JP4876336B2 - 表皮一体成形品の表皮用組成物 - Google Patents

表皮一体成形品の表皮用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両内装品等として用いられる表皮一体成形品の表皮用組成物に関し、詳しくは熱可塑性ポリオレフィンを主成分とする表皮一体成形品の表皮用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のインストルメントパネル(インパネ)、ドアトリム、センターコンソールなどの内装品として用いられる表皮一体成形品は、硬質の樹脂基材と、該樹脂基材表面に発泡成形などにより形成されたポリウレタンフォームなどの材料からなる発泡層と、該発泡層表面を被覆する成形表皮とから構成されている。かかる構成によれば、樹脂基材により剛性を確保するとともに、成形表皮により意匠性を高くし、発泡層によりソフト感を付与することができる。
【0003】
このような表皮一体成形品を製造するには、それぞれが予め所定形状に形成された樹脂基材と成形表皮とを発泡成形型内に配置し、成形表皮と樹脂基材の間に発泡材料を注入して発泡成形することで三層を一体化する方法が一般に用いられている。樹脂基材は、アクリロニトリル・スチレンコポリマーやポリカーボネート/ABSアロイなどから射出成形等により所定形状に形成されたものが用いられている。また、成形表皮は、熱可塑性樹脂シートなどから真空成形により所定形状に賦形したもの、あるいはパウダースラッシュ成形により所定形状に形成されたものなどが用いられている。なお、パウダースラッシュ成形方法を用いれば、熱可塑性樹脂シートを製造する工数が削減できるとともに、複雑な形状でも比較的容易に成形できる利点がある。
【0004】
自動車内装品の表皮用材料としては、従来より塩化ビニル系樹脂が多用されている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂には可塑剤が多く含まれているために、可塑剤のブリードが生じやすいという不具合がある。また、発泡層の形成時に用いられるアミン系触媒の影響により、高温が作用すると表皮に着色が生じるという不具合もある。
【0005】
そこで、近年では、表皮用材料として熱可塑性ポリオレフィン(以下、適宜「TPO」という)の採用が検討されている。TPOは変質が少なく安定であり、適度な柔軟性を有している。そして、塩化ビニル系樹脂と同様に、TPO粉末を用いたパウダースラッシュ成形により、表皮を容易に成形することができる。また、TPOは、地球環境にやさしく、リサイクル性や軽量性にも優れるため、塩化ビニル系樹脂の代替材料として注目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、TPOは非極性樹脂であり、極性基をもつウレタン樹脂とは非相溶性である。このため、TPOから形成された成形表皮を型内に配置してウレタン発泡層を発泡成形しても、発泡層と成形表皮とを接着させることが困難である。したがって、TPOから形成された成形表皮と発泡層とを確実に接着させるためには、成形表皮の裏面に接着剤を予め塗布しておくことが必要となり、工程数や材料費の増加に伴うコストアップの問題が発生する。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、TPOを主成分としつつ、ウレタン樹脂との接着を可能とした表皮一体成形品の表皮用組成物を提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の表皮一体成形品の表皮用組成物は、表皮を発泡成形型内に配置してポリウレタン発泡体を一体成形する表皮一体成形品の表皮に用いられる表皮用組成物であって、
水素添加スチレン−ブタジエンゴム又はオレフィン系エラストマーと、オレフィン系樹脂と、を含む主成分としての熱可塑性ポリオレフィンと、
