JP4880328B2 - 軸継手 - Google Patents
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Description
軸孔まわりの周壁に軸方向に切り込まれて外周面から軸孔に至るすり割りを設け、このすり割りに直交して設けた締付ボルト取付孔に締付ボルトを締め付けてすり割り間隔を狭めて軸孔を縮径させて軸孔に軸を締結させる構成を有して対向配置される一対の継手部材と、
上記一対の継手部材の間に配置され、各継手部材のそれぞれの対向端面に所定間隔を存して固定される中間板バネとを備え、
各継手部材には、周壁の一部を残しこの周壁の一部が弾性変形部位となるように軸方向に切り込まれたスリットを設け、すり割りから周回してこのスリットまでの一方の周壁領域を中間板バネの固定部位とし、すり割りから周回してこのスリットまでの他方の周壁領域を締付ボルトの締め付けによりすり割り間隔を狭めると揺動する揺動部位として構成し、
上記中間板バネは、各継手部材に対して2点で固定され、この中間板バネの一方の固定位置近傍に上記すり割りが設けられ、この中間板バネの他方の固定位置近傍に上記スリットが設けられているものである。
しかも、この揺動部位には中間板バネは固定されていないので、締付ボルトの締め付けに際して中間板バネの固定位置がほとんど変化しない。これにより、中間板バネは、締付ボルトの締め付けによる継手部材の変形に伴った応力の影響を受けずに継手部材に固定される。
これにより、締付ボルトを締め付けて行くと、揺動部位が固定部位側へ移動して軸孔を縮径させ、軸孔に配置した軸が固定部位側に寄せられて固定されるため、軸は、その軸中心が中間板バネ中心と略一致するように軸孔に固定される。従って、軸に対して中間板バネが同心上に配置されるので、トルク伝達時には軸まわりで中間板バネが偏心回転して振動を発生させたりトルク伝達効率を低下させる等の支障もなく円滑に回転し、本来の柔軟性を十分発揮して円滑なトルク伝達を行うことができる。
これにより、上記弾性変形部位の弾性変形による負荷がスリットの閉塞端に集中せず、スリットの閉塞端での亀裂を防ぐことができる。
この場合、スリットの閉塞端をR状に形成した場合と同様の亀裂防止の構成を簡易に形成できる。
上記中間板バネは、一方の継手部材の端面に固定される第1の中間板バネと、他方の継手部材の端面に固定される第2の中間板バネとで構成し、
これら第1の中間板バネと第2の中間板バネにおいて各継手部材と固定されていない面側を上記中間部材の両面にそれぞれ固定するようにしてもよい。
この場合も、上記同様に、第1の中間板バネと第2の中間板バネは、締付ボルトの締め付けによる継手部材の変形に伴った応力の影響を受けずに継手部材に固定できる。
(実施の形態1)
図1及び図2に示すように、実施の形態1による軸継手は、第1の継手部材1Rと、第1の継手部材1Rと対向配置される第2の継手部材1Lと、第1の継手部材1Rと第2の継手部材1Lの間に配置される中間板バネ2とを備える。
このようにして、中間板バネ2は、90度の異なる位相で第1の継手部材1Rと第2の継手部材1Lに対して固定される。
すなわち、このスリット3によって、すり割り11を境にしてすり割り11からスリット3まで周回する2つの周壁領域16,17として、中間板バネ2が固定される一方の周壁領域17と、中間板バネ2が固定されない他方の周壁領域16とが形成される。従って、一方の周壁領域17が中間板バネ2を固定する固定部位9として構成され、他方の周壁領域16が締付ボルト取付孔12に締付ボルト6を締め付けてすり割り11間隔を狭めると揺動する揺動部位8として構成される。言い換えると、上記スリット3は、すり割り11を境にして中間板バネ2を固定するための2つの凸部13a,13b(ネジ孔14a,14b)が存しない周壁領域16を形成し、この周壁領域16を揺動部位8として構成する。
図3に示すように、実施の形態2の軸継手は、上記の第1の継手部材1Rと第2の継手部材1Lとの間に中間部材7を介在させるようにし、上記中間板バネ2は、第1の継手部材1Rの端面に固定される第1の中間板バネ2Rと、第2の継手部材1Lの端面に固定される第2の中間板バネ2Lとで構成し、これら第1の中間板バネ2Rと第2の中間板バネ2Lにおいて第1の継手部材1R、第2の継手部材1Lと固定されていない面側を上記中間部材7の両端面にそれぞれ固定するようにしたものである。
