JP2022135892A - クリンカ粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Tomoya Baba
和揮 小林
Kazuki Kobayashi
佳史 細川
Yoshifumi Hosokawa
幸輝 一坪
Yukiteru Ichinotsubo
真幸 橋本
Masayuki Hashimoto
健一 本間
Kenichi Honma
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Abstract

【課題】セメント水和物含有物(例えば、コンクリートスラッジ、廃コンクリート)を原料として用いて、より低い焼成温度でクリンカを製造することができ、さらに養生過程で二酸化炭素を吸収して炭酸塩を生成して硬化することができるクリンカ粉末、及び、その製造方法を提供する。【解決手段】セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料の焼成物からなるクリンカ粉末であって、水硬率(H.M.)が1.8以下であり、ケイ酸率(S.M.)が1.5~3.3であり、鉄率(I.M.)が1.7~3.5であり、酸化アルミニウム(Al2O3)と酸化鉄(Fe2O3)の合計の含有率が7~18質量%である鉱物組成を有するクリンカ粉末。【選択図】なし

Description

本発明は、クリンカ粉末及びその製造方法に関する。
廃棄物の減容化等の観点から、廃コンクリートを再利用する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、コンクリート廃材を破砕した後、篩分けして得られる微粉を焼結して骨材とすることを特徴とするコンクリート廃材の再利用方法が記載されている。
また、特許文献2には、セメント水和物を含む廃材硬化体を800~1200℃で焼成して得られたものであって、ゲーレナイト(CaO-Al-SiO化合物)を含むことを特徴とするセメント混和材が記載されている。
一方、地球温暖化の抑制のため、二酸化炭素の排出量の低減が重要な課題になっている。
養生過程で多量の二酸化炭素を吸収することができるコンクリート混練物として、例えば、特許文献3には、粉体成分として、γ-CS(記号γ)、製鋼スラグ粉末(記号B)の1種または2種と、ポルトランドセメント(記号C)を含有し、上記γ、B、Cの合計含有量に占めるγ、Bの合計が25~95質量%であり、水セメント比W/Cが80~250%である配合のコンクリート混練物が記載されている。
特開平8-198651号公報 特開2003-277110号公報 特開2011-168436号公報
本発明の目的は、セメント水和物含有物(例えば、コンクリートスラッジ、廃コンクリート)を原料として用いて、より低い焼成温度でクリンカを製造することができ、さらに養生過程で二酸化炭素を吸収して炭酸塩を生成して硬化することができるクリンカ粉末、及び、その製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水硬率(H.M.)が1.8以下であり、ケイ酸率(S.M.)が1.5~3.3であり、鉄率(I.M.)が1.7~3.5であり、酸化アルミニウム(Al)と酸化鉄(Fe)の合計の含有率が7~18質量%である鉱物組成を有し、かつ、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料の焼成物からなるクリンカ粉末によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を提供するものである。
[1] セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料の焼成物からなるクリンカ粉末であって、水硬率(H.M.)が1.8以下であり、ケイ酸率(S.M.)が1.5~3.3であり、鉄率(I.M.)が1.7~3.5であり、酸化アルミニウム(Al)と酸化鉄(Fe)の合計の含有率が7~18質量%である鉱物組成を有することを特徴とするクリンカ粉末。
[2] 全アルカリ量が4.0質量%以下である前記[1]に記載のクリンカ粉末。
[3] フリーライム(f-CaO)の含有率が、8質量%以下である前記[1]又は[2]に記載のクリンカ粉末。
[4] 前記[1]~[3]のいずれかに記載のクリンカ粉末を製造するための方法であって、1種以上のセメント水和物含有物から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、上記セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製する粉末調製工程と、上記焼成用材料を950~1,400℃で焼成して、クリンカを得る焼成工程と、上記クリンカを粉砕して、上記クリンカ粉末を得る粉砕工程、を含むことを特徴とするクリンカ粉末の製造方法。
