JP4878093B2

JP4878093B2 - 王冠

Info

Publication number: JP4878093B2
Application number: JP2001223766A
Authority: JP
Inventors: 義孝富野; 加奈鳴海; 雅裕川瀬
Original assignee: Asahi Breweries Ltd; Toyo Seikan Kaisha Ltd
Current assignee: Asahi Breweries Ltd; Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date: 2001-07-25
Filing date: 2001-07-25
Publication date: 2012-02-15
Anticipated expiration: 2021-07-25
Also published as: JP2003034344A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス瓶の王冠に関する。さらに詳しくは、表面の滑り性に優れ打栓時の不良発生が少ない王冠に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ビール、清涼飲料等のガラス瓶用王冠は、印刷塗装焼き付けされたぶりき、ティン・フリースチール等の鋼板を打ち抜き、内面にポリエチレンなどの樹脂製の密封材を接着あるいは嵌合付設して製造されている。そして王冠の外面側表面には仕上げニスが施され、王冠外表面に光沢、艶を付与すると共に防傷、防錆作用、さらには製造、打栓時の搬送性、滑り性を付与している。このため仕上げニスには、素地塗料・インキとの密着性、王冠打ち抜きや打栓時の離型性、王冠ホッパーや打栓機での傷付きが少なくダスト発生量の少ないこと、シュート各部での搬送性、滑り性に優れること、内容物に対して無味無臭かつ無害であることなどの性能が要求される。
このような性能を満たすものとして、従来、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂を主成分とするニスに、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどを滑剤として添加したものが使用されていた。また特公昭６０−１７４６３に記載されているように、滑剤としてポリエチレン樹脂粉末を添加した仕上げニスも知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ビール、清涼飲料水等のガラス瓶への充填密封工程は毎分６００本以上の高速で行われるようになっている。それに伴って王冠の打栓際に、“斜め打栓”と呼ばれる打栓不良が発生するという問題が顕在化してきた。斜め打栓は、瓶口に王冠が左右のスカート端部の高さが水平にならずにずれて打栓されるもので、この不良があると瓶口部をいため、その後の流通過程や荷扱いでのガラス瓶の割れにつながるという虞もあった。そこで本発明は、打栓の際に斜め打栓等の不良発生が少なく、滑り性、耐傷付き性、耐錆性、外観に優れた王冠を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末が仕上げニス中に仕上げニス樹脂全重量の６〜９重量％の量で含まれている仕上げニスによって、外表面部が被覆されていることを特徴とする王冠が提供される。
本発明の王冠においては、前記溶融混合体粉末は、ポリ四フッ化エチレン樹脂の融点以上の温度で、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂とを溶融混合することにより得られたものであることが好ましい。
【０００５】
ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末が仕上げニス中に添加されることにより、理由は定かではないが斜め打栓などの打栓不良の発生率が低減する。恐らくこれら樹脂粉末の持つ潤滑特性が発揮されて王冠外面の表面滑性が良くなることが影響しているものと推定される。溶融混合体粉末の含有量が、上記範囲よりも少ないと滑性が劣り打栓不良の発生率低減に効果がない。上記範囲を越えると、ホッパーでの傷つきが発生しダストが発生しやすくなる。
【０００６】
【発明の実施の形態】
本発明の王冠は、ショルダー部、スカート部を含めた外表面、そして場合によっては更にこれに加えてカットエッジ部を含めた外表面が、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を含有する仕上げニスによって被覆されている。また、製造上あるいは使用上の必要に応じて、王冠の内部表面にも同様に被覆することも出来る。
【０００７】
