JP4888300B2 - モータトルク制御装置 - Google Patents
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Description
ところで、電気自動車では、通常はクラッチ機構やトランスミッション(変速機構)を備えておらず、モータの出力軸が直接(又は最終減速ギアやデファレンシャルギアを介して)駆動輪に接続されている。
また、Dレンジ及びLレンジは、走行時に使用するシフトポジションであって、同じアクセル開度であれば、アクセル全開時を除いてDレンジよりもLレンジの方が大きな出力トルクに設定されるようになっている。また、Rレンジは後退走行時に使用するシフトポジションである。なお、このようなモータの目標トルクはECU108により指示トルクとして出力され、この指示トルクに基づいてインバータの作動が制御される。
ところで、電気自動車では、シフトポジションに関わらず、常時全てのシフトポジションにおける目標トルクを算出又は設定しており、シフトポジションが選択されると、ECUではそのシフトポジションに対応した目標トルクを指示トルクとして出力するようになっている。
ここで、目標トルクの算出手法について簡単に説明すると、図4はモータやインバータの作動を制御するECU108の要部構成を示す模式図であって、ECU108には、Pレンジ及びNレンジでの目標トルクを設定する第1モータトルク設定部116、Dレンジでの目標トルクを設定する第2モータトルク設定部118、Lレンジでの目標トルクを設定する第3モータトルク設定部120、Rレンジでのモータ2の目標トルクを設定する第4モータトルク設定部122が設けられている。そして、上述のように、現在のシフトポジションに関わらず、これらの各トルク設定部116〜122において、常に各シフトポジションにおける目標トルクが設定されるようになっている。
このため、アクセルペダルを踏み込んだ状態でNレンジからDレンジに変更した場合には走行を禁止することも考えられるが、このように走行を禁止すると使い勝手が低下するという課題がある。
なお、特許文献1の技術では、DレンジやRレンジ等の走行レンジからNレンジやPレンジ等の停止レンジにシフト操作された際に生じる車体振動を抑制するための技術が開示されている。
しかしながら、この技術は走行レンジから停止レンジに切り替えられた際の制御であって、走行レンジに切り替えられた際の制御に関しては何ら考慮されていない。
在のシフトポジションに対応した目標トルクを目標トルク設定手段から選択する目標トルク選択手段と、該シフトポジションセンサからの情報に基づいて該車両の走行レンジに対応するシフトポジションへの切り替えが検出されると、該目標トルク選択手段で新たに選択された目標トルクに対して所定のゲインで一次遅れ処理を行い最終的な指示トルクとして出力する目標トルク補正手段とを備え、該シフトポジション切り替え後の目標トルクをT、該ゲインをk、前回の制御周期で出力された指示トルクをT n-1 、今回の制御周期における指示トルクをT n とすると、該目標トルク補正手段は、下式
T n =T・k+T n-1 ・(1−k)
により指示トルクを周期的に求め、該ゲインを該シフトポジション切り替え後の経過時間に伴い漸増させるゲイン変更手段を有するたことを特徴としている。
また、該シフトポジションとして、Pレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジ及びLレンジの各ポジションが設けられていることが好ましい。
これにより、指示トルクの不連続な急変化を抑制できトルクショックを抑制することができる。特に、車両停止時にアクセルペダルを踏み込んだ状態でNレンジからDレンジにシフトポジションを変更した場合に、違和感なく速やかに発進することができる利点があるほか、車両走行中にDレンジからLレンジに変更した場合にも、指示トルクの急変を防止してショックを抑制することができるという利点がある。
図1において、1は電気自動車(車両)、2は車両1に搭載された駆動源としてのモータ2を示している。なお、モータ2は本実施形態では三相交流モータが適用されている。また、車両1にはクラッチ機構やトランスミッション(変速機)は設けられておらず、モータ2の出力軸2aは減速ギア及びデファレンシャルギアを一体化したデファレンシャルギアアッセンブリ3を介してドライブシャフト4及び駆動輪5に接続されている。
ここで、第1モータトルク設定部16には固定値として0[Nm]が記憶されており、Pレンジ及びNレンジでの目標トルクは、常に0[Nm]に設定されるようになっている。
また、第3モータトルク設定部20においてもアクセル開度と車速とをパラメータとして目標トルクを求めるマップ(Lレンジマップ)が設けられている。なお、このLレンジマップはDレンジマップに対して、アクセル開度及び車速が同じであればLレンジマップで設定される目標トルクの方が大きな値となるような特性に設定されている。
また、目標トルク補正手段26は、シフトポジションの切り替え時に目標トルクの急変を抑制するために、目標トルクに対していわゆるなまし制御を行う手段である。具体的には、目標トルク補正手段26はシフトポジション切り替え時に目標トルクがパルス状に不連続に変化するのを抑制してトルクショックの発生を防止するものであり、インバータ7に出力される指示トルクを連続的に変化させる機能を有している。なお、本実施形態では目標トルク補正手段26においてゲインkを用いた一次遅れ処理が実行される。
Tn =T・k+Tn-1 ・(1−k)・・・・・(1)
