JPH07294529A - 感染症の免疫学的分離検査方法 - Google Patents

感染症の免疫学的分離検査方法

Info

Publication number
JPH07294529A
JPH07294529A JP9161994A JP9161994A JPH07294529A JP H07294529 A JPH07294529 A JP H07294529A JP 9161994 A JP9161994 A JP 9161994A JP 9161994 A JP9161994 A JP 9161994A JP H07294529 A JPH07294529 A JP H07294529A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
reaction
carrier
substance
carrier fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9161994A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisahiro Yoshida
久博 吉田
Kimiko Yurugi
紀美子 万木
Kazuhiko Ito
和彦 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP9161994A priority Critical patent/JPH07294529A/ja
Publication of JPH07294529A publication Critical patent/JPH07294529A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 感染症関連物質の存在を検出するに当たっ
て、迅速性、簡便性、経済性に優れた感度の高い免疫学
的分離検査方法を提供すること。 【構成】 分離用物質としてのゲル状物質を収容した反
応容器に、ゲルとの付着性が小さく適宜の粒径を有する
担体微粒子の少量を被検サンプルとともに分注し、反応
した担体微粒子と未反応の担体微粒子とを、有効重力条
件下で反応容器の異なる位置に加速的に移動させること
により、反応の有無および力価を視覚的に判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輸血検査等に際して担
体微粒子を用いた抗原抗体反応によって感染症の有無を
検査するための方法であって、特に、反応後の微粒子を
分離用物質中で移動させることにより、ウイルス等の被
検物質と反応した微粒子と未反応の微粒子とを分離して
高精度な検査結果を得ることのできる感染症の免疫学的
分離検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】病院、血液センタ−等において、輸血供
血者(ドナ−)、妊婦のように血液等を介する感染が特
に問題となる対象者の感染症検査は極めて重要である。
感染の有無を検出する上で最も一般化している方法の1
つは、凝集反応を利用した検査方法である。従来の凝集
検査は、半球状ないし円錐状底面を有するウエルを多数
一体化したマイクロタイタ−プレ−トを用いるマイクロ
タイタ−法が主流であり、被検物質に対する抗原または
抗体を表面に有する担体微粒子を懸濁させた粒子浮遊液
をウエルに分注し担体微粒子を液体中で沈降させること
によって、傾斜底面上に堆積した担体微粒子の分布像を
観察している。マイクロタイタ−法において反応結果を
判定するためには、直径3〜6mm程度のウエル底面に
形成した分布像を上下いずれかの方向から見える円形範
囲内で識別しなければならない。従って、被検サンプル
が生物学的疑陽性を示す任意の挟雑物質を含んでいた
り、凝集強度を示す力価が低かったり、血清検査時に血
球が混入していた場合等に形成される非典型的な分布像
を判定するのは困難である。かかる非典型的な分布像を
生じないように、担体微粒子の分注に先立ってウエル内
面を洗浄する方法(固相凝集法)も提案されているが、
