JP4879091B2 - 数値制御工作機械の制御方法及び数値制御工作機械 - Google Patents

数値制御工作機械の制御方法及び数値制御工作機械 Download PDF

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Description

本願発明は、X、Y、Z軸の直交3軸の送り軸、またはそれにA、B、C軸のうち少なくとも1つの回転軸を付加した複数の送り軸を有するフライス盤、マシニングセンタ、放電加工機等の数値制御工作機械の制御方法及び数値制御工作機械に関するものであり、機械の送り速度を高速にしても加工精度を劣化させない新規な技術に関するものである。
数値制御工作機械は、ワークを短時間に精度よく加工すること、つまり高能率、高精度加工を可能にすることが要求される。一般的に、機械の送り速度を上げると加工精度が低下することが知られている。これは送り軸のロストモーションや数値制御装置のサーボ制御の遅れに起因している。したがって、数値制御工作機械では、高速送りで加工を行っても高精度加工が達成できるように、送り軸のバックラッシ補正や摩擦補正を行ったり、ワーク重量や送り軸モータの温度に応じた送り軸の加減速制御を行っており、例えば次のような従来技術がある。
第1の従来技術として、特許文献1に開示のサーボシステムにおける加速制御方法及び装置がある。これは、バックラッシ、弾性変形、静摩擦に起因する送り軸のロストモーションをそれぞれの特性に対応した最適な加速制御を行い加工精度の劣化を低減することを目的として、送り軸の移動方向反転時に、送り系のバックラッシ、弾性変形、静摩擦に起因する各ロストモーションを補償する第1、第2、第3の加速速度をサーボ制御部の速度指令値に加え、いち早くロストモーションによる遅れを解消する技術を開示したものである。
第2の従来技術として、特許文献2に開示のサーボモータの制御方法がある。これは、切削条件等の変動があっても最適なバックラッシ補正を行うことを目的として、移動方向反転前の速度制御部の積分器の逆符号の値を目標値とし、目標値から速度制御部の積分器の値を減算した値に、定数を乗じたもの、例えば移動方向が反転した瞬間の位置偏差量の平方根に比例する値を乗じて得られた値を速度制御部におけるバックラッシ加速量とする技術を開示したものである。
第3の従来技術として、特許文献3に開示の工作機械の加減速制御方法および装置がある。これは、工具やワーク等の移動物を交換することによって移動物重量が変化する場合に高い加工精度を維持して加工時間を短縮することを目的として、工作機械の剛性、加工精度(許容誤差)、ワーク重量に見合った加速度で駆動系を制御する、すなわち予め設定された負荷イナーシャに合わせて加速度を変える技術を開示したものである。
第4の従来技術として、特許文献4に開示のサーボモータの速度制御装置がある。これは、送り軸モータの出力トルクと駆動対象の加速度とから負荷トルクを推定するトルクオブザーバに関する内容であり、負荷トルクの推定値の変化を検出して負荷イナーシャの推定を行い、トルクオブザーバ内に設定されている負荷イナーシャを更新する技術を開示したものである。
第5の従来技術として、特許文献5に開示の数値制御による機械装置の制御方法および装置がある。これは、送り軸モータを早送り等で頻繁な加減速を伴って連続運転してもその送り軸モータがオーバヒートしないことを目的として、送り軸モータの温度を測定して、予め設定した送り軸モータの許容される所定の温度データと比較し、その比較結果に応じて送り軸の加減速カーブを変更制御する技術を開示したものである。
第1の従来技術は、加速速度を求めてそれをサーボ制御部の速度指令値に加えている。実際の数値制御工作機械では、送り軸モータ駆動手段にどれだけのトルク指令値または電流指令値を出力するかが最終的に要求されるのであって、第1の従来技術のようにサーボ制御途中の速度指令値を変えているのでは、その指令値がトルク指令値または電流指令値に変換されて送り軸モータ駆動手段に到達するのに遅れが存在する。
第2の従来技術は、位置偏差量に基づいて演算したバックラッシ加速量を速度制御部におけるバックラッシ加速量としているため、依然として位置フィードバック制御手段及び速度フィードバック制御手段によるサーボ系の遅れが存在する。
第3の従来技術は、負荷イナーシャを予め所定値に設定しているので、ワーク重量に合わせて加速度を変えるものである。すなわちワーク重量が大きい場合は、加速度を許容限度はで高くし、ワーク重量が小さい場合は、加速度を下げる制御をしている。加速度を下げるということは加工能率が悪化する問題点がある。
第4の従来技術は、一般的なサーボモータの負荷トルクを推定するトルクオブザーバに関する内容であり、速度指令値に基づいて負荷トルクを推定し、推定した負荷トルクに応じて負荷イナーシャを推定し、その値を機械系の伝達関数に送出するようにして送り制御を行う技術が開示されている。これは、負荷イナーシャはあくまでも推定値なので、機械の送り軸にゆらぎや遅れが発生し、加工精度に悪影響を及ぼす問題点は依然として存在する。
第5の従来技術は、送り軸モータの温度に応じて加減速の時定数を制御し、指令送り速度を変更しないで送り軸モータのオーバヒートを防止する技術に関する内容であり、これは、送り軸モータのオーバヒートは防止できるが、加減速の時定数が大きくなり、加工精度が悪くなる問題点がある。
上述の従来技術の他に、従来のバックラッシ補正や摩擦補正は、移動体の速度や加速度を考慮していない一律の補正値を用いている。実加工時においては、同一形状を送り速度を変えて加工した場合、従来の補正では加工寸法に差が生じる。また同一送り速度で曲率の異なる曲面を複数の象限にわたって加工した場合、象限切換わり時、少なくとも1つの送り軸については、送り速度が一旦0になり、その後方向反転するので加速度が発生するが、曲率によりその加速度値が変わる。これに従来の補正を適用するとこれまた加工寸法に差が生じる。つまり移動方向反転時や一旦停止後の移動開始時においては、移動体の速度や加速度に応じた摩擦補正をしなければならない。
