JP4886358B2 - エンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドを有効成分とする起泡剤およびこれを含む炭酸飲料 - Google Patents

エンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドを有効成分とする起泡剤およびこれを含む炭酸飲料 Download PDF

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Description

本発明は、独特の発泡特性を呈するエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチド、これを有効成分とするエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチド、発泡剤及びその製造方法に関するものである。
従来、食品の発泡剤としてアルブミンのようなタンパク質を使用することが知られている。特開昭52−151200号公報には、大豆、ホエー、卵白、菜種、落花生、ひまわり種子、パームナッツ又はオリーブからの抽出物を含むタンパク質源から分離されたものが発泡剤として有用であることが開示されている。また、特開平4−190766号公報には、大豆蛋白又は小麦蛋白等の起泡性蛋白質を多糖類粘質物と共に食肉に配合すると、内部に適宜に気泡が分散したソフトな食感を与えることが開示されている。
また、特開2001−69920号公報には、大豆蛋白中の7S成分及び11S成分を別途に加水分解し、且つ両加水分解物を含むポリペプチドが、起泡剤あるいは乳化剤として優れていることが開示されている。
また、特開平9−25225号公報には、エンドウに蛋白分解酵素を作用して得られる分子量10,000以下の画分を有効成分とする皮膚外用剤が開示されている。
特開昭52−151200号公報(請求項11) 特開平4−190766号公報(請求項1、第2頁右上欄) 特開2001−69920号公報(請求項1) 特開平9−25225号公報(請求項1、段落0027) PCT/JP2005/021064
しかしながら、従来の大豆蛋白や卵白等の発泡剤は、発泡後、時間の経過につれて泡が消え難い泡安定性のよいものがほとんどである。また、このような発泡剤を食品や飲料液に添加する場合、豆臭を発生するため、品質上の問題もあった。近年、消費者の食品に対するニーズは多種多様のものがあり、臭いが無く、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低いものも要望されているが、従来の発泡剤はこのようなニーズには対応できないものであった。また、エンドウに蛋白分解酵素を作用して得られる分子量10,000以下の画分は、皮膚外用剤の有効成分としては知られているものの、発泡剤の有効成分としては知られていない。
従って、本発明の目的は、臭いが無く、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い発泡特性を発現するエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチド、発泡剤及びその製造方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、SDSポリアクリルアミド電気泳動法による分析において、分子量が3,000〜25,000の範囲にあり、塩濃度が乾燥重量で5.0%以下、脂溶性成分が乾燥重量で0.3%以下であるエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドを有効成分とする発泡剤は、臭いがなく、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い発泡特性を発現させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、pH4.5のエンドウホエーを遠心分離した上清を原液として、珪藻土濾過器で処理した後、濾過液中の脂溶性成分を吸着除去し、その後中空糸型限外濾過膜で処理し、濃縮した液体を炭酸ソーダで中和し、乾燥して得られた粉末状のものであり、SDSポリアクリルアミド電気泳動法による分析において、分子量が3,000〜25,000の範囲にあり、分子量3,500〜14,300の範囲に少なくとも2つのバンドが、分子量16,000〜21,000に1つのバンドが、21,000を超え29,000以下に1つのバンドがそれぞれ存在するものであって、塩濃度が乾燥重量で5.0%以下、脂溶性成分が乾燥重量で0.1%以下である炭酸飲料に用いるエンドウホエー由来の水に可溶なポリペプチドを有効成分とする起泡剤を提供するものである。