検査工程が複雑になる上に、予め抗原または抗体をウエ
ル内面に固定しておく必要がある。その上、マイクロタ
イタ−法における判定の信頼度は、判定者の熟練度、画
像処理機の精密性に左右される欠点が有る。
【0003】一方、抗原抗体反応後の担体微粒子をゲル
等の分離用物質中で分離処理することにより、反応成分
と未反応成分とに分離して被検物質の存在を検出する検
査技術(以下、免疫学的分離検査と称する)は種々提案
されている。例えば、特開昭53−10495号公報で
は、被検抗原を選択的に吸着する吸着剤を所定のカラム
内に充填して、被検サンプル溶液を流通させた後に、カ
ラム内に吸着した抗原に対して結合する抗体を介してト
レ−サ(放射性同位元素)を流して結合させることによ
りトレ−サの存在を検出している。また、特公平6−1
0678号公報では、被検物質と特異的に結合する抗体
を固定した担体微粒子と被検物質と結合する抗体を有す
るトレ−サ(蛍光物質)とを、被検サンプルに反応させ
た反応液としてカラム内に注入して、カラム内に捕捉さ
れた担体微粒子に結合したトレ−サを選択的に定量する
ことが記載されている。特開平1−163662号公報
および特開平4−285858号公報では、凝集反応後
の担体微粒子を分離用物質中で遠心分離することによ
り、凝集塊を形成した反応成分と非凝集の未反応成分と
が互いに異なる位置に分布するように構成して肉眼判定
を可能にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】マイクロタイタ−法
は、液体中で担体微粒子が沈降するのに長時間(90分
〜2時間)を要する。かといって、担体微粒子を比重の
高い材料にするか、液体中で遠心処理する場合には、担
体微粒子が傾斜底面上を移動し易くなって、偽陰性像を
形成するケ−スが増えるという重大な欠点を有する。
【0005】一方、上述した免疫分離検査方法において
は、担体微粒子の種類と検査条件について充分な検討が
なされていない。例えば、特開平1−163662号お
よび特開平4−285858号の技術においては、ヒト
赤血球を担体微粒子とする血球表面固有の抗原と被検サ
ンプルとの反応に限定された検査のみが実施されてい
る。ヒト血球表面上の抗原は、血液型に関与しない検査
項目、特に感染症の検査を行うに当たり、血液型に関与
する抗体等の影響で反応特異性を低下させる虞れが有
る。また、従来の感染症検査は検査性能を向上させるほ
ど、各検査項目毎に異なる工程の追加、変更等によっ
て、複雑化、検査費の高額化、所要時間の増加等を余儀
無くされる傾向にある。
【0006】そこで、本発明の目的は、赤血球を必要と
しない検査項目、特にウイルス等の感染を高精度かつ高
感度に検出できるとともに、簡便性、迅速性、経済性に
優れた感染症の免疫分離検査方法を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、多項目の検査項目を共
通の工程で簡便且つ迅速に実施できる感染症の免疫分離
検査方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上述した従来の課題に鑑み、鋭意検討を行った結
果、凝集反応を利用する免疫分離方法において、種々の
感染症の検査を簡便で迅速且つ経済的に実施できる方法
を見出だし、本発明に至った。
【0008】本発明で扱う被検サンプルには、全血、血
清等の血液成分、尿、髄液、分泌液といった各種体液が
挙げられる。被検物質としては、例えば、HIV、HT
LV、HCV、HBV、CMV等の病原ウイルス、T
P、トキソプラズマ、クラミジア等の病原虫、溶連菌等
の細菌の各種抗原またはその抗体が挙げられる。かかる
被検物質は、対応する感染症の臨床学的指標となるの
で、感染症関連物質と総称できる。被検サンプルは、所
定の抗原抗体反応に供される前に、必要に応じて適宜希
釈、濾過、遠心、加熱等の前処理を行う場合もあるが必
須ではない。
【0009】本発明の方法における担体微粒子の構成
は、平均粒径が0.1〜50μmの微粒子であり、材質
