JP3058613B2 - プラスチック製品成形用金型 - Google Patents

プラスチック製品成形用金型

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JP3058613B2
JP3058613B2 JP9359022A JP35902297A JP3058613B2 JP 3058613 B2 JP3058613 B2 JP 3058613B2 JP 9359022 A JP9359022 A JP 9359022A JP 35902297 A JP35902297 A JP 35902297A JP 3058613 B2 JP3058613 B2 JP 3058613B2
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毅 加藤
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東北ムネカタ株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック樹脂
を材料とし、成形工程期間中に金型表面温度を短時間に
精度良く加熱又は冷却することにより、高品質な表面を
有するプラスチック製品を得ると共に、プラスチック成
形時の金型内部の樹脂圧力と、金型材の繰り返し熱膨張
により金型自体にかかる応力にも耐えるプラスチック製
品成形用金型に関する。
【0002】
【従来の技術】金型を常温のまま使用する従来のプラス
チック成形では、溶融した熱可塑性樹脂等の材料樹脂が
金型内で急速に冷却、固化、収縮するのに起因して、製
品表面にウェルド、フローマーク、ひけ等と呼ばれる外
観不良が生じるほか、樹脂の機械的強度補強のため樹脂
内に含入されている収縮の小さいガラス等のフィラー、
ブタジエン等のゴム粒子が樹脂表面に選択的に残され、
これが樹脂表面に微細な凹凸或いは光学的特性の異なる
部分を形成するため、高光沢な製品表面外観が損なわれ
る。このような外観不良、光沢不良は、製品の見栄えを
損なって価値を低下させるとともに、更に製品表面に塗
装を施す場合にも均質な塗装を阻害して美観を損ね、補
修のための費用が高くなる問題もある。以上のような外
観不良、光沢不良は、樹脂充填時の樹脂流れを調整した
り、あるいは材料樹脂に含入されるフィラー、ゴム粒子
等の量の低減、粒径の小型化等、材料樹脂自体の改良に
よりある程度は改善できるが、最も効果的に外観不良の
発生を阻止し得る手段は、金型の可視面側であって材料
樹脂が流れる部分を高温に加熱することである。
【0003】このような考え方に基づき、製品可視面側
の金型表面を例えば電熱ヒータで加熱する等の方法が提
案されている。しかし、この方法は、加熱に時間がかか
ったり、加熱ムラを生じていた。その結果、成形サイク
ルが延びて製品コストが高くなったり、品質上の問題が
あった。そこで、金型の温度応答性を改善して金型加熱
時間の短縮を図るようにした提案があり、これには次の
ようなものがある。
【0004】金型の外周に誘導コイルを設けたもの
(実開昭62−111832号公報)。金型に銅パイ
プからなる高周波誘導コイルを設け、パイプ内に冷却水
を流すようにしたもの(特開昭63−15707号公
報)。電熱ヒータを設けた可動入子を金型に出し入れ
可能としたもの(特開昭63−15719号公報)。
金型外部に金型温度調節用媒体を急速に加熱、冷却或い
は加熱、冷却した媒体を切り替えて金型に供給する装置
を設け、供給される加熱、冷却媒体を金型内の温度調節
用媒体循環路に通して金型を加熱、冷却できるようにし
たもの(特開昭62−15707号公報、特開昭62−
208918号公報、特公平7−25115号公報)。
【0005】本発明者らは、製品の表面形状に合わせた
薄板の裏面に、後から溶融可能な空洞形成材料により循
