JP4877652B2 - メッシュ織物、その製造方法及びメッシュ織物強化構造物 - Google Patents

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本発明は、各種セメント製品、建物等の構造物の外壁等に使用され、モルタルやコンクリートの補強や亀裂拡大の防止に利用されるメッシュ織物と、その製造方法及びそのメッシュ織物を使用した強化構造物に関する。
各種セメントにより構成される製品や建造物の外壁構造材料等として一般に使用されるモルタルは、施工後に乾燥して収縮すると、その施工表面部に亀裂や割れ、欠け等の構造的な欠陥が生じやすいものである。この発生した亀裂等の構造欠陥を長期に亘って放置したままにすると、セメント製品やモルタルの表面部からその内部、さらに裏面に到るまで亀裂が経時的に拡大していく場合がある。このように拡大した亀裂部には、水、汚泥等の侵入によって漏水が発生するという問題があり、また外力に対する耐久性低下に伴う構造物全体の強度が弱体化するという問題もある。このような問題の発生を防止する目的で、セメント製品や建造物の外壁等に使用されるモルタル中に、ガラス繊維などにより構成される網目状のメッシュ織物を埋設してセメント製品等の強度を補強すると共にクラックの漸次拡大を防止する施工法が従来から行われている。
このような状況でモルタルやコンクリートなどと共に使用されるガラス繊維製などのメッシュ織物の製造を行う際には、まず織機を用いて経糸を一定間隔で配列し、そこへ緯糸を一定間隔で打ち込み、メッシュ状の生織物を得る。次いで、このメッシュ状の生織物に、二次バインダーとして樹脂エマルジョンを塗布してから乾燥固化して目止めすることによってメッシュ織物とすることが行われる。
セメント等に埋設されたメッシュ織物は、織物を構成する材質、それがガラス繊維の場合にはガラス繊維を構成する特定組成の結合成分がセメント中のアルカリ性物質によって浸食されやすい。このため、特許文献1では、ガラス繊維の組成を限定することによって改善することができるとする発明が行われている。また、特許文献2では、コンクリート等の粗骨材がメッシュ織物の網目を通らないことによって、均質なコンクリート構造物が得られないという問題に対し、ガラス繊維の番手とメッシュの目間隔、さらに樹脂の付着率を規定することにより改善できるとする発明が行われている。さらに、特許文献3では、ガラス繊維の番手に加えて、撚り数に関しても限定を加えることによって引張強度を改善することができるとする開示がなされている。また特許文献4では、特許文献1と同じ問題について外観品位の劣化の改善という観点から、2種類の番手のガラス繊維を使用することによって、メッシュ目間隔と樹脂付着率を限定するという内容の開示が行われている。
特開2000−328391号公報 特開2002−88614号公報 特開2002−155450号公報 特開2002−302877号公報
しかしながら、これまでに行われてきた発明だけでは、種々の建造物等の構造物に対応し、より高い性能を発揮できるメッシュ織物を得るためには充分ではない。メッシュ織物は、建造物等の各種構造物に使用することでその構造物の脆弱性を補い、しかも靭性、耐久性などを飛躍的に向上させることができるため、各種の構造物に採用されることが多くなっている。このような用途の拡大に伴って、さらにその性能の向上を求める要望も多くなってきている。
その一つとして、例えば道路下部工、橋脚などのコンクリート構造物や土間コンクリートに用いられるメッシュ織物は、前記したようにコンクリートの骨材が網目を通るように目間隔の大きいメッシュ織物が要求される。しかし、このように目間隔の大きいメッシュ織物は目ズレ、すなわちメッシュ織物を構成する繊維束同士が交差している箇所が所定の位置からずれてしまう現象が発生しやすく、このような目ズレが生じると均等な補強が困難になる。このため目ズレが発生しないように丁寧に取り扱おうとすると、施工工程時等にメッシュ織物を取り扱う際のハンドリング性が悪くなるという問題があった。この目ズレを発生し難くするため、従来はメッシュ織物の樹脂の付着率を高くする試みがなされているが、このようにして製造されたメッシュ織物はコストが高くなるという問題があった。また、メッシュ織物を同じ番手を有する2本の経糸で絡み織りによって製織することも試みられているが、経糸のねじれによる経方向の引張強度の低下や厚みが大きくなり、外観品位も低下するという問題があった。
また、近年では安価なメッシュ織物が要求され、樹脂の付着率の低いメッシュ織物が使用される場合が多くなり、特に樹脂の付着率の低いメッシュ織物ほど、上述したような作業性の悪さが数多く指摘されている。
本発明は、係る状況に鑑み、安価なメッシュ織物であって、樹脂の付着率が低くても目ズレが起きにくく、取り扱う際の作業性、すなわちハンドリング性に優れ、経方向の引張強度が充分に高く、優れた外観品位を有するメッシュ織物と、その製造方法及びメッシュ織物強化構造物を提供することを課題とする。
本発明のメッシュ織物は、複数のストランドよりなる主繊維束が製織されたメッシュ織物であって、各主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてなり、かつ樹脂が含浸されてなることを特徴とする。
