JP5152320B2 - 質量分析装置 - Google Patents

質量分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5152320B2
JP5152320B2 JP2010501677A JP2010501677A JP5152320B2 JP 5152320 B2 JP5152320 B2 JP 5152320B2 JP 2010501677 A JP2010501677 A JP 2010501677A JP 2010501677 A JP2010501677 A JP 2010501677A JP 5152320 B2 JP5152320 B2 JP 5152320B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion
ion optical
optical axis
electrode plates
optical system
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010501677A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009110025A1 (ja
Inventor
克 西口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Publication of JPWO2009110025A1 publication Critical patent/JPWO2009110025A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5152320B2 publication Critical patent/JP5152320B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/02Details
    • H01J49/06Electron- or ion-optical arrangements
    • H01J49/062Ion guides
    • H01J49/063Multipole ion guides, e.g. quadrupoles, hexapoles
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/02Details
    • H01J49/06Electron- or ion-optical arrangements
    • H01J49/062Ion guides
    • H01J49/065Ion guides having stacked electrodes, e.g. ring stack, plate stack

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Description

本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、質量分析装置においてイオンを後段に輸送するためのイオン光学系に関する。
質量分析装置では、前段から送られて来るイオンを収束し、場合によっては加速して後段の例えば四重極質量フィルタ等の質量分析器に送り込むために、イオンレンズやイオンガイドとも呼ばれるイオン光学系が用いられる。こうしたイオン光学系の1つとして、従来より、四重極、八重極などの多重極ロッド型の構成が利用されている。また、イオンを質量に応じて分離するための質量分析器としてよく用いられる四重極質量フィルタでは、四重極ロッド電極本体へのイオンの導入を円滑に行うために、その本体の前段に短いプリロッド電極が配置されることがある。また、四重極ロッド電極の後端部での電場の乱れによるイオンの進行の乱れを回避するために、四重極ロッド電極本体の後段に短いポストロッド電極が配置されることがある。これらプリロッド電極やポストロッド電極もイオン光学系の一種である。
図15(A)は一般的な四重極ロッド型イオンガイド710の概略斜視図、図15(B)はこのイオンガイド710のイオン光軸Cに直交するx−y面内における平面図である。このイオンガイド710は、円柱形状の4本のロッド電極711〜714がイオン光軸Cを取り囲むように互いに平行に配置された構造を有する。一般的に、図15(B)中に示すように、イオン光軸Cを挟んで対向する2本のロッド電極711、713のペアには高周波電圧V・cosωtが印加され、イオン光軸Cの周りに隣接する他の2本のロッド電極712、714のペアには先の高周波電圧V・cosωtと振幅が同一で位相が180°シフトされた(つまり極性が反転された)高周波電圧V・cos(ωt+π)=−V・cosωtが印加される。このように印加される高周波電圧±V・cosωtにより、4本のロッド電極711〜714で囲まれる空間に四重極高周波電場が形成され、この電場中でイオンを振動させつつイオン光軸C付近に収束させながら後段に輸送することができる。
図16は八重極ロッド型イオンガイド720のイオン光軸Cに直交するx−y面内における平面図である。円柱形状の8本のロッド電極721〜728は、内接円筒Aに接するようにイオン光軸Cの周りに等角度間隔で配置されている。各ロッド電極721〜728に印加される高周波電圧は四重極の場合と同様であり、イオン光軸Cを挟んで対向する2本のロッド電極には同一の高周波電圧が印加され、イオン光軸Cの周りで隣接するロッド電極には互いに位相が180°シフトした高周波電圧が印加される。
上述のような四重極又はそれ以上の多重極ロッド型イオン光学系では、その極子の数によって、ロッド電極で囲まれる空間に形成される高周波電場の形状が異なる。それに伴い、イオンビームの収束性、イオン透過性(トランスミッション)、イオン受容性(アクセプタンス)、イオン蓄積性、或いは質量選択性などのイオン光学特性も相違する。一般に、極数の少ないほうが中性分子との衝突冷却(クーリング)によるビーム収束性や質量選択性が良好であり、極数が増加するに従いビーム収束性や質量選択性は低下する反面、イオン透過性やイオン受容性は向上すると言える。
また、特許文献1、2などには、仮想ロッド電極を用いたイオン光学系が開示されている。図17はこの仮想ロッド電極を用いたイオン光学系の概略構成図である。このイオン光学系730では、図15(A)に示した各ロッド電極711、712、713、714が、イオン光軸Cの方向に沿って並べられた複数(この図17の例では4枚だがこの枚数は任意)の平板状の電極板735で構成した4本の仮想ロッド電極731、732、733、734で置き換えられている。各仮想ロッド電極731〜734に印加される高周波電圧は、図15(B)に示した、実体的なロッド電極711〜714と同じである。
但し、1本の仮想ロッド電極731〜734を構成する複数枚の電極板にはそれぞれ異なる電圧を印加することが可能であるから、例えばイオンが進行する方向に段階的に増加する直流電圧を高周波電圧に重畳するように印加する。それにより形成される直流電場は、仮想ロッド電極731〜734で囲まれる空間を通過するイオンを加速したり逆に減速させたりする作用を有する。これにより、イオンの加速や減速が容易に行える。また、この構成では、1本の仮想ロッド電極を構成する複数枚の電極板を、イオンの進行に従ってイオン光軸Cに近づけるように配置することができる。それによって、イオンの進行に伴いイオンが振動し得る範囲が狭くなるため、結果的にイオンをイオン光軸C付近に収束させ、例えばスキマーの頂部に形成された微小な通過孔を効率的に通過させて後段へ輸送することができる。
特開2000−149865号公報 特開2001−351563号公報
前述のように、従来の多重極ロッド型のイオン光学系では極数によりイオン光学特性が異なるために、そのイオン光学系が使用される雰囲気(例えばガス圧など)や前段、後段に配置されるイオン光学素子との関係などに合わせて適当な極数が選択され、さらにその極数の条件の下でロッド電極の径や長さなどのパラメータを決めるように設計が行われるのが一般的である。しかしながら、従来型のイオン光学系では、パラメータの選択の自由度が小さいために必ずしも用途に応じた最適なイオン光学特性を有するイオン光学系を用いることができず、そのために検出感度や精度を上げることが難しい場合がある。