また、本発明は、前記起泡剤を0.05〜3.0重量%含有する炭酸飲料を提供するものである。
なお、本明細書中、「発泡剤」は誤記であり、正しくは「起泡剤」である。
また、本発明は、エンドウホエー中の不純物を除去する不純物除去工程と、分子量が3,000以上の画分を得る濾過工程と、該不純物が除去された画分を乾燥して粉末状物のポリペプチドを得る乾燥工程を有することを特徴とするエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドの製造方法
本発明のエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドを有効成分とする発泡剤は、臭いがなく、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い発泡特性を発現させることができる。このため、例えば発泡酒、醸造酒の泡立ちの改良剤、乳製品の泡立ちの補助剤、洗剤の泡立ちの補助剤として有用である。また、本発明のエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドの製造方法は、簡易な方法で且つ工業的規模で生産することができる。
本発明のエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドの製造方法を説明する。不純物除去工程において、原料であるエンドウホエーは、公知の方法で製造される。エンドウホエーとは、エンドウの全粒分を水溶液に分散して一定時間放置して該水溶液に溶解する成分を該溶液中に抽出した後に、該水溶液に不溶性のタンパク質その他の成分を除去した後の清澄水溶液を言う。不溶性成分は水溶液の条件により異なるため、ある条件で溶解させた成分に対し、たとえば、水溶液のpHを変化させたり、温度を変化させたり、水溶液に塩を加えたり、有機溶媒を加えたりして、溶解している成分の溶解性を変化させて不溶性成分を故意に析出させることもできる。このようにして該水溶液から故意に不溶性成分を除いた後の清澄水もホエーと言う。不溶性成分と清澄水の分離方法は、遠心分離や膜濾過などを用いることができる。
エンドウからエンドウホエーを得る一例を示す。すなわち、乾燥し皮をむいたエンドウ豆を粉砕し、アルカリ水溶液(pH9.0)を加え、室温で蛋白質を抽出する。抽出液を濾過して残渣と澱粉などの不要成分を除去した後、pHを3.5〜6.0に調整して、蛋白質を等電点凝集させる。次いで、凝集物を遠心分離にかけ、上清(ホエー)を得る。遠心分離前のエンドウホエー(原料)中には、通常浮遊物物質(SS)が30〜50%、蛋白質が25〜40%、脂溶性成分が2〜5%、糖類が1〜5%、塩類が8〜15%(いずれも乾燥重量)含まれており、遠心分離により、主に大きな浮遊物物質や繊維質の大部分が除去される。
本発明において、不純物除去工程は、遠心分離では除去できない不純物を除去する工程である。遠心分離では除去できない不純物としては、少なくとも塩類と脂溶性成分であり、また、当該不純物には遠心分離では除去できない繊維成分や固形分などの浮遊物物質や糖類等を含むものである。エンドウホエーから塩類と脂溶性成分を除去することにより、製品の泡立ちが一層よくなり、また豆臭もなくなる。また、浮遊物物質や糖類を除去することにより、製品の有機物濃度を減少させ、沈殿物などの生成がない高品質のものを得ることができる。
本発明において、エンドウホエー中の不純物を除去する不純物除去工程および分子量が3,000以上の画分を得る濾過工程は、いずれを先に行ってもよい。すなわち、不純物除去工程を行った後、濾過工程を行ってもよく、濾過工程を行った後に不純物除去工程を行ってもよい。
エンドウホエーに含まれる塩類としては、例えば塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムが挙げられ、脂溶性成分としては、例えばリン脂質、サポニン、フラノボイド類などが挙げられ、糖類としては、例えばヘキソース、ペントース等の単糖またはこれらが重合したオリゴ糖が挙げられる。
不純物除去工程において、塩類を除去する方法としては、特に制限されないが、例えば膜濾過による脱塩方法、ゲル濾過による脱塩方法、電気透析による脱塩方法及びイオン交換樹脂による脱塩方法が挙げられる。濾過膜としては、限外濾過膜(UF)(「アミコンYM3」;東京硝子社製)などが挙げられる。ゲル濾過による脱塩方法は、分子篩によって脱塩する方法である。分子量が3,000以上のホエーペプチドを脱塩する場合には、水を満たした分子排除孔径3,000以上のゲル濾過担体を充填したカラムを使用し、カラムに試料を通液し、所定量の溶出液を廃棄した後の溶出液を採取すればよい。