また、従来の数値制御装置の負荷イナーシャの値は、例えば最大積載ワーク重量の半分の重量のワークが積載されている場合の負荷イナーシャの値が一定値として採用されていた。この一定値にその時々の加速度値を掛けて求めた値がトルク指令値として送り軸モータ駆動手段に出力されていた。この様な制御下では重いワークが積載されて負荷イナーシャが大きくなっても、必要なトルク指令値が発生せず、実際の送り軸の移動が移動指令に対して遅れていた。また軽いワークが積載されて負荷イナーシャが小さくなっても、必要以上のトルク指令値が発生されて移動体に衝撃が加わり、送り速度にゆらぎが生じ加工の形状精度が悪くなった。更に加工によりワーク重量が刻々変化する、つまり負荷イナーシャが変化するのにトルク指令値が一定値のままでは、時間とともに変化する負荷条件にサーボ制御が追従していないので加工精度が変化することになる。
特許第2606773号公報 特許第2709969号公報 特開平11−90769号公報 特開平6−284763号公報 特許第2853023号公報
本願発明の目的は、上述の従来技術の問題点を解決するためのものであり、機械の移動体を高速で移動させても高精度な加工が行える数値制御工作機械の制御方法及び数値制御工作機械を得ることである。
他の目的は、複数の送り軸を同時に移動させて輪郭加工や自由曲面加工を行っている時の加工精度を向上させることである。
他の目的は、送り軸の移動方向反転時や、停止からの移動開始時における送り機構の動摩擦力や静摩擦力の変化を考慮して高精度な加工を行えるようにすることである。
他の目的は、送り軸の移動体に積載されるワークや取付具が交換された時や、一つのワークが加工されてその重量が時間とともに軽くなる時にも、その重量の変化を考慮して高精度な加工を行えるようにすることである。
他の目的は、送り軸モータを頻繁な加減速を伴って連続運転しても送り軸モータがオーバヒートせず、高能率を保ったまま、高精度な加工が行えるようにすることである。
上述の目的に鑑みて、本願発明は、数値制御装置のサーボ制御部から取り出した数値制御プログラムデータの実行結果を用い、送り軸の送り機構がもつ摩擦力やワークの重量の変化に応じた所望のトルク指令値または電流指令値を予測演算し、その予測演算値を送り軸モータ駆動手段に出力するようにしたものである。
すなわち本願発明によれば、数値制御装置の読取解釈部から取り込んだ数値制御プログラムデータを移動指令分配制御部及びサーボ制御部で実行し、その実行結果を送り軸モータ駆動手段から送り軸モータに出力し、送り機構を介して移動体を移動させる数値制御工作機械の制御方法において、
前記移動指令分配制御部から出力される前記送り軸の移動指令値に基づいてトルク指令値または電流指令値を前記サーボ制御部で演算し前記送り軸モータ駆動手段に出力して前記送り軸モータを駆動し、
前記送り軸の移動方向反転を検出し、
前記送り軸の移動方向反転検出時の前記サーボ制御部から出力されるトルク指令値または電流指令値に基づいて負荷トルクを演算して前記送り軸の移動方向反転前の負荷トルクとして設定し、
前記送り軸の移動方向反転前の負荷トルクの符号反転値に予め設定した定数を乗算した値を前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクの目標値として設定し、
前記送り軸の移動方向反転検出時から設定した負荷トルクの目標値に至るまでの前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクを前記送り軸の移動方向反転検出時に小さな時定数、次いで大きな時定数を用いて演算し、
演算した前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクに応じた負荷トルク補正値を加えたトルク指令値または電流指令値を演算し、
負荷トルク補正値を加えたトルク指令値または電流指令値を前記送り軸モータ駆動手段に出力し、
前記送り軸モータと送り機構を介して前記移動体を移動させる数値制御工作機械の制御方法が提供される。
前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクの演算は、前記送り軸の移動方向反転検出時の加速度の平方根に反比例した時定数を用いて負荷トルクを演算するようにしてもよい。
また、前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクの演算は、前記送り軸の移動方向反転検出時の加速度の平方根に反比例した複数の時定数を用いて負荷トルクを演算するようにしてもよい。
前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクの演算は、設定した負荷トルクの目標値に至るまでの割合または前記送り軸の移動方向反転検出時の前記送り軸の位置からの距離で負荷トルクの演算を停止するようにしてもよい。
さらに本願発明によれば、数値制御装置の読取解釈部から取り込んだ数値制御プログラムデータを移動指令分配制御部及びサーボ制御部で実行し、その実行結果を送り軸モータ駆動手段から送り軸モータに出力し、送り機構を介して移動体を移動させる数値制御工作機械において、
前記移動指令分配制御部から出力される前記送り軸の移動指令値に基づいて速度指令値を演算する位置制御手段と、
前記位置制御手段から出力される前記送り軸の速度指令値に基づいてトルク指令値または電流指令値を演算する速度制御手段と、
前記速度制御手段から出力される前記送り軸のトルク指令値または電流指令値に基づいて前記送り軸モータを駆動する電流を出力する送り軸モータ駆動手段と、
前記送り軸の移動方向反転を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記送り軸の移動方向反転検出時の前記速度制御手段から出力されるトルク指令値または電流指令値と、前記送り軸の移動方向反転検出時に小さな時定数、次いで大きな時定数とを用いて前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクを演算し、演算した負荷トルクに応じた負荷トルク補正値を加えたトルク指令値または電流指令値を前記速度制御手段に出力する負荷トルク演算手段と、
