JP4883174B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体クロマトグラフ質量分析装置等に用いられる質量分析装置に関し、さらに詳しくは、質量分析装置においてイオンを後段に輸送するためのイオン輸送光学系に関する。
質量分析装置では、前段から送られて来るイオンを収束し、場合によっては加速して後段の例えば四重極質量フィルタ等の質量分析器に送り込むために、イオンレンズやイオンガイドと呼ばれるイオン輸送光学系が用いられる。こうしたイオン輸送光学系の1つとして、従来より、四重極、八重極などの多重極ロッド型のものが利用されている。図10(a)は一般的な四重極ロッド型のイオンガイドの概略斜視図である。
このイオンガイド70は、円柱(又は円筒)形状の4本のロッド電極71、72、73、74がイオン光軸Cを取り囲むように互いに平行に配置された構造を有している。一般的には、イオン光軸Cを挟んで対向する2本のロッド電極71と73には同一の高周波電圧が印加され、これと周方向に隣接する2本のロッド電極72、74には先の高周波電圧と振幅が同一で位相が反転された高周波電圧が印加される。このように印加される高周波電圧により4本のロッド電極71、72、73、74で囲まれる空間には四重極高周波電場が形成され、この高周波電場中でイオンを振動させつつイオン光軸C付近に収束させながら後段に輸送することができる。
本願出願人は、イオンの収束性が良好であるという上記多重極ロッド型イオンガイドの利点を生かしつつ、イオンを加速することもできるイオン輸送光学系として、図10(b)の斜視図に示すような仮想ロッド電極を用いるイオン輸送光学系を提案している(例えば特許文献1など参照)。この構成では、図10(a)に示した各ロッド電極71、72、73、74をそれぞれ、イオン光軸Cの方向に沿って並べられた複数(この図の例では4枚)の板状の電極素板79で構成した仮想ロッド電極75、76、77、78で置き換えている。
この仮想多重極ロッド型のイオン輸送光学系では、1本の仮想ロッド電極75、76、77、78を構成する4枚の電極素板79にそれぞれ異なる電圧を印加することが可能であるから、例えばイオンが進行する方向に段階的に増加する直流電圧を高周波電圧に重畳するように印加することにより、仮想ロッド電極75、76、77、78で囲まれる空間を通過する際にイオンを加速したり逆に減速させたりすることができる。さらにまた、図10(c)に示すように、仮想ロッド電極を構成する電極素板79をイオンの進行方向に段階的にイオン光軸Cに近づくように配置することにより、イオン流を収束させつつ徐々に絞ることもできる。
上述のように仮想ロッド電極を用いるイオン輸送光学系は優れた特性を持つものの、もともと1本のロッド電極で構成され得る電極が複数の電極素板に分割されていることから必然的に部品点数が増加し、組立てや製造時及び使用時の調整が煩雑になることが避けられない。こうした問題に対し、本願出願人は、特許文献2において、仮想ロッド電極を用いた多重極ロッド型イオンガイドの具体的な構成を提案している。
この文献に開示された構成では、1枚の電極素板は、完成時にイオン光軸に向く側の一端が円弧状とされたやや長い形状とされ、イオン光軸に直交する面内でイオン光軸を取り囲むように配置される4枚の電極素板を1組として、4本の仮想ロッド電極を構成するべくイオン光軸方向に並ぶ4組の電極素板、即ち、16枚の電極素板が絶縁体である合成樹脂製のホルダにネジで取り付けられる。また、イオン光軸に直交する面内でイオン光軸を挟んで対向配置された、同一の電圧が印加される電極素板はショート線で接続される。このようにして、電極素板を含む主要な構成要素は一体化(ユニット化)されるため、取扱いが容易であって組立てや調整の手間も軽減することができる。
