JP4878044B2 - 鉱石粉の熱間強度増進固化材、それを用いた鉱石粉のペレット及びその製造方法 - Google Patents

鉱石粉の熱間強度増進固化材、それを用いた鉱石粉のペレット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、製鉄所、製鋼工場、及び非鉄精錬所等で発生する鉱石粉のペレタイジングに使用する鉱石粉の熱間強度増進固化材、それを用いた鉱石粉のペレット及びその製造方法に関する。
従来、製鉄所、製鋼工場、及び非鉄精錬所等の工場内で発生するダストなどの鉱石粉の有効利用や、良質な鉱物資源の枯渇を背景として、鉱石粉のペレタイジングが行なわれている。
鉱石粉のペレタイジング法として、ドラム型やパン型のペレタイザーを使用してペレタイジング後に焼成する焼成ペレット法や、省エネルギー化を目的として焼成工程を省略したコールドペレット法が知られている。
これら鉱石粉のペレタイジング法で使用する鉱石粉の固化材としては、普通ポルトランドセメントからなる固化材、生石灰と高炉スラグからなる固化材、フライアッシュと塩化カルシウムからなる固化材が知られている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。
鉱石粉とその熱間強度増進固化材を用いたペレットを高炉へ投入後、600〜1000℃で焼成後の圧縮強度(熱間強度)は、従来の普通ポルトランドセメントを使用した固化材では約3〜5N/mmである。また、屋外で養生した後、高炉へ投入する直前の圧縮強度(冷間強度)は、通常、約3〜10N/mmが必要とされている。
また、カルシウムアルミネートを使用した熱間強度増進固化材として、カルシウムアルミネート、カルシウムアルミネートと微粉末無機質材料からなる固化材、普通ポルトランドセメントとカルシウムアルミネートからなる固化材が知られている(非特許文献4、特許文献1、特許文献2参照)。これら固化材は、ペレットのペレタイジング直後において初期強度の向上を目的としたものであり、本発明が解決しようとする熱間強度の向上に関する課題とは異なる。
天野繁、阿部幸弘、山口一成、松岡裕直、高野正市、相田実生、守田和之、セメントレスコールドペレットの開発、鉄と鋼、第77年(1991)第6号、pp.45〜52 Masanori Nakano,Masaaki Naito,Kenichi Higuchi and Koji Morimoto,Non−spherical Carbon Composite Agglomerates:Lab−scale Manufacture and Quality Assessment,ISIJ International,Vol.44,No.12,pp.2079〜2085(2004) T.C.EISELE and S.K.KAWATRA,A REVIEW OF BINDERS IN IRON ORE PELLETIZATION,Mineral Processing & Extractive Metall.Rev.,Vol.24,pp.1〜90(2003) ARMIN PETZOLD and MANFRED RO(・・)HRS,Concrete for High Temperatures,MACLAREN AND SONS LTD,p.160(1970) 特開平05−171303号公報 特公平05−073707号公報
本発明は、従来の固化材と同等以上のペレットの冷間強度を発現するのみならず、良好なペレットの熱間強度の発現性やスラグの低粘度化を図ることができる、鉱石粉の熱間強度増進固化材、それを用いたペレット及びその製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)ポルトランドセメント30〜78部とカルシウムアルミネート22〜70部とを配合してなり、化学組成がCaO、Al及びSiOの合計中、CaOが49〜65%、Alが17〜41%、及びSiOが10〜18%である鉱石粉の熱間強度増進固化材、
(2)カルシウムアルミネートに結晶性化合物が含まれる(1)の熱間強度増進固化材、
(3)カルシウムアルミネートの結晶性化合物の含有量が70%以上である(1)又は(2)の熱間強度増進固化材、
(4)カルシウムアルミネートの比表面積が2500cm/g以上である(1)〜(3)のいずれかの熱間強度増進固化材、
(5)減水剤を含有してなる(1)〜(4)のいずれかの鉱石粉の熱間強度増進固化材、
(6)減水剤が固形分で固化材100部に対して0.5〜8部である(5)の鉱石粉の熱間強度増進固化材、
