JP4876627B2 - 気化装置、電子機器及び気化方法 - Google Patents

気化装置、電子機器及び気化方法 Download PDF

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Description

本発明は、液体を気化させる気化装置、気化装置を備える電子機器及び気化方法に関する。
近年、エネルギー変換効率の高いクリーンな電源として燃料電池が注目されるようになり、燃料電池自動車や電化住宅などに幅広く実用化されてきている。また、急速に小型化の研究、開発が進められている携帯電話機やノート型パーソナルコンピュータなどといった携帯型電子機器においても、燃料電池による電源の実用化が検討されている。
燃料電池は改質方式と燃料直接方式の2つに分類される。改質方式は、燃料を改質して水素を生成し、この水素を燃料電池に供給する方式であり、燃料直接方式は、燃料を改質せずに直接燃料電池の燃料極に供給する方式である。改質方式では、例えば液体の状態で貯留された燃料を気化させた後に、その燃料を改質器に供給している。そのため、燃料等を気化させる気化装置が必要であり、そのような気化装置についての研究・開発が燃料電池の開発にあわせて行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特開2004−47260号公報 特開2001−263649号公報
ところで、気化装置によって燃料や水が気化する際に、気化エネルギーとして熱エネルギーが加えられるが、過熱されると燃料と水が突沸し、送出する蒸気の量が不安定になったり、或いは蒸気に液滴が混じってしまう。特に小型の気化器では、送出される液量が少ないので過熱されやすかった。
或いは、気化装置から発生した気体が気化装置内を逆流してしまい燃料の供給側に気泡が生じると、気泡が障害となって燃料の送出能力が下がってしまう恐れがあった。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとしてなされたものであり、気化量を安定することができる気化装置、気化装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の気化装置において、
一端側から液体を毛細管現象で吸液する多孔質体からなる吸液部と、
前記吸液部を加熱して他端側から前記液体を気化させる発熱体と、
前記吸液部の前記一端側の圧力と前記他端側の圧力との差を、前記吸液部の前記一端側の端面で気泡が発生する圧力差に対応する第1閾値未満であり、且つ、前記吸液部の前記他端側の端面で液滴が発生する圧力差に対応する第2閾値より大きい値に維持するように調整する圧力調整器と、
を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の気化装置において、
前記吸液部の前記一端側に前記液体を供給する供給器と、
前記吸液部の前記一端側の圧力前記吸液部の前記他端側の圧力との差を、第1閾値未満であり、且つ、前記第2閾値より大きい値に維持するように前記供給器の前記液体の供給量を制御するコントローラと、
を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の気化装置において、
前記圧力調整器は、
前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第1閾値以上である場合に、前記供給器の液体の供給量を増加させるよう制御することを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の気化装置において、
前記コントローラは、
前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差を、前記第1閾値と比較する第1比較器を備え、
前記コントローラは、前記第1比較器による比較の結果、前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第1閾値以上である場合に、前記供給器の液体の供給量を増加させるよう制御することを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の気化装置において、
前記圧力調整器は、
前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第2閾値以下である場合に、前記供給器の液体の供給量を低下又は供給を停止させるよう制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の気化装置において、
前記コントローラは、
前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差を、前記第2閾値と比較する第2比較器を備え、
前記コントローラは、前記第2比較器による比較の結果、前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第2閾値以下である場合に、前記供給器の液体の供給量を低下又は供給を停止させるよう制御することを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、請求項2〜6の何れかに記載の気化装置において、
前記コントローラは、
前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が、前記第1閾値未満であり、且つ、前記第2閾値を越えている場合に、前記供給器の液体の供給量を維持する集積回路としての維持器を備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明では、請求項1に記載の気化装置において、
前記吸液部が前記一端側で吸収した液体を毛細管現象により前記他端側に吸い上げて、その液体が気化した気体を前記他端側から蒸散させ、
前記圧力調整器が、
前記吸液部の前記一端側に液体を供給する供給器と、
前記供給器によって前記吸液部の前記一端側に供給される液体の圧力を測定する第1の圧力センサと、