を具備して構成する数値制御工作機械が提供される。
本願発明の作用は、数値制御装置のサーボ制御部から送り軸モータ駆動手段に出力される実際のトルク指令値または電流指令値を演算制御手段に取り込み、そのときの送り軸の加速度値も演算制御手段に取り込み、演算制御手段の中で送り機構がもつ摩擦力の変化や、積載されるワークの重量の変化に応じた所望のトルク指令値または電流指令値を予測演算する。この予測演算した所望のトルク指令値または電流指令値を送り軸モータ駆動手段に出力しているので、送り軸は摩擦力やワークの重量の変化に合ったトルクで駆動されることになり、移動指令から遅れを生じたり、送り速度のゆらぎが発生することのない送り動作が達成される。
また本願発明の数値制御工作機械は、移動指令分配制御部から出力される移動指令値から移動方向反転検出、停止からの移動開始検出、二階微分による加速度の演算、速度フィードフォワード制御、及び加速度フィードフォワード制御を行うことができるので、実際に送り軸モータが駆動されるのに先回りして上述の演算制御手段による制御が行われ、送り速度が速くても高精度加工が実現する。
また本願発明は、送り軸モータの温度を予測演算し、予め設定した送り軸モータの許容される所定の温度データと比較し、その比較結果に応じて送り軸の加減速時定数を変更する制御と、上述の送り軸の摩擦力やワークの重量の変化に応じた所望のトルク指令値または電流指令値を送り軸モータ駆動手段に出力する制御とを組み合わせて行うことができる。
上述のような構成及び作用により、本願発明では、機械の移動体を高速で移動させていても高精度な加工が行える数値制御工作機械の制御方法及び数値制御工作機械が得られる。そして複数の送り軸を同時に移動させて輪郭加工や自由曲面加工を行っている時に、ある送り軸の象限が切換わったとしても、またある送り軸のワーク重量が変わったとしても加工精度は良好に保たれる。
送り軸の移動反転時や、停止からの移動開始時における送り機構の動摩擦力や静摩擦力の変化があっても高精度な加工が行える。そして、送り軸の移動体に積載されるワークや取付具が交換された時や、一つのワークが加工されてその重量が時間とともに軽くなる時にも、その重量の変化によるイナーシャの変化に追従して所望のトルク指令値または電流指令値が送り軸モータ駆動手段に出力されて、加工精度は良好に保たれる。更に送り軸モータを頻繁な加減速を伴って連続運転しても送り軸モータがオーバヒートせず、高精度な加工が行える。
本願発明と前述の五つの従来技術とを対比すると、第1の従来技術は、ロストモーションに起因する各種の加速速度をサーボ制御部の速度指令値に加え、その後速度制御部を通して送り軸モータを駆動しているのに対し、本願発明は所望のトルク指令値または電流指令値を予測演算して、その結果を直接送り軸モータ駆動手段に出力しているので、遅れのない送り軸モータ駆動が行える。第2の従来技術に依然として存在する位置フィードバック制御手段及び速度フィードバック制御手段によるサーボ系の遅れの影響は、本願発明では起きない。第3の従来技術は、送り軸の加速度を下げる制御をしているのに対し、本願発明では送り軸の加速度は適正な所定値に維持し、イナーシャ値の変更によって所望のトルク指令値または電流指令値を送り軸モータ駆動手段に出力しているので加工能率の悪化はない。第4の従来技術のトルクオブサーバは、速度指令値に基づき推定した負荷トルクの変化を検出して、負荷イナーシャを推定する構成をとっているのに対して、本願発明の構成は、実際に送り軸モータ駆動手段に出力されるトルク指令値または電流指令値を用いて負荷イナーシャの演算を行っているのでより実際的な負荷イナーシャが求まり、正確なトルク指令値を送り軸モータ駆動手段に出力できる。第5の従来技術は、送り軸モータのオーバヒートを防止する技術であるのに対して、本願発明は更に送り機構の摩擦力やワークの重量の変化に応じた所望のトルク指令値または電流指令値を送り軸モータ駆動手段に出力しているので、高精度な加工が行える。
図1を参照して、本願発明の数値制御工作機械を説明する。図1において、数値制御工作機械10は所謂横形マシニングセンタであり、工場等の床面に設置されるベッド12を具備している。ベッド12の上面には、Z軸ガイドレール28が水平なZ軸方向(図1において左右方向)に延設されており、該Z軸ガイドレール28にはワークWを固定するためのテーブル14が摺動自在に取り付けられている。図1は、テーブル14上にB軸方向に回転送り可能なNCロータリテーブルを固定し、その上にワークWを積載している例を示しているが、NCロータリテーブルを介在させることなくテーブル14上に直接ワークWを積載しても良い。ベッド12の上面には、更に、X軸ガイドレール36がZ軸に対して垂直でかつ水平なX軸方向(図1の紙面に垂直方向)に延設されており、該X軸ガイドレール36にはコラム16が摺動自在に取り付けられている。コラム16においてワークWに対面する前面には、X軸およびZ軸に対して垂直なY軸方向(図1において上下方向)にY軸ガイドレール34が延設されており、該Y軸ガイドレール34には、主軸20を回転自在に支持する主軸頭18が摺動自在に取り付けられている。
ベッド12内においてテーブル14の下側にはZ軸送り軸としてのZ軸送りねじ24がZ軸方向に延設されており、テーブル14の下面にはZ軸送りねじ24に螺合するナット26が固定されている。Z軸送りねじ24の一端にはZ軸送りサーボモータMzが連結されており、該サーボモータMzを駆動しZ軸送りねじ24を回転させることにより、テーブル14はZ軸ガイドレール28に沿って移動する。同様にベッド12内においてコラム16の下側にはX軸送り軸としてのX軸送りねじ(図示せず)がX軸方向に延設されており、コラム16の下面には前記X軸送りねじに螺合するナット(図示せず)が固定されている。前記X軸送りねじの一端にはX軸送りサーボモータMxが連結されており、該サーボモータMxを駆動し前記X軸送りねじを回転させることにより、コラム16は前記X軸ガイドレール36に沿って移動する。更に、コラム16内にはY軸送り軸としてのY軸送りねじ32がY軸方向に延設されており、主軸頭18の背面にはY軸送りねじ32に螺合するナット30が固定されている。Y軸送りねじ32の上端にはY軸送りサーボモータMyが連結されており、該サーボモータMyを駆動しY軸送りねじ32を回転させることにより、主軸頭18はY軸ガイドレール34に沿って移動する。