しかしながら、このような構成としても、仮想ロッド電極の総本数に1本の仮想ロッド電極を構成する電極素板の総枚数を乗じた数だけ、電極素板が必要になるため、四重極程度であればよいが、六重極、八重極など極数が増加すると部品点数が増大し、組立性や調整が煩雑になる。また、1本の仮想ロッド電極を構成する電極素板の枚数を例えば10枚、20枚、と多くした場合も同様である。こうしたことから、さらに一層、部品点数を減らし、組立性や調整を簡単にすることが望まれる。また、個別の電極素板をネジでホルダに取り付ける場合、取り付け時に電極素板の微妙な相対位置ずれが生じることがあり、これがイオンの収束性、つまりイオン通過効率に悪影響を及ぼす場合があり得る。
特開2000−149865号公報 特開2001−351563号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的とするところは、製造時の組立性や製造及び使用時の調整を容易にした仮想多重極ロッド型のイオン輸送光学系を備えた質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、イオン光軸方向に互いに分離されたm(mは2以上の整数)個の電極素板部から成る仮想ロッド電極を、イオン光軸を取り囲むように2n(nは2以上の整数)本配置して成る仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を具備する質量分析装置において、
イオン光軸の周りに1本おきの仮想ロッド電極に属し、イオン光軸に直交する面内に配置されるn個の電極素板部と、このn個の電極素板部を電気的に接続する接続部とを、1枚の導電板により一体に形成して電極部材とし、該電極部材をイオン光軸方向に互いに離して2m枚並べることにより、前記仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を構成したことを特徴としている。
多重極ロッド型イオン輸送光学系では一般に、周方向に隣接する2本の電極には互いに異なる電圧、例えば一方に直流バイアス電圧Vに高周波電圧v・cosωtを重畳した複合電圧V+v・cosωtを印加する場合、他方には同じ直流バイアス電圧Vに先の高周波電圧v・cosωtとは逆位相の高周波電圧−v・cosωtを重畳した複合電圧V−v・cosωtを印加する。本発明に係る質量分析装置では、イオン光軸の周囲に1個おきのn個の電極素板部は或る1枚の電極部材に設けられ、イオン光軸の周囲に隣接する電極素板部同士は異なる電極部材に設けられる。即ち、同じ電圧が印加されるn個の電極素板部だけが同一の電極部材に設けられるから、各電極部材毎に所定の電圧を印加することで2n本の仮想ロッド電極で囲まれる空間に適切な高周波電場、又は直流電場に高周波電場が重畳された複合電場を形成することができる。また、複数の電極素板部とそれら電極素板部同士を接続する接続部が一体化されているため、部品点数を少なくすることができる。
例えば仮想四重極ロッド型イオン輸送光学系ではn=2、仮想八重極ロッド型イオン輸送光学系ではn=4である。本発明に係る質量分析装置では、用意すべき電極部材の枚数は、仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系の極数2nには無関係である。従って、極数が増えた場合でも1本の仮想ロッド電極を構成する電極素板部の個数が変わらなければ、用意すべき電極部材の枚数は同じで済む。このように、本発明に係る質量分析装置によれば、仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を構成するための部品点数を抑えることができ、特に極数が多い場合にその部品点数の抑制効果が大きい。
本発明に係る質量分析装置の好ましい一態様として、前記電極部材は、環状又は環を部分的に切り出した形状である前記接続部の内縁端から内方に前記電極素板部が延出した形状である構成とするとよい。ここで、環とは例えば円環とすることができる。また、上記電極素板部は、その内方つまりイオン光軸に向いた縁端が、例えば円弧状又は双曲線状に形成されているようにするとよい。