一方、従来の仮想ロッド型イオン光学系では、1本の仮想ロッド電極が複数枚の電極板から構成されているため、電極板の幾何学的配置の自由度が大きく、前述のように、電極板の配置を工夫することなどにより、イオンの収束性を高めることが可能である。また、階段状の直流電圧の印加により、イオンの加速や減速も可能である。しかしながら、多数の電極板により1本の仮想ロッド電極を構成しているため、部品点数が増えることは避けられず、電極板の配置精度なども要求されることから組立や調整も難しくなる。そのため、仮想ロッド電極で八重極以上の多重極を構成するのは難しい。
近年、分析対象物質の種類の多様化や複雑化、或いは迅速な分析の要求などに対応するため、質量分析装置のさらなる高感度化、高精度化やハイスループット化などが求められている。こうした要求に応えるために、イオン光学系においても性能の向上を図る必要があるものの、実際には、上記理由により従来の多重極ロッド型の構成を基本とした性能向上には限界がある。また、仮想多重極ロッド型の構成としても、主としてコストなどの観点から、極数を増加してイオン透過率などのイオン光学特性を改善するのはあまり実用的でない。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、前段から到来するイオンを収束したり、場合によっては加速又は減速したりして後段に送るイオン光学系の性能を向上させることで、検出感度や分析精度の向上を図ることができる質量分析装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、雰囲気ガス圧などの使用条件に応じて、イオン透過性やイオン受容性、或いは質量選択性などの要求される特性を、容易に且つ低廉なコストで実現することができるイオン光学系を備える質量分析装置を提供することにある。
上記のような仮想多重極ロッド型イオン光学系において形成される高周波電場についてはこれまで十分な解析が為されておらず、あくまでも極子が同数である多重極ロッド型イオン光学系と同様の高周波電場が形成されるものと考えられていた。これに対し、本願発明者は、仮想四重極ロッド型イオン光学系において形成される高周波電場についての解析を行うことにより、一般の四重極ロッド型イオン光学系とは異なり仮想四重極ロッド型イオン光学系では、四重極電場成分のみならず、さらに高次の多重極電場成分を豊富に含むことを見い出した。この四重極電場成分を抑制し、高次の多重極電場成分を相対的に増加さることが可能であれば、例えば四重極であっても八重極やそれ以上の多重極に近いイオン光学特性を達成できる筈である。
仮想多重極ロッド型イオン光学系では、複数枚の電極板により1本の仮想ロッド電極が構成されるという構造上の特徴から、1本の仮想ロッド電極に属する電極板に異なる電圧を印加することが可能である。前述したように、従来、直流電圧に関してはイオンの進行に従って段階的に直流電圧を変えることが行われているが、イオンを振動させる高周波電圧については同一とされている。本願発明者はこの点に着目し、一本の仮想ロッド電極を構成する複数の電極板に印加する高周波電圧の位相を変えることで、低次の高周波電場成分を抑制し、高次の高周波電場成分を増加させるという手法に想到した。そして、シミュレーション計算により、そうした手法を用いることで実用的な構成で十分に高い効果が得られることを確認し、本発明を得るに至った。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様は、イオンを後段に輸送するイオン光学系を具備する質量分析装置であって、該イオン光学系は、
a)イオン光軸に沿って互いに分離されたM(Mは3以上の整数)枚の電極板から成る仮想ロッド電極を、イオン光軸を取り囲むように2×N(Nは2以上の整数)本配置して成る仮想多重極ロッド型のイオン光学素子と、
b)イオン光軸の周りに配設された2×N枚の電極板の中で、イオン光軸を挟んで対向する2枚の電極板に同一の高周波電圧を印加するとともに、イオン光軸の周りで隣接する電極板には互いに振幅が同一で位相が180°相違する高周波電圧を印加し、且つ、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で少なくとも一部では、イオン光軸方向に隣接する1枚毎又は複数枚毎に振幅が同一で互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する電圧印加手段と、
を含み、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で、イオン光軸方向に隣接する第1の枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分と、イオン光軸方向に隣接する前記第1の枚数とは異なる第2の枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分とが、存在することを特徴としている。
また、上記課題を解決するために成された本発明の第2の態様は、イオンを後段に輸送するイオン光学系を具備する質量分析装置であって、該イオン光学系は、
a)イオン光軸に沿って互いに分離されたM(Mは3以上の整数)枚の電極板から成る仮想ロッド電極を、イオン光軸を取り囲むように2×N(Nは2以上の整数)本配置して成る仮想多重極ロッド型のイオン光学素子と、
b)イオン光軸の周りに配設された2×N枚の電極板の中で、イオン光軸を挟んで対向する2枚の電極板に同一の高周波電圧を印加するとともに、イオン光軸の周りで隣接する電極板には互いに振幅が同一で位相が180°相違する高周波電圧を印加し、且つ、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で少なくとも一部では、イオン光軸方向に隣接する1枚毎又は複数枚毎に振幅が同一で互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する電圧印加手段と、
を含み、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で、イオン光軸方向に隣接する所定枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分と、同一の高周波電圧を印加する部分とが、存在することを特徴としている。
なお、電圧印加手段は、高周波電圧のみならず、これに重畳して例えばバイアス電圧などの直流電圧を各電極板に印加するようにすることができる。
また、イオン光軸は必ずしも直線状でなくてもよく折れ線状や曲線状でもよい。それに応じて、仮想ロッド電極も折れ線状や曲線状とすることができる。
例えばN=2であればイオン光学素子は仮想四重極ロッド型となるが、一本の仮想ロッド電極に印加される高周波電圧が同一(振幅、位相がともに同一)である場合に、四重極電場成分は最大となる。これに対し、一部の電極板に異なる位相を持つ高周波電圧が印加されると、その影響で、少なくともその異なる位相の高周波電圧が印加された電極板付近の領域では四重極電場成分が減り、その代わりにそれよりも大きな多重極電場成分が増加する。四重極電場成分が多いほうがイオンビームの収束性は良く、四重極電場成分よりも高次の多重極電場成分が多いほうがイオン透過性やイオン受容性は良い。したがって、上述のように四重極電場成分を減らし高次の多重極電場成分を増やすことで、その領域付近でのイオン透過性やイオン受容性を高めることが可能である。
本発明に係る質量分析装置によれば、四重極など低次の仮想多重極ロッド型イオン光学系であっても、その全体で或いはイオン光軸方向に沿って局所的に、イオン透過性やイオン受容性などを向上させることができる。これによって、例えばイオンの入口側ではイオンの透過性や受容性を重視し、イオンの出口側ではイオンの収束性を重視するというように、そのイオン光学系が設置される環境や前後の条件などに応じて、最も適切にイオンが輸送できるようにイオン光学特性を調整することができる。それによって、最終的にイオン検出器に到達する目的イオンの量を増加させ、高い検出感度を実現することができる。
