JP4882218B2 - 水素発生用電極およびその製造方法並びにこれを用いた電解方法 - Google Patents

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Description

本願発明は水の電気分解又は食塩などのアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解に使用する水素発生用電極およびその製造方法並びにこれを用いた電気分解方法に関するものである。
水又はアルカリ金属塩化物水溶液電解工業は電力多消費型産業であり、省エネルギー化のために様々な技術開発が行われている。その省エネルギー化の手段とは、理論分解電圧、液抵抗、隔膜抵抗、陽極過電圧、陰極過電圧などで構成される電解電圧を実質的に低減することである。特に、過電圧の低減に関しては、その過電圧値が電極の触媒材料や電極表面のモルフォロジーに左右されることから、その改良についてこれまで多くの研究開発が行われてきた。イオン交換膜法食塩電解においては、陽極過電圧の低減に盛んな研究開発が行われてきた結果、陽極過電圧が低く、耐久性に優れた寸法安定性電極[例えば、ペルメレック電極社製のDSE電極(登録商標)]が完成し、既に食塩電解工業を初め広い分野で利用されている。
一方、陰極過電圧を低減するための水素発生用電極、いわゆる活性陰極に関してもこれまで多くの提案がなされている(例えば、特許文献1)。一般的に水素過電圧を低下させる手段としては、担持触媒の活性向上と反応比表面積の増加であり、活性向上には、導電性基材上に特定組成の金属混合物、金属合金、酸化物あるいはこれらの混合物からなる高活性触媒の担持、比表面積増加はその担持方法により向上させており、主な担持方法としては、活性成分や金属塩を溶解させた浴から触媒成分を電析させる電気めっき法、金属塩溶液に活性物質を分散させた浴から触媒成分を電気泳動電着させる分散めっき法、溶融状態の触媒物質を基材に直接溶射する溶射法、金属塩の溶液などを塗布、焼成する熱分解法が挙げられる。
従来、鉄陰極の約400mVという水素過電圧を150〜200mVまで低下可能な電極として、例えば、電気めっき法で導電性基材表面に鉄、コバルト、ニッケルの遷移金属とタングステン、モリブデンの合金層を担持する方法が開示されている(特許文献1)。更に、電気めっき法で導電性基材表面に、ニッケルと鉄、コバルト、インジウムとの組み合わせに加えてアミノ酸、カルボン酸、アミンなどの有機化合物を含んだ物質を担持したものが開示されている(特許文献2)。しかし、これらは担持物を非常に厚くすることが必要なため、めっき応力による電極の変形や担持物の剥離が起こりやすいことや、これらの卑金属は活性が低いため、卑金属の合金化による活性向上だけでは水素過電圧を低下させる効果としては不十分なものであった。
また、ニッケルとモリブデンからなる合金層をアークイオンプレーティング法で担持したものが開示されている(特許文献3)が、初期水素過電圧は十分低いものの長期電解運転における水素過電圧上昇、いわゆる耐久性に課題があった。
一方、ニッケル及び/又はコバルトと、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、シリコンから選ばれる成分、及び、白金等の貴金属から選ばれる3成分合金からなる水素発生用電極が開示されている(特許文献4)。この電極では、前記3成分からなる合金からアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、シリコンから選ばれる成分を溶出・除去しラネー型ニッケル及び/又はラネー型コバルト触媒を水素発生用電極に使用することを骨子としたもので、貴金属成分をモル比で0.4未満と微量添加することによって、ニッケル及び/又はコバルトが水酸化ニッケルあるいは水酸化コバルトに変質することによる電極活性の劣化を阻止することで耐久性向上を図ったものである。しかし、この電極はニッケル及び/又はコバルトの比表面積の増加によって水素過電圧を低減しているため、触媒から成分を除去する工程が必要なことや、担持物を数十〜数百μmまで厚くする必要があり、製作コストが非常に高いなどの問題があった。なお、特許文献4には、貴金属成分をモル比で0.4以上にしても、水素発生過電圧の低減効果は無いと記載されている。
又、Ni又はNi合金と白金族金属等との混合物からなる水素発生用電極が従来から提案されてきた。例えば、特許文献5には、Ni又はNi合金中に分散された白金族金属および/又は白金族金属酸化物の少なくとも一種の陰極活性物質とからなる、すなわち、Ni又はNi合金と白金族金属および/又は白金族金属酸化物の少なくとも一種の陰極活性物質の混合物を被覆した水素発生用電極が提案されている。Ni又はその合金を主体とした活性ニッケル被覆は、Niと犠牲金属を被覆した後、犠牲金属を溶出して得られる多孔性ニッケルの他、Niと他の金属および/又は化合物との合金及び/又は混合物等の活性物質の中から適時選択される。一方、Niと共に被覆される他の金属としては、Fe、Mo、Co、W、Al、Zn、Sn、Mg、Ti、白金族金属及びそれらの酸化物等の多くの物質が提案されている。特許文献5には、特に水素過電圧が低く、耐久性が優れたものとして、Niに白金黒、ルテニウム黒、酸化ルテニウム等の白金族金属微粒子や白金族酸化物微粒子を分散混合した活性化ニッケルからなる被膜を例示している。しかし、特許文献5の実施例に記載された通り、前記の最も優れた例の1つである酸化ルテニウム微粒子を含むNiからなる水素発生用電極は、電流密度が0.20A/cm(2kA/m)と低い場合にも、水素発生電位は−0.98V vs. NHEであり、これを水素過電圧に換算すると、120mV程度と水素過電圧性能は不十分である。すなわち、特許文献5が提案したNi又はNi合金と共に白金族金属等の各種金属又はその酸化物と共に被覆されてなる水素発生用電極は、何れも過電圧性能面で満足し得るものではなかった。
この他にも、白金族金属酸化物とNi等の酸化物との混合物や複合酸化物を使用することが従来から提案されてきた。例えば、特許文献6には、白金族金属化合物とNi等の金属化合物の混合溶液を塗布乾燥してから該金属化合物を酸化するに十分な条件、すなわち、空気や酸素等の酸化性気流中且つ高温で加熱処理し白金族金属酸化物とNi酸化物等との混合酸化物や複合酸化物からなる電極を製造する方法が提案されている。特許文献6の実施例3には、塩化白金酸と塩化ニッケルと塩化ルテニウムの混合溶液をニッケル基材状に塗布し乾燥した後、470〜480℃で熱分解して製作した白金とニッケルとルテニウムの酸化物が被覆された水素発生用電極が開示されて、0.31A/cm(3.1kA/m)で測定された電位は、表IのEx.3に記載されており、特許文献6に記載された熱力学計算による実際の絶対再現性電圧から過電圧に換算すると、1週目の過電圧は42mVと十分満足できるものの、電解経過と共に過電圧が上昇しており、6週目の水素発生過電圧は87mV、11週目以降は97mVである。従って、5kA/m以上の電流密度で使用した場合、過電圧は低くとも100mV以上と予想され、改善すべき課題があった。
