JP4884981B2 - 血液バンク診断試験に要する時間の短縮 - Google Patents

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Description

開示の内容
〔発明の背景〕
本発明は、リガンドの結合、特に、血液型血清学(「免疫血液学」)に関わるような免疫学的結合(抗原と抗体との結合)を検出するための凝集評価の分野に関する。
免疫血液学では、患者の輸血または臓器移植の前に、献血者と受け取り患者との間における血液細胞の適合性を決めることが必要となる。血液細胞の適合性は、患者の血清中に含まれる抗体と献血者の血液細胞上にある抗原との間の免疫反応が起こらないことで決定される。
個々人の赤血球の表面には、多くの相異なる血液型抗原が見出される。遺伝子の産生物であるこれらの抗原は、一卵性双生児を除いて、全ての個人に独特の組み合わせで存在する。一般的に、血液型判定は、通常、検査される抗原に対する抗体を使用して赤血球を検査し、どの抗原が存在し、どの抗原が存在しないかを判定するプロセスである。
更に、ヒトの赤血球に特定の赤血球抗原がない場合でも、そのヒトの血清にはその抗原に対する抗体が含まれ得る。その抗体がその血清中に含まれているかどうかは、そのヒトの免疫システムが、以前に、その特定の抗原やこれに非常に類似したものの攻撃を受け、それに反応したかどうかに依存する。たとえば、赤血球がA型であるヒト、すなわち赤血球に「A」抗原を持つヒトは、その血清中に抗B抗体を有するであろう。したがって、このようなヒトにB型の血液が与えられた場合、免疫反応が起こり、深刻な臨床結果を生じ得る。
追加的な考慮として、ヒトの身体は、花粉、食物、バクテリアおよびウイルス中の抗原に常に曝されていることを考慮すべきである。これらの「天然の」抗原の中には、見かけ上ヒトの血液型抗原に類似しており、その結果、感受性を持つヒトにはほとんど全て刺激を与え、抗体を生じさせるものもある。したがって、リシプロカル抗原(reciprocal antigen)を欠く赤血球を持つ任意のヒトの血清中にはある種の抗体が存在するものと予測される。これは、ABOシステムの場合に特に真理である。したがって、患者/ドナーの血清について、二つ目の確認試験がしばしば行われる。血清中のABO血液型システムについて予測される抗体の試験は、「リバース」または「間接」血液型判定と呼ばれ、患者の赤血球(RBC)の抗原の試験は「前方」または「直接」試験と呼ばれる。
1900年代初期より、血液型抗体(たとえば抗Aまたは抗B)ミックスを収納する標準的な実験室用試験管に患者の赤血球を添加し、抗体/抗原結合反応を起こさせ、次いでこれを遠心分離することのできる「ラントシュタイナー法」と呼ばれる一般的アプローチが行われてきた。もし試験対象の抗原が存在すると、抗体/抗原結合が起こり、患者の赤血球の凝集が生じる。試験管を手で振盪し、底にある「凝集した」細胞の遠心分離されたボタン状物を動かす。次いで、動かした細胞が「凝集した」ものであるかどうかおよびどの程度かの主観的判定を下す。
1900年代半ばに、本技術を簡略化し、本試験の主観的な性質を最小限にし、手違いを減少させるための試みがなされた。少なくとも表面の一部に必要な免疫試薬を有する、湿潤可能で非吸収性または場合によっては吸収性のテストスライドまたはテストカードを採用することにより、適合性試験結果をある程度恒久的に記録することができることが認識された。米国特許第2,770,572、2,850,430、3,074,853、3,272,319、3,424,558、3,502,437および3,666,421ならびに、欧州特許出願第0104881−A2は、そのようなテストカードおよび関連装置の精選例を開示している。
ヒトの血液サンプルについて、A、BおよびD(RHo)の抗原に対する試験を行い、(そして、場合によってはその他の抗原に対する試験を行い)、そして、そのヒトの血清を試験して存在し得る獲得抗体を判定することにより結果をクロスチェックすることが、標準の血液バンクの手続きである。前者は「オモテ試験(forward typing)」または「直接試験」と呼ばれ、後者は「ウラ試験(reverse typing)」または「間接試験」と呼ばれる。これらの型判定のそれぞれから得られる結果は整合しなければならない。
ウラ試験または間接試験については、患者の血清または血漿中の抗体を検出するために、既知の抗原を含む血液細胞を収納する試薬が、患者の血清サンプルと混合される。この反応物は、これらの抗原に対する抗体が存在する場合に起こる赤血球の凝集を起こすのに十分な時間の間インキュベートされる。最新の試験ではこのようなインキュベーションは通常約10〜約40分間の範囲である。次いでこの混合物は遠心分離され、凝集した血液細胞があれば、反応容器の底にそのような凝集物を明瞭に見ることができる。このようにして、赤血球上の既知の抗原に対する抗体がサンプル中にあることが示される。赤血球上の既知の抗原に対する抗体がサンプル中にない場合には、凝集が起こらず、そのことは、遠心分離後に凝集した赤血球が存在しないことにより示される。