ここで複数のストランドよりなる主繊維束が製織されたメッシュ織物であって、各主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてなり、かつ樹脂が含浸されてなるとは、織物を構成する主繊維束となる一方向に配向したストランド、例えば2本以上のストランドが束ねられた状態であり、束ねられたストランドに本以上のストランドの各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束が絡められて構成されたもの、すなわち主繊維束と補助繊維束とを併せて本以上のストランドが同一方向に配向したネット状、すなわち網目状の空位部を有する様に構成されたメッシュ状の織物であって、このメッシュ状の織物には樹脂が含浸された状態になっていることを表している。
主繊維束とは、同一方向に配向し、かつ同じ本数、同じ材質構成の繊維束を表すものであって、本発明のメッシュ織物の主要構成要素となる繊維束である。最も単純な平織りについて例示するならば、主繊維束となるのは、経糸か緯糸のいずれか、あるいは経糸と緯糸の両方が主繊維束となるものである。
また補助繊維束については、主繊維束の表面の周囲又は主繊維束を構成するストランドに絡ませるように織物の組織を構成したものであればよい。
本発明に係る主繊維束に関連して、主繊維束となるストランドについての配向方向以外の方向に配向した繊維束、すなわち主軸方向に配向した繊維束以外の繊維束を構成するストランドについては、どのような構成であってもよい。すなわち主軸方向以外の繊維束は、主軸に対して90度の方向に配向した場合、すなわち主軸方向が経(たて)糸(warpあるいはend)で、それに対して90度の方向に配向した繊維束が緯(よこ)糸(fill yarnあるいはweft yarn)となるものであってもよく、また主軸方向が緯糸で、それに対して90度の方向に配向した繊維束が経糸でもよい。さらに主軸方向以外の繊維束の方向が主軸から60度、あるいは120度となる2つの繊維束であり、主軸と併せて三軸よりなる構造であってもよい。そして必要ならば、さらに多軸となる構成のメッシュ織物であってもよい。すなわち二軸以上の三軸あるいは四軸さらに多軸のようなものでもかまわない。同様に、繊維束により構成される格子の形状は、四角や三角あるいはそれ以上の多角形でもかまわない。三軸以上のネットの場合、繊維の重なりが3重や4重になる交点が発生するが、その交点をずらすような織り方にするならば、ネットが厚くなりすぎないため好ましい。
ただし費用などの点から、本発明について繊維束の構成が最も容易なものとしては、主軸方向が経糸で、それに対して90度の方向に配向した繊維束が緯糸となるものである。そこでこのような本発明の典型的な構成に関して、繊維束の詳細についてさらに以下に例示する。主軸に相当する主繊維束で最も単純な構成例は2本のストランドで構成された場合である。この2本のストランドは、撚りが施されていないものが基本であるが、必要に応じて撚りを施してもよい。
すなわち、典型的な構成であれば、本発明のメッシュ織物は、複数のストランドを束ねた主繊維束を経糸あるいは緯糸として平織り状態に織られた網の目状の織物であって、織物中に樹脂成分が染み込んだ状態で、さらに複数のストランドを1本に束ねられた状態の主繊維束となるように絡ませるように配した補助繊維束よりなるメッシュ織物である。この場合の平織りとは、畝織り(うねおり)あるいは畦織り(あぜおり)、リブウイーブ、リブファブリックという呼称であらわされる織り構造となるよう、かつ網目状の空位部が織物に存在するように織るものであって、単純な平織りではなく、平織りの変化組織となるようにメッシュ織物を構成するものでもよい。
また本発明のメッシュ織物は、その網目の空隙が所望の性能を実現できる程度に開いた構成、すなわち相応の空隙部を有する構成であることが大切であり、同じ方向に配向し、かつ隣り合った繊維束の間隔は、少なくとも繊維束の太さ以上は開いていることが必要である。よって主繊維束間の間隔については、上記のように主繊維束の太さ以上は開いている。ここで主繊維束間の間隔とは、ある特定の主繊維束表面から隣り合った主繊維束表面までの最短寸法を意味するものである。また補助繊維束は主繊維束に絡んでいるものであって、主繊維束と補助繊維束との間隔を制限するものではなく、また補助繊維束と隣り合った補助繊維束との間隔を限定するものでもない。
主繊維束のストランドについては、所望の性能を満足するように構成されたものであれば、2本以上の何本であってもよい。また主繊維束のストランドの材質はどのようなものでも、コンクリートやモルタル等と併用することができる化学的な耐久性や物理的な強度を有するものであればよい。すなわち、例えばストランドの種類は特に限定されないが、ガラス繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、カーボン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維等が適している。
また主繊維束のストランドの材質はそれぞれ異なる材質であっても、同じ材質であってもよく、その繊維径についても異なる繊維径でも同じ繊維径でもよく、限定するものではない。
