JP5266834B2 - 気化装置及び発電装置 - Google Patents
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Description
このような気化装置として、従来では、芯状の多孔質体を加熱手段によって熱することで、長手方向に向かって気液の相変化を行うように構成されており、安定的に液体燃料を気化させる手段として、気化器を2台以上直列に接続された液体気化供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、多孔質体の液体導入部における気泡の発生を抑制し、動作時における脈動を防止して簡便に安定して気化させることができ、その結果、発電性能を安定化させることができる気化装置及び発電装置を提供することを目的としている。
前記複数の多孔質体の前記導入部から下流側へ浸透した液体を加熱するため、前記複数の多孔質体の前記下流側の外周を覆うように設けられた複数の熱源と、
前記複数の多孔質体の温度を測定する一つの温度測定手段と、
前記一つの温度測定手段による測定温度に基づいて所定温度となるように前記複数の熱源を制御する一つの温度調整手段と、
を備え、
加熱して所定温度以上となったときに第1の多孔質体の前記導入部に第1の液体が供給され、目標流量で安定した時点で第2の多孔質体の前記導入部に沸点の低い第2の液体が供給され、前記第1の液体及び前記第2の液体が加熱されて気化して混合ガスが生成され、
前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部における圧力損失が、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部における圧力損失に比べて大きいことを特徴とする。
前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の長さが、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の長さに比べて長いことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載の気化装置において、
前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の平均気孔径が、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の平均気孔径に比べて小さいことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1に記載の気化装置において、
前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部と前記熱源との間の距離が、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部と前記熱源との間の距離に比べて長いことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の気化装置において、
前記第1の液体が水であり、前記第2の液体がアルコールであることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の気化装置において、
前記液体がアルコールと水の混合液であることを特徴とする。
請求項7の発明は、発電装置において、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の気化装置と、
前記気化装置により生成された気体を基に改質ガスを生成する反応装置と、
前記反応装置により生成された改質ガスを基に発電を行う発電セルと、を備えることを特徴とする。
[第一の実施の形態]
図1は、発電装置100の基本構成を示したブロック図である。
発電装置100は、発電用の水を貯留する水タンク1と、発電用の液体燃料を貯留する燃料タンク2と、水タンク1及び燃料タンク2から供給された水及び液体燃料を気化する気化装置3と、水タンク1から気化装置3に水を供給する水用ポンプP1と、燃料タンク2から気化装置3に液体燃料を供給する燃料用ポンプP2と、気化装置3で気化された水及び液体燃料の混合ガスから改質ガスを生成する反応装置4と、反応装置4で生成した改質ガスを利用して発電を行う発電セル5と、発電装置100全体を制御する制御部6等、を備えている。
液体燃料は、化学燃料単体、あるいは化学燃料と水との混合物であり、化学燃料としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類やジメチルエーテル等のエーテル類、ガソリンといった水素原子を含む化合物を使用することができる。本実施の形態では、メタノール等の化学燃料を用いるものとする。なお、化学燃料と水との混合物としては、例えばメタノールと水とが均一に混合した混合物が化学反応材料として用いられる。