環流路条を形成したのち、前記循環流路条の表面に金属
被覆層を形成し、その後前記空洞形成材料を溶かし出す
ことにより、薄板と被覆層間に熱媒循環流路条を形成し
た温調用成形面部材を製作し、これをバッキング内に組
み込んで入れ駒を作り、この入れ駒を金型の成形面に組
み込むことで、金型表面温度を精度良く、短時間で効果
的に加熱、冷却でき、外観不良のない、高品位、高光沢
かつ反りのないプラスチック製品を成形できる金型とこ
の金型の製法について、特願平8−184441号等で
提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記公知例からも明ら
かなように、製品外観不良は、金型の可視面側で材料樹
脂が流れる表面を高温に加熱することによって改善でき
るが、加熱に時間がかかれば成形サイクルが延びて生産
性が低下し、製品コストの高騰を招く。また、特に光沢
不良、反りに関して言えば、金型を高温に加熱後、急速
に冷却したときに最も高光沢な成形品、反りのない成形
品が得られる。このためには急速な加熱のみならず、急
速な冷却を併せて行うことが必要である。光沢不良の改
善では、単に高温に加熱して成形するだけでは、得られ
る光沢の高さに限界があり、また温度制御精度が不十分
で高温になりすぎた場合には、材料樹脂の収縮量がさら
に大きくなり、後収縮等によりガラス等のフィラー、ブ
タジエン等のゴム粒子が樹脂表面に残されて光沢不良が
再度発生する問題がある。従って、製品の外観不良、光
沢不良、反りを改善するには、急速に金型表面を加熱及
び冷却できる金型構造が必要不可欠である。
【0007】また、金型表面を加熱する方法について
も、上記公知例には以下のような問題がある。、の
誘導コイルを設けるものは、金型内組み込みに制約が多
く金型が大型化する。の電熱ヒータを有する可動入子
を設けたものは、金型に可動入子の挿入部を設けなくて
はならず、金型構造が複雑となる。また、加熱手段の汎
用性がないと共に、冷却については自然冷却によるた
め、成形サイクルが長くなる。の外部装置より加熱、
冷却媒体を金型内の温度調節用媒体循環路に通して金型
表面を加熱、冷却するものは、汎用性があり、かつ金型
構造も特殊な加工を要さない特徴を有するが、反面、通
常設けられている範疇の金型内の温度調節用媒体循環路
を使用した場合、加熱、冷却する金型部分の熱容量が大
きく温度的ロスが生じ、加熱、冷却に時間がかかる。ま
た、最終的には金型表面の温度応答が遅いために、温度
制御精度が悪くなる問題がある。
【0008】更に、金型表面を高温に加熱及び冷却を繰
り返すことで、特に急速に温度変化する金型部分にそれ
自体の熱膨張、収縮による応力が加えられることにな
る。加熱、冷却される金型部分には、更に成形時の金型
内の樹脂圧も加わる。従って、金型には、急速に金型表
面を加熱及び冷却できる構造と、上記熱膨張、収縮によ
る応力や樹脂圧に耐える強度が必要とされる。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みて創案されたも
のであり、プラスチック製品の成形において、外観不良
のない、高品位、高光沢かつ反りのないプラスチック製
品を成形でき、かつ繰り返しの成形に耐える強度を有す
る金型提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の構成は次のとお
りである。 1.製品の表面形状に合わせた成形面形成用薄板の裏面
に、後から溶融可能な空洞形成材料により循環流路条を
形成したのち、前記循環流路条の表面に被覆層を形成
し、その後前記空洞形成材料を被覆層内から溶かし出す
ことにより、薄板と被覆層間に熱媒循環流路条を形成
温調用成形面部材を製作し、これをバッキング内に組
み込んで入れ駒を作り、この入れ駒を金型の成形面に組
み込んでなる金型において、前記循環流路条の表面を形