電気透析による脱塩方法は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜に仕切られた室内に溶液を満たし、それぞれの交換膜の外側から電場をかけることによって、イオン交換膜で挟まれた領域内の溶液を脱塩する方法である。この方法の場合、イオン交換膜は半透膜であって、分子量3,000以上のペプチドを膜透過させないようにすればよい。
イオン交換樹脂による脱塩方法の場合、精製しようとするホエーペプチドの等電点以下まで、溶液のpHを5以下、好ましくは4.0以下に下げ、強酸性陽イオン交換樹脂に通液し、次いで、弱塩基性陰イオン交換樹脂に通液すればよい。強酸性陽イオン交換樹脂としては、例えばアンバーライトIR120B、弱塩基性陰イオン交換樹脂としては例えばアンバーライトIRA96SB等が挙げられる。また他の方法として、ホエーペプチドのような酸性ペプチドがイオン交換樹脂に吸着する性質を利用する方法もある。すなわち、中性にした試料溶液を弱塩基性陰イオン交換樹脂に通液し脱塩する。次いで、弱塩基性陰イオン交換樹脂に吸着されたペプチドを酸で脱離させる。弱塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えばアンバーライトIRA96SB、DEAEセファセルなどが挙げられる。溶離に用いる酸としては、特に制限されず、塩酸、酢酸などが挙げられる。また、溶離に用いる溶液のpHは5.0以下、好ましくは4.0以下である。
なお、本発明においては、不純物除去工程における脱塩処理は省略して、分画分子量が3,000以上の画分を得る濾過工程において、脱塩処理をさせることもできる。
不純物除去工程において、脂溶性成分を除去する方法としては、合成吸着剤を用いて吸着除去する方法が挙げられる。合成吸着剤としては、有機樹脂が挙げられ、例えば、スチレン系樹脂、アクリル-ジビニルベンゼン系樹脂等が使用できる。合成吸着剤は、通常球状の多孔質体であって、官能基を持たず、表面の極性も低いものである。孔径は2〜2,000Åが好ましく、極性は低極性から無極性が好ましい。好適な合成吸着剤としては、アンバーライトXAD16HP(孔径は2〜300Å、無極性)やアンバーライトXAD761(孔径は2〜800Å、低極性)などが挙げられる。
不純物除去工程において、遠心分離では除去できない1〜2μmのような小さな繊維や固形分などの浮遊物物質を除去する方法としては、珪藻土を用いる濾過方法が挙げられる。珪藻土濾過は、通常食品工業で用いられている方法ならいずれの方法でもよい。珪藻土の粒径は、通常2〜16μmのものが好適である。
本発明の分子量が3,000以上の画分を得る濾過工程は、エンドウホエーの分子量が3,000未満のものを除去して、特異な発泡特性の発泡剤を得る工程である。濾過膜としては、分子量が3,000以上の画分を得る濾過膜であれば、特に制限されず、例えば、精密濾過膜(MF)やクロスフロー型濾過膜が挙げられる。特に当該濾過工程は、pH3.5〜6.0に調整されたエンドウホエーを分画分子量が3,000〜4,000のクロスフロー型濾過膜で処理して、濃縮液と透過液を得る方法が好適である。当該方法において、濃縮液を循環すれば、脱塩と前濃縮を同時に行うことができる。なお、前濃縮とは、乾燥工程が濃縮工程でもあるため、その前段における濃縮の意味である。クロスフロー型濾過膜処理の場合、不純物除去工程における脱塩処置は省略することもできる。クロスフロー型濾過膜としては、特に制限されないが、例えば限外濾過膜、NF膜(ナノフィルトレーション膜)が挙げられ、このうち、限外濾過膜が好ましい。
エンドウホエーをクロスフロー型濾過膜で処理する温度としては、特に制限されないが、20℃以下、2〜14℃が好ましい。温度が低すぎると透過率が悪くなり、温度が高すぎると蛋白の変性やバクテリアの繁殖等が生じる点で好ましくない。
クロスフロー型濾過膜は、分画分子量が3,000〜4,000、好ましくは分画分子量が3,000である。この膜濾過により得られる濃縮液は、分子量3,000以上のアルブミンであり、これを有効成分とする発泡剤は、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い発泡特性を発現させることができる。なお、エンドウホエーを分画分子量3,000〜4,000のクロスフロー型濾過膜で処理する前に、予め分画分子量が例えば10,000のクロスフロー型濾過膜で処理し、分子量域10,000以下のポリペプチドを含む透過液を得、この透過液を分画分子量3,000〜4,000のクロスフロー型濾過膜で処理してもよい。これにより、分子量域3,000以上、10,000以下の濃縮液を得ることができる。
