JP4888193B2 - 液体クロマトグラフィ用のフィルタ、その製造方法および液体クロマトグラフィ装置 - Google Patents

液体クロマトグラフィ用のフィルタ、その製造方法および液体クロマトグラフィ装置 Download PDF

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Description

本発明は、クロマトグラフィカラムに取り付けられるフィルタ、その製造方法および液体クロマトグラフィ装置に関し、特に大型のクロマトグラフィカラムに取り付けられるフィルタ、その製造方法、および液体クロマトグラフィ装置に関する。
従来、複数の物質を含む混合液から各成分を分離し、また精製するため、液体クロマトグラフィ装置が利用されている。液体クロマトグラフィ装置では、筒状のカラム内部に充填剤が保持され、カラム両端には「フリット」と称される多孔質板状部材が取り付けられている。フリットは次に挙げる機能を持ち、良好なクロマトグラフィ性能を奏するために重要な部品である。第1の機能:充填剤がカラム外部へ漏出しないようにカラム内部に保持する。第2の機能:分離・精製に供される液体試料をカラム横断面(すなわちカラム延伸方向に直交する方向での断面)方向に均一分散させ、液体試料がカラム内を一端側から他端側へ逆流せずにピストンフローで流れるようにする。第3の機能:カラム内の充填剤を支持する、特に、充填剤がカラム一端側から押圧されている場合や、充填剤が膨潤して内圧が発生する場合等には、その押圧力に対して充填剤を支持する。
フリットを構成する材料は、主として、ステンレス等の金属、または高密度ポリエチレン等の樹脂が一般的である。樹脂製のフリットは金属製のフリットに比べて強度が劣るため、カラム内部が高圧になる高圧クロマトグラフィ装置には、金属製のフリットが用いられる。金属製のフリットとしては、金属の粒子または繊維を積層して焼結させた焼結金属フリットが広く用いられている。
例えば、特許文献1には、ステンレス鋼の繊維を積層して焼結して得られた焼結金属フリットが開示されている。また、金属製フリットを多層構造として、各層の孔径を変えた金属製フリットも提案されている(特許文献2および特許文献3)。
特開平7−260763号公報 特開2000−65813号公報 特開2006−189427号公報
焼結金属フリットは、充填剤の保持能力、液体試料の均一分散能力、および強度に優れることから広く使用されている。しかし、製造に用いる焼結炉の大きさが限られており、直径が40cm以上のフリットを製造する場合は、直径40cm程度以下のフリット(以下、「フリット構成片」)を作成し、複数のフリット構成片を溶接によって張り合わせて製造される。直径が80cm以上の焼結金属フリットは4枚以上のフリット構成片を、直径が1m以上の焼結金属フリットは9枚以上のフリット構成片を張り合わせて製造され、溶接箇所が多くなるため製造コストが高くなる。また、複数のフリット構成片を溶接することから、製造されたフリットの平面方向に歪みが生じるおそれも大きい。さらに、焼結金属フリットは比表面積が大きいため、フリットの材料に鉄が含まれる場合、塩分を含む液体試料を通液すると鉄がフリットから溶出しやすい。
これに対し、複数枚の金属金網を積層して金属フリットとすることもできる。金網を積層して構成された金網フリットを製造する場合は、直径が1mを超える金網の入手は容易である。また、金網を焼結する金網用の焼結炉は、金属粒子や繊維を焼結する焼結炉とは異なり、直径1m程度の板状物を焼結でき、直径1m程度のフリットであれば溶接を要さない。このため、金網フリットは製造コスト面や平面方向の歪みの面で焼結金属フリットに比べ有利である。さらに、金網フリットは、焼結金属フリットに比べて比表面積が小さいため、塩分を含む液体試料を通液した場合における鉄の溶出の程度も小さい。