(7)減水剤がR1O(A1O)mR2[ただし、A1Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物であり、2種以上のときはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で20〜150である]で示されるアルケニルエーテル、及びZ[O(A2O)nR3]a[ただし、Zは2〜8の水酸基で含有する化合物の残基であり、A2Oは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物で、2種以上のときはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、R3は炭素数2〜5のアルケニル基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で0または1以上の数であり、aは2〜8である]で示されるポリアルケニルエーテルと、無水マレイン酸との共重合体からなる(5)又は(6)の鉱石粉の熱間強度増進固化材、
(8)鉱石粉、(1)〜(7)のうちいずれかの鉱石粉の熱間強度増進固化材、及び水を含有してなることを特徴とするペレット、
(9)固化材が鉱石粉100部に対して、3〜20部である(8)のペレット、(10)水/(鉱石粉+熱間強度増進固化材)比(質量)が0.03〜0.3である(8)又は(9)のペレット、
(11)鉱石粉、(1)〜(7)のうちいずれかの鉱石粉の熱間強度増進固化材、及び水を混合したものをペレタイジングし、養生することを特徴とするペレットの製造方法、
(12)固化材を鉱石粉100部に対して3〜20部混合する(11)のペレットの製造方法、
(13)水/(鉱石粉+固化材)比(質量)が0.03〜0.3である(11)又は(12)のペレットの製造方法、
である。
本発明の鉱石粉の熱間強度増進固化材、それを用いたペレット及びその製造方法によれば、従来の固化材と同等以上のペレットの冷間強度を発現するのみならず、良好なペレットの熱間強度の発現性やスラグの低粘度化を図ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。
本発明は、ポルトランドセメントとカルシウムアルミネートを特定量配合した鉱石粉の熱間強度増進固化材(以下、本固化材という)に関する。
本発明でいう鉱石粉とは、例えば、金鉱、銀鉱、銅鉱、鉛鉱、そう鉛鉱、すず鉱、亜鉛鉱、鉄鉱、硫化鉄鉱、クローム鉄鉱、マンガン鉱、タングステン鉱、モリブデン鉱、ニッケル鉱、及びコバルト鉱などを発生源とするダストを指し、これらのうちの1種又は2種以上が使用可能である。
本発明で使用するポルトランドセメントとは、普通、早強、超早強、中庸熱、及び低熱などの各種ポルトランドセメント、これらのポルトランドセメントに、高炉水砕スラグやフライアッシュなどを混合した混合セメント、廃棄物利用型セメント、いわゆるエコセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が併用可能である。
また、本発明では、冷間強度と熱間強度を良好にするため、カルシウムアルミネートを使用する。
本発明で使用するカルシウムアルミネート(以下、CAという)とは、CaOとAlを主成分とする化合物の総称を指し、その具体的な例としては、CaO・2Al、CaO・Al、5CaO・3Al、12CaO・7Al、3CaO・Al、3CaO・3Al・CaF、3CaO・3Al・CaSO、及び11CaO・7Al・CaX(但し、Xはハロゲン化物イオンを指す)などと表わされる結晶性カルシウムアルミネートや、CaOとAlを主成分とする非晶質性カルシウムアルミネートが挙げられる。
CAを得る方法としては、CaO原料とAl原料などをロータリーキルンや電気炉などを用いて熱処理のうえ得る方法が挙げられる。CAを製造する際のCaO原料としては、例えば、石灰石や貝殻などの炭酸カルシウム、消石灰などの水酸化カルシウム、あるいは、生石灰などの酸化カルシウムを挙げることができる。また、Al原料としては、例えば、ボーキサイト、アルミ残灰、アルミスラッジと呼ばれる産業副産物の他、アルミニウム粉などが挙げられる。
CAを工業的に製造する場合、不純物が含まれることがある。その具体例としては、例えば、SiO、Fe、MgO、TiO、MnO、NaO、KO、LiO、S、P、及びFなどが挙げられる。これらの不純物の存在は本発明の目的を実質的に阻害しない範囲では特に問題とはならない。具体的には、これらの不純物の合計が10%以下の範囲では特に問題とはならない。
