以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明を適用した弾球遊技機の代表例としてパチンコ機PMの正面図を図1に示すとともに、このパチンコ機に装着された遊技盤の正面図を図2に示しており、まず、これらの図面を参照しながらパチンコ機PM及び遊技盤10の概要構成について説明する。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に設けられたヒンジ機構3a,3bを利用して前方に横開き開閉及び着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられたダブル錠と称される施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
前枠2の前面側上部には、前枠2の上部前面域に合わせた方形状のガラス扉5が正面左側に設けられた上下一対の扉ヒンジ機構を利用して前方に横開き開閉及び着脱可能に組付けられ、施錠装置4により前枠2の前面上部を覆う閉鎖状態に保持される。ガラス扉5の中央部には遊技盤10の遊技領域に合わせた略円形の開口部が形成され、その背面側に所定間隔をおいて前後二枚の透明なガラス板5a,5bが装着保持されている(図4を参照)。
ガラス扉5の背後には、遊技盤10の外形寸法よりも幾分大きめの枠形状に形成された収容枠2aが設けられており、ここに、所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が前枠の前方から着脱可能に収容保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉のガラス板5a,5bを通して遊技盤10を遊技者に臨ませるようになっている。
遊技盤10は、板厚19mm程度、縦570mm×横430mm程度の矩形形状に切り出された積層合板の表面に、当該パチンコ機の機種及び型式に応じた所定意匠が印刷されたセルと称される樹脂フィルムが貼り付けられて形成された遊技板(ベニヤないし化粧板とも称される)11を基板として構成される。
遊技板11の表面側には、外形形状が遊技板11と略同一の矩形で中央が略円形に中抜きされた大型のレール飾り12が取り付けられている。レール飾り12は、遊技板11の表面から前方への突出高さが18mm程度の蓋状に成型されており、ガラス扉5に装着されたガラス板5bと遊技板11の前面との間に円弧状の内外レール部に囲まれた略円形の盤面遊技空間PAが区画形成される。レール飾り12の左側には遊技球発射装置から発射された遊技球を盤面遊技空間PAに導く発射通路が形成される。
盤面遊技空間PAには、図示省略する多数本の遊技釘13とともに、後に詳述する中央飾り100、固定入賞口14やパスゲート15等の固定入賞具、特別図柄変動開始条件となる第1種始動入賞口16や大入賞口17等の可動入賞具など、各種の入賞装置が取り付けられ、盤面遊技空間PAの下端部には入賞具に落入することなく落下した遊技球を遊技板11の裏面側に排出するアウト口18が形成されている。なお図2において中央飾り100に付したハッチングは中央飾りの後面側に取り付けられた液晶表示パネルの表示領域を示している。
遊技板11の裏面側には、固定入賞具14,15や可動入賞具16,17などの入賞装置に落入して遊技板11の裏面側に導出された遊技球(セーフ球)、及びアウト口18を通って遊技板11の裏面側に導出された遊技球(アウト球)を集合させて排出する球寄せカバー、パチンコ機の作動を制御する主制御基板などが取り付けられるとともに、各入賞具に設けられた入賞検出器やランプ類、可動入賞具の駆動源等を接続する電気配線などが設けられている。
前枠2の前面側下部には、前枠2の下部前面域に合わせた球皿ユニット6が正面左側に設けられた球皿ヒンジ機構を利用して横開き開閉及び着脱可能に組付けられ、施錠装置4に付帯して構成されたロック機構により前枠2の前面下部を覆う閉鎖状態に保持される。球皿ユニット6には遊技球を貯留する球皿及び遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
前枠2の裏面側には、いずれも図示省略するが、遊技球を貯留する球貯留タンク、球払出装置などの球処理機構を有する裏セット盤が装着されるとともに、裏セット盤の裏面側各部に電源基板や球払出制御基板などの回路基板が着脱可能に装備され、各部に配設された回路基盤や電子部品、装飾ランプ等の各機器がコネクタケーブルで接続されてパチンコ機が作動可能に構成される。
パチンコ機PMは、前枠2、ガラス扉5及び球皿ユニット6がともに閉止され施錠された状態で遊技に供され、球皿ユニット6の球皿に遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、球皿に貯留された遊技球が打球発射装置により1球ずつ盤面遊技空間PAに打ち出されてパチンコゲームが展開される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、以下中央飾り100について、図3〜図9の各図を参照しながら説明する。ここで、図3は中央飾り100の正面図、図4は図3の中央側断面図、図5は中央飾りにおける球受け皿近傍領域を模式的に示す斜視図、図6〜図9はそれぞれ中央飾り100の各層の正断面図である。
中央飾り100は、上下左右の枠辺部に囲まれて前後に延びる外郭枠状のフレーム110と、このフレーム110の前面側に設けられ枠辺部に囲まれた開口面域の前面側を塞ぐ透明な前面部材120、フレーム110の後面側に設けられ遊技の展開状況に応じた表示を行うための液晶表示パネル185、フレーム110の後面側に設けられ枠辺部に囲まれた開口面域の後面側を塞いで液晶表示パネル185を保護する透明な後面部材140、フレーム110、前面部材120及び後面部材140に囲まれた枠内空間を前後に仕切って設けられ、前面部材120と後面部材140との間にそれぞれ遊技球が上下方向に移動可能な第1枠内遊技空間PS1及び第2枠内遊技空間PS2を形成する透明な仕切り部材130等を主体として構成される。なお、中央飾り100は左右対称に形成されており、重複説明を省略しつつ混同を防止するため、左右同様構成の部分については原則として左右を表す符号L及びRのうち一方を付して説明し他方を括弧書きで付記することとする。