位相が180°相違する、つまり極性が反転した高周波電圧をイオン光軸方向に隣接する電極板に印加することで、四重極電場成分の高い打ち消し効果を得ることができる。また、イオン光軸を取り囲むように配置される2×N枚の電極板への印加電圧として、振幅が同一で位相が互いに180°相違する2種類の高周波電圧がもともと用意されるので、これをそのまま利用することができる。したがって、従来の仮想多重極ロッド型イオン光学系から本発明へ変更するに際し、各電極板へ電圧を供給する配線の接続を変えるだけで対応でき、コスト増加を最小限に抑えることができる。
イオン光軸方向に隣接する何枚の電極板毎に高周波電圧の位相を反転させるのかは、要求されるイオン光学特性に応じて決めることができる。その枚数が少ないほうが、四重極電場成分の減少は大きく、高次の多重極電場成分の増加は大きくなる。但し、その高周波電圧の位相反転の周期性が確保できるように、一本の仮想ロッド電極を構成する電極板の枚数と、同一位相の高周波電圧が印加される隣接電極板枚数とが決められる必要がある。したがって、一般的に、後者を多くした場合には前者も多くする必要が生じる。
本発明に係る質量分析装置では、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で、イオン光軸方向に隣接する第1の枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分と、イオン光軸方向に隣接する前記第1の枚数とは異なる第2の枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分とが、存在する構成とすることができる。
第1の態様では、イオン光軸の方向でみたときに、高周波電圧の位相反転の周期が2種類以上存在する。その周期によってイオン光学特性が相違するから、イオン光学系の使用環境や前後の条件に応じて、適宜、位相反転周期や位置を調整して、適切なイオン光学特性を実現することができる。
一方、第2の態様では、イオン光軸の方向でみたときに、従来型の仮想多重極ロッド型イオン光学系と本発明の特徴である仮想多重極ロッド型イオン光学系との両方が存在するとみることができる。イオン光学系の使用環境や前後の条件に応じて、適宜、位相反転周期や位置を調整して、適切なイオン光学特性を実現することができる。
本発明では、Nは2以上のいくつでもよいが、コストや必要なイオン光学特性を考慮すると、実用的にはNを2とするのがよい。つまり、これは仮想四重極ロッド型イオン光学系の構成である。
また、Mも特に制限はないが、上述したようなイオン光軸方向での高周波電圧の位相反転の周期性を考慮する必要がある。また、実際には、仮想ロッド電極の縁端に位置する電極板により形成される高周波電場は理想的な形状にはならず、イオン光学特性を考える場合に除いて考えたほうがよいことが多い。そこで、本発明の一態様として、前記電圧印加手段は、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中の少なくとも一部で、イオン光軸方向に隣接する電極板の1枚毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加し、そのMが4以上である構成とするとよい。
また、本発明の特徴であるイオン光学系は、質量分析装置の中でイオンを後段に輸送する必要がある様々な部位に用いることができるが、特に、入口側と出口側とで異なるイオン光学特性が要求される場合や、比較的低い真空度であるといった厳しい条件の下でイオンを輸送する必要がある場合などに、有用である。
具体的には、本発明に係る質量分析装置は、略大気圧の下で試料成分をイオン化するイオン源と、高真空の下でイオンを質量分離して検出する質量分離部との間に、1乃至複数の中間真空室を備え、前記イオン源とその次段の中間真空室とは小径のイオン通過孔又は細径のイオン通過管で連通され、その中間真空室内に前記イオン光学系が配置された構成とすることができる。
この場合、イオン通過孔又はイオン通過管を通してイオン源から大気ガスが中間真空室内に流れ込み、それに乗って導入されるイオンは中間真空室に入って大きく拡がりがちである。それに対し、イオン光学系の入口側では、四重極電場成分を抑え高次の多重極電場成分を増やしてイオン透過性やイオン受容性を高めることで、効率良くイオンをイオン光学系に受け容れて輸送することができる。他方、イオン光学系の出口側では、四重極電場成分を相対的に大きくしてイオン収束性を高め、微小径の通過孔でのイオンの損失を最小限に抑えることができる。それによって、総合的なイオン透過率を向上させ、イオンの検出感度の改善を実現可能である。
また、本発明に係る質量分析装置は、高真空雰囲気中に配設され、その内部に供給される衝突誘起解離ガスとイオンとの接触により該イオンを開裂させる衝突室を備え、その衝突室内に前記イオン光学系が配置された構成としてもよい。
この構成によれば、前段の例えば四重極質量フィルタで質量選別されたプリカーサイオンを効率良く取り込んで衝突誘起解離により開裂させ、それにより生成されたプロダクトイオンをイオン光軸付近に収束させて効率良く後段の例えば四重極質量フィルタに導入することができる。それにより、プロダクトイオンの検出感度が高まり、目的とする試料成分の定性や構造解析の精度向上に寄与する。
本発明の一実施形態によるイオン光学系のイオン光学素子の構成を示す斜視図(A)及び従来のイオン光学系のイオン光学素子の構成を示す斜視図(B)。 図1(A)に示した本実施形態によるイオン光学素子のイオン光軸Cに直交するx−y面内での概略平面図(A)及びこれを右側から見た概略図(B)。 本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系のそれぞれにおける展開係数K2の数値計算結果を示す図。 本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系とのそれぞれにおける擬ポテンシャルの数値計算結果を示す図。 本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系とのそれぞれにおける擬ポテンシャルの数値計算結果を示す図。 本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系とのそれぞれにおけるイオン透過率の計算結果を示すグラフ。 本発明の一実施例である質量分析装置の要部の構成図。 本実施例の質量分析装置において本発明によるイオン光学系に相当する第1イオンガイドの電極板の配列を示す図。 別の態様によるイオン光学素子の電極板の配列を示す図。 別の態様によるイオン光学素子の電極板の配列を示す図。 別の態様によるイオン光学素子の電極板の配列を示す図。 別の態様によるイオン光学素子の電極板の配列を示す図。 別の態様によるイオン光学素子の電極板の配列を示す図。 本発明の別の実施例である質量分析装置の要部の構成図。 従来一般的な四重極ロッド型イオンガイドの概略斜視図(A)及びイオン光軸Cに直交するx−y面内における平面図(B)。 従来の八重極ロッド型イオンガイドのイオン光軸Cに直交するx−y面内における平面図。 従来の仮想ロッド電極を用いたイオン光学系の概略構成図。
符号の説明
1…イオン光学素子
11、12、13、14…仮想ロッド電極
111、112、113、114、115、116、117、118、119、11A、11B、11C、121、131…電極板
2…質量分析装置
20…イオン化室
21…ESI用ノズル
22…脱溶媒管
23…第1中間真空室
24…第1イオンガイド
241…前半部
242…後半部
25…静電レンズ
26…通過孔
27…第2中間真空室
28…第2イオンガイド
29…分析室
30…プリロッド電極