ところで金網フリットは、複数枚の金網を積層して焼結させた後、得られた焼結積層体を所望の大きさに切断して構成され、切断面は旋盤加工される。ここで金属フリットの切断面は、金属粒子または繊維をランダムに積層して構成された焼結金属フリットに比べて大きな空隙が生じやすく、旋盤加工後も空隙が多く残存する。このような空隙が生じた部分は、目が詰まった他の部分に比べて液体が通過しやすいため、空隙部分から偏流が発生する。
また、直径が1m以上のフリットをカラムに取り付ける場合には、フリットの面方向への歪みを防止するためにフリットを貫通する孔を開け、孔に留め具を挿入してフリットを押さえる。上述した理由から孔の周囲にも空隙が生じて偏流発生の原因となりうる。さらに、金網フリットの板面は規則正しい網目であるため、金属粒子や繊維がランダムに配置されてなる焼結金属フリットの板面に比べて充填剤が補足されやすい。このため、金網フリットを洗浄する際、充填剤の除去性に劣る。
本発明は上記課題に鑑みて完成され、特に大口径の高圧カラムに適した金属製フリットにおいて、偏流発生を防止することを目的とする。具体的には、フリットの外縁での偏流発生防止を図り、フリットの撓み・曲がり防止用の留め具を挿入する孔の周辺での偏流も防止する。
本発明では、複数の金網を積層して焼結してなる焼結積層体を所望のフィルタ形状に切断した後の切断面を含む外縁部を溶接する。具体的には、本発明は以下を提供する。
(1)それぞれ網目幅の異なる第1の金網、および第2の金網を積層して焼結され、外縁部が溶接され、溶接された前記外縁部の上部が溶射されており、前記第1の金網は、網目の縦および横方向のメッシュがそれぞれ200以上であり、連続して2枚以上積層されている液体クロマトグラフィ用のフィルタ。
(2)前記第1の金網と前記第2の金網との間に第3の金網を積層して焼結され、外縁部が溶接されている(1)に記載のフィルタ
(3)直径が40cm以上である(1)から()のいずれかに記載のフィルタ。
)直径が1m以上であり、前記金網が積層された方向に延びる貫通孔が形成されている()に記載のフィルタ。
(5)(1)から()のいずれかに記載の液体クロマトグラフィ用のフィルタの製造方法であって、それぞれ網目幅の異なる第1の金網、および第2の金網を積層して積層体とし、前記積層体を焼結して焼結積層体とし、前記焼結積層体を所定の形状にした後、外縁部を溶接し、溶接された前記外縁部の上部を溶射するフィルタの製造方法。
)充填剤が充填されたカラム、該カラムの両端の少なくとも一方の端面を覆うフィルタ、および該カラムの両端を閉じる一対の蓋体を含む液体クロマトグラフィ装置であって、前記フィルタは、(1)から()のいずれかに記載のフィルタである液体クロマトグラフィ装置。
本発明では、複数の金網を積層して焼結してなる焼結積層体を切断した切断面を含む外縁部を溶接することで、切断面に残存する空隙を塞ぐ。ここで「金網」とは、糸状の金属を用いて作られた網であり、金属織布を含むものとする。
金網としては、網目の大きさが異なる少なくとも2種類以上の金網を用いる。具体的には、不純物を濾過する濾過層を形成するのに適した目開きの小さい第1の金網と、第1の金網より強度が高い第2の金網を積層するとよい。第1の金網と第2の金網を積層させた上に別の金網が積層されていてもよく、第1の金網と第2の金網との間に別の金網が積層されていてもよい。第1の金網と第2の金網との間には、第1の金網より目開きが大きく、第2の金網より目開きが小さい第3の金網を積層すると、濾過槽を保護することができる。
溶接処理する外縁部としては、少なくとも焼結積層体の側面となる切断面(焼結積層体の側面)を含めばよいが、好ましくは焼結積層体の外縁から中心に向かって1〜5mm程度の領域までを外縁部として溶接することが好ましい。溶接方法は特に限定されない。
網目の大きさが異なる3種類の金網を順に積層する際には、第1の金網の網目を縦および横200メッシュ以上とし、充填剤と接する最外層に位置させれば充填剤の除去性を向上させることができる。また、縦および横が200メッシュ以上の第1の金網を連続して2枚以上、特に3枚以上積層すれば、焼結体をレーザー切断した切断面をレーザー切断後に溶接するだけで空隙を塞いで偏流の発生を回避できる。