ABO血液型判定システムの抗体は、一般的に免疫グロブリンM(IgM)である。これらの抗体は、一分子当たり10個の抗原結合部位を持つ。IgM抗体は、赤血球同士の間の距離を橋渡しするのに十分なほど大きく、その結果、遠心分離されると、これらの血液細胞は「細胞−抗体−細胞−抗体」格子となって互いに結合し、互いに凝集した状態にとどまり、凝集物となる。たとえば、抗Aが血液型Aまたは血液型ABの血液細胞に添加され、この混合物が遠心分離されると、これらの細胞は、再懸濁された場合に凝集した状態にとどまる。同じ抗体を使用した場合、O型およびB型の血液細胞は、個々の細胞として再懸濁される。IgM抗体によって促進される凝集は直接凝集と称される。
現在、抗D抗血清は、モノクローナルIgMまたはポリクローナルIgG混合物として製造されている。これらの試薬は、高タンパク質添加剤が存在しなくても、直ちに遠心力を作用させるとRBCの表現型を表し得る。ヒトのIgG分子もまた、化学的に修飾され、ジスルフィド結合を外して、より大きなスパンを持ちIgM分子と同様に作用できるようにされていた。
生理的食塩水環境では、IgG抗体は互いに反発する傾向のある細胞間の距離を容易に橋渡しすることができない。したがって、IgGは、その特異性にマッチする赤血球抗原に結合するが、より大きいIgM抗体ほど効果的にはそのような赤血球を直接凝集させない。したがって、赤血球に結合したIgG抗体の存在は、通常、必要な凝集を生じさせ、「赤血球−IgG/抗IgG/IgG−赤血球」の格子を生じる抗IgGの添加によって検出される。
天然状態の血清中には、赤血球に結合するために添加された抗IgG抗体を中和するIgGが含まれている。それゆえ、このような抗IgGがこれらの血液細胞に添加される前に血清を除去しなければならない。赤血球に結合したIgGについてのインビボの試験は、直接抗グロブリン試験と称される。赤血球に結合したIgGについてのインビトロの試験は、間接抗グロブリン試験と称される。このような抗グロブリン試験は、「クームス(Coombs)」試験とも称される。この間接抗グロブリン試験は、患者の血清中に、赤血球の表面上の特定の抗原に対するIgG抗体が存在するかどうかを判定するために使用される血液試験である。クームス試験では、この赤血球の表面上の抗原に抗体が結合できるように、血清が赤血球試薬の存在下インキュベートされる。これらのIgG抗体は、非常にしばしば、独力で赤血球を凝集させず、あるいは、赤血球を不十分に凝集させるだけであるため、従来技術では視覚的に検出できない。目で見える凝集を促進するためには、通常、ヒトのIgGに対する第二の抗体の添加が必要である。
本発明では、水系媒体中にあるキャリアで結合された抗体と抗原との複合体またはキャリアで結合された抗原と抗体との複合体が先述のごとく視覚的に見えるようにされている、抗体または抗原の検出のための使いやすいゲル試験と検出方法とが意図されている。キャリアは好ましくはゲルまたはポリマーであり、これらの抗原または抗体は、場合に応じて、キャリアの表面に結合されている。ここで意図されているゲル試験は、米国特許第5,338,689、5,512,432、5,863,802および6,114,179に開示されたような、ID-Micro Typing SystemTM(Micro Typing Systems, Inc.、Pompano Beach、フロリダ州)と共に使用されるAnti-Human Globulin Anti-IgG (Rabbit) MTS Anti-IgG CardTMである。これら文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。このようなカードは直接抗グロブリン試験と間接抗グロブリン試験との両方に使用し得る。しかしながら、本発明はこのような試験システムおよび方法に限定されるものではなく、ゲル以外に、たとえば、試験管、スライド、固相およびカラム凝集技術(CAT)システムおよび方法等の他の方式(後者は、カラムであれ、たとえばOrtho-Clinical Diagnostic Systems, Inc.、Raritan、ニュージャージー州のBioVue SystemTM等のカセット形態であれ)でも使用可能であり、試験法の如何を問わず、抗体と赤血球抗原とのインキュベーションを採用する任意の免疫血液学的システムで使用し得る。
ID-Micro Typing SystemTMでは、それぞれがゲルマトリックス中に組み込まれた抗体を収納するマイクロチューブを収納するゲルカード(患者の希釈RBCがゲルキャリアの上に置かれる)の採用により、通常インキュベーションを採用しない直接試験が行われる。抗ヒトグロブリン(抗IgG)はゲル中に存在する。カードに遠心力を作用させて、ゲル上の抗体試薬と抗原を含有する患者の血液細胞との間に反応があるとすればそれを促進し、また、マイクロチューブの底に向けて細胞の沈降を促進する。しかしながら、マイクロチューブ中のゲルはフィルターとして作用し、マイクロチューブ中の粒子の下向きの運動の抵抗になりあるいは下向きの運動を妨げる。その結果、遠心力を作用させた後のマイクロチューブ中の粒子の性質と分布により、マイクロチューブ中に凝集反応が起こったかどうかおよび、もしそうであれば、その反応の強さが視覚的に示される。
凝集反応が起こらない場合は、マイクロチューブ中の全てあるいはほとんど全ての赤血球が、遠心力を作用させている間に下向きにマイクロチューブの底まで進み、底にペレット状物を形成する。試薬と赤血球との間に非常に強い反応がある場合には、ほとんど全ての赤血球が凝集し、収納されているゲルの上方にあるマイクロチューブの最上部に大きな凝集物が形成される。ゲルまたはガラスビーズにより、遠心力を作用させている間、凝集物がカラムの底に届くのが妨げられ、その結果、遠心力の作用後、凝集物はゲルの表面にとどまる。
