JP4879096B2 - 吐水設備における冷水排出装置 - Google Patents

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Description

この発明は吐水設備における冷水排出装置に関し、詳しくはシャワー吐水部等の吐水部からの吐水の初期に冷水が吐水されてしまうのを防止することのできる冷水排出装置に関する。
湯水の混合部で水(冷水)と湯(熱水)とを混合し、温調した湯を吐水部から吐水する吐水設備、特に湯水の混合部から長いシャワー水通路(給水の主通路)が延びていて、その先端部に接続されたシャワー吐水部からシャワー吐水するシャワー吐水設備においては、シャワー吐水部から温調した湯をシャワー吐水させようとしたときに、初期に冷水が吐水されてしまう問題がある。
この初期の冷水の吐水は、混合部より上流側の配管(給湯用配管)内で滞留している冷水(配管内冷水)が初期に吐水されること、また吐水設備を使用し終わった後にシャワー水通路やシャワー吐水部内部等に残った湯が冷水となって滞留し(残水)、初期に吐水されることによって起る現象である。
使用者がこのような冷水を誤って浴びてしまうと不快感を感じてしまう。
この問題を解決することを目的としたものが、例えば下記特許文献1,特許文献2に開示されている。
図8は特許文献1に開示されたものを具体的に示している。
図8において200は湯水混合水栓、202は湯水の混合弁(混合部)を内蔵した水栓本体、204は吐水管(カラン)、206はシャワーホースで、その先端部に図示を省略したシャワーヘッド(シャワー吐水部)が接続されている。
210は、吐水管204からの吐水とシャワーヘッドからの吐水とを切替操作する切替ハンドルで、212は切替弁である。
214は、シャワーホース206と水栓本体202との間に設けられた冷水排出装置で、ケーシング216と吸引管218とを有している。
ケーシング216には排出口220が設けられており、またその内部には、排出口220を開閉するスプール弁体から成る弁体222、及び給水の温度に感応して軸方向に伸縮し、弁体222を駆動する感温体223が設けられている。
感温体223はワックスの膨張収縮を利用して軸方向に伸縮するサーモワックス式のものである。
尚図中224は、シャワーホース206とケーシング216との内部に形成されるシャワー水通路(主通路)を表している。
この図8に示す冷水排出装置214では、シャワーヘッドからシャワー吐水する際、シャワー水通路224内を流れる給水の温度が低いときには感温体223が収縮した状態にあって、図8(B)に示すように弁体222はスプリング208の上向きの付勢力によって排出孔220を開いた状態にあり、従って水栓本体202からシャワー水通路224内に送り出された給水は、ケーシング216の排出口220から外部に排出され、シャワーヘッドには供給されない。
即ち水栓本体202の上流側の配管内に滞留していた冷水は、シャワーヘッドからシャワー吐水されずに上流部位の排出口220から排出される。
このとき吸引管218に作用する負圧によって、シャワーホース206及びシャワーヘッド内に残っていた冷水状態の残水が、吸引管218を通じてシャワー水通路224側に吸引され、ケーシング216の排出口220から外部に排出される。
そしてシャワー水通路224内の給水の温度が適温の湯となったとき、図8(C)に示すように感温体223が伸長して弁体222が排出口220を閉じることで、送られて来た湯がシャワーホース206を通じてシャワーヘッドに供給され、そこからシャワー吐水される。
図9は特許文献2に開示されたものを示しており、図において226は湯水混合水栓、228は水栓本体で、この水栓本体228からシャワーホース206が延び出し、その先端部にシャワーヘッド230が接続されている。
この例においても、図8に示したものと同様にシャワー水通路上に冷水排出装置232が設けられている。
図10は冷水排出装置232の内部構造を示している。
