JP4883739B2 - 水分散型粘着シート類およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外観性の良好な水分散型粘着シート類(シート、テープ、フィルムなど)とその製造方法、詳しくは粘着剤中の気泡の発生を抑えた乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粘着剤には主として、溶剤型の粘着剤が用いられてきた。しかし、これら溶剤型粘着剤は、有機溶媒中で合成あるいは溶解されているため、塗工時の溶剤の揮発が環境的に問題があり、水媒体中に粘着剤粒子を分散ないし乳化させた水分散型の粘着剤への転換が図られている。
【0003】
しかし、水分散型粘着剤は、乾燥工程で蒸発潜熱の大きな水を蒸発させる必要があり、乾燥時間が溶剤型に比べて長いという問題があった。したがって、生産性を上げるために乾燥温度を高く設定すると、粘着剤層中で気泡が発生し、外観性に悪影響を及ぼしていた。
【0004】
すなわち、図1に示したように、粘着剤層中に発生した気泡は、粘着剤層内部で気泡のまま残存し、あるいはその一部が外部に突出して粘着剤層表面に凸部を形成し、またあるいはこれが破裂して粘着剤層表面に凹部を形成する。これらにより、粘着剤層は不均一なものとなって透明性が低下し、また粘着剤層表面の平滑性に劣るものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の問題点を改善するためになされたもので、粘着剤中の気泡の発生を抑えた外観性の良好な水分散型粘着シート類を提供することを目的とする。また本発明は、生産性を低下させることなく、粘着剤中の気泡の発生を抑えた水分散型粘着シート類の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、粘着剤中に見られる気泡は乾燥工程で発生するものであって、乾燥の初期段階で塗布した粘着剤溶液層の表面が先に乾燥することにより最表面で粘着剤層が形成され、内部に残された水分が気化し気泡となって残存するためと推定された。
【0007】
そこで本発明においては、水分散型粘着剤を基材上に塗布後、基材の上下方向から熱風を吹きつけて乾燥する乾燥工程において、少なくとも乾燥部前半に基材上部からの加熱よりも下部からの加熱温度を高く設定し温度差を設けることにより、基材に塗布した粘着剤溶液層の下側からの乾燥を促進させ、下側から順次粘着剤層を形成させることにより上層部への水の拡散を容易にし、粘着剤層中で水が気化することによって発生する気泡を小さくするものである。
【0008】
また熱風の温度差を設けても上下間の熱量の総和が等しければ乾燥速度を等しくすることができ、同じエネルギーコストで生産性を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、粘着剤層中の気泡サイズが100μm以下であり、かつ粘着剤層のヘイズ値が15%以下であることを特徴とする水分散型粘着シート類に係るものである(請求項1)。また本発明は、水分散型粘着剤を基材上に塗布後、基材の上下方向から熱風を吹きつけて乾燥する乾燥工程であって、少なくとも乾燥部前半の上部の熱風温度が105℃以下であり、かつ下部の熱風温度を上部の熱風温度より15℃以上高くすることにより、気泡サイズが100μm以下であり、かつヘイズ値が15%以下である粘着剤層を形成することを特徴とする水分散型粘着シート類の製造方法に係るものである(請求項2)。
【0010】
特に、上部の熱風の風速が15m/秒以下であり(請求項3)、乾燥工程に赤外線加熱ヒーターを併用する(請求項4)ことを好ましい形態とする水分散型粘着シート類の製造方法に係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の水分散型粘着シート類は、粘着剤層中の気泡サイズが100μm以下、好ましくは90μm以下であり、かつヘイズ値が15%以下、好ましくは13%以下であることを特徴とする。
【0012】
粘着剤層中に発生した気泡は、粘着剤層内部で気泡のまま残存し、あるいはその一部が外部に突出して粘着剤層表面に凸部を形成し、またあるいはこれが破裂して粘着剤層表面に凹部を形成する。粘着剤層内部に残存する気泡は、透過光を散乱させるため粘着剤層の透明性を低下させ、また気泡による凹凸により粘着剤層表面の平滑性に劣るものとなる。上記気泡サイズおよびヘイズ値とすることにより、表面の平滑性に優れた外観性の良好な水分散型粘着シート類を提供することができる。
【0013】
ここで、粘着剤層中の気泡サイズは、粘着剤層表面の顕微鏡観察により測定される(図1参照)。また粘着剤層のヘイズ値は、粘着剤層を透明フィルムに貼り合わせフィルム濁度計(ヘイズメーター)により曇り価として測定される。
【0014】
本発明に使用される水分散型粘着剤は、アクリル系、天然ゴム系、合成ゴム系、あるいはこれらの混合物系粘着剤を、適宜乳化剤や分散剤を用いて水中に分散させたものを用いることができる。
【0015】
アクリル系の水分散型粘着剤としては、主モノマーである(メタ)アクリル酸エステルにエマルション粒子の安定化、粘着剤層の基材への密着性の向上、また被着体への初期接着性の向上などを目的として、官能基含有ビニル系モノマーを併用し、これに適宜な乳化剤および重合開始剤等を用いてエマルション重合させたものを用いることができる。