主軸20の先端には工具22、例えばエンドミルが装着されており、工具22を回転させながら、コラム16、主軸頭18、テーブル14を各々X軸、Y軸、Z軸方向に相対動作させることにより、テーブル14に固定されたワークWを所望形状に切削加工する。NCロータリテーブルが固定されている場合、数値制御工作機械10は、更にB軸を有する4軸の数値制御工作機械と言える。
数値制御工作機械10は、コラム16、主軸頭18、テーブル14のX軸、Y軸、Z軸方向に3軸方向へ移動させるX軸、Y軸、Z軸送りサーボモータMx、My、Mzを制御する数値制御部40を具備している。もちろんNCロータリテーブルが固定されている場合には、B軸送りサーボモータMB(図示せず)を具備している。数値制御部40は、NCプログラム42を読取りこれを解釈するプログラム読取解釈部44、解釈されたプログラムを一時的に記憶する解釈済みプログラム記憶部46、解釈済みプログラム記憶部46からプログラムを適宜引き出して実行プログラムデータを発するプログラム実行指令部48、プログラム実行指令部48からの実行プログラムデータに基づいてX軸、Y軸、Z軸の各々の方向への移動指令値を発する移動指令分配制御部50、移動指令分配制御部50からの移動指令値および後述するフィードバック信号に基づいて送り軸モータ駆動部54へトルク指令値または電流指令値を発するサーボ制御部52を含んでいる。送り軸モータ駆動部54は、サーボ制御部52からのトルク指令値または電流指令値に基づき電流を出力してX軸、Y軸、Z軸の各々の送り軸モータMx、My、Mzを駆動する。更に、本実施形態では、サーボ制御部52から送り軸モータ駆動部54へのトルク指令値または電流指令値を補正する演算制御部56が設けられている。
次に、図2を参照して、サーボ制御部52および演算制御部56の好ましい実施形態を説明する。図2の実施形態では、演算制御部56は、その一態様として所謂バックラッシ加速補正を行う負荷トルク演算部70を具備している。図2において図1の対応する構成要素には同じ参照符号にて指示されている。また、以下の記載ではテーブル14に関するZ軸の送り制御についてのみ説明するが、X軸およびY軸の送り制御についても同様に構成されていることは理解されよう。
サーボ制御部52は、移動指令分配制御部50からの移動指令値と、テーブル14に取着したデジタル直線スケール等の位置検出器SPからの位置フィードバック信号とを比較する減算器58、減算器58からの出力を増幅する位置制御部60、位置制御部60の出力値と送り軸モータMzに設けたパルスコーダPCからの速度フィードバック信号を比較する減算器62、減算器62の出力を増幅する速度制御部64を含んでいる。
一方、移動指令分配制御部50からの移動指令値は、検出部66および加速度演算部68へも刻々と送出されている。検出部66では、移動指令分配制御部50からの移動指令を解析してテーブル14の移動方向の変化を監視しており、テーブル14の移動方向が反転したときに、移動方向反転信号を加速度演算部68および演算制御部56の一態様である負荷トルク演算部70へ送出する。
負荷トルク演算部70は、時定数演算部72、負荷トルク補正量演算部74、負荷トルク検出部76を主要な構成要素として含んでいる。加速度演算部68は移動指令値を二階微分して移動体の加速度値を算出しこれを時定数演算部72に送出する。時定数演算部72は加速度演算部68からの加速度値に基づき時定数を演算する。一方、負荷トルク検出部76は、検出部66からの移動方向反転信号、およびサーボ制御部52の速度制御部64の出力であるトルク指令値または電流指令値を受取り、テーブル14の移動方向の反転直前のトルク指令値または電流指令値を負荷トルク補正量演算部74へ送出する。ここで、速度制御部64から出力されるトルク指令値または電流指令値に基づき送り軸モータ駆動部54から送り軸モータMzに出力される実電流値を受取り、テーブル14の移動方向の反転直前のトルク指令値または電流指令値を負荷トルク補正量演算部74へ送出するようにしてもよい。負荷トルク補正量演算部74は、時定数演算部72における演算結果である時定数、および負荷トルク検出部76からの移動方向の反転直前のトルク指令値または電流指令値に基づいて負荷トルク補正値を演算し、速度制御部64へ送出する。移動方向の反転や加速度値の算出は、移動指令値から求めるのではなく、位置制御部60からの出力信号を取り込んで行っても良いし、移動体に取付けた加速度センサで行っても良い。
ここで図7を参照すると、加速度一定の条件での送り制御の様子が時間に対する送り速度の変化(図7の上側のグラフ)、およびそれに対応する送り軸に印加される負荷トルクの変化(図7の下側のグラフ)が示されている。特に図7において、時間に対する速度の変化は、所定の時間差分ΔTに対する速度差分ΔVの変化を直線で結んで示している。
図7のグラフにおいて、送り速度Vが負から正に変化した瞬間(このとき送り速度は零となっている)がTCにて指示されている。このとき負荷トルクの変化を見ると、負荷トルクは、TC以前の負荷トルクQpから目標負荷トルクQtに変化しており、図7に示す例では、加速度一定の条件の下、従前の負荷トルクQpと目標負荷トルクQtとは絶対値が同一で符号(+−)が逆となっている。
