JP4876731B2 - サーマルプリンタ、サーマルプリンタの制御方法および印刷システム - Google Patents
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Description
サーマルプリンタでは印刷をする際、サーマルヘッドへの通電電圧、印刷デューティ(サーマルヘッドにおける1ドットラインの中で実際に印刷するドット数の割合)、温度、印刷パターン、印刷データの通信時間および内部のデータ処理に必要な時間等の各種パラメータから成る印刷速度決定要因がある。それらのいずれかまたは組合せにおいて変化が生じたとき、サーマルヘッドの通電時間や印刷速度を変化させている。これらの印刷速度決定要因が変動することに対応して、最適な印刷品質を得られるように、サーマルヘッドの通電時間や印刷速度を調整している(例えば特許文献1参照)。サーマルプリンタの場合、紙送りしながら印刷を行うため、印刷速度は紙送り速度に等しいことになる。印刷時における、印刷速度の変化の従来例を図8に示す。
特に、印刷速度が大幅に変化した後は、実際にプラテンローラが回転するタイミングが安定していないため、印刷速度が頻繁に微小変化すると、ピッチムラが顕著に表れる傾向にある。
速度を制御しつつ、ホストコンピュータから送信したコマンドを受信して当該コマンドに
関する印刷データを印刷するサーマルプリンタを有する印刷システムにおいて、サーマル
プリンタは、紙送り機構と、印刷速度決定要因に基づいて、紙送り機構に対し印刷速度を
制御する紙送り制御部と、コマンドを受信するコマンド受信部と、受信したコマンドが、
印刷速度の速度変化量が所定のしきい値を超えるような印刷速度で印刷が為される第1印
刷パターンと、当該第1印刷パターンに引き続き、頻繁に微小変化する印刷速度で印刷が
為される第2印刷パターンとから成る特定の印刷パターンに関するものであるか否かを判
断する印刷パターン判断部と、を有し、紙送り制御部は、印刷パターン判断部によりコマ
ンドが特定の印刷パターンに関するものであると判断されたときに、第2印刷パターンの
印刷中、印刷速度決定要因に基づく印刷速度の変化量を一定とすることを特徴とする。
印刷速度(印刷時の紙送り速度)の変化量のしきい値は、サーマルプリンタ1(図4参照)の設計や使用目的に応じて適宜設定されるものであるが、サーマルプリンタ1は、例えば、速度変化量が30%を超えたとき、安定モードを実行する。このときの速度変化量である30%をしきい値とする。しきい値は、条件により変更可能とする。
速度変化量は、印刷速度決定要因の変動に基づくことが多い。印刷速度決定要因として、サーマルヘッド35への通電電圧、印刷デューティ(印刷パターン)、サーマルヘッド35(図5参照)の温度、印刷データの通信および内部処理に必要な時間等のパラメータを挙げることができる。これらの印刷速度決定要因のうち、印刷速度に大きな変化を引き起こす要因として、例えば印刷デューティがあり、この例について説明する。サーマルプリンタ1は、印刷デューティが高い場合にはサーマルヘッド35が蓄熱しやすいため、これを放熱すべく、印刷速度を低下させ、適切な印刷品質を得ている。すなわち、サーマルプリンタ1は、印刷デューティを、印刷するドット数を制御装置11(図5参照)で計数することにより取得し、この印刷デューティから、適切な印刷品質を得るための印刷速度を演算し、その演算結果に基づいて印刷速度を制御している。そして、このように印刷速度を演算することで、その変化量および変化の方向(加速か減速か)を予め取得することができる(詳細は後述する)。
