JP4881176B2 - ナット固定構造およびそれを備えたアオリ - Google Patents
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Description
アオリAは、図1の(a)に示すように、トラックTの荷台T1の側縁部に立ち上げられる板状の部材であり、庫外側に向けて傾倒自在となっている(図1の(b)参照)。このアオリAは、車両前後方向に幅広な長方形のアオリ構成材10と、このアオリ構成材10の両側端部にそれぞれ接合されている二本のエンドポスト20,20と、から構成されている。
アオリ構成材10は、複数のアルミニウム合金製の押出形材によって構成されており、図3および図6に示すように、外皮を構成する外側プレート11と、内皮を構成する内側プレート12とが、車幅方向に所定間隔を離して配置されている。
この構成では、外側プレート11の基準外面11aが、荷台T1(図1の(a)参照)の規定車幅に達する位置まで、アオリAを庫外側に張り出すことができるため、荷台T1の内容量を大きくすることができる。
なお、図3に示すように、内側プレート12の庫内側にはラッシングレール14が設けられており、荷物を固定するベルト等が係止できるようになっている。
エンドポスト20は、図6に示すように、アオリ構成材10の側端部に沿って、上下方向に延びているアルミニウム合金製の押出形材であり、アオリ構成材10の側端部に嵌め込まれる断面溝形の挿入部21が上下方向の全長に亘って形成されている。
挿入部21の側端面22(図6の左側の側面)には、板状の受け部23が垂直に立ち上げられている。
したがって、アオリAの側端部となるエンドポスト20では、挿入部21の側端面22と、受け部23の庫外側の外面23aとによって、直角に屈曲した段部24が形成されている。
溝部25内の両側面(図6の左右側面)には、突起部がそれぞれ上下方向に延びており、ガスケットGの基端部を各突起部の間に嵌め込むことにより、ガスケットGは溝部25内に保持されている。
図1の(a)に示すように、荷台T1の側縁部には、車両前後方向に所定間隔を離して支柱T2,T2が立設されている。
この支柱T2は、図6に示すように、四角断面の中空な鋼材であり、庫外側の外面T2aの両側縁部からは、板状の戸当たりT2b,T2bが庫外側に向けて垂直に立ち上げられている。
そして、アオリAを立ち上げた状態では、支柱T2の戸当たり部T2bの先端部が、エンドポスト20の受け部23に保持されたガスケットGに押し付けられることにより、アオリAと支柱T2との間の水密性が確保されるように構成されている。
アオリ止め金具(止め金具)30は、図5の(a)に示すように、後記する掛け金具40を保持することにより、アオリAを立ち上げた状態に保つための金具である。このアオリ止め金具30は公知の構成を用いているため、詳細な説明は省略する。
ロックレバー33は、上下方向に延びている棒状の部材あり、その上端部は上下方向に向けて回動自在な状態で、ベース部材31の庫外側の外面下部に取り付けられている。
押さえ部34は、側面視で四角形の部材であり、その基端部は上下方向に向けて回動自在な状態で、ロックレバー33の上部に取り付けられている。この押さえ部34の先端部には、引っ掛け穴34aが貫通している。
この状態でロックレバー33を下方に向けて回動させた場合には、押さえ部34はフック32との接触部位を回動中心として、庫内側に向けて回動し、押さえ部34が支柱T2の庫外側の外面T2aに押し付けられた状態で、アオリ止め金具30がロックされることになる(図5の(a)参照)。
図3および図6に示すように、アオリ構成材10の外側プレート11の基準外面11aには、エンドポスト20を介して掛け金具40が取り付けられている。掛け金具40は、アオリAを立ち上げた状態でアオリ止め金具30に保持させるための金具であり、図6の横方向に幅広な板状の部材である。掛け金具40は、アオリ構成材10の内側(外側プレート11の庫内側)に設けられたナット50に、掛け金具40の庫外側から挿入したボルト55を螺合することで、アオリ構成材10に固定されている。
このような構成のナット固定構造で、ナット50を固定するに際しては、図4に示すように、アオリ構成材10の端部から、互いに向かい合う固定片53,53間にナット50を挿入する。このとき、固定片53,53の内側面は、ナット50のフランジ部分51aに当接するので、摩擦力が発生するが、その摩擦力よりも大きい押圧力でナット50を押し込むことで、ナット50が所定の固定位置まで押し込まれる。そして所定の固定位置では、摩擦力によってナット50がアオリ構成材10に仮固定される。このときの固定強度は、ナット50を押出方向に押圧すればナット50が移動する程度の強度であるが、ナット50は後の工程でボルト55に螺合されてアオリ構成材10に強固に固定されるので、仮固定としては十分な強度である。
また、掛け金具40を締め付けるボルト55の長さを、従来のアオリの庫外側から庫内側へと貫通するボルトと比較して短くできるので、モーメント力に対する強度が大幅に高くなる。
さらに、ボルト55とナット50は、互いに面接触しているアオリAの庫外側表面の板材である外側プレート11と掛け金具40とを、間に隙間を設けることなく密に挟み込むことになるので、強固に締め付けても外側プレート11が変形することはない。