CAには不純物として、4CaO・Al・Fe、6CaO・2Al・Fe、6CaO・Al・2Feなどのカルシウムアルミノフェライト、2CaO・FeやCaO・Feなどのカルシウムフェライト、ゲーレナイト2CaO・Al・SiO、アノーサイトCaO・Al・2SiOなどのカルシウムアルミノシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO、モンチセライトCaO・MgO・SiOなどのカルシウムマグネシウムシリケート、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO、ランキナイト3CaO・2SiO、ワラストナイトCaO・SiOなどのカルシウムシリケート、カルシウムチタネートCaO・TiO、遊離石灰、リューサイト(KO、NaO)・Al・SiOなどを含む場合がある。本発明ではこれらの結晶質又は非晶質が混在していても良い。
本発明では、CAに含まれる結晶性化合物の量は、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、80%以上が最も好ましい。結晶性化合物の量が70%未満では十分な熱間強度が得られない場合がある。
結晶性化合物の量の測定方法は、下記に示すX線回折リートベルト法により行なった。粉砕した試料に酸化アルミニウムや酸化マグネシウム等の内部標準物質を所定量添加し、メノウ乳鉢で十分混合したのち、粉末X線回折測定を実施する。測定結果を定量ソフトで解析してガラス含有量を求め、全体の質量とガラス含有量の差分を結晶性化合物の量とする。定量ソフトには、Sietronics社製の「SIROQUANT」などを用いることができる。
これら使用材料を混合する方法は、カルシウムアルミネートクリンカーのみの粉砕方法、もしくはポルトランドセメント、混合セメント、エコセメントから選ばれるいずれか一種又は二種セメントとカルシウムアルミネートクリンカーの同時粉砕・混合方法などが挙げられる。これら混合方法に使用する混合装置は、特に限定されないが、例えば、ローラーミル、ジェットミル、チューブミル、ボールミル、振動ミルなどの粉砕機が挙げられる。
これらの粉砕機により、カルシウムアルミネートクリンカーのみを粉砕して得られるカルシウムアルミネート、もしくはポルトランドセメント、混合セメント、エコセメントから選ばれるいずれか1種又は2種のセメントとカルシウムアルミネートクリンカーを粉砕・混合して得られるCAの粒度は、ブレーン比表面積(以下、ブレーン値という)で2500cm/g以上が好ましく、3000cm/g以上がより好ましい。2500cm/g未満では、水和活性が不十分で強度が不足したり、熱間強度が不足したりする場合がある。
ポルトランドセメント(以下、PCという)とCAの配合割合は、PC30〜78部とCA22〜70部である。さらに、PC35〜75部とCA25〜65部を混合することがより好ましい。
CAの配合割合が22部未満では、十分な冷間強度が得られないので好ましくない。逆に、CAの配合割合が70部を超えると、高炉投入後にスラグの粘度が上昇して操業へ支障を来したり、不経済となったりするため好ましくない。
本発明では、熱間強度をさらに向上するために減水剤をさらに使用することが好ましい。
減水剤の種類としては、アルキルアリルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸系高分子化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の減水剤を使用するものであり、液状、粉状のいずれも使用できる。
なかでも、R1O(A1O)mR2[ただし、A1Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物であり、2種以上のときはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で20〜150である]で示されるアルケニルエーテル、及びZ[O(A2O)nR3]a[ただし、Zは2〜8の水酸基で含有する化合物の残基であり、A2Oは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物で、2種以上のときはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、R3は炭素数2〜5のアルケニル基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で0または1以上の数であり、aは2〜8である]で示されるポリアルケニルエーテルと、無水マレイン酸との共重合体からなる減水剤の使用が好ましい。
減水剤の使用量は、固形分で固化材100部に対して0.5〜8部が好ましく、1〜6部がより好ましい。0.5部未満では効果がなく、8部を超えると熱間強度の向上が認められなかったり、不経済となったりする場合がある。
本固化材の化学組成は、CaO、Al及びSiOの合計中、CaOが49〜65%、Alが17〜41%、及びSiOが10〜18%である。この範囲を外れると、冷間強度や熱間強度が充分に得られなかったり、高炉投入後にスラグの粘度が上昇して操業へ支障を来したりするため好ましくない。