フレーム110は、遊技板の前面にビス止めされる装飾フランジ部111と、この装飾フランジ部から後方に延びる上下左右の枠辺部112(上枠辺部112U、下枠辺部112D、左枠辺部112L、及び右枠辺部112R)と、装飾フランジ部111から前方に突出成型された左右の外部斜行通路壁113及び外部球寄せ通路壁114などからなり、全体として上下左右の枠辺部112に囲まれて前後に開口する横長方形の外郭枠状に形成される。
外部斜行通路壁113は、上向きに凸の滑らかな円弧状でフレーム110の中央上部から開口面域の角部を斜めに横切るように左右に延び、上枠辺部112Uの下端から開口面域を跨いで延長線上に位置する左枠辺部112L及び右枠辺部112Rに繋がるように形成されている。また左右の外部斜行通路壁113が繋がる中央上部には、正面視において緩やかな凹状で側断面視において壁面が後傾する導入壁部113dが形成され、この導入壁部113dの後方に位置する装飾フランジ部111に、横長楕円状で遊技球が転入可能な導入口115が前後貫通して開口形成されている。外部斜行通路壁113の前方への突出高さは、遊技板11の盤面から通路壁前端までの寸法が18mm程度に設定されている。
フレーム110は、中央飾り100を遊技板11に取り付けるために遊技板11に開口形成された中央飾り取付孔の加工端面及び開口縁部をカバーするため、一般的には不透明な樹脂材料を用いて形成され、例えばABS樹脂やポリアミド(PA)等の熱可塑性樹脂材料を用いて射出成型により図示する形状に一体成型される。
前面部材120は、フレーム110の装飾フランジ部111と同一面上に配設される前面プレート部121と、フレーム110の枠内形状に合わせて前面プレート部121から後方に延びて形成された囲壁部122(上囲壁部122U、下囲壁部122D、左囲壁部122L、及び右囲壁部122R)と、前面プレート部121からフレーム110の外部斜行通路壁113と位置整合して前方に突出成型された左右の前方斜行通路壁123及び前方球寄せ通路壁124、前面プレート部121から後方に突出成型された側部流下通路壁125及びジャンプ通路壁126、前面プレート部121の下部に後方に突出成型された揺動通路壁127などからなり、全体として横長方形の角皿状に形成される。
前面プレート部121及び囲壁部122は、前面プレート部121がフレーム110の開口面域に合わせて形成されるとともに、囲壁部の外形形状が、フレーム110の上下左右の枠辺部112によって囲まれた外郭枠の枠内形状に合わせてわずかに小さめに形成されており、上下左右の囲壁部122がフレーム110の上下左右の枠辺部112に囲まれて配設されるようになっている。
左右の前方斜行通路壁123は、フレーム110の上部と左右側部とに分かれて形成された外部斜行通路113を繋ぐ上向き凸の円弧状に形成されており、フレーム110に前面部材120を取り付けたときに上方の外部斜行通路壁113と前方斜行通路壁123及び左右側方の外部斜行通路壁113が滑らかに繋がり、開口面域の前方角部を斜めに横切る斜行通路153が形成される。また開口面域の下部左右には前方に突出成型された左右の前方球寄せ通路124により、その上面に受け止めた遊技球を中央方向に誘導する上部球寄せ通路154が形成される。
側部流下通路壁125は、前面プレート部121の上部中央からそれぞれ左右側方に向けて複数段で緩く下傾する傾斜壁部125s,125sと、各傾斜壁部と繋がり対向する左右の囲壁部122L,122Rとの間に遊技球の直径の2.5倍程度の間隔を隔てて鉛直下方に延びる鉛直壁部125L,125Rとを主体として構成され、傾斜壁部125sの上面、及び鉛直壁部125L(125R)と囲壁部122L(122R)との間に遊技球が転動可能な側部流下通路155が形成される。囲壁部122L(122R)及びこれと対向する鉛直壁部125L(125R)には、それぞれ側部流下通路側に凸状の突起部125tが各複数形成されており、遊技釘の代わりに、側部流下通路を転動落下する遊技球の誘導や振り分けが行われるようになっている。
ジャンプ通路壁126は、側部流下通路155の下端近傍における囲壁部122L(122R)と鉛直壁部125L(125R)との左右中間部から、それぞれ中央よりに比較的大きな傾斜角をもって下傾する放物面状の助走壁部126aと、この助走壁部126aの下端で滑らかに繋がり中央に向けて急峻に立ち上がる放物面状のジャンプ壁部126bとからなり、側部流下通路155を落下してきた遊技球のうち中央寄りの落下経路を移動してきた遊技球を助走壁部126aで受け止めて、ジャンプ壁部126bからジャンプさせるジャンプ通路156が形成される。
助走壁部126aとジャンプ壁部126bとが繋がる接続部(すなわちジャンプ通路156において最も低い位置)には、壁面が緩く前傾する椀状の導出部が前方に開いて形成されるとともに、この導出部の前方に位置する前面プレート部121に遊技球が前後に通過可能な通過孔121tが形成されており、ジャンプ通路156を転動したがジャンプ壁部126bを乗り越えられずに左右に揺動した遊技球が、通過孔121tを通って遊技盤前面の盤面遊技空間に排出されるようになっている。
揺動通路壁127は、ジャンプ通路壁126,126の下方に位置して左右の囲壁部122L,122Rの間を繋いで形成されており、左右の囲壁部122L,122Rの近傍領域はそれぞれ中央に向けて下傾する傾斜壁面とされる一方、中央領域では中央部が高くその左右が低い波形に構成されており、側部流下通路155を落下してきた遊技球のうち左右外方寄りの落下経路を移動してジャンプ通路を通らずに落下した遊技球及びジャンプ通路156から落下してきた遊技球を受け止めて中央領域に導き、ここで遊技球を左右に揺動させる揺動通路157が形成される。
上記揺動通路壁127における左右二箇所の波形底部(すなわち揺動通路157において最も低い位置)には、壁面が緩く前傾する椀状の導出部が前方に開いて形成されるとともに、この導出部を含む中央領域の前方に位置する前面プレート部121に、揺動通路に沿って遊技球が前後に通過可能な球出口121hが開口形成されており、この前面部材120の下端まで落下した遊技球が球出口121hを通って遊技盤前面の盤面遊技空間に排出されるようになっている。
揺動通路壁127における中央の波形山部では、仕切部材130の導出縦坑部を受容する切り欠き部が形成され、その下側に位置して同様に切り欠かれた下囲壁部122Dに前傾する導出壁部128が形成されるとともに、この導出壁部128の前方に位置する前面プレート部121に遊技球が前後に通過可能な縦長楕円形の導出口121dが開口形成されている。導出壁部128の後端縁面には平面視T字状の球受け部材148が前傾姿勢で取り付けられる。
