JP3366739B2 - 熱可塑性樹脂の射出成形用金型 - Google Patents
熱可塑性樹脂の射出成形用金型Info
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Description
沢や微細な凹凸模様を成形品表面に忠実に転写でき、か
つ表面にヒケのない美しい成形品を比較的低圧で成形で
きる熱可塑性樹脂成形用金型に関し、さらに詳しくは比
較的大きい成形品を成形するとき、または高粘度成形材
料、高融点成形材料或いはフィラー入成形材料等を使用
して成形するときでも、上記成形品を比較的低圧で成形
できる熱可塑性樹脂成形用金型に関する。
常、一般鋼材、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウ
ム、アルミ合金、銅、銅合金等の金属材料にて製作され
ている。そしてキャビティ内に溶融樹脂を圧入して該溶
融樹脂を所定形状に賦形すると同時に、キャビティ表面
の状態を、その表面に転写した成形品を得る。
形する場合、キャビティ表面の転写度は低く、光沢や微
細凹凸模様を忠実に転写した成形品が得られないのが欠
点である。さらに成形品表面にフローマーク、ウェルド
マーク等が発生するばかりでなく、成形品の末端部や肉
厚部にヒケが発生しやすい。
くしたり、射出圧を上げるのが普通である。しかし、型
温を高くしても転写精度の改善に限度があり、また成形
サイクルの長時間化につながり、満足な結果は得られな
い。射出圧の増大も同じく転写改善に限度があり、さら
に、残留歪を増大させ、ソリやバリを発生するなど成形
品品質を低下させるばかりでなく、成形機の大型化を招
き、さらには金型の高剛性化を要し、良品を得るための
経済的生産を困難にする。
る。
金属材料にて構成されている。このような金型を使用し
て射出成形する場合、キャビティ内に充填されつつある
溶融樹脂は金型表面への放熱によって急速に冷却し、表
面に固化層が形成する。すなわち、充填工程では溶融樹
脂の型内圧が比較的低いため、溶融樹脂は型表面にあま
り強く圧接されないままに(即ち型表面を忠実に転写し
ないままに)表皮固化層を形成しながら充填が進行す
る。この表皮固化層の存在のため充填完了時に所定の高
圧が付加されたとしても、もはや型表面の光沢や微細な
凹凸模様は成形品に十分に転写され難い。またゲート付
近の乱流や、流動中の不整流が上記固化層中に瞬間的に
凍結し、フローマーク、ウェルドマーク等が発現する。
格化への要望と、製品の大形化・軽薄短小化の二極化傾
向からくる成形の低圧化及び薄肉化要望が強まってい
る。この薄肉化要望はさらに高い成形圧力を必要とする
ため従来法ではもはや対応不能で、前記未解決の基本問
題、すなはち比較的低圧で良品を得る成形技術の開発
が、新しい課題として大きくクローズアップされてい
る。この課題に関連した、これまでに公表されている研
究・開発技術も少なくない。その代表例は次のようなも
のである。
グ処理。
〜4)では、従来法の問題点の一つであるヒケの発生問
題は大きく改善されたものの、充填時の樹脂表面固化層
による転写不良、フローマーク、ウェルドライン発生等
の弊害を取り除くものではなく、低圧条件下で高品質表
面の成形品を得る成形技術とはなり得ない。
す効果があり、また6)では充填樹脂と型表面の濡れ性
改善による密着性向上に効果があり、従って、両者共金
型表面の転写性向上には有効な技術であるが、低圧条件
では成形品肉厚部のヒケ発生に対応できないため、結局
は高圧成形が必要になる。
も、低圧で良品を得る成形技術の開発はいまだ達成され
ていないのが現状である。
号において、キャビティ型表面に断熱層を形成し、か
つ、コア型表面に離型性断熱層を形成した熱可塑性樹脂
成形用金型を提案した。このような構成の金型を用いて
射出成形すると、通常の成形条件にて射出成形時キャビ
ティ型の表面は充填された溶融樹脂の熱量で瞬時に昇温
し、その結果溶融樹脂との”濡れ性”が発現し、密着す
るが、一方、コア型の表面では、瞬時に始まる溶融樹脂
の冷却収縮のため、高温状態で、コア型表面との樹脂の
即時離型が可能となる。
との間に形成された空気層による断熱効果が加味されて
コア側での溶融樹脂の冷却が鈍化し、高温がかなり長時
間保持される。その間に、キャビティ側に存在する溶融
樹脂の冷却収縮はコア側にある溶融樹脂の移動によって
容易に補償される。つまり、キャビティ型の表面におけ
る濡れ性消失までの樹脂の冷却収縮をコア側からの高温
溶融樹脂の移動によって、容易に補償することができ、
その結果、キャビティ側の面にヒケのない、転写性の良
い成形品が得られる(この機能を以後本機能という)。
汎用材料については、上記金型構成で、上記本機能が発
現し良好な成形品が得られるが、20%ガラス繊維入り
PC(HDT148℃;18.5kgf/cm2負荷)
やガラス繊維入りPBT(HDT210℃;18.5k
gf/cm2負荷)等の高HDT(熱変形温度)材料等