試薬と血液細胞との間に反応があるが、この反応が上述の非常に強い反応ほど強くない場合には、全部の赤血球ではなくいくらかの赤血球が凝集する。凝集する赤血球のパーセンテージと凝集粒子のサイズの両方が、反応の強さに連れて直接変化する。遠心力を作用させている間、未反応の血液細胞はカラムの底にまで至る。凝集粒子がカラムを通って下方に移動する距離はこれらの粒子のサイズと数とに依存する。それゆえ、マイクロチューブの底にある赤血球のペレット状物のサイズと凝集物がマイクロチューブのゲル中に侵入する程度は、両方とも試薬と赤血球との間の反応の強さに反比例する。
本発明は、抗体と赤血球抗原とのインキュベーションを使用する試験用の血液バンク免疫血液学的試験に要する時間を短縮させる方法である。上述のごとく、免疫血液学におけるインキュベーションステップを必要とする赤血球型判定反応を含む抗原−抗体反応は、試験の完了時における赤血球の目で見える凝集または赤血球溶血の証拠によって検出される。このような試験は、サンプル血漿または血清中の患者の抗体が、希釈RBC試薬との凝集によって検出される、たとえば、先述のごとき間接試験またはウラ試験である。上述のごとく、ID−MTS SystemTMでは、たとえば間接試験を行う場合、患者のサンプル血漿または血清が、低イオン強度溶液(MTS Diluent 2TM希釈物)で希釈されたRBC試薬を収納するマイクロチューブに添加され、このマイクロチューブを収納するカードが撹拌されつつインキュベートされ、次いで、カードに遠心力を作用させ、カードを取り出し、カードから凝集物を読みとる。本発明により、後述のごとき抗体−抗原反応を増強することにより、インキュベーションの時間を短縮することができる。
血球凝集反応の感作段階では、抗体が赤血球上の抗原に付着する。この免疫学的認識段階中に、赤血球上の抗原決定基が抗体分子の抗原結合部位と結合する。抗原と抗体との結合は、概して偶然に左右される二つの分子のランダムなペアリング(pairing)である。いくつかの因子が、抗原と抗体のこの衝突の可能性に影響を与える{Blaney K.、Howard P:免疫血液学の基礎概念および応用概念(Basic and Applied Concepts of Immunohematology)、セントルイス、2000、Mosby and Vengelen-Tyler V:技術マニュアル、第12版、Bethesda、メリーランド州、1996,American Association of Blood Banks}。これらの因子には次のものが含まれる。
<抗体と抗原の濃度>
血清対細胞の相対比(すなわち、赤血球上の抗原と血清中の抗体との割合)は、抗原−抗体の結合の可能性に影響を与える。試験における血清量を増大させると、赤血球抗原との結合に利用できる抗体の濃度が増大する。単位赤血球当たりに利用できる抗原部位の数も、抗原抗体反応の強さに寄与する。
<抗原受容体の接近可能性>
赤血球の細胞膜の脂質二重層に対する抗原の位置が、抗体分子(特にIgG分子)への接近可能性に寄与する。立体障害が減少すると、抗体分子が、抗原決定基と相互作用する機会がより大きくなる。
<反応環境温度>
反応温度は凝集反応の第一段階に影響を及ぼす。免疫血液学では、臨床的妥当性を有するほとんどの抗体が、37℃の温度で最適に反応するIgG免疫グロブリンである。これとは対照的に、IgM抗体は、これより低い温度、一般的には室温またはこれより低い温度でより反応性が高い。反応に適した温度を与えることにより、感作ステップが促進される。
<インキュベーション時間>
抗原と抗体との結合が平衡を達成するための十分な時間を与えることも、凝集反応の第一段階を促進する一因子である。
<pH>
血球凝集反応に対する最適pHは、ほぼpH7.0である。このpHは重要な赤血球抗体の大多数にとって十分である。
<イオン強度>
試験媒体のイオン強度の低下は、抗体が赤血球に結合する速度を大きく増大させる。凝集の増強剤として低イオン強度溶液を使用することが、血液バンク試験の普通のやり方である。たとえば、約0.03Mのバッファの使用が非常に有用である。Low and Messiter、Vox Sang 1974,第26巻、p.53を参照されたい。MTS Diluent 2TM(Micro Typing Systems, Inc.、Pompano Beach、フロリダ州)の使用が好ましい。
現行の商業的抗体検出試験方法には、全て、抗原(RBC)と抗体(血清または血漿)とを37℃で、ある期間(10〜40分間の間および典型的には15分間)インキュベートする初期ステップがある。本発明では、連続撹拌およびオプションで低イオン強度の希釈剤を採用することにより、免疫血液学的評価におけるインキュベーション時間が著しく短縮される。どのような特定の試験方式を使用しようと、試験管試験、スライド試験、固相試験システム、マイクロカラムあるいはマイクロチューブまたはマイクロプレートのいずれであろうと、また、マトリックス材料の如何に拘わらず(たとえば、マトリックスとしてゲルが採用されようとまたはガラスビーズが採用されようと)、この試験時間の短縮を実現することができる。
