JP4879130B2 - プラズマ生成装置を備える内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマを生成するプラズマ生成装置を備える内燃機関に関する。
内燃機関が、プラズマ用ガスを放電によりプラズマ状態にして、ラジカルを含むプラズマを生成するプラズマ生成装置を備え、該プラズマ生成装置が、燃焼室に臨むその先端部からプラズマを燃焼室に向けて噴射するものは知られている。(例えば特許文献1参照)
特開2006−316777号公報(図11)
プラズマ生成装置によりプラズマを生成する場合、プラズマ生成装置においてプラズマが生成される生成室内の圧力(以下、「生成雰囲気圧力」という。)が低くなるほどプラズマを生成し易くなることが知られている。したがって、内燃機関に使用されるプラズマ生成装置については、混合気の着火または着火直前の時期である圧縮上死点付近での燃焼室内の圧縮圧力に相当する圧力または該圧縮圧力以上の生成雰囲気圧力よりも低い生成雰囲気圧力でプラズマを生成させることができれば、プラズマの生成効率を向上させることができる。
そして、プラズマの生成効率を向上させることにより、プラズマに含まれるラジカルによる燃焼性の向上が期待でき、さらにはプラズマ生成装置の小型・軽量化および消費電力の削減も可能になる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜3記載の発明は、プラズマ生成装置を備える内燃機関において、プラズマが生成される生成雰囲気圧力を吸気圧とすることにより、プラズマの生成効率を向上させて、プラズマ生成装置の小型・軽量化および消費エネルギの削減を図ること、およびプラズマによる燃焼性の向上を図ることを目的とする。そして、請求項2記載の発明は、さらに、吸気通路におけるプラズマの供給位置の自由度を大きくすること、およびプラズマ生成装置の構造を簡単化することを目的とし、請求項3記載の発明は、さらに、プラズマ生成装置の配置のコンパクト化を図ることを目的とする。
請求項1記載の発明は、燃焼室27に開口する吸気口28aを有する吸気通路28に配置されたスロットル弁46を備える吸気装置40と、前記吸気口28aを開閉する吸気弁30と、プラズマ用ガスをプラズマ状態にしてプラズマを生成する生成室61が設けられたプラズマ生成装置Pとを備える内燃機関Eにおいて、前記生成室61は前記吸気通路28に連通し、前記プラズマ生成装置Pは、前記吸気通路28において前記スロットル弁46と前記吸気弁30との間の通路部分52にプラズマを供給し、前記プラズマ生成装置Pは、前記生成室61を形成するプラズマ生成器60と、前記プラズマ生成器60に接続されてプラズマを前記通路部分52に導くと共に前記通路部分と前記生成室60とを常時連通させる供給管75とを備え、前記プラズマ生成装置Pに供給される吸入空気の導入管70には、ガス制御弁72が設けられたことを特徴とする内燃機関である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関において、前記プラズマ用ガスは前記吸気通路28を流れる吸入空気であり、前記プラズマ生成器60および前記供給管75は吸気通路28に沿い並列に配置されるものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の内燃機関において、前記スロットル弁46とガス制御弁72とは、1つの部材からなる共通の弁軸を有するものである。
請求項1記載の発明によれば、プラズマ生成装置においてプラズマが生成する生成室は、圧縮上死点付近の燃焼室内の圧縮圧力に比べて低い圧力である吸気圧になっている吸気通路に連通しているので、生成室の生成雰囲気圧力がほぼ吸気圧となる。この結果、生成雰囲気圧力が前記圧縮圧力である場合に比べて、プラズマの生成効率を向上させることができて、プラズマ生成装置の小型・軽量化が可能になる。そのうえ、生成雰囲気圧力が低いことにより、プラズマを生成させるための消費エネルギを削減することができる。
また、プラズマにより吸入空気が加熱されて昇温することにより、および、プラズマに含まれているラジカルにより、燃焼室内での混合気の燃焼性が高められて、機関出力が向上し、燃費が改善される。
請求項1記載の事項によれば、プラズマ生成器で生成されたプラズマは供給管を通じて供給されることから、供給管の配置や吸気通路への接続部位を容易に変更できるので、プラズマ生成器および吸気通路の通路部分におけるプラズマの供給部位の自由度が大きくなる。