は凝集法に適用できる種々の公知のものから適宜選択す
ればよい。具体的には、赤血球、花粉、炭素粉、砂等を
含む天然粒子や、ポリスチレン、ポリアミノ酸、ゼラチ
ン等の有機化合物および酸化鉄、シリカ等の無機化合物
を含む人造粒子が使用できる。但し、凝集・非凝集によ
る分布像のコントラストを考慮すると、微粒子の平均粒
径は1〜20μm、特に3〜15μmの範囲から選択す
るのが好ましい。また、遠心処理による移動速度と凝集
反応との兼ね合いを考慮すると、微粒子の比重は 1.1〜
3.0 、特に 1.1〜1.5 の範囲にあるのが好ましい。担体
微粒子の形状は、ゲル状物質中での移動特性や反応効率
を考慮して、球状または多角体状とするのが好ましい
が、特に限定されるものではなく、円盤状、ダルマ状、
角柱状といったものでもよい。また、担体微粒子の表面
もまた種々の表面改質技術によって、微細突起、網目、
多孔質、滑面等を形成するように加工してもよい。
【0010】本発明の方法では、担体微粒子の使用量を
マイクロタイタ−法の規定量より少なくすることができ
る。なぜならば、後述するように、本発明で使用する免
疫分離検査は、担体微粒子の添加量とは殆ど無関係に同
様の凝集結果を示すという事実が判明したからである。
一般に、マイクロタイタ−法では、担体微粒子の粒径お
よび傾斜底面上の像のコントラストを考慮した使用量に
規定されており、例えば、粒径が3〜9μmの範囲に属
する担体微粒子を使用する場合には粒子濃度を0.8〜
1.5%とし、粒径が10μm以上の担体微粒子の場合
には粒子濃度を0.4〜0.7%として、1検査当り2
5〜50μl使用する。従って、本発明で担体微粒子の
使用量を、節約できる効果は大きく、消費コストを下げ
る上に産業廃棄物を減らすことにもなる。実用上、上記
規定量の3分の2以下、好ましくは2分の1以下の使用
量にすることが可能である。
【0011】各種感染症関連物質に対して抗原抗体反応
により選択的に結合する抗体または抗原を担体微粒子に
固定する技術は、公知の蛋白固定技術を利用すればよ
い。担体微粒子に各種感染症関連物質を固定した試薬キ
ットは、種々の試薬メ−カ−から凝集反応用診断試薬と
して市販されており、本発明の目的に応じて適宜選択す
ることができる。通常、担体微粒子は適宜の浮遊液中に
懸濁した状態でピペットのような分注手段によって手動
ないし自動添加される。浮遊液の種類は、使用する担体
微粒子の材質等に応じて、PBS、LISS、生理食塩
水等の適宜の組成、pH、モル濃度を有するものが選択
される。担体微粒子として、上記の市販試薬キットのも
のを使用する場合には、キットが規定する浮遊液を採用
するのが好ましいが、代用し得る他の浮遊液を使用して
も構わない。また、担体微粒子の分離用物質中での検出
を容易にするために、適宜のトレ−サ、例えば放射性同
位元素、蛍光物質、発光物質、色素等を予め担体微粒子
に含ませる努力が望まれるが、肉眼ないし光学的検出が
可能である限り必須要件ではない。
【0012】反応容器の形状は、抗原抗体反応に要する
分量の担体微粒子を少なくとも含む反応液を遠心処理の
実行に先立って保持できる容量と、遠心処理による担体
微粒子の移動が認識できる程度に遠心力の方向に長い寸
法とが要求される。従って、反応容器は、試験管、キュ
ベット、マイクロタイタ−プレ−ト等のように所要量の
体積の液溜めが可能な凹状空間を有するものが好まし
い。また、反応容器の材質は、通常の本発明で行う遠心
処理に耐えられる程度の強度と適宜の光透過性を有して
いれば特に限定されるものではない。しかしながら、肉
眼での観察を容易にする意味ではなるべく透明色の材
質、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、
ポリカ−バネ−ト、アクリル等から成るものがよい。ま
た、非凝集の担体微粒子が遠心処理後に最終的に1点に
集まるように、反応容器の末端部に向けて徐々に狭まる
ような形状を部分的に設けてもよい。さらに、複数の反
応容器を一体的に組み合わせて遠心処理を同時に行うよ
うに構成してもよい。