血液バンク試験では、適切な感度と特異性とを有する診断試験を行うために前に概説した諸因子を最大限に使用してきた。試験システムにおける抗原−抗体反応のこれらのいずれの変数の操作または組み合わせによっても、血液バンク試験に要する時間を短縮することができる。本発明では、インキュベーション中に連続的撹拌を使用することにより、必要とされるインキュベーション時間を短縮する。しかしながら、たとえば、希釈剤のイオン強度、増強剤(ウシアルブミン、ポリエチレングリコールまたはタンパク質分解酵素等)の有無、赤血球/血清または血漿比、試験サンプルと試薬の初期温度等の上記に列挙した諸因子によって実際の短縮時間量が変動し得ることは理解されよう。
文献をレビューしても、免疫血液学におけるインキュベーション時間を短縮する手段としての連続撹拌については以前に使用も開示もなされていない。
〔発明の概要〕
本発明により、撹拌を使用し、好ましい形態では低イオン強度バッファを使用する血液バンク診断試験に要する時間の短縮方法およびそのためのデバイスが提供される。
好ましい実施形態では、本発明に、インキュベーションチャンバー兼撹拌ブロックで、一以上の容器、たとえば凝集サンプル試験管、スライドまたは上述のようにマイクロチューブを収納するID-Micro Typing SystemsTMゲルカード、を収納することのできるデバイスを採用することができる。この容器に遠心力を作用させ、凝集物の有無を検出する。
本発明の好ましい一実施形態によれば、
免疫血液学的評価のために要する時間の短縮方法であって、
(a)連続撹拌下、37℃で、サンプルを抗原陽性RBC試薬と共にインキュベートするステップと、
(b)当該サンプルを、抗IgGマトリックス(マトリックス内に供給されまたは試薬として添加された抗IgG)中で10分間遠心分離するステップと、
(c)結果を読みとるステップと、
を含む間接試験を行うことを含む方法が提供される。
このような方法にはサンプルが血漿や血清である方法が含まれる。連続的撹拌は機械的撹拌ブロックまたは手で行われる。抗IgGマトリックスにはたとえばゲルビーズが含まれる。この抗IgGマトリックスは、ID-Micro Typing SystemTMの試験管またはマイクロチューブ中に配置されることが好ましい。
一実施形態によれば、ステップ(a)の抗原−陽性RBCが、本技術で普通に使用されるたとえばHEPESおよびTRIS等のバッファを使用するたとえば低張緩衝溶液等の低イオン強度の希釈剤と混合される。この低イオン強度の希釈剤は約0.03M未満であることが好ましい。
使用された免疫血液学技術に、ID-Micro Typing SystemTMにおけるようなゲルカード形態で配置されたマイクロチューブが含まれる場合、好ましい実施形態における本発明には、間接試験を行うための方法であって、
(a)上部チャンバーと、凝集細胞を非凝集細胞から分離するための抗IgG収納マトリックスを収納する下部チャンバーとを収納するマイクロチューブを準備するステップと、
(b)抗原陽性RBCを試験管に添加するステップと、
(c)患者の血漿または血清をこの試験管に添加するステップと、
(d)連続撹拌下、37℃でステップ(b)および(c)の混合生成物を2〜15分間インキュベートするステップと、
(e)ステップ(d)のインキュベートした混合物をマイクロチューブに添加してこのマイクロチューブを遠心分離するステップと、
(f)結果を読みとるステップと、を含む方法が含まれる。
前述の方法では、サンプルは血漿または血清である。連続的撹拌は機械的撹拌ブロックで行われ、または手で行われ得る。先述のごとく、ステップ(b)の試験赤血球は約0.03M未満の低イオン強度の希釈剤と混合される。
本発明の更なる一実施形態によれば、本発明の方法を使用したカラム凝集技術{具体的には、BioVueTMカラム(OrthoClinical Diagnosics, Inc.,Raritan、ニュージャージー州)}の使用が考えられる。BioVueTMで使用される方法は、EP485,228、EP755,719、EP725,276、米国特許第5,650,068、5,552,064に詳細に説明されており、マイクロチューブの代わりに、分離領域とインキュベーション領域とを持ち、分離領域には凝集細胞を非凝集細胞から分離するためのマトリックスが収納されているマイクロカラムを含む反応容器が開示されている。この方法には、(a)抗体または抗原検出試薬と、抗体または抗原を含んでいる可能性のある患者の液体サンプルとを非凝集反応物の移動は許容するが、凝集反応物の移動は許容しないマトリックスに添加し、(b)マトリックスに力、たとえば遠心力、を作用させてマトリックスを通過する移動を生ぜしめ、(c)凝集反応物の有無を検出することによる、抗体または抗原、好ましくは、血液型抗体または抗原、の有無を検出する類似のメカニズムが関与している。
具体的には、免疫血液学的評価に要する時間を短縮する方法であって、
(a)上部チャンバーと、凝集細胞を非凝集細胞から分離するためのマトリックスを収納する下部チャンバーとを収納するマイクロカラムを準備するステップと、
(b1)赤血球試薬および患者の血漿または血清サンプルを、マイクロカラムの上部チャンバーに置くステップ、あるいは、
(b2)赤血球抗原に対する特異性の知られた試薬抗体と患者の赤血球サンプルとを置くステップと、
(c)連続撹拌下、37℃で(b1)または(b2)のマイクロカラムを2〜15分間インキュベートするステップと、
(d)このマイクロカラムを遠心分離するステップと、
(e)結果を読みとるステップと、を含む方法が更に開示される。