また本発明のメッシュ織物は、織物に含浸する樹脂の種類については特に限定するものではなく、目止め等所定の機能を実現できるものであればよい。例えば、樹脂の粘性や繊維との馴染みやすさ、使用の容易さといった観点から好適なものを選択するならばウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、SBR樹脂、NBR樹脂、そしてMBR樹脂がある。このような樹脂は、単独あるいは複数種を適量比で混合して使用することができる。また、上記以外の成分を添加することも差し支えない。さらに、樹脂の性能を改質する各種の微量添加剤を適量添加することも可能である。また、繊維表面の被覆法についても、浸漬法、スプレー法等種々の方法を採用することが可能である。
本発明に係る樹脂の繊維に対する付着率は特に限定されないが、より安定した品位を実現するにはメッシュ織物に対して質量百分率表示で3%から25%が好ましい。すなわち、樹脂の付着率が3質量%より小さいと目止めの効果が小さくなり、目ズレの危険性が高くなる。また、樹脂の付着率が25質量%を超えると、メッシュ織物の費用が高価となるとともにメッシュ織物の開口部、すなわち目の開いた箇所に樹脂の膜が形成されやすくなり、その結果モルタルやコンクリートとのなじみ易さが損なわれるため好ましくない。このような観点から、本発明に係る樹脂の繊維に対する付着率は、質量百分率表示で5%から20%の範囲であることがさらに好ましい。樹脂の付着率に関しては、公知の方法により計測、分析することができる。
また本発明に係る複数のストランドよりなる主繊維束に絡ませた補助繊維束については、その材質としてガラス繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリウレタン繊維、カーボン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、綿糸、麻、羊毛、絹等を適用することができる。
以上のストランドを採用する場合には、それぞれのストランド材質は同じものであっても異なるものとしてもよい。
さらに本発明に係る補助繊維束について、主繊維束への絡ませ方については、どのようなものであってもよいが、例えば主繊維束を軸としてその周囲に螺旋状に補助繊維束を絡ませていくことができる。このような絡ませ方を採用する場合には、例えば主繊維束の単位長さあたりについて、その補助繊維束の旋回数が多いほど、強固な構成とすることができるので好ましい。また補助繊維束として、2本以上の補助繊維束を使用して螺旋状に絡ませる場合には、絡ませる旋回方向を逆向きにすることで、より強固な構成とすることができるので好ましい。
また本発明に係る補助繊維束の主繊維束への絡ませ方に関しては、各主繊維束の各ストランドに1本の補助繊維束を絡ませ、主繊維束のストランドと同じ本数の補助繊維束を絡ませる。例えば、2本のストランドよりなる主繊維束の場合には、各々のストランドに補助繊維束を絡ませ、合計2本の補助繊維束からなり、3本のストランドよりなる主繊維束の場合には、各々のストランドに補助繊維束を絡ませ、合計3本の補助繊維束からなる。各主繊維束の各ストランドに1本の補助繊維束を絡ませ、主繊維束のストランドと同じ本数の補助繊維束を絡ませると、樹脂が含浸された後の主繊維束の幅が大きく、メッシュ織物の表面積が大きくなり、モルタルやコンクリートとの付着性能が向上し、補強効果やひび割れ抑制効果が向上するためである。
また本発明に係る主繊維束に絡ませた補助繊維束について、その繊維径に関しては特に限定されるものではない。また補助繊維束として2本以上のストランドを採用する場合に、それぞれのストランドの繊維径としては同じものでも、意図的に変更したものでもよい。
また本発明に係る主繊維束に絡ませた補助繊維束は、その表面に予め樹脂等の被覆剤を塗布、あるいは含浸したものとすることができ、その際に使用する樹脂や含浸剤については、必要に応じて複数種の薬剤を混合したものであっても単独成分のものであってもよい。被覆剤の塗布、あるいは含浸方法については、適宜適切な方法で行ってよい。
本発明のメッシュ織物の目間隔は上述の限定、すなわち主繊維束間の間隔が主繊維束の太さ以上であれば特に限定されず、その目間隔が小さいほどモルタルやコンクリートのクラックを防止しやすくなるが、目間隔を極端に小さくしようとするとメッシュ織物の生産性が低下する、あるいはモルタルやコンクリートとメッシュ織物のなじみが悪くメッシュ織物とコンクリート間における剥離を生じやすくなるため、メッシュ織物の目間隔は5mm以上が好ましい。特に、粗骨材を含むコンクリートの場合には、その目間隔が10mm以上、好ましくは20mm〜50mmが適当である。すなわち、目間隔が10mm以上であると、粗骨材がメッシュ織物の目を通りやすくメッシュ織物の界面でコンクリートが剥離することがないからである。
また本発明のメッシュ織物は、上述に加え補助繊維束が、0.03N/tex以上の引張強度を有するものであれば、目ズレが起きにくくハンドリング性に優れるので好ましく、製織中に補助繊維束が切れることなく生産性に優れるため好ましい。