また、生成室には供給管を通じてスロットル弁の下流の吸気圧が伝わるので、生成雰囲気圧力を吸気圧とするための専用の通路または導管が不要になって、プラズマ生成装置の構造が簡単化される。
請求項2記載の事項によれば、プラズマ用ガスが吸入空気であること、およびプラズマ生成器と供給管とが吸気通路に沿って配置されることから、プラズマ生成器および供給管を吸気装置に並べて配置することができるので、プラズマ生成装置の配置をコンパクトにすることができる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明が適用されたプラズマ生成装置Pを備える内燃機関Eは、空冷式の単気筒4ストローク内燃機関であり、車両としての自動二輪車Vにクランク軸26が車幅方向に指向する横置き配置で搭載される。内燃機関Eと該内燃機関Eに連結される変速機Mとは、内燃機関Eが生成した動力により駆動輪としての後輪6を回転駆動するパワーユニットを構成する。
自動二輪車Vは、車体フレームFおよび該車体フレームFを覆う車体カバーCを備える車体と、車体フレームFに支持される前記パワーユニットと、該パワーユニットからの動力を減速して後輪6に伝達する終減速機構としてのチェーン式伝動機構15とを備える。
車体フレームFは、その前端部であるヘッドパイプ1と、ヘッドパイプ1から後方に向かって斜め下方に延びる1つのメインフレーム2と、メインフレーム2の後部から後方に向かって斜め上方に延びる左右1対のリヤフレーム3と、メインフレーム2の後部に取り付けられるピボットプレート4とを備える。
ヘッドパイプ1には、下端部に前輪5が軸支されると共に上端部にハンドル7が取り付けられたフロントフォーク8が操向可能に支持される。ピボットプレート4に支持されるピボット軸9には、後端部で後輪6を軸支すると共にリヤクッション10を介して左のリヤフレーム3に支持されるスイングアーム11の前端部が揺動可能に支持される。リヤフレーム3の後部には、シート12の真下で燃料タンク13が支持される。
なお、この実施形態において、上下、前後および左右は、自動二輪車Vを基準としたものとする。
内燃機関Eの動力がクランク軸26およびクラッチを介して入力軸に入力される歯車式変速機から構成される変速機Mは、内燃機関Eのクランクケース23に一体成形されたミッションケース内に配置される。そして、変速機Mの出力軸14からの動力は伝動機構15を介して後輪6に伝達される。
図2を併せて参照すると、内燃機関Eは、シリンダ軸線Lcがクランク軸26から前方に向かって水平面からやや斜め上方を指向するように大きく前傾したシリンダ21と、シリンダ21の端部に結合されるシリンダヘッド22と、シリンダ21においてシリンダ軸線方向でシリンダヘッド22とは反対側の端部に結合されるクランクケース23とから構成される機関本体を備える。
シリンダ軸線Lcがほぼ水平となるように車体に配置されたシリンダ21には、ピストン24が往復動可能に嵌合する。ピストン24は、クランクケース23に回転可能に支持されるクランク軸26にコンロッド25を介して連結される。
図2,図3を参照すると、シリンダヘッド22には、シリンダ軸線方向でピストン24に対向する燃焼室27と、燃焼室27に開口する吸気口28aを有する吸気ポート28と、燃焼室27に開口する排気口29aを有する排気ポート29と、吸気口28aおよび排気口29aをそれぞれ開閉する吸気弁30および排気弁31とが設けられる。
吸気弁30および排気弁31は、シリンダヘッド22に回転可能に支持されるカム軸33および該カム軸33により駆動されるロッカアーム34,35を備える頭上カム軸型の動弁装置32により、クランク軸26の回転に同期して開閉駆動される。
図1を併せて参照すると、内燃機関Eは、該内燃機関Eの外部から吸入された空気(以下、「吸入空気」という。)を吸気ポート28を経て燃焼室27に導く空気通路50を形成する吸気装置40と、空気通路50により導かれる吸入空気に燃料を供給して混合気を形成する混合気形成手段としての燃料噴射弁56と、該混合気が燃焼室27内で燃焼して発生した燃焼ガスを排気ガスとして燃焼室27から排気ポート29を経て内燃機関Eの外部に導く排気通路を形成する排気装置とを備える。