【0013】本発明で使用する分離用物質の組成は、そ
れ自体が検査対象および担体微粒子と結合し難い材質で
あるか、適宜の表面処理によって結合を消失し得るもの
である。このような分離用物質は、少なくとも蛋白に対
する吸着性を実質的に持たない方が有利である。また、
担体微粒子が非蛋白の材質からなる場合には、分離用物
質と担体微粒子の表面とが互いに付着し難い組み合わせ
を検討するのが好ましい。担体微粒子の位置を認識する
ためには、分離用物質と担体微粒子とが互いに異なる色
調を帯びるような組み合わせにするのが好ましく、でき
れば分離用物質の材質を透明度の高いものにするのが好
ましい。さらに、分離用物質がいかなる蛋白とも吸着せ
ず且つ抗原抗体反応にも関与しないように、適宜の表面
処理物質、例えば、ゼラチン、異種動物由来アルブミン
等で、分離用物質の表面を被覆したり、物理化学的吸着
を示さない官能基で分離用物質の表面を化学修飾するな
どの処置を行ってもよい。場合によっては、分離用物質
から不都合な荷電を除去または変更するような処理を施
してもよい。本発明で使用し得る分離用物質の具体例と
しては、種々のクロマトグラフィ−に用いられる粒径1
0〜200μmの各種ゲル状物質やセルロ−ス、ポリス
チレン、二酸化ケイ素化合物(例えば、ガラス)等の非
圧縮性物質が挙げられる。反応容器における分離用物質
の封入、保存、添加物処理等を行う技術的取扱いについ
ては、例えば特開平1−163662号公報および特開
平4−285858号公報の記載を参考にすることがで
きる。
【0014】本発明が適用される凝集反応の原理は、被
検サンプル自身が凝集性粒子を有している直接凝集法
と、分析対象が介在する結合により凝集し得る特定粒子
(例えば人造粒子、処理血球等)が凝集塊を形成する間
接(または受身)凝集法のいずれでもよい。反応系に関
しては、試薬中の担体微粒子に対して被検物質と同等に
凝集反応し得る競合物質の既知量を、被検サンプルとと
もに担体微粒子と反応させる競合系や逆受身凝集の系で
あっても構わない。
【0015】本発明に係る凝集反応を実行するための手
法は、次の通りである。即ち、予め適宜の方法で分離用
物質が含有されている反応容器中に、抗原または抗体を
固定した担体微粒子の浮遊液と被検サンプルとを添加す
る。ここで、担体微粒子と被検サンプルとの混合時機
は、反応容器に添加する前後いずれでもよい。通常、担
体微粒子と被検サンプル(例えば、血清希釈液)との混
合後に所要の抗原抗体反応のための反応時間が経過して
から、遠心処理を実行する。場合によっては、遠心処理
の進行中に抗原抗体反応が起こるように、予め担体微粒
子の浮遊液と被検サンプルとを適宜の反応温度、例え
ば、15℃〜40℃、好ましくは25℃〜37℃に設定
してもよい。担体微粒子と抗原抗体反応を生じる反応対
象を、予め分離用物質(例えば、ゲル状物質)とともに
反応容器内に含有しておけば、少なくとも担体微粒子を
含む液体の添加の直後に遠心処理を行うことも可能とな
る。
【0016】微粒子担体と被検サンプルとの抗原抗体反
応は、0〜40℃、好ましくは20〜37℃の恒温環境
下で、5〜60分間、好ましくは10〜30分間実行さ
れる。室温が例えば15〜30℃の比較的温暖な範囲で
変化する程度であれば、反応温度を室温で行ってもよ
い。0〜40℃の範囲内において、分離用物質や担体微
粒子が不都合な物理変化(膨脹、収縮、軟化等)を生じ
て遠心分離効率を低下させる場合には、反応温度を適宜
限定すればよい。
【0017】分離用物質中で担体微粒子を移動させる有
効な遠心条件は、10〜500G、好ましくは50〜2
00Gの重力範囲内で、5〜30分間、好ましくは5〜
20分間の処理時間である。重力範囲は分離用物質の圧
力に対する収縮性に応じて適宜選択するのが好ましい。
好適な遠心条件として、80〜100Gで5〜15分間
の処理を、種々の検査項目について共通に適用すること
ができる。遠心処理を行うための遠心機は、上記遠心条
件を設定し得るいかなるものでも使用できる。なお、重
力条件は、上記範囲に相当する回転数(r.p.m.)
