JP4595907B2 - 燃料の残量確認方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料の残量確認方法に関し、特に燃料電池に供給するための液体燃料の残量確認方法に関するものである。
近年では、携帯電話,ノート型パソコン,デジタルカメラ,PDA(Personal Digital Assistance),電子手帳等の小型の電子機器がめざましい進歩・発展を遂げており、その電源として、アルカリ乾電池,マンガン乾電池等の一次電池及びニッケル−カドミウム蓄電池,ニッケル−水素蓄電池,リチウムイオン電池等の二次電池が用いられている。
上記のような電子機器では、小型であることに加え、電池そのものの配置・姿勢が変わっても一定の電力が供給されるため、例えば、ノート型パソコンであれば小脇に抱えながら持ち運んだり、携帯電話やデジタルカメラであれば胸ポケットやバックに無造作に収納した状態で持ち運んだりして使用することが可能であり、ユーザの使用場面に応じて電子機器を種々の姿勢に保持して使用することができる。
ところが、上記電子機器に搭載される一次電池又は二次電池は、エネルギーの利用効率の観点から検証すると、必ずしもエネルギーの有効利用が図られているとは言えず、今日では、一次電池及び二次電池の代替えのために、高いエネルギー利用効率を実現できる燃料電池についての研究・開発も盛んにおこなわれている。
燃料電池は、燃料と大気中の酸素とを電気化学的に反応させて化学エネルギーから電気エネルギーを直接取り出すものであり、将来性に富む有望な電池であると位置付けられている。しかし、液体燃料等を燃料とする燃料電池では、燃料を貯蔵する燃料容器の取扱いに注意しなければならない。すなわち、このタイプの燃料電池は、燃料そのものが液状で保持されているため、燃料を貯蔵する燃料容器の姿勢が適宜変えられることにより、燃料容器の内部で燃料が重力の作用する方向に移動し、燃料内に気泡が含まれる可能性がある。この場合、気泡が含まれた状態で燃料容器から燃料が流出するため、燃料容器からの燃料の流出(流出量)が不安定になり、その結果、発電モジュール(燃料容器に貯蔵された燃料を用いて発電する部分)に供給される燃料の供給量も不安定となって発電能力の低下を招いてしまう。従って、液体燃料を燃料とする燃料電池を持ち運び自在の小型の電子機器に搭載することは難しい。
そこで、保持される姿勢にかかわらず、発電モジュールへの燃料の供給を安定させることができる燃料容器が考案されている(例えば特許文献1参照)。
具体的に特許文献1に記載の燃料容器(1)では、燃料容器内に液体燃料浸透部材(8)が配設されるとともに燃料容器の側面の所定箇所に負圧対策機構としての細孔(6)が形成されており、細孔からの大気の導入により燃料容器内の負圧を調整しながら、液体燃料浸透部材に浸透した燃料を毛管力により燃料容器から発電モジュール(スタック本体2)に供給している。
特開2001−93551号公報(段落番号0011〜0019,第1図)
特許文献1に記載の燃料容器は、保持される姿勢にかかわらず燃料そのものが確実に液体燃料浸透部材に接触・浸透するため、燃料に気泡が含まれることなく燃料容器から燃料が流出し、発電モジュールへの燃料の供給を安定させることが可能であるけれども、燃料容器を横に寝かせた状態又は斜めに保持した状態において貯蔵された燃料の量が減少すると、燃料容器に残留した燃料が液体燃料浸透部材に接触・浸透せず、発電モジュールへの燃料の供給が途絶えてしまうどころか、残留した燃料を燃料容器の流出口(接続部4)近傍に導出することすらできない。
本発明の課題は、保持される姿勢にかかわらず貯蔵された燃料を残らず全て流出口近傍に安定して導出させることができる燃料の残量確認方法を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の燃料の残量確認方法は、
流出口を有する透明又は半透明の材料から構成される容器本体と、前記容器本体内に設けられた液体燃料と、前記液体燃料よりも高粘性で前記液体燃料と互いに混合することなく分離する着色された高粘性液体と、を有し、前記液体燃料の前記流出口とは反対側を前記高粘性液体で覆い、前記容器本体の内壁と前記高粘性液体とによって前記液体燃料を封止する燃料容器と、
前記燃料容器内の前記液体燃料をもとに発電する燃料電池を具備する発電モジュールと、
を備え、
前記容器本体を介して、前記流出口から前記液体燃料を流出する際に前記液体燃料に追従する前記高粘性液体の液面の変位を視認することで前記液体燃料の残量を確認することを特徴とする。
請求項1に記載の発明では、容器本体に設けられた燃料は流出口の反対側を高粘性液体で覆われているため、容器本体の内壁と高粘性液体とにより封止された状態に保持される。つまり流出口の向きが如何なる方に向いていても、安定して燃料を供給することができ、さらに高粘性液体の位置から容易に燃料の残量を確認することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容器本体の流出口近傍に設けられ、前記高粘性液体が浸透しない吸収体が前記液体燃料を吸収することを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、容器本体の内部に吸収体が充填されているため、燃料は、容器本体の内部で吸収体の復元力(吸収力)を受けるが、燃料が吸収体に吸収されるとき、高粘性液体が燃料の変位に追従し、容器本体の内壁と高粘性液体の液面とに囲まれた空間に負圧(吸引力)が生じる。このため効率よく流出口に燃料を引き寄せやすくなり、燃料容器の姿勢に関わらず安定した燃料の供給を行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容器本体の流出口近傍に容積変化手段が設けられ、当該流出口近傍の部分の容積が変化することを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、容積変化手段が容器本体の燃料容積の減少するように収縮するとともに容器本体内部の圧力を上昇させることで、速やかに燃料を流出口から供給することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容器本体内に充填された、前記液体燃料を吸収することが可能な吸収体を有し、