[5] 前記[1]~[3]のいずれかに記載のクリンカ粉末を製造するための方法であって、2種以上のセメント水和物含有物の各々から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、上記セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製して、2種以上の上記焼成用材料を得る粉末調製工程と、2種以上の上記焼成用材料の各々を950~1,400℃(ただし、2種以上の上記焼成用材料における上記温度は、互いに同じでも異なってもよい。)で焼成して、2種以上のクリンカを得る焼成工程と、上記2種以上のクリンカを粉砕した後、混合して、上記クリンカ粉末を得る、または、上記2種以上のクリンカを混合した後、粉砕して、上記クリンカ粉末を得る、粉砕及び混合工程、を含むことを特徴とするクリンカ粉末の製造方法。
[6] 上記セメント水和物含有物が、コンクリートまたはモルタルであり、上記粉末調製工程において、上記セメント水和物含有物に対して、解砕及び粗砕の少なくともいずれか一方を行い、次いで、骨材の一部を回収することによって、骨材の一部を除去してなる粗砕物を得て、その後、上記粗砕物に対して、上記粉末化の操作を行う前記[4]又は[5]に記載のクリンカ粉末の製造方法。
[7] 前記[1]~[3]のいずれかに記載のクリンカ粉末、及び、石膏を含むことを特徴とする炭酸化養生用セメント。
[8] ポルトランドセメントクリンカ粉末を含み、上記クリンカ粉末と上記ポルトランドセメントクリンカ粉末の合計量100質量部中の上記クリンカ粉末の量が、50質量部以上である前記[7]に記載の炭酸化養生用セメント。
[9] 前記[7]又は[8]に記載の炭酸化養生用セメント、及び、水を含むセメント組成物を、炭酸化養生することによって、炭酸化養生用セメント含有硬化体を得る、炭酸化養生用セメント含有硬化体の製造方法。
本発明によれば、セメント水和物含有物(例えば、コンクリートスラッジ、廃コンクリート)を原料として用いることができ、廃棄物の利用促進を図ることができる。
また、より低い焼成温度でクリンカを製造することができるため、焼成に要するエネルギーコストを低減し、焼成の際に発生する二酸化炭素の量を低減することができる。
さらに、本発明のクリンカ粉末を含むセメント組成物は、養生過程で二酸化炭素を吸収して炭酸塩を生成して硬化するため、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
本発明のクリンカ粉末は、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料の焼成物からなるクリンカ粉末であって、水硬率(H.M.)が1.8以下であり、ケイ酸率(S.M.)が1.5~3.3であり、鉄率(I.M.)が1.7~3.5であり、酸化アルミニウム(Al)と酸化鉄(Fe)の合計の含有率が7~18質量%である鉱物組成を有するものである。
セメント水和物含有粉末とは、粉末状のセメント水和物含有物である。
セメント水和物含有物の例としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート、コンクリートスラッジ(アジテータ車やコンクリート製造設備を洗浄した際に発生するスラッジ)、戻りコンクリート、及び残コンクリート(現場で使いきれずに残存したコンクリート)等が挙げられる。
特に、廃棄物の有効利用を促進する観点から、建築物の解体等で発生する、廃セメントペースト、廃モルタル、及び廃コンクリート等のセメント質硬化体(セメントの水和反応が十分に進行して、セメントクリンカ鉱物の大部分がセメント水和物に変化したセメント水和物含有物)が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セメント水和物含有物が流動性を有する状態である場合(セメントの水和反応が十分に進行しておらず、凝結の段階にあるもの)、セメント水和物含有物に含まれる水分を固液分離によって除去してもよく、セメント水和物含有物を乾燥させてもよい。
セメント水和物含有粉体を含む焼成用材料は、後述する粉末調製工程において、セメント水和物含有物を、粉砕または研削して得ることができる。
また、粉砕または研削を行う前に、解砕または粗砕を行ってもよい。
さらに、コンクリートスラッジや戻りコンクリート等を用いる場合、セメント水和物含有粉末に含まれている骨材を予め分離除去してもよい。
得られるクリンカ粉末の、水硬率、ケイ酸率、鉄率、及び、酸化アルミニウムと酸化鉄の合計の含有率を所望の数値範囲にする目的で、焼成用材料は、セメント水和物含有粉末とは異なる他の材料を含んでいてもよい。
他の材料としては、石灰石、生石灰、消石灰等のカルシウム含有原料(CaO源)や、珪石、粘土等の珪素含有原料(SiO源)や、粘土等のアルミニウム含有原料(Al23源)や、鉄滓、鉄ケーキ等の鉄含有原料(Fe23源)等の、セメントクリンカの製造に用いられる一般的な原料が挙げられる。これらの原料は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、他の材料として、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上を用いてもよい(ただし、上述したセメント水和物含有粉末を除く)。
ここで、産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物(ただし、後述する「建設発生土」を除く。)をいう。産業廃棄物の例としては、各種汚泥(例えば、下水汚泥、浄水汚泥、製鉄汚泥等)、建設廃材、各種焼却灰(例えば、石炭灰、鶏糞灰、家畜糞灰、バイオマス灰、汚泥焼却灰)、鋳物砂、ロックウール、廃ガラス、高炉2次灰、各種副産物、未利用資源(使用されずに残存した材料等)等が挙げられる。