31…四重極質量フィルタ
32…イオン検出器
35…高周波電圧発生部
36…直流電圧発生部
37…加算部
40…第1段四重極質量フィルタ
41…衝突セル
42…イオン入射孔
43…イオン出射孔
44…第2段四重極質量フィルタ
A…内接円筒
A’…内接楕円筒
C…イオン光軸
本発明に係る質量分析装置におけるイオン光学系の基本的な構成及び動作原理について、典型的な一実施形態を挙げて図1〜図6により説明する。
図1(A)は本実施形態によるイオン光学系のイオン光学素子1の構成を示す斜視図、図1(B)は従来のイオン光学系のイオン光学素子の構成を示す斜視図である。図2(A)は図1(A)に示した本実施形態によるイオン光学素子1のイオン光軸Cに直交するx−y面内での概略平面図、図2(B)は図2(A)を右側から見た概略図である。
このイオン光学素子1は、イオン光軸Cに直交するx−y面内でイオン光軸Cの周りに90°角度間隔離れて回転対称に配置された4枚の電極板(例えば111、121、131、141)が、イオン光軸Cの方向(z方向)に複数段(本実施形態では8段)配列された構成を有する。電極板は全て板厚が同一である金属製又は金属と同等の導電性を有する他の部材から成り、その幅が2rの矩形状である。イオン光軸C方向に隣接する2枚の電極板(例えば111、112)の間隔はいずれも距離dで一定である。このイオン光学素子1の構造は、イオン光軸C方向に並んだ8枚の電極板(例えば111、112、…、118)が1本の仮想ロッド電極(例えば11)を構成し、4本の仮想ロッド電極11、12、13、14がイオン光軸Cを取り囲む構造であるとみることもできる。図2(A)に示すように、x−y面内でイオン光軸Cの周りに配置された4枚の電極板111、121、131、141はイオン光軸Cを中心とする半径Rの円筒Aに内接している。
図2(A)に示すように、イオン光軸Cを挟んで対向する2枚の電極板は1つのペアを構成し、ペアを組む2枚の電極板には同一の高周波電圧が印加される。具体的には、電極板111と電極板131とは1つのペアを構成し、これに高周波電圧V・cosωtが印加される。また、イオン光軸Cの周りでこれら電極板111、131と隣接する他の2枚の電極板121、141が別のペアを構成し、これに上記高周波電圧V・cosωtとは位相が180°相違するV・cos(ωt+π)、つまりは極性が反転された高周波電圧−V・cosωtが印加される。x−y面内の或る4枚の電極板への印加電圧のみに着目した場合、前述した従来の仮想多重極ロッド型のイオン光学系と同様である。
従来の仮想多重極ロッド型イオン光学系の場合、図1(B)に示すように、1本の仮想ロッド電極(例えば11’)を構成する8枚の電極板には、全て同一位相の高周波電圧が印加されていた。これは、仮想ロッド電極ではなく1本の実体的なロッド電極に高周波電圧が印加される場合と同じである。これに対し、本実施形態におけるイオン光学系では、1本の仮想ロッド電極を構成する8枚の電極板の1枚毎に、位相が180°相違する高周波電圧V・cosωt、V・cos(ωt+π)が交互に印加される。例えば仮想ロッド電極11においては、電極板111、113、115、117の4枚に高周波電圧V・cosωtが印加され、それとは別の電極板112、114、116、118の4枚に高周波電圧V・cos(ωt+π)が印加される。他の3本の仮想ロッド電極12、13、14でも同様である。こうした電圧の印加は、仮想ロッド電極が実体的なロッド電極である場合には不可能である。
本実施形態のイオン光学系では、上述のように従来とは全く異なる態様で高周波電圧の印加を行うことにより、4本の仮想ロッド電極11、12、13、14で囲まれる空間に形成される高周波電場の形状(ポテンシャル勾配)が従来とは全く異なるものとなる。それによって当然、イオンに対する作用や効果も異なるものとなる。この点について、以下に説明する。
なお、後述するようにイオン光学素子1の各電極板には高周波電圧に重畳して直流電圧を印加することが可能であるが、いまここでは、直流電場の作用は考慮する必要がないので、直流電圧については無視することとする。
図1(B)に示した従来のイオン光学系と、図1(A)に示した本発明による実施形態のイオン光学系とについて、それぞれにより生成される高周波電場でのポテンシャルを比較する。
一般に、多重極ロッド電極により生成されるポテンシャルは、次の多重極展開による表現が可能であることが知られている。
Φ(r,Θ)=ΣK・(r/R)・cos(nΘ) …(1)
ここで、Σはnについての総和である。nは多重極電場の次数を表す正の整数である。Kは2n重極電場成分の大きさを表す展開係数である。Rは上記内接円筒Aの半径である。四重極電場成分の大きさはn=2である展開係数K2により与えられ、四重極の対称性をもつ高次多重極電場成分の次数はn=6、10、14、…、2(2k−1)である。
本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系のそれぞれについて、数値計算により求めた展開係数K2を図3に示す。ここでの計算の条件としては、電極板間隔d=5mmとし、z軸上の0〜90mmの範囲に5mm間隔で電極板が配列されているものとした。つまり、図3に記載の範囲では、図3の上部に記述したように、z=40、45、50mmの各位置に電極板が配置されており、z=40以下及び50mm以上の範囲にも5mm間隔で電極板が配列されているものとする。上記計算条件により、各仮想ロッド電極の入口側縁端及び出口側縁端の電場の乱れの影響は全く受けない。
図3より明らかなように、従来のイオン光学系では展開係数K2が0.6付近であるのに対し、本実施形態のイオン光学系では展開係数K2の絶対値は0.2程度以下である。これは、四重極電場成分の大きさが従来に比べて1/3程度に抑えられていることを意味する。なお、本実施形態のイオン光学系においてz方向の各段毎に展開係数K2の極性(正負)が反転しているのは、印加される高周波電圧の位相が反転しているからにすぎず、特に意味を持たない。
この結果より、本実施形態のイオン光学系により生成される四重極電場成分は従来に比べて小さく抑えられていることが分かる。四重極電場はそれよりも大きな多重極電場に比べてイオン透過/蓄積率の質量依存性が高いから、本実施形態のイオン光学系では、従来よりも、イオン透過/蓄積率の質量依存性が軽減されることが予想される。
一般に、高周波電場中のイオンの運動は、その高周波電場の周波数に依存した微小振動と、周波数に依存しない永年運動とに分けて考えることができる。巨視的に見ると、イオンの運動は永年運動に代表される。そして、永年運動を決定するポテンシャルとして「擬ポテンシャル(Pseudopotential)」と呼ばれる物理量を導出することができる。つまり、高周波電場を形成するイオン光学系のイオン光学特性は、擬ポテンシャルの解析により定性的に理解することができる。図4及び図5は、本実施形態によるイオン光学系と従来のイオン光学系とのそれぞれにおける擬ポテンシャルの数値計算結果である。電極板の幾何学的構造は前述した計算と同一である。
図4(A)及び(B)は、本実施形態のイオン光学系及び従来のイオン光学系のそれぞれのイオン通過空間における擬ポテンシャルを等高線で示したポテンシャル分布図である。図5は、図4(A)、図4(B)に示したポテンシャル分布図上の或る位置zにおける断面、つまりx方向の位置とポテンシャルとの関係を示している。これら図でx=0mmはイオン光軸C上であり、x=±5mmの位置に電極板の内縁端が存在している。これら図により、本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系とでは、擬ポテンシャルの形状に大きな相違があることが確認できる。
図4(B)より、従来のイオン光学系ではz方向に隣接する電極板の間に擬ポテンシャルの低い谷が現れていることが確認できる。これは、従来のイオン光学系では、1本の仮想ロッド電極に属する全ての電極板に印加される高周波電圧が等しいため、電極板間に電場が生じず、結果として電極板間におけるイオン閉じ込め作用が弱くなっていることを意味する。これに対し、図4(A)に示すように、本実施形態のイオン光学系では1本の仮想ロッド電極に属する電極板の間にも電場が生じるため、電極板間に擬ポテンシャルの谷が現れない。