ここで、補助繊維束が、0.03N/tex以上の引張強度を有するとは、補助繊維束の引張強度をJIS R3420(1999)に規定された測定手順を参考とし、長さ350mmの試験片について、スパン250mm、引張速度300mm/分で計測すると、その値が0.03N/tex以上の引張強度を示すものとなることを意味している。
また本発明では、使用されるストランドの番手については特に限定されないが、メッシュ織物を構成した後、メッシュ織物の引張強度の計測値が200N/25mm以上になるような繊維の番手を選定すれば、クラックを防止する効果や補強効果が高くなるため好ましい。
また本発明のメッシュ織物は、上述に加え主繊維束のストランドがガラス繊維であれば、コンクリート骨材等との接触によって織物の表面が容易に劣化し難く、所望の強度を有するものとできる。
ここでメッシュ織物は、主繊維束のストランドがガラス繊維であるとは、その組成が無機珪酸塩ガラスであることを意味している。例えば材質として無アルカリのEガラス組成、低誘電率を実現するDガラス組成、耐酸性を実現するCガラス組成、高弾性率を実現するMガラス組成、高強度、高弾性率を実現するSガラス組成、またSガラスと同様の機能を有するTガラス組成、さらに高誘電率を有するHガラス組成といったガラス材質を採用することができ、さらに他の材質であってもよい。
ただ本発明のメッシュ織物がより優れた性能を発揮できるものとするには、ガラス繊維の組成が耐アルカリ性のガラス繊維となるような組成とすることが好ましい。例えばそのような組成として、ZrO2含有率が質量百分率表示で14質量%以上の耐アルカリ性ガラス繊維よりなるものとするなら、これをセメントモルタルに混入してもセメント中のアルカリ性物質によるガラス繊維の引張強度の低下が防止でき長期間に亘ってセメントモルタルやコンクリートのクラック防止効果を維持することができるため好ましい。
本発明で好適な耐アルカリ性ガラス繊維の組成を例示すれば、質量百分率表示でSiO2 54〜65%、ZrO2 14〜25%、Li2O 0〜5%、Na2O 10〜17%、K2O 0〜8%、RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す) 0〜10%、TiO2 0〜7%、Al23 0〜2%であり、より好ましくは、質量%で、SiO2 57〜64%、ZrO2 18〜24%、Li2O 0.5〜3%、Na2O 11〜15%、K2O 1〜5%、RO(但し、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znを表す)0.2〜8%、TiO2 0.5〜5%、Al23 0〜1%である。
ただ必要に応じて、上記の耐アルカリガラス繊維以外の組成のガラス材質であっても使用することができる。
また本発明で使用される耐アルカリ性ガラス繊維の形態としては、ヤーン、ロービング、DWR(ダイレクトワインディングロービング)等がある。
また本発明のメッシュ織物は、上述に加え主繊維束のストランドのガラス繊維がブッシングにより成形されたものであれば、同質のガラス繊維を大量、かつ高速に製造することができるので、多くの用途に性能の揃った安定したメッシュ織物を供給することができる。
ここで主繊維束のストランドのガラス繊維がブッシングにより成形されたものであるとは、高温に加熱されて溶融状態のガラス融液を数百から数千の白金よりなるノズルから引き出して急速に冷却することで成形されたガラス繊維であることを表している。
本発明に係るストランドを形成するために使用されるブッシングについては、高温状態で連続的な成形操作が行えるものであれば、その形状については限定されない。
また本発明のメッシュ織物は、上述に加えセメント、コンクリート又はモルタルと共に人工構造物の壁面あるいは、床面を構成する際に使用されるものであれば、セメント、コンクリート又はモルタルの弱点を補強し、高い耐久性を有する構造物を補強、あるいは新たに構築することができるものである。
ここで、セメント、コンクリート又はモルタルと共に人工構造物の壁面あるいは、床面を構成する際に使用されるとは、メッシュ織物をセメント、コンクリート又はモルタルと共に、建造物、トンネル、水路、地下構造物、河川防波堤、などの人工構造物の天井や側壁、柱、梁等の壁面か、あるいは床面、さらにその両方に伏せ込むことによってセメント、コンクリート又はモルタルを複合化することを意味している。
本発明に係るメッシュ織物によって構成された人工構造物の表面には、さらに上塗りや塗布等の施工を行ってもよく、その場合には、鏝塗りや吹き付けなど、セメント系材料であるセメントモルタルを上塗り塗布できる方法や他の方法を併用することも可能である。また、例えばセメントモルタルを上塗りする場合であれば、その前にセメント系構造物の表面にプライマーを塗布すると、セメント系構造物と上塗りしたセメントモルタルとの接着が強固になりやすいため好ましい。プライマーとしては、アクリルエマルジョン、エポキシエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、SBRエマルジョン、エチレン−酢酸ビニルエマルジョン等の水性樹脂エマルジョンが使用可能である。