前面プレート部121から後方に突出成型された囲壁部122、側部流下通路壁125、ジャンプ通路壁126、揺動通路壁127などの立設高さは、前面プレート部121の後面から各壁面の後端部までの高さが遊技球の直径の2.4倍程度(26mm程度)に設定されており、各通路壁によって形成される球通路153,155,156,157が遊技球の直径の2倍以上の幅を有するように構成されている。
前面部材120は、前面プレート部121の後面側の各球通路を転動流下する遊技球、及び後面部材140の後方に位置して取り付けられる液晶表示パネル185を透視可能にするため、有色透明を含む透明な樹脂材料を用いて形成され、例えばポリカーボネート(PC)やABS樹脂等の熱可塑性樹脂材料を用いて射出成型により図示する形状に一体成型される。前面部材120は、フレーム110の後面側から上下左右の枠片部112によって形成された外郭枠の枠内に嵌挿され、装飾フランジ部111の後面側に突出成型された図示省略する支持ボス部に、仕切部材130及び後面部材140とともにねじ止めされて取り付けられる。
仕切部材130は、前面部材120の囲壁部122及び各通路壁125、126、127の後端縁面に沿って配設される仕切りプレート部131と、フレーム110の枠内形状に合わせて仕切りプレート部131から後方に延びて形成された周壁部132(上周壁部132U、下周壁部132D、左周壁部132L、及び右周壁部132R)、仕切りプレート部131の下部に前方にに張り出して形成された誘導路形成壁136、仕切りプレート部131の下部に後方に突出成型された集合通路壁139などからなり、全体として横長方形の薄い角皿状に形成される。
仕切りプレート部131及び周壁部132は、仕切りプレート部131がフレーム110の開口面域に合わせて形成されるとともに、周壁部の外形形状が、フレーム110の上下左右の枠辺部112によって囲まれた外郭枠の枠内形状に合わせてわずかに小さめに形成されており、上下左右の周壁部132がフレーム110の上下左右の枠辺部112に囲まれて配設されるようになっている。
誘導通路形成壁136は、上方に開く皿状に形成された受け皿部136aと、この受け皿部136aと繋がって下方に延びる角筒状の導出縦坑部136b、導出縦坑部136bの下端前面及びその後方に位置する仕切りプレート部131に遊技球が前後に通過可能に切り欠き形成されたアーチ状の導出ゲート部136cなどからなり、受け皿部136aに受け止めた遊技球を、導出縦坑部136b、導出ゲート部136c、前述した球受け部材148及び導出壁部128を通して導出口121dから遊技盤面の第1種始動入賞口16の直上部に導く入賞誘導通路158が形成されるようになっている。
集合通路壁139は、それぞれ左右の周壁部132L,132Rからともに中央に向けて下傾する傾斜壁面になっており、この壁面上に遊技球を中央に集合させる集合通路159が形成される。左右の集合通路壁139,139は中央部で離隔して配設される一方、これらの間に平面視T字状の球受け部材148の翼部が左右に開いて配設されており、集合通路壁139に受け止められて中央に集合された遊技球が、この球受け部材148の上面を転動して導出ゲート部136cを通り、入賞誘導通路158に合流して遊技盤面の第1種始動入賞口16の直上部に導かれるようになっている。仕切りプレート部131の中央上部には、前面部材120の側部流下通路壁125における左右の傾斜壁部125s,125sが交わる稜部の後方に位置整合して遊技球が通過可能な内部導入口135が開口形成されており、この内部導入口135を通って遊技球が仕切りプレート部131の後方に転入可能になっている。
仕切りプレート部131から前方に突出成型された誘導通路形成壁136は、受け皿部136a及び導出縦坑部136bの前後方向の通路幅が、遊技球の直径の1.5倍以内(例えば遊技球の直径より幾分大きめの12mm程度)に設定されている。また、仕切りプレート部131から後方に突出成型された周壁部132及び集合通路壁139の立設高さは、仕切りプレート部131の後面から各壁面の後端部までの高さが、遊技球の直径の1.5倍以内(例えば上記同様12mm程度)に設定されている。
仕切部材130は、仕切りプレート部131の前後の各球通路を転動流下する遊技球、及び後面部材140の後方に位置して取り付けられる液晶表示パネル185を透視可能にするため、前面部材と同様の透明な樹脂材料を用いて図示する形状に一体成型される。仕切り部材130は、フレーム110の後面側から上下左右の枠片部112によって形成された外郭枠の枠内に嵌挿され、前面部材120及び後面部材140とともに装飾フランジ部111の後面側に突出成型された支持ボス部にねじ止めされて取り付けられる。
後面部材140は、フレーム110の開口面域に合わせて形成された後面プレート部141を主体として構成されたスモーク等の有色透明を含む透明な板材であり、原則的には後面部材140の後方に取り付けられる液晶表示パネル185に遊技球が直接衝突しないようにパネル面を保護するための保護部材である。後面プレート部141の上下には各2箇所の取り付け脚部149が前方に突出して形成されており、フレーム110の後面側から上下左右の枠片部112によって形成された外郭枠の枠内に嵌挿され、前面部材120及び後面部材140とともに装飾フランジ部111の後面側に突出成型された支持ボス部にねじ止めされて取り付けられる。
液晶表示パネル185は、フレーム110の開口面域に合わせてこれよりも幾分大きめな表示可能領域を有するカラー液晶表示パネルが用いられる。各図には、大きさが17インチ程度の比較的大型のカラー液晶表示パネルを表示制御装置182とともに透明なケース内に組み込んでユニット化した液晶表示ユニット180を用い、この液晶表示ユニット180をフレーム110の後面側に取り付けた構成例を示す。なお、このように液晶表示パネルのパネル面全体がケースにより保護されるような場合や、液晶表示パネル自身にパネル面を保護する保護プレートが設けられているような場合には、前述した後面部材140を用いることなく、フレーム110の後面側に直接液晶表示ユニットを配設しフレームの開口面域をケースまたは保護プレート等により覆うように構成しても良い。
液晶表示パネル185の作動は、液晶表示ユニット180内に組み込まれた表示制御装置182により制御され、表示制御装置182はパチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御装置から遊技の展開状態に応じて出力される指令信号に基づいて、予め設定記憶された展開のアニメーション映像等を液晶表示パネル185に表示させる。