一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物(ただし、後述する「建設発生土」を除く。)をいう。一般廃棄物の例としては、下水汚泥乾粉、都市ごみ焼却灰、貝殻等が挙げられる。
建設発生土の例としては、建設現場や工事現場等で副次的に発生する土壌、土砂(例えば、地盤の掘削により生じるボーリング廃土等)、残土、廃土壌、汚泥(建設汚泥;例えば、地盤改良工事で生じる、セメントミルクと掘削土の混合物)等が挙げられる。
これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
焼成用材料中の、セメント水和物含有粉末の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40~90質量%、特に好ましくは50~80質量%である。
上記割合が30質量%以上であれば、廃棄物の有効利用をより促進し、より低い焼成温度でクリンカを製造することができ、クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントを、養生過程でより多くの二酸化炭素を吸収するものにすることができる。
クリンカ粉末の水硬率(H.M.)は、1.8以下、好ましくは0.2~1.7、より好ましくは0.3~1.5、さらに好ましくは0.4~1.2、特に好ましくは0.5~1.0である。水硬率が1.8を超えると、クリンカの易焼成性が低下して、フリーライム(f・CaO)が残存しやすくなり、クリンカを製造する際の焼成温度をより高くする必要がある。
クリンカ粉末のケイ酸率(S.M.)は、1.5~3.3、好ましくは1.6~3.1、より好ましくは1.7~3.0、さらに好ましくは1.8~2.95、さらに好ましくは2.4~2.9、さらに好ましくは2.5~2.9、さらに好ましくは2.6~2.9、特に好ましくは2.75~2.9である。ケイ酸率が1.5未満であると、クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの流動性が低下する。ケイ酸率が3.3を超えると、クリンカの易焼成性が低下して、未反応シリカ(SiO)が残存しやすくなり、クリンカを製造する際の焼成温度をより高くする必要がある。
クリンカ粉末の鉄率(I.M)は、1.7~3.5、好ましくは1.8~3.4、より好ましくは1.9~3.35、さらに好ましくは2.0~3.3、さらに好ましくは2.1~2.5、さらに好ましくは2.1~2.4、さらに好ましくは2.1~2.35、特に好ましくは2.1~2.3である。鉄率が1.7未満であると、クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの強度発現性が低下する。鉄率が3.5を超えると、クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの流動性が低下する。
なお、水硬率、ケイ酸率、及び鉄率は、それぞれ、下記式を用いて算出することができる。
水硬率=CaO/(SiO+Al+Fe
ケイ酸率=SiO/(Al+Fe
鉄率=Al/Fe
(上記式中の化学式は、クリンカ粉末中の、上記化学式が表す化合物の含有率(質量%)を表す。)
クリンカ粉末100質量%中の、酸化アルミニウム(Al)と酸化鉄(Fe)の合計の含有率は、7~18質量%、好ましくは8~17質量%、より好ましくは9~17.5質量%、特に好ましくは11~17質量%である。上記含有率が7質量%未満であると、クリンカの易焼成性が低下して、フリーライム(f・CaO)が残存しやすくなり、クリンカを製造する際の焼成温度をより大きくする必要がある。上記含有率が18質量%を超えるものは、上記クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの養生過程における二酸化炭素の吸収量が低下する。
クリンカ粉末中の全アルカリ量は、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは0.7~3.0質量%、さらに好ましくは1.0~2.8質量%、特に好ましくは1.4~2.5質量%である。上記量が4.0質量%以下であれば、アルカリ骨材反応をより抑制することができる。
なお、全アルカリ量は、下記式(1)で算出される数値である。
全アルカリ量(RO)=NaO+0.658KO ・・・(1)
(式(1)中、NaOは、クリンカ粉末中の酸化ナトリウムの含有率(質量%)であり、KOは、クリンカ粉末中の酸化カリウムの含有率(質量%)である。)
クリンカ粉末中のフリーライム(f-CaO)の含有率は、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7.5質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
上記含有率が8質量%以下であれば、クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの強度発現性が向上する。
クリンカ粉末は、ウォラストナイト(CaO・SiO)、ランキナイト(3CaO・2SiO)、またはβ-ビーライト(β-2CaO・SiO)を含むものが好ましい。
