JP4883764B2 - N−メタクリロイルアゼチジン系重合体ならびにその重合体の製造方法 - Google Patents

N−メタクリロイルアゼチジン系重合体ならびにその重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はアゼチジン基を有する新規な水溶性重合体およびその製造方法に関する。詳しくは水系の接着剤や塗料、シーリング剤などの硬化(架橋)システムなど幅広い用途に利用可能な新規なN−メタクリロイルアゼチジン系重合体およびその製造方法に関する。
古くから様々な単量体の重合性が確認されてきた。それらのなかでN,N−ジアルキルメタクリルアミド誘導体の重合性についても幾つかの報告例があるが、その重合不能性が明らかにされている。非特許文献1では、N,N−ジアルキルメタクリルアミド誘導体のラジカル重合とアニオン重合を検討しており、N,N−ジメチルメタクリルアミドならびにN,N−ジエチル、N−メチル−N−フェニル、N−エチル−N−フェニル、N,N−ジフェニル、N−ピペリジル、N−モルホリルの種々のメタクリルアミド誘導体のいずれもがラジカル重合ならびにアニオン重合で重合体が得られず、単量体が回収されたことを報告している。
また、非特許文献2では、N,N−ジメチルメタクリルアミドならびにN−メタクリロイル−N’−メチルピペラジンの重合性が検討されており、レドックス系開始剤を用いた水溶液中での重合で重合物が得られたと報告されているが、収率や得られた重合体の分子量など詳細な記述はされていない。また、前記単量体のアニオン重合についても検討されており、開始反応は起るものの、単独重合体は得られない。このようにN,N−ジアルキルメタクリルアミド類は単独重合しないというのが一般的な認識となってきている。
それらの報告例の中で唯一、N,N−ジアルキルメタクリルアミド誘導体から重合物が得られたとする報告が非特許文献3である。この非特許文献3では、N−メタクリロイルアジリジンのラジカル重合ならびにアニオン重合について検討されており、いずれの場合も高収率で重合体が得られたと報告している。しかしながら、この報告においても、分子量や分子量分布などの詳細な重合物の解析は行われておらず、N−メタクリロイルアジリジンのみから重合物が得られることについても詳細な議論を行っていない。
横田健二、織田純一郎、工業化学雑誌、73、224(1970) X.Xie,T.E.Hogen−Esch,Macromolecules,29,1746(1996) Y.Okamoto,H.Yuki,J.Polym.Sci.Polym.Chem.Ed.,19,2647(1981)
本発明は、N−メタクリロイルアゼチジン系化合物の重合性、特にアニオン重合により、分子量分布が狭く、分子量が制御され、化学構造の明確なN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の合成を目的とし、水系の接着剤や塗料、シーリング剤などの硬化(架橋)システムなど幅広い用途に利用可能な新規反応性高分子であるN−メタクリロイルアゼチジン系重合体及びその製造方法を確立することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の研究を重ねた結果、N,N−ジアルキルの二つのアルキル基が互いに結合して四員環を形成したアゼチジン環を有するメタクリルアミド系化合物を重合させて得られる重合体が、分子量分布が狭く、分子量が制御され、明確な化学構造を有することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(5)のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体ならびにその重合体の製造方法を提供する。
(1)下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量(Mn)が2,000〜1,000,000であり、かつ、分子量分布(Mw/Mn、Mwは重量平均分子量)が3.0以下であるN−メタクリロイルアゼチジン系重合体。
Figure 0004883764
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれ、R1〜R6のうち少なくとも4個は水素原子である。重合体分子中のアゼチジン骨格のR1〜R6はそれぞれの繰り返し単位ごとに異なってもよい。)
(2)分子量分布(Mw/Mn)が1.2以下である(1)のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体。
(3)下記一般式(II)で表されるN−メタクリロイルアゼチジン系化合物を付加重合することを特徴とする(1)または(2)に記載のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の製造方法。
Figure 0004883764
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれ、R1〜R6のうち少なくとも4個は水素原子である。)
(4)付加重合の重合機構がアニオン重合である(3)のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の製造方法。
(5)反応温度−50℃〜30℃においてアニオン重合を行う(4)のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の製造方法。