本固化材の使用量は、鉱石粉100部に対して3〜20部が好ましく、5〜15部がより好ましい。この範囲未満では冷間強度と熱間強度の発現性が不良となる場合があり、この範囲より多くなると不経済である。
水/(鉱石粉+本固化材)比は、特に限定されるものではないが、質量比で0.03〜0.3が好ましく、0.05〜0.2がより好ましい。この範囲未満ではペレット製造に瞬結や冷間強度が不良となる場合があり、高炉投入後の還元反応が不良となる場合がある。この範囲を超えると、焼成後に熱収縮によるひび割れが生じて熱間強度が低下する場合がある。
本固化材を用いたペレットの製造には、高炉へ投入後にペレットの還元性を向上するために、コークス粉を加えることが可能である。
また、急結剤、増粘剤、収縮低減剤、及び凝結調整剤などのうちの1種又は2種以上を、本発明の目的を阻害しない範囲で使用することができる。
本固化材を用いたペレットの製造方法は、ペレタイジング工程と養生工程に大別される。ペタイジング方法は特に限定されるものではなく、例えば、ドラム型やパン型のペレタイザーを使用したペレタイジングの他、加圧成形法、湿式加圧成形法、及び押出成形法などが挙げられる。
また、ペレタイジングしたペレットの養生方法は、特に限定されるものではなく、常温常圧養生のほか、オートクレーブ養生、蒸気養生、湿空養生、又は加熱養生などが挙げられる。
以下、実験例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「実験例1」
表1に示すPCとCAを配合してなる固化材を調製した。鉱石粉100部に対して、調製した固化材13部を混合し、鉱石粉と調製した固化材の合計100部に対して、水を15部配合して混練物を調製した。調製した混練物の50gをφ40mmの金型成形ダイスに詰め、島津製作所社製、SSP−10A型、FT−IR用プレス機を用い、成形圧力7.8MPaの荷重をかけて30秒間保持し、保持後、脱型してφ40×16mmのペレットを作製した。
作製したペレットを常温常圧養生で養生し、ペレットの冷間強度と熱間強度を測定した。また、固化材についてスラグ粘度を測定した。結果を表1に併記する。
<使用材料>
PC(A):普通ポルトランドセメント、電気化学工業社製、商品名「デンカ普通ポルトランドセメント」、ブレーン値3150cm/g、比重3.13、CaO 72%、Al6%、SiO 22%
CA(イ):アルミナセメント1号、電気化学工業社製、商品名「デンカアルミナセメント1号」、ブレーン値4750cm/g、比重、3.00、CaO 39%、Al 56%、SiO 5%、結晶性化合物の含有量81%
高炉水砕スラグ:新日鐵高炉セメント社製、商品名「エスメントスーパー60P」、ブレーン値6000cm/g、比重2.91、CaO 49%、Al 16%、SiO 35%
鉱石粉:鉄鉱石粉、ヘマタイト鉱、比重4.95、篩下3mm品
水:水道水
<養生方法>
常温常圧養生:ペレットを作製後、ビニール袋に入れて口を輪ゴムで縛って封緘し、20℃の大気圧環境下で14日間養生した。
<測定方法>
冷間強度:作製したペレットを20℃室温環境下で封かん養生し、材齢14日の圧縮強度を測定した。
熱間強度:作製したペレットを20℃室温環境下で封かん養生し、材齢14日に、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、最高温度900℃で焼成し、最高温度に到達後、炉内温度が20℃になったことを確認した後に炉外へ取り出し、20℃室温環境下で3時間放冷した後に圧縮強度を測定した。
スラグ粘度:固化材の2000℃での粘度を、超高温球引上げ式粘度測定装置(日本サイバネーション社製、BVM−13LHA型)を用いて測定した。
Figure 0004878044
表1の結果から、本固化材は、熱間強度の向上に優れ、スラグ粘度を低減できることが分かる。すなわち、本固化材は、PCとCAを適切に配合することにより、ペレットの冷間強度や熱間強度の発現性に優れ、スラグ粘度が低いことが分かる。
「実験例2」
表2に示すPCとCA(イ)を使用したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
<使用材料>
PC(B):早強ポルトランドセメント、電気化学工業社製、商品名「デンカ早強ポルトランドセメント」、ブレーン値4500cm/g、比重3.12、CaO 72%、Al 5%、SiO 23%
PC(C):中庸熱ポルトランドセメント、電気化学工業社製、商品名「デンカ中庸熱ポルトランドセメント」、ブレーン値3050cm/g、比重3.20、CaO 70%、Al 4%、SiO 26%