ウォラストナイト(CaO・SiO)、ランキナイト(3CaO・2SiO)、及び、β-ビーライト(β-2CaO・SiO)はいずれも、炭酸硬化性の鉱物である。クリンカ粉末が上記鉱物を含む場合には、該クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの養生工程において二酸化炭素をより多く吸収することができ、かつ、炭酸化養生用セメント含有硬化体の強度をより高めることができる。
また、Ca/Si比の高いエーライト(3CaO・SiO)の生成量が低く抑えられるため、上記クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの養生過程において、効率的に二酸化炭素を吸収することができる。
1:第一の製造方法
セメント水和物含有粉末を用いてクリンカ粉末を製造するための方法の一例としては、1種以上のセメント水和物含有物から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製する粉末調製工程と、焼成用材料を950~1,400℃で焼成して、クリンカを得る焼成工程と、クリンカを粉砕して、クリンカ粉末を得る粉砕工程、を含む製造方法が挙げられる。
以下、工程ごとに詳しく説明する。
[粉末調製工程]
本工程は、1種以上のセメント水和物含有物から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製する工程である。
セメント水和物含有粉末は、セメント水和物含有物に対して、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作を行うことで得ることができる。
粉砕または研削からなる粉末化の操作は、セメント水和物含有物を粉末化することができるものであれば特に限定されないが、例えば、ボールミルや、ディスクミルを用いた粉砕や、ダイアモンド砥石等を用いた市販の研削機による研削等が挙げられる。
セメント水和物含有物は1種であっても、2種以上であってもよい。2種以上のセメント水和物含有物を用いる場合、2種以上のセメント水和物含有物に対して、同時に上記操作を行えばよい。
セメント水和物含有粉末は、そのまま、焼成工程で用いられる、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料としてもよいが、後述の粉砕工程で得られるクリンカ粉末の、水硬率、ケイ酸率、鉄率、及び、酸化アルミニウムと酸化鉄の合計の含有率を所望の数値範囲にする目的で、上述したセメント水和物含有粉末とは異なる他の材料を含んでいてもよい。
得られるクリンカ粉末の、水硬率、ケイ酸率、鉄率、及び酸化アルミニウムと酸化鉄の合計の含有率が、所望の数値範囲内となるように、セメント水和物含有粉末と、他の材料を適宜混合することで、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製することができる。
本工程において、セメント水和物含有物が、骨材(細骨材、粗骨材)を含む、モルタルやコンクリートである場合、粉末化の操作を容易にする等の観点から、セメント水和物含有物に対して、解砕及び粗砕の少なくともいずれか一方を行い、次いで、骨材の一部を、篩等を用いて回収することによって、骨材の一部を除去してなる粗砕物を得て、その後、粗砕物に対して、上述した粉末化の操作を行ってもよい。
また、2種以上のセメント水和物含有物を用いる場合、2種以上のセメント水和物含有物を同時に粗砕し、次いで、骨材の一部を、篩等を用いて回収してもよく、2種以上のセメント水和物含有物の各々を、粗砕し、次いで、骨材の一部を、篩等を用いて回収してもよい。
また、セメント水和物含有物が、コンクリートスラッジのようなスラリーの場合は、粗砕や篩などの前に乾燥を行ってもよい。
[焼成工程]
本工程は、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を950~1,400℃で焼成して、クリンカを得る工程である。
焼成工程における焼成温度は、クリンカ粉末中の遊離石灰の量をより小さくし、クリンカ粉末を含む炭酸化養生用セメントの強度発現性をより向上させる観点からは、950℃以上、好ましくは975℃以上、より好ましくは1,000℃以上である。また、焼成に要するエネルギーコストを小さくし、また、焼成の際に発生する二酸化炭素の量をより小さくする観点からは、1,400℃以下、好ましくは1,300℃以下、より好ましくは1,250℃以下、さらに好ましくは1,100℃以下、特に好ましくは1,050℃以下である。
[粉砕工程]
本工程は、クリンカを粉砕して、クリンカ粉末を得る工程である。クリンカの粉砕方法としては、特に限定されず、例えば、ボールミル等を用いた、一般的な方法で行えばよい。
2:第二の製造方法
また、本発明のクリンカ粉末を製造するための方法として、2種以上のクリンカの粉末を混合して、クリンカ粉末を製造してもよい。
