JP4876060B2 - 被検試料の非特異的混濁の判別方法及び試薬 - Google Patents
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Description
従って、本発明の課題は、生体由来の被検試料を用いた臨床分析において、当該試料が非特異的混濁を生じるか否かを判別する方法を提供しようとするものである。
また、前記第一試薬及び第二試薬に続いて、(c)の変わりに(d)として更に脂質性の要因による非特異的混濁を解消する成分を含む第三試薬を添加すれば、脂質性の要因による非特異的混濁が解消することを確認することもできることも見出し、(e)前記(a)、(b)、(d)の各工程における吸光度変化のパターンを検討すれば、被検試料の非特異的混濁性の有無、及び非特異的混濁性である場合には、蛋白性であるか脂質性であるかを判別できることも見出した。
(1)生体由来の被検試料に、蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい第一試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程(前記a)、
(2)次に蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第二試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程(前記b)、
(3)前記各工程における吸光度変化のパターンから、該被検試料の非特異的混濁性の有無、及び非特異的混濁性である場合には、蛋白性の要因によるものか脂質性の要因によるものかを判別する工程(前記c)
を行うことを特徴とする、生体由来の被検試料の非特異的混濁の判別方法を提供するものである。
(1)生体由来の被検試料に、蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい第一試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程(前記a)、
(2)次に蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第二試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程(前記b)、
(3)次に脂質性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第三試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程(前記d)、
(4)前記各工程における吸光度変化のパターンから、該被検試料の非特異的混濁性の有無、及び非特異的混濁性である場合には、蛋白性の要因によるものか脂質性の要因によるものかを判別する工程(前記e)
を行うことを特徴とする、生体由来の被検試料の非特異的混濁の判別方法を提供するものである。
さらにまた、本発明は、(A)蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい第一試薬、(B)蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第二試薬、及び(C)脂質性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含有する第三試薬を含有することを特徴とする生体由来の被検試料の非特異的混濁の判別用試薬を提供するものである。
ここで、生体由来の被検試料としては、臨床検査に用いられる生体試料がすべて含まれ、具体的には、血漿、血清、尿、唾液、髄液、および腹水等が挙げられるが、血漿、および血清が特に好ましい。また、これらの生体試料を希釈したものも含まれる。
これらのうち、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールが好ましい。
当該ポリエチレングリコールは、より平均分子量1,000〜20,000のもの、さらに平均分子量1,000〜10,000のもの、特に平均分子量4,000〜8,000のものが好ましい。
また、蛋白変性剤としては、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
低イオン強度の水溶液としては、後述の第二試薬に用いるものと同様の1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物又は塩を、反応時の濃度として5mmol/L未満、好ましくは1mmol/L未満となるように添加するのが好ましい。
多価アルコール水溶液の場合、多価アルコールの反応時の濃度として1.5〜7.5w/v%、特に2.0〜6.0w/v%となるように添加するのが好ましい。
多糖類水溶液の場合、多糖類の反応時の濃度として、0.3〜6.0w/v%、特に0.3〜5.0w/v%程度となるように添加するのが好ましい。
蛋白変性剤水溶液の場合、蛋白変性剤の反応時の濃度として0.1〜1.0w/v%、特に0.2〜0.3w/v%となるように添加するのが好ましい。
なお、第一試薬添加後は、インキュベートするのが好ましい。
また工程(a)の反応温度は特に限定されないが、20〜40℃、特に37℃が好ましい。