前記吸液部の前記他端側から蒸散した気体の圧力を測定する第2の圧力センサと、
前記第1の圧力センサによる測定圧力及び前記第2の圧力センサによる測定圧力に基づき前記供給器を制御するコントローラと、を有し、
前記コントローラが、前記第2の圧力センサによる測定圧力と前記第1の圧力センサによる測定圧力との差を前記第1閾値及び前記第2閾値と比較し、
比較の結果、前記差が前記第1閾値以上である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を増加させるよう制御し、
比較の結果、前記差が前記第2閾値以下である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を低下させ、又は前記供給器の液体の供給を停止させるよう制御し、
比較の結果、前記差が前記第1閾値未満、前記第2閾値超である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を維持させるよう制御することを特徴とする。
請求項9に記載の気化装置において、
多孔質体からなり、一端及び前記一端の反対側の他端を有し、前記一端側から液体を毛細管現象で吸液し、前記一端側で吸収した液体を毛細管現象により前記他端側に吸い上げて、その液体が気化した気体を前記他端側から蒸散させる吸液部と、
前記吸液部を加熱する発熱体と、
前記吸液部の前記一端側に液体を供給する供給器と、
前記供給器によって前記吸液部の前記一端側に供給される液体の圧力を測定する第1の圧力センサと、
前記吸液部の前記他端側から蒸散した気体の圧力を測定する第2の圧力センサと、
前記第1の圧力センサによる測定圧力及び前記第2の圧力センサによる測定圧力に基づき前記供給器を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記第2の圧力センサによる測定圧力と前記第1の圧力センサによる測定圧力との差を第1閾値(前記第1閾値は、前記吸液部の前記一端側の端面で気泡が発生する圧力差に対応する値である。)及び第2閾値(前記第2閾値は、前記吸液部の前記他端側の端面で液滴が発生する圧力差に対応する値である。)と比較し、
比較の結果、前記差が前記第1閾値以上である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を増加させるよう前記供給器を制御し、
比較の結果、前記差が前記第2閾値以下である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を低下させ、又は前記供給器の液体の供給を停止させるよう制御し、
比較の結果、前記差が前記第1閾値未満、前記第2閾値超である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を維持させるよう制御することを特徴とする。
請求項10に記載の発明では、請求項1から9の何れか一項に記載の気化装置において、前記第2閾値がゼロよりも大きく、前記第1閾値が前記第2閾値よりも大きいことを特徴とする。
そして請求項11に記載の発明では、電子機器において、請求項1〜請求項10の何れかに記載の気化装置と、前記気化装置によって気化された燃料によりエネルギーを発生する燃料電池と、前記燃料電池によって発生されたエネルギーにより動作する電子機器本体と、を備えることを特徴とする。
請求項12に記載の気化方法では、
多孔質体からなる吸液部で一端側から液体を毛細管現象で吸液するステップと、
前記吸液部の他端側から前記液体を気化させるように前記吸液部を加熱するステップと、
前記吸液部の前記一端側の圧力と前記他端側の圧力との差を、前記吸液部の前記一端側の端面で気泡が発生する圧力差に対応する第1閾値未満であり、且つ、前記吸液部の前記他端側の端面で液滴が発生する圧力差に対応する第2閾値より大きい値に維持するように調整するステップと、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、気化量を安定することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、気化装置1の本体部分の縦断面図である。図2は、気化装置1の本体部分の分解斜視図である。
図1、図2に示すように、この気化装置1は、吸液部2、内チューブ3、外チューブ4、インレットソケット5、アウトレットソケット6、インレットケース7、アウトレットケース8及び発熱体9を備える。
吸液部2は、棒状、具体的には円柱状に形成された芯材である。吸液部2は、内部に微小空間が形成された多孔質体であり、毛細管現象で液体を吸収し得るものである。吸液部2は、液体を吸液する端面2aと、端面2aと反対側に位置し吸液された液体が、吸液部2内で気化されて放出する端面2bとを備え、無機繊維又は有機繊維を結合材(例えば、エポキシ樹脂)で固めたものであったり、無機粉末を焼結したものであったり、無機粉末を結合材(例えば、エポキシ樹脂)で固めたものであったり、グラファイトとグラッシーカーボンの混合体であってもよく、また、吸液部2は、無機繊維又は有機繊維からなる多数本の糸材を束ねて結合材で固めたものでも良い。例えば、吸液部2としては、アクリル系繊維束芯を用いることができる。また、上記材料を複数種混合してもよい。このような多孔質体は一部に沸石にも利用されるように突沸を抑える効果がある。
この吸液部2が筒状の内チューブ3内に挿入されて、吸液部2の外周面が内チューブ3に密接している。吸液部2の長さは内チューブ3の長さよりも長く、吸液部2の吸液側の端面2aが内チューブ3の後端に揃っており、吸液部2の気化側の端面2bは内チューブ3の先端から突き出た位置にある。内チューブ3は、好ましくはゴム弾性を有し、或いは吸液部2が挿入される前の状態で熱収縮性を有し、吸液部2が挿入されてから熱収縮されている。また、内チューブ3に吸液部2が挿入されていない自然状態では内チューブ3の内径が吸液部2の径よりも小さく、吸液部2が挿入されることで内チューブ3が拡径することが好ましい。このようにすることで、吸液部2の内チューブ3で覆われた部分は隙間なく密着できる。