具体的には、2種以上のセメント水和物含有物の各々から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、上記セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製して、2種以上の上記焼成用材料を得る粉末調製工程と、2種以上の上記焼成用材料の各々を950~1,400℃で焼成して、2種以上のクリンカを得る焼成工程と、2種以上のクリンカを粉砕した後、混合して、クリンカ粉末を得る、または、2種以上のクリンカを混合した後、粉砕して、クリンカ粉末を得る、粉砕及び混合工程、を含む製造方法が挙げられる。
以下、各工程を詳しく説明する。
[粉末調製工程]
本工程は、2種以上のセメント水和物含有物の各々から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、上記セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製して、2種以上の焼成用材料を得る工程である。
「粉砕または研削からなる粉末化の操作」は、上述した第一の製造方法の粉末調製工程における粉砕または研削からなる粉末化の操作と同様である。
セメント水和物含有粉末は、そのまま、焼成工程で用いられる、セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料としてもよいが、後述の粉砕工程で得られるクリンカ粉末の、水硬率、ケイ酸率、鉄率、及び、酸化アルミニウムと酸化鉄の合計の含有率を所望の数値範囲にする目的で、上記焼成用材料は、上述したセメント水和物含有粉末とは異なる他の材料を含んでいてもよい。
焼成用材料が他の材料を含む場合、焼成用材料中のセメント水和物含有粉末の割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40~90質量%、特に好ましくは50~80質量%である。
本工程において、セメント水和物含有物が、骨材(細骨材、粗骨材)を含む、モルタルやコンクリートである場合、粉末化の操作を容易にする等の観点から、セメント水和物含有物を粗砕し、次いで、骨材の一部を、篩等を用いて回収することによって、骨材の一部を除去してなる粗砕物を得て、その後、粗砕物に対して、上述した粉末化の操作を行ってもよい。
[焼成工程]
本工程は、前工程で調製された、2種以上の焼成用材料の各々を950~1,400℃で焼成して、2種以上のクリンカを得る工程である。
焼成温度は、第一の製造方法の焼成工程の焼成温度と同様である。ただし、2種以上の焼成用材料の各々における上記温度は、互いに同じでも異なってもよい。
[粉砕及び混合工程]
本工程は、2種以上のクリンカを粉砕した後、混合して、クリンカ粉末を得る、または、2種以上のクリンカを混合した後、粉砕して、クリンカ粉末を得る工程である。
クリンカの粉砕方法は、上述した第一の製造方法の粉砕工程における粉砕方法と同様である。
本発明の炭酸化養生セメントは、上述したクリンカ粉末、及び、石膏を含むものである。
石膏としては、無水石膏、二水石膏、半水石膏、又はこれらの混合物が挙げられる。
炭酸化養生セメント中の石膏の割合は、SO換算で、好ましくは0.1~5.0質量%、より好ましくは0.5~4.0質量%、特に好ましくは1.0~3.0質量%である。上記割合が0.1質量%以上であれば、炭酸化養生セメントの硬化前の使用可能時間(良好な流動性を保ちうる時間)が増大する。該量が5.0質量%以下であれば、炭酸化養生セメントの強度発現性が向上する。
本発明で用いる水としては、特に限定されず、水道水、スラッジ水等が挙げられる。
水の配合量は特に限定されず、ペースト、モルタル、又はコンクリートにおける一般的な配合量であればよい。例えば、水の配合量は、水と炭酸化養生セメントの質量比(水/炭酸化養生セメント)の値として、好ましくは0.20~0.60、より好ましくは0.23~0.50、特に好ましくは0.23~0.40となる量である。上記比が0.20以上であれば、作業性がより向上する。上記比が0.60以下であれば、炭酸化養生セメントの強度発現性がより向上する。
炭酸化養生セメントは、入手の容易性や、強度発現性の向上等の観点から、ポルトランドセメントクリンカ粉末を含んでいてもよい。
ポルトランドセメントクリンカ粉末としては、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメントクリンカ、早強ポルトランドセメントクリンカ、中庸熱ポルトランドセメントクリンカ、低熱ポルトランドセメントクリンカ等の各種ポルトランドセメントクリンカの粉末を用いることができる。
本発明のクリンカ粉末とポルトランドセメントクリンカ粉末の合計量100質量部中の本発明のクリンカ粉末の量は、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、特に好ましくは70質量部以上である。上記量が50質量部以上であれば、養生過程でより多くの二酸化炭素を吸収することができる。
本発明の炭酸化養生セメントは、必要に応じて他の材料を配合してもよい。必要に応じて配合される他の材料としては、細骨材や、粗骨材や、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、及び高性能AE減水剤等の各種混和剤や、フライアッシュ、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、シリカ質混合材(ただし、シリカフュームを除く)等の各種混和材等が挙げられる。