同図に示しているようにこの冷水排出装置232は、ケーシング234と、その内部に設けられた弁体236と、弁体236を図中右方向に付勢する形状記憶合金製の感温ばね238と、弁体236をこれとは逆方向の図中左方向に付勢するバイアスばね240と、シャワー水通路224を開閉するシャワー開閉弁242と、ボール弁244とを有している(図10(A))。
この図9及び図10に示す冷水排出装置232では、シャワー水通路(主通路)224を通じてシャワーヘッド230側に送られて来た給水が冷水であるときには、感温ばね238の収縮により弁体236が開弁状態となって、排出口220から冷水(配管内冷水)が排出される。
尚このときシャワー開閉弁242は閉弁した状態にあり、またボール弁244は給水圧により閉弁した状態にあってシャワー水通路を途中で閉じており、従ってこのときにはシャワーヘッドに対し冷水は供給されない。
そして給水温度が上昇して所望温度の湯となったところで、感温ばね238が付勢力を高めて弁体236を閉弁させ(シャワー開閉弁242は開弁)、排出口220からの給水の排出を停止させる。従ってこのときにはシャワーヘッドに目的とする温度の湯が供給され、シャワーヘッド230からシャワー吐水される(図10(B))。
その後シャワーヘッド230からのシャワー吐水を停止し、シャワーホース206及びシャワーヘッド230内部に残った残水が冷水となったところで、再び弁体236が開弁し、残水がボール弁244を押し開いて排出口220から排出される(図10(C))。
しかしながら特許文献1に開示のものは、単一の排出通路,単一の弁体を用いて初期の配管内冷水とシャワーヘッド,シャワーホース側の残水とを同時に排出するようになしており、且つシャワーヘッド側の残水を細管の吸引管218を通じて負圧の作用で吸引して排出するようになしていることから、冷水の排出のために、特に残水が多い吐水設備の場合に長い時間を要してしまう。
またこの特許文献1に開示のものでは、感温体による給水の温度感知に基いて弁体を開閉駆動するようになしていることから、感温による冷水の排出と排出停止との切替えのための機構が複雑化し、所要コストも高くなってしまう。
更にシャワー水通路(主通路)224上に複雑な構造の弁機構を組み込むことによって、シャワー水通路224での流れの抵抗が大きくなり、このことがシャワーヘッドからの吐水圧の低下に繋がる恐れがある。
この点は、特許文献1と同様に給水の温度感知に基いて冷水の排出と排出停止とを、主通路であるシャワー水通路上で行うようになした特許文献2に開示のものにおいても基本的に同様である。
以上シャワー吐水部からシャワー吐水する際の問題点を述べたが、こうした問題はシャワー吐水部以外の吐水部から吐水を行うに際しても共通に生じ得る問題である。
特開平3−18332号公報 特開2004−283455号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、残水が多量であっても短時間で冷水状態の残水を配管内冷水とともに排出することができ、しかも主通路上で冷水排出のための弁機構による流れの抵抗を生ぜしめない、構造が簡単で所要コストの安価な冷水排出装置を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、吐水部への給水の主通路から第1分岐通路を分岐させるとともに、該第1分岐通路よりも下流部位から第2分岐通路を分岐させて、該第1分岐通路の分岐部に、給水を前記吐水部又は該第1分岐通路に切り替える切替弁を設けるとともに、該第1分岐通路と前記第2分岐通路とを冷水排出弁に接続し、該冷水排出弁は、前記第1分岐通路への給水を排出する第1排出通路を該第1分岐通路の給水圧を受けて開く第1弁体と、前記第2分岐通路を通じて導かれる、前記吐水部側に残った残水を排出する第2排出通路を開く第2弁体と、それら第1弁体及び第2弁体を連動して開動作させる連結手段と、を備えていることを特徴とする。
請求項2のものは、請求項1において、前記冷水排出弁には、前記第2弁体を第1弁体とともに閉弁方向に付勢する付勢手段が設けてあることを特徴とする。