本発明のメッシュ織物の製造方法は、複数のストランドよりなる主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてメッシュ生地を構成する工程と、樹脂を含浸させることで該メッシュ生地表面を被覆する工程とを有することを特徴とする。
ここで、複数のストランドよりなる主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてメッシュ生地を構成する工程と、樹脂を含浸させることで該メッシュ生地表面を被覆する工程とを有するとは、繊維を織り込んでメッシュ生地を構成する際に、例えば、まず2本以上のストランドからなる経糸とそれと直行する方向の緯糸を使用して平織りして、2本以上のストランドに引張強度0.03N/tex以上を有する主繊維束に対して補助的な繊維束を絡ませてメッシュ織物の生地を構成し、次いでこのメッシュ織物の生地に所望の樹脂を含浸することで、メッシュ織物を製造することを表している。
複数のストランドよりなる主繊維束に補助繊維束を絡ませてメッシュ生地を構成する工程に関しては、公知の織機を適宜使用することができる。またこの工程が各主繊維束の各ストランドに補助繊維束を絡ませる工程であるとメッシュ織物の表面積が大きくなるので好ましい。また樹脂の含浸についても、アプリケータ等のローラーを使用する塗布やスプレー塗布等、公知の方法を適宜使用することができる。
本発明のメッシュ織物強化構造物は、上記のメッシュ織物を埋設施工するか、あるいは該メッシュ織物を表面施工することで構成されたことを特徴とする。
ここで、上記のメッシュ織物を埋設施工するか、あるいは該メッシュ織物を表面施工することで構成されたとは、メッシュ織物をコンクリートやモルタルなどの施工面に伏せ込むか、その表面に施工することで構造物が強化されたものとなることを意味している。
本発明のメッシュ織物強化構造物に係るモルタルやコンクリートは、セメントをベースにするものであり、建築土木用材料として一般的に用いられるセメント、細骨材、粗骨材、軽量骨材、水、水性ポリマーディスパージョンを含有するセメントモルタルやポリマーセメントモルタル、コンクリートが使用可能である。さらに必要に応じて減水剤、AE剤、流動化剤、増粘剤、防水剤、防錆剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、着色剤、急結剤、膨張剤、収縮低減剤および補強繊維などを添加してもよい。
本発明のメッシュ織物強化構造物は、他の強化方法や強化組織を併用したものでもよく、それによってより強度の高い構造物とすることができる。
(1)以上のように、本発明のメッシュ織物は複数のストランドよりなる主繊維束が製
織されたメッシュ織物であって、各主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてなり、かつ樹脂が含浸されてなるものであるので、経糸が絡み織りのようにねじれを生じていないため、経糸の引張強度の低下が生じず、また目ズレも発生し難いものとなる。更にモルタルやコンクリート等と複合材料を構成した際に高い強度特性を発現することが可能となるものである。
(3)また本発明のメッシュ織物は、補助繊維束が、0.03N/tex以上の引張強度を有するものであれば、メッシュ織物に必要とされる引張強度と目ズレ防止の両方の性能について、最適なものが得られるようにメッシュ織物の用途によって繊維の番手、目間隔、樹脂付着率等を調整して選択することが可能である。
(4)さらに本発明のメッシュ織物は、主繊維束のストランドがガラス繊維であるならば、化学的な耐久性についてもガラス繊維の材質を微調整することで対応することができるので好ましい。
(5)また本発明のメッシュ織物は、主繊維束のストランドのガラス繊維がブッシングにより成形されたものであるならば、成形持に高い寸法精度を有するようにガラス繊維の成形条件を適宜調整することができるので、品位の均質なメッシュ織物を得ることができる。
(6)さらに本発明のメッシュ織物は、セメント、コンクリート又はモルタルと共に人工構造物の壁面あるいは、床面を構成する際に使用されるものであれば、長期に亘り施工表面に欠けや亀裂が生じにくい構造物を構成することができる。
(7)本発明のメッシュ織物の製造方法は、複数のストランドよりなる主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてメッシュ生地を構成する工程と、樹脂を含浸させることで該メッシュ生地表面を被覆する工程とを有するものであるため、メッシュ織物の組織によって樹脂の含有率を適宜調整することができ、使用部位や使用目的に応じた最適な上記本発明のメッシュ織物を製造することができる。
(9)本発明のメッシュ織物強化構造物は、上記本発明のメッシュ織物を埋設施工するか、あるいは該メッシュ織物を表面施工することで構成されたものであるため、長期に亘り安定した品位の構造物を作業時に大きな手間をかけることもなく効率よく構成することができる。
以下に本発明のメッシュ織物について、実施例に基づいて説明する。
本発明のメッシュ織物については、次のような手順で製造し、その性能の評価を行った。まず、予め調整したガラス原料を加熱し、均質化した溶融ガラスを白金製のブッシングを使用してガラスストランドを成形し、質量百分率表示でSiO2 61.0%、ZrO2 19.5%、Li2O 1.5%、Na2O 12.3%、K2O 2.6%、CaO 0.5%、TiO2 2.6%となる耐アルカリ性ガラス繊維を作製した。