前記吸収体は、前記容積変化手段による前記容器本体の容積の減少により収縮されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、燃料を吸収して膨潤した吸収体が容積変化手段による容器本体の容積の減少に伴い収縮することにより、吸収体が吸収していた燃料を放出するので、簡易に燃料を流出口から供給することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容積変化手段は、応力により収縮自在な蛇腹であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、容積変化手段が、容器本体に形成された伸縮自在の蛇腹であるので、蛇腹を収縮させて容器本体の容積を減少させることにより、燃料を流出口から確実に流出させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容器本体の内壁と前記高粘性液体の液面とに囲まれた空間に流体を導入することを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、燃料が流出口から放出した分(燃料の液面の変位分)だけ容器本体に生じる空間に流体を導入することができるので、この空間の負圧を容易に調整できる。従って燃料容器の姿勢が如何なる状態であっても、容器本体に設けられた燃料に適宜圧力を加えることができ、流出口から容易に燃料を供給する態勢をとることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容器本体の内部と外部とを連通し、前記容器本体の内壁と前記高粘性液体の液面とに囲まれた空間に流体を導入する孔が設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の燃料の残量確認方法において、
前記孔には、前記液体燃料の揮発成分の透過を遮蔽し、空気を選択的に透過させる選択性透過膜が配設されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
前記流出口の内部には、前記容器本体から前記流出口の外側への前記液体燃料の流出を許容し、前記流出口の外側から前記容器本体への流体の流入を阻止する逆止弁が配設されていることを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、燃料の流れる方向を順方向のみとし、逆方向へ流すことを防止でき、気相の流体が容器本体に流れることがないので、常に安定して燃料を供給できる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
前記高粘性液体は鉱油類又はシリコン油類であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明では、高粘性液体が鉱油類又はシリコン油であるので、高粘性液体と容器本体の内壁との間に高粘性液体の粘性力が強固に作用し、燃料を完全に封止した状態で貯蔵することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容器本体内に充填された、前記液体燃料を吸収することが可能な吸収体を有し、
前記吸収体は、撥油性の材料から構成されているとともに、前記高粘性液体が浸透不可な複数の微細孔を有する多孔質体であることを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、吸収体が撥油性材料から構成された、複数の微細孔を有する多孔質体であるので、高粘性液体が吸収体に接触したとき高粘性液体は吸収体に浸透しない(吸収されない)。従って高粘性液体が容器本体の流出口から流出するのを防止できる。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
前記容器本体の内部は、前記容器本体内の前記流出口側から前記流出口の反対側の方向に配置された隔壁板により仕切られていることを特徴とする。
請求項12に記載の発明では、容器本体の内部が隔壁板により仕切られているので、容器本体の内部に設けられた燃料及び高粘性液体は、隔壁板により形成された各室に設けられている。この場合、高粘性液体は容器本体の内壁に接触するだけでなく隔壁板にも接触するため、高粘性液体そのものの粘性力が容器本体の内壁と隔壁板とに作用し、容器本体の内部で変位しにくくなる。従って、燃料容器を落としたりして燃料容器に衝撃が加えられても、容器本体の内壁と高粘性液体とにより燃料を完全に封止した状態を維持することができ、ひいては燃料が容器本体の内部を変動して燃料と高粘性液体との間の界面又は燃料に気泡が含まれることも防止できる。
本発明では、容器本体に設けられた燃料は高粘性液体で覆われているため、容器本体の内壁と高粘性液体とにより封止された状態に保持され、流出口の向きが如何なる方に向いていても安定して燃料を供給することができ、さらに高粘性液体の位置から容易に燃料の残量を確認することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
図1は、本発明に係る燃料容器7が備わった発電システム1の基本構成を示すブロック図である。図2は、発電システム1に配設される燃料貯蔵モジュール2及び発電モジュール3の概略構成を示す一部破断斜視図である。ただし、図2では燃料貯蔵モジュール2は一端部の構成のみが図示されており、他端部が省略されている。