一方、上記の他にも、貴金属族元素と卑金属元素を複数組み合わせた水素発生用電極が従来から提案されている。例えば、特許文献7には、1種類の貴金属又は2種類若しくは3種類以上の貴金属の混合物若しくは合金からなる貴金属沈着物や、該貴金属沈着物にNi等の1種類又は2種類以上の卑金属を含んだ沈着物をNi等の導電性基材上に沈着させた水素発生用電極が提案されている。しかし、これらの水素発生用電極は、電解液中の鉄等の不純物による被毒を受け易いという課題を持つことが知られている(特許文献8及び特許文献9)。
この様に、従来から、白金を担持して成る水素過電圧が低い水素発生用電極が提案されているが、白金を担持して成る水素発生用電極は電解液中に存在する微量の鉄イオンに対して敏感に被毒の影響を受け易く鉄イオン濃度が1ppm以下の微量濃度でも水素過電圧は上昇するため、電解液中に鉄イオンが混入しやすいアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解工業等での使用に更なる改善が検討されている(特許文献8)。
そのため、電解液中の鉄イオンによる被毒防止を目的に幅広く検討が成され、様々な提案が成されている。出願人は以前、低水素過電圧を有する水素発生陰極をアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解に用いた場合の、該陰極上への鉄の析出と陰極液中の鉄イオンとの関係を鋭意検討し、陰極液中の鉄イオン濃度が0.5ppm以下の場合には鉄の析出が防止可能であることを見出し、低水素過電圧陰極を用い、且つ、陰極液中の鉄イオン濃度を0.5ppm以下に維持しながら電解するアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解方法を提案した(特許文献9)。かかる発明により、鉄イオンに対して敏感に被毒の影響を受ける水素発生用電極も、アルカリ金属塩化物水溶液の電気分解工業等での使用が可能になった。しかし、特許文献9の提案を実施するためには、陰極液に接する部分の少なくとも陽分極される箇所に高Ni系ステンレス或いはNi等の材料を用いたり、停止時に防食電流を流したりする等が必要であり、経済的観点から改善すべき課題があった。
また、鉄イオンにより過電圧が上昇した水素発生用電極から鉄を除去する方法が検討され、鉄の析出で水素過電圧が悪化した水素発生用電極から鉄を除去し再利用する提案が成されてきた。例えば、表面上に析出された鉄と反応しかつそれを可溶化する液体媒体と接触させることからなる陰極表面に析出された鉄を除去する方法が提案された(特許文献10)。この方法を用いることにより鉄イオンにより過電圧が上昇した水素発生用電極の再利用が可能となったが、当該提案を実施するためには、電気分解を頻繁に停止する必要があり長期間連続で安定に操業することが出来ない。従って、この場合も経済的観点から改善すべき課題があった。
さらに、水素発生用電極自体に鉄イオンが付着しがたい、或いは、付着しても性能が劣化しない特性を付与するための試みが従来から広く行われてきた。例えば、白金及びルテニウムと、金又は銀の少なくとも一方を含む触媒、或いは、さらに有機ポリマーの粒子を含む触媒を導電性基材に担持した水素発生用電極が提案された(特許文献11)。該水素発生用電極は陰極液中に鉄イオンが存在しても過電圧の上昇は極僅かであり、アルカリ金属塩化物水溶液の電気分解のエネルギー使用量を削減しうる点においては確かに優れた特性を有する水素発生用電極である。しかし、白金、ルテニウム、金及び銀は何れも高価な材料であり、これにポリテトラフルオロエチレンを含ませる場合は、なお一層、高価となる。従って、この場合もなお、経済的観点から改善すべき課題があった。
一方、白金とセリウム酸化物からなる触媒を用いた水素発生用電極が提案されている(特許文献12)。当該白金とセリウム酸化物の触媒からなる水素発生用電極は、過電圧が低く且つ鉄イオンによる影響は抑制され、アルカリ金属塩化物水溶液の電気分解用の水素発生用電極として優れた性能を示す。また、白金とセリウム酸化物からなる触媒と基材の間にニッケル酸化物からなる中間層を設ける提案が成されており(特許文献12)、さらにコスト面などを改善すべく検討されている。
以上述べてきた通り、水又はアルカリ金属塩化物水溶液電解工業の電力消費量を削減する目的で、従来から様々な水素発生用電極及び水素発生用電極の使用方法が提案されてきたが、従来の水素発生用電極は水素過電圧特性と、陰極液中の鉄イオンに対する耐被毒性能や起動・停止を余儀なくされる工業的な使用において十分な耐久性を兼ね備え、工業的に満足し得る特性を持つ水素発生用電極は、依然、得られていなかった。
特公昭40−9130号公報 特許第3319370号公報(実施例) 特許第3358465号公報(実施例) 特開昭59−25985号公報(特許請求の範囲、第2頁右上欄13行〜同頁右下欄16行、実施例) 特開昭54−119084号公報(第3頁左上欄10行〜16行、同頁左下欄17行〜最終行) 特開昭59−232284号公報(請求項3、第6頁左下欄10行〜右下欄5行、第7頁右下欄4行〜第10頁右下欄19行、実施例) 特開昭57−23083号公報(特許請求の範囲、第4頁左下欄17行〜右下欄9行目) 特開昭64−8288号公報(特許請求の範囲、第2頁左下欄15行〜最終行) 特開昭60−56082号公報(特許請求の範囲、第2頁左上欄19行〜左下欄16行目、第3頁、左上欄18行〜左下欄、4行) 特開昭60−59090号公報(特許請求の範囲) 特開昭63−72897号公報(特許請求の範囲) 特開2000−239882号公報(特許請求の範囲、段落0004、段落0006)
本発明の目的は、水又はアルカリ金属塩化物水溶液電解工業等で使用可能な、水素過電圧が十分に低く、且つ、鉄イオンによる被毒の影響がなく、さらに、運転中や起動・停止中にも水素過電圧の上昇や担持物の脱落がなく耐久性に優れた水素発生用電極、該水素発生電極の製造方法、並びに、該水素発生用電極を陰極に用いた電解方法を提供し、水又はアルカリ金属塩化物水溶液電解工業等の電力消費量を削減することにある。