この耐アルカリ性ガラス繊維の表面に澱粉、潤滑剤、柔軟剤を含む集束剤を塗布し、表1に示す番手(tex)となるようにメッシュ織物を製織する経糸と緯糸用のヤーンを作製した。また、耐アルカリ性ガラス繊維の表面にポリエステル樹脂を主成分とする集束剤を塗布し、表1に示す番手となるようにメッシュ織物の経糸と緯糸用のDWRを作製した。ついでそれぞれのストランドにより、本発明の最も単純な構成例、すなわち2本のストランドを束ねた主繊維束を経糸とし、そして1本の繊維を緯糸として使用し、所定の目間隔でメッシュを構成するように織機を使用して平織りを行い、そこに1本または2本の引張強度0.1N/texの綿糸を補助繊維束として経糸に絡ませた状態の組織としたメッシュ生地を作製した。さらに得られたメッシュ生地を浸漬法によってアクリル樹脂を塗布し、乾燥固化することによってメッシュ織物を作製した。なお、樹脂の付着率については、集束剤との合量の付着率が所定範囲となるように、予め塗布量の調整を行った。
以上の工程によって製造されたメッシュ織物の性能については、次のような評価を実施した。まずメッシュ織物の目ズレに関しては、メッシュ織物の取り扱いに手慣れた作業者を選別し、その者がメッシュ織物面内の方向について、左右に手でメッシュ織物を軽く引っ張った後、メッシュ織物の目がずれているかどうか、目視によって評価し、目ズレの認められたものを「悪」、認められないものを「良」と評価した。
またメッシュ織物の引張強度については、JIS L1096の方法を参考として、各メッシュ織物から幅25mm、長さ200mmの試験片をたて方向、及びよこ方向それぞれ5枚ずつ採取して、島津製作所製オートグラフを使用してスパン100mm、引張速度50mm/分の測定条件で測定を行い、メッシュ織物の引張強度を計測し、平均値を算出して各試料の引張強度とした。
またメッシュ織物の曲げ強度については、メッシュ織物を使用して作製した試験体の型枠面(メッシュ埋設面)を下にし、支点間距離300mm、載荷速度1mm/分の条件で、3等分点載荷により曲げ試験をして測定した。尚、曲げ強度に使用した試験体は、呼び強度24、スランプ8cmのコンクリートを100×100×400mmの型枠に10mmの厚みになるように流し込んだ後、その上に主繊維束が長手方向になるように400×100mmの大きさに切断したメッシュ織物を置き、さらに厚さが100mmになるようにコンクリートを流し込み、その後20℃、60%RHの条件下で28日間養生することによって作製した。
本発明の実施例、比較例に相当するメッシュ織物の形態と番手、目間隔、樹脂付着率及び評価の結果について、表1にまとめて示す。

試料No.1については、主繊維束の経糸11の第一ストランド11aを155texのヤーンとし、第二ストランド11bも155texのヤーンとして引張強度0.1N/texの綿糸13を補助繊維束として1本だけ絡ませ、そこに緯糸12として310texのヤーンを目間隔7mmで平織りすることによってメッシュ織物10の生地を作製したものであり、図1に示したような組織形態となっている。この生地に塗布したアクリル樹脂の付着量はJIS R3420(1999)に記載の強熱減量の計測方法により確認したところ、その値は8%であった。また目ズレについては、目視観察の結果、まったく認められない良好なものであった。そして引張強度については、前記した評価方法によって測定を行ったところ、たて方向が415Nであり、よこ方向は422Nであって、高い性能を有することが明らかになった。
また試料No.2については、経糸11の第一ストランド11aを310texのDWRとし、第二ストランド11bも310texのDWRとして引張強度0.1N/texの綿糸13を補助繊維束として1本だけ絡ませたものであり、そこに緯糸12として620texのDWRを目間隔10mmで平織りすることによってメッシュ織物10の生地を作製したものであり、この試料No.2も図1と同様の外観を呈する。この生地に塗布したアクリル樹脂の付着量は前記同様の強熱減量の計測方法により確認したところ、その値は8%であった。また目ズレについては、目視観察の結果、試料No.1と同様に目ズレのまったく認められない良好なものであった。引張強度も、前記の評価方法で測定し、その結果はたて方向が736Nであり、よこ方向は738Nであって、やはり高い性能を有するものであった。
さらに試料No.3は、経糸11の第一ストランド11aを1100texのDWRとし、第二ストランド11bも1100texのDWRとして、そこに引張強度0.1N/texの綿糸13を補助繊維束として1本だけ絡ませたもので、緯糸12としては2200texのDWRを目間隔20mmで平織りすることによってメッシュ織物10の生地を作製したものであり、この生地10の組織も図1に示したような構造である。そこに塗布したアクリル樹脂の付着量は試料No.1と同様に測定すると、その値は12%であった。そして目ズレは、目視観察で試料No.1同様に目ズレは認められず問題のないものであった。引張強度も、前記同様に測定し、その結果はたて方向が975Nであり、よこ方向は987Nで、高い性能を有することを確認できた。