本発明の炭酸化養生セメントを用いた炭酸化養生用セメント含有硬化体の製造方法は、特に限定されず、一般的な、ペースト、モルタル、又はコンクリートの製造方法であればよいが、二酸化炭素をより吸収する観点から、例えば、炭酸化養生用セメント、及び、水を含むセメント組成物を、炭酸化養生することによって、炭酸化養生用セメント含有硬化体を得る製造方法が好ましい。
上記セメント組成物は、例えば、炭酸化養生工程の前に、上記セメント組成物を構成する各材料を、慣用のミキサを用いて混合した後、型枠等に打設される。
炭酸化養生工程における二酸化炭素ガスの濃度は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは50体積%以上、特に好ましくは60体積%以上である。該濃度が1体積%以上であれば、炭酸化養生工程における二酸化炭素の吸収量をより大きくすることができる。
二酸化炭素ガスの濃度の上限は、特に限定されるものではなく、二酸化炭素ガスの濃度が高いほど、二酸化炭素の吸収量を増加させることができるが、養生設備等にかかるコストを低くする等の観点から、好ましくは90体積%、より好ましくは85体積%、特に好ましくは80体積%である。
また、炭酸化養生工程における温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは5~100℃、より好ましくは10~70℃、さらに好ましくは15~50℃、特に好ましくは20~35℃である。上記温度が5℃以上であれば、炭酸化養生用セメント含有硬化体の生産性がより向上し、炭酸化養生用セメント含有硬化体の強度がより大きくなる。上記温度が100℃を超える場合、炭酸化養生のエネルギーコストが過大となる。
また、炭酸化養生工程における相対湿度は、特に限定されるものではないが、好ましくは20~90%、より好ましくは30~80%、特に好ましくは40~70%である。上記相対湿度が20%以上であれば、炭酸化養生用セメント含有硬化体の生産性がより向上し、炭酸化養生用セメント含有硬化体の強度がより大きくなる。上記相対湿度を、90%を超えるものにすることは困難であり、設備等にかかるコストが過大となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[セメント水和物含有物に由来する粉末A~Dの製造]
表1に示す化学組成を有する普通ポルトランドセメントと、水を、水と普通ポルトランドセメントの質量比(水/普通ポルトランドセメント)が0.3となる配合量で、ミキサ(ホバート社製)に投入し、混練してセメントペーストを調製した。次いで、プラスチック製の容器にセメントペーストを投入し、60℃、相対湿度80%の環境下で、7日間養生することでセメントペーストの硬化体を作製した。該硬化体を、目開き5.0mmの篩を通過する程度の大きさになるまで粗砕した。
次いで、硬化体の粗砕物(表2中、「ペースト硬化体粗砕物」と示す。)と、各種特級試薬(関東化学社製:SiO、Al、Fe、CaCO、MgO、CaSO・2HO、NaCO、KCO)を、表2に示す配合割合で混合して、目開き1.0mmの篩を通過した粉末を、さらに、振動式ディスクミルを用いて、造粒成型が可能となる程度の粒度となるまで微粉砕して、セメント水和物含有物に由来する粉末(表2中、「粉末」と示す。)A~Dを得た。
Figure 2022135892000001
Figure 2022135892000002
[セメント水和物含有物に由来する粉末Eの製造]
普通ポルトランドセメントと、水を、水と普通ポルトランドセメントの質量比(水/普通ポルトランドセメント)が0.5となる配合量で、タンクに投入し、ハンドミキサーを用いて混練してセメントスラリーを調製した。セメントスラリーを5時間混練した後、ろ過し、次いで、60℃でセメントスラリーを4日間乾燥してペースト硬化体(セメント水和物含有物)を得た。得られたペースト硬化体を5.0mmの篩を通過する程度の大きさになるまで粗砕し、表3に示す化学組成を有するセメント水和物含有物に由来する粉体を得た。
得られた粉体を、目開き1.0mmの篩に通過させ、さらに、振動式ディスクミルを用いて、造粒成型が可能となる程度の粒度となるまで微粉砕して、セメント水和物に由来する粉末(表3中、「粉末」と示す。)Eを得た。
Figure 2022135892000003
[粉末Fの製造]
各種特級試薬(関東化学社製:SiO、Al、Fe、CaCO、MgO、CaSO・2HO、NaCO、KCO)を、クリンカ粉末の化学組成が表4の割合となるように混合した後、振動式ディスクミルを用いて、微粉砕して、粉末F(セメント水和物含有物に由来する粉末を含まないもの)を得た。
Figure 2022135892000004
[実施例1]
セメント水和物含有物に由来する粉末Aのみからなるものを、焼成用材料混合物1とした。
焼成用材料混合物1をφ20mmの円柱ペレット状に圧密成型した。次いで、ペレット状の焼成用材料混合物1を白金容器の上に静置し、箱型電気炉内で、20℃/分の昇温速度で1,000℃となるまで昇温した後、1,000℃を30分間維持して焼成した、次いで、白金容器を箱型電気炉から取り出して、室温環境下で常温になるまで急冷した。
