JP4881106B2 - 自動変速機のモード切り替え制御装置 - Google Patents
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Description
前者のセレクトレバーを、自動変速モードでの変速が行われる自動変速レンジ位置にしている状態であっても、後者のシフトパドルやシフトスイッチを操作するとき一時的に手動変速モードでの変速が行われるようにして、手動変速の利便性を追求した自動変速機である。
シフトパドルやシフトスイッチの操作で一時的に手動変速モードに切り替わった時からの経過時間を計測し、この経過時間が設定時間になった時に上記手動変速モードから自動変速モードへの自動復帰を行わせるようにした技術が示されている。
従って、低車速時は高車速時に比べて短い走行距離で手動変速モードから自動変速モードへの自動復帰(モード切り替え)が行われることとなり、運転者は低車速時に当該モード切り替えが早期に行われてしまうと感じる違和感を持つ。
つまり、低車速時は曲がり角を抜けて直ぐに自動変速モードへ復帰するのに対し、高車速時は曲がり角を抜けてかなり走行した後でないと自動変速モードへ復帰しない。
この曲がり角が、通勤路などいつも使う道路上の同じ曲がり角である場合、運転者は多くの場合習慣的に曲がり角の同じような手前位置でシフトパドルの操作により手動によるダウンシフトを行わせる。
ところで、道路状況や交通量に応じて曲がり角への進入速度は様々に異なり、そのため、曲がり角を抜けて直ぐに自動変速モードへ復帰したり、曲がり角を抜けてかなり走行した後でないと自動変速モードへ復帰しないということになり、運転者は違和感を持つ。
一時的に手動変速モードとなった時からの走行距離に基づいて自動変速モードへの自動復帰(モード切り替え)を行わせるようになし、これにより上記の問題を解消した自動変速機のモード切り替え制御装置を提案することを目的とする。
先ず前提となる自動変速機を説明するに、これは、
手動操作により自動変速機の変速形態を指令するための変速形態選択手段と、自動変速機を手動変速させるための手動変速指令手段とを具え、
前記変速形態選択手段を自動変速モードでの変速が行われる自動変速レンジ位置にしている状態であっても、前記手動変速指令手段を操作すると一時的に手動変速モードでの変速が行われ、所定条件が整ったとき自動的に手動変速モードから自動変速モードへ復帰するようにしたものである。
前記手動変速指令手段の操作により一時的に手動変速モードとなった時からの車両走行距離を積算する走行距離積算手段と、
該手段により求めた車両走行距離が設定距離となった時をもって前記所定条件が整ったとし、前記手動変速モードから自動変速モードへの復帰を行わせる自動変速モード復帰手段とを具備し、
前記設定距離として、車速が高いほど長くなり、変速段がハイ側変速段であるほど長くなる設定距離と、所定の最短設定距離とのいずれか大きい方を用いることを特徴とするものである。
手動変速指令手段の操作により一時的に手動変速モードとなった時からの車両走行距離の積算値が設定距離となった時に、手動変速モードから自動変速モードへの復帰を行わせることとなり、
一時的に手動変速モードとなった地点が同じであれば、車速の如何にかかわらず、手動変速モードから自動変速モードへの復帰(モード切り替え)地点が同じであり、高車速時に比べて低車速時に手動変速モードから自動変速モードへの復帰が早いと感じさせる違和感の問題を解消することができる。
図1は、本発明の一実施例になるモード切り替え制御装置を具えた自動変速機の制御系を示す。
自動変速機1は有段式自動変速機であっても、無段変速機であってもよいが、いずれにしても自動変速モードのほかに手動変速モードを具え、後者のモードで運転者が手動操作による変速をも行い得るものとする。
前者のセレクトレバー2は、自動変速機1の変速形態を手動操作により指令するためのもので、車体フロアトンネル(図示せず)に貫通させて運転席の近傍に位置させ、操作パターン4に沿って手動操作するものとする。