さて、このようにしてフレーム110に前面部材120、仕切部材130、後面部材140が組付けられて中央飾り100が構成され、液晶表示ユニット180とともに遊技板11に取り付けられると、フレーム110の前面側(遊技盤面とガラス板5bとの間)に前述した盤面遊技空間PAが形成されるとともに、フレーム110の上下左右の枠辺部112、前面部材の前面プレート部121、及び後面部材140(液晶表示パネル185)に囲まれた枠内空間PSが形成される。枠内空間PSは、仕切り部材130の仕切りプレート部131によってさらに前後に仕切られ、仕切りプレート部131の前方に第1枠内遊技空間PS1、後方に第2枠内遊技空間PS2が形成される。
このうち、前面プレート部121の後面と仕切りプレート部131の前面との間に形成された第1枠内遊技空間PS1は、前面プレート部121から後方に立設された各壁面(囲壁部122、側部流下通路壁125、ジャンプ通路壁126、揺動通路壁127)の立設高さが遊技球の直径の2.4倍程度に設定されていることから、遊技空間の厚さが2倍以上の大厚遊技空間であり、遊技球が側部流下通路155、ジャンプ通路156、揺動通路157を、前後を含む斜め方向にも移動可能になっている。ただし、仕切りプレート部から前方に突出成型された受け皿部136a及び導出縦坑部136bは、前後方向の通路幅が遊技球の直径より幾分大きい程度に形成されており、この第1枠内遊技空間PS1内の入賞誘導通路158は、第1枠内遊技空間PS1の後方約半分の厚さになっている。
一方、仕切りプレート部131の後面と後面プレート部141の前面との間に形成された第2枠内遊技空間PS2は、仕切りプレート部131から後方に立設された各壁面(周壁部132、集合通路壁139)の立設高さが遊技球の直径よりも幾分大きい程度に設定されていることから、前後方向の厚さは遊技球が上下左右方向に自由に移動できる程度の遊技空間であり、遊技球はこの第2枠内遊技空間PS2を上下に落下移動し、また左右の集合通路159を左右中央に向けて転動可能になっている。
第1枠内遊技空間PS1は、フレーム110の上部中央に開口形成された導入口115、前面プレート部121に開口形成された通過孔121t及び球出口121hにおいて盤面遊技空間PAと連通し、第1枠内遊技空間PS1と第2枠内遊技空間PS2とは、仕切りプレート部131の上部中央に開口形成された内部導入口135を介して連通している。また第2枠内遊技空間PS2は、仕切りプレート部131の下部中央に切り欠き形成されたアーチ状の導出ゲート部136c及び導出口121dを介して盤面遊技空間PAと連通している。
このため、盤面遊技空間PAから導入口115を通って枠内空間PSに転入した遊技球は、導入口115への転入状態(転入時の遊技球の位置、速度、移動方向)に応じて第1枠内遊技空間PS1内の各球通路155,156,157を移動し、あるいは第1枠内遊技空間PS1を通過して内部導入口135から第2枠内遊技空間PS2に転入して第2枠内遊技空間PS2内を落下移動する。
第1枠内遊技空間PS1内の各球通路を移動した遊技球は、通過孔121t若しくは球出口121hを通って前方の盤面遊技空間PAに落下し、または受け皿部136aに受け止められて入賞誘導通路158を移動し導出口121dを通って第1種始動入賞口16の直上部に落下する。また第2枠内遊技空間PS2に転入してこの枠内遊技空間を落下した遊技球は、球受け部材148に受け止められ、ここで跳ね返った遊技球も集合通路159により集合されて球受け部材148上を転動して導出ゲート部136c及び導出口121dを通り第1種始動入賞口16の直上部に落下する。
枠内空間PSを形成し、及びこの空間内に配設された前面部材120、仕切部材130及び後面部材140はいずれも透明な樹脂材料を用いて形成されていることから、枠内空間PSに転入して第1枠内遊技空間PS1内の各球通路155,156,157を移動する遊技球、第2枠内遊技空間PS2に転入してこの枠内遊技空間を移動する遊技球をいずれもパチンコ機PMの前面側から視認することができ、またこれらの枠内遊技空間の後方に配設された液晶表示パネル185に表示されるアニメーション映像を、各遊技空間を移動する遊技球とともにパチンコ機PMの前面側から視認することができる。
次に、遊技球発射装置から遊技盤10の盤面遊技空間PAに打ち出され、中央飾り100の上部に到達した遊技球が、この中央飾り100においてどのように流下するか、その作用について各遊技空間層の壁面構成を示す図6〜図9を参照しながら説明する。
盤面遊技空間PAに打ち出された遊技球のうち、中央飾り100の上部において上方に凸の左右の外部斜行通路壁113に受け止められた遊技球は、この外部斜行通路壁113と前方斜行通路壁123とによって形成され枠内空間PSの前方角部を斜めに横切る斜行通路153を通り、遊技板11に打設された遊技釘に弾かれながら中央飾り100の右または左側方を落下する(図6を参照)。中央飾り100の側部領域を落下した遊技球は、一部が上部球寄せ通路壁124に受け止められて中央方向に誘導されこの通路壁上面の前方球寄せ通路154を通って第1種始動入賞口16やパスゲート15の近傍に導かれ、他は外部球寄せ通路壁114に受け止められて中央方向に誘導されパスゲート15や固定入賞口14の近傍に導かれる。
この盤面遊技空間PAでは、液晶表示パネル185の表示領域の前方に、表示領域の上方角部を横切って遊技球が斜め下方に移動する斜行通路153と、表示領域の下部外側から中央に向けて遊技球が移動する前方球寄せ通路154とが形成されており、これらの球通路153,154を転動する遊技球が、液晶表示パネル185の表示領域の角部を斜めに横切って転動する。このため、液晶表示パネルに表示される演出表示とその前方を斜めに横切る遊技球とにより立体的な遊技が展開される一方、角部を通過させることで視覚的に煩雑な影響を与えないようになっている。
中央飾り100の上部中央において、導入口115を取り囲むように打設された遊技釘の間を通り抜けた遊技球は、左右の外部斜行通路壁113の間に形成された導入壁部113dに受け止められ、装飾フランジ部111に開口形成された導入口115から枠内空間PSに転入する。
