JP4881295B2 - マグネットレールブレーキ装置 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の上位概念部に記載された形式のマグネットレールブレーキ装置、すなわち、レール車両のマグネットレールブレーキ装置であって、少なくとも１つのブレーキマグネットが設けられていて、該ブレーキマグネットが、複数の磁気的なマグネットエレメントが可動に保持されるマグネットコイル体と、該マグネットコイル体の長手方向に対して平行に延びていて該マグネットコイル体と直接的に結合されている固定条片とを有していて、該固定条片がマグネットレールブレーキ装置の別の構成エレメントにブレーキマグネットを固定するために働く形式のものに関する。

マグネットレールブレーキは例えばＤＥ１０１１１６８５Ａ１に記載されている。電気式のマグネットレールブレーキの力を生ぜしめる主構成成分は、ブレーキマグネットである。このブレーキマグネットは原則的には電磁石であって、レール方向に延びているマグネットコイルと、馬蹄形もしくはＵ字形のマグネットコアとから成っており、このマグネットコアはベース体又は保持体を形成している。マグネットコア内を流れる直流は、磁気的な電圧を生ぜしめ、この磁気的な電圧はマグネットコア内において磁束を発生させ、この磁束は、ブレーキマグネットがレールに接触するやいなや、レールヘッドを介して短絡する。これによって磁気的な引張り力がブレーキマグネットとレールとの間に発生する。運動するレール車両の運動エネルギによって、マグネットレールブレーキは連行体を介してレールに沿って引っ張られる。この際に、磁気的な引張り力に関連したブレーキマグネットとレールとの間における滑り摩擦によって、ブレーキ力が生じる。マグネットレールブレーキのブレーキ力の大きさは特に、磁気回路の磁気抵抗、つまりジオメトリ及び透磁率、磁気的な連鎖、ブレーキマグネットとレールとの間の摩擦係数、並びにレールの状態に関連している。

マグネットレールブレーキの構成に関しては、Knorr-Bremse AG、ミュンヘン、２００３年の刊行物「ブレーキ技術の基礎」の第９２頁〜第９７頁にも記載されている。

原則的に構造に基づいて、２つの異なった形式のマグネットに区別することができる。第１の実施形態ではブレーキマグネットが剛性マグネット（Starrmagnet）であり、この剛性マグネットには２つの摩耗条片がねじ結合されており、両摩耗条片は非磁性の条片によって長手方向において隔てられている。この構成は、ブレーキマグネットの内部における磁気的な短絡を回避するために働く。剛性マグネットは多くの場合、市街電車や都市鉄道における近距離交通において使用される。

さらに本発明のマグネットレールブレーキ装置の属する個々のエレメントに分けられたエレメントマグネット（Gliedermagneten）が公知であり、このエレメントマグネットではマグネットコイル体は、連続した剛性のスチールコアを有しているのではなく、スチールコアの間に単に仕切り壁によって分断された開放した室を有している。そして個々の室内にはマグネットエレメントが挿入されており、これらのマグネットエレメントはブレーキ動作中に可動である。このように構成されていることによって、マグネットエレメントはレールヘッドにおける凹凸に追従することができる。エレメントマグネットはスタンダードゲージ鉄道において使用される。公知のエレメントマグネットでは例えば、マグネットコイル体の長手方向に対して平行に延びていて該マグネットコイル体に直接的に結合されている少なくとも１つの固定条片が、例えばゲージタイ又は操作シリンダのフランジのようなマグネットレールブレーキ装置の別の構成エレメントに、ブレーキマグネットを固定するために設けられている。このような構成では、ゲージタイ又は操作シリンダのフランジによって磁気的な短絡の生じることがあり、このような短絡は、レールにおけるエレメントマグネットの保持力を不都合に減じてしまう。

発明の課題
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のマグネットレールブレーキ装置を改良して、単純な構造と安価な製造コストで、可能な限り高いブレーキ出力を有するマグネットレールブレーキ装置を提供することである。