吸気装置40は、車体の前部に配置されて外気を取り入れるエアクリーナ41と、エアクリーナ41に接続されるスロットルボディ45を備えるスロットル装置44と、スロットル装置44およびシリンダヘッド22に接続される吸気管装置である吸気管49とを備える。吸気管49は、電気的および熱的な絶縁材料、ここではゴムで形成される部分を有する。なお、スロットルボディ45は、該スロットルボディ45とは別個のダクトを介してエアクリーナ41に接続されてもよい。
ここで、上流および下流は吸入空気の流れに関してのものである。
左方、右方および上方から車体カバーCにより覆われてメインフレーム2に取り付けられるエアクリーナ41は、メインフレーム2の下方に配置されて、濾過部材であるクリーナエレメント42が収容されるエアクリーナ室51を形成する。エアクリーナ室51は、クリーナエレメント42により上流側のダスト室51aと下流側のクリーン室51bとに分けられる。そして、スロットルボディ45の上流端はクリーン室51bに開口する。
図2,図3を参照すると、スロットル装置44は、エアクリーナ室51からの吸入空気が流れる空気通路52を形成するダクトであるスロットルボディ45と、空気通路52に配置される吸気制御弁としてのスロットル弁46とを備える。バタフライ弁から構成されるスロットル弁46は、弁操作機構としてのスロットル操作機構48により操作される。具体的には、スロットル弁46は、運転者により操作される操作ケーブル48aを有するスロットル操作機構48により、その弁軸47を通じて操作されて、その開度が最小となる閉位置から最大となる全開位置の開度範囲で変更されて、空気通路52を通って燃焼室27に吸入される吸入空気の流量である吸気量Ma(図5参照)を制御する。空気通路52は、スロットル弁46を挟んで、スロットル弁46の上流の上流通路52aと、スロットル弁46の下流の下流通路52bから構成される。下流通路52bには、スロットル弁46の開度に応じた吸気圧が発生し、該開度が小さくなるほど低圧となる吸気圧(すなわち大きな負圧の吸気圧)が発生する。
スロットルボディ45に取り付けられてスロットル弁46の下流で下流通路52bに臨む燃料噴射弁56は、制御装置90により制御される。制御装置90には、機関回転速度および機関負荷などの機関運転状態を検出する運転状態検出手段からの検出信号が入力され、燃料噴射弁56は、該機関運転状態に基づいて設定された噴射量および噴射時期で、吸気ポート28に向けて下流通路52b内に燃料を噴射する。
エアクリーナ室51から空気通路52に流入してスロットル弁46により流量制御された吸入空気が燃料噴射弁56から噴射された燃料と混合して形成された混合気は、空気通路52、吸気管49により形成される空気通路53および吸気ポート28を通って吸気弁30の開弁時に燃焼室27に流入して、シリンダヘッド22に設けられた挿入孔17に挿入されて燃焼室27に臨む点火栓(図示されず)により点火されて燃焼する。燃焼室27での混合気の燃焼により発生した燃焼ガスはピストン24を駆動した後、排気弁31の開弁時に排気ポート29に流出し、さらに排気ポート29に接続される排気管39(図1参照)を備える前記排気装置を通って内燃機関Eの外部に放出される。
そして、吸気通路(以下、「吸気通路」という。)は、吸気装置40の空気通路50を構成するエアクリーナ室51および空気通路52,53と、吸気ポート28とにより構成される。
図2〜図4を参照すると、内燃機関Eは、プラズマ用ガスとしての空気(以下、「プラズマ用空気」という。)である吸入空気をプラズマ状態にしてプラズマを生成するプラズマ生成装置P(図1も参照)を備える。周知のように、プラズマは、高温であると共に、活性化した分子であるラジカル(空気がプラズマ用ガスであるときは、酸素ラジカルや窒素ラジカル)を含んでおり、燃焼を促進させる。
プラズマ生成装置Pは、プラズマが生成される生成室61が設けられたプラズマ生成器60と、生成室61にプラズマ用空気を導く導入通路71を形成する導入管70と、プラズマを吸気通路に供給する供給通路76を形成する供給管75と、プラズマを生成するためのエネルギ源である電源装置80とを備える。
筒状のプラズマ生成器60は、生成室61を形成する筒状の、ここでは円筒状のハウジング62と、生成室61内に配置される陽極63および陰極64と、電源装置80に接続される接続端子65a,65bと、生成室61内で導入通路71からのプラズマ用空気をプラズマ生成空間である放電空間61aに導く案内通路67を形成する案内管66とを備える。ハウジング62および案内管66は、電気的および熱的な絶縁材料から形成される。
