JP7073459B2 - イオンガイド及びそれを用いた質量分析装置 - Google Patents
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Description
1には、多重極(四重極、六重極、八重極など)の平行なロッド電極で構成される多重極
イオンガイドが開示されている。特許文献2には、イオンが2つのイオンガイド間の擬ポ
テンシャル障壁をDCポテンシャルにより乗り越えることでイオンガイド間移動するイオ
ンガイドが開示されている。特許文献3には、2つの独立した多重極イオンガイドを組み
合わせて、1つの多重極イオンガイドを形成するイオンガイドが開示されている。
ほぼ同軸となるように入射されるため、イオンと気流を分離できないという問題があった
。
在する。このため、イオンを一方のイオンガイドから他方のイオンガイドに移動するには
、擬ポテンシャル障壁よりも十分高いDC電界を印加する必要がある。しかし、高いDC
電界を印加すると擬ポテンシャル障壁を乗り越えた後のイオンの運動エネルギーが高くな
り、イオンガイド外にイオンが排出される。このため、イオンガイドの透過効率が低いと
いう問題があった。また、特許文献2の方式は高次の多重極イオンガイドやリングスタッ
ク型のイオンガイドには適用可能であるが、四重極などの次数の低い多重極に適用するの
は困難である。そのため四重極イオンガイドなど次数の低い多重極イオンガイドと比較す
るとイオンを収束する性能が低いという問題もあった。
には、イオンガイドを構成するロッド電極の一部のロッドに他のロッド電極と異なるDC
電圧を印加する記述はなく、イオンは擬ポテンシャルの極小点付近に分布するという問題
があった。
ドを実現するものである。
ッド電極セットと、第1の中心軸から離間した第2の中心軸を有しイオンが排出される第
2のロッド電極セットと、第1のロッド電極セットと第2のロッド電極セットに電圧を印
加する電源とを有し、第1のロッド電極セットと第2のロッド電極セットは長手方向に重
なり合う領域を有し、当該重なり合う領域において組み合わされて単一の多重極イオンガ
イドを形成し、第1のロッド電極セットと第2のロッド電極セットは電源からそれぞれ異
なるオフセットDC電圧が印加され、オフセットDC電圧は、第1のロッド電極セットに
よってガイドされてきたイオンを重なり合う領域において第2のロッド電極セットに移動
させるDCポテンシャルを形成するものである。
極であり、前記単一の多重極イオンガイドは六重極である。
トは四重極であり、前記単一の多重極イオンガイドは八重極である。
ンガイドを実現できる。
。
[実施例1]
図1は、本発明のイオンガイドを用いた質量分析装置の構成例を示す断面模式図である
。
ックス支援レーザー脱離イオン源などのイオン源14で生成されたイオンは、気流ととも
に細孔18を通過して質量分析装置の真空室に導入される。細孔18から直接差動排気部
12に導入してもよいし、図1のように中間真空室17を経て細孔10から差動排気部1
2に導入してもよい。差動排気部12にはイオンを輸送するためのイオンガイド4が設置
されていて、真空ポンプ15で排気される。イオンガイド4にはイオンガイド電源300
から電圧が印加されている。後述するようにイオンガイド4で気流101と分離されたイ
オン100は、細孔11を通過して質量分析部13へと導入される。質量分析部13は真
空ポンプ16で排気されている。本実施例のイオンガイドが動作する圧力は10000P
a~10-3Pa程度である。特に10000Pa~10Paでは中性気体分子との衝突で
イオンの運動エネルギーが冷却されるためにイオンを効率よく収束することができる。
のチャンバー208から圧力p1のチャンバー209に導入される気流の模式図である。
図中に矢印で示したように気流の入射方向202は細孔203が設けられた平面に対して
垂直方向である。細孔203の前後の圧力差に応じてバレルショック200やマッハディ
スク201が形成され、マッハディスク以降はマッハディスクとほぼ同じ直径で気流が直
進する。マッハディスク201の直径Djetは以下の式で与えられる。
[式1]
0のチャンバー208から圧力p1のチャンバー209に導入される気流の模式図である。
細管の場合も、細孔の場合と同様にマッハディスク201が形成され、マッハディスク以
降はマッハディスクとほぼ同じ直径で気流が直進する。細管の場合、気流の方向202は
細管204の中心軸方向である。