クロスフロー型濾過膜の形状としては、特に制限されず、中空糸型、平膜型、管状型、スパイラル型などが挙げられるが、このうち、中空糸型が、濃縮倍率が大きく、構造が簡易であり、逆透過洗浄が可能である点で好ましい。また、本発明で用いるクロスフロー型濾過膜の操作圧力としては、特に制限されず、例えば、0.14〜0.5MPa(1.4〜5.0kgf/cm)の範囲で適宜決定される。
エンドウホエーをクロスフロー型濾過膜で処理し、濃縮液と透過液を得る際、該濃縮液は循環することが、濃縮倍率の高いアルブミンを得ることができ、後工程の乾燥効率が向上する点で好ましい。濃縮倍率としては、特に制限されず、2倍〜50倍、特に2倍〜5倍である。透過液は本発明においては不要であり、適宜廃棄処分される。
本発明の不純物除去工程と濾過工程における具体的な組合せは次ぎの通りである。なお、矢印は実施順序を示す。
(1)合成吸着剤による吸着工程→クロスフロー型濾過膜で処理する工程;
当該(1)の方法により、吸着工程で脂溶性成分が除去でき、濾過膜工程で塩類が除去された分子量3,000以上の画分が得られ且つ前濃縮ができる。
(2)珪藻土濾過工程→合成吸着剤による吸着工程→クロスフロー型濾過膜で処理する工程;
当該(2)の方法は、前記(1)に対して、更に珪藻土濾過工程において繊維や固形分を除去することができる。
(3)MF濾過工程→合成吸着剤による吸着工程→クロスフロー型濾過膜で処理する工程;
当該(3)の方法は、前記(1)に対して、更にMF濾過工程において繊維や固形分を除去することができる。
(4)合成吸着剤による吸着工程→イオン交換樹脂による脱塩工程→MF濾過工程;
当該(4)の方法は、前濃縮ができないため、乾燥工程で濃縮負荷が大となるものの、吸着工程で脂溶性成分が除去でき、脱塩工程で塩類が除去され、濾過膜工程で分子量3000以上の画分が得られる。なお、当該(4)の方法においては、各工程の実施順序は上記順序に限定されない。
(5)珪藻土濾過工程→合成吸着剤による吸着工程→イオン交換樹脂による脱塩工程→MF濾過工程;
当該(5)の方法は、前記(4)に対して、更に珪藻土濾過工程において繊維や固形分を除去することができる。なお、当該(5)の方法においては、各工程の実施順序は上記順序に限定されない。
上記(4)及び(5)において、イオン交換樹脂処理後、クロスフロー型濾過膜で処理する工程を行ってもよい。当該クロスフロー型濾過膜で処理することにより、前濃縮を行うことができ、乾燥工程における濃縮負荷を軽減することができる。
乾燥工程は、濾過工程で得られた分子量が3,000以上の画分を乾燥して粉末状物のポリペプチドを得る工程である。濾過工程で得られた3,000以上の画分のpHは通常4〜4.5であるため、乾燥工程に入る前、予め中和剤で中和しておく。これにより、乾燥熱による蛋白の変性を防止することができる。3,000以上の画分を乾燥する方法としては、特に制限されないが、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥、真空蒸発乾燥などが挙げられる。このうち、噴霧乾燥が簡易は方法で行うことができ、しかも乾燥効率が高い点で好ましい。噴霧乾燥は公知の方法で行うことができる。
乾燥工程で得られた粉末状物のポリペプチドは、SDSポリアクリルアミド電気泳動法(以下、SDS−PAGEとも言う。)による分析において、分子量が3,000〜25,000である。ポリペプチドの分子量が3,000未満のものは、濃縮が困難となり工業的生産ができなくなり、また、25,000を超えるものは、含有量が少なく、効率的な生産が不可能であると同時に、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い発泡特性を発現させることができない。また、本発明のポリペプチドの分子量は、3,000以上、17,500未満であれば、更に上記特有の初期の発泡性を高く発現させることができる。また、本発明のポリペプチドの分子量は、3,000以上、10,000以下であれば、初期の発泡性を高く発現させ、早期に泡が消える泡安定性の更に低い発泡特性を発現させることができる。