本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、該触媒を導電性基材に担持する方法が異なると触媒中の元素の存在状態(混合物、合金、又は、複合酸化物)が異なることを見出し、さらに、触媒に用いる元素の種類が同じであっても元素の組成や状態が異なると水素発生用電極の特性が大きく異なることを見出した。
これらの知見を元に、水素発生用電極について更なる鋭意検討を重ね、導電性基材上に、白金と遷移金属元素との白金合金が担持されてなる水素発生用電極、特に、導電性基材上に、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属(以下、添加金属と記す)と白金からなる白金合金が担持され、白金合金中の白金含有量がモル比で0.40〜0.99の範囲である水素発生用電極が優れた低水素過電圧性能と耐久性を示すことを見出した。
さらに、導電性基材上に、添加金属化合物溶液とアンミン錯体を形成する白金化合物溶液を塗布し、200℃以下の温度で乾燥し、その後200℃を超え700℃以下の温度で熱分解した後、還元処理することにより上記水素発生電極が得られることを見出した。
その後、さらに鋭意検討を重ね、上記水素発生電極は、水又はアルカリ金属塩化物水溶液中で陰極として用いた場合、水素過電圧が極めて低く、電解液中に鉄イオンが存在しても過電圧上昇は極めて小さく、加えて、電解中は無論、停止や再起動の非定常作業中も触媒が脱落することのない、特筆すべき性能を有することを見出し、ついに本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性基材上に、添加金属と白金からなる白金合金が担持された水素発生用電極は、例えば、導電性基材上に、添加金属化合物溶液とアンミン錯体を形成する白金化合物溶液を塗布し、200℃以下の温度で乾燥し、その後200℃を超え700℃以下の温度で熱分解した後、還元処理することにより得られ、その担持物は、添加金属と白金金属との混合物や添加金属酸化物と白金との混合酸化物或いは複合酸化物等で存在するのではなく、添加金属と白金とが固溶した白金合金である。前記担持物は水素発生用電極として優れた触媒となる。
さらに還元処理については、電気化学的還元であることが好ましく、水又はアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解するときの電気化学的還元であることがより好ましい。
本発明においては、添加金属と白金からなる白金合金は、原料等から混入する不可避不純物を含む添加金属と白金の白金合金を当然包含されるものである。また、本発明の白金合金は、白金合金中の白金含有量はモル比で0.40〜0.99の範囲であることが必須である。白金合金中の白金含有量がモル比で0.4未満の場合は水素過電圧が高くなったり、耐久性が劣るため、本発明の効果が得られない。逆に、白金合金中の白金含有量がモル比で0.99を越えると、初期の水素過電圧は同等であるが、電解液中の鉄イオンにより過電圧が上昇するなど、耐久性が劣り、本発明の効果が得られない。好ましくは、白金合金中の白金含有量はモル比で0.45〜0.96、さらに好ましくは0.49〜0.96の範囲である。
なお、本発明で言う白金合金中の白金含有量とは、白金合金中の白金のモル数を、白金合金を構成する全元素(不可避不純物を除く)の合計モル数で除したものを意味する。すなわち、例えば、不可避不純物を除き添加金属と白金の2成分からなる白金合金の白金含有量は、(白金モル数)/(白金モル数+添加金属モル数)で計算される値を意味する。また、例えば、不可避不純物を除き白金と成分Xと成分Yとの3元系からなる白金合金の白金含有量は、(白金モル数)/(白金モル数+成分Xモル数+成分Yモル数)で計算される値を示す。
白金合金に関して、白金は多くの金属元素と固溶体や金属間化合物といった合金相を形成し、その組成比と温度によって合金相は多様に変化する。これらは全率固溶体型、析出型、包晶反応型、共晶反応型、偏晶反応型といった合金状態図で開示されている。
例えば、白金とコバルトを組み合わせた合金の場合、その合金状態図は析出型に属し、白金とコバルトは、いかなる組成比においても固溶した合金を形成する。また、白金とコバルト以外にも、ニッケル、銅、銀、鉄、モルブデン及びマンガン等の多くの元素と白金は、いかなる組成比においても固溶した合金を形成する(長崎誠三、平林眞 編著 「二元合金状態図集」、アグネ技術センター出版、第2版、第13、112、136、152、230、212、205頁)。
本発明の「ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属と白金からなる白金合金」とは、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属と白金が固溶し、合金化したものであり、例えば金属白金のCuKα線によるX線主回折ピークである(111)面間隔から同定可能である。
具体的には、金属白金の結晶構造はASTMカード、No.4−0802に開示されているように面心立方格子であり、CuKα線による主回折ピークである(111)面間隔は2.265オングストロームである。この金属白金と原子半径の異なる金属が固溶、合金化することにより、金属白金の格子は膨張、収縮し面間隔は変化する。従って、CuKα線によるX線主回折測定における回折ピークのシフトの有無、即ち、金属白金の(111)面間隔の変化の有無によって、合金化の有無を確認することができる。
なお、原子半径は最小原子間距離の半分であるが、金属白金と添加金属との原子半径の序列は、例えば、化学便覧基礎偏 改定第2版(著作者 社団法人 日本化学会、丸善株式会社 発行、昭和52年5月20日第2刷発行)の1401頁〜1403頁の表11.169(原子間隔の一般値)から見積もることが出来る。すなわち、Pt−Pt(金属)の原子間隔は2.775Å(以下、「オングストローム」を「Å」と略す。)に対して、Ni−Ni(金属)の原子間隔は2.492Å、Co−Co(金属)の原子間隔は2.506Å、Cu−Cu(金属)の原子間隔は2.556Å、Fe−Fe(金属)の原子間隔は2.482Åと、金属白金の原子間隔に比較して小さく、ニッケル、コバルト、銅、及び、鉄の群の中から選ばれた1種の金属が白金と固溶、合金化すると、金属白金の格子が収縮し面間隔は狭まる。一方、Ag−Ag(金属)の原子間隔は2.889Åと、金属白金の原子間隔に比較して大きいため、銀が白金と固溶、合金化すると、金属白金の格子が膨張し面間隔が広がる。