吸液部2は内チューブ3を介在した状態で外チューブ4内に挿入され、外チューブ4が内チューブ3に密接している。吸液部2の吸液側の端面2aは外チューブ4の吸液側の後端4aよりも外チューブ4の先端4b側に入り込んだ位置にあり、吸液部2の気化側の端面2bは外チューブ4の先端4bから突き出た位置にある。この外チューブ4はゴム弾性を有するものであり、先端4bが、吸液部2の端面2bが後端6a内に挿入されたアウトレットソケット6の後端6aを覆うことで、吸液部2とアウトレットソケット6を互いに固定している。なお、吸液部2が内チューブ3を介して外チューブ4に挿入されているが、吸液部2が内チューブ3を用いずに直接外チューブ4に挿入されていても良いが、この場合には、外チューブ4が熱収縮性を有することが好ましい。
外チューブ4の後端4a内には、管状のインレットソケット5の一部が嵌め込まれ、外チューブ4内でインレットソケット5が吸液部2から離れており、インレットソケット5の先端面5aと吸液部2の端面2aとの間に内部空間12が形成されている。内部空間12は、吸液部2が液体に接するための空間である。インレットソケット5のうち外チューブ4に嵌められた部分の外径は、吸液部2と内チューブ3を合わせた外径にほぼ等しく、内部空間12の径(外チューブ4の内径)にもほぼ等しい。また、内部空間12の径が内チューブ3のぶんだけ吸液部2の径よりもやや大きく、吸液部2の端面2aに平行な内部空間12の断面の面積が吸液部2の一端面の面積よりも大きい。
インレットソケット5にはその中心軸に沿うように導入孔15が形成され、その導入孔15がインレットソケット5の先端面5aからその反対側の後端面5bにかけて貫通している。導入孔15の径が内部空間12の径よりも小さく且つ吸液部2の径よりも小さく、吸液部2の一端面に平行な内部空間12の断面の面積が導入孔15の断面積よりも小さい。導入孔15内には、気化される液体が取り込まれ、内部空間12に液体を送り込む。このインレットソケット5は、液体に接触することによって腐蝕や変形をしなければ、樹脂製であっても良いし、金属製であっても良いし、セラミック製であっても良い。
吸液部2の内チューブ3から突き出た部分が、管状のアウトレットソケット6の後端6aからアウトレットソケット6内に嵌め込まれている。吸液部2の端面2bは、アウトレットソケット6の内底6bまで到達せずに離間している。このため、端面2bと内底6bとの間には内部空間17が形成されている。内部空間17は、吸液部2の端面2bから液体を気化した蒸気を放出するための空間である。内チューブ3の一部もアウトレットソケット6に挿入され、その部分がアウトレットソケット6と吸液部2との間に挟まれている。また、アウトレットソケット6の内チューブ3及び吸液部2が挿入された部分は、外チューブ4の先端4bから外チューブ4内に挿入されている。そのため、外チューブ4は吸液部2を介してアウトレットソケット6とインレットソケット5を連結している。
アウトレットソケット6にはその中心軸に沿うように排出孔16が形成され、その排出孔16がアウトレットソケット6の先端6cから内底6bにまで達し、吸液部2が挿入された内部空間17にまで通じている。排出孔16は、内部空間17内に放出された蒸気を先端6cから排出する。また、アウトレットソケット6の吸液部2が嵌め込まれた部分は、フランジ状に形成されている。
アウトレットソケット6の吸液部2が嵌め込まれた部分には、発熱体9がコイル状に巻かれている。この発熱体9は電熱材からなり、電気により発熱するものである。例えば、酸化被膜処理を施したニッケル−コバルト線を発熱体9として用いることができる。発熱体9は、アウトレットソケット6から巻かれている部分の両端がそれぞれ引き回し配線9a及び9bに接続されている。引き回し配線9a及び9bは発熱体9と一体的に形成されていることが好ましい。
引き回し配線9a及び9bから発熱体9に電圧が印加されることよってアウトレットソケット6が加熱され、その熱によって吸液部2の端部も加熱される。発熱体9の熱を吸液部2に伝導しやすくするために、アウトレットソケット6が黄銅、銅等の金属といった高熱伝導率材料製であることが好ましく、さらには内部空間17に放出される蒸気に対して耐腐食性があることが好ましい。
外チューブ4、内チューブ3、吸液部2及びインレットソケット5が管状のインレットケース7内の中空に嵌入され、インレットケース7とインレットソケット5との間に外チューブ4の一部が挟まれ、インレットケース7と吸液部2との間に外チューブ4及び内チューブ3の一部が挟まれている。インレットケース7の端面7aには中空に通じる小孔7bが形成され、インレットソケット5の後端面5b側がその小孔7bを貫通し、インレットケース7の端面7aから外に突出している。外チューブ4は、密着性を向上するために弾性体であるために応力が加わると、内部空間12部分で曲がりやすくなってしまう。外チューブ4が曲がると、内部空間12の容積が変化し、気化装置1の気化特性が不安定になってしまう。また、インレットソケット5は、外チューブ4に挟み込まれているが、引き抜かれやすい構造になっている。しかし、インレットソケット5が外チューブ4から引く抜かれる方向に応力がかかったときにインレットケース7における小孔7bの周囲の内底7cがストッパーの役目をする。
外チューブ4、内チューブ3、吸液部2及び発熱体9が管状のアウトレットケース8の中空に嵌入し、インレットケース7の内筒7dがアウトレットケース8に挿入され、インレットケース7とアウトレットケース8が互いに嵌合している。アウトレットケース8の端面8aには中空に通じる小孔8bが形成され、アウトレットソケット6の先端面6c側がその小孔8bを貫通し、アウトレットケース8の端面8aから外に突出している。アウトレットソケット6はフランジ部がアウトレットケース8の内底8cに当接している。また、アウトレットケース8は、引き回し配線9a及び9bが外部に引き回される貫通孔を有し、引き回し配線9a及び9bが挿入された貫通孔は耐熱性接着剤により封止されている。外チューブ4は、密着性を向上するために弾性体であるために応力が加わると、アウトレットソケット6が引き抜かれやすい構造になっている。しかし、アウトレットソケット6が外チューブ4から引く抜かれる方向に応力がかかったときにアウトレットケース8における小孔8bの周囲の内底8cがストッパーの役目をする。