また後者のシフトパドル3a,3bは、ステアリングホイール5に手を添えたままで指により操作し得るよう、そして、この操作力を解除すると元の位置に自己復帰するようステアリングホイール5に取り付け、指によりシフトパドル3aを手前に操作する度に手動アップシフト指令Pad+を発し、シフトパドル3bを手前に操作する度に手動ダウンシフト指令Pad-を発するものとする。
自動変速機1を駐車(P)レンジにするPレンジ位置と、
自動変速機1を後退走行(R)レンジにするRレンジ位置と、
自動変速機1を中立(N)レンジにするNレンジ位置と、
自動変速機1を前進自動変速(D)レンジにするDレンジ位置と、
自動変速機1をスポーティ(DS)走行兼手動変速(M)レンジにするDS/Mレンジ位置と、
手動アップシフト(M+)位置と、
手動ダウンシフト(M-)位置とを設定する。
このDS/Mレンジ位置を挟んで、Pレンジ位置、Rレンジ位置、Nレンジ位置、およびDレンジ位置の配列方向に平行な両方向へそれぞれ、手動アップシフト(M+)位置および手動ダウンシフト(M-)位置を配置する。
なおセレクトレバー2は、手動アップシフト(M+)位置や手動ダウンシフト(M-)位置に操作した後、操作力を解除するときDS/Mレンジ位置に自己復帰するものとする。
セレクトレバー2がRレンジ位置にあるときRレンジ信号を発するRレンジスイッチ4rと、
セレクトレバー2がNレンジ位置にあるときNレンジ信号を発するNレンジスイッチ4nと、
セレクトレバー2がDレンジ位置にあるときDレンジ信号を発するDレンジスイッチ4dと、
セレクトレバー2がDS/Mレンジ位置にあるときDS/Mレンジ信号を発するDS/Mレンジスイッチ4dsmと、
セレクトレバー2が手動アップシフト(M+)位置になったとき手動アップシフト(M+)信号を発する手動アップシフトスイッチ4muと、
セレクトレバー2が手動ダウンシフト(M-)位置になったとき手動ダウンシフト(M-)信号を発する手動ダウンシフトスイッチ4mdとをセレクトレバー操作パターン4に設ける。
変速機コントローラ6は、これら信号のほかに、スピードメータ7からの車速VSPに関する信号と、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ8からの信号と、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサ9からの信号と、車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサ10からの信号とを入力される。
セレクトレバー2がPレンジ位置にあるときはスイッチ4pからのPレンジ信号を受けて、
セレクトレバー2がRレンジ位置にあるときはスイッチ4rからのRレンジ信号を受けて、
セレクトレバー2がNレンジ位置にあるときはスイッチ4nからのNレンジ信号を受けて、
セレクトレバー2がDレンジ位置にあるときはスイッチ4dからのDレンジ信号を受けて、
自動変速機1を各レンジに対応した変速形態で変速制御させる。
このDレンジで変速機コントローラ6は、スピードメータ7で検出した車速VSP、および、センサ8で検出したアクセル開度APOから、予定の変速線をもとに目標変速段(無段変速機の場合は目標変速比)を求め、これが達成されるようコントロールバルブボディー1aを介して自動変速機1を変速制御する。(自動変速モード)
上記した予定の変速線をスポーティ走行用の変速線に切り替え、当該スポーティ走行用の変速線をもとに目標変速段(目標変速比)を求めて上記の変速制御に資することにより、ロー側変速比傾向としてスポーティ走行を可能ならしめる。
もちろん自動変速(D)モードにおいては、スポーティ走行と判断しなくなった時に予定の変速線に基づく通常の自動変速へ自動的に復帰するのは言うまでもない。
図2に矢Aで示すようにDレンジスポーティ(DS)モードとし、自動変速(D)モードででスポーティ走行と判断している時と同じような前記スポーティ走行用の変速線に基づく変速制御を行う。
図2に矢Bで示すように、セレクトレバー2をDS/Mレンジ位置からDレンジ位置に切り替える手動操作によってのみ、スポーティ走行用変速制御から通常の変速制御に復帰可能で、この手動操作があるまではスポーティ走行用の変速制御を継続する。