従って、添加元素の種類と白金含有量で異なる値を示すが、それは、記述の通り、CuKα線によるX線主回折測定における回折ピークのシフトの有無、即ち、金属白金の(111)面の面間隔の変化で同定が可能である。本発明の白金合金の場合、(111)面間隔は、ニッケルの場合は2.120〜2.264Å、コバルトの場合は2.130〜2.264Å、銅の場合は2.150〜2.264Å、銀の場合は2.270〜2.320Å、鉄の場合は2.170〜2.264Åである。しかしながら、(111)面間隔が上記の範囲であっても、白金合金中の白金含有量がモル比で0.4〜0.99を逸脱した場合には、本発明の効果は発揮されないこともある。
本発明で用いる導電性基材は、例えばニッケル、鉄、銅、チタンやステンレス合金鋼が挙げられ、特にアルカリ性溶液に対して耐食性の優れたニッケルが好ましい。導電性基材の形状は、特に限定されるものではなく、一般に電解槽の電極に合せた形状でよく、例えば平板、曲板等が使用可能である。
また、本発明で用いる導電性基材は、多孔板が好ましく、例えば、エキスパンドメタル、パンチメタル、網等が使用できる。
本発明の水素発生用電極を製造する方法は、導電性基材上に、添加金属と白金からなる白金合金を担持することが出来ればどの様な製造方法でもよい。例えば、電気めっき法、分散めっき法、溶射法、熱分解法、アークイオンプレーティング法などを用いることができる。しかし、これらの既知の製造方法を用いる場合、導電性基材上に添加金属と白金からなる白金合金を担持するためには、製造条件や原料を鋭意検討し設定する必要がある。単に既知の製造方法を適用しただけでは、本発明が提供する、導電性基材上に、添加金属と白金からなる白金合金を担持した水素発生用電極を製造することは出来ない。
以下、本発明が提供する、導電性基材上に、添加金属と白金からなる白金合金を担持した水素発生用電極を製造する具体的方法を、熱分解法を例に詳細に説明する。
本発明で言う熱分解法とは、基材上に添加金属化合物溶液と白金化合物溶液を塗布し、乾燥し、熱分解を行う一連の操作を言う。熱分解法で導電性基材上に触媒を担持し水素発生用電極を製造する方法は、従来から多くの提案が有るが、それを単に適用しただけでは本発明の効果は得られない。すなわち、該熱分解法を実施するに際して、白金化合物溶液、乾燥温度、熱分解温度の何れか1つでも、本発明の提供する条件から逸脱した場合には、本発明の提供する添加金属と白金からなる白金合金を担持した水素発生用電極を得る事は出来ず、本発明の効果を得る事は出来ない。
まず、本発明での必須要件について以下に詳細に説明する。本発明で用いる白金化合物溶液は、アンミン錯体を形成する白金化合物溶液であることが必須である。アンミン錯体を形成する白金化合物は、ジニトロジアンミン白金、テトラアンミン白金、ヘキサアンミン水酸塩が知られており、これらの中から1種又は2種以上を選択する。溶媒は水でも良いし、アルコール等の有機溶液でも、これらを混合して使用してもよい。しかし、アンミン錯体を形成しない白金化合物、例えば、塩化白金、塩化白金酸等の溶液を用いた場合は、本発明の効果を得る事はできない。従来の熱分解方法による水素発生用電極の製造に際しては、アンミン錯体を形成しない塩化白金酸等の白金化合物溶液が一般に使用されていた。しかし、添加金属化合物溶液とアンミン錯体を形成しない白金化合物溶液を使用した場合は、他の要件が例え本発明と同じであって、且つ、熱分解後に還元処理を行っても白金合金は得られない。これは、添加金属化合物溶液と塩化白金酸等の白金化合物溶液を塗布し熱分解して得られる担持物は、添加金属と白金とが不均一に分布していため、白金リッチな部分と添加金属リッチな部分とに分かれてしまい、例え還元処理を実施しても白金と添加金属の混合物或いは酸化物の混合物や複合酸化物の水素発生用電極しか得ることが出来ないと推定可能である。白金化合物溶液を本発明が提供する白金のアンミン錯体を形成する溶液を使用すると、白金のみならず、添加金属ともアンミン錯体を形成し、添加金属と白金とが均一に分布し基材に担持されることによって、引き続く還元処理により添加金属と白金との合金からなる水素発生電極が得られると推定可能である。
また、アンミン錯体を形成する白金化合物を用いても、本発明の提供する添加金属、すなわち、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属でない場合は、その他の要件が本発明と同一であっても、白金合金が得られないか、白金合金が得られても水素発生用電極としての特性は劣り、本発明の効果を得る事はできない。例えば、添加金属にセリウムを用いて、他の要件は本発明と同一で水素発生用電極を製造した場合には、担持物は白金とセリウム酸化物の混合物となり、本発明の効果は得られない。
本発明では、200℃以下の温度で乾燥する事が必須である。乾燥温度が200℃を超えると、前記添加金属化合物溶液及び/又は前記アンミン錯体を形成する白金化合物溶液から溶媒が急激に気化又は沸騰し、添加金属及び/又は白金の一部、或いは、全部が基材から浮いた状態となるため、引き続く還元処理時に脱落したり、或いは、水素発生用電極としての使用時に脱落するため、本発明の効果が得られない。
本発明では、電気炉などを用い空気雰囲気中等で200℃を超え700℃以下の温度で熱分解を行う。熱分解温度が200℃以下では、基材と添加金属及び/又は白金の一部、或いは、全部との密着性が低下し、引き続く熱分解操作で脱落したり、或いは、水素発生用電極としての使用時に脱落するため、本発明の効果が得られない。一方、熱分解温度が700℃を超えると、白金がシンタリングしたり、添加金属と白金との合金が得られない等の理由で、水素過電圧性能が著しく劣るため、本発明の効果が得られない。
前記熱分解操作後に基材に担持された添加金属と白金の存在状態は、必ずしも明確ではないが、熱分解後の被膜のCuKα線によるX線回折パターンは、遷移金属元素などの添加金属の回折パターン、白金金属の回折パターン、及び、添加金属と白金合金との回折パターンのいずれとも異なり、非晶質状態を示す回折パターンを示し(図2)、熱分解後の被膜中の添加金属と白金は何れも金属状態ではなく、価数の高い状態で存在していると推察される。そのため、本発明では、前記熱分解操作後に、添加金属と白金を金属状態まで還元し且つ前記添加金属と白金を合金化するために還元処理を行う事が必須である。
次に、本発明に必須ではないが、本発明の効果をより一層高めるために好ましい要件について、以下に詳細に説明する。
導電性基材は、予め基材表面を粗面化することが好ましい。これは、粗面化によって接触表面積を大きくでき基材と担持物の密着性が向上するためである。粗面化の手段としては特に限定されず公知の方法、例えばサンドブラスト処理、蓚酸、塩酸溶液などによるエッチング処理し、水洗、乾燥し用いることができる。