熱可塑性ポリオレフィンよりなる主鎖及び該主鎖に結合されウレタン官能基を一部に有する側鎖からなり、副成分として1〜30mass%配合されウレタン官能基のグラフト率が1〜20mass%であるウレタン官能基グラフト水素添加スチレン−ブタジエンゴム又はウレタン官能基グラフトオレフィン系エラストマーとを含むことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の表皮一体成形品の表皮用組成物は、TPOを主成分とする。このTPOとしては、表皮自体にある程度の柔軟性をもたせる等の観点より、水素添加スチレン−ブタジエンゴム又はオレフィン系エラストマーを含み、オレフィン系樹脂も含む。オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR、EPM、EPDM)等を挙げることができる。また、オレフィン系樹脂としては、結晶性ポリプロピレン(結晶性PP)、非晶性ポリプロピレン(非晶性PP)やエチレン/オクテン共重合体等を挙げることができる。なお、必要に応じて、プロセスオイル等の可塑剤や内部離型剤を添加することも勿論可能である。
【0012】
(1)請求項1記載の表皮一体成形品の表皮用組成物は、水素添加スチレン−ブタジエンゴム又はオレフィン系エラストマーと、オレフィン系樹脂と、を含む主成分としての熱可塑性ポリオレフィンよりなる主鎖と、該主鎖に結合され、ウレタン官能基を一部に有する側鎖とからなるウレタン官能基グラフト水素添加スチレン−ブタジエンゴム又はウレタン官能基グラフトオレフィン系エラストマー(以下、適宜「ウレタン官能基グラフトTPO」という)が、副成分として所定量配合されている。
【0013】
副成分として配合されたウレタン官能基グラフトTPOは、ウレタン官能基を一部に含む側鎖が、TPOよりなる主鎖にグラフトにより結合されている。このウレタン官能基グラフトTPOにおける極性基としてのウレタン官能基は、主成分としてのTPOの非極性を緩和する。そして、TPOの非極性が緩和されることにより、極性基としてのウレタン基をもつウレタン樹脂との相溶性が増大する。このため、ウレタン官能基グラフトTPOが副成分として配合させた請求項1記載の表皮用組成物は、ウレタン樹脂との接着性が発現する。
【0014】
また、ウレタン樹脂は耐摩耗性の優れた樹脂として知られている。これは、優れたモノフォルジーによるものと考えられる。このため、ウレタン官能基がグラフト化されたウレタン官能基グラフトTPOを配合させることにより、表皮材における耐摩耗性の向上も期待できる。
【0015】
ここに、上記ウレタン官能基グラフトTPOを構成する主鎖は熱可塑性ポリオレフィンよりなる。この主鎖を構成するTPOと、本発明の表皮用組成物の主成分となるTPOとは同じものでも、異なるものでもよい。但し、リサイクル性を考慮すれば、同じものを用いることが好ましい。また、主成分となるTPOとしてPP及びEPDMを含むものを用いた場合は、ウレタン官能基グラフトTPOの主鎖を構成するTPOとしてEPDMを用いることが好ましい。なお、ウレタン官能基グラフトTPOの主鎖としてTPOを採用するのは、リサイクル性の点で有利となるためである。
【0016】
一方、TPOよりなる主鎖に結合された側鎖は、ウレタン官能基を一部に有する。この側鎖としては、ウレタン官能基を有するものであれば特に限定されず、側鎖中に水酸基やカルボキシル基等の他の官能基が含まれていてもよい。また、側鎖中に含まれるウレタン官能基の数も特に限定されず、1個でも2個以上でもよい。さらに、TPOよりなる主鎖に対して、ウレタン官能基が直接結合したものでも、あるいはアルキル基や芳香族基等を介してウレタン官能基が間接的に結合したものでもよい。このようなウレタン官能基を少なくとも一部に含む側鎖として、具体的にはイソシアネートとして、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)やジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HNDI)等の無黄変タイプのイソシアネートを用いるとともに、ポリオールとして、1.6−ヘキサンジオール(1.6HG)、エチレングリコール(EG)やブチレングリコール(1.4BG)等のジオールを用いた平均分子量500〜10,000のポリウレタン等を好適に採用することができる。
【0017】
なお、ウレタン官能基以外の極性官能基、例えば塩素基、水酸基、カルボキシル基やエポキシ基をグラフト化した場合も、主成分としてのTPOの非極性を緩和させることができる。しかし、これらのウレタン官能基以外の極性官能基は、ウレタン樹脂との相溶性はある程度あるが、ウレタン官能基そのものには及ばず、ウレタン官能基をグラフト化した場合はウレタン樹脂との相溶性及びより強固な水素結合の発現の点で有利となる。