成する被覆層を、内部に空孔、高分子 あるいはセラミッ
クを含有する金属層で形成して成るプラスチック製品成
形用金型
【0011】2.製品の表面形状に合わせた成形面形成
用薄板の裏面に、後から溶融可能な空洞形成材料により
循環流路条を形成したのち、前記循環流路条の表面に被
覆層を形成し、その後前記空洞形成材料を被覆層内から
溶かし出すことにより、薄板と被覆層間に熱媒循環流路
条を形成した温調用成形面部材を製作し、これをバッキ
ング内に組み込んで入れ駒を作り、この入れ駒を金型の
成形面に組み込んでなる金型において、前記温調用成形
面部材の裏面とこれに対向するバッキングの組み込み面
間に空隙を形成すると共に、前期循環流路条の表面を形
成する被覆層を、内部に空孔、高分子あるいはセラミッ
クを含有する金属層で形成して成るプラスチック製品成
形用金型
【0012】
【作用】金型の成形面に組み込まれる温調用成形面部材
の薄板及びこの裏面の熱媒循環流路内には、成形時には
高温の熱媒が供給されて循環し、樹脂充填製品の成形面
を先ず急速に加熱する。そして、充填が終わると、低温
の熱媒に切り換えられてこの低温熱媒が熱媒循環流路内
を循環し、成形品の成形面を急速に冷却する。温調用成
形面部材の裏面とバッキング間の空隙、内部に空孔、高
分子あるいはセラミックを含有する循環流路条の表面に
形成された被覆層は、断熱層及び熱抵抗となって温調用
成形面部材とバッキング、金型本体を熱的に切り離し、
温度制御する金型部分の熱容量を小さくして、金型表面
温度の制御性及び応答性を高める。
【0013】
【発明の実施の形態】金型の成形面に組み込まれる温調
用成形面部材の薄板およびこの裏面の熱媒循環流路は、
製品形状に沿った例えば3次元形状に形成される。この
温調用成形面部材は、金型表面部位の熱容量を小さく形
成して金型表面の加熱、冷却時温度の応答性、温度制御
性を改善し、これにより成形サイクルを延ばすことなく
短時間で金型表面温度を高温に制御したり、低温に制御
して外観不良のない高品位、高光沢かつ反りのない製品
を成形するためには、温調用成形面部材とバッキングと
の間に空隙を形成して組み込み、入れ駒を製作し、これ
を金型(キャビティー)の成形面の全部又は一部に組み
込むと良い。
【0014】金型の特徴は、金型の成形面に前記成形面
に沿った熱媒循環流路を形成したことにある。特に流路
は、金型材に孔を設ける場合はもとより、銅等の金属管
を用いて金型表面近くに形成する場合にも曲げR半径の
制限があるなどして、思い通りに配置することは、特に
3次元形状の金型の場合難しかったが本発明の場合は、
薄板の裏面にワックス等により先ず循環流路条を形成
し、この表面を電鋳法あるいはメッキで被覆して被覆層
を形成した後、ワックス等を被覆層内から溶かし出して
流路を形成するようにしているため、流路を任意の位置
に、任意の形状と径で構成することができる。よって、
流路、形状に制限がなく、金型表面に近い位置に高密度
に配置でき、かつ3次元の複雑な形状であっても問題は
ない。
【0015】流路を形成するための空洞成形材料は、後
で溶出させることができるものであればワックス以外に
もアルミニウム、低融点合金あるいは化合物、水溶性ポ
リマー等を用いることができる。そしてこれらの材料を
溶かす方法としては、アルカリ液中に浸漬する、加熱す
る、等の方法がある。
【0016】薄板(金型の成形面)と熱媒循環流路の間
は、金型温度の応答性を考えれば羽薄ければ薄い程良い
が、繰り返しの成形に耐える強度も必要である。温調用
成形面部材の裏面とバッキング間に空隙を形成したり、
循環流路条の表面を内部に空孔、高分子あるいはセラミ
ックを含有する金属製被覆層とすることにより、耐久性
と熱伝導の即効性を共に得ることが可能なため、この場
合には2mm程度とすることができる。
【0017】熱媒循環路の径は、金型内での高密度達成
