JP3379907B2 - プラスチック製品射出成形用金型及びこの金型の製法 - Google Patents

プラスチック製品射出成形用金型及びこの金型の製法

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JP3379907B2
JP3379907B2 JP16014098A JP16014098A JP3379907B2 JP 3379907 B2 JP3379907 B2 JP 3379907B2 JP 16014098 A JP16014098 A JP 16014098A JP 16014098 A JP16014098 A JP 16014098A JP 3379907 B2 JP3379907 B2 JP 3379907B2
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喜代志 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックを材
料とし、成形工程中に金型の表面温度を短時間に、精度
良く、加熱又は冷却することにより、高品質な表面を有
するプラスチック製品を成形することができる金型とこ
の金型の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】金型を常温のまま使用する従来のプラス
チック成形法では、溶融した熱可塑性樹脂等の材料樹脂
が金型内で急速に冷却、固化、収縮するのに起因して、
製品表面にウェルド、フローマーク、ひけ等と呼ばれる
外観不良が生じる他、樹脂の機械的強度補強のために樹
脂内に含入されている収縮の小さいガラス等のフィラ
ー、ブタジエン等のゴム粒子が樹脂表面に選択的に残さ
れ、これが樹脂表面に微細な凹凸或いは光学的特性の異
なる部分を形成するため、高光沢な製品表面外観が損な
われる。このような外観不良、光沢不良は、製品の見栄
えを損なって価値を低下させると共に、更に製品表面に
塗装を施す場合にも均質な塗装を阻害して美観を損ね、
補修のための費用が高くなる問題もある。
【0003】以上のような外観不良、光沢不良は、樹脂
充填時の樹脂の流れを調整したり、或いは材料樹脂に含
入されるフィラー、ゴム粒子等の量の低減、粒径の小型
化等、材料樹脂自体の改良によりある程度は改善できる
が、最も効果的に外観不良の発生を阻止する方法は、金
型の可視面側であって、材料樹脂が流れる部分を高温に
加熱することである。
【0004】このような考え方に基づき、製品可視面側
の金型表面を、例えば電熱ヒータで加熱する等方法が提
案されている。しかし、この方法は、加熱に時間がかか
ったり、加熱ムラを生じていた。その結果、成形サイク
ルが延びて製品コストが高くなったり、品質上の問題が
あった。そこで、金型の温度応答性を改善して金型加熱
時間の短縮を図るようにした提案があり、これには次の
ようなものがある。
【0005】金型の外周に誘導コイルを設けたもの
(実開昭62−111832号公報)。 金型に銅パイプから成る高周波誘導コイルを設け、パ
イプ内に冷却水を流すようにしたもの(特開昭63−1
5707号公報)。 電熱ヒータを設けた可動入子を金型に出し入れ可能と
したもの(特開昭63−15719号公報)。 金型外部に金型温度調整用媒体を急速に加熱、冷却或
いは加熱、冷却した媒体を切り替えて金型に供給する装
置を設け、供給される加熱、冷却媒体を金型内の温度調
節用媒体循環路に通して、金型を加熱、冷却できるよう
にしたもの(特開昭62−15707号公報、特開昭6
2−208918号公報、特公平7−25115号公
報)。
【0006】本発明者らは、製品の表面形状に合わせた
薄板の裏面に、後から溶融可能な空洞形成材料により熱