気化装置3は、予め加熱しておき、所定温度以上となったときに液体の水が供給され、水の脈動が収縮して目標流量となり、その目標流量で安定した時点でメタノール等の液体燃料を供給し、このようにして供給した水及びメタノール等の液体燃料を加熱して気化し、混合ガスを生成するものである。気化装置3は、断熱ケース36内に収容された水用吸液部311、燃料用吸液部312、水用収縮性チューブ321、燃料用収縮性チューブ322、排出部33、水用弾性チューブ341、燃料用弾性チューブ342、加熱部(熱源)351,352、温度センサ(温度測定手段)37等を備えている。
また、燃料用吸液部312は、燃料用ポンプP2から燃料用弾性チューブ342を介して液体燃料が供給され、排出部33において加熱部352の熱により燃料用吸液部312内の液体燃料を加熱し、気化した液体燃料を排出部33の排出流路335から排出する。
そして、水用吸液部311の排出流路334から排出された水蒸気と、燃料用吸液部312の排出流路335から排出された気化した液体燃料を、排出流路336で混合した後、反応装置4(図1参照)に供給する。反応装置4では水素ガスが生成されて、発電セル5(図1参照)に供給される。
また、この燃料用吸液部312の軸方向における長さMは、水用吸液部311の軸方向における長さmよりも長くなっている。このように燃料用吸液部312の長さMを水用吸液部311の長さmよりも長くすることによって、燃料用吸液部312の導入部(上流側端部)312aにおける圧力損失が水用吸液部311の導入部(上流側端部)311aにおける圧力損失よりも大きくなる。
また、この燃料用収縮性チューブ322も、軸方向における長さが水用収縮性チューブ321よりも長くなっている。
この排出部33には、水用吸液部311及び燃料用吸液部312が嵌入される二つの嵌入部331,332と、これら嵌入部331,332間に設けられて下流側端部から突出した一つのフランジ部333とが一体的に形成されている。
フランジ部333には、水用吸液部311の下流側へ浸透した液体の水が加熱部351によって加熱されて気化した水蒸気が排出される排出流路334と、燃料用吸液部312の下流側へ浸透した液体燃料が加熱部352によって加熱されて気化した燃料ガスが排出される排出流路335と、これら二つの排出流路334,335に連通して水蒸気と燃料ガスとが流通することによって混合する混合流路336とが形成されている。混合流路336は、断熱ケース36の外部に連通し、混合流路336を介して混合ガスが排出される。
嵌入部331,332はそれぞれの吸液部311,312が嵌入されるよう筒状に形成されていている。排出流路334,335は、各嵌入部331,332の下流側略中央に配置されており、嵌入部331,332の内径よりも小さい直径となっている。
また、フランジ部333には、一つの温度センサ37が挿入される挿入穴337が径方向に沿って形成されている。
なお、上記において、排出部33は金属により形成されるとしたが、排出部33は嵌入された水用吸液部311及び燃料用吸液部312に加熱部351,352による熱を供給するとともに、挿入穴337に挿入される温度センサ37に各吸液部311,312の温度を良好に伝熱する役割を有しており、金属の他、熱伝導率が比較的高い材料で形成するようにしてもよい。
燃料用弾性チューブ342も、水用弾性チューブ341と同様にして、その一端部の内部に排出部33の上流側端部及び燃料用収縮性チューブ322が嵌入されていて、排出部33の上流側端部及び燃料用収縮性チューブ322の外周面と燃料用弾性チューブ342の内周面とが密着している。そして、燃料用弾性チューブ342の他端部は、燃料用収縮性チューブ322の上流側端部から延出していて、燃料用ポンプP2に連結されている。
加熱部351,352は、例えば加熱コイルからなる発熱体353,354と、発熱体353,354を被覆する耐熱性の接着剤355,356とから構成されている。発熱体353,354は嵌入部331,332の下流側端部周囲にそれぞれ巻かれており、接着剤355,356によって被覆されている。発熱体353,354としては、例えばNi−Cr線等を使用することができる。なお、上記において、加熱部351,352は加熱コイルからなる発熱体353,354と接着剤355,356とからなるとしたが、嵌入部331,332を加熱して排出部33に嵌入された各吸液部311,312を加熱する機能を有するものであればよく、例えばシート状の発熱体を嵌入部331,332に巻き付けた構成を有するものであっても良い。さらに、加熱部351,352は、このような加熱コイルに限らず、触媒燃焼器を設けて発熱量を空気ポンプの出力によって制御するようにしても良い。