また工程(a)の測定波長は特に限定されないが、340〜800nm、特に500〜700nmが好ましい。
これらの金属の水酸化物としては、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2が挙げられる。
これらの金属のハロゲン化物としては、これらの金属の塩化物が好ましく、例えばNaCl、KCl、LiCl、MgCl2、CaCl2等が挙げられる。
これらの金属の塩としては、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、硝酸塩等が挙げられ、より具体的には、Na2CO3、NaHCO3、CH3COONa、NaNO3、K2CO3、KHCO3、CH3COOK、KNO3等が挙げられる。
これらのうち、NaCl、KCl、CaCl2、NaOHが特に好ましい。
この判別は、第一試薬による工程(a)の吸光度変化と第二試薬による工程(b)の吸光度変化とを対比することにより行うことができる。
すなわち、第一試薬による吸光度が上昇(混濁性あり)し、かつ第二試薬による吸光度が変化しないか又は低下した場合には、非特異的混濁が蛋白性の要因であると判定できる。また、第一試薬による吸光度が上昇し、第二試薬による吸光度が上昇した場合には、非特異的混濁が脂質性の要因であると判定できる。また、第一試薬によっても第二試薬によっても吸光度が変化しない場合は、その被検試料は非特異的混濁を生じないと判定できる(表1)。
このうち、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが特に好ましい。
ここで、ポリオキシエチレンアルキルエーテルには、ポリオキシエチレン第一級アルキルエーテル及びポリオキシエチレン第二級アルキルエーテルが含まれる。
これら界面活性剤の市販品の例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしてプルロニックF-108(旭電化社製)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしてノイゲンET-165(第一工業製薬社製)、ポリオキシエチレン二級アルキルエーテルとしてニッコールBT-7(POE(7)2級アルキルエーテル)及びニッコールBT-9(POE(9)2級アルキルエーテル)(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしてニッコールPBC-31(日光ケミカルズ社製)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしてエマルゲンA-60(花王社製)、アルキルベンゼンスルホン酸塩としてネオゲンAS-20(第一工業製薬社製)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩としてハイテノールNE-15(第一工業製薬社製)、ポリオキシエチレンリン酸エステルとしてプライサーフ212C(第一工業製薬社製)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしてレオドールTW-L120(花王社製)等がそれぞれ挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、リポ蛋白を分解する酵素の添加量は、サンプル/試薬比を考慮して適宜設定すればよく、例えばリポプロテインリパーゼについては、公知のオリーブ油を基質としたフェノールフタレイン指示薬法に基づき、反応時濃度(活性)として5〜500U/mL、より好ましくは10〜100U/mLである。
尚、リポ蛋白を分解する酵素を使用する場合には、該酵素の活性を考慮して、例えば50mMリン酸緩衝液等の適当な緩衝液を用いることができる。
また更に、該自動分析装置が有する検体色調(溶血、黄疸)の情報抽出と組合わせて使用することが好ましい。
当該自動分析装置としては、全反応過程追跡測光機能を有するものが好ましい。例としては、(株)日立製作所製の7250/7350/7450シリーズ、7070/7170/7080/7180シリーズ、9000シリーズ、7600/7700シリーズ、LABOSPECT008/003、(株)東芝のTBAシリーズ、オリンパス社製のAUシリーズ、(株)日本電子製のBMシリーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
尚、上記の判定するための設定値や測光ポイントは、用いる試薬の組合わせや自動分析装置により適宜設定すればよい。
このとき、第一試薬添加は、第1測光ポイント前、第二試薬添加は、第5測光ポイントと第6測光ポイントの間、第三試薬添加は、第16測光ポイントと第17測光ポイントの間である。なお、測光ポイントの定義は上記のとおりであり、測光ポイント等は、用いる自動分析装置により適宜設定すればよい。
下記の試薬処方及び自動分析装置での分析条件を用いて、高グロブリン血清5例、脂肪由来の混濁のある血清(高中性脂肪血清、以下高TG血清)3例、及び健常者血清5例を測定し、測定過程の吸光度変化パターンを確認した。また、比較例1〜3の場合についても同様に吸光度変化パターンを確認した。
実施例1
第一試薬:ポリエチレングリコール6,000 5%(反応時濃度4.9%)
第二試薬:塩化ナトリウム 1,600mmol/L(反応時濃度394mmol/L)