ガイド全体を示す斜視模式図、図5はイオンガイドをY軸方向から見た概略図、図6は図
4中に(i)、(ii)、(iii)で示した位置の径方向(YZ平面)断面模式図、図7は一部のロ
ッド電極21a,21d、及びロッド電極22b,22cのXY平面の断面模式図である
。
出される側のロッド電極の組22をロッド電極セット2と定義する。本実施例では、ロッ
ド電極セット1は、4本のロッド電極21a,21b,21c,21dによって構成され
、ロッド電極セット2は4本のロッド電極22a,22b,22c,22dによって構成
される。また、ロッド電極セット1のイオンと気流26が導入される側の端をイオンガイ
ド入口24、ロッド電極セット2のイオンが排出される側の端をイオンガイド出口25と
する。ロッド電極の形状は、図4に示したような円柱に近い形状でも、角柱や多角形でも
よい。ロッド電極21d,22c,21a,22bは、ロッド電極21d,22cの組、
及びロッド電極21a,22bの組で一つの円柱や角柱を近似するように半円柱などの形
状をとる。隣接するロッド電極21dとロッド電極22c、及びロッド電極21aとロッ
ド電極22bの間隔は、0.1mm~2mm程度である。
軸方向に一定距離だけずれている。また、ロッド電極セット1とロッド電極セット2は長
手方向の一部領域で重なり合い、当該重なり合った領域において図6に示すようにロッド
電極セット1とロッド電極セット2のロッド電極同士が組み合わされて単一の多重極イオ
ンガイドを形成している。
RF電圧の位相を示す。同じ符号が付されたロッド電極には同位相、同振幅、同周波数の
RF電圧が印加される。同じロッド電極セットでは対向するロッド電極が同位相、隣接す
るロッド電極が逆位相となるようにRF電圧が印加される。また、また異なるロッド電極
セットで隣接するロッド電極21d,22c及びロッド電極21a,22bには同位相、
同振幅、同周波数のRF電圧を印加する。このように電圧を印加することで電極間の間隔
が狭いロッド電極21d,22c及びロッド電極21a,22b間にRF電圧の電位差が
発生せず、放電を防ぐことができる。
じロッド電極セットに含まれるロッド電極には同じオフセットDC電圧が印加される。オ
フセットDC電圧は測定する試料のイオンをロッド電極セット1からロッド電極セット2
の方向に動かす電界が形成されるよう印加する。すなわち正イオンを測定する場合には、
ロッド電極セット1にロッド電極セット2よりも高い電位になるオフセットDC電圧を印
加し、負イオンを測定する場合にはロッド電極セット1にロッド電極セット2よりも低い
オフセット電圧を印加する。ロッド電極セット1とロッド電極セット2のDCオフセット
の差を、0.1V以上100V以下に設定すると、イオンを効率よくロッド電極セット1
側からロッド電極セット2側に移動することができる。
極23を配置して、ここにイオンをイオンガイド出口25の方向に押し込むDC電圧を印
加するとイオンのロスを低減することもできる。インキャップ電極23に印加される電圧
は正イオンを測定する場合にはロッド電極セット2に印加されるオフセットDC電圧より
も高く、負イオンを測定する場合にはロッド電極セット2に印加されるオフセットDC電
圧よりも低く設定する。
ッド電極セット1のオフセット電圧を生成するDC電源301、ロッド電極セット2のオ
フセット電圧を生成するDC電源302、及び180度位相が異なる2相のRF電圧を生
成するRF電源303からなり、各ロッド電極にそれぞれオフセット電圧とRF電圧を印
加する。
られる。各領域でロッド電極の組21,22の径方向(YZ平面)における位置関係が異
なり、結果として形成される擬ポテンシャルも異なる。
領域1ではロッド電極セット1の四本のロッド電極がほぼ正方形の頂点付近の位置に配
置され、四重極イオンガイドが形成される。ロッド電極セット1の四本のロッド電極に印
加されるRF電圧により径方向(YZ平面)の擬ポテンシャルが形成される。
領域1の径方向(YZ平面)の擬ポテンシャルを示す図である。また図9(B)は、図9
(A)中に波線で示した軸におけるポテンシャルの高さをZ方向位置に対してプロットし
た図である。四重極の擬ポテンシャルは、RF電圧によって形成される電界が最小となる
点を極小点とした二次関数となる。イオンガイドの中心軸は径方向(YZ平面)の擬ポテ
ンシャルの極小点50を連結した線で定義する。領域1ではロッド電極セット1とロッド
電極セット2の間には擬ポテンシャル障壁が存在するため、イオンはロッド電極セット間