陰極64は、案内管66と同軸に案内通路67内に配置される円柱状の電極であり、案内通路67の下流端から突出している端部64aを有する。陽極63は、端部64aを陰極64と同心状に囲んでいる環状の電極であり、生成室61の流出口61oに向かって先細形状の放電空間61aを形成する。陽極63および陰極64は、導電体としての電線68a,68bを介してそれぞれ接続端子65a,65bと接続される。そして、生成室61の一部である放電空間61aにおいて、電圧が印加された陽極63と陰極64との間で放電としてのアーク放電が発生して、生成室61内のプラズマ用空気がプラズマ状態になってプラズマが生成される。
ここで、陽極63および陰極64において、一方の電極を第1電極とするとき、他方の電極は第2電極である。
導入管70は、上流側でエアクリーナ41に接続され、下流側でプラズマ生成器60の案内管66に接続される。導入通路71は、クリーン室51bと、生成室61の流入口でもある案内通路67を介して生成室61とを連通させて、クリーン室51b内の吸入空気をプラズマ用空気として案内通路67を通じて生成室61に導く。それゆえ、プラズマ用空気は、スロットル弁46よりも上流の吸入空気である。
導入通路71には、生成室61に流入するプラズマ用空気の流量であるガス量Mg(図5参照)を内燃機関Eの要求負荷量に応じて制御するガス流量制御手段を構成するガス制御弁72が配置される。スロットル弁46と連動して作動して導入通路71を開閉するガス制御弁72は、スロットル弁46が開動作するときに開動作するように、スロットル弁46の開閉動作と同期して開閉動作をする。
そして、ガス制御弁72とスロットル弁46とは1つの部材からなる共通の弁軸を有する。より具体的には、ガス制御弁72は、スロットル弁46の弁軸47の一部である弁軸73の一部を切り欠くことにより形成されたバタフライ弁であり、スロットル操作機構48により開閉操作される。
このガス制御弁72は、図5に示されるように、内燃機関Eの要求負荷量、すなわち吸入空気の吸気量Maが増加するときにプラズマ用空気のガス量Mgを増加させるようにスロットル操作機構48により制御される。そして、この実施形態では、スロットル弁46の前記開度範囲の全体に渡って、ガス制御弁72は、吸気量Maが増加するときにガス量Mgを増加させるように制御される。
このとき、吸気量Maに対するプラズマ用空気のガス量Mgの割合は、スロットル弁46の開度が小さくなるにつれて、すなわち内燃機関Eの機関負荷が小さくなるにつれて、大きくなるように、かつ内燃機関Eの低負荷運転域ではガス量Mgが吸気量Maよりも多く、内燃機関Eの高負荷運転域ではガス量Mgが吸気量Maよりも少なくなるように設定される。
そして、吸気量Maとガス量Mgとの合計であるの総流量は、燃焼室27に吸入される空気の流量であり、該総流量の空気により、内燃機関Eの運転状態に適合するように予め設定された設定空燃比の混合気が得られる。
供給管75は、流出口61oから噴出するプラズマを吸気通路においてスロットル弁46と吸気弁30との間の通路部分である下流通路52bに供給する。供給管75は、上流側でハウジング62に接続され、下流側でスロットルボディ45に接続される。供給通路76は、流出口61oを通じて生成室61と下流通路52bとを連通させて、放電空間61aで生成されたプラズマを下流通路52bに導き、該プラズマは混合気または吸入空気と共に燃焼室27に吸入される。
供給通路76の出口76oは、燃料噴射弁56の噴口部56aの下流に配置されて、燃料噴射弁56から噴射された燃料噴流のやや上流または該燃料噴流内に位置する。このため、下流通路52bの吸入空気および燃料噴射弁56からの燃料は、供給管75から供給された高温のプラズマにより加熱されて、混合気の形成が良好になり、しかも燃焼性が向上する。
そして、供給通路76または供給管75は、下流通路52bを生成室61に常時連通させる。それゆえ、生成室61は、吸気通路に常時連通している。このため、放電空間61aを含む生成室61には、供給通路76または供給管75を通じて下流通路52bの吸気圧が伝わるので、生成室61の圧力である生成雰囲気圧力は、下流通路52bの吸気圧にほぼ等しくなっている。