媒循環流路形成条を形成したのち、前記熱媒循環流路形
成条の表面に金属被覆層を形成し、その後、前記空洞形
成材料を被覆層内から溶出することにより、薄板と被覆
層間に熱媒循環流路を形成した温調用成形面部材を製作
し、これをバッキング内に組み込んで入れ駒を作り、こ
の入れ駒を金型の成形面に組み込み、成形時に熱媒循環
流路内に加熱用熱媒又は冷却用熱媒を強制循環させて金
型表面温度を精度良く、短時間で効果的に加熱、冷却す
ることによって、外観不良のない、高品位、高光沢かつ
反りのないプラスチック製品を成形できる金型とこの金
型の製法について、特願平8−184441号、同9−
359022号等で提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例か
らも明らかなように、製品外観不良は、金型の可視面側
で材料樹脂が流れる表面を高温に加熱することによって
改善できるが、加熱に時間がかかれば成形サイクルが延
びて生産性が低下し、製品コストの高騰を招く。
【0008】また、特に、光沢不良、反りに関して言え
ば、金型を高温に加熱後、急速に冷却した時に最も高光
沢な成形品、反りのない成形品が得られる。このために
は急速な加熱のみならず、急速な冷却を併せて行うこと
が必要である。光沢不良の改善は、単に高温に加熱して
成形するだけでは得られる光沢度の高さに限界があり、
また、温度制御精度が不十分で高温になりすぎた場合に
は、材料樹脂の収縮量がさらに大きくなり、後収縮によ
りガラス等のフィラー、ブタジエン等のゴム粒子が樹脂
表面に残されて光沢不良が再度発生するという問題があ
る。したがって、製品の外観不良、光沢不良、反りを改
善するには、急速に金型表面を加熱又は冷却できる金型
構造が必要不可欠である。
【0009】また、金型表面を加熱する方法について
も、上記公知例には、以下のような問題がある。、
の誘導コイルを設けたものは、金型内組込に制約が多
く、金型が大型化する。の電熱ヒータを有する可動入
子を設けたものは、金型に可動入子の挿入部を設けなけ
ればならず、金型構造が複雑化する。また、加熱手段の
汎用性がないと共に、冷却については自然冷却によるた
め、成形サイクルが長くなる。
【0010】の外部装置より加熱、冷却媒体を金型内
の温度調節用媒体循環路に通して金型表面を加熱、冷却
するものは、汎用性があり、かつ金型構造も特殊な加工
を要さないという特徴を有するが、通常設けられている
範疇の金型内の温度調整用媒体循環路を使用した場合、
加熱、冷却する金型部分の熱容量が大きいため、熱のロ
スが生じ、加熱、冷却に時間がかかる。また、最終的に
は金型表面温度の応答が遅いために、温度の制御精度が
悪くなるという問題がある。
【0011】また、ヒータや温度調節用媒体循環路な
ど、加熱、冷却する部位が成形品面において、疎であ
り、局所的であると、加熱、冷却部位から離れた部分と
の間に温度差が生じ、光沢等のムラが生じる。したがっ
て、金型には、急速に金型表面を加熱及び冷却できる構
造と、加熱、冷却する部位が密に配置されていることが
必要である。
【0012】本発明は、上記事情に鑑みて創案されたも
のであり、外観不良のない、高品位、高光沢かつ反りの
ないプラスチック製品を成形できる金型とこの金型の製
法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明においては、プラスチック製
品の表面形状に合わせた成形面形成用薄板の裏面に、後
から溶融可能な空洞形成材料により熱媒循環流路形成条
を形成すると共に、前記熱媒循環流路形成条の表面に第
1被覆層を形成した後、前記空洞形成材料を第1被覆層
内から溶出することにより、薄板と第1被覆層間に第1
熱媒循環流路を形成して温調用成形面部材を製作し、次
にこの温調用成形面部材をバッキング内に組み込んで入
