JP3579105B2 - 射出製形金型及び射出成形方法 - Google Patents

射出製形金型及び射出成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プラスチックの射出成形法に用いる射出成形金型に係わり、詳しくは、射出成形品の高精度を要求される面への転写性を向上させる射出成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
面精度を必要とするレンズ・プリズムなどの光学素子を射出成形する場合、成形品の各部の肉厚の違いにより冷却速度が異なり、これによる各部での収縮率の違いは不均一な応力分布を引き起こし、その結果として成形品の面精度を損なうという問題がある。これを解決する手段として、特開昭62−80015号公報所載の技術が開示されている。この従来技術を図8〜図10により説明する。図8はレンズ成形用金型の縦断面図、図9は図8のA−A断面図、図10は図8の可動入駒部をパーティング面からみた平面図である。図8において、101aは、互いに対向して配設される金型の一方の金型架体に係る固定架体、101bは、他の一方の金型架体に係る可動架体である。
【0003】
固定架体101aには、固定スリーブ102aが組合わされて金型の取付板103aにより、前記スリーブのフランジ部104aを前記固定架体101aと挟持するように固定される。固定スリーブ102aの組合わせ固定後、固定スリーブ102aの外周と固定架体101aとの境界に、第1の空隙(以下エアギャップという)105aと第2の空隙(以下エアギャップという)106aが形成されるように、前記固定スリーブ102aの外周には段差部124を設けるか寸法的に形状が配慮されている。107aは、キャビティ108の一部を形成する固定入駒であり、前記固定スリーブ102aに嵌着されている。固定入駒107aと固定スリーブ102aと合わせて固定入駒部と称する。
【0004】
固定入駒107aと固定スリーブ102aと取付版103aとを貫通して、冷却穴109が穿設され、仕切板110がそれぞれの冷却穴109に挿入固定されている。これら冷却穴109は、取付板103aの冷媒導入部111に連通し、外部の冷却装置および制御装置(図示せず)に連動して冷媒が固定入駒107a内を循環できるようになっている。113は温度感知センサーであり、リード線113aにより金型外部に導かれ、前記温度制御装置に結線されている。一方、前記固定スリーブ102aにはヒータ112が、キャビティ中心軸に対して軸対称に配置されている。図9は、前記冷却穴109およびヒータ112の配置例を示したものである。ヒータ112からのリード線112aは、固定架体101aに形成されている環状の溝114にいったん導かれ、前記温度制御装置に結線されている。上記ヒータ112および冷却穴109の配置(挿入深さや中心軸からの距離)は、レンズの形状や大きさにより適宜選択される。そして、その配置は好ましくは、キャビティ面108a,108bに対して、軸対称で、かつ等距離に配置されることが望ましい。
【0005】
固定架体101aに対向して配設される可動架体101bには、前記固定入駒107a、固定スリーブ102aに対向し、可動入駒107b、可動スリーブ102bが配置されている。すなわち、キャビティ108を形成するための可動入駒107bが型開き方向に摺動可能に可動スリーブ102bに嵌め合わされ、その可動スリーブ102bが可動架体101bに組み合わされ固定されている。可動入駒107bと可動スリーブ102bとを合わせて可動入駒部と称する。可動入駒部にもヒータ112および冷却穴109が同様に設けられている。可動入駒部のヒータ112および冷却穴109は、好ましくはキャビティ108の中心軸に対し、軸対称に配置されるとともに、その配置距離は、固定入駒部のヒータ112および冷却穴109と等しくなることが望ましい。
【0006】
可動スリーブ102bと可動架体101bとの境界には、固定側と同様第1のエアギャップ105bと第2のエアギャップ106bが形成されるように、可動スリーブ102bの外周部に段差部124を設けるか寸法的に形状が配慮されている。段差部124は、固定,可動入駒部と金型架体との境界、図8では固定スリーブ102aと固定架体101a,可動スリーブ102bと可動架体101bとの境界接触部となるもので、この段差部と金型架体とは円柱面で接触するように構成されており、他の境界部に断熱部となる第1のエアギャップ105a,105b、第2のエアギャップ106a,106bが形成されているものである。115は、固定,可動入駒107a,107b間に溶融樹脂を充填するキャビティ108を形成しうるように前記可動入駒107bを押圧する加圧手段である。116はスプル、117はランナ、118はゲートを示し、これらは溶融樹脂の通路を形成するとともに、キャビティ108への樹脂充填通路となっている。