また、断熱ケース36には、フランジ部333の挿入穴337と連通する連通口363が形成されている。
CH3OH+H2O→3H2+CO2・・・(1)
H2+CO2→H2O+CO・・・(2)
2CO+O2→2CO2・・・(3)
H2→2H++2e−・・・(4)
2H++1/2O2+2e−→H2O・・・(5)
また、制御部6には、第一及び第二のバルブV1,V2が図示しないドライバを介して電気的に接続され、第一及び第二の流量計F1,F2も電気的に接続されている。制御部6は、第一及び第二の流量計F1,F2の測定結果を受けて水及び液体燃料の流量を認識でき第一及び第二のバルブV1,V2の開閉動作(開き量の調整を含む)を制御している。
そして、制御部6は、気化装置3、改質器41、燃焼器42及び一酸化炭素除去器43を加熱する発熱体がドライバを介して電気的に接続され、制御部6は、発熱体の発熱量とその停止とを制御するとともに、温度によって変化する発熱体の抵抗値を計測することによって気化装置3、改質器41、燃焼器42及び一酸化炭素除去器43の各反応器の温度を検出することができるようになっている。発熱体は、発電装置100の起動時に気化装置3、改質器41、燃焼器42及び一酸化炭素除去器43をそれぞれ適正な温度に加熱するものであって、燃焼器42が燃焼を開始して安定して加熱できるようになったら、停止あるいは熱量を低減させても良い。
まず、外部電子機器から通信用端子、通信用電極を介して制御部6に作動信号が入力されることによって発電装置100が作動する。これにより制御部6が、エアポンプP3を作動させ、気化装置3の加熱部351,352の電源372をONにし、温度センサ37によって各吸液部311,312の温度を検出し、検出結果に基づいて所定温度となるように温度制御を行う。また、改質器41、燃焼器42、及び一酸化炭素除去器43の各発熱体も同様に発熱させ、所定温度となるように温度制御する。
そして、制御部6は、気化装置3が所定温度以上であれば、燃料用ポンプP1及び水用ポンプP2の作動、第一及び第二のバルブV1,V2の開閉動作を行い、これによって液体燃料及び水を気化装置3に供給する。気化装置3に供給された液体燃料及び水は加熱されて気化(蒸発)し、燃料ガス及び水蒸気の混合ガスとなって改質器41に供給される。
発電セル5では、燃料極に供給された水素ガスと、エアポンプP3から供給されて加湿器により加湿された酸素極に供給された空気とを基に発電し、電力を外部に供給する。
また、燃料用吸液部312の導入部312aにおける圧力損失が水用吸液部311の導入部311aにおける圧力損失よりも大きくなるので、燃料用吸液部312の導入部312aにおいて液体燃料に係る圧力が増大し、それに伴い飽和溶解度が上昇し、この点においても、液体燃料中の溶存空気による気泡の発生を抑制することができる。
図3は、気化装置3Aの概略構成を示す断面図である。
第二の実施の形態の気化装置3Aは、第一の実施の形態の気化装置3と異なり、水用吸液部311A及び燃料用吸液部312Aの長さはともに同じであるが、燃料用吸液部312Aの平均気孔径が水用吸液部311Aの平均気孔径に比べて小さくなっている。
ここで、平均気孔径とは、吸液部311A,312Aである多孔質体の孔の直径の平均を言うものとする。具体的には、燃料用吸液部312Aの平均気孔径は約2〜10μmであり、水用吸液部311Aの平均気孔径は約15〜25μmである。
なお、その他の構成は第一の実施の形態と同様のため、同様の構成部分については同様の数字に英字Aを付してその説明を省略する。
図4は、気化装置3Bの概略構成を示す断面図である。
第三の実施の形態の気化装置3Bは、第一の実施の形態の気化装置3と異なり、水用吸液部311B及び燃料用吸液部312Bの長さはともに同じであるが、燃料用吸液部312Bの導入部312aB(詳細には上流側端面)から加熱部351B(詳細には発熱体353B)までの距離Nが、水用吸液部311Bの導入部311aB(詳細には上流側端面)から加熱部351B(詳細には発熱体353B)までの距離nに比べて長くなっている。すなわち、加熱部351Bは、水用吸液部311B側の嵌入部331Bの下流側端部を覆っており、燃料用吸液部312B側の嵌入部332Bには設けられていない。
このように燃料用吸液部312B側の距離Nを水用吸液部311B側の距離nよりも長くすることによって、燃料用吸液部312の導入部312aBにおける圧力損失が水用吸液部311の導入部311aBにおける圧力損失よりも大きくなる。
なお、その他の構成は第一の実施の形態と同様のため、同様の構成部分については同様の数字に英字Bを付してその説明を省略する。