インレットケース7及びアウトレットケース8は、発熱体9で発した熱が外部へ放熱することを抑えるために、低熱伝導率及び耐熱性を有する、例えば多孔質のセラミック等の部材で形成されていることが好ましい。なお、本実施形態において、管状部材は内チューブ3、外チューブ4、インレットソケット5、アウトレットソケット6、インレットケース7及びアウトレットケース8を有しているが、適宜上記部材の省略、或いは部材の追加があってもよい。
図3は、気化装置1をカートリッジ101、改質器102、一酸化炭素除去器103、燃料電池104及び燃焼器105とともに示した燃料電池システムのブロック図である。このような燃料電池システムはノート型パーソナルコンピュータ、PDA、電子手帳、デジタルカメラ、携帯電話機、腕時計、レジスタ、プロジェクタといった電子機器に搭載され、燃料電池104が電子機器の電源として用いられる。
図3に示すように、気化装置1は、図1、図2に示された本体に加えて、吸液部2の吸液側端面2aに面する内部空間12に供給される液体の圧力を、吸液部2の排出側端面2bに面する内部空間17に蒸散した気体の圧力よりも低くする圧力調整器を備える。この圧力調整器は、吸液部2の吸液側端面2aに面した内部空間12に気泡が移動せず、且つ吸液部2の排出側端面2bに液体が排出されないように、内部空間12に供給される液体の圧力と内部空間17に蒸散した気体の圧力との間の圧力差を制御するものである。圧力調整器は、供給手段としてのポンプ20と、第1測定手段としての圧力センサ21と、第2測定手段としての圧力センサ22と、制御手段としてのコントローラ24とを備える。
インレットソケット5にはポンプ20が接続され、更にこのポンプ20がカートリッジ101に接続されている。このカートリッジ101には、液体燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル)と水が混合した状態又は別々に貯留され、或いは液体燃料のみが貯留され、ポンプ20によって液体燃料と水の混合液、或いは液体燃料がインレットソケット5の導入孔15に送られる。ポンプ20には、シリンジポンプや電気浸透流ポンプを用いることができる。
また、インレットソケット5には配管23を介して圧力センサ21が接続され、ポンプ20からインレットソケット5に供給される液体の圧力が圧力センサ21によって測定されて電気信号に変換される。圧力センサ21の測定圧力を表した信号はコントローラ24に出力される。
アウトレットソケット6には配管25を介して改質器102が接続され、アウトレットソケット6から排出された燃料と水の混合気或いは気化された燃料が改質器102に供給される。また、アウトレットソケット6には配管25を介して圧力センサ22が接続され、アウトレットソケット6から排出される混合気の圧力或いは気化された燃料の圧力が圧力センサ22によって測定されて電気信号に変換される。圧力センサ22の測定圧力を表した信号はコントローラ24に出力される。
コントローラ24は、プログラムを記憶した記憶部と、記憶部に記憶されたプログラムを読み取ってそのプログラムを実行するマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)とを有する。マイクロコンピュータのプログラム実行によって、コントローラ24は圧力センサ21の測定圧力P1と圧力センサ22の測定圧力P2をフィードバックし、そのフィードバックした測定圧力P1が測定圧力P2よりも低くなるようにポンプ20を制御する。具体的には、コントローラ24は、マイクロコンピュータのプログラム実行により次のような機能を持つ。
即ち、コントローラ24は、圧力センサ22の測定圧力P2と圧力センサ21の測定圧力P1の差(P2−P1)を、目標とする所定圧力差Pc(但し、Pc>0(単位;kPa))より高い圧力の第1閾値Pmax(但し、Pmax>0)と比較する第1比較手段として機能する。また、コントローラ24は、圧力センサ21の測定圧力P1と圧力センサ22の測定圧力P2の差(P2−P1)を、目標とする所定圧力差Pcより低い圧力の第2閾値Pmin(但し、Pmax>Pmin>0)と比較する第2比較手段として機能する。
また、コントローラ24は、圧力差(P2−P1)と第1閾値Pmaxの比較の結果、圧力差(P2−P1)が第1閾値Pmax以上である場合に、ポンプ20の液体の供給量を増加させる増加手段として機能する。また、コントローラ24は、圧力差(P2−P1)と第2閾値Pminの比較の結果、圧力差(P2−P1)が第2閾値Pmin以下である場合に、ポンプ20の液体の供給量を低下または供給の停止を行うポンプ圧力低下手段として機能する。このように圧力差(P2−P1)は、ポンプ20での液体の供給量で制御することができる。
また、コントローラ24は、圧力差(P2−P1)と第1閾値Pmaxの比較の結果、圧力差(P2−P1)が第1閾値Pmax未満であり、且つ、圧力差(P2−P1)と第2閾値Pminの比較の結果、差(P2−P1)が第2閾値Pminより高い場合に、圧力差(P2−P1)がこの圧力範囲内であることを維持するようにポンプ20の液体の供給量を維持する維持手段として機能する。ここでポンプ20の押し出し方向と逆方向に作用する第1閾値Pmaxによる液体の戻し力及び第2閾値Pminによる液体の戻し力は、いずれも、吸液部2の液体の毛管現象による液体の引っ張る力未満に設定されているため、上記範囲であれば、ポンプ20の押し出し方向と逆方向に作用する圧力差Pcによる液体の戻し力は、吸液部2の液体の毛管現象による液体の引っ張る力未満に設定されている。このように、ポンプ20の押し出し方向と逆の力が液体に適切に働くことによってこの吸液部2の液体の毛管力の引っ張り力が緩和されるので、吸液部2の排出側端面2bから液体が漏れ出すことがなく、液体が排出側端面2bから安定して気化される。第1閾値Pmaxは、吸液部2の吸液側の端面2aで気泡が発生する圧力差であり、第2閾値Pminは、吸液部2の気化側の端面2bで液滴が発生する圧力差と設定してもよい。
