を用いて、抗体または抗体断片(例えば、FabまたはscFv)が標的酵素に対する特異的親和性について選択される。次いで、抗体または抗体断片を、いくつかの固定化法のいずれかを用いて、いくつかの精製ビーズまたは樹脂または膜のいずれかに固定化する。標的酵素に結合するように固定化抗体と細胞抽出物を接触させ、次いで、濾過または穏やかな遠心分離によって固定化抗体/酵素複合体を除去する。
【0041】
別の例では、Flag(登録商標)エクステンション(イムネックス(Immunex Corp.)により開発され、ストラタジーン(Stratagene)により販売されている)またはポリヒスチジンテールなどのタグを含むように、標的タンパク質のコード配列を改変することができる。他の多くの例が公開されており、当業者に周知である。次いで、タグ化タンパク質を適切な親和性マトリックスまたはカラムに通すことによって除去する。細胞抽出物の安定性と適合し、細胞抽出物の化学組成を著しく変えない条件下で特異的な結合だけが起こるように、アミノ酸伸長および結合パートナーが選択される。
【0042】
さらに別の例では、1つまたはそれ以上の標的酵素が、タンパク質精製のために一般的に用いられるいくつかの方法(例えば、基質アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、電気泳動分離、またはタンパク質精製分野において実施されている他の方法)のいずれかによって分離される。
【0043】
フォールディング酵素の添加
本発明の反応混合物は、フォールディングおよびジスルフィド結合の形成を促進する1つまたはそれ以上の酵素(すなわち、フォルダーゼ、シャペロニンなど)を含めることによってさらに改良することができる。本発明の1つの態様において、細菌フォルダーゼ酵素が反応混合物に添加される。ジスルフィド結合形成を触媒する多数のシステイン酸化還元酵素が、例えば、大腸菌において特徴付けられている。関心対象の酵素またはシャペロニンとして、DsbA、DsbC、PDI、GroEL、DnaK、DnaJ、GroEL/ES、GrpE、BIP、PPI、または他のシクロフィリンなどが挙げられる。1つまたはそれ以上のフォールディング酵素が、関心対象の標的タンパク質の全活性を改善するのに有効な濃度で添加される。この濃度は、発現タンパク質産物の生物学的活性を測定することによって実験的に求めることができる。
【0044】
特に関心があるのは、正しくないジスルフィド結合の転位または異性化を触媒する、オキシダーゼ活性およびイソメラーゼ活性を有する可溶性酵素であるDsbCを含めることである。正しくないシステイン残基の対形成は、折りたたまれていないポリペプチド鎖が初めて酸化される時に容易に起こる。DsbCは、正しくないジスルフィド結合の分断、その後の、未変性の状態で生じるジスルフィド結合の形成を容易にする。ジスルフィド結合形成の主要な触媒である可溶性酵素DsbAの使用にも関心がある。
【0045】
DsbC遺伝子の同定は、ミシアカス(Missiakas)ら(1994)EMBO J 13:2013-2020によって述べられており、ここで、DsbCは、インビトロでのインシュリンのジチオスレイトール依存性還元においてDsbA活性と似た活性を有することが示されている。チェン(Chen)ら(1999)J Biol.Chem.274:19601-19605も参照のこと。ペリプラズムにおけるフォールディングを促進するためのDsbAまたはDsbCの使用はジョリー(Joly)ら(1998)P.N.A.S.95:2773-2777によって述べられている。
【0046】
細菌酵素の代替として真核生物酵素を使用することができる。例えば、真核生物PDIは、タンパク質のシステイン酸化およびジスルフィド結合異性化の効率的な触媒というだけでなく、シャペロン活性も示す。PDIの同時発現は、複数のジスルフィド結合を有する活性タンパク質の産生を容易にすることさえできる。PDIが細菌における組換えタンパク質フォールディングの促進において非常に有効である理由は、恐らく、細菌酵素より容易に異種タンパク質と相互作用することを可能にするペプチド結合サブドメインを含むためである。哺乳動物PDIを含めることによって、インビトロでの優れたジスルフィド結合異性化触媒が得られる。
【0047】