しかし、第1の金網の積層枚数が少ない場合は、溶接だけでは空隙を十分に塞ぎきれない場合がある。第1の金網を1枚しか使用しない場合でも、第1の金網として網目の縦横200メッシュ以上のものを用い、焼結積層体の切断によって生じた外縁部を旋盤加工し溶接した上で金属粒子を溶射すると、空隙を確実に塞ぐことができる。金属粒子の素材としては、酸化されにくく溶出が少ない金属、例えばニッケルクロムを用いることが好ましい。
フリットは、板状であればその形状は限定されないが、一般には円板状である。焼結金属で直径が40cmを超えるフリットを溶接なしで製造することは、焼結炉の大きさから現実的に難しいが、金網フリットは、直径が40cm以上でも製造が可能である。
フリットの直径が1mを超えると、カラムにフリットを取り付けた際にフリットの面方向に歪みが生じやすくなる。そこでフリットを貫通する孔を形成して、この孔からボルト等の留め具を挿入してフリットをネジ止めして歪みを防止できるようにするとよい。フリットを貫通する孔を形成することにより、孔の内壁に偏流の原因となる空隙が発生するが、表面の金網のメッシュが200メッシュ以上と細かい場合、フッ素樹脂製パッキンとボルトを用いてシールすることが可能である。なお、必要に応じて溶接してもよい。
本発明によれば、金網を積層し焼結させて所望の形状に切断することにより生じる切断面を旋盤加工するだけでなく、溶接することにより切断面近傍の空隙を塞ぎ、偏流発生を防止できる。本発明によれば直径が40cm以上の大きな金属フリットにおいても、偏流発生を防止し、かつ、製造コストを低くできる。
次に、図面を参照して本発明について説明する。以下において同一部材には同一符号を付し、説明を省略または簡略化する。図1は、本発明の第1実施態様に係るフリット1の全体斜視図である。図2はフリット1の一部を切り取った場合の拡大図、図3はフリット1の分解斜視図である。
フリット1は、3種類の金網21〜23を積層して構成されている。具体的には、第1の金網21が6枚、第2の金網23が6枚、第1の金網21と第2の金網23との間に配置された第3の金網22が1枚、積層されている。図3では、第1の金網21と第2の金網23とについては枚数を省略している。
フリット1は略円板状であり、互いに向かい合いほぼ同じ円形の表側面16と裏側面17、および表側面16と裏側面17の外周同士を結び金網21〜23の積層方向に延びる側方面18に囲まれた立体である。表側面16は、第1の金網21のうち最外層にある第1の金網21Aで構成され、裏側面17は、第2の金網23のうち最外層にある第2の金網23Aで構成されている。以下、表側面16および裏側面17に平行な方向を「水平方向」、側方面18に平行で金網21〜23が積層された方向を「垂直方向」と称する。
第1の金網21、第2の金網23、および第3の金網22は、フリット1に求められる濾過機能および強度を担保するよう、それぞれ網目の大きさが異なる。具体的には、第1の金網21は、濾過層11を構成するように網目が細かいことが好ましく、網目の縦および横の大きさがそれぞれ、200メッシュ(メッシュは、1平方インチに含まれる網目の数を示すものとする)以上の物を使用することが好ましい。網目の縦および横の大きさは、充填剤の漏れや充填剤による目詰まりを避けるように、使用する充填剤の粒径を考慮して決定する。第1の金網21は少なくとも2枚以上、好ましくは3〜6枚程度、積層することが好ましい。第1の金網21を1枚とする場合は、後述する実施例2のように切断面を溶接した上で溶射するとよい。
第2の金網23は、フリット1に強度を持たせる補強層13を形成するよう、第1の金網21および次に述べる第3の金網22に比べて針金が太く、網目も粗い金網を使用するとよい。具体的には、第2の金網23としては、網目の縦および横の大きさがそれぞれ、12メッシュ程度、より具体的には12〜64メッシュ程度であればよい。第2の金網23は、フリット1が所望の強度を有するために必要な枚数、積層し、針金の太さや素材にもよるが少なくとも2枚以上、特に3〜6枚程度、積層することが好ましい。