でも構わない。
【0018】
【実施例】以下に本発明を実施した例を説明するが、本
発明を限定するものではない。
【0019】本発明を実施するために利用できる検査キ
ットは、オリンパス光学工業(株)よりIDマイクロタ
イピングシステムとして入手できる。即ち、上記システ
ムの反応容器は、100μlの容量を有するポリエチレ
ン製チュ−ブであり、下部に細長い分離用物質収容部分
を有するとともに、上部に所要量の液体を注入・保持し
得る液体収容部分が直結した構造になっている(特開平
1−163662号公報参照)。分離用物質収容部分に
は、予め非凝集のヒト赤血球が移動できる程度の隙間を
形成するために、分離用物質としてのゲル状物質(例え
ば、ファルマシア製セファクリルS200)が充填され
ている。かかる反応容器中に微粒子担体の浮遊液と被検
血清とを添加し、インキュベ−ション後、遠心処理す
る。遠心処理後の判定は、検査キットの使用要領に従
い、6段階の基準を設けた。上記システムによれば、凝
集強度が強いほど、ゲル状物質中の移動量が少ない粒子
分布として観察され、非凝集の粒子分布は反応容器の遠
心先端側に局在したものとなる。反応結果の表記は、非
凝集の場合を(0)とし、それ以外は凝集強度が大きく
なるにつれて、(W+)、(1+)、(2+)、(3
+)、(4+)とする。以下に、使用した凝集反応用の
試薬キットの一覧表を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】実験例1 非特異反応有無の比較 各検査項目毎に陰性(感染していない)の患者血清を用
いて、表1の担体微粒子による検査を行った非特異反応
有無を比較した結果が表2の通りである。具体的には、
上記IDマイクロタイピングシステムの各反応容器に対
して、試薬キット中の感作粒子と未感作粒子とを規定粒
子濃度の浮遊液に調製して25μlずつ分注し、次い
で、被検サンプルとしての血清を25μlずつ分注し
た。かかる担体微粒子と血清の混液を収容した直後の反
応容器を、遠心機(MTS社製、MTS−Centri
fuge、モデル5150−60)にセットして室温
(約23℃)で850±25r.p.m.、10分間の
遠心処理を行った。遠心処理後の反応容器における分離
用物質収容部の担体微粒子の移動位置に基いて上述した
6段階で判定した。表中、上段は感作粒子、下段は未感
作粒子による結果である。
【0022】
【表2】
【0023】表2によれば、概ね試薬の種類、特に材質
の違いに応じて、非特異反応の生じ易さが異なる傾向を
示した。粒子F(ゼラチン性)はCMVの項目を除いて
全般的に非特異反応を生じ易かった。粒子Dについて
は、上記遠心処理により、抗原抗体反応とは無関係に反
応容器の遠心端に移動してしまったので、実用的な結果
は得られなかった。なお、感度向上等の目的で、上記反
応容器に予め抗IgG抗体を含有させて同様に検査したと
ころ、抗体検査(例えばHBs抗体)において上記非特
異反応を生じ易い傾向を示した。しかしながら、非特異
反応を生じた反応容器を再度遠心すると非特異反応が弱
く現れたことから、概ね担体微粒子と分離用物質との付
着が非特異反応を生じる要因であることが示唆された。
以下の実験では、表2において、非特異反応を示さなか
った検査項目と担体微粒子の組み合わせを採用した。
【0024】実験例2 凝集強度に及ぼす反応時間と反
応温度の関係 上述と同様の手順により、各検査項目毎に陽性反応を示
す患者血清を用いて、検査を行った結果が図1〜図6の
通りである。ここで、本実験における「反応時間」と
は、上記反応容器の液体収容部分に被検血清および担体
微粒子の浮遊液を添加して混合状態としてから、反応容
器を遠心処理に掛けるまでのインキュベ−ション時間を
いう。反応時間が0分の場合には、血清および担体微粒
子の浮遊液ならびに反応容器を予め各温度に調製した後
に、遠心直前に血清および担体微粒子の浮遊液を反応容
器内で混合した。図中、(●)は反応温度が37℃の場
合、(△)は室温(約23℃)の場合、(○)は0℃の
場合を示す。
【0025】図1〜図6の結果から分かるように、検査
項目や担体微粒子の種類に拘らず、凝集反応は15分以
降で平衡に達した。また、反応温度は、37℃と室温と
では、結果に殆ど差が無かった。但し、0℃では検査項