【0018】
上記ウレタン官能基グラフトTPOの製造に際しては、有機過酸化物による水素引き抜き反応による方法も利用することができるが、官能基のグラフト率を増大させる観点より、反応押出し法を利用することが望ましい。例えば、TPO、スチレンモノマー(SM)等の芳香族ビニルモノマー、ウレタン官能基モノマー、有機過酸化物及び安定剤を混合し、2軸押出機等の押出機で反応押出しを行うことにより、上記ウレタン官能基グラフトTPOを製造することができる。
【0019】
また、上記ウレタン官能基グラフトTPOにおいて、TPOに対するウレタン官能基のグラフト率としては、1〜20mass%程度とすることが好ましく、8〜12mass%程度とすることが特に好ましい。グラフト率が1mass%未満では、ウレタン官能基による上記効果を得ることが困難となる。一方、反応押出し法を利用する場合の技術的限界が10mass%前後である。反応時間をより長くすればグラフト率も増大させることができるが、反応時間を長くするには押出し機の長さも長くする必要があり、押出し機の物理的な長さを長くするには限界があること、またTPOポリマーの分解等、副反応のおそれがあること等から、反応時間を長くすることにも限界がある。また、スチレン系の樹脂を混合することによってもグラフト率を増大させることができるが、スチレン系の樹脂は、TPOと比べて耐光性に劣るため、表皮一体成形品の表皮材用材料としては不向きであり、多くを入れることができない。したがって、上記グラフト率の上限は20mass%程度とすることが好ましく、12mass%程度とすることが特に好ましい。
【0020】
なお、このグラフト率は、日本分光社製の赤外線分光分析装置を用いて、TPOのメチル基とウレタン官能基とに対応するそれぞれの吸光度のピークの比率により、検量線と対比して算出することができる。
【0021】
主成分としてのTPOに対する副成分としてのウレタン官能基グラフトTPOの配合は、溶融状態又は粉末等の固体状態で両者を混合することができる。また、主成分としてのTPOに対する副成分としてのウレタン官能基グラフトTPOの配合割合は、1〜30mass%程度とすることが好ましく、10〜20mass%程度とすることが特に好ましい。ウレタン官能基グラフトTPOの配合割合が1mass%未満では、ウレタン官能基による上記効果を得ることが困難となる。一方、ウレタンは、TPOに対して異分子であることから、リサイクル性を考慮すればできるだけ少ない方が好ましい。また、ウレタン官能基グラフトTPOは製造コストも高く、コストアップにも繋がる。したがって、ウレタン官能基グラフトTPOの配合割合の上限は30mass%程度とすることが好ましく、20mass%程度とすることが特に好ましい。
【0035】
本発明の表皮一体成形品の表皮用組成物は、例えば、主成分よりなる粉末と副成分よりなる粉末との混合粉末として、又は主成分及び副成分よりなる複合成分の粉末として、使用に供することができる。そして、本発明の表皮用組成物よりなる粉末は、パウダースラッシュ成形法により所定形状に成形されたり、あるいは一旦シート状に押出成形後、真空成形により所定形状に成形されたりすることにより、例えばインパネ、コンソール、ドアトリム等の自動車用内装材の成形表皮として利用することができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0037】
[第1実施例]
本実施例は、請求項1記載の表皮一体成形品の表皮用組成物を具現化したものである。
【0038】
(実施例1)
本実施例の表皮用組成物は、主成分として90mass%配合されたTPOと、副成分として10mass%配合されたウレタン官能基グラフトTPOとからなる。
【0039】
この表皮用組成物は以下のようにして製造した。
【0040】
まず、本実施例の表皮用組成物の主成分として、「ミラストマー(登録商標)5030」(三井化学社製、オレフィン系エラストマーとしてのEPDMと、オレフィン系樹脂としてのPPとを含む)よりなるTPOを準備した。
【0041】