第3の金網22は、第1の金網21で形成される濾過層11を保護する保護層12を形成する。このため、第3の金網22としては、第1の金網21より網目が大きく第2の金網23より網目が小さい金網を使用するとよく、網目の縦および横の大きさは、100メッシュ程度であることが好ましい。第3の金網22は、補強層13を形成する目の粗い第2の金網23から濾過層11を保護すればよく、第1の金網21と第2の金網23との間に配置する。第3の金網22は、連続して2枚以上積層する必要はないが、連続して複数枚を積層することは排除されない。また、第1実施態様のフリット11では、6枚ある第1の金網21のうち最外層にある第1の金網21Aを保護層12として機能させているが、複数枚の第1の金網21を積層した積層体を、2枚の第3の金網22で挟んで濾過層11を保護してもよい。
金網21〜23の素材としては、溶出が少なく強度が高い金属、例えばステンレス、ニッケルクロム、およびチタン等を使用することが好ましい。特にステンレスは、ニッケルクロムやチタンに比べ安価に使用できるので好適である。
本実施態様のフリット1の大きさは、直径約150cmであり、垂直方向に延びてフリット1を貫通する止め孔10が4箇所に形成されている。止め孔10は、直径14mm程度である。
フリット1の側方面18の全面、および側方面18から中心に向かって3mm程度までの部分(以下、フリット1の外縁部15と称する)は、溶接されている。溶接された外縁部15は、フリット1と実質的に同じ高さ、実質的に同じ外径で、水平方向の幅が約3mm程度の略環状である。
図2は、図1に符号Xで示す直方体状となるようにフリット1を切り取った場合を示す模式図である。図2では、表側面16の一部と、側方面18の一部、およびフリット1の垂直方向断面構成が示されている。図1および図2では、外縁部15を着色して示しており、図2に示すように外縁部15はフリット1内部にまで延びている。
フリット1の垂直断面には、金網21〜23を構成する針金Wの断面と、針金W同士の間にあって網目の中空部分に由来する空隙Vとが現れ、垂直方向の切断面は空隙V部分が凹んだ平面となる。この空隙Vは、偏流を発生させる原因となる。そこで、フリット1では、金網21〜23を積層し、焼結してフリット1の所望の形状(例えば直径150cmの略円板形状)に切断した後、フリット1の側方面18を構成する切断面を含む外縁部15を溶接している。
このように、金網21〜23を積層して焼結し、切断した後、その切断面を溶接することで、空隙Vを閉じて偏流を防止できる。溶接処理の後、さらに金属粒子を溶射してもよい。溶射を行えば、溶接だけでは塞ぎきれなかった空隙Vを金属粒子で埋めているため、偏流がより確実に防止される。
次に、このようなフリット1の製造方法について説明する。まず、上述したような複数種類の金網21〜23を用意する。金網21〜23は、いずれも作成するフリット1より大きな板状であることが好ましいが、フリット1が大きい場合はフリット構成片を作成して張り合わせる。金網21〜23は、上述したような数および順番で積層した後、積層体を焼結する。
積層体を焼結することで得られる焼結体は、フリット1の大きさおよび形となるように切断して切断面およびその周辺、すなわち上述した外縁部をレーザー切断した後、溶接する。溶接方法および条件は特に限定されない。
外縁部は溶接した後、金属粒子を用いて上部から溶射してもよい。溶接により外縁部と金網部との間にある金属が溶かされ欠陥が発生しても、外縁部の上部から溶射すると、これを溶射で塞ぐことができる。溶射の条件、および溶射に用いる金属粒子の大きさ、および種類は特に限定されないが、ニッケルクロム粒子を用いることが好ましい。ニッケルクロムは、ステンレスに比べて錆びにくいため溶出防止の点から優れるためである。
このようにして、外縁部15を溶接することで外縁部15に空隙が生じることによる偏流が防止されたフリット1が得られる。フリット1が直径1mを超えるような場合、フリット1の表裏面を貫通する止め孔10を形成することが好ましい。止め孔10の数および形成位置は、フリット1の大きさに応じて決定すればよい。