目によって、最終的な凝集強度が若干低下するものがあ
った。反応時間が0分以上〜15分未満の場合でも、遠
心処理後に判定可能な凝集強度は得られた。また、室温
における結果は、15℃〜25℃の室内環境の変化に関
し、同様の凝集強度を示した。また、反応時間が0分の
場合でも、事前に血清および担体微粒子を15℃〜37
℃に温めた場合には、凝集強度が高まる傾向を示し、3
7℃で最強の凝集結果が得られた。このことから、至適
反応温度に調製した被検サンプルと担体微粒子とを分離
用物質中で移動させることで、反応容器内でのインキュ
ベ−ションを経ずに短時間で検査が得られることが判明
した。なお、図4(高比重粒子Dの場合)には、実験例
1と同様に反応の有無に拘らず、担体微粒子が遠心端で
ある反応容器の下端に移動してしまったために、検査不
能であった。
【0026】実験例3 マイクロタイタ−法に対する担
体微粒子量と目視判定難易度 粒子A(HBs抗原用およびHBs抗体用)、粒子E、
粒子F(HCV用)を用いて、マイクロタイタ−法にお
ける各試薬キットの規定添加量を1として、添加量を段
階的に半分に減らしていった場合の遠心処理後の肉眼判
定のし易さを調べた結果が表3の通りである。なお、遠
心前の反応条件は、上記実験例2の結果に基づき、室温
で15分間とした。図中、(◎)は判定し易かった場
合、(○)は判定はできるが鮮明さに欠ける場合、
(△)はやや判定し難かった場合、(×)は判定が困難
となる位に薄く見える場合を示す。
【0027】
【表3】
【0028】表3の結果によれば、担体微粒子の使用量
を、マイクロタイタ−法の2分の1までの間に減らして
も、肉眼判定に殆ど支障がないことが分かる。また、担
体微粒子によっては、4分の1まで肉眼判定し得る。ま
た、担体微粒子の固有の色素量が多いか、色素を多く含
有させた担体微粒子を使用する場合には、マイクロタイ
タ−法の一層の少量化が期待できる。なお、この実験で
は、担体微粒子の添加量に拘らず、一定の反応結果が得
られた。このことは、本発明を自動化して適宜の光学的
検出器を用いれば、光学的に検出できる程度(例えば、
マイクロタイタ−法の4〜8分の1以下の粒子量)でも
正しい判定を実施できることを示唆するものである。
【0029】実験例4 力価比較 HBs抗原(粒子A)、HBs抗体(粒子A)、HCV
(粒子E)、CMV(粒子F)の各検査項目について、
マイクロタイタ−プレ−トによる従来のマイクロタイタ
−法と上記反応容器による本発明の方法との希釈感度を
比較した。即ち、本発明の方法では、上記実験3の結果
に基づき、規定量の2倍に希釈した担体微粒子を25μ
l分注する点および実験2の結果に基づき、室温で15
分インキュベ−ションした点を除いて、実験1と同様に
検査した。周知の通り、従来のマイクロタイタ−法で
は、担体微粒子の沈降速度に応じて90分〜2時間のイ
ンキュベ−ション時間を要した後に凝集結果が得られ
る。かかるマイクロタイタ−法で得られた結果と本発明
とは、本発明がHCVの項目で若干の感度低下を示した
のを除いて有意な差を持たず、良好な相関性を示した。
このことは、本発明の方法が、迅速にして高感度な検査
方法であることを示すものである。
【0030】実験例5 検出性能の比較 実験例4と同じ検査項目と担体粒子の組み合わせについ
て、83検体の血清によるマイクロタイタ−法と本発明
の方法との判定の一致率を調べた。結果は、HBs抗体
(粒子A)の項目を除いて100%の一致率を示した。
即ち、HBs抗原(粒子A)では陽性6検体、陰性77
検体、HCV(粒子E)では陽性12検体、陰性71検
体、CMV(粒子F)では陽性70検体、陰性13検体
の各結果を得た。なお、96%の一致率を示したHBs
抗体の項目では、陽性12検体、陰性65検体、弱陽性
3検体という結果の他に、一部の検体(3検体)で本発
明の方法が弱陽性(W+)で、従来のマイクロタイタ−
法で陰性となる結果が得られ、本発明の方法が従来のマ
イクロタイタ−法より半分の担体微粒子量でも同等また
はそれ以上の高感度を示すことが確認できた。
【0031】なお、本発明は上述した実験に限定され
ず、種々の応用、変更等が可能である。例えば、上述し
た実験例における遠心条件は、使用する遠心機の回転半
径に応じて、設定変更(例えば、895±25r.p.