また、図5より、従来のイオン光学系では、四重極電場成分が大きく発現するため(換言すれば、2次の展開係数K2が大きいため)、擬ポテンシャルはおおよそ2次関数に近い形状をしていることが確認できる。一方、本実施形態のイオン光学系における擬ポテンシャルは、中心(x=0)付近では平坦となっており、電極板近傍でのみ急峻に立ち上がるような形状をしている。即ち、2次関数ではなく、より高い次数の関数で表される形状となっている。
以上の擬ポテンシャルの解析より、本実施形態のイオン光学系では、イオン光軸C方向に隣接する電極板間でのイオン閉じ込め作用が大きく、イオン輸送/蓄積の目的に対して優れていると考えられる。一方で、擬ポテンシャル形状から明らかなように、従来のイオン光学系のほうが、より狭い空間にイオンを閉じ込めることができる。このため、イオン収束性は従来の構造のほうが高いといえる。
イオン輸送/蓄積に関する本実施形態のイオン光学系の優位性を確認するため、本発明者はシミュレーション計算によりイオン透過率を求めた。このシミュレーションは、本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系とのそれぞれで100本のイオン軌道を計算し、所定の地点まで到達したイオンの数からイオン透過率を算出したものである。イオンが所定の地点に到達するまでにイオン軌道が内接円筒Aの外側に逸脱した場合をイオン損失であるとみなした。イオンの初期条件は乱数により生成し、初期位置を内接円筒Aと同程度に大きくとって、100%のイオン透過率が起こらないような厳しい初期条件を持たせている。当然のことながら、高周波電圧の振幅及び周波数は、本実施形態のイオン光学系と従来のイオン光学系とで共通である。
図6はこのイオン透過率の計算結果を示すグラフである。この図で明らかなように、本実施形態のイオン光学系のほうが、全ての質量に亘って高いイオン透過率を達成している。また、イオン透過率の最大値からの減少の割合が本実施形態のイオン光学系のほうが小さいことも分かる。このことは、本実施形態のイオン光学系ではイオン透過率の質量依存性が小さいことを意味する。したがって、本実施形態のイオン光学系によれば、分析対象のイオンの質量による検出感度の変化を小さくすることができる。
以上の結果より、本発明に係るイオン光学系は従来のイオン光学系と比べて、高いイオン透過/蓄積効率を達成して検出感度を高めることができ、しかも、その質量依存性をも改善するものである、と結論付けることができる。
次に、上述した特徴的なイオン光学系を利用した質量分析装置の一実施例を、図面を参照して説明する。図7は本実施例の質量分析装置の要部の構成図である。この質量分析装置は、例えば液体クロマトグラフのカラムなどで分離された試料溶液を受けて、該溶液中の各種成分の質量分析を行う大気圧イオン化インタフェイスを備える質量分析装置である。
この質量分析装置2は、略大気圧雰囲気であるイオン化室20と、図示しない高性能の真空ポンプにより真空排気される高真空雰囲気である分析室29との間に、第1中間真空室23及び第2中間真空室27の2室を備える多段差動排気系のシステムである。イオン化室20と第1中間真空室23との間は細径の脱溶媒管22で連通し、第1中間真空室23と第2中間真空室27との間は小径の通過孔26を通して連通している。
試料溶液はエレクトロスプレイ(ESI)用ノズル21において電荷を付与されながら略大気圧雰囲気にあるイオン化室20中に噴霧され、それにより試料成分がイオン化される。なお、エレクトロスプレイイオン化法でなく、大気圧化学イオン化法など他の大気圧イオン化法を用いてイオン化を行ってもよい。イオン化室20内で生成されたイオンや未だ完全に溶媒が気化していない微細液滴は差圧によって脱溶媒管22中に引き込まれる。そして、加熱された脱溶媒管22中を通過する間にさらに微細液滴からの溶媒の気化が進み、イオン化が促進される。
第1中間真空室23内には、イオン光軸Cに沿って本発明におけるイオン光学系としての第1イオンガイド24と静電レンズ25とが設けられている。イオンはこの第1イオンガイド24及び静電レンズ25を経て通過孔26を通過し、第2中間真空室27に入る。第2中間真空室27内にはイオン光軸Cを取り囲むように配置された8本のロッド電極から成る第2イオンガイド28が設けられ、イオンは第2イオンガイド28により収束されて分析室29に送り込まれる。分析室29内には、4本のロッド電極から成る四重極質量フィルタ31とその前段にあってイオン光軸C方向に短い4本のロッド電極から成るプリロッド電極30とが配設されている。各種イオンの中で特定の質量電荷比m/zを有するイオンのみが四重極質量フィルタ31を通り抜けてイオン検出器32に到達する。イオン検出器32は到達したイオンの数に応じた電流信号を検出信号として出力する。
第1イオンガイド24の各電極板には、高周波電圧発生部35で生成された高周波電圧と直流電圧発生部36で生成された直流電圧とが加算された電圧が、加算部37より印加される。これらは本発明における電圧印加手段に相当する。もちろん、これ以外にも、脱溶媒管22、静電レンズ25、第2イオンガイド28、プリロッド電極30、四重極質量フィルタ31などにもそれぞれ、高周波電圧と直流電圧とを加算した電圧、又は直流電圧のみが適宜印加されるが、それらの電源については記載を省略している。
イオン化室20と第1中間真空室23との圧力差は大きいため、脱溶媒管22の出口孔付近では、イオン光軸Cに沿った方向以外の方向にも、速度が大きく乱れたガスの流れが生じる。そのため、第1イオンガイド24には高いイオン透過/蓄積効率が要求される。また、第1中間真空室23と第2中間真空室27とを隔てる小径の通過孔26でのイオンの損失を防ぐためには、第1イオンガイド24は高いイオン収束性も兼ね備える必要がある。従来、高いイオン透過/蓄積効率と高いイオン収束性とを両立させるのは困難であったが、本発明の原理に基づく第1イオンガイド24を用いることで、そうした困難さを克服することができる。
図8は第1イオンガイド24の電極板の配列を示す図であり、これは図2(B)に相当する図である。この第1イオンガイド24にあってイオン光軸Cに直交するx−y面内での電極配置は図2(A)と同じである。
第1イオンガイド24では、イオン光軸C方向に沿った電極板の枚数、つまり段数は12であるが、その全体に亘って電極板毎に高周波電圧の位相を反転させているのではなく、前半部のみに上述した実施形態のイオン光学系を採用している。即ち、脱溶媒管22の出口孔に近い前半部(イオン流の上流側)241、例えば1本の仮想ロッド電極に属する6枚の電極板111、112、113、114、115、116では、イオン光軸C方向に電極板毎に高周波電圧の位相を180°相違させている。したがって、この前半部241のみを取り出せば、6と8という段数の相違はあるものの、図2(B)の構成と同じである。それにより、上述したように四重極電場成分は相対的に小さく、逆にそれ以上の多重極電場成分が大きい。その結果、ガス流の乱れによりイオンの進行が撹乱され易い状況下でも、高いイオン透過/蓄積効率を達成することができる。
一方、第2中間真空室27へ向かう通過孔26に近い後半部(イオン流の下流側)242、例えば1本の仮想ロッド電極に属する6枚の電極板117、118、119、11A、11B、11Cでは、イオン光軸C方向に並ぶ全ての電極板に同一位相の高周波電圧を印加する。つまり、これは図1(B)に示した従来のイオン光学系と同じであり、四重極電場成分の作用が明瞭に現れる。それにより、小径の通過孔26に高い効率でイオンを収束させ、通過孔26でのイオンの損失を減らし、輸送効率を高めることができる。
以上のように本実施例における第1イオンガイド24は、前半部241と後半部242とでそれぞれイオン光学特性を変えており、それによって全体として高いイオン輸送効率を達成することが可能となっている。