PC(D):低熱ポルトランドセメント、太平洋セメント社製、商品名「低熱ポルトランドセメント」、ブレーン値3470cm/g、比重3.21、CaO 69%、Al 3%、SiO 28%
PC(E):エコセメント、太平洋セメント社製、商品名「エコセメント」、ブレーン値4100cm/g、比重3.18、CaO 71%、Al 9%、SiO 20%
PC(F):フライアッシュセメント、電気化学工業社製、商品名「デンカフライアッシュセメント(B種)」、ブレーン値3500cm/g、比重2.96、CaO 71%、Al 5%、SiO 24%
Figure 0004878044
表2の結果から、本固化材は、PCの種類に拘わらず、ペレットの熱間強度の向上と、スラグの低粘度化に優れていることが分かる。
「実験例3」
表3に示すPC(A)とCAを使用したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
<使用材料>
CA(ロ):CA(イ)17部とCA(ブレーン値4750cm/g、比重、3.00、CaO 34%、Al 63%、SiO 3%、結晶性化合物の含有量98%)83部を混合したもの。
CA(ハ):CA(イ)65部とCA(ブレーン値4750cm/g、比重、3.00、CaO 34%、Al 63%、SiO 3%、結晶性化合物の含有量98%)35部を混合したもの。
CA(ニ):CA(イ)99部とCA(ブレーン値4750cm/g、比重、3.00、CaO 48%、Al 47%、SiO 5%、結晶性化合物の含有量0%)1部を混合したもの。
CA(ホ):CA(イ)93部とCA(ブレーン値4750cm/g、比重、3.00、CaO 48%、Al 47%、SiO 5%、結晶性化合物の含有量0%)7部を混合したもの。
CA(ヘ):CA(イ)86部とCA(ブレーン値4750cm/g、比重、3.00、CaO 48%、Al 47%、SiO 5%、結晶性化合物の含有量0%)14部を混合したもの。
CA(ト):CA(イ)85部とCA(ブレーン値4750cm/g、比重、3.00、CaO 48%、Al 47%、SiO 5%、結晶性化合物の含有量0%)15部を混合したもの。
Figure 0004878044
表3の結果から、本固化材は、CAの種類に関わらず、ペレットの熱間強度の向上と、スラグの低粘度化に優れていることがわかる。また、本固化材は、CAに含まれる結晶性化合物の量を調整することで、ペレットの熱間強度が向上することが分かる。
「実験例4」
表4に示すPC(A)と比表面積が異なるCA(イ)を使用したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
Figure 0004878044
表4の結果から、本固化材は、CAの比表面積を調整することで、ペレットの冷間強度や熱間強度の向上と、スラグの低粘度化に優れることが分かる。
「実験例5」
PC(A)50部とCA(イ)50部使用して固化材を調整し、減水剤の添加量(水溶液と固形分換算)を表5に示すように変えたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
<使用材料>
減水剤:市販品(ポリアルケニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体)、60%水溶液
Figure 0004878044
表5の結果から、本固化材は、減水剤を添加すると、添加率に比例してペレットの冷間強度、熱間強度ともに向上することが分かる。すなわち、本固化材は、減水剤を適切に配合することによって、ペレットの冷間強度と熱間強度の発現性に優れていることが分かる。
「実験例6」
PC(A)50部とCA(イ)50部使用して固化材を調製し、鉄鉱石粉100部に対して、表6に示す量を混合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表6に併記する。
Figure 0004878044
表6の結果から、本固化材は、鉱石粉に対する量を調整することで、ペレットの冷間強度や熱間強度の向上が図れることが分かる。
「実験例7」
PC(A)50部とCA(イ)50部使用して固化材を調製し、鉄鉱石粉100部に対して、調製した固化材13部を混合し、鉄鉱石粉と固化材の合計に対する質量比で、表7に示す水を配合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表7に併記する。
Figure 0004878044
表7の結果から、本固化材は、水/(鉱石粉+本固化材)比を調整することで、ペレットの冷間強度や熱間強度の向上が図れることが分かる。
「実験例8」
PC(A)50部とCA(イ)50部使用して固化材を調製し、鉄鉱石粉100部に対して、調製した固化材13部を混合し、鉄鉱石粉と固化材の合計100部に対して、水15部を配合してペレットを作製した。
