本発明は、流体が流動する流路に、流体の流動を発停制御する常閉型の流体制御手段、器具利用検出手段、および器具を上流側より順に接続し、前記流体制御手段が流体の流動を停止している状態で器具の利用を開始したときの流体の状態を検出する器具利用検出手段、前記流体制御手段が流体の流動を停止している状態での器具の利用開始時の流体の状況変化を事前に学習させておくための学習記憶部、前記流体制御手段が流体の流動を停止している状態での器具の実際の利用開始時の流体の状況パターンを検出するパターン検出部、前記学習記憶部で記憶した信号、およびパターン検出部で検出した信号を比較し、それらの信号が一致したときに前記流体制御手段での流体の流動を許容する学習判定部を備えたものである。
上記発明によれば、下流側に設けた器具での流体の利用開始をその流体から検出して流体制御手段を開成させ、流体を使用していない時は常時閉成しているため、安全性が向上でき、流体の利用状態を流体から検出するため器具との信号の送受信を不要として簡素化と施工性の向上ができる。
加えて、正常時の器具利用開始を事前に学習することにより利用開始の検出精度を一層
高めることができ、器具の経時劣化などによる不具合を事前に検知できる。
以下本発明の実施例を述べる前にその前提となる参考実施例について説明する。
(参考実施例1)
図1において、15は流体が流動する流路であり、16は流路15に設け流体の流動を制御する流体制御手段である。17は最も下流側に配置され流体を利用する器具である。
18は器具17での流体の利用状態を流体から検出する器具利用検出手段であり、この器具利用検出手段18は流体制御手段16の下流側に設けられている。
19は流体制御手段16および器具利用検出手段17に電気的に接続される開閉動作制御手段であり、この開閉動作制御手段19は器具利用検出手段18の信号に基づき器具17での流体の利用開始を検出すると流体制御手段16を開成させ、器具利用検出手段18の信号に基づき器具17での流体の利用停止を検出すると流体制御手段16を閉成させるものである。
20は流路15、流体制御手段16、器具利用検出手段18および開閉動作制御手段19を備えた流体制御装置である。
21は器具17に設けた開閉弁であり、この開閉弁21は器具17の利用時に開成し器具17の利用停止時には閉成する。22は流体制御装置20の上流側に配置され流体を供給する流体供給源である。
なお、ここで器具利用検出手段18は流体の圧力を計測するものであり、オリフィス23の上流と下流との差圧を検出する差圧検出部24と、オリフィス23の下流側の圧力を検出する圧力検出部25を有した圧力計測手段26としている。
次に動作を説明する。まず、器具17の利用開始とともに開閉弁21が開成すると、閉成している流体制御手段16より下流側に流体圧を保って滞留していた流体は利用を開始した器具21側に流れるとともに流体圧が低下する。
器具利用検出手段18は圧力検出部25での圧力の変化および差圧検出部24での差圧の変化を検出するとともに信号として開閉動作制御手段19に伝送する。開閉動作制御手段19ではこの圧力変化の状況が器具17の利用開始に当たるかを予め設定した変化パターンと比較して判定し、器具17の利用開始であると判定すると流体制御手段16を開成して、図中矢印で示すように流体を流体供給源22から器具17側に流動させる。
しかし、この圧力変化の状況が器具17の利用開始ではないと開閉動作制御手段19で判断すると流体制御手段16は開成されず、漏洩などによる誤動作を防止する。
次に、器具17の利用を停止すると開閉弁21が閉成して矢印で示した流体の流動が停止し、差圧検出部24での差圧が所定値以下に低下すると、開閉動作制御手段19は器具17の利用停止と判定して流体制御手段16を閉成する。
このように、下流側に設けた器具17での流体の利用開始とともにその流体から利用開始を検出して流体制御手段16を開成させ、さらに器具17での流体の利用停止をその流体から検出して流体制御手段16を閉成させるもので、器具17で流体を使用していない時は流体制御手段16を常時閉成している。
また、流体の利用状態を流体の圧力変化と差圧変化の両方で検出するとともに、予め設定した変化パターンと比較することで、誤判断を防止した器具の利用開始の判定がなされる。