れ駒を作り、この入れ駒を金型の成形面に組み込んで成
形時に金型表面を加熱又は冷却することができる金型を
製作する際、前記第1熱媒循環流路形成条の表面に第1
被覆層を形成した後、前記第1被覆層の表面であって、
前記第1熱媒循環流路形成条により形成された凹条溝内
に前記と同じ空洞形成材料を用いて第2熱媒循環流路形
成条を形成し、更に、この第2熱媒循環流路形成条の表
面に第2被覆層を形成する。次に、前記第1と第2熱媒
循環流路形成条を形成した第1と第2被覆層内から空洞
形成材料を溶出することにより、成形面形成用薄板の裏
面に第1熱媒循環流路と第2熱媒循環流路を形成したこ
とを特徴とするものである。
【0014】更に、請求項2に記載の発明においては、
請求項1に記載の発明において、第1熱媒循環流路形成
条を形成し、この表面に第1被覆層を形成した後、一旦
前記第1熱媒循環流路形成条を形成した空洞形成材料を
第1被覆層内から溶出して第1熱媒循環流路を形成し、
その後第1被覆層の表面の凹条溝内に空洞形成材料を用
いて第2熱媒循環流路形成条を形成すると共に、この表
面に第2被覆層を形成した後、第2被覆層内から前記第
2熱媒循環流路形成条を形成した空洞形成材料を溶出す
ることにより、第2熱媒循環流路を形成したことを特徴
とするものである。
【0015】更に、請求項3に記載の発明においては、
プラスチック製品成形用金型において、プラスチック製
品の表面形状に合わせた成形面形成用薄板の裏面に第1
熱媒循環流路を形成すると共に、前記第1熱媒循環流路
を形成した被覆層の外側であって、第1熱媒循環流路間
の凹条溝を利用して第2熱媒循環流路を形成して成る温
調用成形面部材をバッキング内に組み込んで入れ駒を作
り、この入れ駒を金型の成形面に組み込んだことを特徴
とするものである。
【0016】更に、請求項4に記載の発明においては、
請求項3に記載の発明において、製品に接する成形面の
一部にのみ入れ駒を組み込んだことを特徴とするもので
ある。
【0017】
【作用】金型の成形面に組み込まれた入れ駒の第1及び
第2熱媒循環流路内には、成形時には高温の熱媒が供給
されて循環し、樹脂充填時に成形面を先ず急速に加熱す
る。そして、充填が終わると、低温の熱媒に切り替えら
れて、この低温熱媒が熱媒循環流路内を循環し、成形品
の成形面を急速に冷却する。温調用成形面部材内の熱媒
循環流路は二重に密に形成されているため、金型表面温
度分布の均一性、制御性及び応答性が高まる。
【0018】
【発明の実施の形態】金型の成形面に組み込まれる入れ
駒の温調用成形面部材の薄板及びこの裏面の第1及び第
2熱媒循環流路は、製品形状に沿った例えば3次元形状
に形成される。この温調用成形面部材を作成する際、金
型表面部位の熱容量を小さく形成して金型表面の加熱、
冷却時の温度応答性、温度制御性を改善し、これにより
成形サイクルを延ばすことなく、短時間で金型表面温度
を高温に制御したり、低温に制御して外観不良のない高
品位、高光沢かつ反りのない製品を成形するために、温
調用成形面部材とバッキングとの間に空隙を形成して、
入れ駒を製作し、これを金型(キャビティ)の成形面の
全部又は一部に組み込むと良い。
【0019】金型の特徴は、金型の成形面に前記成形面
に沿った熱媒循環流路を形成したことにある。特に、熱
媒循環流路形成条は、曲げR半径の制限があることによ
り、特に3次元形状の金型は、金型材に孔を設ける場合
はもとより、銅等の金属管を用いて金型表面近くに形成
する場合、思い通りに配置することは難しかったが、本
発明の場合、薄板の裏面にワックス等により先ず熱媒循
環流路形成条を形成し、この表面を電鋳法或いはメッキ
で被覆して被覆層を形成した後、ワックス等を被覆層内
から溶かし出して流路を形成するようにしているため、