m.等)できる。また、特開平1−163662号公報
に記載された各種血液型の検査を本発明と同一の遠心条
件(例えば80〜100G、5〜15分間)下に設定す
ることにより、複数の反応容器を用いて輸血検査におけ
る血液型検査と感染症検査とを同時に実施することがで
きる。遠心条件を共通化した場合には、任意の組み合わ
せの検査項目に対応する各担体微粒子を混合した試薬を
1本の反応容器に分注することで、多項目同時検査を行
うことも可能となる。
【0032】
【発明の効果】本発明の請求項1の発明によれば、担体
微粒子として分離用物質に対して付着し難い表面を有す
るものを使用して、非特異反応が生じない状態で共通の
遠心条件で感染症に関する多項目の検査を迅速に実施す
ることができる。
【0033】また、請求項2の発明によれば、担体微粒
子の粒径を3μm以上にすることで、遠心後の判定不能
を防止しながら多項目検査できる。
【0034】また、請求項3の発明によれば、担体微粒
子の粒子濃度を、分離用物質中で肉眼または光学的に認
識できる程度に低濃度にしても、充分な検査結果が得ら
れるので、担体微粒子の消費量、ひいては検査コストを
低減することができる。
【0035】また、請求項4の発明によれば、マイクロ
タイタ−法で使用する濃度の2分の1以下の担体微粒子
量で検査することで、検査コストを従来の半分以下に低
減することができる。
【0036】また、請求項5の発明によれば、抗原抗体
反応の至適反応温度下で遠心処理することで、遠心分離
の間にも凝集反応を進行させることができ、インキュベ
−ション時間を大幅に低減することができる。
【0037】さらに請求項6発明によれば、遠心処理中
の反応温度を15〜40℃にすることで、インキュベ−
ション時間を減らした場合にも凝集強度を増大させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HBs抗原検査用の粒子Aでの反応温度と反応
時間毎の凝集強度を示すグラフ、
【図2】HBs抗原検査用の粒子Cでの反応温度と反応
時間毎の凝集強度を示すグラフ、
【図3】HBs抗体検査用の粒子Aでの反応温度と反応
時間毎の凝集強度を示すグラフ、
【図4】TPHA検査用の粒子Dでの反応温度と反応時
間毎の凝集強度を示すグラフ、
【図5】CMV検査用の粒子Fでの反応温度と反応時間
毎の凝集強度を示すグラフ、
【図6】HCV検査用の粒子Eでの反応温度と反応時間
毎の凝集強度を示すグラフ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検サンプルと凝集反応させた担体微粒
    子を、所定密度の分離用物質を収容した反応容器内で移
    動させることにより、検体中の感染症関連物質の存在を
    検出するに当たり、分離用物質に対して付着し難い表面
    を有する担体微粒子に、感染症関連物質に応じた抗原ま
    たは抗体を固定する工程と、固定後の担体微粒子と被検
    サンプルとを任意の時機に混合する工程と、前記担体微
    粒子と被検サンプルとを混合した後に、この混合液を共
    通の遠心条件を用いて前記反応容器内で遠心処理したこ
    とを特徴とする感染症の免疫学的分離検査方法。
  2. 【請求項2】 前記担体微粒子が3μm以上の粒径を有
    していることを特徴とする請求項1記載の感染症の免疫
    学的分離検査方法。
  3. 【請求項3】 被検サンプルと凝集反応させた担体微粒
    子を、所定密度の分離用物質を収容した反応容器内で移
    動させることにより、検体中の感染症関連物質の存在を
    検出するに当たり、前記担体微粒子の粒子量を、前記分
    離用物質中で肉眼または光学的に認識できる程度に少量
    にするとともに、凝集塊と非凝集の担体微粒子とが異な
    る移動距離となる有効な遠心条件で遠心処理を実施する
    ことを特徴とする感染症の免疫学的分離検査方法。
  4. 【請求項4】 前記担体微粒子の使用量を、マイクロタ
    イタ−法で使用する規定量より少なく設定したことを特
    徴とする請求項3記載の感染症の免疫学的分離検査方
    法。
  5. 【請求項5】 被検サンプルと凝集反応させた担体微粒
    子を、所定密度の分離用物質を収容した反応容器内で移
    動させることにより、検体中の感染症関連物質の存在を
    検出するに当たり、前記担体微粒子を、抗原抗体反応の
    至適反応温度下で遠心処理したことを特徴とする感染症
    の免疫学的分離検査方法。
  6. 【請求項6】 反応温度が15℃〜40℃であることを
    特徴とする請求項5記載の感染症の免疫学的分離検査方
    法。
JP9161994A 1994-04-28 1994-04-28 感染症の免疫学的分離検査方法 Pending JPH07294529A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9161994A JPH07294529A (ja) 1994-04-28 1994-04-28 感染症の免疫学的分離検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9161994A JPH07294529A (ja) 1994-04-28 1994-04-28 感染症の免疫学的分離検査方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07294529A true JPH07294529A (ja) 1995-11-10