また試料No.4については、経糸11の第一ストランド11aを2200texのDWRとし、第二ストランド11bも2200texのDWRとして、そこに引張強度0.1N/texの綿糸13を補助繊維束として1本だけ絡ませたもので、緯糸12としては4400texのDWRを目間隔25mmで平織りすることでメッシュ織物10の生地を図1のような組織となるように作製した。そこに塗布したアクリル樹脂の付着量は試料No.1と同様に測定すると、その値は12%であった。目ズレについては、目視観察で試料No.1同様に認められず問題のなく、引張強度も前記同様に測定し、その結果はたて方向が1878Nであり、よこ方向は1862Nで、高い性能を有するものであることを確認できた。
た試料No.5では、経糸11の第一ストランド11aを310texのDWRとし、第二ストランド11bも310texのDWRとして、そこに引張強度0.1N/texの綿糸13、13aを補助繊維束として2本、図2に示したように交差するように絡ませたもので、緯糸12としては620texのDWRを目間隔10mmで平織りすることでメッシュ織物20の生地を作製した。メッシュ生地20に塗布したアクリル樹脂の付着量については試料No.1と同様に測定すると、その値は5%であった。目ズレについては、目視観察で評価したところ試料No.1同様に認められず問題はなかった。また、引張強度も、前記同様に測定し、その結果はたて方向が727Nであり、よこ方向は730Nで、高い性能を有するものであることが確認できた。
また試料No.6については、経糸11の第一ストランド11aを2200texのDWRとし、第二ストランド11bも2200texのDWRとして、そこに引張強度0.1N/texの綿糸13a、13b(図3の点線は裏面側にあることを表している)を補助繊維束としてそれぞれの主繊維束の各ストランドに絡ませたもので、緯糸12としては4400texのDWRを目間隔25mmで平織りすることでメッシュ織物30の生地を図3のような組織となるように作製した。そこに塗布したアクリル樹脂の付着量は試料No.1と同様に測定すると、その値は12%であった。目ズレについては、目視観察で試料No.1同様に認められず問題のなく、引張強度も前記同様に測定し、その結果は経方向が1902Nであり、緯方向は1894Nで、高い性能を有するものであることを確認できた。また、各主繊維束の各ストランドに1本の補助繊維束を絡ませ、ストランドと同じ本数の補助繊維束を絡ませているため、樹脂が含浸された後の主繊維束の幅が大きくなり、No.4に比べて曲げ強度が約30%向上した。
更に本発明の比較例として、試料No.1〜6と同様の組成を有する耐アルカリ性ガラス繊維を同様の手順で準備した。評価に関しても同様の手順で実施した。比較例のメッシュ織物の形態と番手、目間隔、樹脂付着率及び評価の結果について、表2にまとめて示す。

比較例である試料No.は、経糸11として1本のストランドを使用しただけで、2本のストランドを使用しないものであり、図4にその組織が表されるものであるが、その番手は620texのDWRであって、図4にあるように経糸11へ引張強度0.1N/texの綿糸1本を補助繊維束として絡ませることは行ったものである。そして、緯糸12としては620texのDWRを目間隔10mmで平織りすることなくメッシュ織物30の生地を作製した。メッシュ織物40の生地に塗布したアクリル樹脂の付着量については試料No.1と同様に測定すると、その値は8%であった。目ズレについては、目視観察で評価したところ多数の目ズレが発生していることを確認することができ、目ズレに関して悪い状態となるものであった。また、引張強度も、実施例の試料と同様に測定し、その結果はたて方向が732Nであり、よこ方向は726Nであった。
また比較例である試料No.は、経糸の第一ストランド11aを310texのDWRとし、第二ストランド11bも310texのDWRとして、そこに実施例とは異なり綿糸を絡ませずに第一繊維束11aと第二繊維束11bとを図5に示すように絡み織りし、緯糸12としては620texのDWRを使用して目間隔10mmでメッシュ生地50を作製した。そこに塗布したアクリル樹脂の付着量は試料No.1と同様に測定すると、その値は8%であった。目ズレについては、目視観察で試料No.6ほどではないものの、綿糸を用いて平織りしていないために目ズレが認められ、実用上問題のあるレベルであった。また引張強度も前記同様に測定し、その結果はたて方向が655Nであり、よこ方向は742Nであり、たて方向の引張強度がよこ方向の引張強度に比べて低くなった。
さらに比較例である試料No.は、経糸の第一ストランド11aを310texのDWRとし、第二ストランド11bも310texのDWRとして、さらに経糸へ引張強度0.1N/texの綿糸13を補助繊維束として1本だけ絡ませた。そして緯糸12としては620texのDWRを目間隔10mmで平織りすることなく樹脂で固めて組布とすることで図6に示すようなメッシュ生地60を作製した。そこに塗布したアクリル樹脂の付着量は試料No.1と同様に測定すると、その値は8%であった。目ズレについては、メッシュの構成が織り組織となっていないこともあり、目ズレが認められ、問題のあるレベルであった。また引張強度も前記同様に測定し、その結果はたて方向が725Nであり、よこ方向は731Nであった。