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記第1弁体がダイヤフラム弁体となしてあることを特徴とする。
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記第1排出通路と第2排出通路とを途中で合流させて排出口に到るようになすとともに、該第1排出通路から第2排出通路への排出水の逆流防止機構を設けてあることを特徴とする。
請求項5のものは、請求項4において、前記逆流防止機構が、前記第1排出通路の排出水の流れにより、前記第2排出通路の該第1排出通路との合流口に負圧を発生させて、該負圧の作用で該第2排出通路の排出水を吸引し、該第1排出通路の排出水に合流させるものとなしてあることを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように請求項1のものは、給水の主通路から第1分岐通路、その下流部位から第2分岐通路をそれぞれ分岐させて、第1分岐通路の分岐部に、給水を吐水部又は第1分岐通路に切り替える切替弁を設けるとともに、第1分岐通路と第2分岐通路とを冷水排出弁に接続し、そしてその冷水排出弁を、第1分岐通路への給水を排出する第1排出通路を第1分岐通路の給水圧を受けて開く第1弁体と、第2分岐通路を通じて導かれる、吐水部側に残った残水の排出通路を開く第2弁体と、それらを連動して開動作させる連結手段とを備えて構成したものである。
この請求項1の冷水排出装置によれば、上流側の配管内に滞留している配管内冷水と、吐水部側に残った冷水状態の残水とを、第1分岐通路及び第1排出通路と、第2分岐通路及び第2排出通路とを通じて同時に排出することができ、残水が多量に残るような吐水設備においても、冷水を短時間で速やかに排出することができる。
即ち吐水部から短時間で所望の温調された湯を吐水開始することができ、使用者の待ち時間を短くすることができる。
またこの請求項1のものでは、主通路上に冷水排出弁を設けるのでなく、主通路から第1分岐通路と第2分岐通路とを分岐させて、それら分岐部の接続側に冷水排出弁を設け、そして主通路上の切替弁による切替動作により冷水排出を行うようになしていることから、従来のように感温体を用いた複雑な切替機構を必要とせず、冷水排出装置の構造を簡素化し得、また所要コストを安価となすことができる。
更にこの請求項1では主通路上に冷水排出弁を設けていないため、主通路上でそこに設けた冷水排出弁により流れの抵抗が発生し、このことが吐水部からの吐水圧の低下に繋がる問題を回避することができる。
この請求項1ではまた、切替弁を吐水部側に切り替えることによって、吐水部側に供給された給水の水圧を第2弁体の閉弁方向の力として作用させることができる。
この場合において冷水排出弁には、第2弁体を第1弁体とともに閉弁方向に付勢する付勢手段を設けておくことができる(請求項2)。
このようにしておけば、給水を吐水部側に切り替えたときに、第2弁体をより強い力で閉弁させることができる。
ここで付勢手段としては金属ばね、特にコイルスプリングを好適に用いることができる。
本発明では、上記第1弁体をダイヤフラム弁体となしておくことができる(請求項3)。
このようにしておけば、第1分岐通路に導かれた給水の圧力を効果的に第1弁体で受け、給水の圧力を第1弁体及び第2弁体の開弁方向の力として作用させることができる。
次に請求項4は、上記の第1排出通路と第2排出通路とを途中で合流させて排出口に到るようになし、且つ第1排出通路から第2排出通路への排出水の逆流防止機構を設けたものである。
この逆流防止機構は次のような意味を有している。
即ち、第1排出通路には給水圧により多量の排出水が勢い良く流通する。そのため第1排出通路側の排出水が、第1排出通路と第2排出通路との合流部で第2排出通路側に逆流する恐れが生ずる。
しかるにこの請求項4に従って逆流防止機構を設けておくことで、こうした不都合を回避することができる。