この手動変速(M)モードで変速機コントローラ6は、セレクトレバー2が手動アップシフト(M+)位置や、手動ダウンシフト(M-)位置にされることにより、スイッチ4mu,4mdから手動アップシフト(M+)信号や手動ダウンシフト(M-)信号が出力される度に、自動変速機1を1変速段ずつアップシフトまたはダウンシフトさせる。
このようにして移行された手動変速(M)モードで変速機コントローラ6は、シフトパドル3aの操作の度に発生する手動アップシフト指令Pad+や、シフトパドル3bの操作の度に発生する手動ダウンシフト指令Pad-の回数分に相当する変速段数だけ自動変速機1をアップシフトまたはダウンシフトさせる。
つまり、シフトパドル3aの操作により手動アップシフト指令Pad+を発生させたり、シフトパドル3bの操作により手動ダウンシフト指令Pad-を発生させる度に、自動変速機1を1変速段ずつアップシフトまたはダウンシフトさせることができる。
ここで上記の所定条件とは、シフトパドル3aまたは3bを手前に操作して手動アップシフト指令Pad+または手動ダウンシフト指令Pad-が発生する状態を設定時間以上に亘って持続する時とか、車速VSPが0になる停車時とか、本発明の後述する走行距離条件が満足された時とし、これら条件の1つでも達成される時、Dモード自己復帰式手動変速(DM)モードから自動変速(D)モードへの自己復帰が行われるものとする。
先ずステップS1においては、セレクトレバー2をDレンジ位置にした自動変速(D)モード選択状態でシフトパドル3aの操作により手動アップシフト指令Pad+を発生させたり、シフトパドル3bの操作により手動ダウンシフト指令Pad-を発生させたか否かを、つまり、セレクトレバー2がDレンジ位置のままであっても図2に矢Fで示すごとく自動変速機1を自動変速(D)モードからDモード自己復帰式手動変速(DM)モードにして手動変速を行うことを運転者が希望しているか否かをチェックする。
運転者が自動変速(D)モードからDモード自己復帰式手動変速(DM)モードへ切り替えて手動変速することを希望するとき、制御をステップS1からステップS2に進めて、自動変速(D)モードからDモード自己復帰式手動変速(DM)モードへの切り替えを行い、自己復帰式手動変速(DM)モードの選択により当該モードでの手動変速制御を行う。
つまり、シフトパドル3aの操作により手動アップシフト指令Pad+を発生させたり、シフトパドル3bの操作により手動ダウンシフト指令Pad-を発生させる度に、これら指令に応答して自動変速機1を1変速段ずつアップシフトまたはダウンシフトさせる。
ステップS3においては、アクセル開度APO=0のエンジンブレーキ要求時であるか否かをチェックし、
ステップS4においては、センサ9で検出した横加速度Gyが所定時間以上に亘って設定値以上であるか否かにより、コーナリング走行中か否かをチェックし、
ステップS5においては、センサ9,10で検出した車両の横加速度Gyおよび前後加速度Gxが設定値以上となる頻度が高く、且つ、これら横加速度Gyおよび前後加速度Gxの時間変化割合が設定値以上となる頻度が高いか否かにより、前記したスポーティ走行用の変速線を用いるべきスポーティ走行を行っているか否かをチェックし、
ステップS6においては、ステップS1で判定したパドル3a,3bの操作後におけるパドル操作が有ったか否かをチェックする。
この演算に当たっては、図4に例示するように車速VSPおよび変速段補正係数Kgpに応じて決まる設定距離Lsvspgpと、最短設定距離Lsminとの大きい方MAX(Lsvspgp, Lsmin)を設定距離Lsと定める。
また最短設定距離Lsminは、Dモード自己復帰式手動変速(DM)モードから自動変速(D)モードへの復帰地点が、運転者に当該モード復帰を早すぎると感じさせない範囲で最も早くするようなモード復帰地点となる車両の走行距離に対応させる。
この積算により得られた走行距離Lは、ステップS2でD→DMモード切り替えが行われた時からの(ステップS3〜ステップS6でDM→Dモード復帰の許可判定がなされていることが条件)車両走行距離に相当する。