この課題を解決するために本発明の構成では、固定条片が反磁性又は常磁性の材料から成っているようにした。

発明の利点
反磁性の材料というのは一般的に、透磁率数が１よりも小さくて、磁界を弱める材料、例えば銀や銅のような材料のことである。常磁性の材料は、１よりも僅かしか大きくない透磁率数を有していて、磁界を僅かしか強化しない材料、例えばアルミニウム、プラチナ又は空気である。これらの材料は、磁界を著しく強める例えば鉄、コバルト、ニッケルのような強磁性の材料とは、磁界に対するその作用に関して明らかに異なっている。

本発明のように固定条片が反磁性又は常磁性の材料から成っていることによって、固定条片は磁界を弱化させるもしくは僅かしか強めないことになり、その結果マグネットコイル体への漏れ磁束は、強磁性材料から成る固定条片に比べて、著しく減じられ、これによって高い磁気的な保持力が有利に生ぜしめられる。従って固定条片は有利な２倍の機能を満たし、つまり固定条片は一方ではマグネットコイル体を取付け部材に保持し、かつ他方では取付け部材に起因する磁気的な短絡を回避するために役立つ。その結果、反磁性又は常磁性の材料から成る付加的な仕切り体が不要になる。

請求項１記載の本発明によるマグネットレールブレーキ装置の別の有利な構成は、請求項２以下に記載されている。

図面
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。

図１は、複数のマグネットエレメントを有するブレーキマグネットを備えた本発明によるマグネットレールブレーキの有利な実施例を示す斜視図であり、
図２は、図１に示されたブレーキマグネットの斜視図であり、
図３は、マグネットコイル体の横断面図である。

実施例の記載
レール１の凹凸に良好に適合できるようにするために、マグネットレールブレーキ４のブレーキマグネット２の図１に示された有利な実施例では、ただ１つのマグネットの代わりに多数のマグネットエレメント６が設けられており、これらのマグネットエレメント６は、レール１の長手方向に延在するマグネットコイル体８に制限されて可動に、つまり所定の範囲内で可動に、保持されている。そのために有利な構成では、マグネットエレメント６が、鉛直な中心平面に対して対称的に、互いに反対側を向くマグネットコイル体８の側面において、仕切り壁１０の間に形成された室内に例えばねじ１２によって、所定の範囲内で揺動もしくは旋回可能に懸吊されている。そしてマグネットコイル体８へのブレーキ力の伝達は、仕切り壁１０を介して行われる。マグネットコイル体８には端部部材１４，１５が堅く結合されており、この端部部材１４，１５は、ポイント及びレールの合わせ目を介してブレーキマグネット２に良好な案内を与える。外からは見えないマグネットコイルを内蔵しているマグネットコイル体８は、したがって、ブレーキマグネット２のマグネットコアを形成するマグネットエレメント６を保持している。

マグネットエレメント６はマグネットコイル体８に次のように固定されている。すなわちこの場合マグネットエレメント６の、レール１に向けられた下端部１６は、マグネットコイル体８を超えて突出していて、これによって横断面で見て互いに平行に延びる、ブレーキマグネット２の脚と磁極シュー１６（Ｎ極もしくはＳ極）を形成している。磁極シュー１６とレール１のレールヘッド１８との間には空隙２０が存在している。

図２から最も良く分かるように、マグネットコイルに電圧を供給するために、電圧源のプラス極もしくはマイナス極のために少なくとも２つの電気的な接続部２２，２４を有する接続装置２６が設けられており、この接続装置２６は例えばマグネットコイル体８の側面の上側領域において、マグネットコイル体８の長手方向で見てほぼ真ん中に配置されている。電気的な接続部２２，２４は有利には互いに反対方向を向いていて、マグネットコイル体８の長手方向に延びている。

マグネットレールブレーキ４を高く懸吊する場合、レール１の上に対称的に配置された２つのブレーキマグネット２（図１にはそのうちの１つだけが示されている）はゲージタイ２８と結合されて、一緒に堅固なブレーキ四角形（Bremsenviereck）を形成していて、縮尺の理由から図１には示されていない操作シリンダを介して台車に取り付けられている。無圧の操作シリンダにおける蓄圧ばねは、ブレーキ四角形を上方位置に押圧する。操作シリンダはフランジ３０を介して所属のブレーキマグネット２と結合されている。