尚、反応時濃度とは、第一試薬の場合は検体と第一試薬が混和した際の濃度であり、第二試薬の場合は検体、第一試薬及び第二試薬が混和した際の濃度である(以下の比較例及び実施例においても、特に記載のない限り同様である)。また、第一試薬及び第二試薬は、15mMの塩化ナトリウム水溶液に上記の成分を溶解して用いた(以下の比較例及び実施例においても、特に記載のない限り同様である)。従って、15mM塩化ナトリウムをベースとしており、下記の塩化ナトリウム0mmol/Lには、ベースである15mM塩化ナトリウムが含まれている。
第一試薬:ポリエチレングリコール6,000 5%(反応時濃度4.9%)
第二試薬:塩化ナトリウム 0mmol/L(反応時濃度0mmol/L)
第一試薬:ポリエチレングリコール6,000 0%(反応時濃度0%)
第二試薬:塩化ナトリウム 1,600mmol/L(反応時濃度394mmol/L)
第一試薬:ポリエチレングリコール6,000 0%(反応時濃度0%)
第二試薬:塩化ナトリウム 0mmol/L(反応時濃度0mmol/L)
測定法:3ポイント
測光ポイント:前半項目;14−0
後半項目;16−34
1測光ポイント:17〜19秒
検体量:5μL
第一試薬:240μL
第二試薬:80μL
測定波長:600nm(単波長)
Kファクター:10,000
反応温度:37℃
健常者血清 5検体(IgG:1027〜1487mg/dL、IgM:139〜215mg/dL、TG:49〜126mg/dL)
高グロブリン血清 5検体
高グロブリン検体1 IgG濃度 6,741mg/dL
高グロブリン検体2 IgG濃度 4,301mg/dL
高グロブリン検体3 IgG濃度 5,487mg/dL
高グロブリン検体4 IgM濃度 1,423mg/dL
高グロブリン検体5 IgM濃度 1,433mg/dL
高TG検体1 TG濃度 1,309mg/dL
高TG検体2 TG濃度 880mg/dL
高TG検体3 TG濃度 571mg/dL
図1〜図12に各処方における各検体の測定過程の吸光度変化を示した。
実施例1の場合、健常者血清では5検体とも第一試薬及び第二試薬を添加しても吸光度は殆ど変化を示さなかった(図1)が、高グロブリン血清ではいずれも第一試薬の添加で急激に吸光度が上昇し、第二試薬の添加で吸光度が急激に低下した(図2)。また、高TG血清はいずれも第一試薬の添加では吸光度は変化せず、第二試薬を添加すると徐々に上昇した(図3)。このように高グロブリン血清及び高TG血清がそれぞれに健常者血清の吸光度変化パターンと明確な差異を示し、表1に示した判定方法に基づく検体の混濁性の判定が可能であることが明らかである。これに対し、比較例1〜3では検体の種類毎に明確な吸光度変化の傾向が認められなかった(図4〜図12)。実施例1及び比較例1〜3につき、表1の判定方法に基づく判定結果を表3に示した。
実施例1の場合と同じ検体を下記の試薬処方を及び自動分析装置での分析条件を用いて測定し、測定過程の吸光度変化パターンを確認した。また、比較例4の場合についても同様に吸光度変化パターンを確認した。
実施例2
第一試薬:ポリエチレングリコール6,000 5%(反応時濃度4.9%)
第二試薬:塩化ナトリウム 1,600mmol/L(反応時濃度392mmol/L)
第三試薬:レオドールTW-L120 0.5%(反応時濃度0.1%)
リン酸緩衝液 50mmol/L(pH7.4)
第一試薬:ポリエチレングリコール6,000 5%(反応時濃度4.9%)
第二試薬:塩化ナトリウム 1,600mmol/L(反応時濃度392mmol/L)
第三試薬:リポプロテインリパーゼ 200U/mL(旭化成社製、反応時濃度39U/mL、メーカー表示活性値をそのまま用いた。)
リン酸緩衝液 50mmol/L(pH7.4)
第一試薬:ポリエチレングリコール6,000 5%(反応時濃度4.9%)
第二試薬:塩化ナトリウム 1,600mmol/L(反応時濃度392mmol/L)
第三試薬:レオドールTW-L120 0%(反応時濃度0%)
リン酸緩衝液 50mmol/L(pH7.4)
測定法:3ポイント
測光ポイント:前半項目;5−0
後半項目;16−34
1測光ポイント:17〜19秒
検体量:5μL
第一試薬:192μL
第二試薬:64μL
第三試薬:64μL
測定波長:600nm(単波長)
Kファクター:10,000
反応温度:37℃
図13〜15に実施例2、及び図16〜18に実施例3における各検体の測定過程の吸光度変化を示し、図19〜21に比較例4における各検体の測定過程の吸光度変化を示した。
実施例2及び3の場合、健常者血清では第一試薬、第二試薬及び第三試薬を添加しても吸光度は殆ど変化を示さなかった(図13及び図16)が、高グロブリン血清での吸光度変化は、第一試薬の添加で急激に上昇し、第二試薬の添加で急激に低下し、第三試薬の添加では変化を示さなかった(図14及び図17)。一方、高TG血清での吸光度変化は、第一試薬の添加では変化せず、第二試薬を添加すると徐々に上昇し、第三試薬の添加で急激に低下した(図15及び図18)。このように高グロブリン血清及び高TG血清がそれぞれに健常者血清の吸光度変化パターンと明確な差異を示し、脂質性の要因による非特異的混濁を解消する成分を含む第三試薬を用いて、脂質性の要因による非特異的混濁を解消できたことから、表2に示した判定方法に基づく検体の混濁性の判定が可能であることが判る。これに対し、比較例4の高TG血清では第三試薬添加後も非特異的混濁が解消されなかった(図21)。実施例2,3及び比較例4につき、表2の判定方法に基づく判定結果を表4に示した。