を使用する場合は、低圧ではキャビティ側面にもヒケが
発生した成形品が成形されることがある。
に比べて著しく高温度で固化が始まるため高温で型離れ
するばかりでなく、固化時の収縮量がはるかに少ない。
例えば、無充填PCの成形収縮率は0.5〜0.7%で
あるのに対し、30%ガラス繊維入りのPCの成形収縮
率は0.1〜0.2%である(Modern Plas
tics Encyclopedia’91特性表よ
り)。
度でぬれ性消失による型離れが起こり、コア型表面では
樹脂の早期離型が起こらず、むしろ断熱層のあるキャビ
ティ型側より速く固化するようになる。このような現象
により、キャビティ型側の溶融樹脂の収縮補償が十分行
われず、キャビティ側面にヒケが発生する。
7号)では、相対的にコア型側の冷却速度を遅らせるた
め、コア型表面に設けた離型性断熱層の厚さを充分厚く
していた。しかし、コア型表面の該離型性断熱層を厚く
すると、該離型性断熱層の熱伝導率が低い場合は、離型
性断熱層の表面に対する溶融樹脂の濡れ性が発現し離型
性が消失することがあった。
は、離型性断熱層の表面に、さらに0.3〜0.5mm
の金属層を形成することが考えられる。即ち、溶融樹脂
がコア型表面に接触した時、その金属層が瞬時に溶融樹
脂が持っている熱量を吸収することにより金属層と溶融
樹脂との界面温度の上昇が制限されるため、ぬれ性が発
生せず離型性が維持されるのである。例えば、ABS樹
脂では、この界面温度が約101℃以下の場合、離型性
機能が確保できる。
の厚みや成形品の大きさ、あるいは成形条件と、該金属
層膜厚とのバランスがむずかしく、そのため成形品のキ
ャビティ側にヒケが発したり、ソリが発生したりするこ
とが少なくなかった。色々の条件をふまえて該金属層の
適切な厚みを事前に決定するのは難しく、従って、一旦
金型が製作されてしまうと(金属層の厚みが決ってしま
うと)、問題が発生した場合、成形条件面での修正だけ
では解決できないなどの問題があった。このことは実用
型として大きな難点である。
あり、その目的とするところは、大きさ、厚み等成形品
形状が変わっても、又は、高粘度成形材料、高融点成形
材料、あるいは、フィラー入り成形材料等を使用して形
成する場合でも支障なく対応でき、キャビティ型表面の
光沢や微細な凹凸模様を成形品表面に忠実に転写でき、
かつ表面にヒケのない美しい成形品を比較的低圧で(従
来型による成形圧に比して60%以下の低圧で)成形で
きる熱可塑性樹脂成形用金型を提供することにある。
脂射出成形用金型は、キャビティ型と、コアプレートに
嵌合されたコア型と、該キャビティ型と該コア型との間
で形成された、溶融樹脂が充填されるキャビティ部と、
を有し、該キャビティ型の表面には断熱層が設けられ、
該コア型には加熱手段が設けられ、該コア型と該コアプ
レートとの間には両者を断熱し得る断熱壁が設けられ、
該コア型はその全面又は一部が多孔性金属部材で形成さ
れ、該コア型の内部を通って該コア型の底面に気体を供
給し得る気体供給手段を有し、そのことにより上記目的
が達成される。
て形成された金属層が設けられているのが好ましい。
チック複合材、ガラス、セラミックおよび琺瑯からなる
群から選択された一種からなり、その熱伝導率は0.0
5cal/cm・sec・℃以下であり、かつ、厚さは
1〜5mmであるのが好ましい。
耐熱性プラスチックまたはプラスチック複合材からな
り、その表面に0.001〜0.2mmの金属層が形成
されているのが好ましい。
素系樹脂複合材およびフッ素系樹脂分散ニッケルめっき
からなる群から選択された一種からなる離型層が設けら
れているのが好ましく、さらに上記離型層の厚さが0.
01〜0.1mmであるのが好ましい。
する。
ャビティプレート12と、該キャビティプレート12に
嵌合されたキャビティ型2と、コアプレート13と、該
コアプレート13に嵌合されたコア型8と、該キャビテ
ィ型2と該コア型8との間で形成された、溶融樹脂が充
填されるキャビティ部5と、受け板11と、を有する。
なお、図中6はスプル、7はランナー・ゲート、9およ
び19は取付板、10はノズルタッチ部、14はコア型
8の底部に設けられたリブ溝、15は突出ピンである。
チ部10よりスプル6、ランナー・ゲート7を通って、
キャビティ型2とコア型8との間で形成されるキャビテ
ィ部5に充填されように構成されている。
熱層1の熱伝導率は低い程良く、好ましくは4×10-3
cal/cm・sec℃以下がよい。
ック複合材、ジルコニア等の熱伝導率の低いセラミック
材、ガラス、ホーロー等で形成することができる。
樹脂、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミ
ダゾピロロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェ
ニレンスルフィドなどがあり、プラスチック複合材とし
ては、該耐熱プラスチックに強化材を配合したものがあ
る。
断熱層1が形成される場合、その断熱層1の厚さは0.