マグネットコイル体８をマグネットレールブレーキ４の取付け部材に、例えば操作シリンダのフランジ３０又はゲージタイ２８に固定するために、マグネットコイル体８の長手方向に対して平行に延びていて該マグネットコイル体８と直接的に結合されている固定条片３２，３４が設けられている。有利にはマグネットコイル体８の長手方向で見て、各１つの固定条片３２，３４がマグネットコイル体８の側面において、それぞれマグネットエレメント６の上端面３６の直ぐ上に配置されている（図３）。この場合一方の固定条片３２がほぼブレーキマグナット２の一方の端部部材１４から他方の端部部材１５に向かって延びているのに対して、他方の固定条片１５は２部分から成っていて、両方の部分３４ａ，３４ｂの間には接続装置２６が配置されている（図２）。両固定条片３２，３４はそれぞれマグネットコイル体８と溶接されていて、該マグネットコイル体８と一緒に溶接構成群を形成している。

マグネットコイル内を流れる直流が磁気的な電圧を生ぜしめ、この電圧が、複数のマグネットエレメント６から成るマグネットコアにおいて磁束を発生させ、そしてこの磁束が、ブレーキマグネット２がレールに接触するやいなや、レールヘッド１８を介して短絡すると、ゲージタイ２８又はフランジ３０のような取付け部材によって短絡が生じ、このような短絡はレール１におけるマグネットエレメント６の保持力を不都合に減じてしまう。

したがって本発明によれば、固定条片３２，３４のうちの少なくとも１つが、反磁性又は常磁性の材料から成っている。これによって磁界の弱化もしくは僅かな強化だけが生ぜしめられ、その結果マグネットコイル体８への漏れ磁束が著しく減じられ、ひいては有利に高い磁気的な保持力が得られる。

複数のマグネットエレメントを有するブレーキマグネットを備えた本発明によるマグネットレールブレーキの有利な実施例を示す斜視図である。 図１に示されたブレーキマグネットの斜視図である。 マグネットコイル体の横断面図である。

符号の説明

１ レール、 ２ ブレーキマグネット、 ４ マグネットレールブレーキ、 ６ マグネットエレメント、 ８ マグネットコイル体、 １０仕切り壁、 １２ ねじ、 １４，１５ 端部部材、 １６ 下端部、 １８ レールヘッド、 ２０ 空隙、 ２２，２４ 電気的な接続部、 ２６ 接続装置、 ２８ ゲージタイ、 ３０ フランジ、 ３２，３４ 固定条片、 ３４ａ，３４ｂ 部分、 ３６ 上端面

Claims (3)

1. レール車両のマグネットレールブレーキ装置（４）であって、少なくとも１つのブレーキマグネット（２）が設けられていて、該ブレーキマグネット（２）が、複数の磁気的なマグネットエレメント（６）が可動に保持されるマグネットコイル体（８）と、該マグネットコイル体（８）の長手方向に対して平行に延びていて該マグネットコイル体（８）と直接的に結合されている固定条片（３２，３４）とを有していて、該固定条片（３２，３４）がマグネットレールブレーキ装置（４）の別の構成エレメントにブレーキマグネット（２）を固定するために働く形式のものにおいて、固定条片（３２，３４）が反磁性又は常磁性の材料から成っており、
   ａ）マグネットコイル体（８）の長手方向で見て、ほぼマグネットコイル体（８）の一方の端部部材（１４）から他方の端部部材（１５）に連続する各１つの固定条片（３２，３４）が、マグネットコイル体（８）の側面に配置されているか、又は
   ｂ）各１つの固定条片（３２，３４）が、マグネットコイル体（８）の側面に配置されていて、１つの固定条片（３２）が、ほぼマグネットコイル体（８）の一方の端部部材（１４）から他方の端部部材（１５）に連続的に延びていて、別の固定条片（３４）が２つに分割されていて、該別の固定条片（３４）の両方の部分（３４ａ，３４ｂ）の間に、電圧源のための接続装置（２６）が配置されていることを特徴とするマグネットレールブレーキ装置。
2. 少なくとも１つの固定条片（３２，３４）がマグネットコイル体（８）と溶接されている、請求項１記載のマグネットレールブレーキ装置。
3. 少なくとも１つの固定条片（３２，３４）が、操作シリンダのためのフランジ（３０）、ゲージタイ（２８）又はその他の取付け部材に着脱可能に取り付けられている、請求項１又は２記載のマグネットレールブレーキ装置。

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