JP3713901B2 - 破骨細胞由来酸性ホスファターゼの測定方法 - Google Patents

破骨細胞由来酸性ホスファターゼの測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定方法およびそれに使用するキットに関する。本発明によれば簡便で特異的に破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定が可能であり、臨床検査測定用の方法として医学的治療や臨床検査の分野において極めて有効である。
【0002】
【従来の技術】
酸性ホスファターゼは、至適pHが酸性で有機モノリン酸エステルを加水分解する酵素であり、前立腺由来酸性ホスファターゼ、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ、赤血球由来酸性ホスファターゼおよび血小板由来酸性ホスファターゼなどの種々の由来のものがある。
酒石酸の添加によってもその酵素活性が阻害されない血清中の酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼは、その大部分が破骨細胞由来酸性ホスファターゼとされ、その測定は、破骨細胞の機能を評価する指標として有用とされており、骨吸収マーカーとして興味が持たれている(骨代謝マーカー,福永仁夫,中村利孝,松本俊夫編,メディカルレビュー社,1995)。
【0003】
一般的に酵素活性測定法による検体中の酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼの測定は、酒石酸の存在下で合成基質としてリン酸エステルを用いて酵素反応により生ずる反応生成物(アルコールやフェノール類)を比色定量することにより酵素活性を求めている。その際、酒石酸は検体中に主として共存する前立腺由来酸性ホスファターゼの酵素活性を阻害し、従って残存した酸性ホスファターゼ活性を基質を用いて測定することにより、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の指標として酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性を求めている。さらに、より特異的な破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定法の改善法としては、血清を5倍に希釈した液を37℃で1時間インキュベートする前処理をした後、残りの酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性を、酒石酸存在下、基質としてp−ニトロフェニルリン酸を用いて測定する方法が知られている(日大医誌,49巻,904−911頁(1990);クリニカル・ケミストリー,33巻,458−462頁(1987))。一方、免疫学的測定法による酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼの測定方法として、モノクローナル抗体を用いた酵素免疫測定法(EIA法)による測定方法が知られている(臨床検査,37巻,373−377頁(1993))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
破骨細胞由来酸性ホスファターゼの指標として酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性を求める従来の活性測定法は、特異性、感度、測定の煩雑さ及び測定時間の点で問題を有している。
検体中には、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼとして、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ以外に赤血球由来酸性ホスファターゼや血小板由来酸性ホスファターゼが存在する。すなわち、検体の採取により溶血が生じたとき、赤血球由来酸性ホスファターゼは検体中に含まれてくるし、検体として血清を用いる場合、血清製造の際の血液凝固の過程で血小板が破壊されて血小板由来酸性ホスファターゼが検体中に含まれてくる。そのため、従来の酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性測定法は、特異的に破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定しているとは言えない。
【0005】
さらに、前記した日大医誌,49巻,904−911頁(1990)記載の改善法でも、血小板由来酸性ホスファターゼによる影響を除くことはできない。また、この改善法では、基質としてp−ニトロフェニルリン酸を用いているが、その反応生成物であるp−ニトロフェノールは、酸性ホスファターゼの反応の至適pHである酸性域では発色しないため、アルカリを加え反応を停止し発色させる必要がある。そのため、この改善法では、レートアッセイが不可能なため、現代の臨床検査の主流である自動分析装置での測定に適応できない。また、この改善法では、感度が十分でないため、酵素反応の反応時間も30分と長時間必要である。
一方、免疫学的測定法による酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼの測定法は、モノクローナル抗体を使用するためさらに特異性には優れている。しかしながら、操作が煩雑であり、抗原抗体反応は酵素反応に比べさらに長時間を必要とするため、測定に時間を必要とする。測定するための試薬も高価でありコスト面でも問題を有する。
本発明は、かかる問題に鑑み、簡便で特異的な破骨細胞由来酸性ホスファターゼの測定方法及びそれに使用するキットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、i)検体中の酸性ホスファターゼに、酒石酸の存在下で酸性ホスファターゼ用基質を作用させて酸性ホスファターゼ活性を測定し(以下、測定1と記載することもある)、