図1に示す通り、発電システム1は、燃料10(図2及び図3参照)を貯蔵する燃料貯蔵モジュール2と、燃料貯蔵モジュール2に貯蔵された燃料10で発電する発電モジュール3と、を有している。燃料貯蔵モジュール2と発電モジュール3とは互いに着脱自在とされており、燃料貯蔵モジュール2は、図2に示す通り、略円筒状の筐体4を有している。筐体4の頭頂部には円形の貫通孔5が形成されており、筐体4の外周側には、発電モジュール3に繋がる管6が形成されている。また筐体4の内部には燃料容器7が収納されている。
図3は上記燃料容器7の概略構成を示す図面であって、図3(a)は燃料容器7の外観を示す斜視図であり、図3(b)は燃料容器7の内部構成を示す断面図である。
図3(a)に示す通り、燃料容器7は、所定長さを有する円筒状の容器本体15を有している。容器本体15は透明又は半透明を呈した部材であって、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリカーボネート,アクリル等の材料から構成されている。容器本体15の底部には、燃料容器7の内部に空気等の気体を導入する流体導入手段としての流体導入孔14が容器本体15を貫通するように形成されている。流体導入孔14は、容器本体15の内部と外部とを連通する単なる通気孔である。容器本体15の先端部には、流出口9が容器本体15から突出するように配設されており、容器本体15の流出口9近傍には、燃料容器7の長手方向に沿って伸縮自在な容積変化手段としての蛇腹8が形成されている。容器本体15は、蛇腹8が伸びるとき容器本体15内の容積が増加し、蛇腹8が縮むとき容器本体15内の容積が減少するようになっている。
図3(b)に示す通り、容器本体15の内部には燃料10が貯蔵されている。具体的に燃料10は化学燃料と水との混合物である。化学燃料としては、メタノール,エタノール等のアルコール類やガソリンといった水素元素を含む化合物が適用可能である。本実施形態では、メタノールと水とを等モルで均一に混合した混合物が燃料10として用いられている。また容器本体15の内部では、燃料10の液面を完全に覆うように高粘性液体11が重層されている。これにより、燃料10は、容器本体15の内壁(流出口9を除く。)と高粘性液体11により容器本体15の内部に密閉されている。高粘性液体11は燃料10よりも高粘性を有する液体であって、具体的にはポリブテン,流動パラフィン,スピンドル油等の鉱油類やジメチルシリコン油,メチルフェニルシリコン油等のシリコン油類である。さらに高粘性流体11は顔料,染料等の色材で着色されている。また、高粘性流体11は、燃料10に対して不溶性又は難溶性であることが好ましい。
これら燃料10及び高粘性液体11は、水性と油性の特性から互いに混合することなく分離しており、燃料10は、容器本体15の内壁と高粘性液体11とにより完全に封止された状態となって容器本体15に貯蔵されている。また、燃料10と高粘性液体11との界面又は燃料10に混入していた空気等の気体は真空脱泡装置等で予め吸引・除去されており、燃料10と高粘性液体11との界面又は燃料10には、気泡がほとんど含まれない(気泡が無い)状態となっている。
容器本体15の内部の流出口9近傍には、燃料10を吸収する吸収体12が圧縮された状態で充填されている。具体的に吸収体12は、撥油性材料から構成された、高粘性液体11が浸透不可な複数の微細孔を有する多孔質体であり、特に燃料10に対して高い吸収性を有している。従って吸収体12には高粘性液体11が浸透せず(吸収されず)、高粘性液体11が容器本体15の流出口9から流出しないようになっている。また吸収体12は、容器本体15に形成された上記蛇腹8の内壁に密着しており、蛇腹8を収縮させて容器本体15の容積を減少させると吸収体12は収縮し、逆に、吸収体12が燃料10を吸収して膨潤すると蛇腹8が伸びて容器本体15の容積が増加するようになっている。
さらに容器本体15の流出口9の内部には、ダックビル状(アヒル・カモのくちばしのような形状)の逆止弁13が配設されている。逆止弁13は、吸収体12に吸収された燃料10に対して当該燃料10を押し出そうとする圧力(正圧)が加えられると、口13aを押し広げようとする方向に応力が働いて、口13aから流出口9への燃料10の流出を許容し、容器本体15の内部が負圧になることにより流出口9から逆止弁13に向けて圧力が加えられると、口13aを閉じようとする方向に応力が働いて、流出口9から容器本体15への逆流を妨げる機能を有している。本実施形態では、後述の通り、容器本体15内に正圧が加わると、逆止弁13を介して燃料10が容器本体15の内部から流出口9の外部へ流出することができるようになっている。また逆止弁13は、上記の通り、容器本体15内に負圧が加わると口13aを閉じて、逆止弁13からの燃料10等の流体の流出を阻止するようになっている。
なお、上記構成を具備する燃料容器7は、図2に示す通り、供給口9が貫通孔5に挿入されるように燃料貯蔵モジュール2の筐体4に着脱自在に収納されるようになっている。燃料容器7が燃料貯蔵モジュール2の所定位置に設置された状態では、燃料容器7は、容器本体15の外周面の一部が筐体4の外部に露出している。この状態において、上記の通り、容器本体15が透明又は半透明であり、さらに高粘性液体11が着色されているため、容器本体15を介して高粘性液体11の液面の変位を視認することで燃料10の有無又は残量を容易に確認できる。
さらに上記の通り、容器本体15に形成された流体導入手段としての流体導入孔14は単なる通気孔とされているが、流体導入孔14には、高粘性液体11の代わりに、燃料10の揮発成分の透過を遮蔽する機能を有し、さらに空気だけを選択に透過させる機能を有する選択性透過膜が配設されてもよい。この場合、燃料10の揮発成分が容器本体15の外部に放出するのを防止でき、容器本体15に貯蔵された燃料10が揮発して減少するのを防止できる。
次に、発電モジュール3について説明する。
図1に示す通り、発電モジュール3は、燃料容器7から供給された燃料10を改質する改質装置20を有している。改質装置20は気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24から構成されている。また発電モジュール3は、改質装置20により改質された燃料10により発電をおこなう燃料電池25と、燃料電池25で発電された電気エネルギーを貯蓄し必要に応じて電気エネルギーを供給する蓄電部26と、蓄電部26から供給された電気エネルギーを発電モジュール3全体に分配する分配部27と、上記改質装置20、燃料電池25、蓄電部26及び分配部27を電子制御する制御部28と、を有している。