【0016】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、広範囲の種類の単量体または、単量体混合物が用いることができ、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどを挙げることができる。
【0017】
これらの(メタ)アクリル酸エステルは、全単量体混合物の60〜99重量%で用いることが好ましい。60重量%より少ないと粘着特性が損なわれるおそれがある。
【0018】
また官能基含有ビニル系モノマーは、全単量体混合物の40重量%以下の範囲で、各モノマーの種類に応じて適宜その使用量を選択できるが、良好な感圧接着性を発現させるために、得られるポリマーのガラス転移点が通常−20℃以下となるように、使用量を決めるのが望ましい。
【0019】
上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な官能基含有ビニル系モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどの官能性モノマー、トリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能性モノマー、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、 シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
【0020】
本発明において用いられる乳化剤としては、一般に使用されるアニオン系やノニオン系乳化剤を用いることができる。アニオン系としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、 ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが用いられる。また、例えば、プロペニル基などを導入したラジカル重合性の乳化剤を用いてもよい。
【0021】
ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができるこれらのアニオンあるいはノニオン系乳化剤は、単量体の種類によって1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
本発明において、上記乳化剤は単量体混合物100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.4〜3重量部の範囲で用いることを特徴とする。乳化剤の使用量を上記数値以下と限定することで、耐水性や接着特性に優れた水分散型感圧性接着剤を得ることができる。
【0023】
本発明に用いる重合開始剤には、一般に使用されるアゾ系、過硫酸塩、過酸化物系および、過硫酸塩、過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス開始剤などがある。例えば、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせや過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムなどの組み合わせなどを挙げることができ、これらの開始剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0024】
本発明において、上記重合開始剤は単量体混合物100重量部に対して、0.02〜0.5重量部、好ましくは0.08〜0.3重量部の範囲で用いられる。
0.02重量部より少ないと重合開始剤としての効果が得難く、0.5重量部より多いと分子量が低下する傾向にあり好ましくない
【0025】
本発明においては、アクリルポリマーの分子量を調整するために連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノールなどが挙げられ、その目的、用途に応じて1種または2種以上が用いられる。
【0026】
また本発明において用いられる天然ゴム系および合成ゴム系粘着剤としては、天然ゴムラテックス系、スチレン−ブタジエンラテックス系、ポリイソブチレンラテックス系等を挙げる事ができる。これらのゴム系粘着剤は、適宜な方法により、各種溶剤に溶解させたり、前記した乳化剤により水中に乳化させ用いることができる。
【0027】
また本発明の上記水分散型粘着剤には、必要に応じて各種添加剤、たとえば、架橋剤、剥離調整剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料、老化防止剤などを配合することができる。
【0028】
本発明においては、上記水分散型粘着剤のポリマー粒子径は、機械的安定性、塗布性が良好なものであれば良く、0.1〜3μm、好ましくは0.2〜1μmに調整されることが望ましい。ここで、粒径が0.1μmより小さい場合は水分散型粘着剤の粘度が上昇し、また3μmより大きい場合は粒子間の融着性が低下し凝集力が低下する場合がある。
【0029】