本発明において仕上げニス中に含まれるポリエチレン樹脂とポリ４フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末は、両樹脂をポリ四フッ化エチレン樹脂の融点以上で溶融混合したのち粉砕、噴霧等によって粉末化したもので、平均粒子径５〜２０μｍのもの、より好適には７〜１０μｍの範囲のものが好ましい。平均粒子径が５μｍ未満では、滑性が劣り打栓不良の発生率低減に効果がない。一方、平均粒子径が２０μｍを越えると、ニス中での分散安定性を低下させるばかりでなく、硬化塗膜にピンホールや柚肌等の欠陥が生じやすくなる。また、特に限定されるものではないが、ポリエチレン樹脂は分子量１００〜９０００、融点１００〜１５０℃を有するものが好ましく、ポリ四フッ化エチレン樹脂は分子量１５００００〜２０００００、融点３１０〜３３０℃を有するものが好ましい。溶融混合体中のポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂の割合は、これに限定されることはないが、重量比で３０〜７０：７０〜３０の範囲、好ましくは４０〜６０：６０〜４０の範囲が好ましい。
【０００８】
仕上げニス樹脂中のポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末の含量は、６〜９重量％の範囲である。この範囲よりも溶融混合体粉末の量が少ないと、所定の表面滑性が得られず、また、この範囲よりも多いと、耐傷つき性の低下やホッパーでのダスト増加などホッパリング性が低下し、また乾燥塗膜表面は白濁状に濁り、王冠表面の外観が劣ることとなる。
【０００９】
ベースとなる塗料としては、従来から知られているエポキシ樹脂、エポキシフェノール樹脂、エポキシエステル樹脂、エポキシウレア樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、アルキッド樹脂などを広く用いることが出来る。
【００１０】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例２は参考例とする。
【００１１】
実施例２
仕上げニスとして、ポリエステル樹脂に、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を４重量％添加した仕上げニスを使用した以外は、実施例１と同様にして王冠を作成して打栓を行って、斜め打栓度を測定した。またダスト量についても測定した。結果を表１に示す。
【００１２】
実施例３
仕上げニスとして、エポキシ・アクリル樹脂に、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を８重量％添加した仕上げニスを使用した以外は、実施例１と同様にして王冠を作成して打栓って、斜め打栓度を測定した。またダスト量についても測定した。結果を表１に示す。
【００１３】
比較例１
仕上げニスとして、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を添加していない仕上げニスを使用した以外は、実施例１と同様にして王冠を作成し打栓を行って、斜め打栓度を測定した。またダスト量についても測定した。結果を表１に示す。
【００１４】
比較例２
仕上げニスとして、ポリエステル樹脂に、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を３重量％添加した仕上げニスを使用した以外は、実施例１と同様にして王冠を作成し打栓を行って、斜め打栓度を測定した。またダスト量についても測定した。結果を表１に示す。
【００１５】
比較例３
仕上げニスとして、ポリエステル樹脂に、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を１２重量％添加した仕上げニスを使用した以外は、実施例１と同様にして王冠を作成し打栓を行って、斜め打栓度を測定した。またダスト量についても測定した。結果を表１に示す。
【００１６】
【表１】

【００１７】
この結果からポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を規格内で添加してある仕上げニスで外面が被覆された実施例の１〜３の王冠は、比較例１〜３の樹脂粉末を規格内含有してない王冠に比べ打栓後のスカート端部が水平に近く、揃って打栓されていることが判る。また、ダスト量も少ないことが判る。
【００１８】
【発明の効果】
本発明によれば、王冠の外表面がポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末を含有する仕上げニスによって被覆されていることにより、優れた表面滑性をもち、打栓時の不良発生の少ない王冠が提供され、ガラス瓶への充填密封作業の効率、品質向上を図ることが出来る。

Claims

ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂との溶融混合体粉末が仕上げニス中に仕上げニス樹脂全重量の６〜９重量％の量で含まれている仕上げニスによって、外表面部が被覆されていることを特徴とする王冠。
前記溶融混合体粉末は、ポリ四フッ化エチレン樹脂の融点以上の温度で、ポリエチレン樹脂とポリ四フッ化エチレン樹脂とを溶融混合することにより得られたものである請求項１に記載の王冠。