このように、サーボモータの駆動方向の反転は、例えば、数値制御工作機械10が円弧に沿って切削加工を行っている場合で、工具22の移動経路が1つの象限から他の象限に移るときに生じる。このとき、送りねじのバックラッシュや摩擦の影響のために、機械は即座に反転することができず一般に遅れを生じ、負荷トルク値は、従前の負荷トルクQpから目標負荷トルクQtへ破線で示すように緩慢に変化しワークの切削面に突起が形成される。
本願発明者等は数々の実験から、移動体の移動方向が反転する際に加工面に突起や凹みを生じさせない条件として、負荷トルク補正量と移動体の加速度の間には一定の相関関係あり、より詳細には、負荷トルク補正量の時定数を加速度の平方根に反比例する値とすることにより、上述した加工面における欠陥を良好に除去できることを見い出した。
この知見に基づき、本実施形態では以下のように負荷トルク補正値を求めるようにした。先ず、検出部66によりテーブル14の移動方向の変化を監視し、テーブル14の移動方向が反転したときに、検出部66から移動方向反転信号を加速度演算部68および負荷トルク演算部70へ送出する。加速度演算部68は、移動方向反転信号を受けたときの移動体の加速度値を時定数演算部72へ送出する。時定数演算部72は、加速度演算部68からの加速度値に基づき以下の式にて時定数を演算し、負荷トルク補正量演算部74へ送出する。
τ=kα -1/2
ここで、τは時定数、αは加速度であり、kは時定数に合わせるための係数である。
このとき、負荷トルク検出部76は、移動方向反転信号を受けたときの速度制御部64からの出力値を移動方向反転前の負荷トルクとして設定し負荷トルク補正量演算部74へ送出する。負荷トルク補正量演算部74は、負荷トルク検出部76からの移動方向反転前の負荷トルクQpを負荷トルク基準値Qsとして設定する。次いで、負荷トルク補正量演算部74は、前記移動方向反転前の負荷トルクQpの符号を反転し(つまり、+−を入れ替える)、この値に予め設定した定数を乗算した値を移動方向反転後の送り軸の負荷トルク目標値Qtとして設定する。次いで、負荷トルク補正量演算部74は、以下の式にて、速度制御部64が移動指令値とフィードバック信号とから生成する負荷トルクに加える負荷トルク補正値ΔQを求める。
ΔQ=a×Qs×1/τ
=a×Qs×1/kα -1/2
ここで、定数aは実験により求められる定数であり、例えば加速度演算部68から得られる移動体の加速度値に関連づけてデータテーブルとして記憶、格納し、加速度αに応じて適宜に呼出して使用することができる。
このように、移動方向反転時の加速度αの関数として表わされる時定数τにより補正値ΔQを演算し、それに基づいてテーブル14の移動方向反転検出時に設定した負荷トルクの目標値Qtに至るまでの移動方向反転後の負荷トルクQの変化量を演算し、該負荷トルクQに基づいて速度制御部64が移動方向反転後の負荷トルクQに応じた所望のトルク指令値または電流指令値を演算する。これを送り軸モータ駆動部54に出力して送り軸モータMzを回転駆動し、テーブル14を移動させる。
図2の実施形態では、時定数を加速度の平方根に反比例する値として求めたが、この条件は、移動体としてのテーブル14、コラム16、主軸頭18が比較的軽量の場合に良好な結果を得ることができる。然しながら、移動体としてのテーブル14、コラム16、主軸頭18が比較的重量であったり、静摩擦が大きい場合には、時定数を加速度の平方根ではなく、例えば1/3乗や3/5乗として求めた方が良好な結果となることがある。また、設定した負荷トルクの目標値Qtに至るまでの割合や移動方向反転時の送り軸の位置からの距離で負荷トルクの補正量ΔQの演算を停止するようにしてもよい。
更に、静摩擦が大きな場合には、大小2つの時定数τ1、τ2を用いて移動方向が反転したときに小さな時定数τ1を選択し、次いで大きな時定数τ2を選択するようにしてもよい。これにより、図7の下側のグラフにおいて実線で示すように、移動方向反転直後には大きな負荷トルクを軸送りサーボモータMx、My、Mzに印加することができサーボ制御の遅れを低減可能となる。
また、静摩擦が大きい場合には図3に示すように図2の実施形態に、特に静摩擦補正部80を設けてもよい。つまり、送り機構がもつ静摩擦力に応じた所望のトルク指令値、電流指令値または速度指令値を予め設定し、この予め設定した所望のトルク指令値、電流指令値または速度指令値に基づいて送り軸モータ駆動部54へのトルク指令値または電流指令値を決定することができる。なお、図3において図1、2に対応する構成要素は同じ参照符号にて指示されている。
図3の実施形態において、静摩擦補正部80は、検出部66とサーボ制御部52との間に設けられており、所望の速度指令値である速度補正値82、所望のトルク指令値であるトルク補正値84を各々減算器62、速度制御部64の下流の減算器94へ送出する。ここで、静摩擦は、移動体としてのテーブル14、コラム16、主軸頭18が静止した状態から移動を開始するときと、移動体の移動方向が反転したときに問題となるので、図3に示す実施形態では検出部66は移動指令分配制御部50からの移動指令値に基づいて、移動体の移動方向反転信号のみならず移動体が停止状態から移動を開始したときを示す移動開始信号を負荷トルク演算部70および静摩擦補正部80へ送出する。負荷トルク演算部70は概ね図2の実施形態と同様に作用する。
静摩擦補正部80が、検出部66から移動方向反転信号または移動開始信号を受信すると、所定の速度指令値、すなわち時間に対して速度が直線的に増加し、次いで直線的に減少する山形または三角形状に変化する速度指令値を減算器62に送出する。静摩擦補正部80は、これと同時に矩形波から成る所定のトルク指令値を速度制御部64の下流の減算器94に送出して送り軸モータMzの加速制御を行う。
従来技術では、負荷イナーシャ値を一定値として、その時々の加速度値を乗じて算出した値をトルク指令値として送り軸モータ駆動部54に出力されているが、負荷イナーシャは、テーブル14に固定されるワークWの重さや加工の進捗により変化するのでトルク指令値が一定値のままでは加工精度を高めることができなくなる。
そこで、図4に示す実施形態では、負荷イナーシャの変化を演算し、これに基づいて送り軸モータ駆動部54へのトルク指令値または電流指令値を決定する。なお、図4において、図2、3と同様の構成要素は同じ参照符号にて指示されている。