を移動することはできない。
7に示すように、領域1及び領域3の位置からロッド電極21a,22bの組とロッド電
極21d,22cの組の間隔が広がり、図6のように、ロッド電極21a,22bの組、
ロッド電極21b、ロッド電極21c、ロッド電極21d,22cの組、ロッド電極22
d、及びロッド電極22aがほぼ正六角形の頂点の位置に配置された六重極イオンガイド
が形成される。ロッド電極21d,22cの組、ロッド電極21a,22bの組にはそれ
ぞれ同位相、同振幅、同周波数のRF電圧が印加されるため、擬ポテンシャルを考える際
にはロッド電極21a,22bの組、及びロッド電極21d,22cの組を、それぞれひ
とつの極とみなすことができる。
は、領域2の径方向(YZ平面)の擬ポテンシャルを示す図である。また図10(B)は
、図10(A)中に波線で示した軸におけるポテンシャルの高さをZ座標に対してプロッ
トした図である。ロッド電極セット1、ロッド電極セット2が組み合わさり六重極を形成
することで、ロッドに囲まれた領域の中心付近に極小点をもつ単一の擬ポテンシャルが形
成される。図10(B)から明らかなように、ロッド電極セット1とロッド電極セット2
の間には擬ポテンシャル障壁が存在せず、イオンが自由に行き来することができる。
より、径方向(YZ平面)にDCポテンシャルが形成される。図11はイオンガイドによ
って生成されるポテンシャルを示す図であり、図11(A)は、領域2の径方向(YZ平
面)のDCポテンシャルを示す図である。また図11(B)は、図11(A)中に波線で
示した軸におけるポテンシャルの高さをZ方向の位置に対してプロットした図である。こ
のDCポテンシャルにより、イオンをZ方向(ロッド電極セット1からロッド電極セット
2の方向)に動かす力が働く。本実施例のイオンガイドでは、ロッド電極セット1とロッ
ド電極セット2そのものに異なるオフセットDC電圧を印加することで効果的にDCポテ
ンシャルを形成することができる。一方、特許文献3のようにロッド電極以外の電極、例
えばロッド電極に間隙挿入した電極などで形成されるDCポテンシャルは、ロッド電極に
よって遮蔽されるためイオンガイド内部に与える影響が小さく、また特にロッド電極の近
傍においてポテンシャルが乱れるため、イオンのロスの要因にもなる。
ンシャルを示す図である。図12(A)はYZ面内の合成ポテンシャルを示し、図12(
B)はZ軸に沿った合成ポテンシャルを示す。合成ポテンシャルの極小点51は、擬ポテ
ンシャルの極小点よりロッド電極セット2側に位置する。また、合成ポテンシャルの極小
点51は、イオンガイド領域2へのイオンの入射位置52よりロッド電極セット2の側に
位置し、領域1においてロッド電極セット1によってガイドされてきたイオンを領域2に
おいてロッド電極セット2側に移動させるように作用する。
度で折れ曲がる構成でもよい。ゆるい角度で折れ曲がる場合、接続部分の径方向のポテン
シャルは接続元のポテンシャルから接続先のポテンシャルに連続的に変化する。また、図
4、図5に示すようにロッド電極セット1のロッド電極が領域3の入口まで存在している
と、イオンを領域2から領域3の方向に移動させる電界が生じるため、イオンを領域2か
ら領域3に効率よく輸送することができる。
2cの組の間隔が狭まり、ロッド電極セット2の四本のロッド電極がほぼ正方形の頂点付
近の位置に配置される。領域1と同様に、ロッド電極セット2の4本のロッド電極により
擬ポテンシャルが形成され、領域3におけるロッド電極セット2の中心軸にイオンを収束
させる。四重極によって形成される擬ポテンシャルは、図9(B)のように極小点付近で
のポテンシャルの傾きが高次の多重極やリングスタック型のイオンガイドより大きいため
、イオンを軸上に収束させる効果が高い。イオンを収束する効果が高いほど、イオンがイ
オンガイドの後段の細孔11を透過する効率が高くなり、高感度な測定が可能になる。
を考慮したイオン軌道シミュレーションの結果を示す図である。図13(A)にY軸方向
から見たイオンの軌道30を、図13(B)にY軸方向からみた気流に含まれる中性粒子
の流れ31を示す。また、図14(A)にX軸方向から見たイオンの軌道を、図14(B
)にイオンガイドの出口におけるイオンと中性粒子の分布範囲を示す。
される。細孔や細管の出口では、図2や図3に示すような気流が発生する。イオンはこの
気流にそってイオンガイド4に導入される。気流は領域1におけるロッド電極セット1の