ここで、所定圧力差Pc、第1閾値Pmax、第2閾値Pminは、吸液部2、内チューブ3、外チューブ4、インレットソケット5、アウトレットソケット6、インレットケース7、アウトレットケース8及び発熱体9等の設計により定まる定数である。従って、吸液部2、内チューブ3、外チューブ4、インレットソケット5、アウトレットソケット6、インレットケース7、アウトレットケース8及び発熱体9等が設計変更(例えば、素材変更、サイズ変更)されれば、所定圧力差Pc、第1閾値Pmax及び第2閾値Pminの値も変わる。
なお、上記コントローラ24の機能は、マイクロコンピュータのプログラム実行により実現せずに、種々の回路によって実現しても良い。例えば、第1比較手段として機能する比較回路(コンパレータ)用い、第2比較手段として機能する比較回路(コンパレータ)を用い、維持手段、増加手段及び低下手段の機能を持つ集積回路を用いても良い。
改質器102は、起動時には図示しない薄膜発熱抵抗体層によって所望の温度に加熱され、定常状態になると後述する燃焼器105によって所望の温度に加熱され、アウトレットソケット6から供給された気化された燃料等を触媒反応させて、燃料電池104に供給する水素ガスを生成するものである。また、改質器102では微量の一酸化炭素も生成される。発熱抵抗体層は、電圧が印加されると発熱する発熱材料で形成され、金属酸化物でもよく、金(Au)であってもよい。金は、温度に応じて抵抗率が変位するため温度センサを兼ねることができるため、別途温度センサを設ける必要がなく、配線構造を簡略化できる。
また、発熱抵抗体層を積層する基板が導電性であれば、基板上に絶縁膜を被覆し、この絶縁膜上に発熱抵抗体層を被膜すればよい。このとき発熱抵抗体層が金であれば、絶縁膜との密着性を改善するためのチタン(Ti)やタンタル(Ta)等の下地層、金が熱拡散を防止するためのタングステン(W)等の高融点金属からなる熱拡散防止層を、絶縁膜と発熱抵抗体層との間に、この順に積層してもよい。なお、カートリッジ101に貯留された液体燃料がメタノールの場合、改質器102では次式(1)、(2)に示すような反応が起こる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
2CH3OH+H2O→5H2+CO+CO2 …(2)
改質器102で生成された生成物の混合気は微量の一酸化炭素を含んだまま一酸化炭素除去器103に供給され、更にエアポンプによって空気が一酸化炭素除去器103に供給される。一酸化炭素除去器103では、起動時には図示しない薄膜発熱抵抗体層によって所望の温度に加熱され、定常状態になると後述する燃焼器105によって所望の温度に加熱され、混合気中の一酸化炭素が触媒によって選択されて、一酸化炭素が優先的に酸化され、水素等は酸化されない。
燃料電池104は、触媒微粒子を担持した燃料極104aと、触媒微粒子を担持した空気極104bと、燃料極104aと空気極104bとの間に介在された電解質膜104cとを備える。燃料極104aには、一酸化炭素除去器103から混合気が供給され、空気極104bには、空気がエアポンプによって供給される。燃料極104aと空気極104bのうちの一方の電極でイオンが生成され、イオンが電解質膜104cを透過し、他方の電極で水が生成され、これにより燃料極104aと空気極104bの間で電力が生じる。なお、電解質膜104cが水素イオン透過性の電解質膜(例えば、固体高分子電解質膜)の場合には、燃料極104aでは次式(3)のような反応が起き、空気極104bでは次式(4)のような反応が起こる。
2→2H++2e- …(3)
2H++1/2O2+2e-→H2O …(4)
燃料極104aで反応しなかった余剰の水素ガス等を含むオフガスが燃焼器105に供給されるように定常状態になると、エアポンプによって空気が燃焼器105に供給される。燃焼器105においては、空気中の酸素と未反応の水素とが触媒により反応し、燃焼熱が発生する。燃焼熱は、改質器102及び一酸化炭素除去器103の反応に用いられる。燃焼器105での燃焼熱で十分に改質器102及び一酸化炭素除去器103をそれぞれの所望の温度に加熱するできるようになったら、薄膜発熱抵抗体層の発熱を停止、又は低減してもよい。
次に、気化装置1の動作及び気化装置1を用いた気化方法について説明する。
発熱体9に電圧が印加されると、発熱体9が発熱する。この状態でコントローラ24がポンプ20を駆動すると、カートリッジ101からインレットソケット5へ水と液体燃料の混合液が供給され、インレットソケット5の導入孔15に供給された液体が内部空間12に貯まり、吸液部2の端面2aにおいて混合液が吸液部2の毛細管現象によって吸液部2に吸収される。吸液部2に吸収された混合液は毛細管現象により反対側の端面まで吸い上げられ、発熱体9の発熱によって吸液部2の排出側端面2b側が加熱され、排出側端面2bから混合液が蒸発する。吸液部2の排出側端面2bから蒸散した混合気はアウトレットソケット6の排出孔16を通って排出される。
アウトレットソケット6の排出孔16から排出された混合気は改質器102、一酸化炭素除去器103、燃料電池104の燃料極104aを経由して燃焼器105に送られる。改質器102においては燃料と水が反応して、水素等が生成される。一酸化炭素除去器103においては、改質器102から送られた混合気中の一酸化炭素が空気中の酸素と反応し、二酸化炭素が生成される。燃料電池104では電解質膜104cを介した水素と酸素の電気化学反応によって電力が生じる。燃焼器105では、燃料電池104の燃料極104aから送られた余剰の水素が空気中の酸素と反応し、燃焼熱が生じ、その燃焼熱が改質器102及び一酸化炭素除去器103の反応熱に用いられる。
以上のようにポンプ20によって混合液がインレットソケット5の導入孔15に供給されている時に、圧力センサ22の測定圧力P2と圧力センサ21の測定圧力P1とがコントローラ24にフィードバックされ、コントローラ24が圧力センサ22の測定圧力P2と圧力センサ21の測定圧力P1に基づきフィードバック制御を行っている。このように圧力差(P2−P1)を正値にすることで、つまり圧力P2を基準(0kPa)とした場合に圧力P1を負圧(0kPa未満)にすることで吸液部2での毛管力による液体の吸い込みを緩和して気化装置1での突沸を抑え、安定して下流に蒸散された気体を供給することができるので、下流に位置する改質器102の改質処理量を超えるような大量の気体が気化装置1から排出されることがないので、燃料電池システム全体を安定に制御することができる。