この場合においてその逆流防止機構は、逆止弁にて構成することも可能であるが、請求項5に従ってその逆流防止機構を、第1排出通路の排出水の流れにより第2排出通路の合流口に負圧を発生させ、その負圧の作用で第2排出通路の排出水を吸引し、第1排出通路の排出水に合流させるものとなしておくことができる(請求項5)。
このようにすれば、特別に弁体を用いて逆流防止をしなくても、第1排出通路から第2排出通路側への逆流を有効に防止することができる。
また逆流防止機構を簡単な構造で安価に構成することが可能となる。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の吐水設備で、12は上下に長く背の高いシャワー塔で、ここではシャワー塔12は床面から約1950mmの高さを有する。
このシャワー塔12の下面には、先端に吐水口14を有する吐水管(カラン)16が回転可能に設けられている。
18はシャワー塔12における前面板で、その上端部に口径の大きなシャワー口20を有するオーバーヘッドシャワー吐水部22が設けられている。
またこのオーバーヘッドシャワー吐水部22と下端の吐水管16との間に、ボデーシャワー吐水部24が設けられている。
このボデーシャワー吐水部24は、前面板18に縦に2列に配列されたシャワー口26−1a,26−1b,26−1c,26−1d,26−1e,26−1f及び26−2a,26−2b,26−2c,26−2d,26−2e,26−2fの合計12個のシャワー口を有している。
また側方にはシャワー口28を有するハンドシャワー吐水部30が備えられている。
ハンドシャワー吐水部30にはシャワーホース32が接続されており、またシャワー塔12にはシャワーフック34が設けられていて、そこにハンドシャワー吐水部30が掛止されている。
ハンドシャワー吐水部30は、シャワーフック34に掛止した状態から取り外して使用可能である。
シャワー塔12における前面板18には、ボデーシャワー吐水部24におけるシャワー口26−1と26−2との間の位置において、ハンドル36,38,40,42及び44が縦一列に配設されている。
尚、各ハンドル36,38,40,42,44は何れも回転式のハンドルである。
ここで最上位のハンドル36は、オーバーヘッドシャワー吐水部22からのシャワー吐水のオン・オフ用のものであり、またその下のハンドル38は、ボデーシャワー吐水部24からのシャワー吐水、詳しくはシャワー口26−1a〜26−2fからのシャワー吐水のオン・オフ用のものであり、更にその下側のハンドル40は、ハンドシャワー吐水部30からのシャワー吐水のオン・オフ用のものである。
尚各シャワー口20,26−1a〜26−2f,28は何れも多数の散水孔から成っている。
一方その下側のハンドル42は、水と湯との混合比率を変えることによって吐水の温度を調節する温調用(温度調節用)のハンドルであり、更に最下位のハンドル44は、吐水管16からの吐水のオン・オフ用のハンドルである。
尚最上位のハンドル36は、後述する冷水排出のための切替弁を切り替えるためのハンドルも兼ねている。
図2において、46は冷水供給用の給水通路で、48は給湯器からの熱水供給用の給湯通路である。それぞれの通路上に止水栓50が設けられている。
これら給水通路46,給湯通路48は混合弁52に接続されており、給水通路46,給湯通路48を通じて送られた水と湯(熱水)とが混合弁52で混合され、またその混合比率が変化せしめられる。即ちこの混合弁52において吐水の温度が調節される。
54は混合部52からの給水をオーバーヘッドシャワー吐水部22に導くシャワー水通路(主通路)で、このシャワー水通路54から給水をボデーシャワー吐水部24,ハンドシャワー吐水部30に導く第2のシャワー水通路56及び第3のシャワー水通路58が分岐している。
第2のシャワー水通路56は、ボデーシャワー吐水部24における上記の多数のシャワー口26−1a〜26−2aに接続され、また第3のシャワー水通路58はハンドシャワー吐水部30に接続されている。