一次構造が明確であり、高い水溶性を有するアゼチジン基を有する新規な重合体が得られ、水系の接着剤や塗料、シーリング剤などの硬化(架橋)システムなど幅広い工業用途に利用可能である。
本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するものである。
Figure 0004883764
式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれ、R1〜R6のうち少なくとも4個は水素原子である。重合体分子中のアゼチジン骨格のR1〜R6はそれぞれの繰り返し単位ごとに異なってもよい。
本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の数平均分子量(Mn)は、重合体の精製や取り扱い性等の点から2,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜500,000である。
また、本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の分子量分布(Mw/Mn、Mwは重量平均分子量)が3.0以下である必要があり、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下である。分子量分布(Mw/Mn)を3.0以下とすることにより、重合体の溶解性や融点、ガラス転移点など基本的な特性が明確になるので、種々の用途へ応用展開する際に配合量などの設定が容易となる。また、特に分子量分布(Mw/Mn)を1.5以下のように狭くした場合には、重合体中のアゼチジニル基の含有量がより明確となるので、接着剤や塗料、シーリング剤などのより精密な硬化(架橋)システムの設計が可能になる。
次に本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の製造方法について説明する。
本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体は一般式(II)で表されるN−メタクリロイルアゼチジン系化合物単量体を付加重合することにより製造される。
Figure 0004883764
式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれ、R1〜R6のうち少なくとも4個は水素原子である。
この重合体の単量体、すなわち、一般式(II)で表されるN−メタクリロイルアゼチジン系化合物単量体は公知の方法により製造することができる。
特公平4−65059号公報の「N−置換アクリルアミドまたはメタクリルアミド類の製造方法」及びそれに引用されている引例では、N−メタクリロイルアゼチジン系化合物単量体は、下記一般式(III)で表されるメタクリル酸ハライド
Figure 0004883764
(式中、Xは塩素原子又は臭素原子を表す)
を、下記一般式で表されるアゼチジン系化合物(IV)
Figure 0004883764
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれ、R1〜R6のうち少なくとも4個は水素原子である。)
と、トリアルキルアミン類等を反応助剤として用い、反応させることによって製造できることを示している。
本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系化合物の具体的な例としては、N−メタクリロイルアゼチジン、N−メタクリロイル−2−メチルアゼチジン、N−メタクリロイル−3−エチルアゼチジン、N−メタクリロイル−2,4−ジエチルアゼチジン、N−メタクリロイル−2−メチル−2−エチルアゼチジン、N−メタクリロイル−3,3−ジメチルアゼチジン、N−メタクリロイル−3,3−ジエチルアゼチジンなどが挙げられる。
本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体の製造には、原料として高純度の単量体を用いる必要があり、減圧蒸留ないし真空蒸留などによって精製したものが好適に用いられる。なお、この精製蒸留には、重合禁止剤としてメチレンブルーや、脱水剤として水素化カルシウムなどを用いることが好ましい。
本発明によれば、単量体がメタクリルアミド誘導体であるにもかかわらず、重合体が得られる。
付加重合工程において採用可能な重合方法としては、必ずしも特定の重合方法に限られるものではなく、例えば、通常のラジカル重合法、SFRP(stable free radical polymerization)法、RAFT(Reversible Addition−Fragmentation Transfer)重合法、ATRP(atom transfer radical polymerization)法、GTP(group transfer polymerization)法、アニオン重合法等が挙げられる。中でも、得られる重合体の分子量分布が狭く、また、単量体の重合転化率が高い等の点から、アニオン重合法が好ましい。
重合方法として、通常のラジカル重合法、SFRP法、RAFT重合法、ATRP法、GTP法等のラジカル重合法を採用した場合、それぞれの重合法において公知の重合開始剤、溶剤を使用することができる。ラジカル重合法で使用する開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを挙げることができ、溶剤としては、トルエン、酢酸エチル等を挙げることができる。