上述のごとく、連続的撹拌は機械的撹拌ブロックまたは手で行われる。ステップ(b)の赤血球は、好ましくは約0.03M未満の低イオン強度の希釈剤と混合してもよい。この低イオン強度の希釈剤は、それ自身が約0.03M未満に希釈されているMTS Diluent 2TM(Micro Typing Systems, Inc.、Pompano Beach、フロリダ州)であることが好ましい。
〔詳細な説明〕
本発明は、IgGに依存する赤血球抗体反応でインキュベーションステップを採用する場合における抗原−抗体結合(感作段階)を達成するに要するインキュベーション時間を著しく短縮するための方法およびデバイスまたはデバイスの組合せの使用方法に関する。本デバイスおよび方法では、インキュベーション時間を短縮するため、インキュベーションの間連続的撹拌が採用され、同時に加熱が行われる。これにより、しかるべき抗原決定基と抗体との間の衝突表面積が拡がる反応環境で分子の移動速度が増大し、抗原−抗体反応速度が変化する{Kaplan L、Pesce A:臨床化学:理論、分析およびその相互関係(Clinical chemistry:theory, analysis, and correlation)、セントルイス、1984、Mosby}。この方法は、試験に先立ち抗体スクリーニング用細胞を希釈するのに使用することができる低イオン強度赤血球希釈剤と組み合わせて使用することができる。
本撹拌方法は、試験管試験、スライド試験、固相試験システム、マイクロカラムあるいはマイクロチューブまたはマイクロプレートのいずれであろうと、また、マトリックス材料に拘わらず(たとえば、マトリックスとしてゲルが採用されようとまたはガラスビーズが採用されようと)、全ての免疫血液学的技術および方式で使用することができる。本方法は、たとえば機械的撹拌「ブロック」の形態を取り得る任意のデバイスを使用して行うことができる。または、手による振盪/撹拌で行ってもよい。
インキュベーションは、電気的インキュベータデバイスまたは水浴等の他の手段を使用して行うことができる。
ID-Micro Typing SystemTM(Micro Typing Systems, Inc.、Pompano Beach、フロリダ州)でマトリックスとしてゲルを採用したところ(Malyska H、Weiland D:ゲルテスト、Lab Med 25:81-5、1994)、撹拌デバイスを低イオン強度赤血球希釈剤と組み合わせて使用したことにより、試験サンプルにおけるインキュベーション時間が15分から2分に短縮された。この短縮は、間接抗グロブリン試験の性能としては有意である。日常的なやり方では、間接抗グロブリン試験における最短インキュベーション時間は、典型的には10〜15分である。間接抗グロブリン試験において、インキュベーション期間は、抗グロブリン試薬での検出のために充分な抗体を赤血球上に取り込むことを可能とするためのものである。標準的な(生理的な)イオン強度の溶液を使用した場合、間接抗グロブリン試験では、15〜60分間の指定インキュベーション時間が使用される。血清学的研究では、この抗グロブリン試験方式における検出においては、大抵の抗体は15分間のインキュベーションの後、赤血球に付着するものと結論付けされている{Issitt PD、 Anstee DL:応用血液型血清学(Applied blood group serology)、第4版、Durham、ノースカロライナ州、1998、Montgomery Scientific Publications}。免疫血液学への低イオン強度溶液の導入により、赤血球による抗体の取り込みが、標準的なイオン強度溶液で観察される場合に較べより急速に起こった。このような低イオン強度溶液には、Low and Messiter、同上、およびMTS Diluent 2TM(Micro Typing Systems, Inc.、Pompano Beach、フロリダ州)によって開示されたものが含まれる。本発明で考えられているような更により低いイオン強度の系では、間接抗グロブリン試験の性能において、インキュベーション時間を10〜15分間に短縮することができる。その結果、撹拌−インキュベーションデバイスを低イオン強度赤血球希釈剤と組み合わせると、赤血球上への抗体の取り込みを最大限にし、間接抗グロブリン試験手順におけるインキュベーション時間を著しく短縮することができる。このような低イオン強度溶液は、典型的には濃度が0.03M未満である。
現在、ID-Micro Typing SystemTM Gel Test用の抗体検出手順では、37℃で15分間のインキュベーション時間が必要である。たとえば、このゲル試験で使用されるAnti-IgG (Rabbit) MTS Anti-IgG CardTMのための添付文書を参照されたい。ID-Micro Typing SystemTM Gel Testを使用したインキュベーション中における連続撹拌対無撹拌の平行試験では、インキュベーション時間中の試験試薬とサンプルとの連続撹拌を試験し、無撹拌と比較した。これらの試験(実施例参照)により、同等の血清反応が、無撹拌では10分間要したのに対し、撹拌すれば4分間になったことが示された。それゆえ、ID-Micro Typing SystemTM Gel Testに要する時間を11分間(60%)短縮できることが示された。