具体的には、図4に示すような処理をコントローラ24が行っている。まず、コントローラ24は、ポンプ20の供給量V(変数)を所定の初期値V0にする(ステップS1)。供給量Vが増大すれば、配管23内の圧力P1をより高くすることができる。そして、コントローラ24は、吸液部2の吸液側の端面2aに達して吸液部2が毛管力を発現してから圧力センサ21の測定圧力P1と圧力センサ22の測定圧力P2を読み込む(ステップS2)。そして、コントローラ24は、圧力センサ22の測定圧力P2と圧力センサ21の測定圧力P1の差(P2−P1)を第1閾値Pmax及び第2閾値Pminと比較する(ステップS3、ステップS4)。
ここで、差(P2−P1)が第1閾値Pmax以上である場合(ステップS3:No)、コントローラ24がポンプ20の液体の供給量Vを単位供給量Vsだけ増加させ(ステップS5)、コントローラ24の処理がステップS2に戻る。これにより、ポンプ20が液体の押し出し力を増加し、インレットソケット5に供給される混合液の圧力が上昇する。そのため、アウトレットソケット6から排出される混合気の圧力とインレットソケット5に供給される混合液の圧力の差が小さくなる。
また、圧力差(P2−P1)が第2閾値Pmin以下である場合(ステップS4:No)、コントローラ24がポンプ20の液体の供給量Vを単位供給量Vsだけ減少させ(ステップS6)、コントローラ24の処理がステップS2に戻る。これにより、ポンプ20が液体の押し出し力を低下又は0kPaにし、インレットソケット5に供給される混合液の圧力が下降する。そのため、アウトレットソケット6から排出される混合気の圧力とインレットソケット5に供給される混合液の圧力P1の差が大きくなる。
また、圧力差(P2−P1)が第2閾値Pminを越え第1閾値max未満である場合(ステップS3:Yes、ステップS4:Yes)、コントローラ24がポンプ20の液体の供給量Vを変えずに維持させ(ステップS7)、コントローラ24の処理がステップS2に戻る。
以上のようなコントローラ24のフィードバック制御により、アウトレットソケット6から排出される気体の圧力とインレットソケット5に供給される液体の圧力P1との差は、第2閾値Pminより高く、第1閾値Pmax未満となるように調整され、アウトレットソケット6から排出される気体の圧力とインレットソケット5に供給される液体の圧力との差は所定圧力差Pcにほぼ保たれ、インレットソケット5に供給される液体の圧力がアウトレットソケット6から排出される気体の圧力よりも常に低くなる。このような圧力制御は、液体が吸液部2の吸液側の端面2aに達してから行われないと、吸液部2が毛細管現象による引っ張り力が発現されない恐れがあるが、導入孔15又は配管23の径等を設定してこれらの少なくともいずれか一方に毛細管現象を発現させ、この毛管力が圧力差(P2−P1)による戻し力より大きいように設定されていれば、ポンプ20から送られた液体は負圧にかかわらず自然に吸液部2の吸液側の端面2aに達するので、液体が吸液部2の吸液側の端面2aに達する前に圧力制御を行ってもよい。またポンプ20がシリンジポンプであれば、圧力差(P2−P1)に関わらず定量的に液体を供給することができるので、起動時から上述したステップのフローを開始してもよい。
コントローラ24は、ポンプ20の液体の供給量Vを吸液部2の端面2bから自然に吸収される液体の単位時間当たりの量よりも低くなるように制御した上で、上記のようにポンプ20の液体の供給量Vを増減させて吸液部2の液体の毛管力の引っ張り力が緩和している。
一般に燃料が液滴の状態で燃料電池の燃料極に到達すると触媒を被毒し、発電特性を劣化させてしまうことがあるが、本実施形態によれば、インレットソケット5に供給される液体の圧力がアウトレットソケット6から排出される気体の圧力よりも低く設定しているので、インレットソケット5に供給される液体は、ポンプ20が適正な圧力で燃料が供給され、ポンプでの押し出し圧力の影響がなく、抑えられた吸液部2の毛細管現象によって少しずつ吸液部2に液体を吸収させているから、吸収された液体が液体のまま吸液部2の排出側端面2bから滲みでない。そのため、気化した気体が吸液部2の排出側端面2bから蒸散するに際して、蒸散する気体に液滴が混じらず且つ気化量も安定になるので燃料電池システムの特性を維持することができる。
さらに多孔体内の微小空間が形成された吸液部2の内部で液体が蒸発するので、液体の突沸を抑えやすい構造となっている。
圧力センサ21の測定圧力P1と圧力センサ22の測定圧力P2がコントローラ24にフィードバックされ、コントローラ24によってポンプ20をフィードバック制御しているので、インレットソケット5に供給される液体の圧力やアウトレットソケット6から排出される気体の圧力が外乱により変化したものとしても、インレットソケット5に供給される液体の圧力がアウトレットソケット6から排出される気体の圧力よりも低い状態を常に保つことができる。外乱は、気化装置1を備えたシステムが動作中に、システムを持ち運び等で移動している際に生じる慣性力等の負荷や、改質器102、一酸化炭素除去器103、燃料電池104及び燃焼器105の動作状態の変更や流体経路の切替等のように圧力変動をもたらす外的要因を指す。
また、インレットソケット5への液体の送液量が少な過ぎて、アウトレットソケット6から排出される気体の圧力とのインレットソケット5に供給される液体の圧力との差が大きくなりすぎると、吸液部2も毛管力を上回ってしまい、吸液部2内で生じる気体が吸液側の端面2aまで移動して内部空間12に気泡が生じてしまい、気泡が吸液部2への液体の吸収の妨げになる。ところが、本実施形態では、アウトレットソケット6から排出される気体の圧力とのインレットソケット5に供給される液体の圧力との差を第2閾値Pminより高く、第1閾値Pmax未満となるように制御し、内部空間12で気泡が極力生じないようにしている。そのため、吸液部2への吸液阻害を防止することができる。