および内部流体の流速をかせいでレイノルズ数を大きく
し、熱交換効果を高めることや、成形時の樹脂圧に対す
る強度面からは細い方が有利であり、内径φ5mm程度
以下が望ましい。次に、熱媒循環流路の断面形状は、円
形、四角形、不規則形状、或いは偏平な面状等いかなる
ものでも良いが、伝熱及び電鋳層あるいはメッキ層のつ
きまわりを考慮すると台形状が望ましい。メッキ層のつ
きまわりが十分得られれば、成形時の樹脂圧等に対する
強度面から有利な円形やアーチ状でもよい。
【0018】熱媒循環流路の裏面側には、断熱層、熱抵
抗層を形成してバッキングあるいは金型本体と温度制御
する金型部分を熱的に切り離し、熱容量を小さくして金
型表面温度の制御性及び応答性を向上させるとよい。成
形時の樹脂圧や加熱、冷却による熱膨張、収縮による応
力に対し、十分な強度を得るため、熱媒循環流路の裏面
側とバッキング間に空隙を形成して熱抵抗としたり、熱
媒循環流路の裏面側被覆層を内部に空孔、高分子あるい
はセラミックを含有する金属被覆層として断熱性を持た
せ、耐久性と熱伝導の即効性を両立させるとよい。熱媒
循環流路の裏面側とバッキング間の空隙は、放電加工ギ
ャップや溝、孔、ハニカム状の機械加工等が採用でき
る。また、ブラスト処理やエッチング処理により表面を
粗し、これを熱抵抗としてもよい。特に放電加工ギャッ
プを用いる方法は、温調用成形面部材を電極としてバッ
キングを同じ形状に加工し、容易に組み込めるため、金
型の製作上からも望ましい。熱媒循環流路の裏面側被覆
層を内部に空孔、高分子或いはセラミックを含有する金
属被覆層とする方法は、被覆層を電鋳法あるいはメッキ
で形成する際に、電鋳液にバブリングにより気泡を混入
させたり、プラスチックビーズや内部が空洞なプラスチ
ックバルンやセラミック粉等を混入させる方法が採用で
きる。
【0019】本発明に係わる金型を用いて成形できる樹
脂には、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、AB
S樹脂などの汎用性樹脂やポリカーボネート樹脂、ポリ
アミド樹脂などの工業用樹脂だけでなく、各種の樹脂を
混合したものや補強剤を混合したものも使用できる。
【0020】上記のように、金型表面温度を精度良く、
短時間で効果的に加熱、冷却できるプラスチック成形用
金型を用いて製品可視面側金型表面温度を樹脂充填時に
樹脂のガラス転移温度近傍まで急加熱した後、急冷して
金型温度を下げる射出成形を行った場合、高温の製品可
視面側金型表面に接する樹脂表面には固化層が発達しに
くく、変形しやすいために、通常行われる低温な金型表
面温度で樹脂表面に固化層が急速に発達して形成、保存
されるところのフローマーク、ウェルドといった製品外
観不良が発生しない。また、樹脂が金型表面に十分密着
して転写性が良いために樹脂の離型が後れ、この間に十
分な強度まで固化層が発達するために、樹脂の熱収縮に
よる影響が少なく、熱収縮に起因して製品表面に生じる
外観不良、例えば窪み状のヒケ、あるいは材料樹脂中収
縮の小さいガラス等のフィラー、ブタジエン等のゴム粒
子の樹脂表面への選択的残存に起因する光沢不良が発生
せず、外観不良のない高品位な製品を得ることができ
る。
【0021】特に光沢については、金型温度制御精度が
不十分で高温になりすぎた場合には材料樹脂の収縮量が
さらに大きくなり、後収縮等によりガラス等のフィラ
ー、ブタジエン等のゴム粒子が樹脂表面に残されて光沢
不良が再度発生する懸念があるが、本金型は表面温度の
応答性、制御性が良いために、安定して高光沢な製品が
得られる。
【0022】更に、金型表面を高温にして成形する場
合、冷却が遅いと製品に反り等の変形も生じやすいが、
本金型では急速に金型表面を冷却できるため製品の反
り、変形も生じない。しかも、金型表面の加熱、冷却が
短時間で精度良く達成できるため、成形サイクルが延び