流路を任意の位置に、任意の形状と径で構成することが
できる。よって、流路、形状に制限がなく、金型表面に
近い位置に高密度に配置でき、かつ3次元の複雑な形状
であっても問題はない。
【0020】流路を形成するための空洞形成材料は、後
で溶出させることができるものであば、ワックス以外に
もアルミニウム、低融点合金或いは化合物、水溶性ポリ
マー等を用いることができる。そして、これらの材料を
溶かす方法としては、アルカリ液中に浸漬する、加熱す
る、等の方法がある。
【0021】薄板(金型の成形面)と熱媒循環流路の間
は、金型温度の応答性を考えると薄ければ薄い程良い
が、繰り返しの成形に耐える強度も必要である。この場
合には、2mm程度とすることができる。
【0022】熱媒循環流路の径は、金型内での高密度達
成及び内部流体の流速をかせいで、レイノルズ数を大き
くし、熱交換効果を高めることや、成形時の樹脂圧に対
する強度面からは細い方が有利であり、内径φ5mm程
度以下が望ましい。
【0023】熱媒循環流路の断面形状は、円形、四角
形、不規則な形状等、いかなるものでも良いが、伝熱及
び電鋳層或いはメッキ層のつきまわり性から、第2の熱
媒循環流路の断面が不規則であったり、閉鎖したりしな
いためには、つきまわりが比較的均一な半円形状が望ま
しい。
【0024】第1熱媒循環流路のスパンは、第1熱媒循
環流路の径にもよるが、第1被覆層で覆った後面に第1
熱媒循環流路の間に第2熱媒循環流路を形成するため、
1.5mm程度以上が望ましい。
【0025】次に、熱媒循環流路の形成方法は、固形状
の後から溶出可能な空洞形成材料を並べたり等、いかな
る方法でも良いが、第2熱媒循環流路は、すでに第1熱
媒循環流路とその第1被覆層により形が形成されている
ため、溶融した状態で流し込んで形成することが、作業
時間的にも短くてすみ、望ましいが、このような方法で
はなく、前記した第1熱媒循環流路形成条と同じ方法で
形成してもよい。
【0026】第2熱媒循環流路の形成後に形成された第
2被覆層は、断熱層、熱抵抗層を形成してバッキング或
いは金型本体と温度制御する金型部分を熱的に切り離
し、熱容量を小さくして金型表面温度の制御性及び応答
性を向上させるとよい。成形時の樹脂圧や加熱、冷却に
よる熱膨張、収縮による応力に対し、十分な強度を得る
ために、第2被覆層の裏面側とバッキングとの間に空隙
を形成して熱抵抗としたり、第2熱媒循環流路の裏面側
の第2被覆層を、内部に空孔、高分子或いはセラミック
を含有する金属被覆層として断熱性を持たせ、耐久性と
熱伝導の即効性を両立させるとよい。
【0027】本発明に係る金型を用いて成形できる樹脂
には、例えば、ポリオレフィン系樹脂であればポリエチ
レン、ポリプロピレン等が用いられ、ポリエステル系で
あればポリカーボネートなどが用いられる。また、スチ
レン系又はこれらの共重合樹脂であれば、ポリスチレ
ン、ポリアクリロニトリルスチレン、ポリアクリロニト
リルブタジエンスチレンなどが用いられる。さらには、
塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹脂やポリアミド系樹脂
である各種ナイロン、アクリル樹脂などを用いることが
好ましい。勿論、これらのアロイやブレンドされた樹脂
であってもよい。
【0028】また、樹脂以外に、樹脂に通常添加される
各種酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤は当然含ま
れ、さらに染料や顔料、或いは一部の強化材料、例えば
ガラス繊維やカーボン繊維、或いは他の無機物などが添
加されたものであってもよい。
【0029】上記のように、金型表面温度を精度良く、
短時間で効果的にしかも均一に加熱、冷却できるプラス
チック製品射出成形用金型を用いて製品可視面側金型表