それとは別にii)検体中の酸性ホスファターゼに、赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤と酒石酸との存在下で酸性ホスファターゼ用基質を作用させて酸性ホスファターゼ活性を測定し(以下、測定2と記載することもある)、次いで、
iii)上記i)の活性から上記ii)の活性を差し引くことにより測定することを特徴とする破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定方法である。
更に本発明は、i)酒石酸を含む試薬、
ii)赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤と酒石酸とを含む試薬、
及びiii)酸性ホスファターゼ用基質を含む試薬
を必須構成試薬とする破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定用キットである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で対象とする検体は、ヒトの血液、血清、血漿などが代表的なものである。
本発明の測定方法における測定1の酒石酸存在下では、検体中の前立腺由来酸性ホスファターゼ活性は阻害されるが、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ、赤血球由来酸性ホスファターゼおよび血小板由来酸性ホスファターゼは阻害されず、従ってその阻害されない3種類の酸性ホスファターゼ活性の和が主な測定1での測定値となると考えられる。
測定2では、酒石酸に加え、赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤も存在するので、前立腺由来酸性ホスファターゼに加え、破骨細胞由来酸性ホスファターゼも阻害されるが、赤血球由来酸性ホスファターゼおよび血小板由来酸性ホスファターゼは阻害されず、従ってその阻害されない2種類の酸性ホスファターゼ活性の和が主な測定2での測定値となると考えられる。
したがって、測定1での測定値から測定2での測定値を差し引くことにより、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を正確に求めることができると考えられる。
【0008】
本発明で用いられる赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤(以下、単に阻害剤と記載することもある)としては、赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害せずかつ破骨細胞由来酸性ホスファターゼを阻害するものであれば特に限定されない。そのような阻害剤として、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム等のフッ化塩を例示できる。本発明では、酸性ホスファターゼに合成基質を作用させるとき、その阻害剤の濃度は、好ましくは5〜500mM、さらに好ましくは20から200mMである。
本発明で用いられる酒石酸としては、L(+)−酒石酸、またはそのナトリウム塩またはカリウム塩等の塩が好ましい。本発明では、酒石酸の存在下で酸性ホスファターゼに基質を作用させるとき、その酒石酸の濃度は、好ましくは5〜500mM、さらに好ましくは20〜200mMである。
【0009】
本発明に用いられる酸性ホスファターゼ用基質は、酸性ホスファターゼ、特に、破骨細胞由来酸性ホスファターゼと反応し、酸性ホスファターゼ活性を測定できるものであればいずれでもかまわないが、レートアッセイ可能な基質が好ましい。
レートアッセイ可能な基質として、α−ナフチルリン酸およびその塩、2,6−ジクロロ−4−ニトロフェニルリン酸およびその塩、2−クロロ−4−ニトロフェニルリン酸およびその塩、2,6−ジクロロ−4−アセチルフェニルリン酸およびその塩を例示できる。そのなかでも、2,6−ジクロロ−4−アセチルフェニルリン酸およびその塩が、感度が高く測定波長340nmで測定できる点から好ましい。反応時の基質濃度は、各基質の酸性ホスファターゼに対する親和性により異なるが、酸性ホスファターゼに対するKmの5〜10倍が好ましい。
本発明において、検体中の酸性ホスファターゼに基質を作用させて酸性ホスファターゼ活性を測定するときは、生成するアルコールやフェノールの生成量を分光光度計や自動分析装置を用い、適当な波長の吸光度変化を測定することにより目的の活性を測定できる。この場合、レートアッセイで酸性ホスファターゼ活性を測定するときは、以下の式を利用して求めることができる。
【0010】
【式1】
活性=[(酵素反応中の単位時間当たりの吸光度変化量−ブランクのときの吸光度変化量)×酵素反応時の液量]÷[検体量×生成物の吸光分子係数×セル光路長]
(ただし、「ブランクのときの吸光度変化量」とは、検体の代わりに生理食塩水または精製水を用いて「酵素反応中の単位時間当たりの吸光度変化量」と同様な操作をして求めた値を示す)
【0011】
自動分析装置を用いたレートアッセイでは、約10分間で測定が終了可能である。
本発明では、酵素反応時の反応液量は、用いた検体量の5倍以上が好ましく、8〜100倍がさらに好ましく、10〜50倍が特に好ましい。酵素反応時の反応液量が検体量の5倍を越えないと、検体中の妨害物質の影響のため破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を正確に測定できにくく、その反応液量が多すぎると測定感度が低くなるため破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定できない場合がある。