また、上記アニオン重合法に用いられる重合開始剤としては、必ずしも特定のものに限られるものではなく、公知のアニオン重合開始剤を用いることができ、例えば、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、および有機マグネシウム化合物等の有機金属化合物を挙げることができる。
これらのアニオン重合開始剤の中で、重合開始効率が高く、また、重合反応が円滑に進行する点において、アルキルリチウム、アリールリチウム、アラルキルリチウム、アルキルナトリウム、アリールナトリウム、アラルキルナトリウム、アルキルカリウム、アリールカリウム、アラルキルカリウム、アルキルセシウム、アリールセシウム、アラルキルセシウムが好ましく、中でもs−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、ジフェニルメチルカリウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム(s−ブチルリチウムと1,1−ジフェニルエチレンの1:1付加物)、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、ジフェニルメチルカリウム、ジフェニルメチルセシウム、トリフェニルメチルセシウムが特に好ましい。
アニオン重合開始剤として、上記の重合開始剤の1種を単独使用してもよく、また、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は必ずしも限定されるものではないが、重合開始剤を、使用する単量体の合計100モルに対して0.01〜5モルの範囲内となる割合で用いることが、目的とする重合体を円滑に製造できる点から好ましい。
重合に際しては、重合系を均一にするために溶媒を用いることが好ましい。そのような溶媒としては、ペンタン、n−ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテル等のエ−テル化合物等が挙げられる。これらの中でも、前記重合開始剤、原料の単量体、助触媒としての有機化合物、重合体等の溶解性に優れているという観点から、上記エ−テル化合物が好ましく用いられ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが特に好ましい。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
アニオン重合においては、重合を速やかに進行させることを目的に、重合系内に通常用いられる重合添加剤を添加してもよい。該重合添加剤としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルホウ素、トリフェニルホウ素などのルイス酸類、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4,15−クラウン−5,18−クラウン−6等のエーテル化合物;トリメチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N",N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2′−ジピリジル等の有機窒素化合物;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の有機リン化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;リチウム(2−メトキシエトキシ)エトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド化合物;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等の有機四級塩等が挙げられる。これらの上記重合添加剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。重合添加剤の添加量は、アニオン重合開始剤1.0モルに対して1.0〜50モル、好ましくは2.5〜25モルである。
重合反応は、重合形式(ラジカル重合、アニオン重合等)によらず、高真空下、若しくは、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合反応系が均一となるように、十分な撹拌条件下で重合を行うことが好ましい。重合時の反応系の温度はラジカル重合の場合は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜100℃であり、アニオン重合の場合は、好ましくは−50〜30℃、より好ましくは−45〜10℃である。重合時間は限定しないが、通常、30分〜120時間であり、好ましくは2〜80時間である。
本発明においては、例えば重合反応により目的とする分子量の重合体が形成された段階で、重合停止剤を反応混合物に添加することによって、重合反応を停止させることができる。かかる重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール、酢酸、塩酸のメタノール溶液等のプロトン性化合物を使用することができる。重合停止剤の使用量は特に限定されるものではないが、一般には、使用した重合開始剤1モルに対して1〜100モルの範囲内となる割合で用いることが好ましい。
重合反応を停止させた後、反応混合物から目的のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体を分離取得する方法としては、特に限定されず、公知の方法に準じた任意の方法を採用することができる。例えば、反応混合物を重合体の非溶媒に注いで重合体を沈殿させ取得する方法、反応混合物から溶媒を留去して重合体を取得する方法等が採用可能である。