実施例1の試薬処方及び次の日立7170形自動分析装置の分析条件で、高グロブリン検体43例、高TG検体13例、一般検体288例を測定し、被検試料中に混濁要因があるかないかの判定を行うための基準値を以下に求めた。
一般検体288例(IgG:2,188mg/dL以下、IgM:265mg/dL以下、TG:548mg/dL以下)を用いた。
高グロブリン検体43例(IgG:3,629〜7,172mg/dL,IgM:2,580〜8,000mg/dL)
高TG検体29例(TG:571〜5,916mg/dL)
実施例4と同じ試薬及び分析条件を用いて、表5に示した基準値にもとづいて判定を行った。
その結果、表6に示した如く、全360例での一致率は96.7%であった。
他の検査試薬での測定において非特異反応を呈し、その原因が特定されていた9例に関し、実施例5と同じく判定を行った結果、表7に示した如く、原因との一致率が100%であり、本発明の方法及び試薬を用いた被検試料自身が持つ混濁要因の有無確認の有効性が確認された。
実施例1の第一試薬の成分、ポリエチレングリコール6,000 5%に代えて、ポリエチレングリコール4,000 5%(反応時濃度4.9%)(実施例7)、ポリエチレングリコール8,000 5%(反応時濃度4.9%)(実施例8)、ヒドロキシプロピルセルロース 5%(反応時濃度4.9%)(実施例9)、及びポリビニルアルコール2%(反応時濃度1.96%)(実施例10)をそれぞれ用いた場合について実施例1と同様にして検討した。
健常者血清 1検体(IgG:1044mg/dL、IgM:77mg/dL、TG:57mg/dL)
高グロブリン血清 2検体
高グロブリン検体1 IgG濃度 8051mg/dL
高グロブリン検体2 IgM濃度 1192mg/dL
高TG血清 1検体
高TG検体1 TG濃度 1707mg/dL
図24にポリエチレングリコール4,000、図25にポリエチレングリコール8,000、図26にヒドロキシプロピルセルロース、及び図27にポリビニルアルコールを用いた場合の各検体の測定過程の吸光度変化を示した。
いずれの場合も、健常者血清では第一試薬及び第二試薬を添加しても吸光度は殆ど変化を示さなかったが、高グロブリン血清ではいずれも第一試薬の添加で急激に吸光度が上昇し、第二試薬の添加で吸光度が急激に低下した。また、高TG血清はいずれも第一試薬の添加では吸光度は変化せず、第二試薬を添加すると徐々に上昇した。このように高グロブリン血清及び高TG血清がそれぞれに健常者血清の吸光度変化パターンと明確な差異を示し、表1に示した判定方法に基づく検体の混濁性の判定が可能であることが明らかである。表1の判定方法に基づく判定結果を表8に示した。
実施例1での第二試薬の成分、塩化ナトリウム 1,600mmol/L(反応時濃度394mmol/L)に代えて、塩化カリウム 1,600mmol/L(反応時濃度394mmol/L)(実施例11)、塩化カルシウム 1600mmol/L(反応時濃度394mmol/L)(実施例12)、及び水酸化ナトリウム 1,600mmol/L(反応時濃度394mmol/L)(実施例13)をそれぞれ用いた場合について検討した。
尚、対象検体は、実施例7と同じものを用いた。
図28に塩化カリウム、図29に塩化カルシウム、図30に水酸化ナトリウムを用いた場合の各検体の測定過程の吸光度変化を示した。
いずれの場合も、健常者血清では第一試薬及び第二試薬を添加しても吸光度は殆ど変化を示さなかったが、高グロブリン血清ではいずれも第一試薬の添加で急激に吸光度が上昇し、第二試薬の添加で吸光度が急激に低下した。また、高TG血清はいずれも第一試薬の添加では吸光度は変化せず、第二試薬を添加すると徐々に上昇した。このように高グロブリン血清及び高TG血清がそれぞれに健常者血清の吸光度変化パターンと明確な差異を示し、表1に示した判定方法に基づく検体の混濁性の判定が可能であることが明らかである。表1の判定方法に基づく判定結果を表9に示した。
実施例2の第三試薬の成分、レオドールTW-L120 0.5%に代えて、ニッコールBT−9 0.5%(反応時濃度0.1%)(実施例14)、及びプルロニックF−108 0.5%(反応時濃度0.1%)(実施例15)をそれぞれ用いた場合について検討した。尚、対象検体は、実施例7と同じものを用いた。
図31に実施例14、及び図32に実施例15における各検体の測定過程の吸光度変化を示した。
いずれの場合も、健常者血清では第一試薬、第二試薬及び第三試薬を添加しても吸光度は殆ど変化を示さなかったが、高グロブリン血清での吸光度変化は、第一試薬の添加で急激に上昇し、第二試薬の添加で急激に低下し、第三試薬の添加では変化を示さなかった。一方、高TG血清での吸光度変化は、第一試薬の添加では変化せず、第二試薬を添加すると徐々に上昇し、第三試薬の添加で急激に低下した。このように高グロブリン血清及び高TG血清がそれぞれに健常者血清の吸光度変化パターンと明確な差異を示し、脂質性の要因による非特異的混濁を解消する成分を含む第三試薬を用いて、脂質性の要因による非特異的混濁を解消できたことから、表2に示した判定方法に基づく検体の混濁性の判定が可能であることが判る。表2の判定方法に基づく判定結果を表10に示した。
(2)該要因が蛋白性であるか、脂質性であるかを判別できる。