そして第2のシャワー水通路56上に、これを開閉する開閉弁60が、また第3のシャワー水通路58上に、これを開閉する開閉弁62がそれぞれ設けられている。
ここで開閉弁60は上記のハンドル38の操作によって開閉動作させられ、また開閉弁62はハンドル40の操作によって開閉動作させられる。
第2のシャワー水通路56は、分岐シャワー水通路56-1と56-2とに分岐させられており、そして分岐シャワー水通路56-1が図中右側において縦一列に配列されたシャワー口26-1a,26-1b,26-1c,26-1d,26-1e及び26-1fに接続され、また分岐シャワー水通路56-2が図中左側に一列に配列されたシャワー口26-2a,26-2b,26-2c,26-2d,26-2e及び26-2fに接続されている。
ここで分岐シャワー水通路56-1,56-2は、縦に配置された直管状の管体の内側に形成されており、何れも上下方向に直線状をなしている。
64は給水を吐水管16に導くための吐水管用通路で、この吐水管用通路64上にも、これを開閉する開閉弁66が設けられている。
開閉弁66は上記のシャワー塔12の最下位置のハンドル44の操作によって開閉動作させられる。
混合弁52からの給水をオーバーヘッドシャワー吐水部22に供給するためのシャワー水通路54からはまた、第2のシャワー水通路56よりも下流部位で第1分岐通路68が分岐させられており、更にその下流部位で第2分岐通路70がシャワー水通路54から分岐させられている。そして第1分岐通路68の分岐部に通路切替用の切替弁72が設けられている。
ここで切替弁72は、シャワー水通路54を遮断状態としてオーバーヘッドシャワー吐水部22への給水を停止する状態(図2に示す状態)と、混合弁52からの給水を第1分岐通路68に供給する状態(図5に示す状態)と、更に混合弁52からの給水をオーバーヘッドシャワー吐水部22に供給する状態(図6に示す状態)との間で状態切り替えするもので、この切替弁72は図1の最上位のハンドル36の操作によって動作せしめられる。
ここで第2分岐通路70は、オーバーヘッドシャワー吐水部22及びそこへの給水用の主通路であるシャワー水通路54内に残って冷水となった残水を排出するための通路である。
これら第1分岐通路68と第2分岐通路70とは、それぞれ先端側が冷水排出弁82に接続されている。
冷水排出弁82からは、第1分岐通路68への給水を排出する第1排出通路74と、第2分岐通路70を通じて導かれた残水を排出するための第2排出通路76が延び出している。
ここで第1排出通路74は、上記吐水管用通路64とともに下流側の共通通路77に接続され、前記吐水管16の吐水口(排出口)14へと到っている。
ここで共通通路77は、第1分岐通路68への給水を排出する際には第1排出通路74の一部となり、また吐水管16から吐水を行うときには吐水管用通路64の一部となる部分である。
この共通通路77に対し、冷水排出弁82から延び出した第2排出通路76の先端が接続され、合流せしめられている。
図中80はその第2排出通路76と共通通路77即ち第1排出通路74との合流部を表し、また78はその上流側の、第1排出通路74と吐水管用通路64との合流部を表している。
図3に上記の冷水排出弁82の内部構造が具体的に示してある。
同図において84は冷水排出弁82のケーシングで、その内部に第1弁体88と第2弁体86とがそれぞれ開閉可能に設けられている。
ここで第2弁体86は、弁座90から図中上向きに離間することによって、即ち開動作することによって第2排出通路76を開き、第2分岐通路70からの残水を第2排出通路76を通じて排出可能とする。
また弁座90への着座即ち閉弁動作によって、第2排出通路76を閉じ、その流れを遮断状態とする。
一方第1弁体88は、弁座92からの図中上向きの離間即ち開弁動作によって、第1排出通路74を開き、第1分岐通路68への給水を第1排出通路74を通じて排出可能とする。
また弁座92への着座即ち閉弁動作によって、第1排出通路74を閉じ、第1分岐通路68から第1排出通路74への流れを遮断する。