一方、本実施例の表皮用組成物の副成分をなすウレタン官能基グラフトTPOは、TPOとしてのエチレン・プロピレン共重合体ゴムよりなる主鎖と、該主鎖に結合されたウレタン樹脂よりなる側鎖とからなる。側鎖を構成するウレタン樹脂は、イソシアネートとして無黄変タイプのIPDIを用いるとともに、ポリオールとして1.6HGを用いた平均分子量1000のものである。このウレタン官能基グラフトTPOは、以下に示すように反応押出し法を利用して製造した。
【0042】
すなわち、2軸押出し機(口径38mm、L/D38)を用いて、主鎖となるTPOとしてのエチレン・プロピレン共重合体ゴムに対して、有機過酸化物としてのジ−tert−ブチルパーオキシド1mass%と、側鎖となる上記ウレタン樹脂14mass%とを混合するとともに、190℃で反応押出しすることにより、上記ウレタン官能基グラフトTPOを製造した。なお、得られたウレタン官能基グラフトTPOは、ウレタン樹脂のグラフト率が12mass%である。
【0043】
こうして得られたTPO90mass%と、ウレタン官能基グラフトTPO10mass%とを2軸押出し機により均一に混合して、2mm程度のペレットにした後、冷凍粉砕により平均粒径約150μmの粉末にし、本実施例の表皮用組成物とした。
【0044】
この表皮用組成物としての粉末から、パウダースラッシュ成形法を利用して、自動車用内装材(インパネ)の成形表皮(厚さ1mm)を形成した。
【0045】
そして、得られた成形表皮を発泡成形型の一方の型面に沿うように配置するとともに、ガラス繊維強化アクリルニトリル・スチレン樹脂から射出成形により所定形状に形成した樹脂基材を、発泡成形型の他方の型面に配置した。そして、型締め後、成形表皮と樹脂基材との間に所定量の発泡ウレタン樹脂を注入して発泡成形を行い、樹脂基材、発泡ウレタン樹脂及び成形表皮を一体化して、表皮一体成形品とした。
【0046】
(実施例2)
本実施例の表皮用組成物は、主成分として80mass%配合されたTPOと、副成分として20mass%配合されたウレタン官能基グラフトTPOとからなるもので、TPOとウレタン官能基グラフトTPOとの配合割合が異なること以外は、前記実施例1と同様である。
【0047】
そして、前記実施例1と同様、上記表皮用組成物としての粉末から成形表皮を形成するとともに、表皮一体成形品を製造した。
【0049】
参考例1
本参考例の表皮用組成物は、主成分として75mass%配合されたTPO粉末と、副成分として25mass%配合された熱可塑性ポリエステル粉末との混合粉末からなる。
【0050】
この表皮用組成物は以下のようにして製造した。
【0051】
まず、本参考例の表皮用組成物の主成分として、前記実施例1と同様のTPO粉末を準備した。
【0052】
一方、本参考例の表皮用組成物の副成分をなす熱可塑性ポリエステル粉末として、「ハイトレル(登録商標)3548L」(東レ・ディポン社製、熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー、平均粒径150μm)を準備した。
【0053】
そして、TPO粉末75mass%と、熱可塑性ポリエステル粉末25mass%とを均一に混合して、本参考例の表皮用組成物とした。
【0054】
そして、前記実施例1と同様、上記表皮用組成物としての混合粉末から成形表皮を形成するとともに、表皮一体成形品を製造した。
【0055】
参考例2
本参考例の表皮用組成物は、主成分として50mass%配合されたTPO粉末と、副成分として50mass%配合された熱可塑性ポリエステル粉末との混合粉末からなるもので、TPO粉末熱可塑性ポリエステル粉末との配合割合が異なること以外は、前記参考例1と同様である。
【0056】
そして、前記実施例1と同様、上記表皮用組成物としての混合粉末から成形表皮を形成するとともに、表皮一体成形品を製造した。
【0058】
参考例3
参考例の表皮用組成物は、主成分として90mass%配合されたTPOと、副成分として10mass%配合された無水マレイン酸グラフトTPOとからなる。
【0059】
この表皮用組成物は以下のようにして製造した。
【0060】
まず、本参考例の表皮用組成物の主成分として、前記実施例1と同様のTPOを準備した。
【0061】
一方、本参考例の表皮用組成物の副成分をなす無水マレイン酸グラフトTPO粉末は、TPOとしてのポリプロピレンよりなる主鎖と、該主鎖に結合された無水マレイン酸よりなる側鎖とからなる。この無水マレイン酸グラフトTPO粉末は、以下に示すように反応押出し法を利用して製造した。