図4の実施形態は、図1の演算制御部56としてイナーシャ演算部96およびイナーシャ記憶部98を具備している。更に、図4の実施形態では、サーボ制御部52は、位置制御部60、速度制御部64に加えて速度フィードフォーワード制御部90、加速度フィードフォーワード制御部92を具備しており、速度フィードフォーワード制御部90および加速度フィードフォーワード制御部92は、移動指令分配制御部50からの位置指令値に基づいて、速度フィードフォーワード値および加速度フィードフォーワード値を生成する。
速度フィードフォーワード制御部90は、移動指令分配制御部50からの移動指令値を一階微分することにより速度値を算出し、これをイナーシャ演算部96へ出力する共に、速度フィードフォーワード値として位置制御部60の下流の減算器62に出力する。加速度フィードフォーワード制御部92は、移動指令分配制御部50からの移動指令値を二階微分することにより加速度値を算出し、これをイナーシャ制御部96へ出力すると共に、算出した加速度値にイナーシャを乗じて加速度フィードフォーワード値を算出し、これを速度制御部64の下流の減算器94に出力する。
減算器62において、該速度フィードフォーワード値と、位置制御部60の出力値と、パルスコーダPCからの速度フィードバック信号の差分が速度制御部64に入力される。速度制御部64は、この差分にゲイン64a、イナーシャ64bを順次に乗じて負荷トルク値を出力する。この負荷トルク値に加速度フィードフォーワード制御部92からの加速度フィードフォーワード値が加算されて、トルク指令値として送り軸モータ駆動部54に出力される。
イナーシャ演算部96は、速度フィードフォーワード制御部90からの速度値、加速度フィードフォーワード制御部92からの加速度値および送り軸モータ駆動部54に入力されるトルク指令値または電流指令値に基づき以下のようにして負荷イナーシャを演算する。
図8を参照すると、静止状態から、移動体を所定の速度V1へ加速度一定の条件で加速した後に、速度V1にて早送りする場合の速度、加速度、トルクの変化が時間の関数にて示されている。以下、図8に示すような状況を想定して、図9A、9Bに示すフローチャートを参照しつつ本実施形態の作用を説明する。
先ず、早送り信号を受けてステップS10において軸送りが早送りであるか否かが、速度フィードフォーワード制御部90からの速度値および加速度フィードフォーワード制御部92からの加速度値により判断される。軸送りが早送りでない場合(ステップS10においてNoの場合)、フローチャートは軸送りが早送りとなるのを待機する。軸送りが早送りの場合(ステップS10においてYesの場合)、ステップS12において、加速度フィードフォーワード制御部92からの加速度値の変化から、軸送りが加速度一定の条件で加速中か否かが判断される。軸送りが加速度一定の場合(ステップS12においてYesの場合)、ステップS14において、送り軸モータ駆動部54へのトルク指令値または電流指令値により、加速中のトルクがサンプリングされる。このサンプリングを所定回数N回行うと上記サンプリングが終了する(ステップS16においてYesの場合)。サンプリングがN回に満たないときは(ステップS16においてNoの場合)ステップS10に戻って再びトルクのサンプリングを行う。
軸送りが加速度一定ではない場合(ステップS12においてNoの場合)、ステップS18において、速度フィードフォーワード制御部90からの速度値の変化から、軸送りが速度一定で行われているか否かが判断される。軸送りが速度一定の場合(ステップS18においてYesの場合)、ステップS20において、送り軸モータ駆動部54へのトルク指令値または電流指令値により、一定速度で軸送りがなされている間のトルクがサンプリングされる。このサンプリングを所定回数M回行うと上記サンプリングが終了する(ステップS22においてYesの場合)。サンプリングの回数がM回に満たないときは(ステップS22においてNoの場合)ステップS10に戻って再びトルクのサンプリングを行う。
上記のようにして加速度一定または速度一定の元でのトルクのサンプリングが終了すると、ステップS24において加速中のトルクの平均値Q1と、一定速度中のトルクの平均値Qrを算出する。次いで、ステップS26およびステップS28において以下の式から一定速度のトルクから加速中の速度に比例した摩擦トルクQfおよび加速トルクQaを算出する。
Qf=Qr×(Vm/Vr)
Qa=Qm−Qf=Qm−Qr×(Vm/Vr)
ここで、Vr:早送り中の一定の軸送り速度、Vm:一定加速度αにおける平均軸送り速度、α:加速中の一定加速度、Qm:加速度α中の平均トルク、Qr:早送り一定速度中の平均トルク、Qa:加速トルクである。
次いで、ステップS30において以下の式により負荷イナーシャJを算出する。
J=Qa/α−JM
ここで、Jは負荷イナーシャ、JMはモータイナーシャである。
次いで、ステップS32において、イナーシャ演算部96は、この負荷イナーシャJに関連した加速度フィードフォーワード値を算出し、イナーシャ記憶部98に送出して記憶されている加速度フィードフォーワード値を書換える(ステップS34)。
こうして算出されたイナーシャ値は速度制御部64に出力されて、トルク指令値または電流指令値を演算する際に最新のイナーシャ値が用いられる。これと同時に加速度フィードフォーワード制御部92にも算出されたイナーシャ値が出力され、加算器94へ出力される加速度フィードフォーワード値を算出する際に最新のイナーシャ値が用いられる。また、送り軸モータ駆動部54へのトルク指令値または電流指令値の変化率をみて、負荷イナーシャJを演算することもできる。
図4の実施形態では、負荷イナーシャJを算出するために、速度フィードフォーワード制御部90および加速度フィードフォーワード制御部92からの速度値および加速度値を用いたが、本発明はこれに限定されず、図5に示すように、例えばテーブル14に取着した歪み計等の重量検出器100を用いて、ワークWの重量の変化を直接測定し、その測定値をイナーシャ演算部98へ出力して、負荷イナーシャJを算出するようにしてもよい。