本発明の水素発生用電極の製造方法に用いるアンミン錯体を形成する白金化合物は、アンミン錯体が添加金属とも錯体を形成可能な中から選択することが好ましい。アンミン錯体を形成する白金化合物の中でも、ジニトロジアンミン白金を用いると、還元処理後の白金合金の結晶子径を例えば200オングストローム以下まで微細化し、反応比表面積が増大するため好ましい。これは、前記ジニトロジアミン白金は熱分解温度が約550℃と高いために、熱分解中の白金の凝集を抑制し、熱分解後に添加金属と白金が均一に混合した被膜が得られ、還元処理により微細な結晶子系の合金が得られるためと推定可能である。
一方、本発明の製造方法に用いる添加金属化合物としては特に限定されず、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、酢酸塩、スルファミン酸塩などを用いることができる。
さらに、白金化合物、添加金属化合物を溶解させる場合の溶媒としては、担持物の表面積を高めるためには、これらの原料が完全に溶解できるものが好ましく、水あるいは硝酸、塩酸、硫酸、酢酸溶液などの無機酸、さらにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの有機溶媒、あるいはこれらを混合物して用いることもできる。また、塗布液中へ基材金属の溶解を抑制する目的で塗布液のpHを調製して用いてもよく、担持物の表面積を高めるためにリシン、クエン酸、などの錯塩を添加し添加金属を錯体化させても良い。
前記化合物溶液を導電性基材に塗布する方法は、前記添加金属化合物溶液と前記アンミン錯体を形成する白金化合物溶液とを別々に刷毛などを用いて導電性基材に塗布してもよいし、添加金属化合物と白金化合物との混合溶液を調製し刷毛などを用いて導電性基材に塗布してもよい。また、前記の刷毛塗り以外にスプレー法、ディップコート法など、全ての既知の方法を好適に用いることができる。
塗布後の乾燥温度は200℃以下の温度で5〜60分間行えばよく、150℃以下の乾燥温度が好ましい。乾燥温度が高すぎる場合は、既述の通り本発明の効果は得られないが、乾燥する温度の下限は、溶液が乾燥可能な温度に設定すればよく、用いる溶媒により適宜選択すれば良い。
乾燥後の熱分解温度は200℃を超え700℃以下の範囲で5〜60分間行えば良いが、好ましくは白金のアンミン錯体の熱分解温度以下で行うと、白金のシンタリングが抑制され、水素過電圧がより一層低い水素発生用電極を得る事ができる。例えば、ジニトロジアミン白金の熱分解温度は550℃であり、ジニトロジアミン白金溶液を用いた場合、好ましい熱分解温度範囲は200℃を超え550℃以下、さらに好ましくは、350℃以上500℃以下である。熱分解温度が低すぎると、既述の通り、引き続く還元処理中及び/又は水素発生時に担持物が剥がれやすい。一方、既述の通り、高すぎると白金のシンタリング等により本発明の効果が得られない。その他のアンミン錯体を形成する白金化合物を用いる場合も、200℃を超え700℃以下の範囲の中から、ジニトロジアミン白金溶液と同様に、適宜、熱分解温度を定めれば良い。なお、ジニトロジアミン白金溶液を用いた場合、空気中で700℃を超える温度で熱分解を行うことは、添加金属化合物と白金化合物を酸化するに十分な条件の1つであるが、この方法で得られる水発生用電極は過電圧性能に劣るなどのため、本発明の効果は得られない。
上記の塗布、乾燥、及び、熱分解の一連の操作を1回又は数回繰り返す。熱分解操作を繰り返す回数は特に限定されないが、低い水素過電圧を得るためには還元処理後の合金の担持量で0.5g/m以上となるまで熱分解操作を繰り返すことが好ましく、1g/m以上となるまで熱分解操作を繰り返すことがさらに好ましい。
熱分解した後、担持物を金属状態に還元、合金化させることを目的とした還元処理を行う。還元処理方法は特に限定されないが、ヒドラジン、ギ酸、蓚酸などの還元力の強い物質との接触による化学還元法、白金と添加金属に対し、還元電位を与える電気化学還元法を用いることができる。
例えば、電気化学還元法は添加金属と白金の還元に必要な電位を与える方法である。水溶液中の白金及び添加金属の標準電極電位はすでに開示されており(「電気化学便覧」 第5版 丸善出版 第92〜95頁)、還元に必要な電位は標準電極電位から見積もることが可能である。
熱分解後の担持物を金属状態に還元、合金化させるにあたり、電気化学的還元法が本発明の好ましい実施形態の一つである事は、熱分解を実施し還元処理を行う前の電極も本発明の好ましい水素発生用電極の形態であることを意味する。
本発明においては、導電性基材上に、遷移金属元素と白金との非晶質物質が担持されてなり、還元処理により白金と遷移金属元素との白金合金が担持される水素発生用電極としたものでよく、さらに、上記したX線回折パターンの説明から、非晶質物質のX線回折パターンが、白金と遷移金属元素との白金合金、遷移金属元素及び白金のいずれとも異なる水素発生用電極としたものでよい。この際、還元処理が、電気化学的還元であることが好ましく、さらに、水又はアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解するときの電気化学的還元であることが好ましい。また、前記遷移金属はニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属元素であることが好ましい。
この電極の製造方法としては、導電性基材上に、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属化合物溶液とアンミン錯体を形成する白金化合物溶液を塗布し、200℃以下の温度で乾燥し、その後200℃を超え700℃以下の温度で熱分解する方法であればよい。また、水又はアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解方法において、この電極が水素発生用電極として好適に用いられることは言うまでもない。
すなわち、熱分解を実施し還元処理を行う事なく水素発生用電極として使用を開始した場合も、使用開始の初期段階において、担持物が電気化学的還元を受け、金属状態に還元、合金化するため、本発明の効果が十分に発揮される。従って、熱分解を実施し還元処理を行って担持物を白金合金としてから電解槽に装着し水素発生用電極に供しても良いし、熱分解を実施し還元処理を行う事なく電解槽に装着し水素発生用電極に供してもよい。何れの場合も、水素発生用電極としての使用開始段階において、既に白金合金となっているか、或いは、白金合金となるかが相違するのみであり、その後の性能は同等である。