また本発明の水分散型粘着剤の固形分濃度は、特に限定されないが塗工後の乾燥時間を短縮するためには50重量%以上とすることが望ましい。またその粘度は、水分散型粘着剤の粘度が高いと後述のロールコーターを用いて支持体上に塗工する際に、塗工面にリブが発生しやすくなり、またピックアップロールを使って粘着剤をコーティングロールに転写する場合、ピックアップできないという問題が発生する恐れがあり、水分散型粘着剤の粘度は0.4Pa・s以下、好ましくは0.3Pa・s以下、さらに好ましくは0.02〜0.2Pa.sであることが望ましい。
【0030】
組成物の乾燥後の厚みは特に限定はなく、1mmを超える厚さとすることもできるが、一般には500μm以下、好ましくは3〜300μm、特に好ましくは5〜200μm程度である。
【0031】
また本発明において使用される基材は、特に限定されるものでなく、例えば紙類(和紙、クラフト紙等)、布類(綿、スフ、化繊、不織布等)、プラスチック類(セロハン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体・ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アセテート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル等)、金属箔、あるいはこれらのプラスチックラミネート体等を用いることができる。また、ゴム状の弾性を示すポリマーからなるフィルムや発泡体を用いることもできる。その厚さも通常200μm以下であるが、用いる基材の種類や用途、目的に応じて適宜決定できる。さらに、基材には下塗り処理、目止め処理、コロナ処理、背面処理など、公知の処理を行ったものを使用することができる。
【0032】
本発明の水分散型粘着シート類の製造方法は、乾燥装置により塗工した粘着剤組成物から水分を除去して粘着剤層を形成する工程に特徴を有するものであって、その他の工程は一般的に行われている粘着テープの製造方法を適宜用いることができる。
【0033】
すなわち本発明の水分散型粘着剤の乾燥方法は、水分散型粘着剤を基材上に塗布後、基材の上下方向から熱風を吹きつけ熱風乾燥する乾燥工程において、少なくとも乾燥部前半の上部の熱風温度が105℃以下であり、かつ下部の熱風温度を上部の熱風温度より15℃以上高くすることを特徴とする水分散型粘着シート類の製造方法である。
【0034】
本発明において使用される乾燥装置は、基材の上下方向から熱風を吹きつけ乾燥でき、少なくともその熱風温度が上下方向で独立して調整できることが必要である。また好ましくは、乾燥部前半及び後半で乾燥条件を調整できることが望ましい。これらの条件を満たすものであれば乾燥装置は特に限定されないが、基材の上下方向から熱風を吹きつけられるフローティング方式は乾燥能力が高く好適に用いられる。
【0035】
ここで乾燥部前半とは、乾燥部が複数のゾーンに分割され、個々のゾーン毎に乾燥条件が変更できるものであって、水分散型粘着剤が塗布された基材が導入される最初のゾーンを言いう。すなわち、乾燥部が2分割されている場合は最初のゾーンを、3分割されている場合は少なくとも最初のゾーン(2番目のゾーンを含んでもかまわない)を乾燥部前半という。また残りのゾーン、すなわち、乾燥部が2分割されている場合は最後のゾーンを、3分割されている場合は少なくとも最後のゾーン(2番目のゾーンを含んでもかまわない)を乾燥部後半という。
【0036】
本発明において、乾燥部前半と乾燥部後半の比率は特に限定されるものではないが、水分散型粘着剤を効率良く乾燥し、発泡を抑えるためには、乾燥条件を限定した乾燥部前半は全乾燥部の1/4以上、好ましくは1/3以上の乾燥時間を占めることが望ましい。
【0037】
なお本発明において、乾燥部後半の乾燥条件は特に限定されるものでなく、乾燥部前半と同条件であってもかまわないが、乾燥を完全に行うため前半部より若干高い熱風温度及び/または熱風風速に設定する方が好ましい。
【0038】
本発明においては、乾燥部前半の上部の熱風温度が105℃以下、好ましくは70〜100℃であり、かつ下部の熱風温度が上部の熱風温度より15℃以上、好ましくは20℃以上高いこと(通常50℃以下)を特徴とする。乾燥部前半の上部の熱風温度が105℃より高いと、粘着剤溶液層の最表面が直ちに乾燥してしまい好ましくない。また下部と上部の熱風温度差が15℃未満では、基材下部からの乾燥が優先せず、本発明の目的を達成しない。
【0039】
また本発明においては、上部の熱風の風速が15m/秒以下、好ましくは10m/秒以下であることが望ましい。上部の風速が15m/秒を超えると、粘着剤溶液の最表面での乾燥が進行する場合がある。なおここでいう風速とは、熱風がノズルから噴出された時点での風速を意味する。
【0040】
また本発明においては、乾燥工程において赤外線加熱ヒーターを併用することが望ましい。赤外線の放射エネルギーにより、粘着剤溶液層の内部からの乾燥を促進させ、乾燥中の粘着剤層中での水の拡散を容易にし、粘着剤層中で発生する気泡を小さくすることができ、また乾燥時間を短縮する効果もある。
【0041】
本発明に用いられる赤外線加熱ヒーターは、特に限定されるものではないが、放射率が大きい板状もしくは円筒状のセラミック材料の近傍に抵抗発熱体を配置した形式の遠赤外ヒーターが好ましい。またその使用条件は、本発明の効果を妨げない範囲で適宜決定することができる。