「望ましいタンパク質」または「選択されたタンパク質」という用語は同義に用いられ、一般的に、約5アミノ酸より多いアミノ酸を有する任意のペプチドまたはタンパク質を意味する。ポリペプチドは、細菌無細胞抽出物が得られた細菌にとって同種のものでもよく、好ましくは、外因性(異種(すなわち外来)であることを意味する)のものでもよい(例えば、細菌の無細胞抽出物中で産生されるヒトタンパク質または酵母タンパク質)。好ましくは、哺乳動物ポリペプチド(すなわち、哺乳動物ゲノム内にコードされているポリペプチド)が用いられる。
【0048】
哺乳動物ポリペプチドの例として、レニン;成長ホルモン(ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモンを含む);成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α-1-抗トリプシン;インシュリンA鎖;インシュリン;プロインシュリン;濾胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子(例えば、第VIIIC因子、第IX因子、組織因子、およびフォン・ウィルブランド因子);抗凝固因子(例えば、プロテインC);心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質;プラスミノゲンアクチベーター(例えば、ウロキナーゼまたはヒト尿型もしくは組織型プラスミノゲンアクチベーター(t-PA));ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子-αおよび-β;エンケファリナーゼ;RANTESおよび他のケモカイン;ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP-1α);血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン);ミュラー阻害物質;レラキシンA鎖;レラキシンB鎖;プロレラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク質(例えば、β-ラクタマーゼ);DNアーゼ;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子(VEGF);ホルモンまたは成長因子の受容体;インテグリン;プロテインAまたはプロテインD;リウマチ因子;神経栄養因子(例えば、骨由来神経栄養因子(BDNF))、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6(NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)、または神経成長因子(例えば、NGF-β);血小板由来成長因子(PDGF);線維芽細胞成長因子(例えば、αFGFおよびβFGF);表皮成長因子(EGF);トランスフォーミング成長因子(TGF)(例えば、TGF-αおよびTGF-β(TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含む));インシュリン様成長因子-Iおよび-II(IGF-IおよびIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インシュリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質(例えば、CD-3、CD-4、CD-8、およびCD-19);エリスロポエチン;骨誘導因子;イムノトキシン;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン(例えば、インターフェロン-α、-β、および-γ);コロニー刺激因子(CSF)(例えば、M-CSF、GM-CSF、およびG-CSF);インターロイキン(IL)(例えば、IL-1〜IL-18);スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウイルス抗原(例えば、AIDSエンベロープの一部);輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレッシン;調節タンパク質;抗体;ならびに前記ポリペプチドのいずれかの断片などの分子が挙げられるが、これに限定されない。
【0049】
向上したインビトロ合成のための方法