なお、上記実施形態では、ポンプ20の液体の供給量Vを単位供給量Vsずつ段階的に調整したが、ポンプ20の液体の供給量Vを無段階的に調整しても良い。
また、ポンプ20自体が供給量一定で動作する場合には、ポンプ20の排出側に可変バルブを備え付け、コントローラ24によってその可変バルブを制御することによって、ポンプ20によって供給される液体の供給量を調整しても良い。この場合には可変バルブとポンプ20の組み合わせが供給手段になる。
また上記実施形態では、気体の圧力を圧力センサ22により測定していたが、吸液部2の毛管力のみによって吸液部2が自発的に送液する液量(μl/min)がポンプ20の送液する最大液量よりも多いように設定されていれば、必然的に圧力差(P2−P1)が0(kPa)より高くなるので正常に動作していれば圧力センサによる圧力検出は必ずしも必要がないが、安全に運転されているかどうかを確認するためには圧力センサを設けていたほうが好ましい。
上述の燃料電池システムは改質型であったが、これに限らず固体酸化物型燃料電池システムに適用してもよい。
以下、実施例を挙げることによって、本発明について更に具体的に説明する。
吸液部2として、直径3mm、長さ10mm、気孔率68%のアクリル系繊維束芯を用いた。そして、アウトレットソケット6の排出孔16を大気に開放して圧力P2をほぼ100kPaとし、発熱体9での印加電圧4V、2.8Aで加熱温度を120℃とした状態で、ポンプ20によりメタノール(60wt%)と水(40wt%)の混合液を移動し、インレットソケット5に供給する混合液の圧力を測定した。そして、ポンプ20の供給量を変化させて、排出孔16から排出される気体や内部空間12の気泡の様子を観察した。また比較例として上記と同条件で液体の移動源としてポンプ20を設けずに吸液部2の毛管力だけで混合液を移動したときの気泡の様子も合わせてその結果を表1に示す。
Figure 0004876627
表1に示すように、吸液側にポンプ20を設けずに吸液を妨げないように接液させて吸液部2の毛管力だけで混合液を移動した場合、圧力差(P2−P1)はほぼ0kPaとなり、移動量が150μl/minであった。このとき、吸液部2の毛管力による混合液の移動の妨げがないため、逆流せずに吸液部2の吸液側の端面2aでは気泡が発生しなかったが、吸液部2の毛管力による混合液の移動量が気化装置1の気化量を超えてしまったため、吸液部2の気化側の端面2bでは、液滴が発生してしまっていた。
また、ポンプ20としてシリンジポンプを設けた場合、ポンプ20を動作しない状態、或いはポンプ20での送液量が吸液部2の毛管力での移動量(150μl/min)未満の場合、圧力差(P2−P1)は正値になる。このように液体の押し出す側での圧力P1を押し出されて気化される側での圧力P2に対して負圧にすると、吸液部2の毛管力の液体の引っ張り方向と反対側の方向に力が加わる。圧力差(P2−P1)が0.8kPaでは、移動量が70μl/minに減り、気化側の端面2bsでは液滴が確認できなかったが、吸液部2の毛管力の引っ張り方向と反対側の方向への力が強すぎて、吸液側の端面2aでは逆流してしまい気泡が確認された。圧力差(P2−P1)が0.7kPaでは、移動量が70μl/minに減り、吸液部2の毛管力の引っ張り方向と負圧による反対側の方向への力のバランスがよく、気化側、吸液側にはそれぞれ気泡、液滴が確認されなかった。
このように、圧力差(P2−P1)は高すぎても低すぎても悪く、気化装置1に設計に応じて適宜第1閾値Pmax、第2閾値Pminを最適化すればよい。
吸液部2として、アクリル系繊維束芯(直径3mm、長さ20mm、気孔率68%、結合材:エポキシ系樹脂、繊維径約20μm)を用いた。そして、アウトレットソケット6の排出孔16を大気に開放して圧力P2をほぼ100kPaとし、発熱体9での印加電圧4V、2.8Aとした状態で、内部空間12にメタノール(60wt%)と水(40wt%)の混合液を充填した。その状態で、内部空間12の圧力を測定しながら、排出孔16から排出される気体を観察した。その結果を表3に示す。
Figure 0004876627
気化装置の本体部分の縦断面図である。 気化装置の一部分の分解斜視図である。 気化装置をカートリッジ、改質器、一酸化炭素除去器、燃料電池及び燃焼器とともに示したブロック図である。 制御手段であるコントローラの処理の流れを示したフローチャートである。
符号の説明
1 気化装置
2 吸液部
3 内チューブ
4 外チューブ
5 インレットソケット
6 アウトレットソケット
7 インレットケース
8 アウトレットケース
9 発熱体
20 ポンプ
21 圧力センサ
22 圧力センサ
24 コントローラ

Claims (12)

  1. 一端側から液体を毛細管現象で吸液する多孔質体からなる吸液部と、
    前記吸液部を加熱して他端側から前記液体を気化させる発熱体と、
    前記吸液部の前記一端側の圧力と前記他端側の圧力との差を、前記吸液部の前記一端側の端面で気泡が発生する圧力差に対応する第1閾値未満であり、且つ、前記吸液部の前記他端側の端面で液滴が発生する圧力差に対応する第2閾値より大きい値に維持するように調整する圧力調整器と、
    を備えることを特徴とする気化装置。
  2. 前記圧力調整器は、
    前記吸液部の前記一端側に前記液体を供給する供給器と、
    前記吸液部の前記一端側の圧力と前記吸液部の前記他端側の圧力との差を、第1閾値未満であり、且つ、前記第2閾値より大きい値に維持するように前記供給器の前記液体の供給量を制御するコントローラと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
  3. 前記圧力調整器は、
    前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第1閾値以上である場合に、前記供給器の液体の供給量を増加させるよう制御することを特徴とする請求項2に記載の気化装置。
  4. 前記コントローラは、
    前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差を、前記第1閾値と比較する第1比較器を備え、