て量産性を損なうことがなく、低コストで高品位な成形
品が得られる。
【0023】また、基本的に成形時の樹脂圧の影響や加
熱、冷却により熱膨張、収縮の応力を受ける部分を強度
の高い金属製とし、かつ熱容量を構造的に熱抵抗や断熱
性を持たせて小さくすることで、耐久性と熱的即効性を
両立させているため、長期成形に耐える。
【0024】
【実施例1】金型の成形面に熱媒循環流路を形成するた
めの部材は、図1に示す工程を経て製作される。先ず、
(A)に示すように、マスター7の表面に電鋳法を用い
てニッケルから成る約2mm厚さの薄板2を形成する。
次に、(B)に示すように前記成形した薄板2の裏面に
温度制御用熱媒循環流路を形成するための流路条4をワ
ックス3で形成する。次に(C)に示すように電鋳液
8′を満たした電鋳層8内にマスター7と共に薄板2を
浸漬してワックス3の表面にニッケル被覆層5を形成す
る。図中9は電極である。
【0025】次に、ワックス3に熱を加えて被覆層5内
から溶かし出すことにより、薄板2と被覆層5間に空
洞、つまり熱媒循環流路6を形成し、温調用成形面部材
1を得る。次に、(E)に示すように放電加工油15′
を満たした放電加工槽15内にマスター7、電極9と共
に温調用成形面部材1を浸漬し、温調用成形面部材1自
体を電極9の一部としてバッキング11を温調用成形面
部材1の形状にそって加工する。バッキング11と温調
用成形面部材1の間には、放電加工により放電加工空隙
16を形成する(請求項2)
【0026】次に、マスター7を取り外して温調用成形
面部材1と、これと放電加工空隙16を介して組み合わ
さるバッキング11を得る。前記温調用成形面部材1お
よびバッキング11を組み込んで、入れ駒12を製作
し、この入れ駒12を金型の成形面内に組み込む。
【0027】
【実施例2】この実施例は、実施例1で製作された入れ
駒12を、金型20の成形面に一体に組み込んだ実施例
であって、図2は金型の全体図、図3は入れ駒12の説
明図、図4はA−A′線断面図である。図2に示すプラ
スチック射出成形用金型20は、大きく分けてコア21
(製品非可視面側)とキャビティー22(製品可視面
側)からなり、共に図外の射出成形機に連結されてお
り、コア21とキャビティー22とが開閉可能にされて
いる。コア21とキャビティー22には製品の外形状に
対応した凹部23が形成されており、キャビティー22
の所定箇所に設けられたスプルー24を介して図外の射
出成形機から溶融プラスチックが凹部23に流し込ま
れ、製品が成形されるようになっている。この製品の製
品可視面側(キャビティー22側)には、金型表面急加
熱、冷却用入れ駒12が組み込まれており、この入れ駒
12の薄板2の裏面に形成された熱媒循環流路6内を流
れる熱媒により、樹脂はその充填時に高温で急速に加熱
され、その後低温で急速に冷却されて固化し、その後金
型20内から取り出される。なお、熱媒循環流路6内を
流れる熱媒は、図外の高周波加熱機及び冷却機を備え、
急速加熱、冷却が可能な媒体温度調節機より供給され
る。
【0028】図3、図4は、金型表面急加熱、冷却用の
熱媒循環流路6を形成した温調用成形面部材1を固定し
た入れ駒12の説明図であって、製品可視面に接する薄
板2はNi−Crで形成されており、内部には熱媒流入
口13と流出口14に結ばれた熱媒循環流路6が形成さ
れている。この熱媒循環流路6は薄板2の金型内部面に
ワックス3で管路を形成後に電鋳層8で表面に被覆層5
を形成し、その後ワックス3を被覆層5内から溶出させ
て被覆層5内を空洞化することにより薄板2と一体構成
されている。熱媒循環流路6の断面形状は、5mm×5
mmの正方形で、ピッチは15mmである。この熱媒循
環流路6と製品に接する金型表面急加熱、冷却用入れ駒
12の表面間距離は2.5mmとした。また、入れ駒1
2を構成する温調用成形面部材1とバッキング11の間
