JP4319580B2 - (メタ)アクリル酸エステル重合体及びその製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸エステル重合体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、温度感受性を有する新規な重合体及びその製造方法に関し、詳しくは明瞭な温度感受性を有し、薬物徐放システムなど幅広い用途に利用可能な新規な(メタ)アクリル酸エステル重合体及びその製造方法に関するものである。
温度感受性ポリマーは、特定の下限臨界溶解温度(lower critical solution temperature, LCSTと記す)を有し、そのLCSTを境界として、低温側では水和して水溶性を示し、高温側では脱水和して凝集し、水に不溶となる特徴を有する重合体である。従って、このLCSTを有する特性を使って、温度変化ばかりでなく、pHなど様々な刺激に応答する機能性高分子材料を設計することができ、薬物徐放システムや感熱性調光材料および温度感受性粘着剤など様々な用途展開が図られている。
このような温度感受性ポリマーとしては、ポリN-イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N-ジエチルアクリルアミド、ポリメタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、ポリビニルメチルエーテルなどが挙げられ、種々の単独重合体や共重合体の合成が試みられている。(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)
しかしながら、LCSTは各ポリマーに固有の値であり、実際に用いたい温度帯への適用を考慮して共重合体などの合成が試みられているが、この場合、LCSTが不明瞭になったり、場合によってはLCSTが見られなくなることがある。
温度感受性ポリマーの製造方法としては、N-イソプロピルアクリルアミドのアミド基窒素原子上の活性プロトンを保護した後、アニオン重合を行い、さらに重合後に脱保護を行って官能基を戻すことにより、分子量分布を狭くし、ポリマーの分子量の均一性を高めて、高度な刺激応答性を示す機能性高分子とすることが提案されている。(例えば、特許文献3を参照)
:特開2003−506497号公報 :特開2002−20318号公報 :特開2003−23618号公報
特許文献3では、ポリN-イソプロピルアクリルアミドを上記の方法で製造することにより、分子量分布が相当に狭くなり、明瞭なLCSTの挙動を示す温度感受性ポリマーを得ることが期待される。しかしながら、この方法では、単量体への保護基の導入とポリマーの脱保護の工程が必要で、工程が煩雑であり、製造効率が低くなる。
本発明は、上記のような状況下、単量体への保護基の導入やポリマーの脱保護の工程などの煩雑な工程を用いずに効率良く製造することができ、明瞭なLCSTの挙動を示す温度感受性ポリマー及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく種々の研究を重ねた結果、アミノ基とエトキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル重合体からなる新規ポリマーが、明瞭なLCSTの挙動を示し、しかも付加重合により、該重合体を効率良く製造することができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の(メタ)アクリル酸エステル重合体及びその製造方法を提供する。
(1)、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなり、数平均分子量(Mn)が3,000〜1,000,000であり、かつ、分子量分布(Mw/Mn、Mwは重量平均分子量)が1.5以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体。
Figure 0004319580
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2およびR3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびter−ブチル基からから選ばれる炭素数1〜4のアルキル基であって、それぞれ同じであっても異なってもよい。mは2〜4の整数である。)
(2)、分子量分布(Mw/Mn)が1.2以下である(2)の(メタ)アクリル酸エステル重合体。
(3)、下記一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル重合体単量体をアニオン重合することを特徴とする(1)または(2)の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。
Figure 0004319580
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2およびR3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびter−ブチル基から選ばれる炭素数1〜4のアルキル基であって、それぞれ同じであっても異なってもよい。mは2〜4の整数である。)
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、温度感受性や、pHなどに対して応答する特性があるので、刺激応答性を有する機能性高分子として、薬物徐放システムや感熱性調光材料および温度感受性粘着剤など様々な用途に用いることができる。また、特に分子量分布が狭く、明瞭なLCSTの挙動を示すものは、薬物徐放システムなどに好適に用いることができる。