なお、第1中間真空室23は真空度があまり高くなく、中性ガスとの衝突によるイオンのエネルギーの減少が大きい領域である。そこで、イオンの引き出しの効率を高める目的で、直流電圧のみが印加される静電レンズ25を第1イオンガイド24の後段に設けている。イオンは中性ガスとの衝突により、瞬時に中性ガスの温度にまで冷却される。そのため、静電レンズ25付近では、イオンはほぼ電気力線に沿った軌道を描く。したがって、静電レンズ25による直流電位分布を適切に設定することにより、イオンの引き出し効率を向上させることができる。
上記実施例の質量分析装置2において、イオン化室20内でのイオン化の手法は特に制限はなく、エレクトロスプレイイオン源をそのまま大気圧化学イオン源、大気圧光イオン源など他の様々な大気圧イオン源に入れ替えても、第1イオンガイド24の効果は発揮される。
上記実施例で明らかなように、図2で示した実施形態のイオン光学系を、イオン光軸C方向に並んだ全ての電極板に適用する必要はない。つまり、必要とされるイオン光学特性に応じて、上述したように前半部のみ、逆に後半部のみ、或いは、中間部のみに図2で示した実施形態のイオン光学系を適用することができる。
また、イオン光軸C方向に配列される電極板の枚数(段数)は特に限定されないが、実際には仮想ロッド電極の縁端部(入口側及び出口側)では高周波電場に乱れが生じるため、前述のような四重極電場成分の影響を小さくした安定した高周波電場を形成するには、イオン光軸C方向に数枚程度以上の電極板の配列構造があることが望ましい。また、x−y面内に配置される電極板の枚数は4でなく、それ以上の偶数でもよい。
また、上記実施形態のイオン光学系や実施例に示したイオンガイドの前半部では、イオン光軸Cの方向に1枚の電極板毎に高周波電圧の位相が反転されるようになっていたが、複数枚の電極板毎に高周波電圧の位相が反転されるようにしてもよい。この場合の一実施例によるイオン光学素子を図9に示す。図9は図8と同様の電極板の配列を示す図である。
この例では、イオン光軸C方向に隣接する2段毎に、高周波電圧V・cosωtとV・cos(ωt+π)とが交互に印加されている。例えば1本の仮想ロッド電極において、電極板111と112には同位相の高周波電圧V・cosωtが印加され、その隣の電極板113と114には位相が180°シフトした高周波電圧V・cos(ωt+π)が印加される。これはイオン光軸C方向に高周波電圧の位相の反転周期が図2の場合よりも大きくなっているものである、とみることもできる。このように位相反転周期が大きいと、位相反転周期が小さい場合に比べて、四重極電場成分が相対的に大きくなる。したがって、所望のイオン光学特性に応じて、位相反転周期、つまりイオン光軸C方向において同位相の高周波電圧を印加する隣接電極板の枚数(段数)を適宜調整することができる。
もちろん、1本の仮想ロッド電極の中で位相反転周期の組合せは自由であるから、その周期の種類の数や順序も任意に決めることができる。
また、本願出願人は国際出願PCT/JP2008/000043号により、電極板の厚さや隣接する電極の間隔などの幾何学的な構造を変えることで、四重極電場成分を相対的に減らしそれ以上の多重極電場成分を増やすことを提案しているが、これと本発明とを組み合わせることも可能である。それにより、イオン光学特性の調整を一層柔軟に且つ広い範囲で行うことができる。
さらに別の実施例によるイオン光学素子を図10に示す。このイオン光学素子では、イオンの進行方向に従って電極板が内接する円筒Aの半径が小さくなる、つまり円錐形状となっている。前述のように、図2に示した実施形態のイオン光学系の構成ではポテンシャル形状によるイオンの収束性は低いが、本実施例のようにイオンの輸送空間自体を狭めてゆくことにより、イオンをイオン光軸C近傍の狭い空間に集め、効率良く通過孔26等を通して輸送することができる。
また、それ以外にも様々な電極板配置を採ることができる。図11は、入口側のイオン光軸と出口側のイオン光軸とが同一直線上にないが平行である場合の電極板配置構造を示す図である。これは、例えば電場の影響を受けずに直進する中性粒子を除去する等の目的で使用されることが多い。また図12は、入口側のイオン光軸と出口側のイオン光軸とが同一直線上でなく、且つ平行でもない場合の電極板配置構造を示す図である。これは、例えばイオンの進行方向を変える等の目的で使用されることが多い。これら様々な電極板配置でも、上述のように、異なる位相反転周期を導入したり、或いは一部に従来のイオン光学系の構成を取り入れたりすることができることは当然である。
図13は、x−y平面内に配置される4枚の電極板の回転対称性を崩した電極板配置構造を示す図である。4枚の電極板111、121、13、141はイオン光軸Cを中心とする楕円筒A’に内接しており、電極板111、131の幅r’は他の電極板121、141の幅rよりも広くなっている。このように回転対称性を崩すことで、対称性では生じない次数の多重極電場成分を発現させることができる。具体的には図13の構造では、八重極電場成分が強く発現する。このように、本発明によるイオン光学系は、イオン光軸Cの周りに回転対称性を有する電極板構造以外にも適用が可能である。
上述した各種態様のイオン光学系は、大気圧イオン化インタフェイスを備える質量分析装置の第1中間真空室のみならず、質量分析装置内の様々な部位で使用することができる。図14は、いわゆる三連四重極型であるMS/MS質量分析装置に本発明によるイオン光学系を適用した場合の構成図である。この図は、図7において高真空雰囲気である分析室29内のみを示したものである。
イオンの進行の順に第1段四重極質量フィルタ40、衝突セル41、第2段四重極質量フィルタ44が配設されている。衝突セル41内に上述した第1イオンガイドと同じ構造のイオンガイド24が配設されている。第1段四重極質量フィルタ40には様々な質量電荷比m/zを有するイオンが導入されるが、特定の質量電荷比を有する目的イオン(プリカーサイオン)のみが選択的に通過して次段の衝突セル41に送られ、それ以外のイオンは途中で発散する。衝突セル41内にはアルゴンガス等の衝突誘起解離(CID)ガスが導入され、プリカーサイオンはイオンガイド24により形成される電場を通過する際にCIDガスに衝突すると開裂し、各種のプロダクトイオンが生成される。これら各種のプロダクトイオンや開裂しなかったプリカーサイオンは衝突セル41から出て第2段四重極質量フィルタ44に導入され、特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみが選択的に通過してイオン検出器32で検出される。
分析室内は高真空であるが、衝突セル41内は供給されるCIDガスにより局所的に低真空になる領域であり、その前後の四重極質量フィルタ40、44の内部空間の真空度の低下を防止するために、衝突セル41のイオン入射孔42、イオン出射孔43の径は小さい。したがって、衝突セル内に配設されるイオンガイドの条件としては、上記図7の場合と同様に、相対的に低い真空度の下で高いイオン透過/蓄積効率とイオン収束性とが同時に要求される。そこで、図8に示したように、イオン入射孔42に近い前半部241ではイオン光軸Cに沿って電極板毎に印加する高周波電圧の位相を反転し、広い質量範囲のイオンに対し高いイオン透過/蓄積効率を達成する。また、イオン出射孔43に近い後半部242では、従来と同様のイオン光学系を用いて、イオン収束性を高め小さなイオン出射孔43でのイオンの損失を回避する。
上述したように、位相反転周期を調整したり、或いは従来のイオン光学系と組み合わせたりすることで、イオン光学特性をかなり柔軟に且つ広い範囲で調整することが可能となるので、上述した以外の部位、例えば四重極質量フィルタの前段のプリロッド電極の代替等、様々な部位で大きな利用価値がある。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例に過ぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変更や修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは当然である。