以上の手順により、本発明に係るフリット1が得られる。フリット1は、クロマトグラフィ装置のカラム内に充填された充填層の一方または両方の端面に配置して用いる。図5(a)、(b)は、フリット1を用いたクロマトグラフィ装置30、30Bの断面模式図である。
図5(a)のクロマトグラフィ装置30は、カラム31と、カラム31両端面を塞ぐ一対の蓋体としてのピストン32および固定蓋33とを備える。カラム31内部には、シリカゲル等の充填剤が充填されてなる充填層34が形成される。フリット1は、充填層34の端面のうち少なくともピストン32と向かい合う側の端面を覆うように配置し、一般的には、図5(a)に示すようにピストン32側端面と固定蓋33側端面の両方を覆うように配置する。図5(a)では、直径が異なるフリット1Aと1Bとを、ピストン32側端面と、固定蓋33側端面のそれぞれに配置している。ピストン32は、カラム31の延伸方向に往復動可能で、ピストン32を固定蓋33側に動かすことでカラム31内が加圧される。また、図5(b)のように、ピストン32に代えて、フランジを有し固定可能な閉じ蓋32Bを用いてもよい。図5(b)では、カラム31Bの両端に配置した固定可能な蓋(閉じ蓋32B、固定蓋33)の両方を覆うようにフリット1Bを配置している。図5(b)に示す態様では、両端にフランジを有するカラム31Bに充填剤を充填してから閉じ蓋32Bを閉めて、クロマトグラフィ装置30Bとする。
クロマトグラフィ処理に供される試料は、ピストン32に設けられた導液路35からカラム31内に導入され、フリット1の表側面16全体に拡散して、充填層34を固定蓋33側に進む。試料中の成分は、充填剤に対する吸着特性の違いに応じて充填層34の異なる位置に吸着され、各成分はクロマト分離され、残渣は固定蓋34に設けられた排液路36から排出される。
[実施例1]
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに説明する。実施例1では、以下に記載する材料を用いて図1に示すフリット1と同様の構成のフリットを作成した。
〈金網〉
第1の金網:縦325メッシュ、横2400メッシュのステンレス製
第2の金網:縦12メッシュ、横64メッシュのステンレス製
第3の金網:縦100メッシュ、横100メッシュのステンレス製
第1の金網21を6枚、第2の金網23を6枚、第1の金網と第2の金網との間に配置した第3の金網22を1枚、積層した。フリット1の表側面16を構成する最外層の第1の金網21Aは、保護層12として残り5枚の第1の金網21B〜21Fを濾過層11とした。第2の金網23は、6枚を連続して積層し、第1の金網21と第2の金網23との間に第3の金網22を1枚、配置して積層して積層体とした。
積層体は、焼結した後、直径約150cmの円板となるように切断し、切断面を含む外縁部をレーザー切断した後、溶接した。さらに、フリット1の中心から約50cm程度の位置に4箇所に渡り直径1.4cmの止め孔10を開けた。
得られたフリット1をバブリングテストに供した。バブリングテストを行うため、フリット1をフランジ継手のフランジ部分に冷やし嵌めした上、エアを供給する配管とフリットを嵌めたフランジ継手とを接続した。次いで、フランジ継手に嵌め入れられたフリット1をイソプロピルアルコールに浸漬した状態で、配管からエアを供給した。エア圧を徐々に上昇させてフリット1に通気させるバブリングテストを行ったところ、フリット1表面からはエアが均一に発生した。偏流を発生させる空隙Vが多い場合は、空隙Vからのエア発生が先行するためフリット1表面からのエア発生は均一にならないが、実施例1のフリット1からのエア発生は均一であったことから、本発明によれば空隙が塞がれ、偏流の発生が防止できることが確認できた。
なお、止め孔10は、ボルトとポリテトラフルオロエチレン製のパッキンとをフリット1の表側面16、ナットを裏側面17に配置してこれらによりフリット1を挟むことで止め孔10を塞いだ状態でバブリングテストに供した。バブリングテストの結果、止め孔10の周囲においてもエアリークの発生は認められず、200メッシュ以上の金網を表面に使用すれば止め孔10を形成することに伴う空隙が塞がれていることが確認できた。