SDS−PAGEによる分析は、標準分子量マーカーの移動度から各ポリペプチドの分子量を測定でき、また、デンシトメーターによる定量によりその含量を測定することができる。本発明のポリペプチドは、SDSポリアクリルアミド電気泳動法による分析において、分子量3,500〜14,300の範囲に少なくとも2つのバンドが、分子量16,000〜21,000に1つのバンドが、21,000を超え29,000以下に1つのバンドがそれぞれ存在するものである。但し、分子量の範囲を、3,000以上、17,500未満、あるいは3,000以上、10,000以下となるように濾過膜処理したポリペプチドにおいては、上記のようなバンドの特性を有さない。また、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドの全エリア面積に対する、分子量3000〜8000の範囲にあるポリペプチドのエリア面積が60%以上である。
また、本発明のポリペプチドは、塩濃度が乾燥重量で5.0%以下、好ましくは3.0%以下、特に好ましくは2.0%以下である。また、脂溶性成分が乾燥重量で0.1%以下、好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.01%以下である。脂溶性成分が当該範囲にあるポリペプチドを製品に添加しても豆臭は発生しない。塩濃度や脂溶性成分濃度が当該範囲にあれば製品の泡立ちが一層よくなる。塩類を定量するには、イオンクロマトグラフィー、滴定法などを用いればよく、脂溶性成分を定量するには、ヘキサン抽出法などを用いればよい。
また、本発明の発泡剤は、上記エンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドを有効成分とする。本発明の発泡剤は、豆臭が無く、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い発泡特性を発現させるため、単独又は他の発泡剤と併用して使用することができる。配合する食品としては、特に制限されず、例えば発泡酒、醸造酒、乳製品、はんぺん等のすり身食品、泡を楽しむデザート類が挙げられる。また、本発明の発泡剤のこれら食品への配合量としては、食品の種類や目的に応じて適宜決定されるが、例えば0.05〜3.0重量%の範囲にあるものが多い。また、本発明の発泡剤を洗剤へ適用する場合、通常、他の発泡剤と併用することが多い。洗剤への配合量は、同様に0.05〜3.0重量%から適宜決定される。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(前処理)
pH4.5のエンドウホエーを3000rpm、10分間の遠心分離を行い、エンドウホエーに含まれる固形分を除去した後、遠心分離処理上清(原液)を得た。
(不純物除去工程)
遠心分離処理上清20リットルを珪藻土(「ハイフロースーパーセル」;関東化学社製)770gを充填した珪藻土濾過器で処理して濾過液を得、該濾過液を合成吸着剤(樹脂量1リットルのアンバーライトXAD16HP)にSV5で通液処理した。
(濾過工程及び乾燥工程)
合成吸着剤の通過液を中空糸型限外濾過膜で処理して、濃縮液と透過液を得、該濃縮液を循環して、濃縮倍率25倍の濃縮液を得た。この濃縮液を炭酸ソーダで中和後、噴霧乾燥して粉末状物のポリペプチドを得た。使用した装置の仕様及び実験条件を以下に示す。原液、各工程における処理液及び得られた濃縮液のSS濃度、蛋白質濃度、脂溶性成分濃度、糖濃度及び塩濃度を測定した。その結果を表1及び表2に示す。表1中、単位は重量%である。表2は各工程における成分組成の乾燥重量(%)を示す。また、原液及び濃縮液について、SDS−PAGE分析を下記条件で行った。その結果を図1に示す。
・中空糸型限外濾過膜装置の膜モジュール;分画分子量3,000、有効膜面積0.2m「マイクローザUFSEP1013」(旭化成ケミカルズ社製)
・ 循環ポンプ;マグネットポンプ、容量50l/分、揚程14m
・ 膜濾過操作温度;6〜14℃
・ 膜装置の操作圧力;0.14MPa
・ 膜装置の循環流速;9〜10l/分
・ 噴霧乾燥機;パルビスミニスプレーGA-32(ヤマト科学社製)
(SDS−PAGE分析条件)
標準的なレムリの方法(Laemmli,U.K.1970,Nature,227,680−685)に従い、還元条件で行った。ポリアクリルアミドゲルの濃度は8〜25%の勾配とした。
Figure 0004886358
Figure 0004886358
(発泡性試験)
実施例1で得られた粉末状ポリペプチドを、純水に0.5重量%及び1.0重量%それぞれ配合した。これをミル&ミキサーTML15(TOSCOM社製)中で、30秒間攪拌した。攪拌後、直ちに液の全量をメスシリンダーに移し、時間経過毎の泡の体積比率(%)を測定した。泡の体積比率は、泡の体積量を泡を含めた液量の総量で割った値とした。0.5重量%の結果を図2に示し、1.0重量%の結果を図3に示す。
(臭気試験)