Claims (6)

  1. イオンを後段に輸送するイオン光学系を具備する質量分析装置であって、該イオン光学系は、
    a)イオン光軸に沿って互いに分離されたM(Mは3以上の整数)枚の電極板から成る仮想ロッド電極を、イオン光軸を取り囲むように2×N(Nは2以上の整数)本配置して成る仮想多重極ロッド型のイオン光学素子と、
    b)イオン光軸の周りに配設された2×N枚の電極板の中で、イオン光軸を挟んで対向する2枚の電極板に同一の高周波電圧を印加するとともに、イオン光軸の周りで隣接する電極板には互いに振幅が同一で位相が180°相違する高周波電圧を印加し、且つ、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で少なくとも一部では、イオン光軸方向に隣接する1枚毎又は複数枚毎に振幅が同一で互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する電圧印加手段と、
    を含み、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で、イオン光軸方向に隣接する第1の枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分と、イオン光軸方向に隣接する前記第1の枚数とは異なる第2の枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分とが、存在することを特徴とする質量分析装置。
  2. イオンを後段に輸送するイオン光学系を具備する質量分析装置であって、該イオン光学系は、
    a)イオン光軸に沿って互いに分離されたM(Mは3以上の整数)枚の電極板から成る仮想ロッド電極を、イオン光軸を取り囲むように2×N(Nは2以上の整数)本配置して成る仮想多重極ロッド型のイオン光学素子と、
    b)イオン光軸の周りに配設された2×N枚の電極板の中で、イオン光軸を挟んで対向する2枚の電極板に同一の高周波電圧を印加するとともに、イオン光軸の周りで隣接する電極板には互いに振幅が同一で位相が180°相違する高周波電圧を印加し、且つ、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で少なくとも一部では、イオン光軸方向に隣接する1枚毎又は複数枚毎に振幅が同一で互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する電圧印加手段と、
    を含み、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中で、イオン光軸方向に隣接する所定枚数毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加する部分と、同一の高周波電圧を印加する部分とが、存在することを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の質量分析装置であって、
    Nが2であることを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の質量分析装置であって、
    前記電圧印加手段は、各仮想ロッド電極を構成するM枚の電極板の中の少なくとも一部で、イオン光軸方向に隣接する電極板の1枚毎に互いに位相が180°相違する高周波電圧を印加し、そのMが4以上であることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の質量分析装置であって、
    略大気圧の下で試料成分をイオン化するイオン源と、高真空の下でイオンを質量分離して検出する質量分離部との間に、1乃至複数の中間真空室を備え、前記イオン源とその次段の中間真空室とは小径のイオン通過孔又は細径のイオン通過管で連通され、その中間真空室内に前記イオン光学系が配置されたことを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の質量分析装置であって、
    高真空雰囲気中に配設され、その内部に供給される衝突誘起解離ガスとイオンとの接触により該イオンを開裂させる衝突室を備え、その衝突室内に前記イオン光学系が配置されたことを特徴とする質量分析装置。
JP2010501677A 2008-03-05 2008-03-05 質量分析装置 Expired - Fee Related JP5152320B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2008/000451 WO2009110025A1 (ja) 2008-03-05 2008-03-05 質量分析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009110025A1 JPWO2009110025A1 (ja) 2011-07-14
JP5152320B2 true JP5152320B2 (ja) 2013-02-27