本発明の系は、生物学的に活性なタンパク質(特に、生物学的活性のために1つまたはそれ以上のジスルフィド結合の正しい形成を必要とするタンパク質)のインビトロタンパク質合成に有用である。合成反応は、DNA鋳型またはRNA鋳型からのRNAの転写を含んでもよい。反応は、大規模な反応器を利用しても小規模な反応器を利用してもよく、複数の同時合成を行うために多重化されていてもよい。連続反応では、試薬の流れを導入するために供給機構を使用してもよく、プロセスの一部として最終産物を単離してもよい。バッチ系もまた関心対象であり、この場合、活発な合成のための時間を延ばすために追加試薬を導入することができる。反応器は、バッチ、延長バッチ(extended batch)、セミバッチ、半連続、フェドバッチ、および連続などの任意の方式で動かすことができ、用途目的に合わせて選択される。
【0050】
特に関心があるのはmRNAを翻訳してタンパク質を産生することである。翻訳は、DNA鋳型からのmRNAのインビトロ合成と共役してもよい。このような無細胞系は、mRNAの翻訳に必要とされる全ての因子(例えば、リボソーム、アミノ酸、tRNA、アミノアシル合成酵素、伸長因子、および開始因子)を含んでいる。当技術分野において周知の無細胞系として、コムギ胚抽出物(ロバーツ(Roberts)ら(1973)P.N.A.S.70:2330)、赤血球抽出物(ペルハム(Pelham)ら(1976)Eur.J.Biochem.67:247)、大腸菌抽出物などが挙げられる。これらは、活性のある内因性mRNAを無くすために適切なヌクレアーゼで処理することができる。
【0051】
無細胞抽出物、遺伝子鋳型、アミノ酸、およびエネルギー源などの前記成分に加えて、タンパク質合成に特に必要とされる物質を反応に添加することができる。これらの物質として、塩、高分子化合物、環状AMP、タンパク質または核酸を分解する酵素の阻害剤、タンパク質の合成の阻害剤または調節剤、酸化/還元調整剤、非変性界面活性剤、緩衝成分、スペルミン、スペルミジンなどが挙げられる。
【0052】
塩として、好ましくは、酢酸または硫酸のカリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、およびマンガン塩が挙げられる。これらの一部は対陰イオンとしてアミノ酸を有することがある。高分子化合物は、ポリエチレングリコール、デキストラン、ジエチルアミノエチル、第4級アミノエチル、およびアミノエチルでもよい。酸化/還元調整剤は、ジチオスレイトール、アスコルビン酸、グルタチオン、および/またはそのオキシドでもよい。また、トライトン(Triton)X-100などの非変性界面活性剤を0〜0.5Mの濃度で使用してもよい。タンパク質合成能を改善するためにスペルミンおよびスペルミジンを使用してもよく、cAMPを遺伝子発現レギュレーターとして使用してもよい。
【0053】
反応培地の特定の成分の濃度を変える場合、それに応じて別の成分の濃度を変えることができる。例えば、ヌクレオチドおよびエネルギー源化合物などのいくつかの成分の濃度を、他の成分の濃度の変化に合わせて同時に制御することができる。また、反応器内の成分の濃度レベルは経時的に変化することがある。
【0054】
反応は、好ましくはpH5〜10および温度20℃〜50℃の範囲内で、より好ましくはpH6〜9および温度25℃〜40℃の範囲内で維持される。
【0055】
連続運転方式においてタンパク質単離手段を使用する場合、反応器からの産出物は、膜を通ってタンパク質単離手段に流れる。半連続運転方式において、膜の外側または外面は、予め決められた順番で周期的に交換される予め決められた溶液と接触される。これらの溶液は、アミノ酸およびヌクレオチドなどの基質を含んでいる。この時、反応器は、透析、ダイアフィルトレーションバッチ、またはフェドバッチ方式において運転される。供給溶液は、同じ膜または別の注入ユニットを通って反応器に供給することができる。合成されたタンパク質は反応器内に蓄積し、次いで、装置の運転が完了した後に通常のタンパク質精製法に従って単離および精製される。
【0056】
試薬の流れがある場合、液体が流れる方向は膜に対して垂直方向および/または接線方向でもよい。接線方向の流れは、ATPを再利用するのに、および膜が詰まらないようにするのに有効であり、垂直方向の流れに重ね合わせることができる。陽圧ポンプまたは真空吸引ポンプによって、膜に対して垂直方向の流れを引き起こすか、または生じさせることができる。膜の外面と接する溶液は周期的に交換されてもよく、膜に対して一定して接線方向に流れてもよい。反応器は、適切な攪拌手段によって内側でまたは外側で攪拌されてもよい。