ここで第1弁体88はダイヤフラム弁体からなっていて、第1分岐通路68の給水圧を受けるゴム等の弾性材で形成したダイヤフラム膜94を有しており、そのダイヤフラム膜94で第1分岐通路68の給水圧を受けて図中上向きに開動作する。
上記第1弁体88と第2弁体86とは連結手段としての連結軸96で互いに連結され、一体に上下移動即ち開閉動作するようになっている。
尚、図2に示しているように第2分岐通路70は切替弁72の下流部において常時シャワー水通路54に連通した状態にあり、従ってオーバーヘッドシャワー吐水部22からのシャワー吐水時に、シャワー水通路54の給水圧が第2分岐通路70に作用することから、第2弁体86は閉弁状態で第2排出通路76と第2分岐通路70とを連通遮断すべく水密閉弁状態とする必要があるが、第1弁体88は閉弁状態において必ずしも水密閉弁状態としておかなくても良い。
図3に示す冷水排出弁82には、第2弁体86の上側にこれを常時閉弁方向に付勢するコイルばね97が設けられている。その付勢力は連結軸96を介して第1弁体88の閉弁方向の付勢力としても働いている。
この実施形態では、図2の共通通路77への第2排出通路76の合流部80に、共通通路77即ち第1排出通路74を流通する排出水が第2排出通路76側に逆流するのを防止する逆流防止機構98(図4参照)が設けてある。
図4に示すようにこの逆流防止機構98は、共通通路77内の水を図中下向きに流通させる内管100と、その外周側に合流口102に連通した環状の吸引通路104とを有している。
この逆流防止機構98では、内管100を図中下向きに流通する共通通路77の排出水の流れによって、内管100の周りの環状の吸引通路104及び合流口102に負圧を発生させ、その負圧の作用で、第2排出通路76内の排出水を吸引して共通通路77側の排出水に合流させ、吐水管16へと送り込んでその吐水口(排出口)14から外部に排出させる。
次に本実施形態の作用を以下に説明する。
図2は切替弁72がシャワー水通路54を遮断して、オーバーヘッドシャワー吐水部22への給水を停止した状態にあり、この状態から図1に示す最上位のハンドル36の操作によって、切替弁72を図5に示す状態に切り替えると、混合弁52からの給水が第1分岐通路68へと導かれる。
すると図7に示しているように冷水排出弁82の、ダイヤフラム弁体からなる第1弁体88が第1分岐通路68の給水圧を受けてコイルばね97の付勢力に抗し図中上向きに開動作し、第1排出通路74を開いた状態とする。
このとき第2弁体86もまた連動して開動作し、第2排出通路76を開いた状態とする。
従って混合弁52よりも上流側の配管内冷水、詳しくは混合弁52と給湯器との間の配管内冷水が、給水通路46からの給水とともに第1排出通路74を通じて吐水管16の吐水口14から外部に排出される。
また同時にシャワー水通路54内部及びオーバーヘッドシャワー吐水部22内部に残留していた冷水状態の残水が、第2排出通路76を通じて吐水口14から外部に排出される。
ここで切替弁72を図5に示す状態として、混合弁52からの給水を第1排出通路74を通じて排出し、またシャワー水通路54,オーバーヘッドシャワー吐水部22内の残水を第2排出通路76を通じて排出する際、第1排出通路74側詳しくは共通通路77側には給水圧が作用していて、共通通路77内を給水が多量に且つ勢い良く流れることから、その一部が合流部80で第2排出通路76側に逆流する恐れが生ずるが(吐水管16からの排出に際しそこで抵抗が働く)、この実施形態では合流部80に逆流防止機構98が設けてあるため、そうした不都合を生じることはない。
そして上流側の配管内に残留していた配管内冷水及びオーバーヘッドシャワー吐水部22側、詳しくはシャワー水通路54とオーバーヘッドシャワー吐水部22内に残っていた残水が排出されたところで、切替弁72を図6に示す状態、即ちオーバーヘッドシャワー吐水部22側に給水を切り替えることで、吐水初期から混合弁52で温調された所望温度の暖かい湯をオーバーヘッドシャワー吐水部22からシャワー吐水させることができる。