中心軸とほぼ同軸に入射する。領域1におけるロッド電極セット1の中心軸と同軸にイオ
ンを入射することで、イオンが図9(A)の擬ポテンシャルの中心軸50付近を流れるこ
とになり、イオンを効率よくイオンガイド4に導入することができる。また、図4のロッ
ド電極セット1の擬ポテンシャルの内側に図2のマッハディスクが生成されるようにする
と、イオンをイオンガイドの中心軸上に収束させる力により、マッハディスク付近での拡
散による損失が抑えられ、イオンガイドの透過効率が向上する。イオンはロッド電極セッ
ト1で構成される四重極イオンガイドの中心軸上に収束される。
が領域2に入射される位置52は、領域1においてロッド電極セット1で構成される四重
極イオンガイドの中心軸の延長線付近である。イオンはロッド電極セット1とロッド電極
セット2のオフセットDC電圧の差により、図13(A)及び図14(A)に示されるよ
うに図12に示した合成ポテンシャルの極小点51があるロッド電極セット2側に移動す
る。DCポテンシャルと擬ポテンシャルの[式2]を比較すると、同じ印加電圧ではDC
ポテンシャルのほうがイオンに与える力が大きい。このため、DCポテンシャルを用いる
ことで、低い印加電圧でも効果的にイオンを気流から引き剥がすことができる。一方、気
流に含まれる中性粒子や液滴は電界の影響を受けにくいため、図13(B)のようにX軸
方向にそのまま直進する。このように、ロッド電極セット1とロッド電極セット2のオフ
セットDC電圧の差によって形成されるDCポテンシャルを用いることで、イオンと気流
に含まれる中性粒子の分布を分離することができる。
2で構成される四重極イオンガイドに導入される。領域3では気流とイオンが分離されて
いるため、気流によるイオンの拡散、気流中の密度が高いことによる収束への影響がない
。そのため、イオンをイオンガイドの中心軸上に収束させやすい。イオンガイドの出口で
イオンが狭い範囲に収束されていると、細孔11の透過率が高くなり高感度が得られる。
とイオンの分布33を示す図である。気流はロッド電極セット1の領域1における中心軸
とほぼ同軸に入射するため、気流に含まれる中性粒子はロッド電極セット1の中心軸の延
長線上に分布する。一方、イオンはロッド電極セット2の中心軸付近に分布する。このた
め、本実施例のイオンガイドを用いることで、イオンガイドの出口25で気流に含まれる
中性粒子の分布34とイオンの分布33がお互いに重なりあわないように分離できる。
9)の質量スペクトルを示す。また、図15(B)は、レセルピンのイオン信号強度をロ
ッド電極セット1とロッド電極セット2のオフセットDC電圧の差に対してプロットした
図である。ロッド電極セット1とロッド電極セット2のオフセットDC電圧の差が0Vの
場合には、イオンはほとんど観測されなかった。これはイオンが図13(B)に示した気
流の流れ31に沿って直進するためであると考えられる。ロッド電極セット1とロッド電
極セット2のオフセットDC電圧の差が大きくなるとイオン信号強度は徐々に増加し、4
V以上ではほぼ一定の値になった。これはオフセットDC電圧4V以上ではほぼすべての
イオンがロッド電極セット2に移動し、ロッド電極セット2の中心軸から排出されている
ことを示している。
のみを切り出して質量分析部側に導入することで、イオンガイドより質量分析部側に導入
される気体の流量が減り、真空ポンプの負荷が低下する。これにより排気速度が小さい、
小型で安価な真空ポンプを使うことができるようになる。また、質量分析部のイオンのパ
スに気流に含まれる中性分子、気流に含まれる液滴が進入するのを防ぎ、装置のロバスト
性も向上する。特に液滴はノイズの原因ともなるため、液滴の進入を防ぐことでS/Nも
向上する。
図16及び図17は、本発明のイオンガイドの他の実施例を示す構成図である。図16
はイオンガイド全体を示す斜視模式図、図17はイオンガイドをY軸方向から見た概略図
である。
の長手方向(X軸方向)に複数のセグメントに分割されている点が実施例1と異なる。第
1のロッド電極セット及び第2のロッド電極セットの各ロッド電極は長手方向の同一位置
を分割点として複数のセグメントに分割され、各セグメントは互いに電気絶縁されている
。電気絶縁の方法は、隣接するセグメント同士を離間させて間に隙間を設ける方法でもよ
いし、隣接するセグメントの間にセラミックなどの絶縁材料を介在させる方法でもよい。
図にはロッド電極の組21,22をそれぞれ4つのセグメントに分割する例を示したが、