【0007】
119は、互いに対向して配設される金型のパーティング面で、固定入駒部,固定架体と可動入駒部,可動架体との合わせ面であり分離面となるものである。123は、金型結合のための受板である。120は固定スリーブ102aおよび可動スリーブ102bのパーティング面119に円状に形成した第3のエアギャップともいうべき断熱溝である。この断熱溝120は、図10に示すように、ランナ117、ゲート118など溶融樹脂充填通路と交錯しないように部分的に不連続部122を形成している。121は固定架体101a,可動架体101bに穿設された冷却穴であり、前記固定,可動入駒107a,107bに穿設された冷却穴109とは、金型内で連結しておらず、金型架体部のみで独立して温度調節できるようになっている。
【0008】
この従来技術の金型構造は、架体部を除く入駒部だけの加熱、冷却を可能としたため、成形サイクルの大幅短縮が可能となり、さらに前記キャビティ面108a,108bの温度分布幅を極めて小さくすることができる。その効果を発揮する第1の特徴は、架体部とスリーブとの間に第1のエアギャップ105a,105bと第2のエアギャップ106a,106bを形設したことにある。これらのエアギャップの断熱効果により、架体部と入駒部との大部分の熱移動が遮断可能となったためである。これらのエアギャップの寸法g,gは架体部とスリーブ間で伝導による熱移動が生じない寸法であれば良く、好ましくは5μm以上が効果的である。
【0009】
この従来技術の第2の特徴は、上記パーティング面119での接触による熱移動を遮断する第3のエアギャップを固定,可動スリープ102a,102bの段差部124の近傍のパーティング面に形設したことにある。前記断熱溝120の寸法は、溝幅gは、段差部124でのスリーブと架体部間の熱流すなわち熱移動を防止できる寸法であれば良く、好ましくは5μm以上が最適である。また、溝深さlは、ヒータ112の位置やキャビティ108の大きさによって決まるが、基本的には溝幅gと同様、段差部での熱移動を遮断できる寸法であれば良く、好ましくは5mm以上が最適である。
【0010】
この従来技術によれば、スリーブと架体部との間に設けたエアギャップと、スリーブパーティング面に設けた断熱溝20により、入駒部だけの加熱冷却をキャビティ面の温度分布を小さくしたまま行うことができるようになった。これによりレンズ成形サイクルの大幅な短縮が可能となり、レンズのコスト低減に寄与するところが大きいというものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記従来技術による金型部材に空隙(エアギャップ)や断熱溝を設けて成形品の冷却を均一化する手段は、徐冷効果が薄いため、厚肉成形品になると、内部応力分布が不均一となり、これを可動側入駒部により圧縮しても、レンズ・プリズムなどの光学素子の成形品では、良好な面精度は得られないという問題点があった。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、発明の目的は、精度を必要とされる面の転写性を向上させることのできる射出成形金型及び射出成形方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の射出成形金型は、 射出成形品に鏡面をつくる鏡面部と、射出成形品の前記鏡面以外の面にヒケを誘発させるように仕上げられた微細な砂目面とで、キャビティ部の金型面を構成する金型部材の内、前記砂目面は、前記鏡面部を構成する金型部材よりも熱伝導率が高い金型部材に形成され、この熱伝導率が高い金型部材は射出成形金型に対して入れ子化されて設けられていることを特徴とする。
前記砂目面が形成された熱伝導率が高い金型部材は、前記鏡面部が形成された金型部材よりも軟質な金属であることを特徴とする。前記砂目面が形成された熱伝導率が高い金型部材は、銅、アルミニウム、炭素鋼、炭化珪素から選択され、前記鏡面部が形成された金型部材は、前記熱伝導率が高い部材よりも熱伝導率が低いステンレス鋼、ジルコニア、アンバー36 Ni 鋼、セラミックスから選択されることを特徴とする。前記熱伝導率が高い金型部材は、前記キャビティ部内に溶融樹脂を射出するゲート部を有することを特徴とする。前記キャビティ部の金型面を構成する金型部材の内、前記ゲート部を有する金型部材と対向する金型部材には、射出成形品たるプリズムに凸部を形成するための凹部を凹設したことを特徴とする。また上記射出成形品は、プリズムであることを特徴とする。
また本発明の射出成形方法は、固定金型と可動側金型とからなる射出成形金型により射出成形品を成形する射出成形方法において、前記射出成形金型の可動金型内に、前記射出成形品に鏡面をつくる鏡面部を形成した金型部材と、前記鏡面以外の面にヒケを誘発させるように微細な砂目面を形成した、鏡面部を形成した金型部材よりも熱伝導率が高い金型部材とを配し、前記熱伝導率が高い金型部材の砂目面と前記鏡面部を形成した金型部材の鏡面部とでキャビティ部の金型面を構成し、前記キャビティ部の金型面に溶融した樹脂を射出した後にヒケ限界圧以下の保圧を掛けて樹脂が固化する段階で、前記熱伝導率が高い金型部材の砂目面で樹脂にスキン層を形成させると共にヒケを誘発させて、前記鏡面部による鏡面の転写をすることを特徴とする。前記射出成形金型の固定金型内に、射出成形品に鏡面をつくる鏡面部を形成した金型部材を配することを特徴とする。
前記ヒケ限界圧以下の保圧は、キャビティ部に溶融樹脂が流れ込むゲート部の樹脂が固化するまで掛けることを特徴とする。前記ヒケ限界圧以下の保圧は、砂目面が樹脂で充填されずに、砂目面に空気層が点在する圧力であることを特徴とする。前記射出成形品は、プリズムであることを特徴とする。
【0014】
【作用】
請求項1〜11に係る発明の作用では、射出成形金型内に溶融した樹脂を射出し、ヒケ限界圧以下の保圧を掛けると、その冷却過程で他の金型部材よりも熱伝導率が高い材料で作製された部材に接している成型品の面にのみヒケが発生し、これにより他の金型面の転写性が向上する。その際、熱伝導率が高い金型部材の金型面を微細な砂目面とすることにより、冷却過程における樹脂の剥離を促進させる。また、熱伝導率が高い金型部材が入子化されているので、軟質金属を用いても、型締め力により変形する恐れがなくなる。
【0015】
【実施例1】
図1〜図4は実施例1を示し、図1は成形品たるプリズムの斜視図、図2は射出成形金型の斜視図、図3は射出成形金型のキャビティ部の拡大斜視図、図4はキャビティ部の拡大断面図である。
【0016】
図1において、12は成形品たるプリズムであり、鏡面に仕上げられるべき光学機能面たるA面13、B面14およびC面15を有する。これらの光学機能面を挟んで、側面35、36が形設され、側面36には、ゲート36a、ランナ36bが連設している。本実施例では、このプリズム12を成形する射出成形金型について説明する。
【0017】
図2において、射出成形金型は固定金型と可動金型とからなり、固定金型は、主に固定側取付板1と固定側型板2と固定側型板2に埋設された固定側スリーブ9とから構成されている。可動金型は、主に可動側型板3とスペーサブロック4と可動側取付板5と可動型板3に埋設された可動側スリーブ6とから構成されている。可動スリーブ6は炭素鋼からなり、2ヵ所に可動金型側のキャビティ部10が配設されている。キャビティ部10は、図3に示すように、可動スリーブ6に穿設さたプリズム12の厚さに相当する幅の長方形の穴と、その穴に挿設された鏡面入子7、8とによって形成されている。前記長方形の穴の側面31A,31Bの表面は、図4に示すように、微細な砂目面37に仕上げられている。鏡面入子7、8は、プリズム12のA面13、C面15を形成する金型部材であり、可動スリーブ6より熱伝導率の低いジルコニアからなる。A面13、C面15に相当する鏡面入子7、8の表面は鏡面に仕上げられている。可動スリーブ6の長方形の穴の側面31Bの側には、溶融樹脂が流れ込むゲ−ト部11が刻設されている。
【0018】
一方、固定金型側のキャビティを構成する部材は、固定側スリーブ9である。固定側スリーブ9の表面は、プリズム12のB面14を形成する。固定スリーブ9はジルコニアからなり、表面は鏡面に仕上げられている。可動金型側のキャビティ部10と固定金型側の固定スリーブ9の表面とでキャビティを構成するものである。
【0019】
つぎに、本実施例の作用を説明する。図2に示す射出成形金型を閉じた状態で、図示を省略した射出成形機のノズルより、射出成形金型のキャビティに溶融した樹脂を射出する。その後、図3に示すゲート部11の樹脂が固化するまで、ヒケ限界圧以下の圧力を保圧として掛ける。キャビティを形成する面の中で、側面31A,31Bを形成している可動スリーブ6は、図3の鏡面入子7、8および図2の固定側スリーブ9よりも熱伝導率が高いため、図4に示すように、樹脂が固化する段階において、樹脂32の可動側スリーブ6に接触した部分は、いち早くスキン層33を形成するが、保圧が低いため樹脂32が砂目面37に十分に充填されず、側面31A,31Bと樹脂32との間に空気層34が点在し剥離しやすくなる。その後、収縮による内部応力によって引っ張られ、結果としてプリズム12の側面35、36(図1参照)がヒケることになる。これにより、プリズム12の光学機能面たる鏡面のA面13、B面14およびC面15は転写性が良好となる。
【0020】
本実施例によれば、射出成形金型のキャビティを形成する鏡面部より、側面部の金型面の熱伝導率を高くし、加えて表面を砂目面にすることで、鏡面部以外の面にヒケを誘発し、鏡面部の転写性が良好なプリズムを得ることができる。また、熱伝導率の異なる材料を、成形品の形状に合わせて使い分けることにより、高精度の成形品を得る射出成形金型を簡単な構造にすることができる。
【0021】
本実施例では、可動スリーブに、炭素鋼を用いたが、これに替えて、炭化ケイ素、銅またはアルミニウムなどを用いてもよい。また、鏡面入子および固定側スリーブに、ジルコニアを用いたが、これに替えて、アンバー36Ni鋼または熱伝導率の低いセラミックスなどを用いてもよい。キャビティを構成する金型材料の熱伝導率を表1に示す。これらの材料を選択する場合は、各材料の熱伝導率の差に注意する必要がある。
【0022】
【表1】
Figure 0003579105
【0023】
なお、本実施例においては、成形品をプリズム、すなわち光学素子を例として挙げたが、同様の形状で高い面精度を要求される成形品ならば、光学素子以外のものであっても適用することができる。
【0024】
【実施例2】
図5は実施例2を示し、射出成形金型のキャビティ部の拡大斜視図である。本実施例の成形品と射出成形金型の基本的構造は実施例1と同様のため、異なる部分のみ説明し、共通部分の図と説明を省略する。すなわち、本実施例の成形品は実施例1の図1に示すプリズム12と同一である。また、本実施例の射出成形金型の構造もキャビティ部20を除いて図2に示す通りである。
【0025】
図5において、可動金型側のキャビティ部20は、可動側型板3に埋設されている可動スリーブ18内に配設されている。可動スリーブ18は炭素鋼からなり、熱伝導率に関しては特に考慮されていない。可動スリーブ18内の長方形の穴には、実施例1と同一の形状寸法および仕上げ面を有する鏡面入子7、8と、これを挟持するように挿設されたプレート16、17とで囲繞する空間にて、キャビティ部20が形成されている。プレート16、17は、鏡面入子7、8よりも熱伝導率が高い軟質の金属(銅、アルミニウムなど)からなり、キャビティを構成する側面21A,21Bは、図4に示す微細な砂目面37に仕上げられている。鏡面入子7、8の材料には、ステンレス鋼を用いている。また、プレート17の上面には、溶融樹脂が流れ込むゲート部19が刻設されている。
【0026】
一方、固定金型側のキャビティを構成する部材は、固定側スリーブ9であり、実施例1と同一の形状寸法および仕上げ面を有し、材料はステンレス鋼を用いている。可動金型側のキャビティ部20と固定金型側の固定スリーブ9の表面とでキャビティを構成するものである。
【0027】
つぎに、本実施例の作用を説明する。本実施例は、キャビティ部20の構造において、実施例1の可動側スリーブ6の側面31A,31Bに替えて、プレート16、17の側面21A,21Bとしたものであり、実施例1の作用と同一のため、詳細な説明を省略する。しかしながら、実施例1のように、可動側スリーブ全体を熱伝導率の高い銅、アルミニウムなどの軟質金属で形成した場合は、コストが高くなり、しかも成形機の型締め力に耐えられず、変形する恐れがある。本実施例のプレート16、17のように、キャビティ部20を構成する金型部材の一部を入子化することにより、コストを抑え、かつ型締め力は周囲の可動側スリーブ18で受けるように構成したので、変形の恐れがなくなる。
【0028】
本実施例によれば、実施例1の効果に加え、熱伝導率が高い軟質の金属を、キャビティを構成する金型部材として使用したので、コストを抑え、かつ型締め力による変形を防止することができる。また、キャビティ部の側面に微細な砂目面を設ける場合、可動スリーブの穴の内面を加工するよりも、入子化した金型部材の外表面を加工する方が、マスキングし易く、加工が容易である。
【0029】
本実施例では、プレートに、銅またはアルミニウムを用いたが、これに替えて、炭素鋼または炭化ケイ素を用いてもよい。また、鏡面入子および固定側スリーブに、ステンレス鋼を用いたが、これに替えて、ジルコニア、アンバー36Ni鋼または熱伝導率の低いセラミックスを用いてもよい。これらの材料を選択する場合は、実施例1と同様に、表1に示す各材料の熱伝導率の差に注意する必要がある。
【0030】
【実施例3】
図6〜図7は実施例3を示し、図6は成形品たるプリズムの斜視図、図7は射出成形金型のキャビティ部の拡大斜視図である。図6に示すように、本実施例の成形品たるプリズム22は、基本的形状寸法は実施例1のプリズム12と同一であるが、ゲート36aを有する側面36とは反対側の側面23には、製品への取付部24が突設されており、この部分は寸法精度が要求されている。また、本実施例の射出成形金型の構造は、可動金型側のキャビティ部30を除いて図2に示す通りであり、実施例1と同様のため、異なる部分のみ説明し、共通部分の図と説明を省略する。
【0031】
本実施例は、キャビティ部30の構造において、実施例1の可動側スリーブ6の側面31Bに替えて、実施例2のプレート17の側面21Bとしたものであり、かつ、可動側スリーブ26の側面31Aに寸法精度の高い凹部27を凹設している。図7において、可動金型側のキャビティ部30は、可動側型板3に埋設されている可動スリーブ26内に配設されている。可動スリーブ26は炭素鋼からなり、その長方形の穴には、実施例1と同一の形状寸法および仕上げ面を有する鏡面入子7、8と、溶融樹脂を供給する側に挿設されたプレート17と、可動スリーブ26の側面31Aと、プリズム22の取付部24に相当する凹部27とで囲繞する空間にて、キャビティ部30が形成されている。プレート17は、鏡面入子7、8よりも熱伝導率の高い材料(銅、アルミニウムなど)からなり、キャビティを構成する側面21Bは、図4に示す微細な砂目面37に仕上げられている。鏡面入子7、8の材料には、ステンレス鋼を用いている。また、プレート17の上面には、溶融樹脂が流れ込むゲート部19が刻設されている。
【0032】
一方、固定金型側のキャビティを構成する部材は、固定側スリーブ9であり、実施例1と同一の形状寸法および仕上げ面を有し、材料のみステンレス鋼を用いている。可動金型側のキャビティ部30と固定金型側の固定スリーブ9の表面とでキャビティを構成するものである。
【0033】
つぎに、本実施例の作用を説明する。実施例1と同様に射出され、引け限界以下の保圧を掛けられた樹脂は、固化する段階でプレート17に接した部分、すなわちプリズム22の側面36には、実施例1で説明した作用と同一の作用によりヒケを生じ、他のA面13、B面14、C面15、および取付部24を突設した側面23への転写性が良好となる。
【0034】
本実施例によれば、射出成形金型のキャビティを形成する金型面の内、ヒケを誘発させたい面にのみ、他の面を構成する材料に比べ、熱伝導率の高い材料を使用することで、成形品の光学機能面たる鏡面部に加え、寸法精度が必要な機械構造を形成する面にも良好な転写性を得ることができる。
【0035】
本実施例では、光学機能面と機械構造を形成する面とを有する成形品を例としているが、機械構造を形成する面のみの成形品に適用してもよいことは、勿論である。また、キャビティを構成する金型部材の材料の選択は、熱伝導率の差に注意して、表1に示す材料の中から行えばよい。
【0036】
本発明の各実施例では、射出成形金型の温調機構は、省略して説明してあるが、従来技術と同様に金型本体に配設されている。また、ヒケを誘発する熱伝導率が高い金型部材には、冷却穴を設けて、金型本体とは独立した冷却機構を設けて、さらに冷却を促進させることもできる。
【0037】
【発明の効果】
請求項1〜11に係る発明によれば、射出成形金型のキャビティを形成する金型部材に、熱伝導率の異なる材料に鏡面部と砂目面をそれぞれ形成した金型部材を用い、砂目面を形成した金型部材の熱伝導率を高くして該砂目面の少なくとも一面に故意にヒケを誘発させることにより、成型品における精度の必要な鏡面への転写性を向上させることができる。その際、砂目面で冷却過程における樹脂と金型面の剥離が促進され、より高精度の成型品を得ることができる。また、入れ子化されると、熱伝導率の差が大きい材料を金型部材として選択使用することができ、ヒケを促進させ、より高精度の成型品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の成形品たるプリズムの斜視図である。