多重極ロッド型イオン輸送光学系では、イオン光軸の周りに隣接する2本のロッド電極の間の角度は等しい。そのため、それぞれ異なる(イオン光軸の周りに隣接する)仮想ロッド電極に属する電極素板部をそれぞれ有する、イオン光軸方向に隣接する2枚の電極部材は、全く同一形状として、一方を他方に対しイオン光軸の周りに所定角度だけ回転させることにより得ることができる。即ち、電極部材は1種類だけ作製すればよいため、電極部材を作製する際のコストを抑えることができ、仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を安価に構成することができる。
また本発明に係る質量分析装置において、任意の1枚の前記電極部材は、イオン光軸方向に隣接する2枚の電極部材の間を所定距離離すために介挿される1個の絶縁性の保持部材により保持される構成とすることができる。
この構成によれば、それぞれ電極部材を保持させた保持部材をイオン光軸方向に重ねるように並べることにより、簡単に仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を構成することができる。また、その際に、保持部材のイオン光軸方向の厚さによって隣接する電極部材の離間距離が決まるため、精度良く電極部材を位置決めすることができる。また、1本の仮想ロッド電極を構成する電極素板部の個数の変更は並べる保持部材の個数によって変えることができるので、その変更は容易であって任意の段数の仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を構成することができる。
なお、前述のような従来の仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系では、イオン光軸に直交する面内に2n本の仮想ロッド電極に属する電極素板が1枚ずつ必ず含まれる。これに対し、本発明に係る質量分析装置では、電極部材を平板状にした場合には、イオン光軸の周りに隣接する仮想ロッド電極に属する電極素板部はイオン光軸に直交する面内に含まれず、イオン光軸方向にずれることになる。しかしながら、その場合でも、仮想ロッド電極で囲まれる空間内の、特にイオン光軸の近傍に生じる高周波電場には殆ど影響がないから、十分なイオン収束性能を発揮することができる。
但し、イオンの収束性能をより高くするため、或いは、イオンを加速する又は減速するべく印加する直流電圧を各段毎に変えるような場合には、イオン光軸の周りに隣接する仮想ロッド電極に属する電極素板部がイオン光軸に直交する面内に存在するほうが都合がよい。そこで、本発明に係る質量分析装置において、2m枚の前記電極部材は、前記電極素板部が前記接続部と面一であるm枚の第1電極部材と、前記電極素板部が前記接続部と面一でないm枚の第2電極部材と、から成り、略環状の前記接続部の位置において第1電極部材と第2電極部材とをイオン光軸方向に交互に且つ離して配列することにより、各仮想ロッド電極から1個ずつの合計2n個の電極素板部がイオン光軸に直交する面上に位置するようにした構成とするとよい。
本発明に係る質量分析装置によれば、イオン光軸に直交する面内で同一電圧が印加される電極素板部と接続線(ケーブル線等)に相当する接続部とが電極部材として1枚の導電板から形成されているため、極数に拘わらず、1本の仮想ロッド電極を構成する電極素板部の個数mの2倍の枚数、つまり2m枚の電極部材を用意すればよい。そのため、仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を構成する部品点数が少なくて済むとともに、組立てや製造・使用時の調整を容易にすることができる。特に極数が増えてもコストや組立の容易性は変わらないので、極数を多くする場合に有用である。また、2m枚用意する電極部材は全て同じ形状のものとすることができるので、この点でもコストの抑制に有利である。