また、酵素反応の際には、必要に応じて、トリトンX−100等の界面活性剤、アルコール類、塩化ナトリウムなどの塩類、アルブミン等の蛋白質を含んでも構わない。また、酵素反応の際には、pH4〜7の酸性域が好ましく、pH5.4〜6.8がさらに好ましい。そのための緩衝物質として、クエン酸及びその塩、酢酸及びその塩、MES、Bis−Trisなどを用いてもよい。
【0012】
本発明の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定方法では、例えば、
i)酒石酸を含む試薬(酒石酸試薬)、
ii) 赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤と酒石酸とを含む試薬(阻害剤・酒石酸試薬)、及び
iii)酸性ホスファターゼ用基質を含む試薬(基質試薬)
を必須構成試薬とする破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定用キットを用いることができる。このキットは2試薬系の自動分析装置に適用できる。これらの試薬には、必要に応じて、トリトンX−100等の界面活性剤、アルコール類、塩化ナトリウムなどの塩類、アルブミン等の蛋白質を含んでいても構わない。また、緩衝物質としてクエン酸及びその塩、酢酸及びその塩、MES、Bis−Trisなどを含んでいてもよい。
【0013】
このキットでは、まず、検体と酒石酸試薬とを混合することにより前立腺由来酸性ホスファターゼを阻害し、次いで、その混合液に基質試薬を添加して残存の酸性ホスファターゼ活性を測定する(測定1)。それとは別に、検体と阻害剤・酒石酸試薬とを混合することにより、前立腺由来酸性ホスファターゼと破骨細胞由来酸性ホスファターゼとを阻害し、次いで、その混合液に基質試薬を添加して残存の酸性ホスファターゼ活性を測定する(測定2)。得られた測定1での測定値から測定2で測定値を差し引くことにより、検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定することができる。
測定2で用いる阻害剤・酒石酸試薬の液量は、測定1に用いる酒石酸試薬と同量用いることが、計算上、好ましい。また、測定の際に用いる酒石酸試薬と基質試薬との和は、それらの試薬と検体と併せた時、検体量の好ましくは5倍以上、さらに好ましくは8〜100倍、特に好ましくは10〜50倍である。
上記のキットを用いると、本発明の方法を、自動分析装置にも適用でき、簡便に短時間で数多くの検体の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定できる。
【0014】
上記のキットの他にも、例えば、i)酒石酸と酸性ホスファターゼ用基質とを含む試薬、
及びii) 赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤と酒石酸と酸性ホスファターゼ用基質とを含む試薬を必須構成試薬とする破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定用キットを用いても本発明の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定方法を実施できる。
検体と上記試薬i)とを混合して、測定1の方法で、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ、赤血球由来酸性ホスファターゼおよび血小板由来酸性ホスファターゼからなる総酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性を求めることができる。また、検体と上記試薬ii)とを混合して測定2の方法で赤血球由来酸性ホスファターゼおよび血小板由来酸性ホスファターゼからなる酸性ホスファターゼ活性を求めることができる。得られた測定1のデータから測定2のデータを差し引くことにより、検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定法
1)試薬組成
(1)総酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ測定用緩衝液(酒石酸試薬)
150mM MES緩衝液 pH6.2(25℃)
60mM L(+)−酒石酸ナトリウム
0.5% 牛アルブミン
0.1% トリトン X−100
(2)酒石酸抵抗性フッ化ナトリウム抵抗性酸性ホスファターゼ測定用緩衝液(阻害剤・酒石酸試薬)
150mM MES緩衝液 pH6.2(25℃)
60mM L(+)−酒石酸ナトリウム
50mM フッ化ナトリウム
0.5% 牛アルブミン
0.1% トリトン X−100
(3)基質液(基質試薬)
45mM DCAP−P(2,6−ジクロロ−4−アセチルフェニルリン酸)
50mM トリス
【0016】
(4)試料の調整
a.牛骨粗精製液(破骨細胞由来酸性ホスファターゼ含有液)
牛脛骨頭部を約2cm角に砕き、液体窒素存在下ブレンダーにて粗い粉末とする。これに1.5倍量の蛋白分解酵素阻害剤を含む3M KCl、1%トリトンX−100溶液を混和し、ポリトロンホモジナイザーにて懸濁液とし、2000rpm、20分遠心し、上清を採取し、フレオン処理により脂肪分を除き、0.45μmのフィルターを通し、主として破骨細胞由来酸性ホスファターゼを含む、牛骨粗精製液として使用した。
b.赤血球溶液(赤血球由来酸性ホスファターゼ溶液)
ヘパリン血を1000rpm、10分遠心後の沈殿赤血球を生理食塩水にて洗浄後 0.1%トリトンX−100を含む生理食塩水にて溶解したものを、主として赤血球由来酸性ホスファターゼを含む赤血球溶液として使用した。
c.血小板溶液(血小板由来酸性ホスファターゼ溶液)
ヘパリン血を1000rpm、10分遠心後の上清をさらに3000rpm、10分遠心し、沈殿物を生理食塩水にて洗浄後、0.1%トリトンX−100を含む生理食塩水にて溶解したものを、主として血小板由来酸性ホスファターゼを含む血小板溶液として使用した。
【0017】