図2に示す通り、発電モジュール3は略円筒状の筐体30を有している。筐体30の内部には、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24がこの順に重ねられた状態で配設されており、さらには気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24を囲むように燃料電池25が配設されている。また燃料電池25の外側であって筐体30の外周面には、空気中の酸素を吸気するための複数のスリット31,31,…が互いに平行に並んだ状態で形成されている。
筐体30の頭頂部には、蓄電部26(図1参照)から外部のデバイスに電気エネルギーを供給するための端子32が配設されており、端子32の周囲であって筐体30の頭頂部には複数の通気孔33,33,…が形成されている。
筐体30の底部には、燃料貯蔵モジュール2と嵌合するために下方に突出する管34,35が配設されている。管34は水を排出するためのものであり、管35は燃料容器7から燃料10を吸入するためのものである。また、管34にはバルブ36が配設されており、筐体30に設けられた水導入管37がバルブ36を介して管34に通じている。
次に、上記改質装置20の各反応器及び燃料電池25で起こる化学反応の各過程について説明する。
気化器21は、燃料貯蔵モジュール2の燃料容器7から管35を通じて供給された燃料10を加熱することで、燃料10を気化(蒸発)させるものである。気化器21で気化した混合気は水蒸気改質反応器22へ供給される。
水蒸気改質反応器22は、化学反応式(1)のように、気化器21から供給された混合気を改質触媒で水素ガスと二酸化炭素ガスに改質するものである。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 … (1)
また、気化器21から供給された混合気が完全に水素ガスと二酸化炭素ガスとに改質されない場合もあり、この場合、化学反応式(2)のように、水蒸気改質反応器22で微量の一酸化炭素ガスが生成される。
2CH3OH+H2O→5H2O+CO+CO2 … (2)
水蒸気改質反応器22で生成された水素ガス、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素に加えて未反応の水蒸気は、水性シフト反応器23へ供給される。
水性シフト反応器23は、化学反応式(3)のように、水蒸気改質反応器22から供給された混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気及び一酸化炭素ガス)のうち一酸化炭素ガスを触媒で水性シフト反応させるものである。
CO+H2O→CO2+H2 … (3)
水蒸気改質反応器22において未反応だった水蒸気が水性シフト反応に用いられ、混合気の水蒸気及び一酸化炭素ガス濃度は非常に希薄になる。水性シフト反応器23から選択酸化反応器24へ混合気(水素ガス、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスを含む。)が選択酸化反応器24へ供給される。
選択酸化反応器24は、水性シフト反応器23から供給された混合気のうち一酸化炭素ガスを触媒によって選択し、化学反応式(4)のように、一酸化炭素ガスを酸化させるものである。
2CO+O2→2CO2 … (4)
化学反応式(4)の左辺の酸素は、発電モジュール3の複数の通気孔33,33,…を介して大気中から選択酸化反応器24に取り込まれる。また、選択酸化反応器24には、化学反応式(4)の化学反応を選択的に促進する触媒が形成されているため、混合気に含まれる水素はほとんど酸化しない。選択酸化反応器24から燃料電池25へ混合気が供給されるが、その混合気には一酸化炭素ガスがほとんど含まれず、水素ガス及び二酸化炭素ガスの純度が非常に高い。選択酸化反応器24に水素とそれ以外の無害の副生成物とに分離できる機構が設けられていれば、各通気孔33からその副生成物を排出するようにしてもよい。
燃料電池25は、触媒微粒子が付着した燃料極(カソード)と、触媒微粒子が付着した空気極(アノード)と、燃料極と空気極との間に介装されたフィルム状のイオン伝導膜とを具備するものである。燃料極には選択酸化反応器24からの混合気が供給され、空気極には、発電モジュール3の外周面に設けられた複数のスリット31,31,…を介して大気中の酸素ガスが供給される。
電気化学反応式(5)に示すように、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極に付着した触媒により電子の分離した水素イオンが発生し、水素イオンがイオン伝導膜を通じて空気極へ伝導し、燃料極より電子が取り出される。また、選択酸化反応器24から供給された混合気のうち二酸化炭素ガスは、反応せずに外部に放出される。
3H2→6H++6e- … (5)
一方、電気化学反応式(6)に示すように、空気極に酸素ガスが供給されると、イオン導電膜を通過した水素イオンと、酸素ガスと、電子とが反応して、水が生成される。
6H++3/2O2+6e-→3H2O … (6)
燃料電池25で以上のような電気化学反応が起こることによって、電気エネルギーが生成される。生成された電気エネルギーは、蓄電部26に貯蓄されるようになっている。
なお、上記気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24は、シリコン、アルミニウム合金又はガラスからなる小型の基板に形成されたマイクロ流路に流体を流してこの流体を気化させるか又は流体の少なくとも一部に化学反応を引き起こさせるマイクロリアクタとして機能するものである。以下では、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の構造について説明する。