【0057】
反応器内でのタンパク質合成中、望ましいタンパク質を選択的に単離するためのタンパク質単離手段は、合成された望ましいタンパク質を吸着するための成分と共に固定化された抗体分子または他の分子でコーティングされた粒子が詰められたユニット、および適切なサイズの孔を有する膜を備えてもよい。好ましくは、タンパク質単離手段は、用途を交替するために2つのカラムを備える。または、流動層クロマトグラフィーを使用してタンパク質産物を吸着させてもよく、この場合、膜を使用しても使用しなくてもよい。
【0058】
翻訳反応において産生されるタンパク質の量は様々なやり方で測定することができる。ある1つの方法は、翻訳される特定のタンパク質の活性を測定するアッセイ法が使用できることに依存している。タンパク質活性を測定するアッセイ法の例は、ルシフェラーゼアッセイ系またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼアッセイ系である。これらのアッセイ法は、翻訳反応によって産生された機能的に活性なタンパク質の量を測定する。活性アッセイ法は、不適切なタンパク質フォールディングまたはタンパク質活性に必要な他の翻訳後修飾の欠如のために不活性の完全長タンパク質を測定しない。
【0059】
共役インビトロ転写・翻訳反応において産生されたタンパク質の量を測定する別の方法は、既知量の放射性標識アミノ酸(例えば、35S-メチオニンまたは3H-ロイシン)を使用して反応を行い、その後に、新たに翻訳されたタンパク質に取り込まれた放射性標識アミノ酸の量を測定する方法である。取り込みアッセイ法は、短縮されたタンパク質産物を含む、インビトロ翻訳反応において産生された全てのタンパク質中の放射性標識アミノ酸の量を測定する。放射性標識されたタンパク質はタンパク質ゲルによってさらに分離することができ、オートラジオグラフィーによって、産物が適切なサイズであり、二次タンパク質産物が産生されなかったことが確かめられる。
【0060】
インビトロ転写/翻訳を動かすためにDNA鋳型を使用する態様において、細菌抽出物中の転写系および/または翻訳系の成分の中には、反応混合物における、このような成分の利用可能性を高めるために便利に添加することができるものもある。好ましい態様において、反応混合物は以下の1つまたはそれ以上を含む:(1)約0.5mM〜約2.0mM、好ましくは約0.85mMの初期濃度のGTP、UTP、およびCTP;(2)約0.5mM〜約2.5mM、好ましくは約1.22mMの初期濃度のATP;(3)約10mM〜約50mM、好ましくは約27.0mMの初期濃度のPEP;(4)約0.05単位/ml〜約0.5単位/mL、好ましくは約0.2単位/mLの濃度のピルビン酸キナーゼ;(5)約0.05mg/mL〜約0.3mg/mL、好ましくは約0.17mg/mLの初期濃度のtRNA;(6)約0.2mM〜約0.6mM、好ましくは約0.35mMの初期濃度の19種類全てのアミノ酸(メチオニンを除く全てのアミノ酸);ならびに(7)約0.6マイクロモル/リットル(μM)〜約2.0mM、好ましくは約4.3μM〜約2.0mM、より好ましくは約0.1mM〜約2.0mM、最も好ましくは約1.0mM〜約2.0mMの初期濃度のメチオニン。
【0061】
本発明は、説明された特定の方法、プロトコール、細胞株、動物の種または属、構築物、および試薬に限定されず、もちろん異なってもよいことが理解されるべきである。本明細書で使用した専門用語は特定の態様のみを説明するために用いられ、本発明の範囲を限定すると意図されないことも理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0062】
特に定義のない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の実施または試験において本明細書に記載のものと同様のまたは等価な任意の方法、装置、および材料を使用することができるが、今から好ましい方法、装置、および材料を説明する。
【0063】
本明細書で述べた全ての刊行物は、例えば、本発明と共に使用することができる、刊行物に記載される細胞株、構築物、および方法を説明および開示するために参照として本明細書に組み入れられる。前記でおよび本文全体を通して述べられた刊行物は、単に、本願の出願日前の刊行物を開示するために示される。本明細書には、先行発明に基づいて本発明者らがこのような開示に先行する権利がないと認められると解釈されるものは何もない。