面温度を樹脂充填時に非結晶性の樹脂であれば、ガラス
転移温度近傍まで急加熱した後、急冷して金型温度を下
げる射出成形を行った場合、高温の製品可視面側金型表
面に接する樹脂表面には固化層が発達しにくく、変形し
やすいために、通常行われる低温な金型表面温度で樹脂
表面に固化層が急速に発達して形成、保存されるところ
のフローマーク、ウェルドといった製品外観不良が発生
しない。
【0030】また、樹脂が金型表面に十分密着して転写
性が良いために、樹脂の離型が遅れ、この間に充分な強
度まで固化層が発達するため、樹脂の熱収縮による影響
が少なく、熱収縮に起因して製品表面に生じる外観不
良、例えば窪み状のヒケ、或いは材料樹脂中の収縮の小
さいガラス等のフィラー、ブタジエン等のゴム粒子が樹
脂表面へ選択的に残存することに起因する光沢不良が発
生せず、外観不良のない高品位な成形品を得ることがで
きる。
【0031】特に、光沢については、金型温度制御精度
が不十分で高温になりすぎた場合には、材料樹脂の収縮
量がさらに大きくなり、後収縮等によりガラス等のフィ
ラー、ブタジエン等のゴム粒子が樹脂表面に残されて光
沢不良が再度発生する懸念があるが、本発明に係る金型
によれば表面温度の応答性、制御性が良いために、安定
して高光沢な成形品が得られる。
【0032】更に、金型表面を高温にして成形する場
合、冷却が遅いと、成形品に反り等の変形も生じ易い
が、本発明に係る金型を用いると急速に金型表面を冷却
できるため、成形品の反り、変形が生じない。しかも、
金型表面の加熱、冷却が短時間で精度良く達成できるた
め、成形サイクルが延びて量産性を損なうことがなく、
低コストで高品位な成形品が得られる。
【0033】
【実施例1】金型の成形面に熱媒循環流路を形成するた
めの部材は、図1に示す工程を経て製作される。先ず、
図1(A)に示すように、マスター11の表面に電鋳法
を用いてニッケルから成る約2mm厚さの薄板2を形成
する。次に、(B)に示すように、前記成形した薄板2
の裏面に第1熱媒循環流路を形成するための第1熱媒循
環流路形成条5を第1ワックス層3で形成する。次に、
(C)に示すように、電鋳液12′を満たした電鋳層1
2内にマスター11と共に薄板2を浸漬してワックス層
3の表面に第1被覆層(ニッケル層)7を形成する。図
中13は電極である。次に、(D)に示すように、前記
形成した第1被覆層7の表面に、第2熱媒循環流路を形
成するための第2熱媒循環流路形成条6をワックス層4
で形成する。次に、(C)と同様に(E)に示すように
電鋳液12′を満たした電鋳層12内にマスター11と
共に浸漬して第2ワックス層4の表面に第2被覆層(ニ
ッケル層)8を形成する。次に、(F)に示すように、
第1ワックス層3及び第2ワックス層4に熱を加えて第
1被覆層7及び第2被覆層8内から第1、第2ワックス
層3、4を溶出することにより、薄板2と第1被覆層7
及び第2被覆層8間に空洞、つまり第1熱媒循環流路9
及び第2熱媒循環流路10を形成し、温調用成形面部材
1を得る。次に、(G)に示すように、前記温調用成形
面部材1をバッキング14内に組み込んで入れ駒15を
製作し、この入れ駒15を金型内の成形面内に組み込
む。この時、バッキング14と温調用成形面部材1の間
には、放電加工により空隙18を形成した。
【0034】
【実施例2】この実施例は、実施例1で製作された入れ
駒15を、金型20の成形面に一体に組み込んだ実施例
であって、図2は金型20の全体図、図3は入れ駒15
の説明図、図4はA−A′線断面図である。
【0035】図2に示すプラスチック製品射出成形用金
型20は、大きく分けてコア(製品非可視面側)21と
キャビティ(製品可視面側)22から成り、共に図外の
射出成形機に連結されており、コア21とキャビティ2