ここで、前述したように、枠内空間PSは仕切りプレート部131を挟んで前方の第1枠内遊技空間PS1と、後方の第2枠内遊技空間PS2とからなり、枠内空間上部の内部導入口135で連通している。そして内部導入口135は、側部流下通路壁125における左右の傾斜壁部125s,125sが交わる稜線の後方に位置している。さらに、第1枠内遊技空間PS1は、前後方向に遊技球の直径の2倍以上の厚さを有する大厚遊技空間になっている。
このため、枠内空間における遊技球の流下経路は、導入口115から枠内空間PSに転入した遊技球の転入状態(転入時の遊技球の位置、速度、移動方向)に応じて異なったものとなる。
例えば、導入口115前方の導入壁部113dで左右に揺動し、導入口115からほとんど鉛直落下して右側の傾斜壁部125sに受け止められた遊技球は、右側の側部流下通路155を前面プレート部121に沿った流下経路で転動する。また導入口115から右斜め後方に向けて勢いよく転入し仕切プレート部131に跳ね返された遊技球の一部も、傾斜壁部125sの上面を斜め前方に転動して側部流下通路155を前方寄りの流下経路で転動する(前方の断面図である図7を参照)。
傾斜壁部125sの上面を右端まで転動した遊技球は、鉛直壁部125Rと囲壁部122Rとの間を落下し、これらの壁面に形成された突起部125tに当接して落下方向が折り返され、あるいは突起部に当接することなくそのまま落下する。そしてこの鉛直領域の下部における助走壁部126aの上端部に対する遊技球の落下位置及び方向に応じて流下経路が振り分けられ、あるものは助走壁部126aに受け止められてジャンプ通路156を転動し、他は揺動通路壁127に受け止められて揺動通路157を転動する。
このうち、ジャンプ通路156を転動した遊技球の多くは、この通路の先端部に上向きに形成されたジャンプ壁部126bに誘導されて斜め上方にジャンプし、第1枠内遊技空間PS1内を中央に向けて飛翔する。
ここで、ジャンプ通路156は、液晶表示パネル185の表示領域との関係において左右側方から下部中央に斜行して形成されており、この通路を転動してきた遊技球が下部中央から表示領域の中央に向けて飛翔する。このため、液晶表示パネル185を注視しながらゲームを行う遊技者には、遊技球が助走壁部126aの上面を中央に向けて助走する頃から視野に入り、ジャンプ壁部126bから画面中央に向けて飛び出す時点では確実に視認される。遊技者は液晶表示パネルに表示される演出表示とその前方を飛翔する遊技球による立体的な遊技展開を、緊張感をもって注視することになる。
但し、この第1枠内遊技空間PS1は大厚遊技空間であり、ジャンプした遊技球を受け止め得る受け皿部136aは、この遊技空間の後側半分に設けられている(図4及び図5を参照)。従って第1枠内遊技空間PS1の前方寄りの領域を転動して前面プレート部121に沿ってジャンプした遊技球や、ジャンプ通路156を斜め前方に向けて転動し前方寄りの領域にジャンプした遊技球は、受け皿部136aに受け止められることがなく、受け皿部の前方や左右側方の揺動通路157に落下する。
なお、ジャンプ通路156を転動したが、ジャンプ壁部126bを乗り越えられずに左右に揺動した遊技球は、このジャンプ通路156の最も低い位置に形成された椀状の導出部により前方に誘導され、前面プレート部121に開口形成された通過孔121tを通って盤面遊技空間PAに排出される。
また、側部流下通路155を落下してきた遊技球のうち、助走壁部126aに受け止められずに揺動通路157に落下した遊技球、及びジャンプ通路156を通ってジャンプしたが受け皿部136aに受け止められずに揺動通路157に落下した遊技球は、左右の揺動通路の間に形成された波形領域で左右に揺動し、この通路で最も低い左右の波形底部に形成された椀状の導出部により前方に誘導され、前面プレート部121に開口形成された球出口121hから遊技盤前面の盤面遊技空間PAに排出される。
揺動通路157は、液晶表示パネル185の表示領域との関係では、表示領域の下縁に沿って形成されており、この通路を転動する遊技球は表示領域の下縁前方を転動する。このため、遊技者にとって主たる監視対象である演出表示とその前方を転動する遊技球により立体的な遊技感が得られるが、この通路は基本的にワープ内ハズレであることから遊技者の視野をあまり邪魔しないようになっている。
一方、導入口115から、枠内空間に斜めに転入した遊技球、例えば左斜め後方に向けて緩やかに転入した遊技球は、傾斜壁部125sの上面を仕切プレート部131に沿って転動し側部流下通路155を後方寄りの流下経路で転動する(後方の断面図である図8を参照)。
傾斜壁部125sを左端まで転動した遊技球は、鉛直壁部125Lと囲壁部122Lとの間を落下し、これらの壁面に形成された突起部125tに当接して落下方向が折り返され、あるいは突起部に当接することなくそのまま落下する。そして助走壁部126aの上端部に対する遊技球の落下位置及び方向に応じて流下経路が振り分けられ、あるものは助走壁部126aに受け止められてジャンプ通路156を転動し、他は揺動通路壁127に受け止められて揺動通路157を転動する。
ジャンプ通路156を転動した遊技球の多くは、この通路の先端部に上向きに形成されたジャンプ壁部126bに誘導されて斜め上方にジャンプし、第1枠内遊技空間PS1を表示領域の中央に向けて飛翔する。このため、液晶表示パネル185を注視しながらゲームを行う遊技者には、遊技球が助走壁部126aの上面を中央に向けて助走する頃から視野に入り、ジャンプ壁部126bから画面中央に向けて飛び出す時点で確実に視認される。遊技者は液晶表示パネルに表示される演出表示とその前方を飛翔する遊技球による立体的な遊技展開を緊張感をもって注視する。
上述したように、この第1枠内遊技空間PS1は大厚遊技空間であり、ジャンプした遊技球を受け止める受け皿部136aは、この遊技空間の後側半分に設けられている(図4及び図5を参照)。このため第1枠内遊技空間PS1の後方寄りの領域を転動して仕切りプレート部131に沿ってジャンプした遊技球や、ジャンプ通路156を斜め後方に向けて転動し後方寄りの領域にジャンプした遊技球は、その飛翔経路に応じて受け皿部136aに受け止められる。
受け皿部136aに受け止められた遊技球は、この受け皿部136aと繋がって下方に延びる導出縦坑部136bを落下して球受け部材148に受け止められ、この導出縦坑部136bの下端前面に切り欠き形成された導出ゲート部136cを通って前面プレート部に開口形成された導出口121dに繋がる入賞誘導通路158を流下する。入賞誘導通路158の出口である導出口121dは遊技盤面の第1種始動入賞口16の直上部に位置しており、この入賞誘導通路158を流下した遊技球は、ほぼ100%第1種始動入賞口16に転入する。