熱分解実施後の担持物を、還元処理を行う事なく電解槽に装着し、水素発生用電極として使用する場合、使用開始時の電解条件は何ら制限はなく、従来の電解開始条件がそのまま適用可能である。例えば、イオン交換膜法食塩電解の水素発生用電極に供する場合、使用開始時の電解液温度は70〜90℃、陰極室の電解液濃度(水酸化ナトリウム)は20〜40重量%、電流密度は0.1〜10kA/m2で有れば良い。還元処理を実施する前の担持物は、前記条件であれば、概ね10分間以内で白金合金が得られる。例えば、イオン交換膜法食塩電解の水素発生用電極として使用するに当り、電解液温度が70〜80℃、陰極室の電解液濃度が30〜33重量%、電流密度0.3kA/mで使用を開始した場合は、通電開始から1〜2分間、電流が主に担持物の電気化学的還元に使用され、水素発生反応はほとんど生じない。しかし、担持物が還元され白金合金となった後は、電流は水素発生反応に使用され、以後、極めて長期間に亘り低水素過電圧を維持しうる優れた水素発生用電極となる。
なお、予め還元処理を行い電解槽に装着した場合は、前記条件で使用開始した場合、通電直後から低水素過電圧で水素発生反応が生じ、以後は、同等である。電解槽装着前に還元処理を行うか否かは、電解槽装着前の還元処理コストと、電解使用開始初期に水素発生がない事による生産ロスコストとを勘案し、適時、決めれば良い。
また、化学還元法はヒドラジン、ギ酸、蓚酸などの還元力の強い物質で還元する方法である。具体的には、数重量%程度の濃度に調製したヒドラジン水溶液中に添加金属と白金が還元するまでの時間浸けていれば良い。
この様にして得られる本発明の水素発生用電極は、水又は食塩などのアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解用途において水素発生用電極として用いると、低水素過電圧が得られると共に、陰極液中に鉄イオンを混入させない特別な工夫をすることなく低過電圧特性を長期間安定に維持し、且つ、停止や再起動操作時に触媒が剥離や脱落を生じることもない、すなわち、水素過電圧性能と耐久性に極めて優れた水素発生用電極である。
従って、水又は食塩などのアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解工業分野において、水素発生用電極を本発明が提供する水素発生用電極に変更するのみで、当該電気分解工業の所要エネルギーを容易に低減可能となる。
本発明によって、低い水素過電圧性能を有し、且つ、耐久性に優れた水素発生用電極が容易に得られる。
本発明の水素発生用電極は、従来の白金系触媒の欠点とされていた電解液中の鉄イオンの被毒によって、水素過電圧が上昇することがなく、さらに、電解運転中や停止・起動操作中に触媒が剥離・脱落することもない。そのため、白金が本来有する低水素過電圧特性を長期間に渡り安定に維持でき、特に年間数回の停止、再起動や陰極液中への鉄混入が余儀なくされる水又はアルカリ金属水溶液の電気分解工業等の所要エネルギーを大幅に削減可能である。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により何等限定されるものではない。
尚、各評価は下記に示す方法で実施した。
(結晶構造)
熱分解実施後の還元処理されていない電極表面について、CuKα線によるX線回折装置(型式MXP3 マックサイエンス社製)を用いて、加速電圧40kV、加速電流30mA、ステップ間隔0.04deg、サンプリング時間3sec、測定範囲2θ=20〜60°の範囲を測定した。
また、還元処理された電極表面について、CuKα線によるX線回折装置(型式MXP3 マックサイエンス社製)を用いて、加速電圧40kV、加速電流30mA、ステップ間隔0.04deg、サンプリング時間3sec、測定範囲2θ=20〜60°の範囲を測定した。回折図形からブラッグの式より主回折ピークである(111)面間隔を計算した。
(担持量および白金含有量)
コバルト、銅、鉄を添加した電極は、担持部を王水溶解した後にICP発光分析装置(パーキンエルマー社製、型式optima3000)を用い、ニッケル、銀を添加した電極について、還元処理後にEPMA(堀場製作所製、型式EMAX−5770W)を用いて白金、添加金属元素の含有量を定量し担持量を求め、担持物中の白金含有量は以下の式によって計算した。
白金含有量=白金/(白金+添加金属) モル比
(水電解試験)
32wt%水酸化ナトリウム水溶液の電解液(容量約0.5L)を用いて、対極にNi、室温、電流密度5kA/mの条件下で1週間水電解させた。水電解後の水素過電圧は以下に示す方法で測定した。
(食塩電解試験)
還元処理された電極を4cm×7.5cmに切り出し、小型試験槽でイオン交換膜法食塩電解試験を実施した。該陰極と同一サイズの陽極はペルメレック電極社製のDSE(登録商標)、フッ素系陽イオン交換膜はDuPont社製のN−962を使用し該膜の有効電解面積は該陰極と同一とした。陽極とフッ素系陽イオン交換膜は密着し、フッ素系陽イオン交換膜と陰極間の距離は2mmとした。陽極室には310g/リットルの精製食塩水を供給し200g/リットルで排出されるように流量を調整した。陰極室へは純水又は鉄標準液(関東化学株式会社製、Fe:1000mg/l)を純水で20倍に希釈した水溶液(以下、鉄含有水と略記する)を供給し出口の水酸化ナトリウム水溶液濃度が32重量%となるように純水供給量或いは鉄含有水供給量を調整した。陽極室及び陰極室は、内部ヒーターで90℃に調整し、電解電流密度は5kA/m2の一定で食塩電解試験を実施した。なお、該小型試験槽、電解液供給配管、ポンプ等の接液部分の全てを、アクリルやテフロン(登録商標)製の樹脂材料、チタン、ニッケル等の非鉄材料を用いることにより、陰極液に混入しうる鉄は鉄含有水中の鉄のみとなる対策を講じた。
食塩電解中の水素過電圧は、下記に示す方法で測定した。
陰極液(水酸化ナトリウム水溶液)中の鉄イオン濃度はICPで測定した。
(水素過電圧)
水電解試験中の水素過電圧は、32wt%水酸化ナトリウム水溶液の電解液(容量約1L)を用いて、対極にNi、温度90℃、電流密度5kA/m条件で水電解をさせカレントインタラプター法により測定した。
食塩電解後の水素過電圧は、上記食塩電解試験時の陰極過電圧をカレントインタラプター法で測定した。
実施例1
導電性基材として、ニッケルエキスパンドメッシュ(10×10cm)を用い、粗面化処理として、10wt%の塩酸溶液を用いて温度50℃で15分間エッチングした後、水洗、乾燥した。
次いで、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液(田中貴金属製、白金濃度:4.5重量%、溶媒:8重量%硝酸溶液)と硝酸ニッケル6水和物と水を用いて白金含有量がモル比で0.5、混合液中の白金とニッケルの合計濃度が金属換算で5wt%の塗布液を調製した。