本発明の一実施例であるMS/MS型質量分析装置の要部の構成図。 衝突セル内に配置される仮想四重極ロッド型イオンガイドを構成するための電極部材の平面図。 仮想四重極ロッド型イオンガイドを構成するための電極ホルダの平面図(a)、A−A’矢視切断線での断面図(b)、及びB−B’矢視切断線での断面図(c)。 電極ホルダに電極部材を装着した状態の平面図(a)及び縦断面図(b)。 仮想四重極ロッド型イオンガイドの電極配列を示す要部の縦断面図。 仮想四重極ロッド型イオンガイド中のイオンの通過状態をシミュレーションした結果を示す図。 他の実施例の質量分析装置における仮想四重極ロッド型イオンガイドを構成するための電極部材の平面図(a)及びD−D’矢視切断線での断面図(b)。 他の実施例における仮想四重極ロッド型イオンガイドの電極配列を示す要部の縦断面図。 他の実施例の質量分析装置における仮想四重極ロッド型イオンガイドを構成するための電極部材の平面図。 従来の各種の多重極ロッド型イオンガイドの概略構成図。
符号の説明
1…ノズル
2…サンプリングコーン
3…第1イオンレンズ
4…第2イオンレンズ
5…第1段四重極
6…衝突セル
7…第2段四重極
8…第3段四重極
9…イオン検出器
C…イオン光軸
11、15…第1電極部材
12…第2電極部材
13…電極ホルダ
14…固定用ボルト
20、24…円環状部
21、25、41…電極素板部
22、26…ターミナル部
23、27…円形開口
30…円環状部
31…フランジ部
32…切欠部
33…ボルト嵌入孔
本発明に係る質量分析装置の一実施例であるMS/MS型(タンデム型)質量分析装置を図面を参照して説明する。図1は本実施例のMS/MS型質量分析装置の要部の構成図である。
この質量分析装置の前段には液体クロマトグラフが設けられ、液体クロマトグラフのカラムで成分分離された試料液がノズル1に導入される。ノズル1から片寄った電荷を付与されつつ略大気圧雰囲気中に噴霧(エレクトロスプレイ)された試料液の液滴から溶媒が気化する過程で試料に含まれる各種成分はイオン化され、サンプリングコーン2を通過して後段へと送られる。このイオンは、第1イオンレンズ3及び第2イオンレンズ4を通過する際に収束され、場合によっては加速されて、第1段四重極5に導入される。第1段四重極5には様々な質量を有するイオンが導入されるが、特定の質量(厳密には質量電荷比m/z)を有する目的イオンのみが第1段四重極5を選択的に通過して次段の衝突セル6に送られ、それ以外のイオンは途中で発散してしまう。
衝突セル6内にはアルゴンガス等の所定の衝突誘起解離(CID)ガスが導入されており、上記目的イオンは衝突セル6内に配設された第2段四重極7により形成される電場を通過する際にCIDガスに衝突すると開裂する。即ち、第1段四重極5で選択された上記目的イオンがプリカーサイオンとなって各種のプロダクトイオンが生成される。これら各種のプロダクトイオンや開裂しなかった目的イオンは衝突セル6から出て第3段四重極8に導入され、特定の質量を有するプロダクトイオンのみが第3段四重極8を選択的に通過してイオン検出器9に送られ、それ以外のイオンは途中で発散してしまう。こうしてイオン検出器9には特定の質量を有するプロダクトイオンのみが到達し、そのイオンの量に応じた検出信号が出力される。第3段四重極8に印加する電圧を走査することにより、第3段四重極8で選択されるプロダクトイオンの質量を走査することができる。また、第1段四重極5に印加する電圧を変化させることにより、第1段四重極5で選択されるイオン、つまりプリカーサイオンの質量を変更することができる。
ノズル1からイオン検出器9までのイオンが通過する経路は複数の部屋に区画されており、ノズル1が配設された初段のイオン化室から四重極5、7、8、イオン検出器9が配設された分析室に向かって段階的に真空度が高くなるように真空排気がなされている。但し、衝突セル6内にはほぼ連続的にCIDガスが供給されるため、高真空の分析室内にあっても衝突セル6内のガス圧は比較的高い。そのため、衝突セル6内でCIDガスに衝突したイオンは進行方向を変えて発散し易いが、第2段四重極7により形成される電場によってイオンは適切にイオン光軸C付近に収束されつつ後段に運ばれる。本実施例の質量分析装置では、この第2段四重極7として、後述する特徴的な構造の仮想四重極ロッド型イオンガイドを用いている。