作製したペレットの養生方法を表8に示すとおり変えたこと以外は、実験例1と同様に行なった。結果を表8に併記する。
<養生方法>
蒸気養生:ペレットを作製後、2時間前置きした後、昇温15℃/分、最高温度70℃で3時間保持の条件で蒸気養生した。翌日、養生槽から取り出し、20℃環境下で13日間養生した。
オートクレーブ養生:ペレットを作製後、気圧窯へ投入し、蒸気圧10気圧、温度170℃の環境下で6時間養生した。養生後、20℃の室温環境下で14日まで養生した。
湿空養生:ペレットを作製後、湿度100%、20℃の室温環境下で14日間養生した。
加熱養生:ペレットを作製後、封かんして20℃室温環境下で1日養生し、その後、40℃の乾燥機中で13日間養生した。
Figure 0004878044
表8の結果から、本固化材は、養生方法に拘わらず、ペレットの冷間強度と熱間強度の発現性に優れていることが分かる。
本発明の鉱石粉の熱間強度増進固化材、それを用いたペレット及びその製造方法によれば、従来の固化材と同等以上のペレットの冷間強度を発現するのみならず、良好なペレットの熱間強度の発現性やスラグの低粘度化を図ることができるので、製鉄所、製鋼工場、及び非鉄精錬所などで発生する集じんダストのペレタイジングに好適に使用できる。

Claims (13)

  1. ポルトランドセメント30〜78質量部とカルシウムアルミネート22〜70質量部とを配合してなり、化学組成がCaO、Al及びSiOの合計中、CaOが49〜65質量%、Alが17〜41質量%、及びSiOが10〜18質量%であることを特徴とする鉱石粉の熱間強度増進固化材。
  2. カルシウムアルミネートに結晶性化合物が含まれる請求項1に記載の熱間強度増進固化材。
  3. カルシウムアルミネートの結晶性化合物の含有量が70質量%以上である請求項1又は2に記載の熱間強度増進固化材。
  4. カルシウムアルミネートの比表面積が2500cm/g以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間強度増進固化材。
  5. 減水剤を含有してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉱石粉の熱間強度増進固化材。
  6. 減水剤が固形分で固化材100質量部に対して0.5〜8質量部である請求項5に記載の鉱石粉の熱間強度増進固化材。
  7. 減水剤がR1O(A1O)mR2[ただし、A1Oは炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物であり、2種以上のときはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、mはオキシアルキレン基の平均付加モル数で20〜150である]で示されるアルケニルエーテル、及びZ[O(A2O)nR3]a[ただし、Zは2〜8の水酸基で含有する化合物の残基であり、A2Oは、炭素数2〜3のオキシアルキレン基の1種又は2種以上の混合物で、2種以上のときはブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよく、R3は炭素数2〜5のアルケニル基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数で0または1以上の数であり、aは2〜8である]で示されるポリアルケニルエーテルと、無水マレイン酸との共重合体からなる請求項5又は6に記載の鉱石粉の熱間強度増進固化材。
  8. 鉱石粉、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の鉱石粉の熱間強度増進固化材、及び水を含有してなることを特徴とするペレット。
  9. 固化材が鉱石粉100質量部に対して3〜20質量部である請求項8に記載のペレット。
  10. 水/(鉱石粉+熱間強度増進固化材)比(質量)が、0.03〜0.3である請求項8又は9に記載のペレット。
  11. 鉱石粉、請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の鉱石粉の熱間強度増進固化材、及び水を混合したものをペレタイジングし、養生することを特徴とするペレットの製造方法。
  12. 固化材を鉱石粉100質量部に対して3〜20質量部混合する請求項11に記載のペレットの製造方法。
  13. 水/(鉱石粉+固化材)比(質量)が0.03〜0.3である請求項11又は12に記載のペレットの製造方法。
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