には、放電加工空隙16を設け、急加熱、冷却を行う金
型部位を熱的に隔離することで熱容量を小さく構成し
た。
【0029】図2〜図4の金型を用いてガラスフィラー
20%含入のABS樹脂(15G20、ガラス転移温度
98℃、日本合成ゴム)を用い、製品可視面側金型表面
温度を樹脂充填時100℃、冷却時60℃に急加熱、冷
却して射出成形を行った。また、この時の成形サイクル
(射出〜保圧〜冷却〜取出し)は、65秒で、加熱に要
した時間は20秒、冷却に要した時間は25秒であっ
た。
【0030】製品可視面の光沢度測定結果は、光沢度9
2とガラスフィラー入りにもかかわらず高光沢な製品が
得られた。また、製品の取出し時点において、製品は十
分に固化しており、製品の変形、離型の問題はなかっ
た。
【0031】
【実施例3】実施例2と同じ装置と耐衝撃性ポリスチレ
ン(HT560、ガラス転移温度97℃、出光石油化
学)を用い、製品可視面側金型表面温度を樹脂充填時1
00℃、冷却時60℃に急加熱、冷却して射出成形を行
った。また、この時の成形サイクル(射出〜保圧〜冷却
〜取出し)は、65秒で、加熱に要した時間は20秒、
冷却に要した時間は25秒であった。
【0032】なお、製品非可視面側の金型面には、成形
品にヒケ、ウェルド等の外観不良を発生しやすくするた
めにボス、リブ形状彫り込み及び製品可視面側金型面と
の押し切り突起を設けて成形を行った。選られた成形品
可視面には、ヒケ、ウェルド、フローマーク等の外観不
良がなく、光沢も光沢度96と高光沢で高品位名製品が
得られた。また、製品に反り等の変形も見られなかっ
た。
【0033】
【実施例4】実施例1の温調用成形面部材1とバッキン
グ11間の空隙16は、温調用成形面部材1自体を電極
9の一部としてバッキング11を温調用成形面部材1の
形状にそって放電加工して形成しているが、この温調用
成形面部材1とバッキング11間の空隙16を機械加
工、ブラスト処理あるいはエッチング処理で表面を粗し
て形成することも可能である。
【0034】
【実施例5】熱媒循環流路6の成形面とは反対側の被覆
層5自体を、内部に空孔、高分子あるいはセラミック等
の断熱性の高いものを含有する金属層で形成することに
より、金型側の熱容量を小さく形成することも可能であ
る。
【0035】
【比較例1】実施例の金型表面急加熱、冷却用入れ駒1
2をS55C製で熱媒循環流路6が横穴状に2本機械加
工してある通常の金型構造を模擬した入れ駒に交換した
以外は、実施例2と同じ装置、樹脂を用い、樹脂充填時
の製品可視面側金型表面温度を同じ100℃、冷却時6
0℃の温度条件で成形を行った。この時の成形サイクル
(射出〜保圧〜冷却〜取出し)は、84秒で、加熱に要
した時間は39秒、冷却に要した時間は40秒と、成形
サイクルが29%長くなった。また、製品可視面の光沢
度測定結果も、光沢度88と実施例2の製品光沢度に較
べ低下した。また、逆に成形サイクルを実施例2と同じ
65秒にした場合、製品光沢は著しく低く、また取出し
時点の製品温度が高く製品が変形しやすかった。
【0036】
【比較例2】実施例の金型表面急加熱、冷却用入れ駒1
2をS55C製で熱媒循環流路6が横穴状に2本あいた
通常の金型構造を模擬した入れ駒に交換した以外は、実
施例3と同じ装置、樹脂を用い、樹脂充填時の製品可視
面側金型表面温度を同じ100℃、冷却時60℃の温度
条件で成形を行った。この時の成形サイクル(射出〜保
圧〜冷却〜取出し)は、84秒で、加熱に要した時間は
39秒、冷却に要した時間は40秒と、成形サイクルが
29%長くなった。また、製品可視面の光沢度測定結果
も、光沢度91と実施例3の製品光沢度に比べ低下した
他、製品の反り変形が大きかった。
【0037】
【発明の効果】上記金型によれば、汎用の樹脂に限らず
従来高光沢な製品面を得ることが難しいとされていたガ