【0042】
その他、本発明の水分散型粘着シート類の製造方法においては、その他の工程は一般的に行われている粘着テープの製造方法を適宜用いることができる。例えば塗工機としては、特に限定されるものではないが、好ましくはフローティング方式の塗工機、且つ精度良く糊厚みを調節でき、生産性良く塗布できる塗工方式としてコンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター等を挙げることが出来る。又、塗布方式としては基材に直接粘着剤溶液を塗布する方式、又は一旦剥離シートに粘着剤溶液を塗布乾燥することにより粘着剤層を形成させて基材と貼り合せることによる転写方式等、適宜選択することが出来る。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を上げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお以下において部とあるのは、すべて重量部を意味するものである。
【0044】
(評価方法)
実施例および比較例の粘着テープを顕微鏡観察することにより、その主要な気泡のサイズを測定した(図1参照)。また、フィルム濁度計を用いてヘイズ値の測定を行うことにより、フィルムの光透過性を評価した。また粘着剤層の水分率は、各乾燥オーブンの最後尾に赤外線方式の非接触型水分率測定計を設置し測定した。
【0045】
(粘着剤溶液)
温度計、アンカー型攪拌翼(翼幅100mm)、窒素導入管及び還流冷却管を備えた反応器に、イオン交換水40部をいれ、攪拌しながら1時間窒素置換させた。開始剤として過硫酸カリウムを0.1部加え、温度を70℃にし、その後、アクリル酸ブチル97部、アクリル酸3部、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム(日本乳化剤社製「ニューコール293」)0.5部を水35部で乳化したものを3時間かけて滴下し、乳化重合処理し、反応後10%アンモニア水で中和して固形分量54重量%、平均粒子径400nmの水分散型アクリル系粘着剤を得た。
【0046】
得られた水分散型アクリル系粘着剤をコンマコーターで厚さ140μmの紙基材に90μm塗布し、遠赤外線加熱用ヒーターを備えたフローティング方式の乾燥機を用いて各実施例および比較例の条件で乾燥させ、粘着シートを得た。
【0047】
実施例1
前半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度80℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒、後半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0048】
実施例2
前半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度90℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒、後半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0049】
実施例3
前半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度100℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒、後半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0050】
実施例4
前半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度90℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、上下に設置した遠赤外加熱用のヒーター温度を250℃、乾燥時間を13秒、後半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を13秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0051】
比較例1
前半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度を90℃、風速を20m/秒、下部では熱風温度90℃、風速を20m/秒、乾燥時間を15秒、後半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0052】
比較例2
前半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度を100℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度100℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒、後半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、乾燥時間を15秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0053】
比較例3