【0064】
以下の実施例は、当業者に本発明を作成および使用する方法を完全に開示および説明するために示され、本発明とみなされるものの範囲を制限することを意図されない。使用される数値(例えば、量、温度、濃度など)に関する精度を保証するように努力がなされたが、いくらかの実験誤差および偏差が占められるはずである。特に定めのない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧であるか、または大気圧に近い。
【0065】
実験例
無細胞系におけるマウスウロキナーゼのセリンプロテアーゼドメインの発現
無細胞タンパク質合成の標準的な反応混合物は以下の成分からなる:57mM Hepes-KOH(pH8.2)、1.2mM ATP、0.85mMの各GTP、UTP、およびCTP、0.64mM cAMP、200mMグルタミン酸カリウム、80mM NH4(OAc)、15mM Mg(OAc)2、34μg/mlホリニン酸、6.7μg/mlプラスミド、33μg/ml T7 RNAポリメラーゼ、500μMの20種類の各非標識アミノ酸および[3H]ロイシン(0.27GBq/mmol)、2%PEG 8000、33mM PEP(ホスホエノールピルビン酸塩)、1mM還元型グルタチオン(GSH)、4mM酸化型グルタチオン(GSSG)、および0.24体積のS30抽出物。マウスウロキナーゼのセリンプロテアーゼドメインの発現のために、T7プロモーター下でコード配列を含むプラスミドpK7UKを使用した。
【0066】
ある実験において、大腸菌dsbCまたはヒトPDIタンパク質を異なる濃度で添加した。PDIはピアス(Pierce,Inc.)から購入し、dsbCは、大腸菌BL21DE3株(pETdsbChisC)の培養物から精製した。わずかに変更したダバンロー(Davanloo)ら(1984)P.N.A.S.81:2035-2039の手順に従って、T7 RNAポリメラーゼを大腸菌BL21株(pAR1219)の培養物から調製した。trxBおよびgorに変異を有する大腸菌FA113株も使用した。
【0067】
S30抽出物は、プラット(1984)「原核生物無細胞系における共役した転写翻訳」、179-209頁、ハムズ(Hames,B.D.)およびヒギンズ(Higgins,S.J.)(編)、「転写および翻訳:実践アプローチ」、IRL Press、New Yorkにおいて報告された手順に従って、大腸菌K12(A19株)から調製した。S30抽出物のさらなる処理のために、抽出物を0.1体積の20mMヨードアセトアミド(IAA)と混合し、室温で30分間インキュベートした。残存するIAAまたは亜硫酸ナトリウムを除去するために、抽出物を、200体積のS30緩衝液(10mM トリス(Tris)-Cl(pH7.8)、14mM Mg(OAc)2、60mM K(OAc))に対して4℃で4時間透析した。
【0068】
半連続系におけるタンパク質発現のために、標準反応混合物210μlを、6.0mLのリザーバ緩衝液(S30抽出物、DNA、およびT7 RNAポリメラーゼが存在しない以外は反応混合物と同じ)に入れられた透析チャンバ(Slide-A-Lyzer、分子量カットオフ10,000、ピアス、IL)内でインキュベートした。
【0069】
全ての合成反応を37℃である一定期間にわたって行った。
【0070】
タンパク質合成収量の決定
キム(Kim)ら(1996)Eur.J.Biochem.239:881-886によって述べられたように、合成されたタンパク質の量を、液体シンチレーションカウンター(LS3801、ベックマン(Beckman))で測定されたTCA不溶性放射能から評価した。
【0071】
ウロキナーゼの無細胞合成プロテアーゼドメインの酵素活性
合成されたタンパク質の酵素活性を測定するために、インキュベーション期間中に試料20μLを採取した。試料を遠心分離した後、上清10mLを採取し、アッセイ緩衝液(38mM NaCl、50mM トリス-Cl、pH8.8)80μlおよび基質溶液(2mM クロモザイム(Chromozyme)U、ロシュモレキュラーバイオケミカルズ(Roche Molecular Biochemicals)、CA)10μLを含むマイクロプレートに添加した。405nmでの吸光度の変化を、マイクロプレートリーダー(SpectraMax 190、モレキュラーデバイシーズ(Molecular Devices)、CA)で測定した。