受け皿部136a及び導出縦坑部136bからなる誘導通路形成壁136、その前方に位置する前面プレート部121は何れも透明材料で形成されており、遊技者は、受け皿部136aに受け止められ入賞誘導通路158を第1種始動入賞口16に向けて転動する遊技球を遊技期待をもって確認できる。
なお、前述した前方寄りの流下経路を流下した場合と同様に、ジャンプ通路156を転動したが、ジャンプ壁部126bを乗り越えられずに左右に揺動した遊技球は、前面プレート部121に開口形成された通過孔121tを通って盤面遊技空間PAに排出される。また、側部流下通路155を落下し助走壁部126aに受け止められずに揺動通路157に落下した遊技球、及びジャンプ通路156を通ってジャンプしたが受け皿部136aを飛び越えて左側の揺動通路157に落下した遊技球、または受け皿部まで届かずに右側の揺動通路157に落下した遊技球は、前面プレート部121に開口形成された球出口121hから遊技盤前面の盤面遊技空間PAに排出される。
次に、導入口115から枠内空間PSに転入した遊技球のうち、例えば導入口115の中央から傾斜壁部の稜線に沿って真っ直ぐ後方に転入した遊技球や、斜めに転入したがその転入方向の延長線上に内部導入口135が存在したような場合には、遊技球は第1枠内遊技空間PS1を通過して第2枠内遊技空間PS2に転入する(図9を参照)。
この第2枠内遊技空間PS2は、前後方向の厚さが遊技球の直径よりも幾分大きい程度であり、本実施形態に示した構成例では、図9及び図4に示すようにこの遊技空間に転入した遊技球が重力に従って落下するように流下通路が形成され、必ず中央に集合されるように構成している。すなわち、内部導入口135から第2枠内遊技空間PS2に転入した遊技球は、まずこの第2枠内遊技空間PS2をほぼ鉛直に落下して球受け部材148に受け止められる。球受け部材148は、この第2枠内遊技空間内に左右に開く翼部を有して平面視T字状に形成されており、その基端側が導出壁部128に固定されている。このため球受け部材148の翼部に受け止められた遊技球は、球受け部材148の弾性により跳ね返され一度上方にジャンプする。
しかし、どのような方向にジャンプしても、この球受け部材148の左右に形成された集合通路壁139に受け止められて中央に導かれ、球受け部材148の上面を前方に転動して仕切部材130の導出ゲート部136cを通り、入賞誘導通路158に合流して遊技盤面の第1種始動入賞口16の直上部に導かれる。前述したように導出口121dは第1種始動入賞口16の直上部に位置しており、入賞誘導通路158を流下した遊技球はほぼ100%第1種始動入賞口16に転入する。
このため、第2枠内遊技空間PS2に転入した遊技球は、ほぼ100%の確率で確実に第1種始動入賞口16に導かれ、第1枠内遊技空間PS1を転動した遊技球よりも高い確率で第1種始動入賞口16に導かれるようになっている。
また第2枠内遊技空間PS2に転入した遊技球の流下経路は、液晶表示パネル185の表示領域との関係において、その中央部を通過するように構成されており、第2枠内遊技空間PS2に転入した遊技球は表示領域の中央を通って落下する。このため、液晶表示パネル185を注視しながらゲームを行う遊技者の視界に、落下する遊技球が飛び込んで落下状況が必ず捉えられ、その後球受け部材148で跳ね返された遊技球の誘導状況も明確に視認される。このため、遊技者は液晶表示パネル185に表示される演出表示と、その直前中央部を落下移動してジャンプする遊技球による立体的な遊技展開を、その後の入賞への期待感をもって受容することができる。
なお、本実施例では、第2枠内遊技空間PS2に流下通路の通路壁を形成せず、転入した遊技球がこの第2枠内遊技空間PS2を鉛直に落下するような構成を例示したが、例えば、遊技球が液晶表示パネル185の前方中央を斜めに横切って落下するような流下通路や、液晶表示パネル185の前方を左右に蛇行しながら下降移動する流下通路など、通路壁を形成した構成であってもよい。
このように構成された中央飾り100では、液晶表示パネル185の表示領域の前方に、盤面遊技空間PA、第1枠内遊技空間PS1、第2枠内遊技空間PS2の三層の遊技空間が形成され、各遊技空間層PA、PS1、PS2ごとに異なる経路をそれぞれ遊技球が別方向に移動する。このため、液晶表示パネル185に表示される演出表示と、その前方に形成された三層の遊技空間を転動移動する遊技球により、極めて立体的でありかつ第1枠内遊技空間PS1に設けた機械的抽選構造により遊技期待を高めた遊技演出を行うことができる。
また、枠内空間PSから盤面遊技空間PAに転出させる遊技球の出口を複数設け、第1種始動入賞口16への導出口121dを中心として、その左右に球出口121hさらにその左右外側に通過孔121tを形成している。このため、中央飾り100の直下領域を含めて盤面遊技空間PA全体に遊技球を散らばらせることができ、中央飾りを大型化してもゲージ設定の自由度を確保することができる。
さて、以上では中央飾り100における遊技球の転動作用について説明してきたが、パチンコ機PMは、このような多様な転動形態を有する中央飾りにおける遊技球の転動状態に応じて液晶表示パネル185に異なる演出表示を行わせるように構成されており、以下この演出図柄の制御構成について説明する。
中央飾り100には、導入口115から枠内空間PSに転入した遊技球が、第1枠内遊技空間PS1または第2枠内遊技空間PS2のいずれの枠内遊技空間に転入したか、また第1枠内遊技空間PS1については、左右何れの側部流下通路155を流下したかを検出する転入流路検出手段が設けられており、その検出信号が液晶表示パネル185の表示制御装置182に入力されている。
転入流路検出手段は、遊技球を検出可能な手段であればよく、電気的、磁気的、あるいは光学的な種々の手段を用いることができる。例えば、図10は遊技球を光学的に検出する転入流路検出手段190の概要構成を示しており、側部流下通路155を前後に挟んで前面プレート部121側に直径φ2〜3mm程度の反射鏡部191を蒸着又は鏡面接着により形成するとともに、これと対峙する仕切りプレート部131側に投光部192a及び受光部192bを設け、これらの投光部・受光部192a,192bとフォトインタラプタ194の投光部・受光部との間を光ファイバ193a,193bで接続して1単位の遊技球検出手段を構成する。そして、この1単位の遊技球検出手段を内部導入口135を挟んで側部流下通路155の左右に各一箇所、内部導入口135に一箇所の合計三箇所に設けて転入流路検出手段190を構成している。