Family

ID=41055607

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010501677A Expired - Fee Related JP5152320B2 (ja) 2008-03-05 2008-03-05 質量分析装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8658969B2 (ja)
JP (1) JP5152320B2 (ja)
CN (1) CN102067273B (ja)
WO (1) WO2009110025A1 (ja)

Families Citing this family (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2480160B (en) * 2009-05-29 2014-07-30 Micromass Ltd Ion tunnel ion guide
GB0909292D0 (en) * 2009-05-29 2009-07-15 Micromass Ltd Ion tunnelion guide
GB201000852D0 (en) 2010-01-19 2010-03-03 Micromass Ltd Mass spectrometer
DE102010001349B9 (de) * 2010-01-28 2014-08-28 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Vorrichtung zum Fokussieren sowie zum Speichern von Ionen
CN103109345B (zh) * 2010-09-15 2016-06-22 Dh科技发展私人贸易有限公司 产物离子光谱的数据独立获取及参考光谱库匹配
GB201103255D0 (en) 2011-02-25 2011-04-13 Micromass Ltd Curved ion guide with non mass to charge ratio dependent confinement
WO2013001604A1 (ja) * 2011-06-28 2013-01-03 株式会社島津製作所 三連四重極型質量分析装置
CN102832097B (zh) * 2012-08-20 2016-04-20 上海斯善质谱仪器有限公司 一种有关调节四极场中离子分布的方法
CN102856153A (zh) * 2012-10-08 2013-01-02 复旦大学 一种离子光学偏轴传输系统
US9824874B2 (en) * 2014-06-10 2017-11-21 Battelle Memorial Institute Ion funnel device
CN106574911A (zh) * 2014-08-20 2017-04-19 株式会社岛津制作所 质谱分析装置
US20160181080A1 (en) * 2014-12-23 2016-06-23 Agilent Technologies, Inc. Multipole ion guides utilizing segmented and helical electrodes, and related systems and methods
EP3241231B1 (en) * 2014-12-30 2021-10-06 DH Technologies Development Pte. Ltd. Electron induced dissociation devices and methods
CN105489468A (zh) * 2015-08-17 2016-04-13 北京普析通用仪器有限责任公司 一种微波等离子体质谱仪
WO2017062102A1 (en) 2015-10-07 2017-04-13 Battelle Memorial Institute Method and apparatus for ion mobility separations utilizing alternating current waveforms
GB201608476D0 (en) 2016-05-13 2016-06-29 Micromass Ltd Ion guide
US10692710B2 (en) 2017-08-16 2020-06-23 Battelle Memorial Institute Frequency modulated radio frequency electric field for ion manipulation
DE112018004182T5 (de) * 2017-08-16 2020-05-07 Battelle Memorial Institute Verfahren und Systeme zur Ionen-Manipulation
WO2019070324A1 (en) 2017-10-04 2019-04-11 Battelle Memorial Institute METHODS AND SYSTEMS FOR INTEGRATING ION HANDLING DEVICES
GB2569639B (en) * 2017-12-21 2020-06-03 Thermo Fisher Scient Bremen Gmbh Ion supply system and method to control an ion supply system
CN108614029B (zh) * 2018-05-12 2024-05-28 重庆邮电大学 高灵敏度微型光离子化传感器
JP7107378B2 (ja) * 2018-09-06 2022-07-27 株式会社島津製作所 四重極質量分析装置
US20200152437A1 (en) * 2018-11-14 2020-05-14 Northrop Grumman Systems Corporation Tapered magnetic ion transport tunnel for particle collection
US10755827B1 (en) 2019-05-17 2020-08-25 Northrop Grumman Systems Corporation Radiation shield
GB201907171D0 (en) * 2019-05-21 2019-07-03 Thermo Fisher Scient Bremen Gmbh Switchable ion guide
US11791149B2 (en) * 2019-07-31 2023-10-17 Agilent Technologies, Inc. Axially progressive lens for transporting charged particles
CN111613514B (zh) * 2020-06-24 2023-11-03 成都艾立本科技有限公司 一种高灵敏度紫外光电离飞行时间质谱仪及离子飞行时间测量方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004111149A (ja) * 2002-09-17 2004-04-08 Shimadzu Corp イオンガイド
WO2006098230A1 (ja) * 2005-03-15 2006-09-21 Shimadzu Corporation 質量分析装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3379485B2 (ja) 1998-09-02 2003-02-24 株式会社島津製作所 質量分析装置
JP4581184B2 (ja) 2000-06-07 2010-11-17 株式会社島津製作所 質量分析装置
AU2003249796A1 (en) * 2002-09-25 2004-04-19 Ionalytics Corporation Faims apparatus and method for separating ions

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004111149A (ja) * 2002-09-17 2004-04-08 Shimadzu Corp イオンガイド
WO2006098230A1 (ja) * 2005-03-15 2006-09-21 Shimadzu Corporation 質量分析装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2009110025A1 (ja) 2011-07-14
WO2009110025A1 (ja) 2009-09-11
US8658969B2 (en) 2014-02-25
US20110012017A1 (en) 2011-01-20
CN102067273B (zh) 2013-12-11
CN102067273A (zh) 2011-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5152320B2 (ja) 質量分析装置
JP4830450B2 (ja) 質量分析装置
US10062558B2 (en) Mass spectrometer
US8507850B2 (en) Multipole ion guide interface for reduced background noise in mass spectrometry
JP5469823B2 (ja) プラズマイオン源質量分析装置
US8822915B2 (en) Atmospheric pressure ionization mass spectrometer
JP6237896B2 (ja) 質量分析装置
US20110147575A1 (en) Ion funnel for mass spectrometry
JP6458128B2 (ja) イオンガイド及びそれを用いた質量分析装置
JP5802566B2 (ja) 質量分析装置
US8803086B2 (en) Triple quadrupole mass spectrometer
JP5673848B2 (ja) 質量分析装置
JPWO2006098230A1 (ja) 質量分析装置
US11848184B2 (en) Mass spectrometer
JP6759321B2 (ja) 多重極イオンガイド
JP7073459B2 (ja) イオンガイド及びそれを用いた質量分析装置
JP4816792B2 (ja) 質量分析装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121001

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121119

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151214

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5152320

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151214

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees