JP4875805B2 - 成形用金型装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ、ミラー等の光学素子等の高精度なプラスチック成形品を製造する為の成形用金型技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
レンズ、ミラー等の光学素子等の高精度なプラスチック成形品を射出成形金型を用いて生産性よく大量生産する為には、成形中に加わる圧力や、温度不均一等によって、成形品が変形を起こす不具合を最大限に防止する必要がある。
図10(a)及び(b)は、レーザプリンタ等の画像形成装置の書き込み光学系に使用される光書き込み用レンズの構成を示す横断面図、及び側面断面図であり、このプラスチック製レンズ1の形状は図示したようにレンズ本体部分2が細長い100mmを超す長尺体である。図11(a)は射出成形用金型5によってこのレンズ1を成形している状態を示す断面図(圧力による鏡面駒の変形状態を示す図)である。金型5は、第1及び第2の金型ベース6、7と、各金型ベース6、7の凹所6a、7a内に夫々支持された第1の鏡面駒8及び第2の鏡面駒9と、を備えている。各鏡面駒8、9の転写面8a、9a間に形成されるキャビティ内に樹脂を注入して成形を行う時には、30〜120Mpa程度の大きな樹脂内圧が発生するが、この時、各鏡面駒8、9の転写面形状の変形は3μm以下に抑えなければならない。成形品としてのレンズ1を形成する金型の鏡面駒8、9に対して作用する変形力は、図11(a)中に矢印で示した如くである。従って、このような変形力に抗して転写面形状の変形を許容範囲内に抑えるためには、鏡面用金型部材としての鏡面駒8、9に対して非常に高い剛性を付与する必要がある。
また、図11(b)は樹脂冷却による鏡面駒の温度分布を示す図であり、成形時における溶融樹脂の冷却過程中における樹脂の温度分布が製品形状に及ぼす影響は大きい。この影響を回避する対策の1つとして、鏡面用金型部材としての鏡面駒8、9のキャビティ面側(転写面8a、9a側)の温度分布を±2℃以内程度に抑える必要がある。そのためには、鏡面駒を構成する材料として高熱伝導率を有した素材が必要である。
ところで、上記の如き高精度なプラスチック製光学部品を射出成形するための鏡面駒(鏡面用金型部材)に求められる必要条件とそれに適した材料は、以下の通りである。
【0003】
即ち、1)高精度の形状創成加工ができる素材であること、2)組織が均一、緻密で不純物が少ないこと、3)耐食性、化学的に安定であること、4)成形素材との親和性が低く、離型性が良いこと、5)硬度が高く、傷付きにくく、耐摩耗性に優れていること、6)熱伝導率が高く、熱交換に優れていること、7)熱膨張係数が小さく、加熱冷却による変形が小さいこと、及び熱疲労に強いこと、8)剛性が高く、成形圧力等による変形が小さいこと。
以上から、これらに適した材料を選択すると以下の様になる。
1)加工性(切削加工)、鏡面性、熱伝導性から考慮すると、アルミ系や銅系の非鉄金属が有効である。
2)精度、剛性、寿命、保守のしやすさから考慮すると、スチール系材料や超硬及びセラミックスが有効である。
3)精度、剛性、寿命、保守のしやすさ、加工性(切削加工)、鏡面性から考慮するとスチール系材料等+無電解ニッケルメッキが有効である。但し、スチール系材料の欠点は、熱伝導率が低く、熱交換に劣る点である。
このように、鏡面用金型部材には、高剛性、高熱伝導性という条件の他に、上述したように、加工性、鏡面性、高精度、低熱膨張係数、長寿命、保守のしやすさが必要条件として求められる。特に、母材としては、精度、剛性、寿命、保守のしやすさから、スチール系材料、超硬合金、セラミックスに絞られてくる。さらに、加工性、鏡面性を確保するために、それら母材の鏡面加工側の表面に無電解ニッケルメッキ等を施しているものに絞られてくる。但し、この様な素材では、熱伝導率が低く、熱交換に劣る欠点がある。従って、上記条件をすべて満たす単独の素材は現実には存在しない。
ところで、特開平11−170323号公報の「金型の温度制御方法および金型の温度制御装置」には、棒状ヒータを、キャビティを取り囲むように配設し、棒状ヒータ内の発熱素子を少なくとも2つグループの発熱素子に分類し、成形中各グループの発熱素子を個別に設定した温度サイクルに基づいて個別に加熱制御する技術が開示されている。これにより、成形品を2次元的または3次元的に加熱して、肉厚分布が異なる偏肉な成形品の成形時の全過程においてキャビティ全体の温度分布を均一化し、成形品の形状精度が悪化したり光学歪みが発生するのを防止している。この従来技術によれば、キャビティ全体の温度分布が均一になり、高精度のレンズ成形品が得られるが、ヒータにて温度分布を調整しているため、成形サイクルが長くなり、生産性が低下する結果、製品コストが高騰する欠点がある。
【0004】
次に、特許第3058613号の「プラスチック製品成形用金型」には、製品の表面形状に合わせた成形面形成用薄板の裏面に、後から溶融可能な空洞形成材料により循環流路条を形成したのち、循環流路条の表面に被覆層を形成し、その後空洞形成材料を被覆層内から溶かし出すことにより、薄板と被覆層間に熱媒循環流路条を形成した温調用成形面部材を製作し、これをバッキング内に組み込んで入れ駒を作り、この入れ駒を金型の成形面に組み込んでなる金型において、循環流路条の表面を形成する被覆層を、内部に空孔、高分子あるいはセラミックを含有する金属層で形成した金型が開示されている。これによれば、成形工程期間中に金型表面温度を短時間に精度良く加熱又は冷却することにより、製品表面を高品質化することができる。しかし、この従来技術では、金型やキャビティ全体の温度分布は均一になるが、キャビティ直下に空洞があるため、圧力により製品が変形することが明らかである。
【0005】
次に、特開平11−42682号公報の「長尺プラスチック光学素子成形用金型」には、キャビティ構成部のプラスチック光学素子光学機能面(側面、端面)に接する部分又はその近傍の少なくとも一部に、前記部分又は前記その近傍の少なくとも一部以外の部分に比べ高熱伝導率の材料を使用する技術が開示されている。この従来技術は、キャビティ部又はその近傍に高熱伝導率材料を用いることで温度分布均一化を図っているが、鏡面駒の直下に高熱伝導率材料を配置している為、剛性を高めて成形品の変形を防止するという配慮がなされていないことは明らかである。
特公平7−75849号公報の「多層金型」には、成形すべき完成品の輪郭にほぼ等しい輪郭を持った表面を有する金属材料またはセラミックの金型部材と、前記金型部材の前記表面に結合された断熱層とを含んでいて、前記断熱層が前記金型部材と同質材料から成ると共に、前記断熱層の表面領域が前記断熱層の中心領域よりも高い密度を有するような密度差が存在するように構成した技術が開示されている。これによれば、積層材料として同材料を使用し、層間の密着性、線膨張を近似させているため、積層材料間で剥がれが生じにくく、また素材の密度差を調整することで熱伝導を制御している。しかし、キャビティ直下が多層構造であり、特に一部の断熱層は気泡やガラス球等で構成されているため、圧力による部分的変形や温度分布が生じ、これが成形品の変形をもたらすことは明らかである。
このように各公報に記載された従来技術は、いずれも個々の課題(例えば温度分布均一)を解決する発明に過ぎず、上記の如き総合的な課題を解決するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、第1の課題は、高い精度が要求され、且つ長尺な形状であるレーザプリンタ等の光書き込み用レンズやミラーを製造するための射出成形用金型において、成形中の圧力や温度の変動による鏡面用金型部材の変形防止という要請(高剛性の要請)と、鏡面用金型部材のキャビティ表面部の温度分布を均一化するという要請(高熱伝導率の要請)を両立させる金型構造を提供することにある。