比較例である試料No.10は、経糸の第一繊維束11を2200texのDWRとし、実施例とは異なり第二ストランドを使用せず、経糸11へ引張強度0.1N/texの綿糸1本を補助繊維束として図4に示したように絡ませた。そして、緯糸13としては2200texのDWRを目間隔20mmで平織りすることなくメッシュ生地40を作製した。そこに塗布したアクリル樹脂の付着量は試料No.1と同様に測定すると、その値は12%であった。目ズレについては、目視観察で目ズレが認められ、問題のあるレベルであった。引張強度は前記同様に測定し、その結果はたて方向が980Nであり、よこ方向は990Nであった。
さらに表には示していないが、試料No.11として、No.2と同じ構成で絡ませる綿糸を引張強度が0.01N/texのものを使用したところ、綿糸の強度が弱く、生産中に綿糸が切れて製造ができない状態となった。
次いで本発明のメッシュ織物を埋設することによって構成されるメッシュ織物強化構造物について、以下に説明する。
ここでは、図7に示すような構成で施工された水路構造物100について説明する。ここで図7(A)は、水路構造物100の部分的な斜視図を示す。また図7(B)については、図7(A)についてのX部の拡大図を示す。この水路構造物100は、農業用水路などとして使用される灌漑用水路で、畑作灌漑と湛水灌漑を兼用する設備であるが、施工時から5年経過した後に水路床表面及び側面のコンクリートに亀裂が形成されて、そこからの土壌Sへの漏水が問題となり、その漏水箇所を含めて補強を行うために本発明を適用したものである。
ここでは、予め施工されていたコンクリート部Cの老朽化部位などを削り加工することによって、清浄面を露出させた後に、鉄筋T等への防錆処理を施し、さらに予め準備したコンクリートMaを打ち込んで平坦に均した後、その全面に本発明のメッシュ織物10を伏せ込み、さらにその後にメッシュ織物10を施工された表面に表面塗装用のコンクリートMbを塗工することによって得られたメッシュ織物強化構造物100である。このメッシュ織物10を使用することによって、施工時のハンドリング性が改善され、施工時間を短縮することも容易となり、作業に不慣れな者でも従来に比して容易な作業が可能となる。また得られた構造物は頑強なものとなっている。
以上の実施例、及び比較例によって本発明のメッシュ織物は、ハンドリング性に優れ、目ズレが発生しがたく、安定した品位を実現することができるものであることが明瞭となった。また本発明のメッシュ織物を使用した強化構造物は、高い強度を有するものとなることも明らかとなった。
本発明のメッシュ織物の平面図。 本発明の他のメッシュ織物の平面図。 本発明の他のメッシュ織物の平面図。 比較例の試料No.6及び試料No.9に相当するメッシュ織物の平面図。 比較例の試料No.7に相当するメッシュ織物の平面図。 比較例の試料No.8に相当するメッシュ織物の平面図。 本発明のメッシュ織物を使用したメッシュ織物強化構造物の説明図で、(A)は斜視図、(B)は(A)図のX部についての拡大図。
符号の説明
10、20、30 メッシュ織物
11 経糸
11a 経糸の第一ストランド
11b 経糸の第二ストランド
12 緯糸
13、13a、13b 絡み糸(補助繊維束)
(13a、13bとも裏面側にあるときは点線)
100 メッシュ織物強化構造物(用水路)
C コンクリート
Ma 埋め込みコンクリート
Mb 表面塗布コンクリート
S 土壌
T 鉄筋

Claims (7)

  1. 複数のストランドよりなる主繊維束が製織されたメッシュ織物であって、各主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてなり、かつ樹脂が含浸されてなることを特徴とするメッシュ織物。
  2. 補助繊維束が、0.03N/tex以上の引張強度を有することを特徴とする請求項1に記載のメッシュ織物。
  3. 主繊維束のストランドがガラス繊維であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメッシュ織物。
  4. 主繊維束のストランドガラス繊維がブッシングにより成形されたものであることを特徴とする請求項に記載のメッシュ織物。
  5. セメント、コンクリート又はモルタルと共に人工構造物の壁面あるいは、床面を構成する際に使用されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のメッシュ織物。
  6. 複数のストランドよりなる主繊維束の各ストランドに夫々1本ずつ補助繊維束を絡ませてメッシュ生地を構成する工程と、樹脂を含浸させることで該メッシュ生地表面を被覆する工程とを有することを特徴とするメッシュ織物の製造方法
  7. 請求項1から請求項5の何れかに記載のメッシュ織物を埋設施工するか、あるいは該メッシュ織物を表面施工することで構成されたことを特徴とするメッシュ織物強化構造物
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