【0072】
還元型グルタチオン濃度の分析
還元型グルタチオンの濃度を、ジチオニトロ安息香酸(DTNB)を用いて測定した。4.0mg/mL DTNB溶液を1M トリス-Cl溶液(pH7.8)に溶解して調製した。酵素的還元を止めるために試料10μLを等量の10%TCAと混合し、遠心分離した。還元型グルタチオンの濃度を決定するために、上清10μLおよびDTNB溶液10μLを、マイクロプレート内の1M トリス-Cl溶液80μLに添加した。3分後、412nmでの吸光度を測定し、グルタチオン濃度を標準曲線から決定した。
【0073】
変異体株の構築
FA113株(ベセッテら(1999)P.N.A.S.96(24):13703-8)におけるtrxBまたはgorの挿入変異を、標準的な手順(ミラー(Miller)(1992)「細菌遺伝学短期講習(A Short Course in Bacterial Genetics)」263-364頁.Cold Spring Harbor Press、NY.)に従ってP1形質導入によってA19株に移した。
【0074】
結果
反応混合物210μLを調製し、図1に示す半連続反応器内でインキュベートした。合成されたタンパク質の量(図2に示す、白丸)を決定するために、インキュベーション中に試料10μLを取り出した。同時に、セリンプロテアーゼ活性(白四角、プラスミド非存在下での反応;黒四角、プラスミドpK7UK存在下での反応)を測定するために、試料20μLを採取した。
【0075】
酸化還元電位の変化をモニターするために、試料10μLを反応混合物およびリザーバ溶液から採取した。還元型グルタチオンの濃度を材料および方法に記載のように測定した。酸化型グルタチオンの濃度を、初期濃度および還元型グルタチオンの測定量に基づいて評価した。結果を図3に示す。還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンの初期濃度は、それぞれ1mMおよび4mMであった。
【0076】
バッチ反応における還元型グルタチオンの時間経過をモニターするために、150μLバッチ反応のインキュベーション中に、試料10μLをある特定の時点で採取し、TCA溶液で処理し、濃度を決定した。還元型グルタチオンの濃度を材料および方法に記載のように測定した。酸化型グルタチオンの濃度を、初期濃度および還元型グルタチオンの測定量に基づいて評価した。結果を図4に示す。還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンの初期濃度は、それぞれ1mMおよび4mMであった。
【0077】
グルタチオン還元に及ぼす様々な株の影響を求めるために、細胞抽出物を図5に示した変異体株から調製し、反応混合物とインキュベートした。試料10μLをある特定の時点で採取し、TCA溶液で処理し、GSH濃度を前記のように決定した。S30緩衝液に再懸濁した細胞ペーストを短時間、超音波処理することによって、細胞抽出物を調製した。反応混合物中の細胞タンパク質の総濃度は、それぞれ、6.8(A19)、5.2(A19 trxB)、5.5(A19 gor)、および5.4(FA113)mg/mLであった。タンパク質合成のためにA19細胞抽出物を用いた実験において、細胞タンパク質濃度は10.8mg/mLであった。
【0078】
図6に示すように、ウロキナーゼ発現をIAA処理抽出物から求めた。通常の細胞抽出物またはIAA処理細胞抽出物を含む標準的な反応混合物中で、プラスミドpK7UKを処理した。1時間インキュベーション後、TCA不溶性放射能の量を実験方法に記載のように測定した。
【0079】
バッチ反応におけるグルタチオン還元および発現タンパク質の酵素活性の時間経過を図7に示す。未処理またはIAA処理S30抽出物および5mMグルタチオン緩衝液(1mM還元型および4mM酸化型)を含む反応混合物450μL中で、プラスミドpK7UKを発現させた。ある特定の時点で、試料40μLを取り出し、材料および方法に記載のようにGSH濃度(パネルA)および酵素活性(パネルB)についてアッセイした。白丸、通常の細胞抽出物を用いた反応;黒丸、IAA処理細胞抽出物を用いた反応。
【0080】
図8において、活性タンパク質合成の速度に及ぼすPDIまたはdsbCの影響を示す。IAA処理細胞抽出物を用いた反応物に、133μg/mL dsbCまたは27gL/mL PDIを添加した。インキュベーション中に試料20μLを採取し、酵素活性を記載のように測定した。白丸(フォルダーゼ非存在下での対照反応);黒丸(PDI添加);黒四角(DsbC添加)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 半連続反応に用いられる反応器を示す。