本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体は、重合に際してアゼチジン環が開環せずに、メタクリロイル基の二重結合がビニル重合した構造である。アゼチジン環が保持されているため、接着剤や塗料、シーリング剤などの硬化(架橋)システムなど幅広い用途に利用可能である。
本発明のN−メタクリロイルアゼチジン系重合体は水に対する溶解性が極めて高く、曇点を有さない。従って、特に水系の接着剤や塗料、シーリング剤などの硬化(架橋)システムなど幅広い用途に利用可能である。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各実施例における物性値の測定法は以下の通りである。
また、(a)及び(b)において、核磁気共鳴装置(NMR)は次の仕様のものを用いた。
装置:BRUKER GPX300(300MHz)
重溶媒:重ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)(1H:2.49ppm、13C:39.7ppm)
(a)化学構造の確認
単量体(N−メタクリロイルアゼチジン)及びその重合体の化学構造を確認するために各試料の1H−NMRと13C−NMRを測定した。
(b)数平均分子量(Mn
重合開始剤の末端官能基部分と1H‐NMR測定から得られる重合体の繰返し構造単位に含まれる官能基部分との面積比から算出した。
なお、この1H‐NMR測定により算出される数平均分子量(Mn)の実測値(実測分子量)とは別に、重合開始剤の末端官能基部分と単量体/重合開始剤モル比から算出される分子量の計算値(設計分子量)を求め、分子量が設計通りに得られているかを確認した。
(c)分子量分布(Mw/Mn
下記のゲル浸透クロマトグラフ(GPC装置)において、移動相としてN,N‐ジメチルホルムアミド(DMF、臭化リチウム0.01モル/L添加品)を用い、カラム温度40℃、送液速度1.0mL/分で測定し、標準ポリスチレン(Mn=36900、9610)を用いて換算した。
装置:TOSOH HLC‐8120(DMF溶媒)、カラム:TSK‐GEL GMHxl ×2+G2000XL (装置及びカラムは共に東ソー(株)製である)
(d)重合体の水溶性
得られたポリ(N−メタクリロイルアゼチジン)に脱イオン水を加えて1.0質量%の水溶液を調製し、紫外・可視分光光度計(JASCO社製、UNIDEC−660)を用いて水溶液の波長500nmにおける透過率を計測し、透過率が50%となる温度を曇点とした。測定用セルは溶液長が10mmのポリメタクリル酸メチル(PMMA)製セルを用い、これを紫外・可視分光光度計の恒温角形セルホルダーに取り付け、恒温槽の昇温温度を0.3℃/分として、0〜90℃における測定を行った。曇点が観測されなければ、ポリ(N−メタクリロイルアゼチジン)は水溶性であると判断される。
実施例1
(1)単量体(N−メタクリロイルアゼチジン)の合成
窒素雰囲気下で500mLの二口ナスフラスコに薄黄色の粉体であるアゼチジン塩酸塩 15.5g(166ミリモル)に塩化メチレン 50mLとトリエチルアミン 33.6g(332ミリモル)を加え、これを1時間撹拌し、アゼチジン塩酸塩の白色懸濁液を得た。続いて、この懸濁液にメタクリル酸クロリド 15.6g(160ミリモル)の塩化メチレン溶液 30mLを氷浴中で約15分かけて滴下し、さらに塩化メチレン70mLを加えて、室温で4時間撹拌して橙色の反応液を得た。ガスクロマトグラフィーで反応の完結を確認した後、新たに生成したトリエチルアミン塩酸塩を吸引ろ過で取り除いた。得られた橙色の反応溶液を2N塩酸、飽和炭酸水素ナトリム水溶液および飽和食塩水でそれぞれ2回、3回および2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧蒸留(沸点80−81℃/4mmHg)を繰り返すことで、無色透明な液体であるN−メタクリロイルアゼチジン 9.13g(73.0ミリモル、収率46%)を得た。ガスクロマトグラフィーにより、単一成分であることを確認した後、元素分析(計算値:炭素=67.17%、水素=8.86%、窒素=11.19%、酸素=12.78%、実測値:炭素=66.54%、水素=8.95%、窒素=10.78%、酸素=13.73%)を行い、得られた化合物がN−メタクリロイルアゼチジンC711NOであることを確認した。
(2)単量体の精製
得られたN−メタクリロイルアゼチジンの留分を高真空ラインで水素化カルシウム存在下から蒸留した後、テトラヒドロフランで希釈してブレークシールを備えたアンプル中に溶封した。ここで得られた最後の蒸留の成分について、1H−NMRおよび13C−NMR測定ならびに元素分析を行った。図1に1H−NMRの測定結果、図2に13C−NMRの測定結果を示す。1H−NMRスペクトルのシグナルに付されたa、b、c等は、該スペクトルに記された構造式のa、b、c等が付された水素原子に帰属されるものであり、また13C−NMRのシグナルに付されたa、b、c等は、該スペクトルに記された構造式のa、b、c等が付された炭素原子に帰属されるものである。これら1H−NMR及び13C−NMR測定結果、ならびに元素分析から、該留分は目的とするN−メタクリロイルアゼチジンであることが確認された。また、ガスクロマトグラフィーにより、該留分は単一成分であることが確認された。
(3)単量体の重合