このため、器具を使用していない時での安全性を向上でき、流体の利用状態を流体から検出するため器具との利用開始および利用停止の信号の送受信が不要となり構成の簡素化と低コスト化ができ、設置時における器具との信号線などの工事を不要として施工性が向上できる。
(参考実施例2)
図2は参考実施例2を示し、図1と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1のものを援用する。
27は流体制御手段16の下流側に設けた器具利用検出手段18として流体の流速を瞬時に計測する熱式のフローセンサ28を流路に臨ませた瞬時流速計測手段であり、瞬時流速計測手段27の熱式のフローセンサ28と開閉動作制御手段19と電気的に接続されている。
ここで、熱式のフローセンサ28は器具の利用開始時の微少な流速変化を検出する必要が有り、微少流速域専用として高精度な検出を可能にしている。
次に動作を説明する。まず、器具17の利用開始とともに開閉弁21が開成すると、閉成している流体制御手段16より下流側に流体圧を保って滞留していた流体は利用を開始した器具21側に流れる。
器具利用検出手段18としての瞬時流速計測手段27では、流速の発生とともに熱式のフローセンサ28の温度変化により流れの流速変化を瞬時に検出し、これを信号として開閉動作制御手段19に伝送する。開閉動作制御手段19ではこの流速変化の状況が器具17の利用開始に当たるかを予め設定した変化パターンと比較して判定し、器具17の利用開始であると判定すると流体制御手段16を開成する。
しかし、この流速変化の状況が器具17の利用開始ではないと開閉動作制御手段19で判断すると流体制御手段16は開成されず、漏洩などによる誤動作を防止する。
次に、器具17の利用を停止すると開閉弁21が閉成して矢印で示した流体の流動が停止し、熱式フローセンサ28で流れの停止を検出すると、開閉動作制御手段19は器具17の利用停止と判定して流体制御手段16を閉成する。
このように、微少流速域専用とした瞬時流速計測手段27により流速検出の高精度化を図り、下流側に設けた器具17での流体の利用開始とともにその流体の流速から利用開始を検出して流体制御手段16を開成させ、さらに器具17での流体の利用停止をその流体の流速から検出して流体制御手段16を閉成させるもので、器具17で流体を使用していない時は流体制御手段16を常時閉成している。
また、流体の利用状態を流体の流速変化で検出するとともに、予め設定した変化パターンと比較することで、誤判断を防止した器具の利用開始の判定がなされる。
このため、器具の利用開始を流体の流れの有無だけでなく瞬時計測により流れの時間変化で検出するため検出の精度を高めることができ、器具の利用開始あるいは停止時に対する動作の信頼性を向上できる。
なお、ここでは器具利用検出手段18として瞬時に流速を計測する瞬時流速計測手段27としているが、瞬時に流量を計測するものであっても同様である。
(参考実施例3)
図3は参考実施例3を示し、図1と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1のものを援用する。
図3において、29は流体制御手段16の下流側に設けた圧力計測手段26と瞬時流速計測手段27からなる器具利用検出手段である。圧力計測手段26は流路15の圧力を検出する圧力検出部25を有している。
また、瞬時流速計測手段27は流体の流速を瞬時に計測する熱式のフローセンサ28を流路に臨ませている。ここで、開閉動作制御手段19は圧力計測手段26および瞬時流速計測手段27と電気的に接続されている。
次に動作を説明する。まず、器具17の利用開始とともに開閉弁21が開成すると、閉成している流体制御手段16より下流側に流体圧を保って滞留していた流体は利用を開始した器具21側に流れるとともに流体圧力が低下する。
器具利用検出手段29では、圧力計測手段26においてこの流体圧力の低下の時間変化を検出し、瞬時流速計測手段27において流速の発生とともに熱式のフローセンサ28の温度変化により流れの流速変化を瞬時瞬時に検出する。