2とが開閉可能にさている。コア21とキャビティ22
には製品の外形状に対応した凹部23が形成されてお
り、キャビティ22の所定箇所に設けられたスプルー2
4を介して図外の射出成形機から溶融プラスチックが凹
部23に流し込まれ、製品が成形されるようになってい
る。
【0036】この製品の製品可視面側(キャビティ22
側)には、金型表面急加熱、冷却用入れ駒15が組み込
まれており、この入れ駒15の薄板2の裏面に形成され
た第1熱媒循環流路9及び第2熱媒循環流路10内を流
れる熱媒により、樹脂はその充填時に高温で急速に加熱
され、その後、低温で急速に冷却されて固化し、その後
金型20内から取り出される。なお、第1熱媒循環流路
9及び第2熱媒循環流路10を流れる熱媒は、図外の高
周波加熱機及び冷却機を備え、急速加熱、冷却が可能な
媒体温度調節機より供給される。
【0037】図3、図4は、金型表面急加熱、冷却用の
第1熱媒循環流路9及び第2熱媒循環流路10を形成し
た温調用成形面部材1を固定した入れ駒15の説明図で
あって、製品可視面に接する薄板2はNi−Crで形成
されており、内部には熱媒流入口16と流出口17に結
ばれた第1熱媒循環流路9及び第2熱媒循環流路10が
形成されている。この第1熱媒循環流路9及び第2熱媒
循環流路10は薄板2の金型内部面に第1ワックス層3
で管路を形成後、電鋳層で表面に第1被覆層7を形成
し、更にこの第1被覆層7の表面に形成された凹状の空
隙に第2ワックス層4にて二層目の管路を形成後、電鋳
法で第2被覆層8を形成する。
【0038】その後、ワックス層3及びワックス層4を
第1被覆層7及び第2被覆層8内から溶出させて第1被
覆層7及び第2被覆層8内を空洞化することにより、薄
板2と一体構成される。
【0039】第1熱媒循環流路9及び第2熱媒循環流路
10の断面形状は、半径2.5mmの半円形で、ピッチ
は15mmである。この第1熱媒循環流路9及び第2熱
媒循環流路10と製品に接する金型表面急加熱、冷却用
入れ駒15の表面間距離は、第1熱媒循環流路9及び第
2熱媒循環流路10と製品に接する金型表面急加熱、冷
却用入れ駒15の表面間距離は第1熱媒循環流路9で
2.5mm、第2熱媒循環流路10で4.5mmとし
た。
【0040】図2〜図4の金型を用いてガラスフィラー
20%含入のABS樹脂(15G20,ガラス転移温度
98℃,日本合成ゴム)を用い、製品可視面側金型表面
温度を樹脂充填時100℃、冷却時60℃に急加熱、冷
却して射出成形を行った。また、この時の成形サイクル
(射出〜保圧〜冷却〜取出し)は55秒で、加熱に要し
た時間は15秒、冷却に要した時間は20秒であった。
【0041】製品可視面の光沢度測定結果は、光沢度9
5(1G−31D,堀場製作所製光沢度計使用)とガラ
スフィラー入りにもかかわらず、高光沢な製品が得られ
た。また、製品の取出し時点において、製品は充分に固
化しており、製品の変形、離型の問題はなかった。ま
た、加熱完了時に製品可視面側金型表面の第1熱媒循環
流路9上と第1熱媒循環流路9間の温度を測定した結
果、その温度差は0.4℃であった。
【0042】
【実施例3】実施例2と同じ装置と耐衝撃性ポリスチレ
ン(HT560,ガラス転移温度97℃ 出光石油化
学)を用い、製品可視面側金型表面温度を樹脂充填時1
00℃、冷却時60℃に急加熱、冷却して射出成形を行
った。また、この時の成形サイクル(射出〜保圧〜冷却
〜取出し)は55秒で、加熱に要した時間は15秒、冷
却に要した時間は20秒であった。
【0043】なお、製品非可視面側の金型面には、成形
品にヒケ、ウェルド等の外観不良を発生しやすくするた
めにボス、リブ形状彫り込み及び、製品可視面側金型面
との押し切り突起を設けて成形を行った。
【0044】得られた成形品可視面には、ヒケ、ウェル