【図2】実施例1の射出成形金型の斜視図である。
【図3】実施例1の射出成形金型のキャビティ部の拡大斜視図である。
【図4】実施例1のキャビティ部の拡大断面図である。
【図5】実施例2の射出成形金型のキャビティ部の拡大斜視図である。
【図6】実施例3の成形品たるプリズムの斜視図である。
【図7】実施例3の射出成形金型のキャビティ部の拡大斜視図である。
【図8】従来技術のレンズ成形用金型の縦断面図である。
【図9】従来技術の図8のA−A断面図である。
【図10】従来技術の図8の可動入駒部をパーティング面からみた平面図である。
【符号の説明】
3 可動側型板
6 可動側スリーブ
7 鏡面入子
8 鏡面入子
9 固定側スリーブ
10 キャビティ部
11 ゲート部
31A 側面
31B 側面

Claims (11)

  1. 射出成形品に鏡面をつくる鏡面部と、射出成形品の前記鏡面以外の面にヒケを誘発させるように仕上げられた微細な砂目面とで、キャビティ部の金型面を構成する金型部材の内、前記砂目面は、前記鏡面部を構成する金型部材よりも熱伝導率が高い金型部材に形成され、この熱伝導率が高い金型部材は射出成形金型に対して入れ子化されて設けられていることを特徴とする射出成形金型。
  2. 前記砂目面が形成された熱伝導率が高い金型部材は、前記鏡面部が形成された金型部材よりも軟質な金属であることを特徴とする請求項1記載の射出成形金型。
  3. 前記砂目面が形成された熱伝導率が高い金型部材は、銅、アルミニウム、炭素鋼、炭化珪素のいずれかであり、前記鏡面部が形成された金型部材は、前記熱伝導率が高い部材よりも熱伝導率が低いステンレス鋼、ジルコニア、アンバー36 Ni 鋼、セラミックスのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の射出成形金型。
  4. 前記熱伝導率が高い金型部材は、前記キャビティ部内に溶融樹脂を射出するゲート部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  5. 前記キャビティ部の金型面を構成する金型部材の内、前記ゲート部を有する金型部材と対向する金型部材には、射出成形品たるプリズムに凸部を形成するための凹部を凹設したことを特徴とする請求項4記載の射出成形金型。
  6. 前記射出成形品は、プリズムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の射出成形金型。
  7. 固定金型と可動金型とからなる射出成形金型により射出成形品を成形する射出成形方法において、
    前記射出成形金型の可動金型内に、前記射出成形品に鏡面をつくる鏡面部を形成した金型部材と、前記鏡面以外の面にヒケを誘発させるように微細な砂目面を形成した、鏡面部を形成した金型部材よりも熱伝導率が高い金型部材とを配し、
    前記熱伝導率が高い金型部材の砂目面と前記鏡面部を形成した金型部材の鏡面部とでキャビティ部の金型面を構成し、
    前記キャビティ部の金型面に溶融した樹脂を射出した後にヒケ限界圧以下の保圧を掛けて樹脂が固化する段階で、前記熱伝導率が高い金型部材の砂目面で樹脂にスキン層を形成させると共にヒケを誘発させて、前記鏡面部による鏡面の転写をすることを特徴とする射出成形方法。
  8. 前記射出成形金型の固定金型内に、射出成形品に鏡面をつくる鏡面部を形成した金型部材を配することを特徴とする請求項7記載の射出成形方法。
  9. 前記ヒケ限界圧以下の保圧は、キャビティ部に溶融樹脂が流れ込むゲート部の樹脂が固化するまで掛けることを特徴とする請求項7または8記載の射出成形方法。
  10. 前記ヒケ限界圧以下の保圧は、砂目面が樹脂で充填されずに、砂目面に空気層が点在する圧力であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  11. 前記射出成形品は、プリズムであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の射出成形方法。
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