この器具利用検出手段29での流体圧力の時間変化および流れの流速変化を信号として開閉動作制御手段19に伝送する。
開閉動作制御手段19ではこの圧力変化および流速変化の状況が器具17の利用開始に当たるかを予め設定した変化パターンと比較して判定し、器具17の利用開始であると判定すると流体制御手段16を開成する。
しかし、この流速変化の状況が器具17の利用開始ではないと開閉動作制御手段19で判断すると流体制御手段16は開成されず、漏洩などによる誤動作を防止する。
次に、器具17の利用を停止すると開閉弁21が閉成して矢印で示した流体の流動が停止し、熱式のフローセンサ28で流れの停止を検出すると、開閉動作制御手段19は器具17の利用停止と判定して流体制御手段16を閉成する。
このように、圧力計測手段26と瞬時流速計測手段27を併用して器具の利用開始および利用停止の判別精度を一層高めた開閉動作がなされる。
また、流体の利用状態を流体の流速変化で検出するとともに、予め設定した変化パターンと比較することで、誤判断を防止した器具の利用開始の判定がなされる。
さらに圧力と流速を併用することにより、圧力計測手段26においては流速を検出するための差圧検出部を不要にして構成の簡略化がなされ、瞬時流速計測手段27においては微少流速における検出精度の緩和による低コスト化あるいはフローセンサ部28の流路断面積の拡大による流路の圧力損失の低減がなされる。
このため、器具の利用開始を流体の流れと圧力変化の両方で判定するため検出精度を高
めて信頼性をより一層向上でき、構成の簡略化、低コスト化、流路の圧力損失の低減ができる。
(参考実施例4)
図4は参考実施例4を示し、図1と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1のものを援用する。
図4において、30は流体制御手段16の下流側の流路15に連通し流体を貯めるため内容積を拡大した流体タンクである。
この流体タンク30は、器具利用検出手段18が流速を検出する方式の場合では器具利用検出手段18の上流側の流路15に連通させ、器具利用検出手段18が流速と圧力を併用する場合では流速を検出する部分の上流側の流路15に連通させている。
次に動作を説明する。まず、器具17の利用開始とともに開閉弁21が開成すると、閉成している流体制御手段16より下流側の流路15および器具17との配管部31に流体圧を保って滞留していた流体は利用を開始した器具21側に流れるとともに、流体タンク30内の流体が流路15に流入する。
器具利用検出手段18では、流体タンク30により増量された流体により、流体の圧力あるいは流速が変化していく時間が延長されて検出される。
従って、時間変化の緩和と変化時間の延長により検出の分解能が向上され、検出精度を高めた判定動作がなされる。
なお、器具17の利用停止を検出する場合は前述の通りである。
このように、器具の利用開始とともに流体タンク30から流体が流出するため、流体の圧力あるいは流速の変化する時間が延長され、時間分解能が向上して器具利用開始の検出が精度を高めてなされるとともに、下流側の配管長さが短く配管部31の内容積が少ない場合でも器具の利用開始の検出が可能となり下流側の配管仕様に対して適用可能域の拡大がなされる。
このため、器具利用開始の検出精度を一層高めることができ、また下流側の配管が短くて配管内容積が小さい場合でも器具の利用開始を検出できるため下流側の配管仕様に対する適用可能域を拡大でき施工性および利便性を向上できる。
(参考実施例5)
図6は参考実施例5を示し、図1と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1のものを援用する。
図6において、36は流路15を流れる流体の流量を瞬時に計測する瞬時流量計測手段であり、この瞬時流量計測手段36は開閉動作制御手段19に電気的に接続されている。流量計測装置37は流体制御装置20と瞬時流量計測手段36を備えている。
次に動作を説明する。まず、器具17の利用開始とともに、閉成している流体制御手段16より下流側に流体圧を保って滞留していた流体は利用を開始した器具21側に流れるとともに流体圧力が低下する。
器具利用検出手段29では、圧力計測手段26においてこの流体圧力の低下の時間変化