また、この演算結果を予めデータテーブルとして保存しておくこともできる。具体的には、サーマルプリンタ1は、サーマルヘッド35の蓄熱による印刷品質の低下を防ぐべく、印刷デューティが高い場合には、印刷速度を低下させると共にサーマルヘッド35への通電時間を短くする制御を行っている。サーマルプリンタ1は、この印刷デューティと印刷速度やサーマルヘッド35への通電時間との組み合わせを、所定の関係からなるデータテーブルを予め用意してROM17(図5参照)に記憶しておき、制御装置11により該当する組み合わせを選択して、印刷を実行するようになっている。これらのデータテーブルは、ホストコンピュータ29(図5参照)により、サーマルプリンタ1にコマンドと共に送信して、記憶させておくことも可能である。この際、記憶はROM17の代わりに不揮発性のフラッシュROMを用いる。なお、このデータテーブルのほか、しきい値や安定モード期間の長さを、ホストコンピュータ29によりサーマルプリンタ1にコマンドと共に送信するようにし、メモリに保存するようにしてもよい。
もちろん、印刷速度の変化を常にモニタして印刷速度の変化値を測定することもできる。この場合、印刷速度が連続して変化(加速および減速のいずれか一方のみ)しているときのみの変化量を測定対象とすることもできるし、所定時間内における最大速度と最低速度との差をもってその変化量とすることもできる。
安定モード期間の長さは特に制限されるものではないが、例えば、印刷デューティが低下する(本来(抑制されていない)の印刷速度が安定モード期間に入る前の印刷速度に戻る)まで、安定モードを持続することが好ましい。この場合には、安定モードを実行する所定期間を、種々の印刷データに応じて適切に設定することができる。もちろん、印刷速度が大きく変化した後、印刷速度の頻繁な微小変化が終了するのに十分な時間を予め求めておき、その時間に基づいて、安定モード期間を設定してもよい。
安定モードでは、印刷速度を安定化し、もって印刷結果のピッチムラを抑制することが目的であるため、当該目的を達成できる範囲での微小な速度変化は許容される。例えば、印刷速度を予測できる場合は、所定期間終了時の予測速度に向けた一定の加速度で加速または減速するようにしてもよい(図1(B)では加速)。これによれば、安定モード終了時において、印刷速度が、速度変化を制限した速度から、印刷速度決定要因の変動に対応した速度(速度変化の制限を解除した速度)に移行するが、両速度が一致する。このため、安定モード終了時に印刷速度が急激に変化することがなく、急激な印刷速度変化による印刷品質の低下を防止することができる。
図2(A)の例は、図1(A)の例に対応しており、安定モードにおいて印刷速度が一定に維持されている。図2(B)の例は、図1(B)の例に対応しており、安定モードにおいて、印刷速度が所定期間終了時の予測速度に向けた一定の加速度で加速するようにしている。図2(C)の例では、図1(C)の例に対応しており、安定モードにおいて印刷速度の減速のみを制限している。この場合も、伝達機構32にかかる負荷が小さいので、印刷結果のピッチムラはほとんど生じないことが経験上確認できている。図2(D)の例では、図1(D)の例に対応しており、速度変化量が加速によりしきい値を超えた後、引き続き加速した印刷速度を基準として、印刷速度を一定速度に制限している。
また、しきい値が比較的小さく設定されている場合には、しきい値を超える(小幅な)速度変化後における微小な速度変化は、それが加速であっても減速であっても、伝達機構32に与える負担が比較的小さい。このため、しきい値が比較的小さく設定されている場合には、速度変化量が加速によりしきい値を超えるときに、安定モードにおいて、図2(C)のように印刷速度の減速のみを制限するのではなく、加速のみを制限(減速は許容)するようにしてもよい(図3(A)参照)。この場合も、印刷結果のピッチムラはほとんど生じないことが経験上確認できている。さらに、図2(D)のように速度変化量が加速によりしきい値を超えた後、引き続き加速した印刷速度を基準として、印刷速度を一定速度に制限する代わりに、速度変化量が加速によりしきい値を超えた後、減速した印刷速度を基準として、印刷速度を一定速度に制限してもよい(図3(B)参照)。
図4は、実施形態のサーマルプリンタ1の機能を説明するブロック図である。図5は、図4に示す機能を実現するためのハード構成の概略構成図である。図6は、サーマルプリンタ1の動作を説明するためのフローチャートである。図7は、サーマルプリンタ1の斜視図である。