掛け金具40は、図6に示すように、アオリAの庫外側に固着される固着部41と、この固着部41からアオリAの側方に向けて突出するとともに、庫内側に向けて傾斜している傾斜部42と、この傾斜部42の先端部から庫内側に向けて立ち上げられた立ち上げ部43と、この立ち上げ部43からアオリAの側方に向けて突出しており、アオリ止め金具30に保持される保持部44とが形成されている。
固着部41は、図6に示すように、アオリAのエンドポスト20において、挿入部21の庫外側の外面21aに固着される部位であり、その先端部(図6の左側の端部)は、挿入部21よりもアオリAの側方(図6の左側)に突出し、エンドポスト20に形成された段部24の庫外側に配置されている。
また、固着部41には、図7(a)に示すように、四つの取付穴41aが縦横二列で均等間隔に貫通している。
さらに、アオリ構成材10の外側プレート11には、エンドポスト20の各取付穴にそれぞれ連通する四つの取付穴(図示せず)が貫通している(図6参照)。
そして、固着部41、エンドポスト20及び外側プレート11の各取付穴には、庫外側からボルト55がそれぞれ挿通されており、外側プレート11の内面側において、各ボルト55の先端部がナット50のナット本体52,52にそれぞれ螺合されている。
このようにして、固着部41は、四本のボルト55を用いて、アオリAの庫外側に固着されている。
なお、固着部41の各取付穴41aでは、庫外側が拡径されており(図7の(b)参照)、この拡径部にボルト55の頭部が収まるため、ボルト55は固着部41から庫外側に突出していない。
傾斜部42は、図6に示すように、固着部41からアオリAの側方(図6の左側)に向けて突出するとともに、エンドポスト20に形成された段部24の庫外側において庫内側に向けて傾斜している部位である。すなわち、傾斜部42は、エンドポスト20の受け部23の庫外側の外面23aに対峙しており、かつ、アオリAの側方に向かうに連れて、受け部23の外面23aに近づいている。
本実施形態の傾斜部42は、固着部41の先端部に対して13度の角度で傾斜しているが、その傾斜角度は限定されるものではなく、掛け金具40の強度や受け部23の形状を考慮して設定される。
また、傾斜部42の先端部(図6の左側の端部)は、受け部23の側端面23bよりもアオリAの側方(図6の左側)に突出している。
立ち上げ部43は、図6に示すように、傾斜部42の先端部(図6の左側の端部)から庫内側に向けて立ち上げられた部位である。
この立ち上げ部43は、受け部23の側端面23bよりもアオリAの側方(図6の左側)で、受け部23の側端面23bに沿って、支柱T2の庫外側の外面T2aの近傍まで延ばされており、支柱T2の庫外側の外面T2aに対して垂直に配置されている。
保持部44は、図6に示すように、立ち上げ部43の先端部(図6の上側の端部)からアオリAの側方(図6の左側)に向けて垂直に突出している部位である。
この保持部44は、図5の(a)に示すように、アオリAを立ち上げたときに、アオリ止め金具30のフック32の周囲でベース部材31に当接するように構成されており、フック32を挿通させるためのU形状の切り欠き溝44aが形成されている(図7の(a)参照)。
このようにして、掛け金具40がアオリ止め金具30に保持されることにより アオリAを立ち上げた状態に保つことができる。
本実施形態の掛け金具40では、図6に示すように、アオリAに固着される固着部41と、アオリ止め金具30に保持される保持部44との間に、庫内側に向けて傾斜している傾斜部42と、この傾斜部42の先端部から庫内側に向けて立ち上げられた立ち上げ部43とを形成することにより、固着部41から保持部44の間に三箇所の折り曲げ部が形成されている。
そして、本実施形態の掛け金具40において、庫内側から庫外側に向けて固着部41に荷重が作用したときの応力分布を解析した結果、固着部41と傾斜部42の境界付近では応力が広い範囲に分散されていた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に設計変更が可能である。
11 外側プレート
30 アオリ止め金具
40 掛け金具
41 固着部
42 傾斜部
43 立ち上げ部
44 保持部
50 ナット
51 固定位置
51a フランジ部分
53 固定片
A アオリ
Claims (2)
- 車両の荷台に対して傾倒自在に取り付けられたアオリを前記荷台に設けられた止め金具に保持させるための掛け金具を前記アオリに固定するためのナットを、前記アオリの所定の固定位置に仮固定するナット固定構造であって、
前記アオリの外側プレートの庫内側に、前記固定位置を挟み込む一対の固定片を、前記外側プレートから離反するに連れて各固定片間の間隔が狭まるように互いに内側に傾斜して設け、
前記一対の固定片間に前記ナットを挿入して、前記一対の固定片で前記ナットを挟持するようにした
ことを特徴とするナット固定構造。 - 請求項1に記載のナット固定構造を備えたアオリであって、
前記掛け金具は、前記アオリの庫外側に固着される固着部と、
前記固着部から前記アオリの側方に向けて突出するとともに、庫内側に向けて傾斜している傾斜部と、
前記傾斜部の先端部から庫内側に向けて立ち上げられた立ち上げ部と、
前記立ち上げ部から前記アオリの側方に向けて突出しており、前記アオリ止め金具に保持される保持部と、が形成されている
ことを特徴とするアオリ。
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