導入管70、ハウジング62および供給管75は、図2,図3に示されるように、吸気通路である空気通路52に沿って配置される。そして、導入管70または導入通路71の通路中心線、およびハウジング62の中心軸線は、空気通路52の通路中心線にほぼ平行である。
陽極63および陰極64に電圧を印加する電源装置80は、電源としてのバッテリ81と、バッテリ81の電圧をパルス状の電圧(以下、「パルス電圧」という。)に変換する電源制御装置82とを備える。電源制御装置82は、放電電圧であるパルス電圧の周波数、パルス幅w、電圧の大きさであるパルス高さh、および印加時期および時間を、制御装置90からの信号に基づいて、前記機関運転状態に応じて制御する。
そして、所定周波数の電圧パルスが陽極63および陰極64に印加されることにより、陽極63と陰極64との間に所定周波数のアーク放電が発生して、パルス状の電流であるパルス放電電流が流れる。そして、パルス高さが一定に設定されているとき、パルス電圧のパルス幅wを変更することにより、放電電流であるパルス放電電流のデューティ比が制御されて、生成するプラズマの温度やラジカルの生成量が制御される。
ここで、パルス放電電流のデューティ比とは、パルス電圧の1周期においてパルス放電電流が流れている時間の割合である。
また、陽極63および陰極64にパルス電圧が印加される時期および時間は、燃料噴射弁56の燃料噴射時期および燃料噴射時間とほぼ同じになるように設定される。
陽極63および陰極64に印加される電圧が、パルス電圧であることにより、一定の電圧が常時印加される場合に比べて、プラズマを生成するための消費エネルギとしての消費電力が大幅に削減される。
そして、実験により以下のことが判明している。
デューティ比の増加により、プラズマの温度が上昇し、ラジカルの生成量が増加する。
パルス高さhを大きくすることにより、ラジカルの生成量が増加する。
このため、プラズマ用空気のガス量Mgの制御に加えて、パルス電圧またはパルス放電電流を制御することにより、ラジカルの生成量が制御されてもよい。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
プラズマを生成する生成室61が設けられたプラズマ生成装置Pにおいて、生成室61は吸気通路に連通し、プラズマ生成装置Pは、吸気通路においてスロットル弁46と吸気弁30との間の下流通路52bにプラズマを供給することにより、生成室61は、圧縮上死点付近の燃焼室27内の圧縮圧力に比べて低い圧力である吸気圧になっている吸気通路に連通しているので、生成雰囲気圧力がほぼ吸気圧となる。この結果、生成雰囲気圧力が前記圧縮圧力である場合に比べて、プラズマの生成効率を向上させることができて、プラズマ生成装置Pの小型・軽量化が可能になる。そのうえ、生成雰囲気圧力が低いことにより、プラズマを生成させるための消費電力を削減することができる。
また、プラズマにより、吸入空気および燃料噴射弁56から供給された燃料が加熱されて昇温すること、そして混合気の形成が良好になることにより、さらには、プラズマに含まれているラジカルにより、燃焼室27内での混合気の燃焼性が高められて、機関出力が向上し、燃費が改善される。
プラズマ生成装置Pは、生成室61が設けられたプラズマ生成器60と、プラズマ生成器60に接続されてプラズマを下流通路52bに導くと共に下流通路52bと生成室61とを常時連通させる供給管75とを備えることにより、プラズマ生成器60で生成されたプラズマは供給管75を通じて供給されることから、供給管75の配置や吸気通路への接続部位を容易に変更できるので、プラズマ生成器60および吸気通路の下流通路52bにおけるプラズマの供給部位の自由度が大きくなる。
また、生成室61には供給管75を通じてスロットル弁46の下流の吸気圧が伝わるので、生成雰囲気圧力を吸気圧とするための専用の通路または導管が不要になって、プラズマ生成装置Pの構造が簡単化される。
プラズマ用空気は吸気通路を構成するエアクリーナ室51から取り入れられた吸入空気であり、プラズマ生成装置Pのプラズマ生成器60および供給管75は吸気通路を構成する空気通路52に沿って配置されることにより、プラズマ用空気が吸入空気であること、および導入管70とプラズマ生成器60と供給管75とが、空気通路52に沿って配置されることから、導入管70、プラズマ生成器60および供給管75を吸気装置40に並べて配置することができるので、プラズマ生成装置Pの配置をコンパクトにすることができる。