焼成物(クリンカ)を、ステンレス乳鉢を用いて、目開き5.0mmの篩を通過する程度の大きさまで粗粉砕し、次いで、振動式ディスクミルを用いて微粉砕して、クリンカ粉末を得た。クリンカ粉末の化学組成、AlとFeの合計の含有率(表5中、「Al+Fe」と示す。)、水硬率、ケイ酸率、鉄率、及び全アルカリ量を表5に示す。
[フリーライムの含有率の測定]
クリンカ粉末中のフリーライム(遊離石灰)の含有率(単位:質量%)を、「セメント協会法標準試験方法 JCAS I-01-1997(遊離酸化カルシウムの定量方法 A法)」に準拠して測定した。
[粉末X線分析]
クリンカ粉末に対して、粉末X線回折装置を用いて、定性分析を行った。
[実施例2]
箱型電気炉内で、20℃/分の昇温速度で1,000℃となるまで昇温した後、1,000℃を30分間維持し、さらに、20℃/分の昇温速度で1,200℃となるまで昇温した後、1,200℃を30分間維持して焼成し、次いで、白金容器を箱型電気炉から取り出して、室温環境下で常温になるまで急冷した以外は、実施例1と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例3]
セメント水和物含有物に由来する粉末Bのみからなるものを、焼成用材料混合物2とした。
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物2を用いる以外は実施例1と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例4]
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物2を用いる以外は実施例2と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例5]
セメント水和物含有物に由来する粉末Aとセメント水和物含有物に由来する粉末Cを、上記粉末Aと上記粉末Cの混合物中、上記粉末Aの割合が50質量%、上記粉末Cの割合が50質量%となる量で混合して、焼成用材料混合物3を調製した。
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物3を用いる以外は実施例1と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例6]
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物3を用いて、かつ、箱型電気炉内で、1,000℃を30分間維持した後に、さらに、20℃/分の昇温速度で1,250℃となるまで昇温した後、1,250℃を30分間維持して焼成した以外は実施例2と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例7]
セメント水和物含有物に由来する粉末Bとセメント水和物含有物に由来する粉末Dを、上記粉末Bと上記粉末Dの混合物中、上記粉末Bの割合が50質量%、上記粉末Dの割合が50質量%となる量で混合して、焼成用材料混合物4を調製した。
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物4を用いる以外は実施例1と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例8]
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物4を用いて、かつ、箱型電気炉内で、1,000℃を30分間維持した後に、さらに、20℃/分の昇温速度で1,250℃となるまで昇温した後、1,250℃を30分間維持して焼成した以外は実施例2と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例9]
セメント水和物含有物に由来する粉末Eのみからなるものを焼成用材料混合物5とした。
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物5を用いる以外は実施例1と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[実施例10]
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物5を用いて、かつ、箱型電気炉内で、1,000℃を30分間維持した後に、さらに、20℃/分の昇温速度で1,300℃となるまで昇温した後、1,300℃を30分間維持して焼成した以外は、実施例2と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[比較例1]
粉末Fのみからなるものを、焼成用材料混合物6とした。
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物6を用いる以外は実施例2と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[比較例2]
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物6を用いて、かつ、箱型電気炉内で、1,000℃を30分間維持した後に、さらに、20℃/分の昇温速度で1,250℃となるまで昇温した後、1,250℃を30分間維持して焼成した以外は実施例2と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