ド、フローマーク等の外観不良がなく、光沢も光沢度9
7と高光沢で高品位な製品が得られた。また、製品に反
り等の変形も見られなかった。
【0045】
【実施例4】本実施例は、第2熱媒循環流路10を形成
する手段に関するもので、実施例1の第2層目はワック
ス流し込みとしたが、第1層目と同様に、半円状のワッ
クスを並べて第2熱媒循環流路形成条6を形成し、第2
被覆層8を形成後、これを溶出して、第2熱媒循環流路
10を形成する例である。
【0046】
【比較例1】実施例の金型表面急加熱、冷却用入れ駒1
5をS55C製で熱媒循環流路9が横穴状に2本機械加
工してある通常の金型構造を模擬した入れ駒に交換した
以外は、実施例2と同じ装置、樹脂を用い、樹脂充填時
の製品可視面側金型表面温度を同じ100℃、冷却時6
0℃の温度条件で成形を行った。この時の成形サイクル
(射出〜保圧〜冷却〜取出し)は84秒で、加熱に要し
た時間は39秒、冷却に要した時間は40秒と、成形サ
イクルが50%長くなった。また、製品可視面の光沢度
測定結果も、光沢度88と実施例2の製品光沢度に比べ
低下した。また、逆に、成形サイクルを実施例2と同じ
55秒にした場合、製品光沢は著しく低く、また、取出
し時点の製品温度が高く、製品が変形しやすかった。
【0047】
【比較例2】実施例の金型表面急加熱、冷却用入れ駒1
5をS55C製で熱媒循環流路9が横穴状に2本あいた
通常の金型構造を模擬した入れ駒に交換した以外は、実
施例3と同じ装置、樹脂を用い、樹脂充填時の製品可視
面側金型表面温度を同じ100℃、冷却時60℃の温度
条件で射出成形を行った。この時の成形サイクル(射出
〜保圧〜冷却〜取出し)は84秒で、加熱に要した時間
は39秒、冷却に要した時間は40秒と、成形サイクル
が50%長くなった。また、製品可視面の光沢度測定結
果も、光沢度91と実施例3の製品光沢度に比べ低下し
たほか、製品の反り、変形が大きかった。
【0048】
【比較例3】実施例の金型表面急加熱、冷却用入れ駒1
5の第1被覆層7を作成後、バッキング14に組み込ん
で製作した熱媒循環流路が一層構造の入れ駒に交換した
以外は、実施例2と同じ装置と樹脂を用い、製品可視面
側金型表面温度を樹脂充填時100℃、冷却時60℃に
急加熱、冷却して射出成形を行った。また、この時の成
形サイクル(射出〜保圧〜冷却〜取出し)は65秒で、
加熱に要した時間は20秒、冷却に要した時間は25秒
であった。製品可視面の光沢度測定結果は、光沢度94
と実施例2と同様な高光沢の製品が得られたが、成形サ
イクルが18%長くなった。
【0049】また、成形サイクルを実施例2と同じ55
秒にした場合、製品可視面に熱媒循環流路に沿った光沢
のムラが発生し、光沢度88と実施例2の光沢度と比べ
低下した。また、加熱完了時に製品可視面側金型表面の
熱媒循環流路9と熱媒循環流路9間の温度を測定した結
果、その温度差は4.1℃と大きかった。
【0050】
【発明の効果】上記金型によれば汎用の樹脂に限らず、
従来高光沢な製品面を得ることが難しいとされていたガ
ラス等のフィラー、ブタジエン等のゴム粒子を含む樹脂
の成形品においても外観不良のない高光沢、高品位かつ
反りのない製品が得られ、品質並びにコストの面からも
メリットが大きく、製品不良を低減する上での効果は極
めて大きい(請求項1〜4)。
【0051】次に、本発明は、温調用成形面部材とバッ
キングとの間に熱抵抗となる空隙を形成することによ
り、金型側の熱容量を小さくすることで急加熱、急冷却
を即効的に行うことができる(請求項1〜4)。
【0052】また、熱媒循環流路の成形面とは反対側の
第2被覆層自体を、内部に空孔、高分子或いはセラミッ
クを含有する金属層で形成することにより、これを断熱
層或いは熱抵抗層とし、金型側の熱容量を小さくするこ