また、燃料用吸液部312Bの圧力損失が水用吸液部311Bの圧力損失よりも大きくなるので、燃料用吸液部312Bの導入部312aBにおいて液体燃料に係る圧力が増大し、それに伴い飽和溶解度が上昇し、この点においても、液体燃料中の溶存空気による気泡の発生を抑制することができる。
例えば、水用吸液部311と燃料用吸液部312とにおいて圧力損失を変える手段として、第一〜第三の実施の形態以外に、水用吸液部の表面積を、燃料用吸液部の表面積に比べて小さくしても良く、また、水用吸液部の直径を燃料用吸液部の直径よりも小さくしても良い。このようにしても上記と同様の効果を得ることができる。
さらに、水用吸液部311の導入部311aに冷却効果が得られる構造、例えばヒートシンク、ヒートパイプ、空冷、液冷などの冷却構造を設けるようにしても良い。
また、水用吸液部311側の発熱体353である加熱コイルの巻き数を、燃料用吸液部312側の発熱体354である加熱コイルの巻き数に比べて多くすることによって、燃料用吸液部312側の圧力損失を水用吸液部311側に比べて大きくするようにしても良い。
4 反応装置
5 発電セル
311,311A,311B 水(第1の液体)用吸液部(第1の多孔質体)
312,312A,312B 燃料(第2の液体)用吸液部(第2の多孔質体)
311a,312a,311aB,312aB 導入部
351,352,351A,351A,352A,352B 加熱部(熱源)
37,37A,37B 温度センサ(温度測定手段)
371,371A,371B 温調器(温度調整手段)
100 発電装置
M,m 長さ
N,n 距離
Claims (7)
- 上流側に液体が導入される導入部をそれぞれ有する複数の多孔質体と、
前記複数の多孔質体の前記導入部から下流側へ浸透した液体を加熱するため、前記複数の多孔質体の前記下流側の外周を覆うように設けられた複数の熱源と、
前記複数の多孔質体の温度を測定する一つの温度測定手段と、
前記一つの温度測定手段による測定温度に基づいて所定温度となるように前記複数の熱源を制御する一つの温度調整手段と、
を備え、
加熱して所定温度以上となったときに第1の多孔質体の前記導入部に第1の液体が供給され、目標流量で安定した時点で第2の多孔質体の前記導入部に沸点の低い第2の液体が供給され、前記第1の液体及び前記第2の液体が加熱されて気化して混合ガスが生成され、
前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部における圧力損失が、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部における圧力損失に比べて大きいことを特徴とする気化装置。 - 前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の長さが、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の長さに比べて長いことを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
- 前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の平均気孔径が、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の平均気孔径に比べて小さいことを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
- 前記複数の多孔質体のうち、前記第2の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部と前記熱源との間の距離が、前記第1の液体が供給される前記多孔質体の前記導入部と前記熱源との間の距離に比べて長いことを特徴とする請求項1に記載の気化装置。
- 前記第1の液体が水であり、前記第2の液体がアルコールであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の気化装置。
- 前記液体がアルコールと水の混合液であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の気化装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の気化装置と、
前記気化装置により生成された気体を基に改質ガスを生成する反応装置と、
前記反応装置により生成された改質ガスを基に発電を行う発電セルと、
を備えることを特徴とする発電装置。
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