次に、通常金型は各部品を組み立てて構成されているため、その組立て状態によっては、部品同志の接触状態が変わってくる。これにより、メンテナンス時等、金型を一旦分解し、再組み立てする毎に接触面での熱伝達状態が変化し、品質が安定しないという問題があった。よって、本発明の第2の課題は、部品組立て状態に品質が左右されない金型構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、固定側金型ユニットと、該固定側金型ユニットに対して開閉可能に構成され且つ閉止時に固定側金型ユニットとの間でキャビティを形成する可動側金型ユニットと、少なくとも一方の金型ユニットにより支持され且つキャビティ内に供給される樹脂に鏡面を転写する鏡面用金型部材と、を備えた光学素子を形成する成形用金型装置において、前記鏡面用金型部材は、前記キャビティ内に供給される樹脂と接触して当該樹脂に創成加工を行う創成部材と、該創成部材を支持し、前記キャビティ内に樹脂が供給され光学素子を成形する際に当該樹脂の樹脂内圧による変形量を3μm以下に抑える剛性を備えた耐圧部材と、該耐圧部材の前記樹脂内圧による変形の影響が及ばない側面に固定され且つ100W/m・k以上の熱伝導率を備えた導熱部材と、を備え、前記耐圧部材と前記導熱部材を夫々構成する各材料の線膨張率が同等であることを特徴とする。請求項2の発明は、前記導熱部材に温調回路を設けたことを特徴とする。請求項3の発明は、前記耐圧部材と前記導熱部材を夫々構成する各材料の線膨張率差が0〜70×10^−8であることを特徴とする。請求項4の発明は、前記導熱部材を構成する材料は、2種類以上の材料からなることを特徴とする。請求項5の発明は、前記導熱部材は、2種類以上の材料を混合した構成を備えていることを特徴とする。請求項6の発明は、前記導熱部材は、2種類以上の材料を積層した構成を備えていることを特徴とする。請求項7の発明は、前記耐圧部材に、前記導熱部材を構成する材料を化学的に析出させて接合したことを特徴とする。請求項8の発明は、前記耐圧部材に、前記導熱部材を構成する材料を、溶融し加速し衝突させることで接合したことを特徴とする。請求項9の発明は、前記耐圧部材に、前記導熱部材を構成する材料を溶融加圧にて接合したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る射出成型用金型装置の構成を示す断面図(図11の断面図とは90度ずれた側部断面図)、及びその要部拡大図である。
この金型装置21は、固定側金型ユニット22と、可動側金型ユニット23と、スライドコア24と、から概略構成されている。固定側金型ユニット22は、固定側受け板30と、固定側受け板30に固定された固定側型板31と、固定側型板31に設けた支持凹所32内に組み込まれた鏡面用金型部材としての固定側鏡面駒33と、所要箇所に設けられた温調穴(温調回路)34等を備えている。可動側金型ユニット23は、可動側受け板40と、可動側受け板40に固定された可動側型板41と、可動側型板41に設けた支持凹所42内に組み込まれた鏡面用金型部材としての可動側鏡面駒43と、所要箇所に設けられた温調穴(温調回路)44等を備えている。温調穴34は、ヒータ、或いは、流体による温度調節手段により金型の温度を調整する手段である。
スライドコア24は、可動側金型ユニット23が上下方向へ開閉する動作に伴って、ピン25によってガイドされながら、内外方向へ進退移動する。図示のように両金型ユニットが閉じた状態では、各スライドコア24は両鏡面駒33、43によって形成されるキャビティ50の左右側方を閉止する。
図1(a)のように両金型ユニット22、23が閉じた状態では、両金型ユニット22、23の創成面(転写面)と両スライドコア24の内面とによってキャビティ50が形成される。このキャビティ50内に溶融樹脂51が供給されて図10に示した如き形状のレンズの成形が行われる。
【0009】
本発明の課題である鏡面駒の高剛性と高熱伝導率の両立という問題を解決するために、本発明では3つの手法を提案する。
[第1の手法]
先ず、第1の手法は、鏡面駒33、43を3つの領域(材質の異なる構成要素)から構成した点にある。即ち、本発明の特徴をなす鏡面駒33、43は、高精度形状を樹脂51に転写させるための入れ子であり、所定の形状を転写させる為の創成領域(創成部材)60と、樹脂51の内圧による変形を最小限に抑える耐圧領域(耐圧部材)61と、温度を均一化する為の高熱伝導である導熱領域(導熱部材)62と、の3領域から構成されている。各領域60、61、62間の境界部での温度や強度のばらつきを小さくするため、これら3領域は隙間無く密着し、一体化されている。
まず、創成領域60は、キャビティ50を形成し、且つ樹脂51と接触する面であり、鏡面駒形状を創成加工する際に切削性を向上させるため、無電解ニッケル膜(膜厚0.1mm以下)等のメッキ処理が施されている。
各創成領域60から各受け板30、40までの間に夫々位置する耐圧領域61は、樹脂内圧による変形を最小限に抑えるために充分な剛性を備えた領域であり、図2の表1に示すように、変形差分が3μm以下になるように、ヤング率20×10^10Pa以上の高剛性(SUS、超硬合金、セラミックス等)の材料にて構成されている。
導熱領域62は、樹脂の内圧による変形の影響が及ばない部分、この例では耐圧領域61の側面に設けられ、熱伝導率が100W/m・k以上の高い材料(例えば、銅、金、銀、アルミニウム、ベリリウム、タングステン等)にて構成することにより、温度分布を均一化する機能を発揮する。
このように3つの領域60、61、62を配置することが、形状精度と、高剛性と、高熱伝導率とを両立させるための手法の1つである。
尚、図3に示すように、導熱領域62内やスライドコア24内に、温調回路(温調穴)65を設けることで、型板31、41や耐圧領域61との間の接触状態のばらつきに影響されずに温度の均一化を図ることができる。
【0010】
[第2の手法]
次に、本発明の実施形態の他の特徴的な構成は、導熱領域62を2種類以上の素材から構成したことと、導熱領域62を耐圧領域61に対して線対称の位置関係となるように配置した構成にある。
このように構成した理由は、以下の通りである。即ち、前述の如く3つの領域60、61、62を構成する各素材はそれぞれ異なっている。よって、それらの線膨張率も異なるため、成形時の温度変化によって線膨張差による内部応力が発生し、成形品形状の変形をもたらす。創成領域60を構成する無電解ニッケル膜の膜厚は0.1mm以下と小さく、耐圧領域61の高さ(50mm)の0.002倍であるため、線膨張差による耐圧領域61の変形は微量であり、形状変化への影響が小さい。それに対して、導熱領域62は耐圧領域61の体積と比較して、0.2倍以上の体積が必要である(導熱領域の体積が大きい程、温度均一性が良い)。導熱領域62を構成する素材が1種類である場合、耐圧領域61の幅A:10mm、導熱領域62の厚みB:0.2mm、鏡面駒33、43の長さC:200mmとし、耐圧領域61の材質をSUSとし、導熱領域62の材質を銅とした時に、室温から成形時の温度差100℃に温度変化したときの鏡面駒の変形量を算出すると、図4(a)(b)に示した鏡面駒の正面図及び側面図と、図4(c)の表2に示すように、バイメタル現象にて167μmと大きな変形(曲がり)が生じる。高精度レンズに求められる曲がりの精度は50μm程度であるため、このように変形した鏡面駒によって成形、転写される成形品は使用に耐えられないものとなる。
なお、別の対策として、導熱領域62を耐圧領域61に対して線対称となる位置に配置する方法を挙げることができ、この方法によれば、力のバランスが均等になるため曲がりは生じなくなるが、耐圧領域61に内部応力が残留して経時変形が生じてしまう欠点がある。特に導熱領域62の厚みを大きくすればするほどその傾向は顕著となる。
これら不具合を解決する手法として、本発明では、導熱領域62を構成する素材として2種類以上の材料を混合または積層して、その平均の線膨張率を耐圧領域61の線膨張率と同一にする手法を採用した。なお、導熱領域62を構成する2つの素材に求める条件は、▲1▼両素材を図5(a)のように混合したり、または同図(b)のように積層したとしても、充分な高熱伝導率を維持することと、▲2▼一方の材料は耐圧領域61の線膨張率よりも小さい線膨張率を有し、他方の素材は耐圧領域61の線膨張率よりも大きい線膨張率を有すること、である。
具体的な実施例として、導熱領域62を構成する材料として銀とタングステンを重量比1:1.84で混合したときの変形量を上記と同様に算出すると、図4(c)の表2に示すように曲がりが0.2μmとなり、低減効果は大きい。
【0011】
図6は、耐圧領域部材と導熱領域部材の線膨張率差と最大曲り量との関係を示す図であり、同図によれば、耐圧領域61を構成する材料と導熱領域62を構成する材料との間の線膨張率差が0〜70×10^−8の範囲以内であれば、曲がりを50μm以内に抑えることができる。更に、導熱領域62を、耐圧領域61に対して線対称となる位置関係に配置することで、その効果はより高まる。
このように耐圧領域61と導熱領域62を構成する各材料の線膨張率が同等或いは近接するように構成しているため、鏡面駒の温度変化による変形や内部歪みが防止できる。また、境界部での剥がれが抑制できる。
また、導熱領域62を2種類以上の材料から構成すれば、線膨張率を調整することができる。
また、導熱領域62を、2種類以上の材料を混合して構成すれば、線膨張率の均質化が図れる。
また、導熱領域62を構成する材料を、2種類以上の材料を積層した構造とすれば、加工時における、各層の厚み制御が可能であり、線膨張率の調整が可能である。
【0012】
[第3の手法]
次に、高剛性と高熱伝導率という2つの要請を満たすための第3の手法について説明する。
耐圧領域61と導熱領域62との間の熱伝導は、その接触面積の違いによって熱伝導係数が異なってくるため、接触面積の影響を受ける。両者の接触面積が大きい程、熱伝導係数は大きくなる。耐圧領域61と導熱領域62を貼合せた場合に接触面積を大きくするには、接触させる面の粗さを小さくすることが望ましい。そのために最も良い方法としては、接触面を鏡面にすることである。しかしながら、図7に示すように鏡面加工を施したとしても、その接触面積は1/10にも満たない欠点がある。また、鏡面加工は加工時間が長くなり、コスト面からも好ましい方法では無い。これらの不具合を一挙に解決する手段として、耐圧領域61と導熱領域62を高周波加熱等にて溶着する方法、導熱領域62の素材をメッキ処理にて耐圧領域61の素材に化学的に還元析出(メッキ処理)させる方法、導熱領域62の素材を溶射加工にて耐圧領域61の素材に溶融、加速して衝突(溶射)させることで被膜を形成する方法等にて密着面積を増すことができ、有効な方法である。特に、接合時に熱の発生が低いメッキ処理(室温)や溶射加工(150℃以下)が最も望ましい。
図8(a)は、耐圧領域61の外面に対して、異種材料を積層した導熱領域62を上記各方法(溶着、還元析出、衝突による皮膜形成)によって密着形成させた場合の拡大模式図であり、図8(b)は耐圧領域61の外面に対して、異種材料を混合した導熱領域62を上記各方法(溶着、還元析出、衝突による皮膜形成)によって密着形成させた場合の拡大模式図である。
耐圧領域61に導熱領域62の材料を化学的に析出(メッキ処理)して接合した場合には、両者の密着性及び接触面積が増し、熱伝達率が増すので、各境界部の均質性が得られ、部分的な変形や温度不均一性が改善され、高品質な製品が得られる。さらに、メンテナンス等で金型を部品にばらし、組み立てたとしても、温度分布は安定し、製品の品質の安定性につながる。また、室温での処理であるため、熱による変形等の影響を受けない。
【0013】
尚、図9には導熱領域62を銅メッキ処理した鏡面駒と、未処理の鏡面駒とを、室温から160℃まで加熱した場合の鏡面駒の温度分布を示す。導熱領域62を、メッキ処理により形成した高熱伝導部材としたことにより、耐圧領域61との間の密着性を上げることができ、明らかに、温度分布が均一化改善されたことが判る。
また、耐圧領域61に対して、導熱領域62を構成する材料を溶融し加速し衝突させる(溶射)ことで接合した場合には、両者の密着性及び接触面積が増し、熱伝達率が増す。従って、各境界部の均質性が得られ、部分的な変形や温度不均一性が改善され、高品質な製品が得られる。さらに、メンテナンス等に、金型を部品にばらし組み立てたとしても、温度分布は安定し、製品の品質の安定性につながる。また、150℃以下での加工であるため、熱による変形等の影響が小さい。
また、耐圧領域61に導熱領域62を構成する材料を溶融加圧(高周波加熱)にて接合した場合には、両者の密着性及び接触面積が増し、熱伝達率が増すため、各境界部の均質性が得られ、部分的な変形や温度不均一性が改善され、高品質な製品が得られる。さらに、メンテナンス等で金型を部品にばらし組み立てても、温度分布は安定し、製品の品質の安定性につながる。また、領域同志の貼合せが可能となり、2次加工等の工程が省ける。
【0014】
このように本発明によれば、鏡面駒(鏡面用金型部材)を、基部となる耐圧領域と、耐圧領域のキャビティ側に設けた創成領域と、耐圧領域の側面に設けた導熱領域と、から構成し、更に導熱領域を複数の素材を積層、或いは混合して構成したので、各領域が独自に特有の機能を発揮することができる。その結果、高い精度が要求され、且つ長尺な形状であるレーザプリンタ等の光書き込み用レンズやミラーを製造するための射出成形用金型において、成形中の圧力や温度の変動による鏡面駒の変形防止という要請(高剛性の要請)と、鏡面駒のキャビティ表面部(転写面)の温度分布を均一化するという要請(高熱伝導率の要請)を両立させて、変形のない成形品を量産することが可能となる。
また、各部品を組み立てて構成される金型において、その組立て状態によっては、部品同志の接触状態が変り、これにより、メンテナンス時等、金型を一旦分解し、再組み立てする毎に接触面での熱伝達状態が変化し、品質が安定しないという問題があったが、本発明では、耐圧領域に対して導熱領域を密着させる手法を採用したので、部品組立て状態に品質が左右されない金型構造を提供することができる。
【0015】
請求項1の発明は、鏡面用金型部材が少なくとも創成部材、耐圧部材、及び導熱部材の3部材から構成されているため、各部材を構成する材質が有する長所(高創成加工性、高剛性、高熱伝導性)を併せて利用することができ、適切な配置を行うことで、単素材では得られなかった高い物性を得ることができる。請求項2の発明は、該導熱部材に温調回路(ヒータ、流体温調)を併合したので、更に鏡面駒の温度均質化が図られる。また、金型部品との接触状態のばらつきによる不具合がなくなり、安定した温度制御が可能である。請求項4の発明は、該導熱部材を2種類以上の材料から構成したため、線膨張率を調整することができる。請求項5の発明は、該導熱部材は、2種類以上の材料を混合して構成したため、線膨張率の均質化が図れる。請求項6の発明は、該導熱部材は2種類以上の材料を積層する構造であるため、加工時における、各層の厚み制御が可能であり、線膨張率の調整が可能である。
【0016】
請求項7は、該耐圧部材に該導熱部材を化学的に析出(メッキ処理)して接合するため、その密着性及び接触面積が増し、熱伝達率が増す。従って、各境界部の均質性が得られ、部分的な変形や温度不均一性が改善され、高品質な製品が得られる。さらに、メンテナンス等で金型を部品にばらし組み立てても、温度分布は安定し、製品の品質の安定性につながる。また、室温での処理のため、熱による変形等の影響を受けない。請求項8の発明は、該耐圧部材に対して、該導熱部材を構成する材料を溶融し加速し衝突させる(溶射)ことで接合するため、その密着性及び接触面積が増し、熱伝達率が増す。よって、各境界部の均質性が得られ、部分的な変形や温度不均一性が改善され、高品質な製品が得られる。さらに、メンテナンス等に、金型を部品にばらし組み立てたとしても、温度分布は安定し、製品の品質の安定性につながる。また、150℃以下での加工であるため、熱による変形等の影響が小さい。請求項9の発明は、該耐圧部材に該導熱部材を溶融加圧(高周波加熱)にて接合するため、その密着性及び接触面積が増し、熱伝達率が増す。よって、各境界部の均質性が得られ、部分的な変形や温度不均一性が改善され、高品質な製品が得られる。さらに、メンテナンス等で金型を部品にばらし組み立てても、温度分布は安定し、製品の品質の安定性につながる。また、部材同志の貼合せが可能となり、2次加工等の工程が省ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る射出成型用金型装置の構成を示す断面図及びその要部拡大図である。
【図2】各材料についての変形差分を示す図。
【図3】他の実施形態に係る金型の構成を示す断面図。
【図4】(a)及び(b)は鏡面駒の正面図及び側面図、(c)は各材料についての変形量を示す図。
【図5】(a)は2つの材料を混合した状態、(b)は積層した状態を示す図。
【図6】耐圧部材との線膨張率差と、最大曲量との関係を示す図。
【図7】耐圧領域と導熱領域との境界部の拡大図。
【図8】(a)及び(b)は本発明による導熱領域と耐圧領域との境界部の拡大図。
【図9】鏡面駒昇温時の温度分布を示す図。
【図10】(a)及び(b)は成形品の一例としてのレンズを示す平面横断面図、及び側部縦断面図。
【図11】(a)及び(b)は従来の金型の内部構成図。
【符号の説明】
21 金型装置、22 固定側金型ユニット、23 可動側金型ユニット、24スライドコア、30 固定側受け板、31 固定側型板、32 支持凹所、33 固定側鏡面駒、34 温調穴(温調回路)、40 可動側受け板、41 可動側型板、42 支持凹所、43 可動側鏡面駒、44 温調穴(温調回路)、50 キャビティ、51 溶融樹脂、60 創成領域(創成部材)、61 耐圧領域(耐圧部材)、62 導熱領域(導熱部材)
Claims (9)
- 固定側金型ユニットと、該固定側金型ユニットに対して開閉可能に構成され且つ閉止時に固定側金型ユニットとの間でキャビティを形成する可動側金型ユニットと、少なくとも一方の金型ユニットにより支持され且つキャビティ内に供給される樹脂に鏡面を転写する鏡面用金型部材と、を備えた光学素子を形成する成形用金型装置において、
前記鏡面用金型部材は、
前記キャビティ内に供給される樹脂と接触して当該樹脂に創成加工を行う創成部材と、
該創成部材を支持し、前記キャビティ内に樹脂が供給され光学素子を成形する際に当該樹脂の樹脂内圧による変形量を3μm以下に抑える剛性を備えた耐圧部材と、
該耐圧部材の前記樹脂内圧による変形の影響が及ばない側面に固定され且つ100W/m・k以上の熱伝導率を備えた導熱部材と、を備え、
前記耐圧部材と前記導熱部材を夫々構成する各材料の線膨張率が同等であることを特徴とする成形用金型装置。 - 前記導熱部材に温調回路を設けたことを特徴とする請求項1に記載の成形用金型装置。
- 前記耐圧部材と前記導熱部材を夫々構成する各材料の線膨張率差が0〜70×10^−8であることを特徴とする請求項1に記載の成形用金型装置。
- 前記導熱部材を構成する材料は、2種類以上の材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形用金型装置。
- 前記導熱部材は、2種類以上の材料を混合した構成を備えていることを特徴とする請求項4に記載の成形用金型装置。
- 前記導熱部材は、2種類以上の材料を積層した構成を備えていることを特徴とする請求項4に記載の成形用金型装置。
- 前記耐圧部材に、前記導熱部材を構成する材料を化学的に析出させて接合したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成形用金型装置。
- 前記耐圧部材に、前記導熱部材を構成する材料を、溶融し加速し衝突させることで接合したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成形用金型装置。
- 前記耐圧部材に、前記導熱部材を構成する材料を溶融加圧にて接合したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成形用金型装置。
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