実施例1で得られた粉末状ポリペプチドを、タンパク質濃度で1%になるように純水中に溶解して、活栓付きのフラスコ中に入れ、45℃に保持した状態で臭いについて試験した。8人のパネリストが豆臭さの程度を評価した。評価は非常に臭う;5、気になる;4、気にならない;1、臭わない;0、の4段階の評点で行った。その結果を表3に示す。
Figure 0004886358
参考例1
不純物除去工程を省略した以外は、実施例1と同様の方法で行った。原液及び得られた濃縮液の固形分濃度、蛋白質濃度、蛋白質回収率及び蛋白質純度を測定した。その結果を表4に示す。また、原液及び濃縮液について、SDS−PAGE分析を下記条件で行った。その結果、図1に示すものと同様のものが得られた。また、実施例1と同様の方法で発泡性試験及び臭気試験を行った。発泡性試験の結果を図2及び図3に示し、臭気試験の結果を表3に示す。
Figure 0004886358
比較例1
実施例1で得られた粉末状ポリペプチドに代えて、エンドウグロブリン蛋白を使用したこと以外は、実施例1の発泡性試験と同様の方法で行った。その結果、図では記載を省略するが、泡の体積比は初期で10%程度であり、その後、徐々に小さくなる挙動であった。なお、エンドウグロブリン蛋白は、乾燥し皮をむいたエンドウ豆を粉砕し、アルカリ水溶液(pH9.0)を加え、室温で蛋白質を抽出し、該抽出液を濾過して残渣と澱粉などの不要成分を除去した後、pHを3.5〜6.0に調整して、蛋白質を等電点凝集したものを、殺菌処理し、中和処理し、乾燥粉末化したものである。
比較例2
実施例1で得られた粉末状ポリペプチドに代えて、卵白を使用した以外は、実施例1の発泡性試験と同様の方法で行った。0.5量%の結果を図2に示し、1.0量%の結果を図3に示す。
図2及び図3に示すように、実施例1及び参考例1のエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドの発泡特性は、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い独特の特性を示す。また、実施例1は塩類及び脂溶性成分が除去されているため、参考例1に比べて、泡立ちが一層優れる。一方、比較例1のエンドウグロブリン蛋白はほとんど発泡性を示さない。また、比較例2の卵白の発泡特性は初期の発泡性はそれほどではないものの、時間の経過と共に泡が消え難い泡安定性に優れるものである。また、実施例1は不純物除去工程を行わない参考例1に比べて、明らかに臭いの程度が少なくなっていることが判る。このような臭いが無く、初期の泡立ちが高く、泡の消失が早いという特徴を生かせば、例えば、発泡性の炭酸入り清涼飲料水など、あっさりした飲み心地が好まれる発泡性飲料の発泡補助剤として好適である。
本発明のエンドウホエー由来の可溶性ポリペプチドを有効成分とする発泡剤は、臭いがなく、初期の発泡性が高く、比較的早期に泡が消える泡安定性の低い独特の発泡特性を発現させるため、単独又は他の発泡剤と併用して食品や洗剤などに使用すれば、近年の多様なニーズに対応可能な趣のある泡を演出することができる。
実施例1における原液及び濃縮液のSDS−PAGE分析結果である。 実施例、参考例及び比較例における発泡性試験結果である。 実施例、参考例及び比較例における他の発泡性試験結果である。

Claims (5)

  1. pH4.5のエンドウホエーを遠心分離した上清を原液として、珪藻土濾過器で処理した後、濾過液中の脂溶性成分を吸着除去し、その後中空糸型限外濾過膜で処理し、濃縮した液体を炭酸ソーダで中和し、乾燥して得られた粉末状のものであり、SDSポリアクリルアミド電気泳動法による分析において、分子量が3,000〜25,000の範囲にあり、分子量3,500〜14,300の範囲に少なくとも2つのバンドが、分子量16,000〜21,000に1つのバンドが、21,000を超え29,000以下に1つのバンドがそれぞれ存在するものであって、塩濃度が乾燥重量で5.0%以下、脂溶性成分が乾燥重量で0.1%以下である炭酸飲料に用いるエンドウホエー由来の水に可溶なポリペプチドを有効成分とする起泡剤。
  2. 前記分子量が、3,000以上、17,500未満であることを特徴とする請求項1記載の起泡剤。
  3. 前記分子量が、3,000以上、10,000以下であることを特徴とする請求項1記載の起泡剤。
  4. 前記炭酸飲料が、発泡酒または炭酸入り飲料水であることを特徴とする請求項1項に記載の起泡剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の起泡剤を0.05〜3.0重量%含有することを特徴とする炭酸飲料。
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