【図2】 半連続反応中のウロキナーゼ合成およびその酵素活性を示すグラフである。
【図3】 半連続合成中の酸化還元電位の変化を示す棒グラフである。
【図4】 バッチ合成反応におけるグルタチオン還元を示す時間経過である。
【図5】 異なる細菌株からの抽出物の存在下でのグルタチオン還元を示す。
【図6】 対照およびIAA処理抽出物におけるウロキナーゼ発現を示す棒グラフである。
【図7】 対照およびIAA処理抽出物におけるグルタチオン還元および産物の酵素活性の時間経過である。
【図8】 PDIまたはdsbC存在下でのウロキナーゼ合成の時間経過である。

Claims (11)

  1. リペプチド合成機構の成分を含む生物学的抽出物を含む反応混合物中における、少なくとも1つのジスルフィド結合を含むポリペプチドのインビトロ合成のための方法であって、該成分は所望のポリペプチドをコードする核酸を発現することができるものであり、改善点が以下の段階を含む、方法:
    応混合物中で該ポリペプチドを合成する段階であって、該生物学的抽出物は遊離スルフヒドリル基をアルキル化するかまたはアセチル化するスルフヒドリル不活化剤で前処理されており、該反応混合物は酸化還元緩衝液をさらに含む、段階
    該ポリペプチドを該反応混合物から単離する段階であって、適切に折りたたまれた該ポリペプチドの量が該スルフヒドリル不活化剤非存在下で合成されたポリペプチドと比較して増加段階。
  2. 前記スルフヒドリル不活化剤が、ヨードアセトアミド、N-エチルマレイミド、ヨードアセテート、およびN-ヨードアセチル-N'-(5-スルホニック-1-ナフチル)エチレンジアミンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 前記スルフヒドリル不活化剤がヨードアセトアミドである、請求項2記載の方法。
  4. 前記酸化還元緩衝液が、グルタチオン、ジチオスレイトール、ジチオエリスリトール、β-メルカプトエタノール、チオグリコレート、およびシステインからなる群より選択される、請求項記載の方法。
  5. 前記酸化還元緩衝液が、酸化型グルタチオンおよび還元型グルタチオンの混合物中にグルタチオンを少なくとも1mMであってかつ25mM以下の濃度で含む、請求項記載の方法。
  6. 前記混合物の酸化型:還元型の比が4:1である、請求項記載の方法。
  7. 前記生物学的抽出物が、少なくとも1つの内因性チオレドキシン還元酵素および内因性グルタチオン還元酵素を不活化するように遺伝的に改変されている細菌細胞に由来する細菌細胞抽出物である、請求項1記載の方法。
  8. リペプチド合成機構の成分を含む生物学的抽出物を含む反応混合物中における、少なくとも1つのジスルフィド結合を含むポリペプチドのインビトロ合成のための方法であって、該成分は所望のポリペプチドをコードする核酸を発現することができるものであり、改善点が以下の段階を含む、方法:
    酸化還元緩衝液を含む反応混合液中で該ポリペプチドを合成する段階であって、該生物学的抽出物遊離スルフヒドリル基をアルキル化するかまたはアセチル化するスルフヒドリル不活化剤で前処理されたものであり、該反応混合物フォルダーゼ酵素を含む段階;
    該ポリペプチドを該反応混合物から単離する段階であって、適切に折りたたまれた該ポリペプチドの量が該スルフヒドリル不活化剤非存在下で合成されたポリペプチドと比較して増加段階。
  9. 前記フォルダーゼ酵素が、DsbA、DsbB、DsbC、DsbD、PDI(タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ)、GroEL/ES、DnaK、DnaJ、GrpE、BIP(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質)、およびPPI(ペプチジルプロリルイソメラーゼ)およびシクロフィリンからなる群より選択される、請求項記載の方法。
  10. 前記フォルダーゼがDsbCである、請求項記載の方法。
  11. 前記フォルダーゼがPDIである、請求項記載の方法。
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