上記(2)で得られた精製N−メタクリロイルアゼチジンの重合は、ブレークシール法によるアニオン重合により10-6mmHgの高真空下、−40℃で24時間行った。重合開始剤にはジフェニルメチルリチウムを用い、溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。また、重合添加剤として塩化リチウムを添加した。所定時間アニオン重合を行った後、ガラス製重合容器を開封し、イソプロパノールを少量添加して重合を停止した。さらに得られた重合溶液を−78℃に冷却した多量のn−ヘキサン中に注ぎ込み、重合体を沈殿させた。この沈殿させた重合体をろ別し、乾燥させた後、収量を測定した。また、乾燥させた重合体をテトラヒドロフランに再溶解し、多量のn−ヘキサン中に注ぎ込み、再沈殿精製を行った。最後にベンゼンに溶解してから凍結乾燥を行い、数平均分子量と分子量分布の測定、1H−NMR及び13C−NMR測定、ならびに元素分析を行った。重合条件及び重合結果、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定結果を第1表に示す。また、図3に精製した重合体の1H−NMRおよび図4に13C−NMRの各測定結果を示す。1H−NMRスペクトルのシグナルに付されたa、b、c等は、それぞれ該スペクトルに記された構造式のa、b、c等が付された水素原子に帰属されるものであり、また、13C−NMRスペクトルのシグナルに付されたa、b、c等は、それぞれ該スペクトルに記された構造式の添字a、b、c等が付された炭素原子に帰属されるものである。
これら1H−NMRおよび13C−NMRの測定結果、ならびに元素分析から得られた重合体はメタクリロイル基のみで重合したポリ(N−メタクリロイルアゼチジン)であることが確認された。
実施例2
実施例1の(3)単量体の重合において、重合温度を0℃、重合時間を24時間、重合開始剤としてジフェニルメチルカリウム、添加剤としてジエチル亜鉛を用いた以外は実施例1と同一の重合条件でアニオン重合を行った。重合条件および重合結果を第1表に示す。
この結果から、極性溶媒中でのアニオン重合としては、0℃という比較的温和な重合条件においても、分子量が制御され、かつ分子量分布が狭い重合体が定量的に得られることが確認された。
実施例3
窒素置換した50mLナスフラスコに精製した単量体と重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル、溶媒として水酸化カルシウム存在下から蒸留したトルエン20mLを仕込み、液体窒素による凍結と脱気を2回繰り返した後、油浴中で70℃、72時間、ラジカル重合を行った。所定時間重合を行った後、液体窒素で冷却して重合を停止した。
ラジカル重合では、ヘキサンに不溶で粘稠な液体が収率40%(重合体収率換算)で得られた。この粘稠な液体に少量のテトラヒドロフランを加えて生成物を溶解した後、多量のヘキサンを加えて、ガラス棒で撹拌してモノマーを抽出してからヘキサンを取り除く操作を5回繰り返してモノマーを完全に除去した。重合条件および重合結果を第1表に示す。
この重合体はメタクリロイル基のみで重合した低重合体であった。
Figure 0004883764
実施例1、(2)で得られたN−メタクリロイルアゼチジン単量体の1H−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1、(2)で得られたN−メタクリロイルアゼチジン単量体の13C−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1、(3)で得られたN−メタクリロイルアゼチジン重合体の1H−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1、(3)で得られたN−メタクリロイルアゼチジン重合体の13C−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1、(3)で得られたN−メタクリロイルアゼチジン重合体のゲル浸透クロマトグラムである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、数平均分子量(Mn)が2,000〜1,000,000であり、かつ、分子量分布(Mw/Mn、Mwは重量平均分子量)が1.2以下であるN−メタクリロイルアゼチジン系単独重合体。
    Figure 0004883764
    (式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれ、R1〜R6のうち少なくとも4個は水素原子である。重合体分子中のアゼチジン骨格のR1〜R6はそれぞれの繰り返し単位ごとに異なってもよい。)
  2. 下記一般式(II)で表されるN−メタクリロイルアゼチジン系化合物を付加重合することを特徴とする請求項1に記載のN−メタクリロイルアゼチジン系単独重合体の製造方法。
    Figure 0004883764
    (式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基およびエチル基から選ばれ、R1〜R6のうち少なくとも4個は水素原子である。)
  3. 付加重合の重合機構がアニオン重合である請求項2に記載のN−メタクリロイルアゼチジン系単独重合体の製造方法。
  4. 反応温度−50℃〜30℃においてアニオン重合を行う請求項3に記載のN−メタクリロイルアゼチジン系単独重合体の製造方法。
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