この実施形態のサーマルプリンタ1は、図4に示すように、印刷速度変化量取得部3、しきい値保存部5、速度変化量としきい値とを比較する比較部7(判定部)および印刷速度制御部9(紙送り制御部)とを備えている。
印刷速度演算回路13は、制御装置11から送られる印刷データ(印刷デューティ)を処理して印刷速度を演算する。さらに、後述するように、演算した印刷速度から単位時間あたりの速度変化量を取得し、これを積算して速度変化量を求める。なお、上述したように、印刷速度演算回路13は、予めROM17等に記憶させたデータテーブルから印刷速度を求めてもよい。この場合、演算時間を短縮できる。
演算された印刷速度に応じてモータドライブ21が印刷部30のステップモータ31を回転制御する。ステップモータ31の回転動力は、歯車列から成る伝達機構32を介してプラテンローラ33に伝達される。これにより、プラテンローラ33が回転し、プラテンローラ33とサーマルヘッド35との間に挟まれた感熱紙37が、印刷速度決定要因の変動に対応した印刷速度で送られる。特許請求の範囲における「紙送り機構」は、これらのステップモータ31、伝達機構32およびプラテンローラ33で構成されている。
ストローブ信号演算回路15は、制御装置11から送られる印刷速度決定要因を処理してサーマルヘッド35への通電時間であるストローブ信号を生成する。サーマルヘッドドライブ23がストローブ信号をサーマルヘッド35に印加する。これにより、ストローブ信号に応じてサーマルヘッド35の通電時間が制御される。サーマルヘッド35の発生する熱により感熱紙37が発色し、印刷が為される。
RAM19には、ホストコンピュータ29から送られるコマンドや印刷データが一時的に保存されたり、また演算の結果が一時的に保存されたりする。
温度計24は、印刷速度決定要因の一つであるサーマルヘッド35の温度を検出するものであり、サーミスタ等が用いられる。ディスプレイ25にはサーマルプリンタ1の駆動状態などユーザにとって必要な情報が表示される。
ホストコンピュータ29において作成された印刷データやコマンドは、インターネットまたはイントラネット等のネットワーク27を介して、インタフェース26によりサーマルプリンタ1に送信され取り込まれる。
実施形態のサーマルプリンタ1は、制御装置11がホストコンピュータ29から送られてくる印刷データを解析して、予め速度変化量が大きいと予想される領域を抽出しておく。そして、制御装置11は、その領域の印刷が開始されたら、図6に示す動作を起動して、速度変化量がしきい値を超えるものであるか否かを検証する。まず、ステップ1で、印刷速度演算回路13(印刷速度変化量取得部3)により、単位時間あたりの速度変化量ΔPnを特定する。続いて、印刷速度が連続して変化しているときのみの変化量を測定対象とすべく、ステップ3では、印刷速度演算回路13により、この速度変化量ΔPnの変化の方向が、一つ前の速度変化量ΔPn−1と異なっているか否かを調べる。両者の方向が異なっていたときには、図1のタイミングチャートの時間帯aのような一律な印刷速度変化ではないので、速度変化量の積算Σn=P1+P2+・・・+Pnをキャンセルする(ステップ5)。連続する速度変化量ΔPnとΔPn−1との変化の方向が等しいときまたは一方の速度変化量がゼロのときはステップ7に進み、印刷速度演算回路13は、印刷速度の速度変化量を積算していく。
なお、この実施形態においては、変化前の印刷速度と変化後の印刷速度との比((変化前印刷速度−変化後印刷速度)/変化前印刷速度)が30%を超えたとき、安定モードが実行されるものとしている。また、安定モードの期間は、約330m秒としている。もちろん、しきい値や安定モード期間の値を、種々の印刷パターン等に応じてそれぞれ複数用意(記憶)しておき、取得した印刷データ等に応じて、適切なしきい値や安定モード期間の値が選択されるようにしてもよい。
安定モードが終了すると(ステップ13)、通常の印刷速度制御による印刷、すなわち、印刷速度決定要因の変動に応じた印刷速度での印刷が実行される(ステップ15)。