なお、中間部材7には、両端面のそれぞれに180度位置に中間板バネ2R,2Lが圧接される凸部13a,13bが設けられている。そして、これらの凸部13a,13bは、中間部材7の一方の端面の2つの凸部13a,13b間を結ぶ直径線が反対の端面のものとは90度に直交する位置となるように配置されている。また、各凸部13a,13bには中間板バネ2R,2Lを固定するためのネジ孔14a,14bが設けられている。これら凸部13a,13bやネジ孔14a,14bは上記継手部材1のものと同様である。継手部材1等のその他の構成は、上記実施の形態1のものと同様である。
実施の形態3による軸継手では、各継手部材1において、上記中間板バネ2の2点の固定位置(ネジ孔14a,14b)は、中間板バネ2の中心線と整合する位置であって、軸孔10との相対的位置関係として、軸孔中心Bを通って揺動部位8と固定部位9とに2分する直線に対して、軸孔直径βと軸直径αとの寸法差相当分W、固定部位9寄りの平行線WL上における軸孔10を跨いだ180度位置に配置されるようにしたものである。なお、その他の構成は、上記実施の形態1のものと同様である。
例えば、図4に示した継手部材1では、軸孔10は、継手部材1の中心位置に設けられており、そして、中間板バネ2を固定する2つのネジ孔14a’,14b’は、この軸孔中心Bを通って揺動部位8と固定部位9とに2分する継手部材1の中心線CLに対して、軸孔直径βと軸直径αとの寸法差相当分W、固定部位9寄りにずらした平行線WL上に設けられている。
また、例えば、図5に示した継手部材1では、中間板バネ2を固定する2つのネジ孔14a,14bは、揺動部位8と固定部位9とに2分する継手部材1の中心線CL上に設けられており、そして、軸孔10’は、この中心線CLに対して、軸孔直径βと軸直径αとの寸法差相当分W、揺動部位8寄りにずらした平行線WL上にその軸孔中心Bが位置するように設けられている。
(1)図6及び図7に示すように、上記スリット3は、中間板バネ2の固定ボルト51bを逃す円形の逃し孔15bと連通させて形成するようにしてもよい。この場合、スリット3の閉塞端31をR状に形成した場合と同様の亀裂防止の構成を簡易に形成できる。なお、スリット3は、上述の他に、すり割り11から周回して中間板バネ2を固定しない周壁領域16の適宜位置に設けることができる。
(5)継手部材1と中間板バネ2との固定を固定ボルト51a,51b,52a,52bに代えて、リベットやカシメ、溶接等で行うようにしてもよい。
(6)中間板バネ2は、薄板の積層物とするが、1枚もので構成してもよいし、中間板バネ2の形状も四角形等に変更してもよい。
図8に示すように、この軸継手は、上記実施の形態1のように軸方向に設けたスリット3に代えて、各継手部材1R’,1L’には、すり割り11を通る直線で左右に分ける周壁18,19のうち、少なくとも一方の周壁18に対して、外周面から軸孔10に至って周方向に切り込まれた横スリット4が上記すり割り11を含み且つこの一方の周壁18の全域(180度範囲)にわたって設けられたものである。なお、上記横スリット4は、一方の周壁18の大半にわたって設けられてもよいし、一部がすり割り11を含んで他方の周壁19にも及んで設けられてもよい。
上記中間板バネ2は、各継手部材1R’,1L’に対してネジ孔14a,14bの2点で固定されてそのうちの一方の固定位置のネジ孔14aが上記すり割り11の対応位置に設けられ、そして、この中間板バネ2の2点の固定位置のネジ孔14a,14bは、中間板バネ2の中心線と整合し、且つ軸孔10との相対的位置関係として、軸孔中心Bを通って上記一方の周壁18と上記他方の周壁19とに2分する直線CLに対して、軸孔直径βと軸直径αとの寸法差相当分W、上記他方の周壁19寄りの平行線WL上において軸孔10を跨いだ180度位置に配置されている(図8(c)参照)。なお、上記中間板バネ2の一方の固定位置のネジ孔14aが上記他方の周壁19のすり割り11近傍の対応位置に設けられてもよい。その他の構成は上記実施の形態1と同様である。