さらに、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法では、単量体への保護基の導入やポリマーの脱保護の工程などの煩雑な工程が不要で、温度感受性ポリマーを効率良く製造することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するものである。
Figure 0004319580
式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2およびR3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチルおよびter−ブチル基から選ばれる炭素数1〜4のアルキル基であって、それぞれ同じであっても異なってもよい。mは2〜4の整数である。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の数平均分子量(Mn)は、重合体の精製や取り扱い性等の点から3,000〜1,000,000である必要があり、好ましくは10,000〜500,000である。
また、本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の分子量分布(Mw/Mn)は1.5以下である必要があり、好ましくは1.2以下である。分子量分布(Mw/Mn)を1.5以下とすることにより温度(熱)やpHなどに対して敏感に応答する特性が得られ、刺激応答性を有する機能性高分子として、種々の用途に応用展開が期待される。また、特に分子量分布(Mw/Mn)を1.2以下のように狭くした場合には、明瞭なLCSTの挙動を示し、薬物徐放システムなど好適に用いられる。
なお、LCSTは後述するポリマーの曇点測定により確認することができる。このLCSTは一般式(I)の各置換基の種類や数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)などにより異なり、例えば、後述の実施例1に示すように、メタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチルの付加重合体で、数平均分子量(Mn)が11000で分子量分布(Mw/Mn)が1.18の重合体の場合には、LCST(曇点測定で波長500nmの光の透過率が50%となる温度)は64℃である。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は、ポリマー中にエトキシ基と三級アミノ基を有し、ガラス転移温度が低いなどの特性がある。なお、この重合体は、後述するように、製造に用いられる重合開始剤や、ポリマーの立体規則性などによっても、LCSTの挙動などの特性が変化することになる。
次に本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法について説明する。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体は一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル重合体単量体を付加重合することにより製造される。
Figure 0004319580
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2およびR3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびter−ブチル基からから選ばれる炭素数1〜4のアルキル基であって、それぞれ同じであっても異なってもよい。mは2〜4の整数である。)
この重合体の単量体、すなわち、一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル重合体単量体は公知の方法により製造することができる。
例えば、一般式(II)でR1、R2およびR3が共にメチル基でmが2のメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチルは、塩基性条件下で2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エタノールとメタクリル酸クロリドを反応させることにより製造することができる。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造には、原料として高純度の単量体を用いる必要があり、減圧蒸留ないし真空蒸留などによって精製したものが好適に用いられる。なお、この精製蒸留には、重合禁止剤のメチレンブルーや、水素化カルシウム、トリオクチルアルミニウムなどを用いることが好ましい。
付加重合工程において採用可能な重合方法としては、必ずしも特定の重合方法に限られるものではなく、例えば、通常のラジカル重合法、SFRP(stablefree radical polymerization)法、RAFT法、ATRP(atom transfer radical polymerization)法、GTP(group transfer polymerization)法、アニオン重合法等が挙げられる。中でも、得られる重合体の分子量分布が狭く、また、単量体の重合転化率が高い等の点から、アニオン重合法が好ましい。
重合方法として、通常のラジカル重合法、SFRP法、RAFT法、ATRP法、GTP法等のラジカル重合法を採用した場合、それぞれの重合法において公知の重合開始剤系を使用することができ、例えば、ラジカル重合法で使用する開始剤としては、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)を挙げることができる(J.Am.Chem.Soc.,123,7180−7181(2001)参照)。