次に、図6を参照して、本願発明の更に他の実施形態を説明する。図6においても、既述した実施形態の対応する構成要素には同じ参照符号が付されている。
既述したように、サーボ制御部52(図1〜図5)は、NCプログラム42をプログラム読取解釈部44により読み取り解釈し、解釈済みプログラム記憶部46に一時記憶されている解釈済みプログラムをプログラム実行指令部48により引き出し、移動指令分配制御部50が出力する移動指令値に従い数値制御工作機械10(図1)の各送り軸モータMx、My、Mzの駆動を制御する。この駆動が短い周期で加減速を伴って繰り返し行われると、送り軸モータ駆動部54および送り軸モータMx、My、Mzが発熱し、その許容上限温度に達するとサーマルアラームとなり、数値制御工作機械10の動作が非常停止する。
データ記憶部110に、数値制御工作機械10に適合した送り軸の加減速時定数、サーボ制御部52から取り出すトルク指令値または電流指令値と送り軸モータMx、My、Mzの温度との関係、送り軸モータMx、My、Mzに定格電流を連続して供給したときの送り軸モータMx、My、Mzの温度の変化を表した温度曲線および温度曲線の傾きθと送り軸の加減速時定数との関係を予め実験などによって求め、記憶設定させておく。また、各送り軸モータMx、My、Mzや送り軸モータ駆動部54のサイズを表すパラメータ等も記憶設定する。温度演算部112は、サーボ制御部52から取り出したトルク指令値または電流指令値を、データ記憶部110から取り出したトルク指令値または電流指令値と送り軸モータMx、My、Mzの温度との関係に照らして、刻々の送り軸モータMx、My、Mz等の駆動手段の温度を予測演算する。
加減速時定数演算部114は、温度演算部112からの演算結果を受けて、刻々の状態に合った送り軸の加減速時定数をデータ記憶部110に記憶してある温度曲線(図示せず)の傾きと加減速時定数との関係から演算し、出力する。加減速時定数指令部116は、加減速時定数演算部114から出力された刻々の状態に合った送り軸の加減速時定数を数値制御工作機械10の動作の進捗にタイミングを合わせて移動指令分配制御部50へ指令する。なお、制御の初期においては、データ記憶部110から移動指令分配制御部50へ予め設定した送り軸の加減速時定数T0が直接送出される。
次に図10を参照して本実施形態の作用を説明する。まず、データ記憶部110に必要データを設定する(ステップS50)。必要データとは、既述したとおり、数値制御工作機械10に適合した送り軸の加減速時定数、サーボ制御部52から取り出すトルク指令値または電流指令値と送り軸モータMx、My、Mzの温度との関係、送り軸モータMx、My、Mzに定格電流を連続して供給したときの送り軸モータMx、My、Mzの温度の変化を表した温度曲線(図示せず)、温度曲線の傾きと送り軸の加減速時定数との関係および各送り軸モータMx、My、Mzや送り軸モータ駆動部54のサイズを表すパラメータのことである。これらは予め実験等によって求め、数値制御工作機械10の製造の段階で予め記憶、設定しておく。数値制御工作機械10をNCプログラム42で運転させたとき、サーボ制御部52からトルク指令値または電流指令値を逐次温度演算部112に取り込む(ステップS52)。
温度演算部112は、トルク指令値または電流指令値をデータ記憶部110に記憶されているトルク指令値または電流指令値と送り軸モータMx、My、Mz等の駆動手段の温度との関係に照らして、刻々の駆動手段の温度を予測演算して時間経過に対する駆動手段の温度曲線、例えば図11の温度曲線(1)、(2)を作成する(ステップS54)。加減速時定数演算部114は、刻々作成した温度曲線の傾きθ(温度曲線(1)の場合θ1、温度曲線(2)の場合θ2と、ステップS50で設定してある定格電流時の温度曲線の同温度(図11の温度MT1)における傾きθ0とを比較し(ステップS56)、比較した結果を図12に示す温度曲線の傾きθと送り軸の加減速時定数Tとの関係に当てはめる。
θ>θ0のとき(θ=θ1のようにステップS58においてYesの場合)は、図12の関係からT0より大きな加減速時定数を演算し(ステップS60)、加減速時定数指令部116を介して移動指令分配制御部50へ出力する(ステップS62)。θ<θ0のとき(θ=θ2のようにステップS52においてNoの場合)は、ステップS50で設定してある送り軸の加減速時定数T0を加減速時定数指令部116を介してそのまま移動指令分配制御部50へ送出する(ステップS64)。
図12において、送り軸の加減速時定数Tは上限値Tmaxを有しており、この値は加減速を繰り返し連続して行わせても絶対に駆動手段がオーバーヒートしない加減速時定数のことであり、Tmaxに対応する温度曲線の最小の傾きθPが存在する。つまり、θがθPより大きい範囲ではTはTmaxとなる。なお、駆動手段の温度曲線とは、図11のような形式のほか、時間と傾きθとの関係を所定の時間間隔で数表化した形式のものもある。本実施形態には、送り軸の加減速回数から送り軸モータの温度を予測演算したり、または温度検出センサで送り軸モータの温度を検出し、これらの温度と許容温度との比較結果に応じた送り軸の加減速制御を行う方法もある。
本願発明の好ましい実施形態を説明したが、本願発明がこれに限定されず本願発明の精神と範囲内で種々の変更、修正が可能であることは当業者の当然とするところである。
例えば、既述の実施形態では、図2及び3に所謂バックラッシ加速補正制御、図4及び5にイナーシャ補正制御、図6に送り軸モータの加減速制御について個別に説明したが、これらを適宜に組み合わせることにより、更に高能率で高精度な加工が可能となる。