ラス等のフィラー、ブタジエン等のゴム粒子を含む樹脂
の成形品においても外観不良のない高光沢、高品位かつ
反りのない製品が得られ、品質並びにコストの面からも
メリットが大きく、製品不良を低減する上での効果は極
めて大きい(請求項1〜)。
【0038】次に、本発明は、温調用成形面部材とバッ
キングの間に熱抵抗層となる空隙を形成することによ
り、金型側の熱容量を小さくすることで急加熱、急冷却
を即効的に行うことができる(請求項)。又、熱媒循
環流路の成形面とは反対側の被覆層自体を、内部に空
孔、高分子あるいはセラミックを含有する金属層で形成
することにより、これを断熱層あるいは熱抵抗層とし、
金型側の熱容量を小さくすることで急加熱、急冷却を即
効的に行うこともできると共に、空隙の場合、本発明者
等が提案している断熱層を形成する特願平8−1844
41号比較して金型製造コストの低減、重量の軽減が
可能である(請求項)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型の製法の説明図。
【図2】本発明の実施例に係る射出成形用金型の一例を
示す断面図。
【図3】熱媒循環流路と入れ駒の説明図。
【図4】A−A′線断面図。
【符号の説明】
1 温調用成形面部材 2 薄板 3 ワックス 4 熱媒循環流路条 5 被覆層 6 熱媒循環流路 7 マスター 8 電鋳層 9 電極 11 バッキング 12 入れ駒 13 熱媒流入口 14 熱媒流出口 15 放電加工槽 16 放電加工空隙 20 金型
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−156028(JP,A) 特開 平6−73589(JP,A) 特開 平4−220310(JP,A) 特開 昭61−149324(JP,A) 特開 昭61−163291(JP,A) 特開 平5−329844(JP,A) 特開 平4−224911(JP,A) 実開 昭59−64218(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/04 B29C 33/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製品の表面形状に合わせた成形面形成用
    薄板の裏面に、後から溶融可能な空洞形成材料により循
    環流路条を形成したのち、前記循環流路条の表面に被覆
    層を形成し、その後前記空洞形成材料を被覆層内から溶
    かし出すことにより、薄板と被覆層間に熱媒循環流路条
    を形成した温調用成形面部材を製作し、これをバッキン
    グ内に組み込んで入れ駒を作り、この入れ駒を金型の成
    形面に組み込んでなる金型において、前記循環流路条の
    表面を形成する被覆層を、内部に空孔、高分子あるいは
    セラミックを含有する金属層で形成して成るプラスチッ
    ク製品成形用金型
  2. 【請求項2】 製品の表面形状に合わせた成形面形成用
    薄板の裏面に、後から溶融可能な空洞形成材料により循
    環流路条を形成したのち、前記循環流路条の表面に被覆
    層を形成し、その後前記空洞形成材料を被覆層内から溶
    かし出すことにより、薄板と被覆層間に熱媒循環流路条
    を形成した温調用成形面部材を製作し、これをバッキン
    グ内に組み込んで入れ駒を作り、この入れ駒を金型の成
    形面に組み込んでなる金型において、前記温調用成形面
    部材の裏面とこれに対向するバッキングの組み込み面間
    に空隙を形成すると共に、前期循環流路条の表面を形成
    する被覆層を、内部に空孔、高分子あるいはセラミック
    を含有する金属層で形成して成るプラスチック製品成形
    用金型
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