また、プラズマにはラジカルが含まれているため、プラズマを吸入空気または混合気に加えることにより燃焼性は向上する。しかしながら、内燃機関の要求負荷量に対応して燃焼室27に吸入される吸入空気の吸気量は内燃機関Eの運転状態に応じて大きく変化するため、生成されるプラズマ量が吸気量に対して不足すると、プラズマによる燃焼性の向上効果を内燃機関Eの広い運転域において最大限に発揮させることが困難になり、またプラズマ量が吸気量に対して過剰になる場合もある。
そこで、生成されるプラズマ量を制御するために、プラズマ生成装置Pに導入されるプラズマ用ガスのガス量を一定にして、プラズマ用ガスをプラズマ状態にするための放電を発生させるための放電電圧を制御することも考えられるが、プラズマにならないプラズマ用ガスにより、空燃比(すなわち、燃料と燃焼室27に吸入される空気との混合気の混合比)の調整や混合気の混合の均一性の確保が難しくなる場合がある。
また、プラズマ用ガスが吸気通路の吸気圧を利用して反応室61に導かれる場合、内燃機関Eの低負荷時にはスロットル弁46の開度が小さいためにその下流の吸気圧が小さくなる(負圧が大きくなる)ので、プラズマ用ガスのガス量は過剰になる傾向がある一方、内燃機関Eの高負荷時にはスロットル弁46の開度が大きくなってその下流の吸気圧が大きくなる(負圧が小さくなる)ので、プラズマ用ガスのガス量が不足して、プラズマによる燃焼性の向上効果が十分に得られないことがある。
これに対処するため、内燃機関Eのプラズマ生成装置Pは、スロットル弁46により制御されて吸気量Maが増加するときにプラズマ用空気のガス量Mgを増加させるガス制御弁72を備えることにより、生成されるプラズマの生成量の制御は、ガス制御弁72がスロットル弁46による吸入空気の吸気量Maの増減に対応させて増減するように生成室に導入されるプラズマ用空気のガス量Mgを制御することにより行うことができるので、内燃機関Eの吸気量Maが変化する広い運転域において、吸気量Maに対するプラズマ用空気のガス量Mgを適正に設定することが可能になる。この結果、吸気量Maに応じて吸気通路に供給されるプラズマ量を適正に設定しながら、プラズマにならないプラズマ用空気に起因する空燃比の変化や吸入空気と燃料との混合の均一性の低下が抑制されて、プラズマによる燃焼性の向上効果を高めることができる。
プラズマ用空気は、スロットル弁46よりも上流の吸入空気、すなわちエアクリーナ室51内の吸入空気であるプラズマ用空気であり、ガス制御弁72はスロットル弁46と連動することにより、ガス制御弁72はスロットル弁46に連動して、プラズマ用空気のガス量Mgを制御するので、プラズマ用空気のガス量Mgに起因する空燃比の変化が抑制される。
吸気装置40は、吸気通路を構成するエアクリーナ室51を形成するエアクリーナ41を備え、ガス制御弁72は、エアクリーナ室51のクリーン室51bと生成室61とを連通させる導入通路71に配置され、生成室61は、吸気通路においてスロットル弁46よりも下流の通路部分である下流通路52bにプラズマが供給されるように下流通路52bに連通することにより、クリーン室51b内の空気が、導入通路71を通じて、ガス制御弁72により流量制御されて生成室61に導かれる。この結果、プラズマ用空気を吸気装置40のエアクリーナ41を利用して取り入れることができるので、プラズマ生成装置Pの構造を簡単化することができ、しかもプラズマ生成装置Pを吸気装置40に近接させて配置することができるので、吸気装置40およびプラズマ生成装置Pの配置をコンパクトにすることができる。
また、プラズマ用空気がエアクリーナ41内から取り入れられるので、生成されたプラズマが逆流して導入通路71に流入したとしても、該逆流プラズマは、導入通路71を通ってエアクリーナ室51のクリーン室51bに流入した後、吸気通路を吸入空気と共に下流に流れて、燃焼室27に吸入される。この結果、吸気装置40に備えられるエアクリーナ41を利用することにより、簡単な構造で逆流プラズマが内燃機関Eの外部に漏れることを防止できる。
スロットル弁46とガス制御弁72とが共通の弁軸47,73を有することにより、ガス制御弁72の弁軸73としてスロットル弁46の弁軸47を利用できるので、プラズマ生成装置Pの構造を簡単化することができ、しかもプラズマ生成装置Pを吸気装置40のスロットルボディ45に近接させて配置することができるので、吸気装置40およびプラズマ生成装置Pの配置をコンパクトにすることができる。