次いで、この塗布液を前記ニッケルエキスパンドメッシュに刷毛を用い全面に塗布し、熱風式乾燥機内で80℃15分間乾燥後、箱型マッフル炉(アドバンテック東洋製 型式KM−600、内容積27L)を用いて空気流通下のもと500℃で15分熱分解した。この一連の操作を5回繰り返した。
次いで、還元処理を、88℃、32wt%水酸化ナトリウム水液中にて、−1.0V(vs 1N−NaOH、Hg/HgO)の電位で5分間行い白金とニッケルが合金化した水素発生用電極を作製し、上記の方法で評価し、その結果を表1〜2に、還元処理後のX線回折図を図1に、熱分解処理後の還元処理前のX線回折図を図2に示した。
図2より、還元処理前には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属であるニッケルと白金とからなる非晶質物質のブロードなピーク(5)が認められた。また図1より、還元処理後には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属であるニッケルと白金との白金合金のピーク(2)が認められた。非晶質物質のブロードなピーク(5)と白金合金のピーク(2)とは、ピークパターン及びピーク位置(回折角)が明らかに異なっていることが分かる。
さらに、陰極室に純水を供給しながら食塩電解試験を1ヶ月間実施したが、この間の陰極過電圧は70〜75mVで安定に推移した。また、この間の苛性中の鉄イオン濃度は検出限界(1ppm)以下であった。電解試験終了後に該陰極を取り出し、評価したところ、水素発生用電極の担持物の剥離、あるいは使用した陽極とイオン交換膜に変色等の異常は何ら見られなかった。
さらに、陰極室に鉄含有水を供給しながら食塩電解試験を10日間実施したが、この間の陰極過電圧は75〜80mVで安定に推移した。また、この間の苛性中の鉄濃度は6ppmであった。この結果より、本発明の提供する水素発生用陰極は鉄イオンが陰極液中に混入するIM食塩電解工業等において、特別な鉄イオン混入防止対策を行う事無く好ましく使用できることが分かる。
実施例2〜8
添加金属化合物に硝酸コバルト6水和物を用いて、塗布液の白金とコバルト含有量を変更して用いた以外は実施例1と同様の操作で実施した。上記の方法で評価した結果を表1〜2に、実施例3、6、8について還元処理後のX線回折図を図1に示した。また、実施例7については、熱分解処理後の還元処理前のX線回折図を図2に示した。
図2より、実施例7については、還元処理前には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属であるコバルトと白金とからなる非晶質物質のブロードなピーク(5)が認められた。
実施例9〜10
添加金属化合物に硝酸銅3水和物を用い、塗布液の白金と銅含有量を変更して用いた以外は実施例1と同様の操作で熱分解し、濃度5重量%のヒドラジン水溶液100ml中に入れ、室温で一晩還元処理した後、水洗、乾燥し、上記の方法で評価し、その結果を表1〜2に、実施例10について還元処理後のX線回折図を図1に示した。また、実施例10については、熱分解処理後の還元処理前のX線回折図を図2に示した。
図2より、実施例10については、還元処理前には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属である銅と白金とからなる非晶質物質のブロードなピーク(5)が認められた。また図1より、還元処理後には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属である銅と白金との白金合金のピーク(2)が認められた。非晶質物質のブロードなピーク(5)と白金合金のピーク(2)とは、ピークパターン及びピーク位置(回折角)が明らかに異なっていることが分かる。
実施例11〜12
添加金属化合物に硝酸銀、硝酸鉄6水和物を用い、熱分解時の温度を300℃で行った以外は実施例1と同様の操作で実施し、上記の方法で評価した結果を表1〜2に示し、実施例11について還元処理後のX線回折図を図1に示した。また、実施例11、12については、熱分解処理後の還元処理前のX線回折図を図2に示した。
図2より、実施例11については、還元処理前には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属である銀と白金とからなる非晶質物質のブロードなピーク(5)が認められた。また図1より、還元処理後には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属である銀と白金との白金合金のピーク(2)が認められた。非晶質物質のブロードなピーク(5)と白金合金のピーク(2)とは、ピークパターン及びピーク位置(回折角)が明らかに異なっていることが分かる。
同様に、実施例12については、還元処理前には基材のニッケルのピーク(4)と、添加金属である鉄と白金とからなる非晶質物質のブロードなピーク(5)が認められた。
Figure 0004882218
Figure 0004882218
比較例1
遷移金属元素を添加しなかった以外は実施例1と同様の操作で行い、上記の方法で評価した結果を表3〜4に、還元処理後のX線回折図を図3に示した。
図3より、比較例1については、基材のニッケルのピーク(4)と、白金のピーク(1)が認められた。
さらに、陰極室に純水を供給しながら食塩電解試験を1ヶ月間実施したが、この間の陰極過電圧は78〜80mVで推移し、本発明の提供する水素発生用陰極とほぼ同等の性能を示した。この間の苛性中の鉄イオン濃度は検出限界(0.035ppm)以下であった。
しかし、陰極室に鉄含有水を供給しながら食塩電解試験を10日間実施したが、この間の陰極過電圧は120〜125mVと本発明の提供する水素発生用陰極に比べ極めて高い過電圧で推移した。また、この間の苛性中の鉄濃度は6ppmであった。従って、比較例1の水素発生用陰極を陰極液に鉄が混入しうるIM食塩電解工業等で使用する場合は、少なくとも陰極液への鉄混入防止対策を実施しない限り、十分な低過電圧が得られないことが明らかである。
比較例2〜4
添加金属化合物に硝酸ニッケル6水和物、硝酸コバルト6水和物、硝酸銀を用い、塗布液の白金と添加金属含有量を変更して用いた以外は実施例1と同様の操作で実施し、上記の方法で評価した結果を表3〜4に示した。
比較例5〜7
添加金属化合物に硝酸マンガン6水和物、モリブデン酸アンモニウム、バナジン酸アンモニウムを用い、塗布液の白金と添加金属含有量を変更して用いた以外は実施例1と同様の操作で実施したが、還元処理後に添加金属は全て溶出した。
上記の方法で評価した結果を表3〜4に、比較例7の還元処理後のX線回折図を図3に示した。
図3より、比較例7については、基材のニッケルのピーク(4)と、白金のピーク(1)が認められた。