本撹拌−インキュベーションデバイスは、37℃の温度環境を維持するインキュベーションチャンバーと撹拌ブロックとからなるようにすることができる。この撹拌ブロックは、外部動力源から駆動される。プロトタイプモデルに使用されたインキュベータは、Thermolyne Model 142300(Barnstead International、 Dubuque、アイオワ州)であった。しかしながら、本撹拌ブロックは、試験の場において撹拌ブロックの使用を適用する任意のシステムに収納される任意のインキュベーションチャンバーに適合させることができる。
本撹拌ブロックは、外部動力源に接続され、これにより、インキュベーション中の混合速度がコントロールされる。撹拌ブロックは、試験管および/またはカードを保持するように設計されており、インキュベーションチャンバーから物理的に取り外すことができる。37℃の試験前温度を維持するため、空の試験管/カードを撹拌ブロック中に保持する。撹拌ブロックは、試験反応剤を添加する前にインキュベーションチャンバーから取り外す。試験反応剤(すなわち、赤血球と血漿/血清)は、インキュベーションチャンバーの外で、試験管/カードのマイクロチューブに手で添加される。前もってラベルを貼った試験管/カードも撹拌ブロックの前もって穴を開けた溝に配置される。撹拌デバイスに埋め込まれた色付き線ガイドにより、試験管/カードの配列がし易くなっている。試験反応剤を添加した後、撹拌ブロックをインキュベーションチャンバーに戻し、スイッチを入れ、たとえば約2分間以上のある期間、試験反応剤を、前もって決められた撹拌速度で(回転撹拌運動であれ、往復撹拌運動であれ、またこれらのいずれにせよこのような混合物の撹拌における当業者が通常使用する速度に則った速度で)混合することができるようにする。インキュベーション時間が完了すると、インキュベーションチャンバーから撹拌ブロックを取り外す。試験管/カードのマイクロチューブに試験反応剤を添加する。試験管/カードを適切な遠心分離器に入れ、形成された凝集物をカードの試験管/マイクロチューブの底に移動させるのに十分なだけ遠心分離する。
6本の試験管を収納するために、6−試験管撹拌ブロックデザインを選択した。この撹拌ブロックの設計はその他の試験技術および自動化プラットホームについての要件に合わせて構成することができる。混合の目的を達成するための任意の他の適切な容器を収納できる代替的な撹拌ブロックの設計が可能である。同様に、遠心分離の目的を達成するための任意の他の適切な容器を収納できる代替的な遠心分離機の設計が可能である。
試験細胞上への抗体の取り込み速度を更に上げるために、低イオン強度の赤血球希釈剤を使用することができる。最初の時間制限を設けた検討では、ID-Micro Typing SystemTM GEl Testにおける抗グロブリン試験のために設計されたMTS Diluent 2TMを、以下のようにして、脱イオン水で希釈し、抗体の取り込みの増大について評価した。本検討の結果により、本試験システムについてのMTS Diluent 2TMの最適希釈を決めた。低イオン強度赤血球希釈剤の最終組成を次の割合で定めた。すなわち、
7mLの脱イオン水を10mLのID-MTS Diluent 2TMに添加した。
〔迅速間接抗グロブリン手順−ゲル試験〕
撹拌と低イオン強度溶液とを組み合わせることの試験上の利点を最大限に利用するこの間接抗グロブリン手順では、ゲル試験用の下記の試験手順を使用する。全ての試薬とサンプルは使用前に室温に置かれる。EDTA血漿はサンプル要件の一つである。使用前に、スクリーニング用細胞を低イオン強度の希釈剤中、0.4%の濃度に希釈する。
6個の予め加熱されたチューブを収納する撹拌ブロックを撹拌−インキュベーションデバイスから取り出す。
Anti-IgG ID-Micro Typing SystemTMゲルカードに適切な患者/試験情報の付いたラベルを貼り、撹拌ブロック上のホルダー中に置く。ラベルを付けたカードの適切なマイクロチューブを、それらに対応する試験管の前に配列する。この配列ガイドのために、撹拌ブロックに色付き線が埋め込まれている。ある量のしかるべき0.4%スクリーニング用細胞をピペットで試験管に添加し、続いて、患者のEDTA血漿をピペットでスクリーニング用細胞試験管中に添加する。撹拌を駆動する。撹拌を2分間続行し、自動的にシャットダウンさせる。撹拌ブロックをインキュベータから取り外す。ある量の試験サンプルを対応する試験管から適切なマイクロチューブカードに添加する。このカードをMTS遠心分離器(Micro Typing Systems, Inc.、Pompano Beach、フロリダ州)で10分間遠心分離する。
なお、注目すべきは、上記手順において、赤血球希釈剤のイオン強度、インキュベーション温度および撹拌速度が変数であり、これらを変更してもなおインキュベーション時間の短縮を図ることができることである。
本発明を使用することには、血液バンク診断についてのいくつかの重要な実際上の利点がある。たとえば、緊急試験に要する時間が短縮され{すなわち、迅速注文(STAT orders)}、このプロセスが血液バンクの自動化の場面で適用可能となり、自動テストと手動テストの両方について必要な時間が短縮され、このプロセスが全ての既存の血液バンク技術および方式(ゲル、チューブおよび固相)に適用できる。
本出願を通じて種々の特許書類を参照している。これらの開示は、ここに記載され主張されている本発明の発明時点において当業者に知られた最新技術をより詳細に説明する目的で、参照によりその全体が本出願に組み込まれている。