【0062】
すなわち、2軸押出し機(口径38mm、L/D38)を用いて、主鎖となるTPOとしてのポリプロピレンに対して、有機過酸化物としてのジ−tert−ブチルパーオキシド6mass%と、側鎖となる無水マレイン酸12mass%とを混合するとともに、220℃で反応押出しすることにより、上記無水マレイン酸グラフトTPOを製造した。なお、得られた無水マレイン酸グラフトTPOは、無水マレイン酸のグラフト率が10mass%である。
【0063】
こうして得られたTPO90mass%と、無水マレイン酸グラフトTPO10mass%とを2軸押出し機により均一に混合して、2mm程度のペレットにした後、冷凍粉砕により平均粒径約150μmの粉末にし、本参考例の表皮用組成物とした。
【0064】
そして、前記実施例1と同様、上記表皮用組成物としての粉末から成形表皮を形成するとともに、表皮一体成形品を製造した。
【0065】
参考例4
本参考例の表皮用組成物は、主成分として80mass%配合されたTPOと、副成分として20mass%配合された無水マレイン酸グラフトTPOとからなるもので、TPOと無水マレイン酸グラフトTPOとの配合割合が異なること以外は、前記参考例3と同様である。
【0066】
そして、前記実施例1と同様、上記表皮用組成物としての粉末から成形表皮を形成するとともに、表皮一体成形品を製造した。
【0067】
(比較例1)
この比較例では、前記実施例1と同様のTPO粉末(「ミラストマー(登録商標)5030」)のみから成形表皮を形成するとともに、前記実施例1と同様に表皮一体成形品を製造した。
【0068】
(比較例2)
この比較例では、塩化ビニル樹脂粉末から成形表皮を形成するとともに、前記実施例1と同様に表皮一体成形品を製造した。
【0069】
(評価)
前記実施例1〜2、参考例1〜4及び比較例1〜2で得られた表皮一体成形品について、成形表皮と発泡ウレタン樹脂との剥離強度を評価した。
【0070】
これは、幅25mmの試験片を切り出し、この試験片を速度200mm/minで成形表皮と発泡ウレタン樹脂とを180度剥離する際の剥離強度を測定することにより行った。その結果を表1に示す。なお、表1において、材料破壊(凝集破壊)とは、発泡ウレタン樹脂で破壊が発生したこと意味し、界面剥離とは成形表皮と発泡ウレタン樹脂との界面で剥離したことを意味する。
【0071】
【表1】
Figure 0004876336
【0072】
表1から明らかなように、主成分としてのTPOに所定の副成分を所定量配合した実施例1〜2及び参考例1〜4の表皮用組成物によれば、塩化ビニル樹脂とほぼ同程度の剥離強度を確保することができた。一方、TPOのみからなる成形表皮を形成した比較例1では、成形表皮と発泡ウレタン樹脂との接着性を良好に確保することができなかった。
【0073】
したがって、主成分としてのTPOに所定の副成分を所定量配合することにより、発泡ウレタン樹脂との接着性が格段と向上することが確認できた。
【0074】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の表皮一体成形品の表皮用組成物によれば、TPOを主成分としつつ、ウレタン樹脂との確実な接着が可能となる。このため、地球環境にやさしく、リサイクルや軽量化の面でも有利なTPOを利用して、成形表皮を提供することが可能となる。

Claims (1)

  1. 表皮を発泡成形型内に配置してポリウレタン発泡体を一体成形する表皮一体成形品の表皮に用いられる表皮用組成物であって、
    水素添加スチレン−ブタジエンゴム又はオレフィン系エラストマーと、オレフィン系樹脂と、を含む主成分としての熱可塑性ポリオレフィンと、
    熱可塑性ポリオレフィンよりなる主鎖及び該主鎖に結合されウレタン官能基を一部に有する側鎖からなり、副成分として1〜30mass%配合されウレタン官能基のグラフト率が1〜20mass%であるウレタン官能基グラフト水素添加スチレン−ブタジエンゴム又はウレタン官能基グラフトオレフィン系エラストマーとを含むことを特徴とする表皮一体成形品の表皮用組成物。
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