図4は気化器21の断面図であり、図5は気化器21に備わった熱処理炉40の斜視図である。
図4に示す通り、気化器21は、低融点ガラスで形成された直方体状のガラス容器53を有しており、ガラス容器53の内壁及び外壁には、アルミ等で形成された輻射シールド膜51,52が成膜されている。各輻射シールド膜51,52は、赤外線を含む電磁波に対して高い反射性を有しており、後述の熱処理炉40で発した電磁波をガラス容器53の内部に反射するようになっている。これにより、熱処理炉40で発された電磁波はガラス容器53の外部に伝播するのを遮蔽され、熱処理炉40から発された電磁波による輻射熱がガラス容器53の外部に放熱するのを防止できるようになっている。
ガラス容器53の内壁に成膜された輻射シールド膜51の内側であってガラス容器53の内部の各角部には、支持体54,54,…がそれぞれ配設されている。そして各支持体54により支持された状態で、熱処理炉40がガラス容器53の内部に配設されている。ただし、熱処理炉40はガラス容器53の内壁から離間している。
上記熱処理炉40は、図4に示す通り、2枚の基板41,42を互いに重ね合わせて接合した構造を有している。各基板41,42はシリコン結晶,アルミニウム,ガラス等の材料で構成されている。そして図5に示す通り、各基板41,42の接合部には葛折りとされたマイクロ流路43が形成されている。
マイクロ流路43は、基板41の一方の面に形成された葛折り状の溝を基板42に向かい合わせて基板41と基板42とを接合することで形成されており、基板41と基板42との間に封止されている。マイクロ流路43としての溝は、基板41の一方の面にフォトリソグラフィー法,エッチング法等を適宜施すことによって形成されている。
図4及び図5に示す通り、マイクロ流路43の一方の端部には流出管45の端部が連結されている。流出管45は、基板41、輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通して熱処理炉40からガラス容器53外部に引き出されている。マイクロ流路43の他方の端部には流入管44の端部が連結されている。流入管44も、流出管45と同様に、基板42、輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通して熱処理炉40からガラス容器53の外部に引き出されている。また、流入管44は上記管35に通じており、燃料容器7に貯蔵された燃料10が、容器本体15内に加わる圧力により管35及び流入管44を介していつでもマイクロ流路43に流入できるようになっている。
なお、管35と流入管44との間にはマイクロポンプ(図示略)が介在している。このマイクロポンプは上記制御部28に接続されており、上記制御部28がマイクロポンプを制御して管35から流入管44に流れる燃料10の流量を制御するようになっている。また、燃料10が貯蔵された容器本体15の流出口9と管35とが嵌合した状態においては、流出口9に逆止弁13が配設されているので、容器本体15から燃料10がなくならない限り、管35内には常に燃料10が満たされるようになっている。
さらに図5に示す通り、基板42の基板41との接合面には、マイクロ流路43に対応するような葛折り状の発熱抵抗膜47が形成されている。基板41と基板42とが互いに接合された状態では、マイクロ流路43を形成する溝に発熱抵抗膜47が重なり、発熱抵抗膜47がマイクロ流路43の床を形成している。発熱抵抗膜47は、マイクロ流路43の一端から他端までマイクロ流路43に沿って形成されている。
マイクロ流路43の一端において発熱抵抗膜47にリード線48が接続されており、マイクロ流路43の他端において発熱抵抗膜47にリード線49が接続されている。各リード線48,49は、金,白金,ニッケル等の抵抗率が非常に低く化学的に安定した金属材料で形成されており、各リード線48,49の電気抵抗は、発熱抵抗膜47の電気抵抗に比較しても非常に小さくなっている。
図4に示す通り、各リード線48,49は、2枚の基板41,42に挟まれた状態で輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通して熱処理炉40からガラス容器53の外部に引き出されている。リード線48はガラス容器53の外部において分配部27の一方の電極に接続されており、リード線49はガラス容器53の外部において分配部27の他方の電極に接続されている。
分配部27は、制御部28からの制御信号に応じて発熱抵抗膜47に供給する電力を変位させながら発熱抵抗膜47の温度を制御し、気化器21での燃料10の単位時間当たりの気化量や後述する水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24での反応の進行具合を適性化する機能を有している。例えば、分配部27によって印加される電圧が一定であれば、分配部27はリード線48,49に流す電流を変更できるようになっており、分配部27によって流れる電流が一定であれば、分配部27はリード線48−リード線49に印加する電圧を変更できるようになっている。勿論、分配部27が電圧と電流の両方を変更できてもよく、直流駆動及び交流駆動のいずれであってもよい。
さらに制御部28は、汎用のCPU(central processing unit)等からなる演算処理装置又は専用の論理回路を有し、分配部27の電圧及び電流を示す信号をフィードバックして分配部27から発熱抵抗膜47に付与する電力を調整する機能を有している。このような構成により、発熱抵抗膜47による発熱温度が調整されるようになっている。
なお、上記構成を具備する気化器21では、流入管44、流出管45及びリード線48,49が各輻射シールド膜51,52及びガラス容器53を貫通した状態において、ガラス容器53の内部は密閉された空間となっており、ガラス容器53の内部空間は気圧が非常に低い真空状態となっている。従ってガラス容器53の内部には熱を伝搬する媒体がほとんど存在せず、熱処理炉40からガラス容器53の外部への熱の放熱を抑えることができるようになっている。