(3)臨床検査自動分析装置に本試薬を適応し、データ処理のプログラムを組むことにより、短時間に迅速且つ簡便に上記の確認・判別が実行できる。
(4)試料由来の非特的混濁の要因による検査過誤の防止に役立ち、臨床試験成績の正確性の確保、ひいては被験者が適切な治療等を受ける上で有用である。
Claims (8)
- 次の工程(1)〜(3):
(1)生体由来の被検試料に、蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分を含む第一試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程、
(2)次に蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第二試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程、
(3)前記各工程における吸光度変化のパターンから、該被検試料の非特異的混濁性の有無、及び非特異的混濁性である場合には、蛋白性の要因によるものか脂質性の要因によるものかを判別する工程
を行うことを特徴とする、生体由来の被検試料の非特異的混濁の判別方法であって、
該蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分が、精製水、低イオン強度の水溶液、多価アルコール水溶液、多糖類水溶液、及び蛋白変性剤水溶液からなる群より選択される1種又は2種以上であり、
該蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分が、1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、
方法。 - 前記低イオン強度の水溶液が、5mmol/L未満の1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩の水溶液であり、
前記多価アルコールが、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、平均分子量400〜4000のポリプロピレングリコール、又はグリセロールであり、
前記多糖類が、ヘパリン、デキストラン、デンプン、セルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記蛋白変性剤が、グルコン酸クロルヘキシジン又は塩化ベンザルコニウムであり、
前記1価金属又は2価金属が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、
前記ハロゲン化物が塩化物であり、前記塩が炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は硝酸塩である、
請求項1記載の方法。 - 次の工程(1)〜(4):
(1)生体由来の被検試料に、蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分を含む第一試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程、
(2)次に蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第二試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程、
(3)次に脂質性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第三試薬を添加し、吸光度変化をモニターする工程、
(4)前記各工程における吸光度変化のパターンから、該被検試料の非特異的混濁性の有無、及び非特異的混濁性である場合には、蛋白性の要因によるものか脂質性の要因によるものかを判別する工程
を行うことを特徴とする、生体由来の被検試料の非特異的混濁の判別方法であって、
該蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分が、精製水、低イオン強度の水溶液、多価アルコール水溶液、多糖類水溶液、及び蛋白変性剤水溶液からなる群より選択される1種又は2種以上であり、
該蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分が、1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩からなる群より選択される1種又は2種以上であり、
該脂質性の要因による非特異的混濁を解消できる成分が、界面活性剤、及びリポ蛋白を分解する酵素からなる群より選択される1種又は2種以上である、
方法。 - 前記低イオン強度の水溶液が、5mmol/L未満の1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩の水溶液であり、
前記多価アルコールが、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、平均分子量400〜4000のポリプロピレングリコール、又はグリセロールであり、
前記多糖類が、ヘパリン、デキストラン、デンプン、セルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記蛋白変性剤が、グルコン酸クロルヘキシジン又は塩化ベンザルコニウムであり、