また、上記アニオン重合法に用いられる重合開始剤としては、必ずしも特定のものに限られるものではなく、公知のアニオン重合開始剤を用いることができ、例えば、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、および有機マグネシウム化合物等の有機金属化合物を挙げることができる。
これらのアニオン重合開始剤の中で、重合開始効率が高く、また、重合反応が円滑に進行する点において、アルキルリチウム、アリールリチウム、アルキルナトリウム、アリールナトリウム、アルキルカリウム、アリールカリウム、が好ましく、中でもsec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、ジフェニルメチルカリウムが特に好ましい。
アニオン重合開始剤として、上記の重合開始剤の1種を単独使用してもよく、また、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は必ずしも限定されるものではないが、重合開始剤を、使用する単量体の合計100モルに対して0.01〜20モルの範囲内となる割合で用いることが、目的とする重合体を円滑に製造できる点から好ましい。
重合に際しては、溶媒を用いなくてもよいが、重合系を均一にするために用いることが好ましい。そのような溶媒としては、ペンタン、n−ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、ジフェニルエーテル等のエ−テル化合物等が挙げられる。これらの中でも、前記重合開始剤、原料の単量体、助触媒としての有機化合物、重合体等の溶解性に優れているという観点から、上記エ−テル化合物が好ましく用いられ、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが特に好ましい。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
アニオン重合においては、重合を速やかに進行させることを目的に、重合系内に通常用いられる極性添加剤を添加してもよい。該極性添加剤としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルホウ素、トリフェニルホウ素などのルイス酸類、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のエーテル化合物;トリメチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N",N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2′−ジピリジル等の有機窒素化合物;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホシフィノ)エタン等の有機リン化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類;リチウム(2−メトキシエトキシ)エトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド化合物;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等の有機四級塩等が挙げられる。これらの上記極性添加剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合反応は、重合形式(ラジカル重合、アニオン重合等)によらず、高真空下、若しくは、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合反応系が均一となるように、十分な撹拌条件下で重合を行うことが好ましい。重合時の反応系の温度は、通常−100〜100℃であり、好ましくは−80〜80℃である。
本発明においては、例えば重合反応により目的とする分子量の重合体が形成された段階で、重合停止剤を反応混合物に添加することによって、重合反応を停止させることができる。かかる重合停止剤としては、例えば、メタノール、酢酸、塩酸のメタノール溶液等のプロトン性化合物を使用することができる。重合停止剤の使用量は特に限定されるものではないが、一般には、使用した重合開始剤1モルに対して1〜100モルの範囲内となる割合で用いることが好ましい。
重合反応を停止させた後、反応混合物から目的の(メタ)アクリル酸エステル重合体を分離取得する方法としては、特に限定されず、公知の方法に準じた任意の方法を採用することができる。例えば、反応混合物を重合体の貧溶媒に注いで重合体を沈殿させ取得する方法、反応混合物から溶媒を留去して重合体を取得する方法等が採用可能である。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法においては、単量体への保護基の導入やポリマーの脱保護の工程などの煩雑な工程が不要で、温度感受性ポリマーを効率良く製造することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各実施例における物性値の測定法は以下の通りである。
また、(1)、(3)において、核磁気共鳴装置(NMR)は次の仕様のものを用いた。
装置:BRUKER GPX300(300MHz)
重溶媒:CDCl3(1H:7.26ppm、13C:77.1ppm)
(1)数平均分子量(Mn)
重合開始剤の末端官能基部分と1H-NMR測定から得られるポリマーの繰返し構造単位に含まれる官能基部分との面積比から算出した。