このような転入流路検出手段190によれば、遊技球が反射鏡部191と投光・受光部192a,192bとの間を通ると、通過する遊技球により投光・受光部間の光路が遮られて受光部に光が到達しなくなり、これをフォトインタラプタ194で検出することにより遊技球の通過を検出することができる。そして、例えば中央部のフォトインタラプタを194C、左右のフォトインタラプタを194L,194Rとして、何れのフォトインタラプタにおいて通過信号が検出されたかを判断することにより、遊技球が第1枠内遊技空間PS1または第2枠内遊技空間PS2のいずれの枠内遊技空間に転入したか、また第1枠内遊技空間PS1については、左右何れの側部流下通路155を流下するかを検出することができる。
また、図11には遊技球を電気的に検出する構成例を示しており、この流入流路検出手段195は、側部流下通路155の通路面に薄板金属を接着又は嵌着して幅2〜5mm程度の導電性の下部電極196形成するとともに、その上方に遊技球の半径程度の間隔をおいて薄板金属製の扉状部材を遊技球の流下方向と直交方向に揺動自在に配設して上部電極を197形成し、下部電極196と上部電極197との間の導通状態を検出する接点検出器198を設けて1単位の遊技球検出手段を構成する。そして、この1単位の遊技球検出手段を内部導入口135を挟んで側部流下通路155の左右に各一箇所、内部導入口135に一箇所の合計三箇所に設けて転入流路検出手段195を構成している。
このような転入流路検出手段195によれば、遊技球が側部流下通路155を右方に転動したときの状態を図12(a)〜(c)に模式的に示すように、遊技球が通路面を転動して上下の電極間を通ると、通過する遊技球により上部電極197が押圧されて揺動するとともに、このとき上下の電極197,196が遊技球により電気的に接続されて導通状態になり、これを接点検出器198で検出することにより遊技球の通過を検出することができる。そして例えば上記同様に中央部の接点検出器を198C、左右の接点検出器を198L,198Rとして、何れの接点検出器において通過信号が検出されたかを判断することにより、遊技球が第1枠内遊技空間PS1または第2枠内遊技空間PS2のいずれの枠内遊技空間に転入したか、また第1枠内遊技空間PS1については、左右何れの側部流下通路155を流下するかを検出することができる。
図13に転入流路検出手段190を用いて、検出手段により検出された遊技空間に応じた演出表示を行う演出制御装置の概要構成をブロック図で示している。表示制御装置182には、フォトインタラプタ194C,194L,194Rから検出信号が入力されており、表示制御装置はこれらのフォトインタラプタの検出信号から遊技球が転入移動する流下経路を判断し、これに応じた制御信号を液晶表示パネル185に出力して演出表示を行う。
例えば、右側のフォトインタラプタ194Rから遊技球の通過検出信号が入力されたときに、遊技球が第1枠内遊技空間PS1に転入し、側部流下通路155を右方に移動していると判断する。そして、遊技球が側部流下通路155を右方に移動しているときに表示すべき画像として予め表示制御装置182に設定記憶されていた演出表示情報を内部メモリから呼び出し、これを液晶表示パネル185に出力して表示させる。演出表示の内容は適宜に設定することができるが、例えば一例を図14に示すように、遊技球の移動方向に合わせた虹色のストライプ映像や、図15に示すようなスキージャンプのアニメーション映像等を液晶表示パネルに表示させて遊技展開を演出する。
中央のフォトインタラプタ194Cから遊技球の通過検出信号が入力されたときに、遊技球が第2枠内遊技空間PS2に転入したと判断する。そして、遊技球が第2枠内遊技空間PS2を落下したときに表示すべき画像として予め表示制御装置182に設定記憶されていた演出表示情報を内部メモリから呼び出し、液晶表示パネル185に出力して表示させる。例えば図16に示すような落雷のアニメーション映像や、図17に示すように第1種始動入賞口16への移動に向けてエンジンを始動させるアニメーション映像等を液晶表示パネルに表示させて遊技展開を演出する。
このような演出表示を行うことにより、遊技者は、第1枠内遊技空間PS1または第2枠内遊技空間PS2の何れに遊技球が転入したか、及び第1枠内遊技空間PS1を左右何れに移動しているかを直感的に認知できるとともに、前後の枠内遊技空間を移動する遊技球とその後方の液晶表示パネル185とが協働した立体的な演出表示により、演出効果をさらに高めたパチンコ機を構成することができる。
以上では前後の枠内遊技空間に繋がる球入口として共通の導入口115を設け、この導入口115に転入した遊技球が転入状態に応じて第1枠内遊技空間PS1または第2枠内遊技空間PS2のいずれかを移動するように構成した例を示した。しかし、中央飾りは導入口を前後の枠内遊技空間に対応して複数設け、遊技球が転入した導入口に応じて異なる遊技空間に導かれるように構成することもできる。このような中央飾り200の構成例を図18に示している。なお中央飾り200は、導入口がフレームの上部に3箇所形成されている点を除いて、前述したフレーム110、前面部材120、仕切部材130、後面部材140と基本構成が同一であり、同様部分について同一番号を付して以下相違する導入口の関連部分についてのみ簡潔に説明する。
フレームの上部には、前述した導入壁部113dと同様に、正面視において緩やかな凹状で側断面視において壁面が後傾する導入壁部213dが三箇所形成され、各導入壁部113dの後方に位置する装飾フランジ部111に、横長楕円状で遊技球が転入可能な導入口が三箇所、すなわち中央の中央導入口215C、その左右に位置する左導入口215L及び右導入口215Rが、それぞれフランジ部111を前後貫通して開口形成されている。
各導入口の側断面は図4と略同一であり、各導入口から枠内空間PSに転入した遊技球が側部流下通路155の傾斜壁面部125sに受け止められる点は既述した中央飾り100と同様である。また中央導入口215Cの後方に位置する仕切プレート部131に内部導入口135が形成されている点も同様である。
しかしながら、この中央飾り200では、中央導入口215Cから転入した遊技球が左右の側部流下通路155に流下することなく後方の内部導入口135に転入するように、遊技球を誘導する導入通路壁215v,215vが形成されており、この導入通路壁215v,215vによって第2枠内遊技空間PS2に繋がる導入通路と、第1枠内遊技空間PS1の左側の側部流下通路と、右側の側部流下通路とが仕切られている。