を検出し、瞬時流速計測手段27において流速の発生とともに熱式のフローセンサ28の温度変化により流れの流速変化を瞬時に検出する。
この器具利用検出手段29での流体圧力の時間変化および流れの流速変化を信号として開閉動作制御手段19に伝送する。
さらに、瞬時流量計測手段36でも器具17の利用開始に伴う流体の流量変化を計測し開閉動作制御手段19に伝送する。
開閉動作制御手段19では器具利用検出手段29および瞬時流量計測手段36での流体の変化状況が器具17の利用開始に当たるかを予め設定した変化パターンと比較して判定し、器具17の利用開始であると判定すると流体制御手段16を開成する。
しかし、この流体の変化状況が器具17の利用開始ではないと開閉動作制御手段19で判断すると流体制御手段16は開成されず、漏洩などによる誤動作を防止する。
瞬時流量計測手段36では流路15を流れる瞬時の流量を計測して異常な流れ方をしていないか監視するとともに流体の積算使用量を計測して使用料金の算出を行う。
次に、器具17の利用を停止すると流体の流動が停止し、器具利用検出手段29が流れの停止を検出すると開閉動作制御手段19に信号を伝送する。
さらに、瞬時流量計測手段36でも器具17の利用停止に伴う流体の流量変化を計測し開閉動作制御手段19に伝送する。
開閉動作制御手段19は器具利用検出手段29の信号と瞬時流量計測手段36からの信号により器具17の利用停止と判定して流体制御手段16を閉成する。
なお、流量を瞬時に計測する瞬時流量計測手段36として前述の熱式のフローセンサの他に、流体の発振現象を利用したフルイディック式や超音波式などがある。
このように、器具の利用開始あるいは利用停止を器具利用検出手段29と瞬時流量計測手段36の両方からの信号で確度を高めた判定がなされる。
このため、器具利用開始を器具利用検出手段と瞬時流量計測手段の複数で判断できるため検出精度を一層高めることができる。
(参考実施例6)
図7は参考実施例6を示し、37および38は流路15に設けた計測部39に互いに対向するように配置した超音波振動子であり、上流側の超音波振動子37と下流側の超音波振動子38は距離Lを隔てるとともに速度Vの被計測流体の流れに対して角度θ傾けて設置されている。
40は接続された超音波振動子37、38に対して超音波の送受信をさせる計測制御部であり、41は計測制御部40での信号を基に速度、音速などを計算する演算部である。このように、流量計測手段36は瞬時計測ができる推測式流量計である超音波式流量計測手段42としている。
次に動作を説明する。計測部39を流体が流れている時に、計測制御部40の作用により超音波振動子37、38間で計測部39を横切るようにして超音波の送受が行われる。
すなわち、上流側の超音波振動子37から発せられた超音波が下流側の超音波振動子38で受信されるまでの経過時間T1を計時する。
また一方、下流側の超音波振動子38から発せられた超音波が上流側の超音波振動子37で受信されるまでの経過時間T2を計時する。
このようにして測定された経過時間T1およびT2を基に、以下の演算式により演算部41で流量が算出される。
いま、流体の流れと超音波伝播路とのなす角度をθとし、流量測定部である超音波振動子37、38間の距離をL、被測定流体の音速をCとすると、流速Vは以下の式にて算出される。
T1=L/(C+Vcosθ)
T2=L/(C−Vcosθ)
T1の逆数からT2の逆数を引き算する式より音速Cを消去して
V=(L/2cosθ)((1/T1)−(1/T2))
θおよびLは既知なのでT1およびT2の値より流速Vが算出できる。いま、空気の流量を計ることを考え、角度θ=45度、距離L=70mm、音速C=340m/s、流速V=8m/sを想定すると、T1=2.0×10−4秒、T2=2.1×10−4秒であり、特に極短時間での瞬時計測ができる。
ここで、計測部39の横断面積sより、流量Qは
V=kVs
ここで、kは横断面積sにおける流速分布を考慮した換算係数である。
なお、演算部41では経過時間T1の逆数とT2の逆数を足し算して得られる以下の式で音速Cを算出し、
C=L((1/T1)+(1/T2))/2