ここで、第1印刷パターンは、印刷デューティが高く、例えば店舗ロゴやバーコード等のグラフィックないしシンボルであり、第2印刷パターンは、印刷デューティが低く、例えば購買情報等の文字列である。この場合も、サーマルプリンタ1に、種々の印刷データに対応した印刷速度や通電時間に関するデータテーブルを用意しておき、制御装置11が、インタフェース26で受信されたコマンドに応じて、そのデータテーブルから適切な印刷速度や通電時間に設定するように構成してもよい。
Claims (7)
- 所定のパラメータから成る印刷速度決定要因に基づいて印刷速度を制御するサーマルプ
リンタにおいて、
紙送り機構と、
前記印刷速度決定要因に基づいて、前記紙送り機構に対し前記印刷速度を制御する紙送
り制御部と、
所定時間内における前記印刷速度の速度変化量を取得する変化量取得部と、
前記速度変化量が、所定のしきい値を超えるか否かを判定する判定部と、を備え、
前記紙送り制御部は、前記判定部により前記速度変化量が前記しきい値を超えると判断
されたときに、当該変化後の所定期間、前記印刷速度決定要因に基づく前記印刷速度の変化量を一定とすることを特徴とするサーマルプリンタ。 - 前記紙送り制御部は、前記所定期間中、前記印刷速度を、一定の速度とすることを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。
- 前記印刷速度決定要因に基づいて、前記印刷速度を予測する速度予測部を、さらに備え、
前記変化量取得部は、前記速度予測部により予測される予測速度に基づいて、前記速度変化量を取得することを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。 - 前記紙送り制御部は、前記所定期間中、前記印刷速度を、前記所定期間終了時の前記予測速度に向けた一定の加速度とすることを特徴とする請求項3に記載のサーマルプリンタ。
- 前記紙送り制御部は、前記速度変化量が加速により前記しきい値を超えると判断されたときに、前記所定期間中、前記印刷速度の加速のみを許容し、一方、前記速度変化量が減速により前記しきい値を超えると判断されたときに、前記所定期間中、前記印刷速度の減速のみを許容することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のサーマルプリンタ。
- 紙送り機構を有し、所定のパラメータから成る印刷速度決定要因に基づいて印刷速度を制御するサーマルプリンタの制御方法において、
所定時間内における前記印刷速度の速度変化量を取得するステップと、
前記速度変化量が、所定のしきい値を超えるか否かを判定するステップと、
前記速度変化量が前記しきい値を超えると判断したときに、当該変化後の所定期間、前記紙送り機構を制御して、前記印刷速度決定要因に基づく前記印刷速度の変化量を一定とするステップと、
を備えたことを特徴とするサーマルプリンタの制御方法。 - 所定のパラメータから成る印刷速度決定要因に基づいて印刷速度を制御しつつ、ホストコンピュータから送信したコマンドを受信して当該コマンドに関する印刷データを印刷するサーマルプリンタを有する印刷システムにおいて、
前記サーマルプリンタは、
紙送り機構と、
前記印刷速度決定要因に基づいて、前記紙送り機構に対し前記印刷速度を制御する紙送り制御部と、
前記コマンドを受信するコマンド受信部と、
受信した前記コマンドが、前記印刷速度の速度変化量が所定のしきい値を超えるような印刷速度で印刷が為される第1印刷パターンと、当該第1印刷パターンに引き続き、頻繁に微小変化する印刷速度で印刷が為される第2印刷パターンとから成る特定の印刷パターンに関するものであるか否かを判断する印刷パターン判断部と、を有し、
前記紙送り制御部は、前記印刷パターン判断部により前記コマンドが前記特定の印刷パターンに関するものであると判断されたときに、前記第2印刷パターンの印刷中、前記印刷速度決定要因に基づく前記印刷速度の変化量を一定とすることを特徴とする印刷システム。
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