次に、この仮想四重極ロッド型イオンガイドの詳細な構造を図2〜図5により説明する。この仮想四重極ロッド型イオンガイドは、主要な構成要素として電極部材11、12と電極ホルダ13とを含む。図2は、第1電極部材11、第2電極部材12をそれぞれイオン光軸Cに平行な方向から見た平面図である。
図2(a)に示す第1電極部材11は1枚の金属板(又は他の導電性の板部材)を加工することで形成されたものであり、イオン光軸Cを中心とする円環状部20と、円環状部20の内周縁の上下からそれぞれ内方、つまりイオン光軸Cに向かって延出する一対の電極素板部21と、円環状部20の外周縁の左斜め上から外方に延出するターミナル部22と、を有する。円環状部20には90°の角度間隔で4個の円形開口23が穿設されている。電極素板部21はイオン光軸Cに向いた縁端が円弧状に形成された細長い形状であり、2つの電極素板部21の円弧状の縁端はイオン光軸Cを挟んで180°対向している。
図2(b)に示す第2電極部材12は第1電極部材11と全く同じ形状の部材であり、第1電極部材11をイオン光軸Cを中心に図2で時計回り方向に90°回転させたものである。但し、図2(b)では、説明の便宜上、図2(a)とは異なる符号を各部に付している。
図3(a)は電極ホルダ13をイオン光軸Cに平行な方向から見た平面図(a)、(b)は(a)中のA−A’矢視切断線での断面図、(c)は(a)中のB−B’矢視切断線での断面図である。電極ホルダ13は絶縁性を有する例えばテフロン(デュポン社の商標)樹脂等の合成樹脂(又は別の絶縁体)から形成され、イオン光軸C方向に厚みのある円環状部30と、円環状部30の外周縁から断面略L字状に外方に張り出したフランジ部31とを有し、フランジ部31には周方向の1個所で所定幅の切欠部32が形成されている。また、円環状部30には90°の角度間隔で4個のボルト嵌入孔33が形成されている。このボルト嵌入孔33の内径は上記電極部材11、12の円形開口23、27の内径よりも一回り小さいものとなっている。また、フランジ部31の内周縁の直径は電極部材11、12の円環状部20、24の外周縁の直径とほぼ同じ又は僅かに大きくされており、切欠部32の幅はターミナル部22、26の幅よりも僅かに大きくされている。
図4(a)は上記電極部材11、12及び電極ホルダ13から構成される仮想四重極ロッド型イオンガイドをイオン光軸Cに平行な方向から見た平面図、(b)は(a)中のE−E’矢視切断線での断面図である。また図5は、仮想四重極ロッド型イオンガイドの電極配列を示す要部の縦断面図である。
前述の電極ホルダ13の切欠部32にターミナル部22が一致するように、フランジ部31の内側に第1電極部材11を嵌め込むことにより、1個の電極ホルダ13に1枚の第1電極部材11を保持させる。この状態では、第1電極部材11の円形開口23の中心と電極ホルダ13のボルト嵌入孔33の中心とはいずれもイオン光軸Cに平行な同一線上に位置する。一方、別の電極ホルダ13をイオン光軸Cを中心に図3(a)において時計回り方向に90°回転させると、切欠部32の位置がターミナル部26の位置と一致するから、第2電極部材12を上記第1電極部材11と同様にフランジ部31の内側に嵌め込む。
こうして第1電極部材11を保持させた電極ホルダ13と第2電極部材12を保持させた電極ホルダ13とをイオン光軸C方向に交互に並べ、図4(b)に示すように、隣接する電極ホルダ13同士を密着させる。すると、第1、第2電極部材11、12の円環状部20、24は、隣接する2個の電極ホルダ13のフランジ部31の間にサンドイッチ状に挟まれる。電極部材11又は12を保持させた電極ホルダ13を所定個数、イオン光軸C方向に重ねることで仮想四重極ロッド型イオンガイドを構成する。