こうして音速Cを求め、この算出された音速Cにより流体の種類を判別するとともに音速あるいは流体の種類に適した超音波流量計測手段42としての計測条件を設定することでより一層の高精度計測ができる。
この超音波流量計計測手段42としての計測条件としては、超音波振動子の駆動周波数や駆動電圧などの駆動パワーあるいは経過時間T1、T2を何回計測して流速を算出するのかという繰返し回数などがある。
なお、使用されると想定される流体をに予め登録しておくことで流体の種類を判別する精度を高めることができ、さらに温度により音速Cは変化するため流体の温度を検出する温度センサ(図示せず)を設けることで一層流体の種類を判別する精度を高めることができる。
この超音波流量計測手段42により極短時間でかつ連続的に瞬時に流量を計測するとともに器具の利用開始の流体の流量変化を時間分解能を高めて計測して開閉動作制御手段19に信号を伝送し、器具の利用開始の判定精度の向上がなされるとともに即座に判断して応答速度を高めた開成動作がなされ、器具に流体が即座に供給されるため器具が安定して動作を開始できる。
このため、極短時間でかつ連続的に流速あるいは流量の計測により器具の利用開始を高精度で即座に判断して応答速度を高めた開成動作を実現でき、利用を開始した器具の安定動作がなされて器具動作の信頼性を高めることができる。
(参考実施例7)
図8は参考実施例7を示し、図1および図7と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1,6のものを援用する。
図8において、圧力計測手段26と瞬時流速計測手段27とで器具利用検出手段29を構成した場合での瞬時流速計測手段27の替わりに超音波式流量計測手段42を流量計測と器具の利用検出に共用したもので、超音波式流量計測手段42の演算部41を開閉動作制御手段19に電気的に接続している。
次に動作を説明する。前述のように器具の利用開始あるいは利用停止に伴う流れの変化を圧力計測手段26と流速計測手段としての超音波式流量計測手段42で検出して開閉動作制御手段19に信号として伝送し、流体制御手段16を開成あるいは閉成するように制御する。
瞬時流速計測手段として超音波式流量計測手段42を使うため、極短時間でかつ連続的に瞬時に流量を計測して器具の利用開始の流体の流量変化の時間分解能を高めた計測がなされ、器具の利用開始を高精度で判定できるとともに利用を開始した器具の種類の判別が可能となる。
また、器具の利用検出の手段と器具での使用流量の計測手段を共用化して制御装置の簡素化やコンパクト化がなされるとともに、負荷の低減により消費電力の低入力化がなされ電池駆動による10年間などの長寿命化が可能となる。
このため、時間分解能を高めた計測により器具の利用状態を高精度で判定でき、共用化により構成の簡素化とコンパクト化および低消費電力化ができる。
なお、器具利用検出手段として圧力と流速を併用する場合を示したが、圧力の検出を無くして、流速の検出手段として超音波式流量計測手段42を共用しても良い。
(参考実施例8)
図9は参考実施例8を示し、図1,7,8と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1,6,7のものを援用する。
図9において、43は異常発生を知らせる異常信号を検知した時に、流体制御手段16が閉成時は器具の利用開始に関わらず閉成を保持するとともに流体制御手段16が開成時は流体制御手段16を閉成する異常信号制御部であり、44は流体制御手段16および異常信号制御部43に電気的に接続され流体制御手段16を開閉駆動する駆動部である。
この異常信号制御部43には器具利用検出手段29および瞬時流量計測手段36が接続されるとともに、外部に設けた異常検知手段45が接続されている。
この外部に接続する異常検知手段45は、流体として都市ガスあるいはプロパンガスなどの家庭用のガスの場合では、ガス漏れ検知器や不完全燃焼により発生する一酸化炭素を検知するCOセンサなどがある。
また、異常信号が入力される場合として瞬時流量計測手段36が過大な大流量や器具の長時間使用など異常状態を検出した場合がある。
次に動作を説明する。外部に設けたCOセンサなどの異常検知手段45が異常発生を開