セグメントの数は2個以上であればよい。
れ、任意のX座標のYZ平面には同一のセグメントに含まれるロッド電極のみが存在する
。ロッド電極の組21、ロッド電極の組22にはRF電圧、オフセットDC電圧に加えて
、セグメント毎に独立にセグメントDC電圧が印加される。図18は、セグメントDC電
圧の一例を示す図である。同一のセグメントに含まれるロッド電極には同一のセグメント
DC電圧が印加される。正イオン測定時にイオンガイド入口からイオンガイド出口に向か
ってセグメントDC電圧が徐々に低くなるように設定すると、イオンをX軸方向に加速す
る電界が生じ、圧力が高い条件でもイオンガイド内部にイオンが停留するのを防ぐことが
できる。
に同じ符号を付して示したロッド電極にはすべてのセグメントにおいて同一の位相、同一
の振幅、同一の周波数のRF電圧を印加する。また、同じロッド電極セットに含まれるロ
ッド電極の組には同じオフセットDC電圧を印加する。図19は、セグメントDC電圧と
オフセットDC電圧の和を示す図である。図19において、61はロッド電極セット1の
各セグメントに印加されるDC電圧を、62はロッド電極セット2の各セグメントに印加
されるDC電圧を示し、60はオフセットDC電圧の差を示している。
ャルは実施例1と同じになる。したがって、実施例1と同様に、領域1においてイオンを
ロッド電極セット1の中心軸に収束させ、領域2においてイオンを気流から分離してロッ
ド電極セット1側からロッド電極セット2側に移動させ、領域3においてロッド電極セッ
ト2の中心軸上にイオンを収束させることが可能である。このように、ロッド電極をセグ
メントに分割した場合でも、実質的に実施例1と同じ機能を得ることができる。このこと
から、本実施例のようにイオンガイドの長手方向(X軸方向)でロッド電極をセグメント
に分割した構成でも、長手方向に連続するセグメントの電極をまとめて一つのロッド電極
として定義できる。
図20から図22は、本発明のイオンガイドの他の実施例を示す構成図である。図20
はイオンガイド全体を示す斜視模式図、図21はイオンガイドをY軸方向から見た概略図
、図22は図20中に(i)、(ii)、(iii)で示した位置の径方向(YZ平面)断面図である
。ロッド電極の形状は、図20に示したような円柱に近い形状でも、角柱や多角形でもよ
い。
出される側のロッド電極の組22をロッド電極セット2とする。同じロッド電極セットに
含まれるロッド電極には同じオフセットDC電圧を印加する。図22中の符号“+”、“
-”はRF電圧の位相を示し、同じ符号が記入されたロッド電極には同位相、同振幅、同
周波数のRF電圧を印加する。
より四重極イオンガイドが形成される。領域2では領域1の位置からロッド電極セット1
のロッド電極21a,21dとロッド電極セット2のロッド電極22b,22cの間隔が
広がり、図22のように各ロッド電極がほぼ正八角形の頂点の位置にくる。ロッド電極セ
ット1とロッド電極セット2が組み合わさり八重極を形成することで、ロッドに囲まれた
領域の中心付近に極小点をもつ単一の擬ポテンシャルが形成される。ロッド電極セット1
とロッド電極セット2の間には擬ポテンシャル障壁が存在せず、イオンが自由に行き来す
ることができる。オフセットDC電圧を、測定する試料のイオンをロッド電極セット1か
らロッド電極セット2の方向に動かす電界が形成されるよう印加すると、領域2でイオン
を気流から引き剥がしてロッド電極セット1側からロッド電極セット2側に移動させるこ
とができる。ロッド電極セット2側に移動したイオンは領域3に導入される。領域3では
ロッド電極セット2の4本のロッド電極22a,22b,22c,22dにより4重極イ
オンガイドが形成され、イオンは4重極イオンガイドの中心軸上に収束する。本実施例で
は八重極を例に説明したが、10、12、16、20重極など八重極以上の多重極でもよ
い。
価な円柱状のロッド電極を用いることができるため、実施例1に比べて安価である。一方
、八重極など高次の多重極では擬ポテンシャルの中心付近の勾配がゆるいため、イオンが
径方向の広い範囲に分布し、多重極から四重極への変形箇所でイオンの損失が発生しやす
い。
図23から図25は、本発明のイオンガイドの他の実施例を示す構成図である。図23
はイオンガイド全体を示す斜視模式図、図24はイオンガイドをY軸方向から見た概略図
、図25は図23中に(ii)、(iii)で示した位置の径方向(YZ平面)断面図である。