比較例8
熱分解温度を750℃とした以外は実施例1と同様の操作で行い、上記の方法で評価した結果を表3〜4に、還元処理後のX線回折図を図4に示すが、金属白金と酸化ニッケルの混合物であった。すなわち、図4より、比較例8については、基材のニッケルのピーク(4)と、酸化ニッケルのピーク(3)、白金のピーク(1)が認められた。
比較例9
塩化白金酸水溶液(田中貴金属製、Pt濃度15wt%)を純水で希釈しPt濃度4.5重量%に調整した白金化合物溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作で行い、上記の方法で評価した結果を表3〜4に、還元処理後のX線回折図を図5に示すが、金属白金と酸化ニッケルの混合物であった。すなわち、図5より、比較例9については、基材のニッケルのピーク(4)と、酸化ニッケルのピーク(3)、白金のピーク(1)が認められた。
Figure 0004882218
Figure 0004882218
尚、本発明の実施例および比較例における還元処理後の担持量は、5g/m〜15g/mの範囲であった。また、実施例1〜12のX線回折図は、白金と添加金属の金属又は酸化物状態が検出されず、金属白金の主回折ピークである(111)面間隔が変化し、添加金属と金属白金が固溶した白金合金が得られたことが確認された。
また、電解運転中や停止・起動操作中における触媒の剥離・脱落の有無を試験する目的で、水電解試験を停止した後に、水素発生用電極を電解液に浸漬した状態で1週間放置した後に、再度水電解試験を再開した。実施例1〜12の水素発生用電極は水電解試験停止前後の水素過電圧は同じであり、白金担持量は変化しなかった。
実施例1〜12の結果より、本発明が提供する水素発生用電極は水素過電圧が低く、電解液中に鉄イオンが存在しても水素過電圧の上昇は小さく、電解運転中や停止・起動操作による触媒脱落や水素過電圧上昇のない、非常に優れた特性を有することが明らかである。
一方、比較例1の結果より、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄がない実質的に白金のみからなる水素発生用陰極は、陰極液中の鉄イオンが存在しない条件で使用する場合の水素過電圧は本発明が提供する水素発生用陰極と遜色がないものの、電解液中に鉄イオンが存在すると水素過電圧が極めて高く、本発明の効果を得ることが出来ないことが明らかである。
比較例2〜4の結果より、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属と白金からなる白金合金であっても、本発明の白金含有量を下回ると極めて短期間に水素過電圧が上昇したり、鉄イオンによる過電圧上昇が極めて大きくなるなど、本発明の効果を得ることが出来ないことが明らかである。
比較例5〜7の結果より、白金とニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属以外の組み合せでは、本発明の効果を得ることが出来ないことが明らかである。
比較例8〜9の結果より、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属と白金を組み合せても白金合金でない場合は、本発明の効果を得ることが出来ないことが明らかである。また、白金化合物溶液にアンミン錯体を形成しない白金化合物溶液を使用した場合、本発明の効果が得られないことが明らかである。
実施例1、3、6、8、10、11で得られた還元処理後の水素発生用電極のX線回折図を示し、図中、X軸(横軸)は回折角(2θ、単位は「°」)であり、Y軸(縦軸)はcount(単位は任意)である。 実施例1、7、10、11、12で得られた還元処理前の水素発生用電極のX線回折図を示し、図中、X軸(横軸)は回折角(2θ、単位は「°」)であり、Y軸(縦軸)はcount(単位は任意)である。 比較例1、7で得られた水素発生用電極のX線回折図を示し、図中、X軸(横軸)は回折角(2θ、単位は「°」)であり、Y軸(縦軸)はcount(単位は任意)である。 比較例8で得られた水素発生用電極のX線回折図を示し、図中、X軸(横軸)は回折角(2θ、単位は「°」)であり、Y軸(縦軸)はcount(単位は任意)である。 比較例9で得られた水素発生用電極のX線回折図を示し、図中、X軸(横軸)は回折角(2θ、単位は「°」)であり、Y軸(縦軸)はcount(単位は任意)である。
符号の説明
1 白金のピーク
2 添加金属と白金からなる白金合金のピーク
3 酸化ニッケルのピーク
4 ニッケル(導電性基材)のピーク
5 添加金属と白金からなる非晶質被膜のピーク

Claims (7)

  1. 導電性基材上に、白金と、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の遷移金属元素との白金合金が担持され、白金合金中の白金含有量が、モル比で0.40〜0.99の範囲である水素発生用電極。
  2. 導電性基材上に、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属化合物溶液とアンミン錯体を形成する白金化合物溶液を塗布し、200℃以下の温度で乾燥し、その後200℃を超え700℃以下の温度で熱分解した後、還元処理することを特徴とする請求項1記載の水素発生用電極の製造方法。
  3. 還元処理が、電気化学的還元であることを特徴とする請求項2記載の水素発生用電極の製造方法。
  4. 還元処理が、水又はアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解するときの電気化学的還元であることを特徴とする請求項2記載の水素発生用電極の製造方法。
  5. 導電性基材上に、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の遷移金属元素と白金との非晶質物質が担持されてなる水素発生用電極であって、還元処理により請求項1に記載の白金合金が担持された水素発生用電極が得られることを特徴とする水素発生用電極。
  6. 導電性基材上に、ニッケル、コバルト、銅、銀及び鉄の群から選ばれる一種の金属化合物溶液とアンミン錯体を形成する白金化合物溶液を塗布し、200℃以下の温度で乾燥し、その後200℃を超え700℃以下の温度で熱分解したことを特徴とする請求項5記載の水素発生用電極の製造方法。
  7. 水又はアルカリ金属塩化物水溶液の電気分解方法において、請求項1又は請求項5記載の水素発生用電極を用いることを特徴とする電気分解方法。
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