閉動作制御手段19の異常信号制御部43に知らせると、異常信号制御部43は流体制御手段16の動作状態を判定して、流体制御手段16が閉成時は閉成を保持したままで器具の利用を開始したと判定されても開成させないものである。
また、流体制御手段16が開成時は即座に閉成させ流体の流動を停止させる。なお、異常検知状態を解除しない限り流体制御手段16は閉成を保持されるもので、異常検知状態を手動などで解除することにより通常の制御状態に戻り利便性が確保される。
このように、通常時は利用開始とともに開成し利用停止とともに閉成し、異常検知時は閉成するとともに器具を利用開始しても流体制御手段は開成しないため、利便性を確保でき、安全性を一層高めることができる。
(参考実施例9)
図10は参考実施例9を示し、図1、7,8,9と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1,6,7,8のものを援用する。
図10において、
46は地震を検知する感震手段であり、この感震手段46は異常信号制御部43に接続されている。
次に動作を説明する。感震手段46で振動を検知し、この振動の状況が予め設定した所定値以上の大きさの地震と判定される時は異常信号制御部43に知らせることにより、前述したように異常信号制御部43は流体制御手段16の閉成動作を実行し地震時の安全性を確保する。
また、感震手段46で検知した振動が所定値以上の大きさの地震と判定されない場合でも、異常信号制御部43に大きな振動があったことを知らせる。
地震ではないレベルの振動があったことを知らされた時に、器具利用検出手段29あるいは瞬時流量計測手段36から器具の利用開始に類似した信号が伝送された場合、この振動により流路15内の流体が流動あるいは圧力変化を生じたことにより信号が伝送されたと判断できると、器具の利用開始ではないと判定して流体制御手段16を閉成のままとして誤動作を防止する。
このように、地震時の安全性を確保できるとともに振動による流路内の流体の移動あるいは圧力変化を器具の利用開始と誤認することを防止して信頼性を一層向上できる。
以上の各参考実施例をふまえ以下本発明の実施例を図5を参照して説明する。
(実施例1)
図5は本発明の実施例1を示し、図1と同作用を行う構成部分には便宜上同一符号を付し、具体的説明は参考実施例1のものを援用する。
図5において、32は、確定された下流側の配管および器具の種類あるいは設置状況において実際に器具を利用開始した時および利用停止した場合の流体の状態の変化をそれぞれ事前に学習して記憶する学習記憶部33と、実利用時の流体の状態を検出するパターン検出部34と、学習記憶部33で記憶した信号とパターン検出部34で認識した信号とを比較して判定する学習判定部35とを備えた器具利用検出手段である。
流体制御手段16が閉成の状態で、パターン検出部34で認識した信号と学習記憶部33で記憶した信号が器具の利用開始時と一致すると学習判定部35が判定した場合は器具の利用開始と判断して流体制御手段16を開成し、一致しない場合は流体制御手段16を閉成した状態を保持させる。
また、流体制御手段16が開成の状態で、パターン検出部34で認識した信号と学習記憶部33で記憶した信号が器具の利用停止時と一致すると学習判定部35が判定した場合は器具を利用停止と判断して流体制御手段16を閉成し、一致しない場合は流体制御手段16を開成した状態を保持させる。
次に動作を説明する。器具17を下流側に配管接続して確定した状態で、まず流体制御手段16が閉成したままで実際に器具17を利用開始した場合での流体の圧力あるいは流速の変化を器具利用検出手段18で計測し、学習記憶部33に記憶させる。
次に流体制御手段16が開成し器具17を利用した状態で器具17を利用停止した場合での流体の圧力あるいは流速の変化を器具利用検出手段18で計測し、学習記憶部33に記憶させる。
その後、実使用状態においては事前に学習記憶部33に記憶させた信号とパターン検出部34で認識した信号とが一致するか否かを学習判定部35で判定し、流体制御手段16が閉成時に器具17の利用開始時と一致する場合は流体制御手段16を開成させ、流体制御手段16が開成時に器具17の利用停止時と一致する場合は流体制御手段16を閉成させる。