尚、本例では切替弁72が、図2に示す状態から図5に示す状態を経て、図6に示す状態へと切り替るようになしてあり、即ち切替弁72が、シャワー水通路54を連通状態としてオーバーヘッドシャワー吐水部22からシャワー吐水させる状態に至る途中で、切替弁72がシャワー水通路54からの給水を第1分岐通路68側に切り替える状態を通過することから、オーバーヘッドシャワー吐水部22から送って冷水がシャワー吐水されてしまうのを有効に防止することができる。
以上はオーバーヘッドシャワー吐水部22からシャワー吐水させる場合の作用であるが、切替弁72を図2に示す状態としておいて、ハンドル38の操作により開閉弁60を開動作させると、混合弁52からの給水がボデーシャワー吐水部24の各シャワー口26-1a〜26-2fからシャワー吐水され、使用者はそれらシャワー口26-1a〜26-2fからのシャワー吐水を身体に浴びることができる。
また開閉弁60を閉じた状態の下で、ハンドル40を操作して開閉弁62を開動作させることで、ハンドシャワー吐水部30からシャワー吐水させることができる。
更にハンドル44の操作により開閉弁66を開動作させることで、吐水管16の吐水口14からカラン吐水させることができる。
尚この実施形態では、それらボデーシャワー吐水部24,ハンドシャワー吐水部30及び吐水管16からの吐水に際して、初期冷水を排出する機構が設けてないが、オーバーヘッドシャワー吐水部22からのシャワー吐水の場合と同様の冷水排出装置を、それらボデーシャワー吐水部24,ハンドシャワー吐水部30,吐水管16からの吐水に際して適用することも可能である。
但しハンドシャワー吐水部30及び吐水管16からの吐水に際して初期に冷水が吐水される時間は短く且つそのことによる弊害は、オーバーヘッドシャワー吐水部22からのシャワー吐水ほど大きくないので、そうした冷水排出装置を敢えて備えておかなくても特段の支障は生じない。
尤もボデーシャワー吐水部24からの吐水については、オーバーヘッドシャワー吐水部22からのシャワー吐水の場合と同様の問題を生じる可能性があるが、この例ではボデーシャワー吐水部24側の分岐シャワー水通路56-1,56-2が縦に直線状をなしていて、内部の残水が最も下端のシャワー口26-1f,26-2fから自動的に外部に排出されるため、ボデーシャワー吐水部24側では冷水状態の残水が多く残るといったことはなく、吐水の比較的初期から温かい湯をシャワー吐水させることが可能である。
以上のような本実施形態によれば、混合弁52よりも上流側の配管内に滞留している配管内冷水と、シャワー水通路54内部及びオーバーヘッドシャワー吐水部22内部に残った冷水状態の残水とを、第1分岐通路68及び第1排出通路74と、第2分岐通路70及び第2排出通路76とを通じて同時に排出することができ、特にオーバーヘッドシャワー吐水部22側に残水が多量に残る本実施形態の吐水設備においても冷水を短時間で速やかに排出することができる。
これにより吐水部から短時間で所望の温調された湯を吐水開始することができ、使用者の待ち時間を短くすることができる。
また本実施形態では、シャワー水通路54上に冷水排出弁を設けるのでなく、シャワー水通路54から第1分岐通路68と第2分岐通路70とを分岐させて、それら分岐部の接続側に冷水排出弁82を設け、そしてシャワー水通路54上の切替弁72による切替動作により冷水排出を行うようになしていることから、従来のように感温体を用いた複雑な切替機構を必要とせず、冷水排出装置の構造を簡素化し得、また所要コストを安価となすことができる。
更に本実施形態ではシャワー水通路54上に冷水排出弁を設けていないため、シャワー水通路54上でそこに設けた冷水排出弁により流れの抵抗が発生し、このことが吐水圧の低下に繋がる問題を回避することができる。
本実施形態ではまた、切替弁72をオーバーヘッドシャワー吐水部22側に切り替えることによって、オーバーヘッドシャワー吐水部22側に供給される給水の水圧を冷水排出弁82の第2弁体86の閉弁方向の力として作用させることができる。