すなわち、中央導入口215Cは、第2枠内遊技空間PS2に繋がる専用導入口、左導入口215Lは第1枠内遊技空間PS1における左側の側部流下通路155Lに繋がる専用導入口、右導入口215Rは第1枠内遊技空間PS1における右側の側部流下通路155Rに繋がる専用導入口になっている。
このため、中央導入口215Cに転入した遊技球は、その転入状態に拘わらず必ず第2枠内遊技空間PS2に転入し、この枠内遊技空間を流下してほぼ100%の確率で第1種始動入賞口16の直上部に導かれる。また左導入口215Lあるいは右導入口215Rに転入した遊技球も転入状態に拘わらず、必ず対応する側部流下通路215L,215Rを転動流下する。
このため、遊技球がどの導入口に転入するかによって、遊技球が移動する枠内遊技空間が前後左右に変化するとともに、仕切りプレート部131を挟む前後の第1枠内遊技空間PS1及び第2枠内遊技空間PS2を、複数の遊技球が同時に、かつそれぞれ異なった方向に転動する遊技展開も生じ、前後に奥行きのある複数層の枠内遊技空間を有効に活用した立体的な遊技展開を行うことができる。
またこのような構成の中央飾り200では、各導入口215C,215L,215Rに遊技球検出手段を設けることができるため、遊技球検出手段の構成をより簡明化した構成にすることができるとともに、転入した遊技球の流下方向が決まっているため遊技球の流下に合わせた演出表示の同調性を向上させて、さらに演出効果の高い表示演出を行うことができる。
次に、以上説明した中央飾りは、フレーム110における装飾フランジ部111の後面側に突出成型したボス部に、前面部材120、仕切部材130、後面部材140がフレーム後面側からネジ固定される構成例を示したが、これらをフレーム110の前面側から取り付けるように構成することもでき、以下このような構成例について説明する。なお中央飾りにおける球通路等の基本構成は同様であるため前面部材120の着脱構成について簡潔に説明する。
前面部材120をフレーム110に着脱自在に構成する手段は、公知の種々の着脱手段を利用することができるが、例えば図19及び図20に示すようなパネル固定用のナイロンファースナ270を用いて構成することができる。なお図20は図19中のパネル固定部分の断面図である。ナイロンファースナ270は、周方向に配列された複数の爪が軸方向にスリ割られて爪の先端部が内外方向に弾性変形可能に配設された鍔付きフランジ状の割りスリーブ271と、この割りスリーブ271の軸心に前後に摺動自在に保持されたプッシュプルノブ272とからなり、前面プレート部121及び装飾フランジ部111に形成した円孔部に割りスリーブ271を嵌着し、プッシュプルノブ272を押圧して先端部を割りスリーブ271内に嵌入させたときに、周方向に配列された爪が装飾フランジ部111の裏面側で拡開してフランジ部111の円孔内面と係合し、前面部材120がフレーム110に固定される。
前面部材120を取り外すときには、プッシュプルノブ272を割りスリーブ271から引き抜く方向に引き上げる。すると、プッシュプルノブ272の先端部に押圧されて拡開していた爪が弾性力で元の縮径した状態に戻り、フレーム側の円孔を挿通可能になって前面部材120を脱着することができる。
また、図21及び同図中のXXII−XXII矢視断面図を図22に示すように、フレーム110における開口面域を囲む上下に、前面プレート部121の背面側を支持する背面支持片部276、前面プレート部121の前面側を係止するクランク状の前面支持片部277、及び先端側に前面プレート部121の前面と係合可能な楔状のロック爪を有し左右側辺が切り離されて前後に揺動可能なロック片部278を形成し、前面プレート部121の下端縁面を前後の支持辺部間に嵌入支持させ、前面プレート部121の上部を後方に揺動させて前面部材120をフレーム110の前方から着脱自在に構成することもできる。
このほか、詳細図示を省略するが、例えば、上述したナイロンファースナに代えてサムスクリューを用いた構成や、コイン等で90度程度回動させることで前面部材をロック及びロック解除可能なロックアームを用いた構成など、公知の種々の着脱手段を利用することができる。
なお、以上では説明簡明化のため、前面部材120をフレーム110に着脱自在に構成する例を示したが、仕切部材130、後面部材140についても同様に構成することができる。そしてこのような構成によれば、枠内空間PS内に遊技球が停留して球詰まりを生じたような場合に、各部材をパチンコ機の前面側から着脱して容易に球詰まり処理を行うことができる。
また、前面部材120、仕切部材130、後面部材140を各単体ではなく、中央飾りの前方から一体的に着脱自在に構成しても良い。例えば、図23に取り付け部近傍の概略斜視図を示すように、前面部材120、仕切部材130、後面部材140に同一形態のフランジ部282,283,284を形成するとともに、フレーム110にこれらのフランジ部を受容するフランジ受容部281を形成し、フランジ部を重ね合わせた状態でフランジ受容部に装着して、前述したナイロンファースナやサムスクリュー等の締結手段で一体に取り付けるように構成する。
あるいは第1枠内遊技空間PS1及び第2枠内遊技空間PS2の前後方向寸法に合わせたスペーサを用いて前面部材120、仕切部材130、後面部材140を連結固定し、連結された前面部材120、仕切部材130、後面部材140をフレームの前面側から枠内空間に挿入して一体的に固定するように構成する。
このような構成によれば、第1枠内遊技空間PS1及び第2枠内遊技空間PS2を一操作で開放することができるため、枠内空間の保守作業をさらに迅速に行うことができる。
なお、以上の各実施例では、枠内空間PSに第1枠内遊技空間PS1と第2枠内遊技空間PS2の二つの遊技空間を形成した構成例(前後二層の構成例)を示したが、枠内空間に三層以上の遊技空間を形成してもよく、大厚遊技空間を後方の遊技空間層に形成しても良い。また、遊技板の加工性や遊技釘の打設容易性の見地から遊技板として従来と同様の積層合板を用いた構成例を示したが、透明又は不透明な樹脂材料を用いて構成しても良い。
また、第1枠内遊技空間PS1と第2枠内遊技空間PS2との間を仕切る仕切りプレート部131に、遊技球が挿通可能な挿通孔を形成し、第1枠内遊技空間PS1と第2枠内遊技空間PS2との間を、遊技球が相互に、あるいはいずれか一方向に、移動できるように構成しても良い。