このように、実設置状態における器具の利用開始および利用停止の状態をそれぞれ学習させることで判定精度を一層高めた検知動作がなされ、種々異なる設置状況に対して的確な判定が可能となり設置に対する自由度の拡大がなされる。
また、器具の経年劣化などにより器具の特性が劣化した場合でも学習値と比較して不具合の事前の判定が可能となる。
このため、確定された下流側の配管および器具の設置状況において、利用開始の検出精度を一層高めることができ、器具の経時劣化などによる不具合を事前に検知できる。また、設置に対する自由度が拡大でき設置性が向上できる。
以上説明した各参考実施例、および実施例1の技術的意義を総括すれば以下の通りである。
(1)流体の利用状態を流体から検出する器具利用検出手段と、器具利用検出手段の信号に基づき流体の利用開始を検出すると流体制御手段を開成させるとともに流体の利用停止を検出すると流体制御手段を閉成させる開閉動作制御手段を備えているので、器具を使用していない時での安全性を向上できる。また流体の利用状態を流体から検出するため器具との利用開始および利用停止の信号の送受信が不要となり構成の簡素化と低コスト化ができる、さらに設置時における器具との信号線などの工事を不要として施工性が向上できる。
(2)器具利用検出手段は流体制御手段の下流側に設け流体の流速を瞬時に計測する瞬時流速計測手段としているので、器具の利用開始を流体の流れの有無だけでなく瞬時計測により流れの時間変化で検出するため検出の精度を高めることができる、また器具の利用開始あるいは停止時に対する動作の信頼性を向上できる。
(3)器具利用検出手段は流体制御手段の下流側に設け流体の流速を瞬時に計測する瞬時流速計測手段と流体の圧力を計測する圧力計測手段を備えているので、器具の利用開始を流体の流れと圧力変化の両方で判定するため検出精度を高めて信頼性をより一層向上でき、また構成の簡略化、低コスト化、流路の圧力損失の低減ができる。
(4)流体制御手段の下流側の流路に連通し流体を貯める流体タンクを設けているので、器具利用開始の検出精度を一層高めることができ、また下流側の配管が短くて配管内容積が小さい場合でも器具の利用開始を検出できるため下流側の配管仕様に対する適用可能域を拡大でき施工性および利便性を向上できる。
(5)開閉動作制御手段は器具利用検出手段の信号を学習する学習判定部を備えているので、確定された下流側の配管および器具の設置状況において、利用開始の検出精度を一層高めることができる。また器具の経時劣化などによる不具合を事前に検知でき、さらに、設置に対する自由度が拡大でき設置性が向上できる。
(6)流体の流量を瞬時に計測する瞬時流量計測手段と、流体制御装置とを備えているので、器具利用開始を器具利用検出手段と瞬時流量計測手段の複数で判断できるため検出精度を一層高めることができる。
(7)瞬時流量計測手段は、流路に設けた少なくとも一対の超音波振動子と、前記超音波振動子間の超音波の伝搬時間を計測する計測制御部と、前記計測制御部からの信号に基づいて流量を算出する演算部とを有する超音波式流量計測手段としているので、極短時間でかつ連続的に流速あるいは流量の計測により器具の利用開始を高精度で即座に判断して応答速度を高めた開成動作を実現でき、また利用を開始した器具の安定動作がなされて器具動作の信頼性を高めることができる。
(8)超音波式流量計測手段は、器具利用検出手段を形成する瞬時流速計測手段として共用しているので、時間分解能を高めた計測により器具の利用状態を高精度で判定できる。また共用化により構成の簡素化とコンパクト化および低消費電力化ができる。
(9)開閉動作制御手段は、異常発生を知らせる異常信号を検知した時に、流体制御手段が閉成時は器具の利用開始に関わらず閉成を保持するとともに流体制御手段が開成時は流体制御手段を閉成する異常信号制御部を設けているので、利便性を確保でき、また安全性を一層高めることができる。
(10)異常信号制御部に地震を検知する感震手段を接続しているので、地震時の安全性を確保でき、さらに振動による流路内の流体の移動あるいは圧力変化を器具の利用開始と誤認することを防止して信頼性を一層向上できる。