ようにイオンを含む気流26は領域2のロッド電極セット1のロッド電極21a,21b
,21c,21dで囲まれた範囲に、イオンガイドの領域2の中心軸と平行に入射する。
領域2、領域3における構成、印加電圧、及びイオンと気流の挙動は実施例1と同様であ
る。
る。一方、イオンを収束させる領域1の部分がないため、イオンガイドの透過効率自体は
実施例1の構成よりも低くなる。
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであ
り、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実
施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例
の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部につ
いて、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
10,11 細孔
12 差動排気部
13 質量分析部
14 イオン源
17 中間真空室
18 細孔
21-22 ロッド電極セット
23 インキャップ電極
24 イオンガイド入口
25 イオンガイド出口
27 イオンの排出位置
30 イオン軌道
33 イオンの分布範囲
50 四重極イオンガイド中心軸
51 合成ポテンシャル極小点
91 イオンの分布
100 イオン
101 気流
200 バレルショック
201 マッハディスク
203 気流の入射方向
204 細管
300 イオンガイド電源
Claims (5)
- 複数のロッド電極と、
前記複数のロッド電極に電圧を印加する電源と、を備えるイオンガイドであって、
前記イオンガイドの一部が擬ポテンシャルの単一の極小点を持つ第1のイオンガイドを構成し、
前記第1のイオンガイドを構成するロッド電極のうちの一部のロッド電極が屈曲し、前記一部のロッド電極と、前記第1のイオンガイドを構成する他の一部のロッド電極とが、前記第1のイオンガイドとはロッド電極の極数が異なる第2のイオンガイドを構成し、
前記電源は、前記第2のイオンガイドを構成する前記ロッド電極のセットと、前記第2のイオンガイドを構成する前記ロッド電極以外の前記ロッド電極のセットとに対し、異なる静電電圧を印加することを特徴とするイオンガイド。 - 複数のロッド電極により構成され、第1の中心軸を有する第1のイオンガイドと、
前記第1のイオンガイドを構成する前記複数のロッド電極のうちの一部のロッド電極が屈曲し、前記屈曲する一部のロッド電極を含む、前記第1のイオンガイドよりも少ない数のロッド電極により構成され、前記第1の中心軸とは異なる第2の中心軸を有する第2のイオンガイドと、
前記複数のロッド電極に電圧を印加する電源と、を備え、
前記電源は、前記第1のイオンガイドを構成するロッド電極と前記第2のイオンガイドを構成するロッド電極とに対し、それぞれ異なるオフセット静電電圧を印加することを特徴とするイオンガイド。 - 請求項1又は2に記載のイオンガイドにおいて、
前記第2のイオンガイドが四重極であり、前記第1のイオンガイドが八重極であることを特徴とするイオンガイド。 - イオンを生成するイオン源と、
イオンを質量分析する質量分析部と、
前記イオン源で生成されたイオンを前記質量分析部へ輸送する請求項1又は2に記載のイオンガイドと、を備え、
前記イオン源で生成されたイオンを前記イオンガイドへ導入する第1の細孔が、前記第1のイオンガイドの入口における、前記第1のイオンガイドの中心軸に対して第2のイオンガイドを形成するロッド電極側と反対側の位置からイオンを導入するように設けられていることを特徴とする質量分析装置。 - 請求項4に記載の質量分析装置であって、
前記イオンガイドから輸送されるイオンを前記質量分析部へ導入する第2の細孔が、前記第2のイオンガイドから排出されるイオンの進行方向に設けられていることを特徴とする質量分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020147254A JP7073459B2 (ja) | 2020-09-02 | 2020-09-02 | イオンガイド及びそれを用いた質量分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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