[比較例3]
焼成用材料混合物1の代わりに、焼成用材料混合物6を用いて、かつ、箱型電気炉内で、1,000℃を30分間維持した後に、さらに、20℃/分の昇温速度で1,300℃となるまで昇温した後、1,300℃を30分間維持して焼成した以外は実施例2と同様にして、クリンカ粉末を得た後、フリーライムの測定及び粉末X線回折を行った。
各クリンカ粉末の化学組成等を表5に示す。また、フリーライムの測定結果等を表6に示す。
Figure 2022135892000005
Figure 2022135892000006
表4から、比較例1(焼成温度が1,200℃)のクリンカ粉末の遊離石灰の含有率は9.5質量%であるのに対して、実施例1、3、5、7、9では、焼成温度(1,000℃)が比較例1の焼成温度よりも小さいにもかかわらず、クリンカ粉末の遊離石灰の含有率は0~7.0質量%であることがわかる。特に実施例1、3の上記含有率は0質量%であり、非常に小さいことがわかる。このことから、本発明のクリンカ粉末は、より低い焼成温度であっても、遊離石灰の少ない(強度発現性に優れた)ものであることがわかる。

Claims (9)

  1. セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料の焼成物からなるクリンカ粉末であって、
    水硬率(H.M.)が1.8以下であり、ケイ酸率(S.M.)が1.5~3.3であり、鉄率(I.M.)が1.7~3.5であり、酸化アルミニウム(Al)と酸化鉄(Fe)の合計の含有率が7~18質量%である鉱物組成を有することを特徴とするクリンカ粉末。
  2. 全アルカリ量が4.0質量%以下である請求項1に記載のクリンカ粉末。
  3. フリーライム(f-CaO)の含有率が、8質量%以下である請求項1又は2に記載のクリンカ粉末。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のクリンカ粉末を製造するための方法であって、
    1種以上のセメント水和物含有物から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、上記セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製する粉末調製工程と、
    上記焼成用材料を950~1,400℃で焼成して、クリンカを得る焼成工程と、
    上記クリンカを粉砕して、上記クリンカ粉末を得る粉砕工程、
    を含むことを特徴とするクリンカ粉末の製造方法。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載のクリンカ粉末を製造するための方法であって、
    2種以上のセメント水和物含有物の各々から、粉砕または研削からなる粉末化の操作を少なくとも含む1つ以上の操作によって、セメント水和物含有粉末を得た後、上記セメント水和物含有粉末を含む焼成用材料を調製して、2種以上の上記焼成用材料を得る粉末調製工程と、
    2種以上の上記焼成用材料の各々を950~1,400℃(ただし、2種以上の上記焼成用材料における上記温度は、互いに同じでも異なってもよい。)で焼成して、2種以上のクリンカを得る焼成工程と、
    上記2種以上のクリンカを粉砕した後、混合して、上記クリンカ粉末を得る、または、上記2種以上のクリンカを混合した後、粉砕して、上記クリンカ粉末を得る、粉砕及び混合工程、
    を含むことを特徴とするクリンカ粉末の製造方法。
  6. 上記セメント水和物含有物が、コンクリートまたはモルタルであり、上記粉末調製工程において、上記セメント水和物含有物に対して、解砕及び粗砕の少なくともいずれか一方を行い、次いで、骨材の一部を回収することによって、骨材の一部を除去してなる粗砕物を得て、その後、上記粗砕物に対して、上記粉末化の操作を行う請求項4又は5に記載のクリンカ粉末の製造方法。
  7. 請求項1~3のいずれか1項に記載のクリンカ粉末、及び、石膏を含むことを特徴とする炭酸化養生用セメント。
  8. ポルトランドセメントクリンカ粉末を含み、
    上記クリンカ粉末と上記ポルトランドセメントクリンカ粉末の合計量100質量部中の上記クリンカ粉末の量が、50質量部以上である請求項7に記載の炭酸化養生用セメント。
  9. 請求項7又は8に記載の炭酸化養生用セメント、及び、水を含むセメント組成物を、炭酸化養生することによって、炭酸化養生用セメント含有硬化体を得る、炭酸化養生用セメント含有硬化体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023153259A1 (ja) * 2022-02-10 2023-08-17 デンカ株式会社 セメント、セメント組成物、セメント硬化物、及びセメント硬化物の製造方法

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WO2023153259A1 (ja) * 2022-02-10 2023-08-17 デンカ株式会社 セメント、セメント組成物、セメント硬化物、及びセメント硬化物の製造方法

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