図6は、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器を示す断面図である。ただし、図6に示す水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器では、上記気化器21と同様の構成要素に上記と同様の符号を付してそれら構成要素の詳細な説明を省略している。
図6に示す通り、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器は、上記気化器21と略同様の構成を有しているが、特に水蒸気改質反応器22の流入管44は気化器21の流出管45に通じており、水蒸気改質反応器22の流出管45は水性シフト反応器23の流入管44に通じており、水性シフト反応器23の流出管45は選択酸化反応器24の流入管44に通じており、選択酸化反応器24の流出管45は燃料電池25の燃料極に通じている。また、図2にも示す通り、気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器はこの順に重ねられているが、各反応器の外壁に被膜された輻射シールド膜52が隣り合う反応器同士で接触した状態で各反応器が重ねられている。
さらに水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24のいずれの反応器においても、マイクロ流路43の内壁及び天井(つまり、基板41の溝の壁面)には改質触媒膜46がマイクロ流路43の一端から他端までマイクロ流路43に沿って形成されている。改質触媒膜46は、燃料10に含まれる化学燃料を改質して水素を生成するものであり、改質触媒膜46の成分・種類等は、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23、選択酸化反応器24の間で異なっていてもよい。ここで、水蒸気改質反応器22の場合には、上記化学反応式(1)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進され、水性シフト反応器23の場合には、上記化学反応式(3)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進され、選択酸化反応器24の場合には、上記化学反応式(4)で示された化学反応が改質触媒膜46によって促進されるようになっている。
次に、発電システム1の使用方法及び動作を説明する。
まず、発電モジュール3に燃料10を供給するために、燃料10が貯蔵された燃料容器7を燃料貯蔵モジュール2の筐体4の所定位置に設置しなければならないが、図7(a)に示す通り、設置前の燃料容器7においては、逆止弁13が閉塞しており、吸収体12が燃料10を吸収して膨潤し蛇腹8が伸びた状態になっている。また燃料容器7の内部では、吸収体12の復元力(吸収力)F1と高粘性液体11の表面張力F2とが作用し、これら復元力F1と表面張力F2とが釣り合った状態となっている。
そして図7(a)に示す状態の燃料容器7を燃料貯蔵モジュール2の筐体4の所定位置に設置し、その後、流出口9を貫通孔5に挿入するように燃料容器7を燃料貯蔵モジュール2から発電モジュール3に向けて押し付ける。すると流出口9が貫通孔5に挿入されるとともに、図7(b)に示す通り、発電モジュール3の管35が燃料容器7の流出口9に挿入される。これと同時に燃料容器7が発電モジュール3側に押し付けられるため、流出口9の先端部が発電モジュール3の筐体30の底面に当接して容器本体15に押力F3が加わり、燃料容器7の吸収体12及び蛇腹8が収縮する。これにより、吸収体12に吸収されていた燃料10は、吸収体12の収縮により吸収体12から放出されるが、このとき、蛇腹8の収縮によって容器本体15の容積が減少したため、容器本体15内の圧力が上昇し、燃料10は行き場を失って流出口9に集まろうとする。このため、流出口9の逆止弁13に燃料10の圧力が加えられ、逆止弁13が管35を通じて燃料容器7から燃料10を発電モジュール3側に一時的に流出し、容器本体15内外の圧力バランスの均衡が保たれる。
なお、ここで流出した燃料10は、マイクロポンプ(管35と気化器21の流入管44との間に介在する上記マイクロポンプ)に到達する程度に管35内を満たしてマイクロポンプの揚程を稼ぐ呼水として機能する。つまり管35内には、圧力により体積が変位する気体がないので、マイクロポンプによって容易に容器本体15内の燃料10を取り込むことができる。また、逆止弁13は燃料10を逆流させないので、燃料容器7が発電モジュール3の管35に一旦挿入されれば管35内に気体が混入することはない。このためマイクロポンプにより安定した燃料10の供給を行うことができる。
その後、制御部28により制御された状態で発電モジュール3のマイクロポンプが作動し、図7(c)に示す通り、燃料容器7の燃料10は、吸収体12に吸収されながら管35を通じて吸引され、吸収体12から管35を通じて必要な発電量に見合った量だけ発電モジュール3に順次供給される。この状態において容器本体15の内部では燃料10の減少に伴い圧力が減少するために、容器本体15内外の圧力バランスの均衡を保とうとして燃料10及び高粘性液体11に力F4が働き、高粘性液体11が燃料10の液面の変位に追従する。このとき、容器本体15の内壁と高粘性液体11の液面とに囲まれた空間に負圧(吸引力)が生じるが、燃料容器7の容器本体15の底部に流体導入孔14が形成されているため、燃料10が移動した分(燃料10の液面の変位分)だけ上記空間に流体導入孔14を通じて外気が導入され、燃料容器7の内部の負圧が調整される。
そして燃料容器7の燃料10が管35を通じて流出し続けると、燃料貯蔵モジュール2から発電モジュール3への燃料10の供給が終了し、図7(d)に示す通り、燃料容器7の内部では高粘性液体11が吸収体12に付着する。このとき、吸収体12は上記の通りに撥油性材料から構成されかつ複数の微細孔を有しているため、吸収体12では高粘性液体11が吸収されず、燃料容器7から発電モジュール3に高粘性液体11が流出することはない。