Family

ID=14031597

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9161994A Pending JPH07294529A (ja) 1994-04-28 1994-04-28 感染症の免疫学的分離検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07294529A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008185529A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku 被検物質の検出方法及び検出デバイス

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008185529A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Japan Advanced Institute Of Science & Technology Hokuriku 被検物質の検出方法及び検出デバイス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5236826A (en) Immunoassay for the detection or quantitation of an analyte
JP2510932B2 (ja) 試料中における生物学的物質の存在を決定する方法及び装置
US5338689A (en) Method and card for detecting antigens and/or antibodies
US5460940A (en) Method for detecting antigens and/or antibodies
JP5223676B2 (ja) 特に血液型の抗体/抗原複合体の存在の証明のための磁気的免疫診断方法
JP2854058B2 (ja) アッセイを実施するための方法及び装置
CN107817232B (zh) 用于进行过敏症和自身免疫性疾病的诊断测定的自动化免疫分析系统
EP0267317B1 (en) Method for the detection of proteins and viruses
TW297094B (ja)
US4338094A (en) Macroencapsulated immunosorbent assay technique
EP0485228B1 (en) Column agglutination assay and device
US9488665B2 (en) Magnetic particle tagged reagents and techniques
US7713708B2 (en) Immunological assay system and method
JPH08501145A (ja) 固相免疫学的検定法
US5084240A (en) Centrifuge vessel for automated solid-phase immunoassay
WO1987003690A1 (en) Particle-bound binding component immunoassay
JP2001502795A (ja) 血液型抗原および抗体の検出に有用な方法および装置
EP1064556B1 (en) Solid-phase method for antigen and antibody determinations in bloodgroup serology, and test kit
JP2008216237A (ja) 非特異反応を減少させた免疫診断薬
US7824873B2 (en) Blood test kit
US9518984B2 (en) Separation, washing and determination of analytes tagged with magnetic particles
US5318748A (en) Centrifuge vessel for automated solid-phase immunoassay having integral coaxial waste chamber
JP2824794B2 (ja) 固相法により赤血球抗体を探索し、同定する方法
AU2660500A (en) Method for detecting antibodies or antigens and for determining blood groups
JP2532670B2 (ja) 磁性マ―カ―粒子を用いた免疫学的測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030819