なお、この1H-NMR測定により算出される数平均分子量(Mn)の実測値(実測分子量)とは別に、重合開始剤の末端官能基部分と単量体/重合開始剤モル比から算出される分子量の計算値(設計分子量)を求め、分子量が設計通りに得られているかを確認した。
(2)分子量分布(Mw/Mn)
次のGPC装置において、移動相としてN,N-ジメチルホルムアミド(ヨウ化リチウム0.01mol/l添加品)を用い、カラム温度40℃、送液速度1.0ml/minで測定し、標準ポリスチレン(Mn=36900、9610)を用いて換算した。
装置:TOSOH HLC-8120(DMF溶媒)、 カラム:TSK-GEL GMHxl ×2+G2000XL
(3)立体規則性
ポリマーの1H-NMR測定においてα−メチルプロトンが低磁場側からmm、mr、rrに分かれることを利用し、その積分比より求めた。
(4)ポリマーの曇点(LCST)
紫外・可視分光光度計(JASCO UNIDEC-660)にて波長500nmの透過率を計測し、その透過率が50%となる温度を曇点(LCST)とした。測定試料としては各ポリマーの0.2重量%の脱イオン水溶液を用い、測定用セルには溶液長が10mmのPMMA製セルを用い、これを紫外・可視分光光度計の恒温角形セルホルダーに取り付け、恒温槽の昇温・降温速度を0.3〜0.5℃/minとして曇点測定を行った。
実施例1
(1)メタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル単量体の合成
2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール14.8g(111ミリモル)とトリエチルアミン23.5g(232ミリモル)を150mLの乾燥エーテルで希釈した混合溶液に、メタクリル酸クロリド12.9g(123ミリモル)の乾燥エーテル溶液80mLを氷浴下にて滴下し、滴下終了後に氷浴を外して室温にて20時間攪拌を行った。生成した塩酸塩を濾別し、濃縮後、エーテル/水系で抽出を5回行い、エーテル層を回収した。エーテルをエバポレーターで除去した後、ヘキサンに再度溶解させた。このヘキサン溶液に無水硫酸マグネシウムを加えて12時間放置した。この反応液を濾別、濃縮した後、水素化カルシウム、メチレンブルー(重合禁止剤)存在下、12時間攪拌してから、温度48.1〜52℃、圧力0.10〜17mmHg(13.3〜22.6Pa)にて減圧蒸留して淡黄色の留分7.25gを得た。
(2)単量体の精製
得られたメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチルの留分を更に水素化カルシウム、メチレンブルーの存在下、12時間攪拌してから、温度51.2〜55.2℃、圧力0.10mmHg(13.3Pa)にて減圧蒸留し、得られた単量体を高真空ラインで水素化カルシウム存在下から蒸留した後、さらにトリオクチルアルミニウムを単量体に対して12モル%添加して蒸留し、テトラヒドロフランで希釈してブレークシールを備えたアンプル中に溶封した。
(2)で得られた最後の蒸留の留分について、1H−NMR及び13C−NMR測定、並びに元素分析を行った。図1に1H−NMRの測定結果、図2に13C−NMRの測定結果を示す。1H−NMRチャートのピークに付されたa,b,c等は、該チャートに記された構造式の添字a,b,c等が付された水素原子に帰属されるものであり、また13C−NMRチャートのピークに付されたa,b,c等は、該チャートに記された構造式の添字a,b,c等が付された炭素原子に帰属されるものである。また、得られた精製物の元素分析の結果、炭素59.57%(計算値;59.68%)、水素9.42%(計算値;9.525%)、窒素6.91%(計算値;9.96%)であった。
これら元素分析、1H-NMRおよび13C-NMR測定結果から、該留分は目的とするメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル単量体であることが確認された。また、ガスクロマトグラフィーにより、該留分はほぼ単一成分であることが確認された。
(3)単量体の重合
上記(2)で得られた精製メタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル単量体の重合は、ブレークシール法によるアニオン重合により10〜6mmHg(1.33〜0.80kPa)の高真空下、テトラヒドロフラン中、−78℃で48時間行った。重合開始剤にはsec-ブチルリチウム/1,1-ジフェニルエチレンの付加物を用い、溶媒には少量のシクロヘキサンを含むn-ヘプタンを用いた。また、重合系への添加剤としては塩化リチウムを添加した。所定時間アニオン重合を行った後、ガラス製重合容器を開封し、メタノールを少量添加して重合を停止した。さらに得られた重合溶液を多量のn-ヘキサン中に注ぎ込み、ポリマーを沈殿させた。この沈殿させたポリマーを濾別し、乾燥させた後、収量を測定した。また、乾燥させたポリマーをテトラヒドロフランに再溶解し、多量のn-ヘキサン中に注ぎ込み、再沈殿精製を行った。最後にベンゼンに溶解してから凍結乾燥を行い、1H−NMR及び13C−NMR測定を行った。
重合条件および得られた重合体の反応成績、数平均分子量(Mn)、分子量分布および立体規則性の測定結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1の(3)単量体の重合において、重合開始剤としてジフェニルメチルカリウムを用い、重合系への添加剤としてジエチル亜鉛を添加し、重合時間を19時間とした。
重合条件および得られた重合体の反応成績、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)および立体規則性の測定結果を第1表に示す。