2)操作方法(汎用の自動分析装置、コバスTMファラ(バクスター社)での例)
(1)または(2)の緩衝液150μlをキュベットに添加し、20秒後に(4)の試薬を150μl加える。60秒間37℃でインキュベーション後、(3)基質液を60μl加えて反応液量が試料の15倍量(=(150μl+15μl+60μl)/15μl)で酵素反応を開始させ、その60秒後から180秒間、340nmでの吸光度変化を測定する。そしてその吸光度変化の直線部分から1分間あたりの吸光度変化量(酵素反応中の単位時間当たりの吸光度変化量)を求める。ブランクの時の吸光度変化は検体の代わりに生理食塩水または精製水を加え、上記と同様の操作を行って1分間あたりの吸光度変化量を求める。
3)計算式
上記操作によって得られた吸光度変化量を下記式に代入することによって酸性ホスファターゼ活性(U/l)を求めることができる。
【0018】
【式2】
活性(U/l)=〔(酵素反応中の単位時間当たりの吸光度変化量−ブランクの時の吸光度変化量)×酵素反応時の液量×106 〕÷〔検体量×反応生成物の分子吸光係数×セル光路長〕
Figure 0003713901
△E/min sample:酵素反応中の1分間当たりの吸光度変化量
△E/min blank :ブランクの時の1分間当たりの吸光度変化量
0.225:酵素反応時の液量(ml)
0.015:検体量(ml)
21,500:反応生成物の分子吸光係数(1/mol・cm)
0.9:光路長(cm)
【0019】
破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性は、(1)の総酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ測定用緩衝液を用いて測定した総酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性(破骨細胞、赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼ活性)から(2)の酒石酸抵抗性フッ化ナトリウム抵抗性酸性ホスファターゼ測定用緩衝液を用いて求めた残存活性(赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼ活性)を差し引いて求める。なお、1検体の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定に要する時間は約10分である。また、上記試薬の濃度、組成、液量等は使用する自動分析装置の機種、適用する測定法により適宜調節である。
4)予備測定(フッ化ナトリウム(NaF)濃度の検討)
試薬(1)の緩衝液にフッ化ナトリウムを加え、その濃度0、10、20、30、50、100、150、200mMに調整した液を用い、試料a.牛骨粗精製液、b.赤血球溶液(ヘモグロビン濃度0.8g/dl)c.血小板溶液(血小板数6000/μl)について前記の(2)操作法に従って各試料の酸性ホスファターゼ活性を測定した。その結果を表1に示した。
【0020】
【表1】
Figure 0003713901
【0021】
表1の結果から明らかなごとく、赤血球、血小板溶液はフッ化ナトリウムを加えても得られる活性測定値に変化はなかった。しかし、牛骨粗精製液ではフッ化ナトリウム添加により得られる活性測定値が低下し、50mMでほぼプラトーとなった。この結果より前記した試薬(2)のフッ化ナトリウム濃度は50mMとした。
また表1の結果は、酒石酸とフッ化ナトリウムとが存在すると赤血球及び血小板由来酸性ホスファターゼは阻害されないが、破骨細胞由来酸性ホスファターゼは阻害されたことを示している。なお、フッ化ナトリウムの代わりに、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤として知られている、モリブデン酸塩を用いると、赤血球及び血小板由来酸性ホスファターゼも阻害された。
【0022】
5)破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定
血清検体について、前記(1)の緩衝液を用いて2)の操作に従って総酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性を測定したところ38.9U/lの測定値が得られた。
一方、前記(2)の緩衝液を用いて2)の操作に従い赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼ活性を測定したところ16.4U/lの測定値が得られた。これらの測定値から、血清検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性は22.5U/l(=38.9U/l−16.4U/l)であることが判った。
【0023】
実施例2
添加回収試験
破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性が既知の血清9容に、破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性が既知の牛骨粗精製液1容添加したものを検体とし、実施例1の操作方法に従い検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定し添加回収試験を行った。その結果を表2に示した。
【0024】
【表2】
Figure 0003713901
【0025】
表2に示すごとく、検討した5種の血清で測定値は平均で104.2%の回収率を示し、ほぼ理論値に近い値であった。
この結果、本発明の方法では正確に破骨細胞由来酸性ホスファターゼを測定していることが判明した。
【0026】
実施例3
血清の希釈試験