そして、このような一次遅れ処理を実行することにより、シフトポジション切り替え前の目標トルクとシフトポジション切り替え後の目標トルクとが連続的に変化し、トルクショックを防止することができる。
これは、シフトポジション切り替え直後は緩やかに指示トルクを変更しながらも、その後は速やかにシフトポジション切り替え後の目標トルクに指示トルクを収束させるためである。そこで、ゲイン変更部28では、シフトポジションスイッチ10からの検出情報に基づいてシフトポジションの切り替えを検出すると、上記ゲイン変更部28においてタイマをスタートさせて、タイマのカウンタに応じてゲインkを変更するようになっている。
そして、これ以降徐々にゲインkが増大することにより、シフトポジション切り替え後の目標トルクの影響度合いが増大し、ゲインk=1となると、式(1)によりシフトポジション切り替え後の目標トルク=指示トルクとなる。
まず、ECU8ではシフトポジションに関わらず、各モータトルク設定部16〜22において各シフトポジション毎の目標トルクを設定する。そして、目標トルク選択手段24では、シフトポジションセンサ10からの情報に基づいて現在のシフトポジションに対応した目標トルクを選択し、これを指示トルクとして出力する。
このため、従来では、シフトポジションを切り替えると(t=t1)、図3に線cで示すようにインバータ7への指示トルクがDレンジの目標トルクからLレンジの目標トルクに不連続に変化してしまい、トルクショックが生じていた。
すなわち、まず一次処理遅れを施すことで、指示トルクをDレンジの目標トルクからLレンジの目標トルクに連続的に変化させることができ、トルクショックを抑制することができる。さらに、本実施形態においては、ゲインkを時間に応じて徐々に1に近づけるように変化させることにより、シフトポジションの切り替え直後は緩やかに指示トルクを変更させながら、その後速やかに指示トルクをシフトポジション切り替え後の目標トルクに収束させることができる利点がある。
これにより、指示トルクの不連続な急変化を抑制できトルクショックを抑制することができるようになる。特に、車両停止時にアクセルペダルを踏み込んだ状態でNレンジからDレンジにシフトポジションを変更した場合に、違和感なく速やかに発進することができるようになるという利点があるほか、車両走行中にDレンジからLレンジに変更した場合にも、指示トルクの急変を防止してショックを抑制することができるという利点がある。
また、シフトポジション切り替え後は、ゲインkを漸増させることより、シフトポジションの切り替え直後においては比較的緩やかに指示トルクを変更させながら、その後速やかに指示トルクをシフトポジション切り替え後の目標トルクに収束させることができるという利点がある。
また、本実施形態では車両のシフトポジションとして、P,R,N,D,Lの各ポジションを備えているが、シフトポジションについてもこのようなものには限定されず、少なくとも2つのシフトポジションを有していれば良い。
また、本実施形態ではシフトポジション選択手段としてシフトレバーを適用した場合について説明したが、シフトポジション選択手段としては、このようなシフトレバーに限定されるものではなく、ボタン式のシフトスイッチやパドル式のシフトスイッチ等、種々の手段を適用可能である。
2 駆動源としてのモータ
10 シフトポジションセンサ
12 アクセル開度センサ(アクセルポジションセンサ)
15 目標トルク設定手段
24 目標トルク選択手段
26 目標トルク補正手段
28 ゲイン変更部(ゲイン変更手段)
Claims (3)
- 車両に搭載された駆動源としてのモータの出力トルクを制御するモータトルク制御装置であって、
該車両の複数のシフトポジションのうち現在選択されているシフトポジションを検出するシフトポジションセンサと、
該車両のアクセル操作量を検出するアクセルポジションセンサと、
該アクセルポジションセンサから得られたアクセル操作量に基づいて各シフトポジション毎の目標トルクをそれぞれ設定する目標トルク設定手段と、
該シフトポジションセンサからの情報に基づいて現在のシフトポジションに対応した目標トルクを目標トルク設定手段から選択する目標トルク選択手段と、
該シフトポジションセンサからの情報に基づいて該車両の走行レンジに対応するシフトポジションへの切り替えが検出されると、該目標トルク選択手段で新たに選択された目標トルクに対して所定のゲインで一次遅れ処理を行い最終的な指示トルクとして出力する目標トルク補正手段とを備え、
該シフトポジション切り替え後の目標トルクをT、該ゲインをk、前回の制御周期で出力された指示トルクをT n-1 、今回の制御周期における指示トルクをT n とすると、該目標トルク補正手段は、下式
T n =T・k+T n-1 ・(1−k)
により指示トルクを周期的に求め、
該ゲインを該シフトポジション切り替え後の経過時間に伴い漸増させるゲイン変更手段を有する
ことを特徴とする、モータトルク制御装置。 - 該ゲイン変更手段は、該シフトポジション切り替え時における該ゲインの初期値を0とするとともに、所定時間後に該ゲインを1まで徐々に増大させ、その後該ゲインを1に保持する
ことを特徴とする、請求項1記載のモータトルク制御装置。 - 該シフトポジションとして、Pレンジ,Rレンジ,Nレンジ,Dレンジ及びLレンジの各ポジションが設けられている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のモータトルク制御装置。
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