そして、中間板バネ2の2点の固定位置のネジ孔14a,14bは、上記のように配置されるから、締付ボルト6を締め付けて行くと、横スリット4を設けた一方の周壁18(8)が他方の周壁19側へ移動して軸孔10を縮径させ、軸孔10に配置した軸J1,J2がこの他方の周壁19側に寄せられて固定されるため、軸J1,J2は、その軸中心が中間板バネ中心Aと略一致するように軸孔10に固定される。従って、軸J1,J2に対して中間板バネ2が同心上に配置されるので、トルク伝達時には軸J1,J2まわりで中間板バネ2が偏心回転して振動を発生させたりトルク伝達効率を低下させる等の支障もなく円滑に回転し、本来の柔軟性を十分発揮して円滑なトルク伝達を行うことができる。
1L 第2の継手部材
1R 第1の継手部材
2 中間板バネ
2L 第2の中間板バネ
2R 第1の中間板バネ
3 スリット
4 横スリット
6 締付ボルト
7 中間部材
8 揺動部位
9 固定部位
10,10’ 軸孔
11 すり割り
12 締付ボルト取付孔
13a,13b 凸部
14a,14b,14a’,14b’ ネジ孔
15a,15b 逃し孔
16 周壁領域(中間板バネ無し)
17 周壁領域(中間板バネ有り)
18 一方の周壁
19 他方の周壁
30 弾性変形部位
31 閉塞端
51a,51b,52a,52b 固定ボルト
A 中間板バネ中心
B 軸孔中心
CL 継手部材の中心線
J 軸
J1 第1の軸
J2 第2の軸
W 軸孔直径と軸直径との寸法差
WL 中心線CLに対する平行線
α 軸直径
β 軸孔直径
Claims (5)
- 軸孔まわりの周壁に軸方向に切り込まれて外周面から軸孔に至るすり割りを設け、このすり割りに直交して設けた締付ボルト取付孔に締付ボルトを締め付けてすり割り間隔を狭めて軸孔を縮径させて軸孔に軸を締結させる構成を有して対向配置される一対の継手部材と、
上記一対の継手部材の間に配置され、各継手部材のそれぞれの対向端面に所定間隔を存して固定される中間板バネとを備え、
各継手部材には、周壁の一部を残しこの周壁の一部が弾性変形部位となるように軸方向に切り込まれたスリットを設け、すり割りから周回してこのスリットまでの一方の周壁領域を中間板バネの固定部位とし、すり割りから周回してこのスリットまでの他方の周壁領域を締付ボルトの締め付けによりすり割り間隔を狭めると揺動する揺動部位として構成し、
上記中間板バネは、各継手部材に対して2点で固定され、この中間板バネの一方の固定位置近傍に上記すり割りが設けられ、この中間板バネの他方の固定位置近傍に上記スリットが設けられている軸継手。 - 請求項1に記載の軸継手において、
上記各継手部材における中間板バネの2点の固定位置は、中間板バネの中心線と整合し、且つ軸孔との相対的位置関係として、軸孔中心を通って揺動部位と固定部位とに2分する直線に対して、軸孔直径と軸直径との寸法差相当分、固定部位寄りの平行線上において軸孔を跨いだ180度位置に配置されている軸継手。 - 請求項1又は2に記載の軸継手において、
上記スリットの閉塞端がR状に形成されている軸継手。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の軸継手において、
上記各継手部材には、中間板バネの固定ボルトを逃す円形の逃し孔が軸方向に貫通して設けられ、この逃し孔と連通するように上記スリットが形成されている軸継手。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の軸継手において、
上記一対の継手部材の間に中間部材を介在させるようにし、
上記中間板バネは、一方の継手部材の端面に固定される第1の中間板バネと、他方の継手部材の端面に固定される第2の中間板バネとで構成し、
これら第1の中間板バネと第2の中間板バネにおいて各継手部材と固定されていない面側を上記中間部材の両面にそれぞれ固定するようにした軸継手。
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