とで急加熱、急冷却を即効的に行うこともできると共
に、空隙の場合、本発明者が提案している断熱層を形成
する特願平8−184441号(請求項11)に比較し
て、金型製造コストの低減、重量の軽減が可能である
(請求項1〜4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金型の製法の説明図。
【図2】本発明の実施例に係る射出成形用金型の一例を
示す断面図。
【図3】熱媒循環流路と入れ駒の説明図。
【図4】A−A′線断面図。
【符号の説明】
1 温調用成形面部材 2 薄板 3 第1ワックス層 4 第2ワックス層 5 第1熱媒循環流路形成条 6 第2熱媒循環流路形成条 7 第1被覆層 8 第2被覆層 9 第1熱媒循環流路 10 第2熱媒循環流路 11 マスター 12 電鋳層 13 電極 14 バッキング 15 入れ駒 16 熱媒流入口 17 熱媒流出口 18 空隙 20 金型

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック製品の表面形状に合わせた
    成形面形成用薄板の裏面に、後から溶融可能な空洞形成
    材料により熱媒循環流路形成条を形成すると共に、前記
    熱媒循環流路形成条の表面に第1被覆層を形成した後、
    前記空洞形成材料を第1被覆層内から溶出することによ
    り、薄板と第1被覆層間に第1熱媒循環流路を形成して
    温調用成形面部材を製作し、次にこの温調用成形面部材
    をバッキング内に組み込んで入れ駒を作り、この入れ駒
    を金型の成形面に組み込んで成形時に金型表面を加熱又
    は冷却することができる金型を製作する際、 前記第1熱媒循環流路形成条の表面に第1被覆層を形成
    した後、前記第1被覆層の表面であって、前記第1熱媒
    循環流路形成条により形成された凹条溝内に前記と同じ
    空洞形成材料を用いて第2熱媒循環流路形成条を形成
    し、更に、この第2熱媒循環流路形成条の表面に第2被
    覆層を形成する、 次に、前記第1と第2熱媒循環流路形成条を形成した第
    1と第2被覆層内から空洞形成材料を溶出することによ
    り、成形面形成用薄板の裏面に第1熱媒循環流路と第2
    熱媒循環流路を形成する、 ことを特徴とするプラスチック製品射出成形用金型の製
    法。
  2. 【請求項2】 第1熱媒循環流路形成条を形成し、この
    表面に第1被覆層を形成した後、一旦前記第1熱媒循環
    流路形成条を形成した空洞形成材料を第1被覆層内から
    溶出して第1熱媒循環流路を形成し、その後第1被覆層
    の表面の凹条溝内に空洞形成材料を用いて第2熱媒循環
    流路形成条を形成すると共に、この表面に第2被覆層を
    形成した後、第2被覆層内から前記第2熱媒循環流路形
    成条を形成した空洞形成材料を溶出することにより、第
    2熱媒循環流路を形成する請求項1記載のプラスチック
    製品射出成形用金型の製法。
  3. 【請求項3】 プラスチック製品の表面形状に合わせた
    成形面形成用薄板の裏面に第1熱媒循環流路を形成する
    と共に、前記第1熱媒循環流路を形成した被覆層の外側
    であって、第1熱媒循環流路間の凹条溝を利用して第2
    熱媒循環流路を形成して成る温調用成形面部材をバッキ
    ング内に組み込んで入れ駒を作り、この入れ駒を金型の
    成形面に組み込んで成るプラスチック製品成形用金型。
  4. 【請求項4】 製品に接する成形面の一部にのみ入れ駒
    を組み込んで成る請求項3記載のプラスチック製品成形
    用金型。
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