前記1価金属又は2価金属が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、
前記ハロゲン化物が塩化物であり、前記塩が炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は硝酸塩であり、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上であり、
前記リポ蛋白を分解する酵素が、リポプロテインリパーゼ又はコレステロールエステラーゼである、
請求項3記載の方法。 - (A)蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分を含む第一試薬、及び(B)蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第二試薬を含有することを特徴とする生体由来の被検試料の非特異的混濁の判別用試薬であって、
該蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分が、精製水、低イオン強度の水溶液、多価アルコール水溶液、多糖類水溶液、及び蛋白変性剤水溶液からなる群より選択される1種又は2種以上であり、
該蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分が、1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、
試薬。 - 前記低イオン強度の水溶液が、5mmol/L未満の1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩の水溶液であり、
前記多価アルコールが、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、平均分子量400〜4000のポリプロピレングリコール、又はグリセロールであり、
前記多糖類が、ヘパリン、デキストラン、デンプン、セルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記蛋白変性剤が、グルコン酸クロルヘキシジン又は塩化ベンザルコニウムであり、
前記1価金属又は2価金属が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、
前記ハロゲン化物が塩化物であり、前記塩が炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は硝酸塩である、
請求項5記載の試薬。 - (A)蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分を含む第一試薬、(B)蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含む第二試薬、及び(C)脂質性の要因による非特異的混濁を解消できる成分を含有する第三試薬を含有することを特徴とする生体由来の被検試料の非特異的混濁の判別用試薬であって、
該蛋白性の要因により非特異的混濁を生じやすい成分が、精製水、低イオン強度の水溶液、多価アルコール水溶液、多糖類水溶液、及び蛋白変性剤水溶液からなる群より選択される1種又は2種以上であり、
該蛋白性の要因による非特異的混濁を解消できる成分が、1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩からなる群より選択される1種又は2種以上であり、
該脂質性の要因による非特異的混濁を解消できる成分が、界面活性剤、及びリポ蛋白を分解する酵素からなる群より選択される1種又は2種以上である、
試薬。 - 前記低イオン強度の水溶液が、5mmol/L未満の1価金属又は2価金属の水酸化物、ハロゲン化物若しくは塩の水溶液であり、
前記多価アルコールが、平均分子量200〜20,000のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、平均分子量400〜4000のポリプロピレングリコール、又はグリセロールであり、
前記多糖類が、ヘパリン、デキストラン、デンプン、セルロース又はヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記蛋白変性剤が、グルコン酸クロルヘキシジン又は塩化ベンザルコニウムであり、
前記1価金属又は2価金属が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属であり、
前記ハロゲン化物が塩化物であり、前記塩が炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、又は硝酸塩であり、
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンリン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上であり、
前記リポ蛋白を分解する酵素が、リポプロテインリパーゼ又はコレステロールエステラーゼである、
請求項7記載の試薬。
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