このように複数の電極ホルダ13を積層させたとき、各電極ホルダ13のボルト嵌入孔33と電極部材11、12の円形開口23とは円周上の90°毎の位置でイオン光軸Cに平行な線上に揃う。そこで、図4(b)に示すように、4本の固定用ボルト14をそれぞれイオン光軸Cに平行な方向にボルト嵌入孔33に貫通させることで、上述のように電極部材11、12を挟持した状態で複数の電極ホルダ13を固定する。円形開口23の内径はボルト嵌入孔33の内径よりも大きいため、ボルト嵌入孔33に金属製の固定用ボルト14を挿通しても、ボルト14と電極部材11、12とは接触せず、両者の間の絶縁は確保できる。
第1電極部材11と第2電極部材12とはイオン光軸Cの周りに互いに90°回転されたものであるから、或る1枚の第1電極部材11とイオン光軸C方向に隣接する1枚の第2電極部材12とに設けられた合計4個の電極素板部21、25は、図4(a)に示すように、イオン光軸Cの周りに90°対称配置となり、イオン光軸Cに向いた端縁はいずれも円弧状になる。この4個の電極素板部21、25が四重極の4極を構成する。この4極はイオン光軸Cに直交する一つの面上に存在しない(イオン光軸C方向にずれた位置に存在する)ものの、実質的に図10(b)に示した従来の仮想四重極ロッド型イオンガイドにおいてイオン光軸Cに直交する一面上に存在する4枚の電極素板と同等の作用を有する。図10(b)に示した4段の構成を実現するには、第1電極部材11を保持させた電極ホルダ13を4個、第2電極部材12を保持させた電極ホルダ13を4個用い、それらをイオン光軸C方向に交互に配列すればよい。
図6は第1電極部材11を保持させた電極ホルダ13を6個、第2電極部材12を保持させた電極ホルダ13を6個用い、それらを交互に配置することで6段の構成としたもののである。第1電極部材11の電極素板部21と第2電極部材12の電極素板部25とはイオン光軸C方向に距離dだけ離れるが、これは電極ホルダ13の厚みで決まる。換言すれば、電極ホルダ13の厚みによって、電極素板部21と電極素板部25との離間距離dを高い精度で以て決めることができる。イオン光軸C方向に並ぶ6個の電極素板部21又は25がそれぞれ1本の仮想ロッド電極を構成し、この仮想ロッド電極がイオン光軸Cを取り囲むように4本配置されることで仮想四重極ロッド型イオンガイドが構成されている。
上記仮想四重極ロッド型イオンガイドに対し、6枚の第1電極部材11には、例えば直流電圧Vに高周波電圧v・cosωtを重畳した複合電圧V+v・cosωtを印加し、6枚の第2電極部材12には、例えば直流電圧Vに高周波電圧−v・cosωtを重畳した複合電圧V−v・cosωtを印加する。これら電圧は図4(a)に示すように、電極ホルダ13の外周縁から外方に突出したターミナル部22、26から与えることができる。上記のような電圧を印加することで、電極素板部21、25により形成される4本の仮想ロッド電極で囲まれる空間には高周波電場が形成され、これによりイオンをイオン光軸C近傍に収束させながら後段に輸送することができる。
図6は、図5に示した仮想四重極ロッド型イオンガイドの内部空間でのイオンの通過状態をシミュレーションした結果を示す図である。上述のようにこの仮想四重極ロッド型イオンガイドは4極の電極素板部21、25が同一面上にないが、図6で分かるように、イオンは発散せずにイオン光軸Cの近傍に収束されながら輸送される。それによって、高いイオン輸送効率を達成することができる。
なお、6枚の第1電極部材11、6枚の第2電極部材12にそれぞれ同一の複合電圧を印加するのではなく、直流電圧をイオン光軸C方向に段階的に変化させることにより、直流電場の電位勾配によってイオンを加速又は減速させることもできる。
以上のように本実施例の質量分析装置における仮想四重極型イオンガイドによれば、同一電圧が印加される、イオン光軸Cを挟んで対向する一対の電極素板部とこれらを接続する接続部とが1枚の金属板から形成されており、さらにこれを保持する電極ホルダを複数積層してボルトで固定することでイオンガイドを構成することができるので、構造が簡単で部品点数も少なくて済み、また組立性や製造・使用時の調整も容易である。また、段数、つまり1本の仮想ロッド電極を構成する電極素板部の枚数の変更なども容易に行うことができる。