[実施例2]
次に、実施例2として図4に示す構成のフリット2を作成した。フリット2は、第3の金網22を1枚、第1の金網21を1枚、第3の金網22を1枚、および第2の金網23を6枚、この順に積層して構成した。第1の金網21、第2の金網23、および第3の金網22は実施例1で用いた金網と同じで、これら金網の積層枚数および順序が異なる以外は実施例1と同じである。フリット2では、第1の金網21を挟む第3の金網22がそれぞれ1層ずつの2層の保護層12を形成し、1枚の第1の金網21が濾過層11を形成している。6枚の第2の金網23は、実施例1と同じく補強層13を形成している。
実施例2では、実施例1と同様にして積層体を切断し、外縁部を溶接した後、金属粒子としてニッケルクロム粒を外縁部の上部に溶射した。このフリット2を実施例1と同様のバブリングテストに供したところ、フリット2表面全体からエアが均一に発生した。このように、実施例2では、第1の金網21を1枚にしたが溶射処理を行うことで空隙を塞いで偏流を防止できることが確認できた。
[参考例1]
実施例1において、溶接を行わずバブリングテストを行ったところ、円板状にした焼結積層体の外縁部および止め孔10の周囲からエアが発生し、中央部からはエアは少ししか発生しなかった。
[参考例2]
実施例2において、溶射を行わずにバブリングテストを行ったところ、外縁部からのエアの発生はなかったが、外縁部と金網部の境目から発生するエアが他の部分から発生するエアの量より多くなることが認められた。
以上の試験から、本発明によれば偏流発生の原因となる空隙を塞いで、試料を均一分散させて充填層に導入できる金網フリットが得られることが確認できた。
本発明は、液体クロマトグラフィ装置に用いることができる
本発明の第1実施形態に係るフリットの全体斜視図。 前記フリットの一部を切り出した切り出し片の拡大図。 前記フリットの構成を示す分解斜視図。 実施例2のフリットの構成を示す分解斜視図。 (a)(b)第1実施形態のフリットを装着した液体クロマトグラフィ装置の断面模式図。
符号の説明
1、2 フリット
10 止め孔
11 濾過層
12 保護層
13 補強層
15 外縁部
16 表側面
17 裏側面
18 側方面
21 第1の金網
22 第3の金網
23 第2の金網

Claims (6)

  1. それぞれ網目幅の異なる第1の金網、および第2の金網を積層して焼結され、外縁部が溶接され、溶接された前記外縁部の上部が溶射されており、前記第1の金網は、網目の縦および横方向のメッシュがそれぞれ200以上であり、連続して2枚以上積層されている液体クロマトグラフィ用のフィルタ。
  2. 前記第1の金網と前記第2の金網との間に第3の金網を積層して焼結され、外縁部が溶接されている請求項1に記載のフィルタ。
  3. 直径が40cm以上である請求項1または2に記載のフィルタ。
  4. 直径が1m以上であり、
    前記金網が積層された方向に延びる貫通孔が形成されている請求項に記載のフィルタ。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の液体クロマトグラフィ用のフィルタの製造方法であって、
    それぞれ網目幅の異なる第1の金網、および第2の金網を積層して積層体とし、
    前記積層体を焼結して焼結積層体とし、
    前記焼結積層体を所定の形状にした後、外縁部を溶接し
    溶接された前記外縁部の上部を溶射するフィルタの製造方法。
  6. 充填剤が充填されたカラム、該カラムの両端の少なくとも一方の端面を覆うフィルタ、および該カラムの両端を閉じる一対の蓋体を含む液体クロマトグラフィ装置であって、
    前記フィルタは、請求項1からのいずれかに記載のフィルタである液体クロマトグラフィ装置。
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