前半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度を120℃、風速を20m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を20m/秒、乾燥時間を10秒、後半の乾燥ゾーンの上部では熱風温度120℃、風速を20m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を20m/秒、乾燥時間を10秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0054】
【表1】
【0055】
表1の実施例1、2、3の結果から明らかなように、初期乾燥の段階で熱風加熱の上部と下部の間で温度差を設けることにより、粘着剤層中の気泡が小さく、ヘイズ値が小さいことから、外観性が良好で粘着テープ表面の平滑性に優れていることが分かる。また、実施例4のように、初期乾燥に赤外加熱を熱風加熱に併用することによって、乾燥時間が短縮される上に、粘着剤層中の気泡が小さいことが分かる。
【0056】
一方、比較例1、2のように熱風加熱の上下に温度差を設けないと、乾燥後の粘着テープに見られる気泡は大きくなり、それと同じにヘイズ値が高く、外観性に劣っていることが分かる。また比較例3のように乾燥温度を上げると、乾燥時間は短縮されるが、著しく発泡し気泡は大きくなる。
【0057】
実施例5
粘着剤溶液の塗布厚を130μmとし、全乾燥ゾーンの上部では熱風温度80℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度120℃、風速を10m/秒、全乾燥時間を108秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0058】
実施例6
粘着剤溶液の塗布厚を130μmとし、全乾燥ゾーンの上部では熱風温度90℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度110℃、風速を10m/秒、全乾燥時間を108秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0059】
比較例4
粘着剤溶液の塗布厚を130μmとし、全乾燥ゾーンの上部では熱風温度100℃、風速を10m/秒、下部では熱風温度100℃、風速を10m/秒、全乾燥時間を108秒とすることにより粘着剤溶液中の水を蒸発させ、粘着剤層を形成させた。
【0060】
【表2】
【0061】
表2から明らかなように、比較例4のような熱風乾燥の上下に温度差を設けない通常の乾燥方法と比較して、熱風加熱の上部と下部の間で温度差を設ける実施例4、5の乾燥方法でも熱量の総和が等しければ水分率の減少度合いは同一であることから、同じ乾燥速度であることがわかる。そしてさらに粘着剤層中の気泡が小さく、ヘイズ値を小さくすることができ、外観性が良好で表面の平滑性に優れた粘着テープを製造できることが分かる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、水分散型粘着シート類水分散型粘着剤を基材上に塗布後、基材の上下方向から熱風を吹きつけ熱風乾燥する乾燥工程において、少なくとも乾燥部前半の上部の熱風温度を105℃以下とし、かつ下部の熱風温度が上部の熱風温度より15℃以上高くすることを特徴とする水分散型粘着シート類の製造方法であって、基材に塗布した粘着剤溶液層の下側からの乾燥を促進させ、下側から順次粘着剤層を形成させることにより上層部への水の拡散を容易にし、粘着剤層中で水が気化することによって発生する気泡を小さくすることができるものであり、気泡サイズが100μm以下であり、かつヘイズ値が15%以下である粘着剤層を形成することを特徴とする。さらに、熱風の温度差を設けても上下間の熱量の総和が等しければ乾燥速度を等しくすることができ、同じエネルギーコストで生産性を維持できることを特徴とする。このようにして製造される水分散型粘着シート類は、種々の用途に用いることができるが、外観が良好であるので、例えば包装用途や光学フィルム用途として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気泡の発生した粘着テープ類の概念図。
【符号の説明】
1 基材
2 粘着剤層
3 気泡
Claims (3)
- 基材上に、水分散型粘着剤により形成された粘着剤層を有する粘着シートの製造方法であって、
水分散型粘着剤を基材上に塗布後、基材の上下方向から熱風を吹きつけて乾燥する乾燥工程であって、少なくとも乾燥部前半の上部の熱風温度が105℃以下であり、かつ下部の熱風温度を上部の熱風温度より15℃以上高くすることにより、気泡サイズが100μm以下であり、かつヘイズ値が15%以下である粘着剤層を形成することを特徴とする粘着シートの製造方法。 - 上部の熱風の風速が15m/秒以下である請求項1記載の粘着シートの製造方法。
- 乾燥工程に赤外線加熱ヒーターを併用することを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シートの製造方法。
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