加えて冷水排出弁82には第2弁体86を第1弁体88とともに閉弁方向に付勢するコイルばね97が設けてあるため、給水をオーバーヘッドシャワー吐水部22側に切り替えたときに第2弁体86をより強い力で閉弁させることができる。
また本実施形態では第1弁体88がダイヤフラム弁体となしてあるため、第1分岐通路68に導かれた給水の圧力を効果的に第1弁体88で受け、給水の圧力を第1弁体88及び第2弁体86の開弁方向の力として作用させることができる。
更に本実施形態では、逆流防止機構98によって、第1排出通路74側の排出水が、第1排出通路74と第2排出通路76との合流部で第2排出通路76側に逆流するのを有効に防止することができ、且つ逆流防止機構98を簡単な構造で安価に構成することができる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、例えば本発明においては上記逆流防止機構を逆止弁となして、これを第1排出通路と第2排出通路との合流部、或いは第2排出通路76の合流部より上流部位に設けておくといったことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
本発明の一実施形態である冷水排出装置を備えた吐水設備を示す正面図である。 同実施形態における配管経路を模式的に示した図である。 同実施形態における冷水排出弁の断面図である。 同実施形態における逆流防止機構を示した図である。 同実施形態の作用説明図である。 図5とは異なる作用状態の説明図である。 同実施形態における冷水排出弁の作用説明図である。 従来公知の冷水排出装置の一例を示した図である。 図8とは異なる従来公知の冷水排出装置を示した図である。 図9の冷水排出装置の作用状態を表した図である。
符号の説明
22 オーバーヘッドシャワー吐水部
54 シャワー水通路(主通路)
68 第1分岐通路
70 第2分岐通路
72 切替弁
74 第1排出通路
76 第2排出通路
82 冷水排出弁
86 第2弁体
88 第1弁体
94 ダイヤフラム膜
96 連結軸
97 コイルばね
98 逆流防止機構
102 合流口

Claims (5)

  1. 吐水部への給水の主通路から第1分岐通路を分岐させるとともに、該第1分岐通路よりも下流部位から第2分岐通路を分岐させて、該第1分岐通路の分岐部に、給水を前記吐水部又は該第1分岐通路に切り替える切替弁を設けるとともに、該第1分岐通路と前記第2分岐通路とを冷水排出弁に接続し、
    該冷水排出弁は、前記第1分岐通路への給水を排出する第1排出通路を該第1分岐通路の給水圧を受けて開く第1弁体と、前記第2分岐通路を通じて導かれる、前記吐水部側に残った残水を排出する第2排出通路を開く第2弁体と、それら第1弁体及び第2弁体を連動して開動作させる連結手段と、を備えていることを特徴とする吐水設備における冷水排出装置。
  2. 請求項1において、前記冷水排出弁には、前記第2弁体を第1弁体とともに閉弁方向に付勢する付勢手段が設けてあることを特徴とする吐水設備における冷水排出装置。
  3. 請求項1,2の何れかにおいて、前記第1弁体がダイヤフラム弁体となしてあることを特徴とする吐水設備における冷水排出装置。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記第1排出通路と第2排出通路とを途中で合流させて排出口に到るようになすとともに、該第1排出通路から第2排出通路への排出水の逆流防止機構を設けてあることを特徴とする吐水設備における冷水排出装置。
  5. 請求項4において、前記逆流防止機構が、前記第1排出通路の排出水の流れにより、前記第2排出通路の該第1排出通路との合流口に負圧を発生させて、該負圧の作用で該第2排出通路の排出水を吸引し、該第1排出通路の排出水に合流させるものとなしてあることを特徴とする吐水設備における冷水排出装置。
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