このように燃料貯蔵モジュール2から発電モジュール3に燃料10が供給される一方で、発電モジュール3では、改質装置20を駆動するための制御信号が制御部28から分配部27に入力される。すると、分配部27から気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各反応器の発熱抵抗膜47にリード線48,49を介して電力が供給され、各発熱抵抗膜47が発熱する。ここで、制御部28は、分配部27から気化器21、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24の各発熱抵抗膜47に与える電圧及び電流を示す信号をフィードバックし、各発熱抵抗47が所定温度に発熱するように分配部27の電圧及び電流を制御する。
このとき、発電モジュール3の管35及び気化器21の流入管44を通じて、燃料10が燃料容器7から気化器21の熱処理炉40内に供給され、燃料10が発熱抵抗膜47の熱によって蒸発し、気化器21内では気圧が高くなって対流が生じる。これにより液体の燃料10がメタノールと水との混合気に相変化し、気化器21から水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23、選択酸化反応器24及び燃料電池25までこの順に流通する。
水蒸気改質反応器22においては、混合気が流入管44から流出管45へとマイクロ流路43を流れる。混合気がマイクロ流路43を流れているときには、混合気が発熱抵抗膜47で加熱される。そして、混合気が改質触媒膜46によって促進されて、混合気が上記化学反応式(1)・(2)のような反応を起こす。
水性シフト反応器23においては、混合気がマイクロ流路43を流れているときに発熱抵抗膜47によって加熱されて、上記化学反応式(3)のような反応を起こす。選択酸化反応器24においても同様に、混合気がマイクロ流路43を流れているときに発熱抵抗膜47によって加熱されて、上記化学反応式(4)のような反応を起こす。そして、水蒸気改質反応器22、水性シフト反応器23及び選択酸化反応器24によって生成された水素が燃料電池25の燃料極に供給されて、燃料電池25で電気化学反応が起きて電気エネルギーが生成される。生成された電気エネルギーは、蓄電部26に貯蓄されたり端子32を通じて外部に供給されたりする。
以上のように本実施形態の燃料容器7では、容器本体15に貯蔵された燃料10は、容器本体15の内壁と高粘性液体11とにより完全に封止された状態に保持され、容器本体15の内部で吸収体12の復元力(吸収力)を受けるようになっている。そして燃料10が吸収体12に吸収されるとき、高粘性液体11が燃料10の変位に追従し、容器本体15の内壁と高粘性液体11の液面とに囲まれた空間に負圧(吸引力)が生じるけれども、容器本体15に流体導入孔14が配設されているため、燃料10が移動した分(燃料10の液面の変位分)だけ容器本体15の上記空間に流体導入孔14を通じて空気が導入されて、上記空間の負圧が調整される。従って燃料容器7の姿勢が如何なる状態であっても、つまり供給口9の口先が如何なる方向に向いていたとしても、容器本体15に貯蔵された燃料10はほとんど残らず、供給口9近傍に充填された吸収体12に確実に吸収される。これにより、本実施形態の燃料容器7では、保持される姿勢にかかわらず貯蔵された燃料10をほとんど残らず流出口9近傍に導出させることができる。
さらに本実施形態の燃料容器7では、上記の通り、容器本体15に貯蔵された燃料10が容器本体15の内壁と高粘性液体11とにより完全に封止された状態に保持されるため、燃料10が大気に接触することはない。従って、容器本体15に貯蔵された燃料10が揮発して減少するのを防止できる。また、燃料10が燃料容器7に貯蔵された状態では、燃料10と高粘性液体11との界面又は燃料10に気泡が含まれていない(気泡が無い)ため、本実施形態の発電システム1では、燃料貯蔵モジュール2の燃料容器7から発電モジュール3への燃料10の供給を安定させることができ、ひいては発電モジュール3で発電される電力の低下を防止することができる。
このように、燃料容器の容器本体に設けられた燃料は流出口の反対側を高粘性液体で覆われているため、容器本体の内壁と高粘性液体とにより封止された状態に保持される。容器本体内に圧力を加えられて燃料が流出口の外側より高い圧力下にある場合や、流出口の外側の圧力が容器本体内より低い状態の場合に、圧力の変化に伴い燃料内に気相状態の流体がほとんど混入しないので燃料容器の姿勢が如何なる状態であっても、つまり流出口の向きが如何なる方に向いていても容器本体の流出口から燃料が一旦外に出てしまえば、容器本体内外の圧力が平衡状態になるか、容器本体の流出口から燃料を取り込んでいる取り込み手段が取り込み停止しない限り、安定して燃料を供給することができる。また、容器本体に設けられた燃料が、容器本体の内壁(流出口を除く。)と高粘性液体とにより封止された状態に保持されるため、燃料が大気に接触することはほとんどない。従って、容器本体に設けられた燃料が揮発して減少するのを防止できる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなってもよい。
例えば図8に示す通り、燃料容器7の容器本体15の内部を燃料容器7の長手方向(燃料10又は高粘性液体11の変位方向)に沿う複数の隔壁板16,16,…により仕切るようにしてもよい。この場合、高粘性液体11は容器本体15の内壁に接触するだけでなく隔壁板16にも接触するため、高粘性液体11そのものの粘性力が容器本体15の内壁と隔壁板16とに作用し、容器本体15の内部では変位しにくくなる。従って、燃料容器7を落としたりして燃料容器7に衝撃が加えられても、容器本体15の内壁と高粘性液体11とにより燃料10を完全に封止した状態を維持することができ、ひいては燃料10が容器本体15の内部を変動して燃料10と高粘性液体11との間の界面又は燃料10に気泡が含まれることも防止できる。そしてさらに隔壁板16の間隔を狭くするほど表面張力による毛細管現象を促進することができ、より速やかに燃料10を供給することができる。