血清を生理食塩水で5段階希釈した検体を実施例1の操作方法に従い破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定した。結果を図1に示した。図1から明らかなように、2種の血清でどちらもほぼ原点を通る直線が得られた。そのため、本発明の測定法では透析や希釈などの操作をしないにもかかわらず、血清中の妨害物質の影響を受けていない事が判明した。
【0027】
実施例4
溶血検体の影響
ヘパリン血漿を溶血前検体として、同一ヘパリン血を攪拌後22Gの注射針を通して溶血させ、遠心して得た血漿を溶血後検体として実施例1の操作法に従い、両者の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性と溶血後のヘモグロビン(Hb)濃度を測定した。その結果を表3に示した。
【0028】
【表3】
Figure 0003713901
【0029】
表3から明らかなごとく、溶血前後で破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の差はほとんどなく、本発明の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定法は溶血の影響を受けないことが判明した。
【0030】
実施例5
破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の加齢変化
集団検診で肝機能と腎機能が正常範囲の女性の血清検体を操作方法に従い破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定し年齢との関係を検討した。その結果を表4に示した。
【0031】
【表4】
Figure 0003713901
【0032】
表4の結果から明らかなごとく、得られた破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性値の平均値は統計的に有意に40才代より上昇傾向を示し、閉経による骨吸収の変化を反映していることを示唆する結果であった。
実施例6
干渉物質の影響
実施例1に記載した方法で約20U/1の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を有する血清検体に干渉物質を添加して活性を測定し、干渉物質の影響を検討した。その結果、ヘモグロビンでは0.4g/dl、乳ビでは3800ホルマジン濁度、遊離及び抱合ビリルビンではそれぞれ15mg/dlまで影響は認められなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定法は、以下のような効果を有する。
1)長時間加熱等の検体の前処理をしなくても正確に破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定できる。
2)検体に、試薬を添加するだけで、短時間に簡単に破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定できる。
3)検体をあらかじめ希釈することなく、正確に検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定できる。
4)検体として血清を用いても、破骨細胞由来酸性ホスファターゼを正確に測定することができる。
5)汎用型の自動分析装置に適用できるので、多数の検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼを短時間で簡単に測定できる。
6)検体中のビリルビン等の干渉物質の影響を受けることなく、検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を測定できる。
7)簡便で正確に測定可能な骨吸収変化の指標として有用であると示される。
8)検体中の赤血球由来酸性ホスファターゼ及び血小板由来酸性ホスファターゼの影響なく、検体中の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定法による血清検体の希釈直線性を示すグラフである。

Claims (7)

  1. i) 検体中の酸性ホスファターゼに、酒石酸の存在下で酸性ホスファターゼ用基質を作用させて酸性ホスファターゼ活性を測定し、
    それとは別に、ii) 検体中の酸性ホスファターゼに、赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤であるフッ化塩と酒石酸との存在下で酸性ホスファターゼ用基質を作用させて酸性ホスファターゼ活性を測定し、次いで、
    iii) 上記i) の活性から上記ii) の活性を差し引くことにより測定することを特徴とする破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性の測定方法。
  2. 酸性ホスファターゼ用基質がレートアッセイ可能な基質であり、かつ、酸性ホスファターゼ活性の測定をレートアッセイにより実施する請求項1の測定方法。
  3. 酸性ホスファターゼ用基質が2,6−ジクロロ−4−アセチルフェニルリン酸またはその塩である請求項1または2の測定方法。
  4. 検体中の酸性ホスファターゼに、酸性ホスファターゼ用基質を作用させる際、反応液量が用いた検体の5倍以上である請求項1から3のいずれかの測定方法。
  5. i) 酒石酸を含む試薬、
    ii)赤血球および血小板由来酸性ホスファターゼを阻害しない破骨細胞由来酸性ホスファターゼ阻害剤であるフッ化塩と酒石酸とを含む試薬、
    及び iii) 酸性ホスファターゼ用基質を含む試薬
    を必須構成試薬とする破骨細胞由来酸性ホスファターゼ活性測定用キット。
  6. 酸性ホスファターゼ用基質がレートアッセイ可能な基質である請求項5のキット。
  7. 酸性ホスファターゼ用基質が2,6−ジクロロ−4−アセチルフェニルリン酸またはその塩である請求項5または6のキット。
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