次の実施例は例証だけの目的で与えられたものであり、本発明の範囲を制限するものと取られるべきではない。
〔実施例〕
〔実施例1〕
〔迅速間接抗グロブリン手順−試験管方式を採用したゲル試験〕
全ての試薬とサンプルは使用前に室温に置いた。EDTA血漿の使用はサンプル要件の一つである。スクリーニング用細胞を、10mLのMTS Diluent 2TMを7mLの脱イオン水で更に希釈した低イオン強度の希釈剤中、0.4%の濃度に希釈した。6個の予め加熱された試験管を収納する撹拌ブロックを撹拌−インキュベーションデバイスから取り出した。ID-MTS Anti-IgG(Rabbit)Gel Cardに適切な患者/試験情報の付いたラベルを貼り、撹拌ブロック上のホルダー中に置いた。ラベルを付けたゲルカードの適切なマイクロチューブを、それらに対応する試験管の前に配列した。配列のガイドのために、撹拌ブロックに色付き線が埋め込まれていた。(上述のごとく希釈した)しかるべき0.4%スクリーニング用細胞(200μL)をピペットで試験管に添加した。次いで、100μLの患者のEDTA血漿をピペットでスクリーニング用細胞試験管中に添加した。撹拌を駆動した。撹拌を2分間続行し、自動的にシャットダウンした。撹拌ブロックをインキュベータから取り外した。150μLの試験サンプルを対応する試験管からゲルカード上の適切なマイクロチューブに添加した。このカードを、MTS遠心分離器中900rpmで10分間遠心分離した。
〔実施例2〕
〔ID-MTS Gel Testにおける撹拌対無撹拌の効果〕
〔パートA−37℃における撹拌付きのインキュベーション〕
抗Dの存在する患者の血漿サンプルを連続的に希釈した。試験管中、25μLの連続的に希釈した血漿を、MTS Diluent 2TMで希釈した50μLの0.8%D抗原陽性RBCと一緒にした。このサンプルを、水浴中、撹拌下、37℃でインキュベートした。75μLをAnti-IgG ID-MTS Gel CardTMに添加し、MTS遠心分離器中900rpmで10分間遠心分離した。最大滴定点を血清学的に測定した。最大滴定量に達する時間は4分であった。
結果を表1に示す。サンプルの1:8希釈で最大凝集結果が得られたことから、最大滴定量欄を「8」と表してある。
〔パートB−37℃における無撹拌のインキュベーション〕
サンプルを撹拌しなかった以外はパートAの材料と手順とを繰り返した。最大滴定量に達する時間は10分であった。
結果を表1に示す。サンプルの1:8希釈で最大凝集結果が得られたことから、最大滴定量欄を「8」と表してある。
〔パートC−室温における撹拌付きのインキュベーション〕
サンプルを室温(約18〜25℃)でインキュベートした以外はパートAの材料と手順とを繰り返した。最大滴定量に達する時間は15分であった。
結果を表1に示す。サンプルの1:8希釈で最大凝集結果が得られたことから、最大滴定量欄を「8」と表してある。
〔パートD−室温における無撹拌のインキュベーション〕
サンプルを室温(約18〜25℃)でインキュベートし、サンプルを撹拌しなかった以外はパートAの材料と手順とを繰り返した。最大滴定量に達する時間は20分であった。
結果を表1に示す。サンプルの1:8希釈で最大凝集結果が得られたことから、最大滴定量欄を「8」と表してある。
撹拌によりインキュベーションに要する時間が、添付文書に記載された標準のID−MTS手順に対し、37℃で11分間短縮されたことが注目される。
Figure 0004884981
〔実施例3−迅速間接抗グロブリン手順−Gel Card方式を採用したゲル試験〕
全ての試薬とサンプルは使用前に室温に置く。EDTA血漿の使用はサンプル要件の一つである。スクリーニング用細胞は、(10mLのMTS Diluent 2TMを7mLの脱イオン水で更に希釈した)低イオン強度の希釈剤中、0.4%の濃度に希釈される。適切な患者/試験情報の付いたラベルを貼り予め加熱されたID-MTS Anti-IgG(Rabbit)Gel Cardを収納する撹拌ブロックを撹拌−インキュベーションデバイスから取り出し、撹拌ブロック上のホルダー中に置く。配列のガイドのために、撹拌ブロックに色付き線が埋め込まれている。200μLのしかるべき0.4%スクリーニング用細胞(上記と同様に希釈)をピペットでゲルカードのマイクロチューブに添加する。次いで、100μLの患者のEDTA血漿をピペットでスクリーニング用細胞マイクロチューブ中に添加する。撹拌を駆動する。撹拌を2分間続行し、自動的にシャットダウンさせる。撹拌ブロックをインキュベータから取り外す。150μLの試験サンプルをゲルカード上のしかるべきマイクロチューブに添加する。このカードを、MTS遠心分離器中900rpmで10分間遠心分離する。
次いで、凝集結果を読みとる。
当業者は、前述の記述および実施例が本発明の実施を例証するものであり、如何なる意味においても本発明を制限するものではないことを理解するであろう。ここに与えられた本発明の詳細の変形は本発明の範囲と精神とを逸脱することなく実施することが可能である。
〔実施の態様〕
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1) 免疫血液学的評価のために要する時間の短縮方法において、
(a)連続撹拌下、37℃で、サンプルを抗原陽性RBCと共にインキュベートするステップと、
(b)当該サンプルを、抗IgGマトリックス中で10分間遠心分離するステップと、