また上記各実施形態では、逆止弁13が燃料容器7に設けられたが、これに限らず発電モジュール3に設けられてもよい。この場合、マイクロポンプと管35の先端との間であればどこでもよい。
発電システムの基本構成を示すブロック図である。 燃料貯蔵モジュール及び発電モジュールの概略構成を示す一部破断斜視図である。 (a)燃料容器を示す外観斜視図であり、(b)燃料容器の内部構成を示す断面図である。 気化器を示す断面図である。 気化器の熱処理炉を示す外観斜視図である。 水蒸気改質反応器、水性シフト反応器及び選択酸化反応器の各反応器を示す断面図である。 (a)〜(d)燃料容器から発電モジュールに燃料を供給する際の燃料容器内での変化を示す図面である。 図3の燃料容器の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1…発電システム
2…燃料貯蔵モジュール
3…発電モジュール
4…筐体
5…貫通孔
6…管
7…燃料容器
8…蛇腹(容積変化手段)
9…流出口
10…燃料
11…高粘性液体
12…吸収体
13…逆止弁
14…流体導入孔(流体導入手段)
15…容器本体
16…隔壁板
20…改質装置
21…気化器
22…水蒸気改質反応器
23…水性シフト反応器
24…選択酸化反応器
25…燃料電池
26…蓄電部
27…分配部
28…制御部
30…筐体
31…スリット
32…端子
33…通気孔
34,35…管
36…バルブ
37…水導入管
40…熱処理炉
41,42…基板
43…マイクロ流路
44…流入管
45…流出管
46…改質触媒膜
47…発熱抵抗膜
48,49…リード線
51,52…輻射シールド膜
53…ガラス容器
54…支持体

Claims (12)

  1. 流出口を有する透明又は半透明の材料から構成される容器本体と、前記容器本体内に設けられた液体燃料と、前記液体燃料よりも高粘性で前記液体燃料と互いに混合することなく分離する着色された高粘性液体と、を有し、前記液体燃料の前記流出口とは反対側を前記高粘性液体で覆い、前記容器本体の内壁と前記高粘性液体とによって前記液体燃料を封止する燃料容器と、
    前記燃料容器内の前記液体燃料をもとに発電する燃料電池を具備する発電モジュールと、
    を備え、
    前記容器本体を介して、前記流出口から前記液体燃料を流出する際に前記液体燃料に追従する前記高粘性液体の液面の変位を視認することで前記液体燃料の残量を確認することを特徴とする燃料の残量確認方法。
  2. 請求項1に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容器本体の流出口近傍に設けられ、前記高粘性液体が浸透しない吸収体が前記液体燃料を吸収することを特徴とする燃料の残量確認方法。
  3. 請求項1又は2に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容器本体の流出口近傍に容積変化手段が設けられ、当該流出口近傍の部分の容積が変化することを特徴とする燃料の残量確認方法。
  4. 請求項3に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容器本体内に充填された、前記液体燃料を吸収することが可能な吸収体を有し、
    前記吸収体は、前記容積変化手段による前記容器本体の容積の減少により収縮されることを特徴とする燃料の残量確認方法。
  5. 請求項3又は4に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容積変化手段は、応力により収縮自在な蛇腹であることを特徴とする燃料の残量確認方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容器本体の内壁と前記高粘性液体の液面とに囲まれた空間に流体を導入することを特徴とする燃料の残量確認方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容器本体の内部と外部とを連通し、前記容器本体の内壁と前記高粘性液体の液面とに囲まれた空間に流体を導入する孔が設けられていることを特徴とする燃料の残量確認方法。
  8. 請求項7に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記孔には、前記液体燃料の揮発成分の透過を遮蔽し、空気を選択的に透過させる選択性透過膜が配設されていることを特徴とする燃料の残量確認方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記流出口の内部には、前記容器本体から前記流出口の外側への前記液体燃料の流出を許容し、前記流出口の外側から前記容器本体への流体の流入を阻止する逆止弁が配設されていることを特徴とする燃料の残量確認方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記高粘性液体は鉱油類又はシリコン油類であることを特徴とする燃料の残量確認方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容器本体内に充填された、前記液体燃料を吸収することが可能な吸収体を有し、
    前記吸収体は、撥油性の材料から構成されているとともに、前記高粘性液体が浸透不可な複数の微細孔を有する多孔質体であることを特徴とする燃料の残量確認方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の燃料の残量確認方法において、
    前記容器本体の内部は、前記容器本体内の前記流出口側から前記流出口の反対側の方向に配置された隔壁板により仕切られていることを特徴とする燃料の残量確認方法。
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