吸気量Maに対するプラズマ用空気のガス量Mgの割合は、スロットル弁46の開度が小さくなるほど、すなわち内燃機関Eの機関負荷が小さくなるにつれて大きくなるように設定されることにより、内燃機関Eの低負荷運転域において、前記設定空燃比を維持しながら、燃焼性の向上効果を高めることができる。しかも、該低負荷運転域では、ガス量Mgが吸気量Maよりも多いことにより、燃焼性の向上効果を一層高めることができる。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
プラズマ生成装置Pのプラズマ生成器60は、図2に二点鎖線で示されるように、ハウジング62の中心軸線が吸気通路に交差するように配置されてもよく、その場合の導入管70、ガス制御弁72、供給管75が二点鎖線で示されている。
プラズマ用ガスは吸入空気以外のガスであってもよい。
図2に二点鎖線で示されるように、電源装置80がプラズマ生成器60に一体に取り付けられてもよい。
陽極63が案内通路67内に配置され、陰極64が陽極63を囲んで配置されてもよい。
生成室61が、供給通路76(または供給管75)とは別個の通路(または導管)により該通路(または該導管)に設けられた開閉弁を介して吸気通路と連通され、供給通路76には、プラズマを下流通路52bの供給する時期および時間を制御する開閉弁が設けられてもよい。
スロットル操作機構は、運転者のマニュアル操作による機構に構成される以外に、電動モータなどのアクチュエータを備える機構であってもよい。また、スロットル弁とガス制御弁とは、別々の操作機構により操作されてもよい。
内燃機関は、吸気管装置として吸気マニホルドを備える多気筒内燃機関であってもよく、また吸気絞りが行われる圧縮着火式内燃機関であってもよい。
本発明が適用された内燃機関が搭載された自動二輪車の要部左側面図である。 図1の内燃機関の要部拡大図であり、一部が断面で示されている。 図2における、IIIa−IIIa矢視での要部の図およびIIIb−IIIb線での要部断面図である。 図2でのプラズマ生成装置の要部断面図である。 図1の内燃機関のスロットル弁の開度およびガス制御弁の開度と、吸気量およびガス量との関係を示すグラフである。
符号の説明
21…シリンダ、22…シリンダヘッド、27…燃焼室、28…吸気ポート、28a…吸気口、30…吸気弁、32…動弁装置、40…吸気装置、41…エアクリーナ、44…スロットル装置、46…スロットル弁、50…空気通路、52,53…空気通路、60…プラズマ生成器、61…生成室、61a…放電空間、63…陽極、64…陰極、66…案内管、70…導入管、72…ガス制御弁、75…供給管、80…電源装置、
E…内燃機関、V…自動二輪車、P…プラズマ生成装置。

Claims (3)

  1. 燃焼室27に開口する吸気口28aを有する吸気通路28に配置されたスロットル弁46を備える吸気装置40と、前記吸気口28aを開閉する吸気弁30と、プラズマ用ガスをプラズマ状態にしてプラズマを生成する生成室61が設けられたプラズマ生成装置Pとを備える内燃機関Eにおいて、
    前記生成室61は前記吸気通路28に連通し、
    前記プラズマ生成装置Pは、前記吸気通路28において前記スロットル弁46と前記吸気弁30との間の通路部分52にプラズマを供給し、
    前記プラズマ生成装置Pは、前記生成室61を形成するプラズマ生成器60と、前記プラズマ生成器60に接続されてプラズマを前記通路部分52に導くと共に前記通路部分と前記生成室60とを常時連通させる供給管75とを備え、前記プラズマ生成装置Pに供給される吸入空気の導入管70には、ガス制御弁72が設けられたことを特徴とする内燃機関。
  2. 前記プラズマ用ガスは前記吸気通路28を流れる吸入空気であり、
    前記プラズマ生成器60および前記供給管75は吸気通路28に沿い並列に配置されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
  3. 前記スロットル弁46とガス制御弁72とは、1つの部材からなる共通の弁軸を有することを特徴とする請求項2記載の内燃機関。
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