また、図3に1H−NMRの測定結果、図4に13C−NMRの測定結果を示す。1H−NMRチャートのピークに付されたa,b,c等は、該チャートに記された構造式の添字a,b,c等が付された水素原子に帰属されるものであり、また13C−NMRチャートのピークに付されたa,b,c等は、該チャートに記された構造式の添字a,b,c等が付された炭素原子に帰属されるものである。
Figure 0004319580
実施例1および実施例2で得られたメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル重合体のポリマーの曇点(LCST)の測定に際して得られた紫外・可視分光光度計のチャートを図5に示す。
図5においてAは実施例1、Bは実施例2のチャートである。ポリマーの曇点(LCST)は該チャートで透過率(Transmittance)が50%となる温度であり、実施例1では64℃、実施例2では60℃となる。
メタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチルの重合をsec-ブチルリチウム/1,1-ジフェニルエチレン/塩化リチウムの重合開始剤系のアニオン重合で48時間行った実施例1においては、高収率で分子量分布(Mw/Mn)が1.18と狭く、数平均分子量(Mn)の設計分子量と実測分子量が共に11000であることから、設計通りの分子量を有するポリマーが得られた。このポリマーの立体規則性はrr=63%で、シンジオタクティシティーに富むものであった。
一方、ジフェニルメチルカリウム/ジエチル亜鉛の重合開始剤系のアニオン重合で19時間行った実施例2においては、分子量分布(Mw/Mn)が1.08と極めて狭くなり、定量的にポリマーが得られている。数平均分子量(Mn)の設計分子量が10000で実測分子量が12000であることから、分子量の実測値も設計値とほぼ近い値であった。得られたポリマーの立体規則性はmr=48%であり、ヘテロタクティシティーに富むものであった。この場合、実施例1で得られたポリマーと比較して相変化は緩やかで、冷却過程と昇温過程で若干のヒステリシスが観測された。
以上のことからアニオン重合開始剤の対カチオンの種類や添加剤の違いにより、得られるポリマーの立体規則性は大きく変化し、これが溶解/沈殿の相変化過程(LCST)にも大きな影響を及ぼすが、一般式(1)で示される重合体(ポリマー)は新規な温度感受性ポリマーであることが確認される。
実施例1(2)で得られたメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル単量体の1H−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1(2)で得られたメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル単量体の13C−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例2で得られたメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル重合体の1H−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例2で得られたメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル重合体の13C−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1(A)および実施例2(B)で得られたメタクリル酸2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ]エチル重合体の曇点(LCST)の測定に際して得られた紫外・可視分光光度計のチャートである。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなり、数平均分子量(Mn)が3,000〜1,000,000であり、かつ、分子量分布(Mw/Mn、Mwは重量平均分子量)が1.5以下である(メタ)アクリル酸エステル重合体。
    Figure 0004319580
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2およびR3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびter−ブチル基から選ばれる炭素数1〜4のアルキル基であって、それぞれ同じであっても異なってもよい。mは2〜4の整数である。)
  2. 分子量分布(Mw/Mn)が1.2以下である請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステル重合体。
  3. 下記一般式(II)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体をアニオン重合することを特徴とする請求項1または2記載の(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法。
    Figure 0004319580
    (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2およびR3はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびter−ブチル基から選ばれる炭素数1〜4のアルキル基であって、それぞれ同じであっても異なってもよい。mは2〜4の整数である。)
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