上記実施例の構成では、4極がイオン光軸Cに直交する一面上に存在しないが、次のようにすることで4極をイオン光軸Cに直交する一面上に配置することができる。即ち、第2電極部材12は図2(b)に示したもののをそのまま使用し、第1電極部材は図7に示した、上記実施例とは少し異なる形状のものを使用する。この第1電極部材15は、円環状部20の内周縁から内方に延出する電極素板部41がその途中で鈎状に折り曲げられ、電極素板部41の内周部分は円環状部20と平行で且つイオン光軸C方向にずれたようになっている。
これにより、上記実施例と同様にこの第1電極部材15を電極ホルダ13に保持させてイオン光軸C方向に複数の電極ホルダ13を重ねたときに、第1電極部材15の電極素板部41の内周部分と第2電極部材12の電極素板部25とはイオン光軸Cに直交する一面上に位置し、断面で見たときに図8に示すような配列となる。
また上記実施例は仮想四重極ロッド型イオンガイドを用いた例であるが、六重極、八重極、と極数を増加させることも容易である。仮想六重極ロッド型イオンガイドを構成する場合には、図9(a)に示すように、円環状部20の内周縁からイオン光軸Cの周りに120°間隔で電極素板部21が延出した形状の電極部材を用いる。また、仮想八重極ロッド型イオンガイドを構成する場合には、図9(b)に示すように、円環状部20の内周縁からイオン光軸Cの周りに90°間隔で電極素板部21が延出した形状の電極部材を用いる。一方、第2電極部材は、上記第1電極部材を、イオン光軸Cの周りに60°、及び45°、それぞれ回転させたものを用いればよい。
また、上記実施例では本発明で特徴的な仮想多重極ロッド型イオンガイドを衝突セル6内で使用したが、従来、イオンガイドやイオンレンズ等のイオン輸送光学系を利用していた様々な部分で利用することができる。例えば、図1に示したMS/MS型質量分析装置において、第1イオンレンズ3や第2イオンレンズ4に仮想多重極ロッド型イオンガイドを用いることもできる。もちろん、MS/MS型に限らず、様々な質量分析装置におけるイオン輸送光学系として利用できることは当然である。

Claims (4)

  1. イオン光軸方向に互いに分離されたm(mは2以上の整数)個の電極素板部から成る仮想ロッド電極を、イオン光軸を取り囲むように2n(nは2以上の整数)本配置して成る仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を具備する質量分析装置において、
    イオン光軸の周りに1本おきの仮想ロッド電極に属し、イオン光軸に直交する面内に配置されるn個の電極素板部と、このn個の電極素板部を電気的に接続する接続部とを、1枚の導電板により一体に形成して電極部材とし、該電極部材をイオン光軸方向に互いに離して2m枚並べることにより、前記仮想多重極ロッド型イオン輸送光学系を構成したことを特徴とする質量分析装置。
  2. 前記電極部材は、略環状である前記接続部の内縁端から内方に前記電極素板部が延出した形状であることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
  3. 任意の1枚の前記電極部材は、イオン光軸方向に隣接する2枚の電極部材の間を所定距離離すために介挿される1個の絶縁性の保持部材により保持されることを特徴とする請求項2に記載の質量分析装置。
  4. 2m枚の前記電極部材は、前記電極素板部が前記接続部と面一であるm枚の第1電極部材と、前記電極素板部が前記接続部と面一でないm枚の第2電極部材と、から成り、略環状の前記接続部の位置において第1電極部材と第2電極部材とをイオン光軸方向に交互に且つ離して配列することにより、各仮想ロッド電極に属する1個ずつの合計2n個の電極素板部がイオン光軸に直交する面上に位置するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の質量分析装置。
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