また、本願発明の数値制御工作機械として、図1に示すようにX軸、Y軸、Z軸の直交する3軸を有する横形マシニングセンタを説明したが、本願発明はこれに限定されず、例えばX軸、Y軸、Z軸の3軸に加えてテーブル14を水平な軸線まわりの回転動作であるA軸およびB軸に送り移動可能にした5軸構成の数値制御工作機械であってもよい。更には、X軸、Y軸、Z軸、A軸またはX軸、Y軸、Z軸、B軸の4軸を有した数値制御工作機械、その他6軸以上の数値制御工作機械にも本発明は適用可能である。更に、本発明は、図1に示すような横形マシニングセンタのみならず、立形マシニングセンタやフライス盤その他の数値制御工作機械に適用可能である。また、X、Y、Z軸を有した形彫放電加工機や、X、Y、U、V軸を有したワイヤ放電加工機にも適用可能である。
本願発明の演算制御部56、検出部66、加速度演算部68、負荷トルク演算部70、静摩擦補正部80、イナーシャ演算部96、イナーシャ記憶部98は、数値制御部40とは機能的に独立している構成要素であり、数値制御部40と框体を共にして設けても良いし、別置の機械制御装置等の框体内に設けても良い。
本願発明の数値制御工作機械の概略図である。 本願発明の数値制御工作機械を制御する制御部の第1の実施形態の構成ブロック図である。 本願発明の数値制御工作機械を制御する制御部の第2の実施形態の構成ブロック図である。 本願発明の数値制御工作機械を制御する制御部の第3の実施形態の構成ブロック図である。 本願発明の数値制御工作機械を制御する制御部の第4の実施形態の構成ブロック図である。 本願発明の数値制御工作機械を制御する制御部の第5の実施形態の構成ブロック図である。 送り軸の方向反転を説明するための図であり、上側が時間に対する送り速度の変化を示すグラフであり、下側が時間に対する負荷トルクの変化を示すグラフである。 負荷イナーシャの算出方法を説明するための図であり、上側が時間に対する送り速度の変化を示すグラフであり、中央が時間に対する加速度の変化を示すグラフであり、下側が時間に対する負荷トルクの変化を示すグラフである。 は、負荷イナーシャの算出方法のフローチャートである。 負荷イナーシャの算出方法のフローチャートである。 本願発明第5の実施形態による制御方法を示すフローチャートである。 は、本願発明第5の実施形態において作成する送り軸モータの温度曲線を示したグラフである。 本願発明第5の実施形態における温度曲線の傾きθと加減速時定数τとの関係を示したグラフである。
符号の説明
10 数値制御工作機械
12 ベッド
14 テーブル
16 コラム
18 主軸頭
20 主軸
22 工具
24 Z軸送りねじ
26 ナット
28 Z軸ガイドレール
34 Y軸ガイドレール
36 X軸ガイドレール
40 数値制御部
42 NCプログラム
44 プログラム読取解釈部
46 解釈済みプログラム記憶部
48 プログラム実行指令部
50 移動指令分配制御部
52 サーボ制御部
54 送り軸モータ駆動部
56 演算制御部
x X軸送りサーボモータ
y Y軸送りサーボモータ
z Z軸送りサーボモータ
W ワーク

Claims (2)

  1. 数値制御装置の読取解釈部から取り込んだ数値制御プログラムデータを移動指令分配制御部及びサーボ制御部で実行し、その実行結果を送り軸モータ駆動手段から送り軸モータに出力し、送り機構を介して移動体を移動させる数値制御工作機械の制御方法において、
    前記移動指令分配制御部から出力される前記送り軸の移動指令値に基づいてトルク指令値または電流指令値を前記サーボ制御部で演算し前記送り軸モータ駆動手段に出力して前記送り軸モータを駆動し、
    前記送り軸の2移動方向反転を検出し、
    前記送り軸の移動方向反転検出時の前記サーボ制御部から出力されるトルク指令値または電流指令値に基づいて負荷トルクを演算して前記送り軸の移動方向反転前の負荷トルクとして設定し、
    前記送り軸の移動方向反転前の負荷トルクの符号反転値に予め設定した定数を乗算した値を前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクの目標値として設定し、
    前記送り軸の移動方向反転検出時から設定した負荷トルクの目標値に至るまでの前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクを前記送り軸の移動方向反転検出時に小さな時定数、次いで大きな時定数を用いて演算し、
    演算した前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクに応じた負荷トルク補正値を加えたトルク指令値または電流指令値を演算し、
    負荷トルク補正値を加えたトルク指令値または電流指令値を前記送り軸モータ駆動手段に出力し、
    前記送り軸モータと送り機構を介して前記移動体を移動させることを特徴とした数値制御工作機械の制御方法。
  2. 数値制御装置の読取解釈部から取り込んだ数値制御プログラムデータを移動指令分配制御部及びサーボ制御部で実行し、その実行結果を送り軸モータ駆動手段から送り軸モータに出力し、送り機構を介して移動体を移動させる数値制御工作機械において、
    前記移動指令分配制御部から出力される前記送り軸の移動指令値に基づいて速度指令値を演算する位置制御手段と、
    前記位置制御手段から出力される前記送り軸の速度指令値に基づいてトルク指令値または電流指令値を演算する速度制御手段と、
    前記速度制御手段から出力される前記送り軸のトルク指令値または電流指令値に基づいて前記送り軸モータを駆動する電流を出力する送り軸モータ駆動手段と、
    前記送り軸の移動方向反転を検出する検出手段と、
    前記検出手段による前記送り軸の移動方向反転検出時の前記速度制御手段から出力されるトルク指令値または電流指令値と、前記送り軸の移動方向反転検出時に小さな時定数、次いで大きな時定数とを用いて前記送り軸の移動方向反転後の負荷トルクを演算し、演算した負荷トルクに応じた負荷トルク補正値を加えたトルク指令値または電流指令値を前記速度制御手段に出力する負荷トルク演算手段と、
    を具備して構成することを特徴とした数値制御工作機械。
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