    前記コントローラは、前記第1比較器による比較の結果、前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第1閾値以上である場合に、前記供給器の液体の供給量を増加させるよう制御することを特徴とする請求項3に記載の気化装置。
  5. 前記圧力調整器は、
    前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第2閾値以下である場合に、前記供給器の液体の供給量を低下又は供給を停止させるよう制御することを特徴とする請求項2に記載の気化装置。
  6. 前記コントローラは、
    前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差を、前記第2閾値と比較する第2比較器を備え、
    前記コントローラは、前記第2比較器による比較の結果、前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が前記第2閾値以下である場合に、前記供給器の液体の供給量を低下又は供給を停止させるよう制御することを特徴とする請求項5に記載の気化装置。
  7. 前記コントローラは、
    前記吸液部の前記他端側の圧力と前記吸液部の前記一端側の圧力との差が、前記第1閾値未満であり、且つ、前記第2閾値を越えている場合に、前記供給器の液体の供給量を維持する集積回路としての維持器を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の気化装置。
  8. 前記吸液部が前記一端側で吸収した液体を毛細管現象により前記他端側に吸い上げて、その液体が気化した気体を前記他端側から蒸散させ、
    前記圧力調整器が、
    前記吸液部の前記一端側に液体を供給する供給器と、
    前記供給器によって前記吸液部の前記一端側に供給される液体の圧力を測定する第1の圧力センサと、
    前記吸液部の前記他端側から蒸散した気体の圧力を測定する第2の圧力センサと、
    前記第1の圧力センサによる測定圧力及び前記第2の圧力センサによる測定圧力に基づき前記供給器を制御するコントローラと、を有し、
    前記コントローラが、前記第2の圧力センサによる測定圧力と前記第1の圧力センサによる測定圧力との差を前記第1閾値及び前記第2閾値と比較し、
    比較の結果、前記差が前記第1閾値以上である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を増加させるよう制御し、
    比較の結果、前記差が前記第2閾値以下である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を低下させ、又は前記供給器の液体の供給を停止させるよう制御し、
    比較の結果、前記差が前記第1閾値未満、前記第2閾値超である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を維持させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
  9. 多孔質体からなり、一端及び前記一端の反対側の他端を有し、前記一端側から液体を毛細管現象で吸液し、前記一端側で吸収した液体を毛細管現象により前記他端側に吸い上げて、その液体が気化した気体を前記他端側から蒸散させる吸液部と、
    前記吸液部を加熱する発熱体と、
    前記吸液部の前記一端側に液体を供給する供給器と、
    前記供給器によって前記吸液部の前記一端側に供給される液体の圧力を測定する第1の圧力センサと、
    前記吸液部の前記他端側から蒸散した気体の圧力を測定する第2の圧力センサと、
    前記第1の圧力センサによる測定圧力及び前記第2の圧力センサによる測定圧力に基づき前記供給器を制御するコントローラと、を備え、
    前記コントローラが、前記第2の圧力センサによる測定圧力と前記第1の圧力センサによる測定圧力との差を第1閾値(前記第1閾値は、前記吸液部の前記一端側の端面で気泡が発生する圧力差に対応する値である。)及び第2閾値(前記第2閾値は、前記吸液部の前記他端側の端面で液滴が発生する圧力差に対応する値である。)と比較し、
    比較の結果、前記差が前記第1閾値以上である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を増加させるよう前記供給器を制御し、
    比較の結果、前記差が前記第2閾値以下である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を低下させ、又は前記供給器の液体の供給を停止させるよう制御し、
    比較の結果、前記差が前記第1閾値未満、前記第2閾値超である場合、前記コントローラが前記供給器の液体の供給量を維持させるよう制御することを特徴とする気化装置。
  10. 前記第2閾値がゼロよりも大きく、前記第1閾値が前記第2閾値よりも大きいことを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の気化装置。
  11. 請求項1〜請求項10の何れかに記載の気化装置と、前記気化装置によって気化された燃料によりエネルギーを発生する燃料電池と、前記燃料電池によって発生されたエネルギーにより動作する電子機器本体と、を備えることを特徴とする電子機器。
  12. 多孔質体からなる吸液部で一端側から液体を毛細管現象で吸液するステップと、
    前記吸液部の他端側から前記液体を気化させるように前記吸液部を加熱するステップと、
    前記吸液部の前記一端側の圧力と前記他端側の圧力との差を、前記吸液部の前記一端側の端面で気泡が発生する圧力差に対応する第1閾値未満であり、且つ、前記吸液部の前記他端側の端面で液滴が発生する圧力差に対応する第2閾値より大きい値に維持するように調整するステップと、
    を含むことを特徴とする気化方法。
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