一時的にDモード自己復帰式手動変速(DM)モードとなった地点が同じであれば、車速VSPの如何にかかわらず、Dモード自己復帰式手動変速(DM)モードから自動変速(D)モードへの復帰地点が同じであることから、高車速時に比べて低車速時にDモード自己復帰式手動変速(DM)モードから自動変速(D)モードへの復帰が早いと感じさせる違和感の問題を解消することができる。
高車速状態やハイ側変速段でDMモードに切り替わった時は運転操作上、時間的な余裕を持ってDモードへの復帰を行わせるのが良いという要求に良く符合させることができる。
また、設定距離Lsを最短設定距離Lsmin未満にならないようにしたから、DMモードからDモードへの復帰が早すぎると感じるような事態を如何なる運転状態のもとでも生ずることがない。
DMモードによる手動変速が好ましい走行状態であることから、制御をステップS12に進め、ここにおいて、ステップS9で積算した走行距離Lを0にリセットした後、制御をステップS3に戻し、Dモードへの復帰を許可および行わせる前記諸々の条件(ステップS3〜ステップS10の条件)が整うまでステップS11を実行しないことにより、DMモードによる手動変速を継続させる。
ステップS7〜ステップS10において、このモード復帰許可時からの車両走行距離LがDモード自己復帰判定用設定距離Lsに達したと判定する時、ステップS11においてDMモードからDモードへの自己復帰を実行する。
このようなDMモードによる手動変速が好ましい走行状態である時にDモードへの自己復帰が行われて、DMモードによる手動変速を継続させることができなくなるという愚を避けることができる。
1a コントロールバルブボディー
2 セレクトレバー(変速形態選択手段)
3a,3b シフトパドル(手動変速指令手段)
4 セレクトレバー操作パターン
5 ステアリングホイール
6 変速機コントローラ
7 スピードメータ
8 アクセル開度センサ
9 横加速度センサ
10 前後加速度センサ
Claims (5)
- 手動操作により自動変速機の変速形態を指令するための変速形態選択手段と、自動変速機を手動変速させるための手動変速指令手段とを具え、
前記変速形態選択手段を自動変速モードでの変速が行われる自動変速レンジ位置にしている状態であっても、前記手動変速指令手段を操作すると一時的に手動変速モードでの変速が行われ、所定条件が整ったとき自動的に手動変速モードから自動変速モードへ復帰するようにした自動変速機において、
前記手動変速指令手段の操作により一時的に手動変速モードとなった時からの車両走行距離を積算する走行距離積算手段と、
該手段により求めた車両走行距離が設定距離となった時をもって前記所定条件が整ったとし、前記手動変速モードから自動変速モードへの復帰を行わせる自動変速モード復帰手段とを具備し、
前記設定距離として、車速が高いほど長くなり、変速段がハイ側変速段であるほど長くなる設定距離と、所定の最短設定距離とのいずれか大きい方を用いることを特徴とする自動変速機のモード切り替え制御装置。 - 請求項1に記載のモード切り替え制御装置において、
前記走行距離積算手段は、車載動力源の負荷が無負荷にされているとき、前記車両走行距離の積算値を0にリセットするものである自動変速機のモード切り替え制御装置。 - 請求項1または2に記載のモード切り替え制御装置において、
前記走行距離積算手段は、車両が設定以上の急なコーナリングを走行しているとき、前記車両走行距離の積算値を0にリセットするものである自動変速機のモード切り替え制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のモード切り替え制御装置において、
前記走行距離積算手段は、運転者が車両をスポーティ走行させる傾向になるとき、前記車両走行距離の積算値を0にリセットするものである自動変速機のモード切り替え制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のモード切り替え制御装置において、
前記走行距離積算手段は、前記手動変速指令手段の操作による手動変速操作があるとき、前記車両走行距離の積算値を0にリセットするものである自動変速機のモード切り替え制御装置。
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