(c)結果を読みとるステップを、含む、方法。
(2) 実施態様1に記載の方法において、
前記サンプルが血漿または血清である、方法。
(3) 実施態様1に記載の方法において、
前記連続撹拌が機械的撹拌ブロックによって与えられる、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記連続撹拌が手で行われる、方法。
(5) 実施態様1に記載の方法において、
前記抗IgGマトリックスがゲルを含む、方法。
(6) 実施態様1に記載の方法において、
前記抗IgGマトリックスがガラスビーズを含む、方法。
(7) 実施態様1に記載の方法において、
前記抗IgGマトリックスがマイクロチューブ中に配置される、方法。
(8) 実施態様1に記載の方法において、
ステップ(a)の前記抗原陽性RBCが低イオン強度の希釈剤と混合されたものである、方法。
(9) 実施態様8に記載の方法において、
前記低イオン強度の希釈剤が0.03M未満である、方法。
(10) 免疫血液学的評価のために要する時間の短縮方法において、
(a)上部チャンバーと、凝集細胞を非凝集細胞から分離するための抗IgGマトリックスを収納する下部チャンバーとを含むマイクロチューブを準備するステップと、
(b)サンプルを抗原陽性RBCと混合するステップと、
(c)ステップ(b)の混合生成物を前記マイクロカラムの前記上部チャンバーに置くステップと、
(d)連続撹拌下、37℃でステップ(b)の前記混合生成物を2分間インキュベートするステップと、
(e)前記マイクロチューブを遠心分離するステップと、
(f)結果を読みとるステップと、を含む、方法。
(11) 実施態様10に記載の方法において、
前記サンプルが血漿または血清である、方法。
(12) 実施態様10に記載の方法において、
前記連続撹拌が機械的撹拌ブロックによって与えられる、方法。
(13) 実施態様10に記載の方法において、
前記連続撹拌が手で行われる、方法。
(14) 実施態様10に記載の方法において、
前記抗IgGマトリックスがゲルを含む、方法。
(15) 実施態様10に記載の方法において、
前記抗IgGマトリックスがガラスビーズを含む、方法。
(16) 実施態様10に記載の方法において、
ステップ(b)の前記赤血球が低イオン強度の希釈剤と混合されたものである、方法。
(17) 実施態様16に記載の方法において、
前記低イオン強度の希釈剤が0.03M未満である、方法。
(18) 免疫血液学的評価のために要する時間の短縮方法において、
(a)上部チャンバーと、凝集細胞を非凝集細胞から分離するための抗IgGマトリックスを収納する下部チャンバーとを含むマイクロチューブを準備するステップと、
(b)赤血球サンプルを前記マイクロカラムの前記上部チャンバーに置くステップと、
(c)連続撹拌下、37℃で前記マイクロカラムを2分間インキュベートするステップと、
(d)前記マイクロカラムを遠心分離するステップと、
(e)結果を読みとるステップと、を含む方法。
(19) 実施態様18に記載の方法において、
前記連続撹拌が機械的撹拌ブロックによって与えられる、方法。
(20) 実施態様18に記載の方法において、
前記連続撹拌が手で行われる、方法。
(21) 実施態様18に記載の方法において、
前記抗IgGマトリックスがゲルを含む、方法。
(22) 実施態様18に記載の方法において、
前記抗IgGマトリックスがガラスビーズを含む、方法。
(23) 実施態様18に記載の方法において、
ステップ(b)の前記赤血球が低イオン強度の希釈剤と混合されたものである、方法。
(24) 実施態様23に記載の方法において、
前記低イオン強度の希釈剤が0.03M未満である、方法。

Claims (6)

  1. 凝集による免疫血液学的評価のために要する時間の短縮方法において、
    (a)上部チャンバー、および凝集細胞を非凝集細胞から分離するための抗IgGマトリックスを収納する下部チャンバー、を含むマイクロチューブを準備するステップと、
    (b)血漿サンプルまたは血清サンプルを抗原陽性赤血球と混合するステップと、
    (c)ステップ(b)の混合生成物を前記マイクロチューブの前記上部チャンバーに置くステップと、
    (d)連続撹拌下、37℃でステップ()の前記混合生成物を2分〜15分間インキュベートするステップと、
    (e)前記マイクロチューブを遠心分離するステップと、
    (f)凝集としての結果を読みとるステップと、
    を含
    前記ステップ(b)の前記赤血球は、0.03M未満である、低イオン強度の希釈剤と混合されたものである、方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、
    前記連続撹拌は、機械的撹拌ブロックによって与えられる、方法。
  3. 請求項1に記載の方法において、
    前記連続撹拌は、手で行われる、方法。
  4. 請求項1に記載の方法において、
    前記抗IgGマトリックスは、ゲルを含む、方法。
  5. 請求項1に記載の方法において、
    前記抗IgGマトリックスは、ガラスビーズを含む、方法。
  6. 請求項1に記載の方法において、
    ステップ(b)の前記抗原陽性赤血球は、HEPESまたはTRISを使用する、低張緩衝溶液と混合される、方法。
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