1〜1.5mmが好ましく、更にその表面に0.01〜
0.2mmの金属層が形成されているのが好ましい。
に、金属層の表面に薄膜表面層を設けることもでき、そ
の薄膜表面層としては二酸化ケイ素(SiO2)、酸化
チタン(TiO2)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化ジ
ルコニウム(ZrO2)またはガラス、琺瑯等の金属酸
化物、ケイ素酸化物、ケイ素複合酸化物が好ましい。
型2表面の水との接触角を測定したところ、それぞれ、
二酸化ケイ素(SiO2):30°、酸化チタン(Ti
O2):13°、酸化クロム(Cr2O3):27°、酸
化ジルコニウム(ZrO2):10°、ガラス:12°
であった。
親和性に優れたプラスチックも使用可能であり、特に、
プラズマ重合や電着によるプラスチック薄膜が好まし
い。
的には以下のようにして作製することができる。
形を作り、離型処理をしたその表面に電鋳法にて薄肉金
属層を形成し、この金属面と面を合わせて接合するコア
部材(バッキング材)の接合面に断熱層形成部を切削
し、この切削部に耐熱かつ高鋼性樹脂複合材をはさみ薄
肉金属層に接着剤にて一体化した後、母形を抜去し、キ
ャビティ型2を得る。
けることにより、以下のような利点がある。
ィ型2表面は瞬時に昇温し、樹脂との濡れ性が発現す
る。このため充填された溶融樹脂はフローマーク、ウェ
ルドライン、ジェッティング等が解消するともにキャビ
ティ型2表面を均一、かつ忠実に、樹脂表面に転写する
ことができる。
られ、加熱手段としてのヒーター17が挿入配設されて
いる。断熱壁18は図1に示すように、コア型8の周囲
全面に設けられ、コア型8とコアプレート13との間お
よびコア型8と受け板11との間を断熱している。
して形成することができる。
コア型8の外周部に、厚み2mm〜5mmの樹脂含浸ガ
ラスクロス断熱板をビスにて張り付ける。また、コア型
8の外周に細いリブを残して肉ぬすみをし、空気断熱層
を形成することにより断熱壁18を形成してもよい。
ず、キャビティ部5を形成するコア型8の一部でもよ
い。つまりコア型8面の裏側に断熱層18を設けてもよ
い。
から断熱壁18によって断熱することにより、以下の利
点がある。
ート12とコアプレート13は型締め、型開き時に両プ
レート12、13間に埋設されたガイドブッシュ及びガ
イドピンにより、高精度の篏合及び離脱を行わしめるよ
うになっている。このため両プレート12、13間の温
度差が約5℃以上になると熱膨張差のためその篏合部が
かじり、作動不能となる。
レート13から断熱壁18によって断熱し、かつ、コア
プレート13とキャビティプレート12の温度(モール
ド温調)をほぼ同温に設定することにより、コア型8
(コアブロック)のみを単独に昇温し、キャビティ型2
と大きく温度差をもたしても上記のような問題がない。
従って、コア型8の温度(コアブロック温調)を、後述
するように、成形に最適な温度とすることができる。
れ性発現温度以下に保つことにより、常に溶融樹脂との
離型性を備えることができ、かつ型内に充填された樹脂
のコア側の冷却速度を調整して、溶融分子の移動により
キャビティ側の冷却収縮を容易に補償することができ
る。
に比して高く設定し温度差を付けることによって、モー
ルド温調をより低く設定でき、成形サイクルを短縮する
と共に、成形品の外観品質、ソリ等を最適状態に調整で
きる。
より、キャビティ側での濡れ性発現による最適密着時間
の調節のためのキャビティ型2の温度(モールド温度)
とかキャビティ型2に設けた断熱層1の厚みに対し、バ
ランスのとれたコア型温度を選定することにより成形サ
イクル、成形品質等を勘案した最適温度を得ることがで
きる。
ト12との間にも断熱壁を設けて両者を断熱するように
してもよい。また、コア型8と該コアプレート13との
間に設けられた断熱壁も両者の一部に設けられていても
よい。
によい。その場合、離型層は、フッ素系樹脂コーティン
グ、フッ素系複合樹脂コーティング、シリコン系複合樹
脂コーティング、あるいはフッ素樹脂分散ニッケルメッ
キ等が利用でき、又コア型の金属材料として、一般の鋼
材等に比べて熱伝導性の低いステンレス材、チタン材等
を使用することもよい。
する通気孔を有するポーラス鋼などの多孔性部材で形成
し、このコア型8の裏面側に気体導入部20を形成し
て、コア型8を通して空気などの気体をキャビテイ部5
内へ均一に圧送するようにしてもよい。
樹脂の射出充填完了と同時にコンプレッサーから圧縮空
気等を送ることで、溶融充填樹脂をコア側よりキャビテ
イ型面へ均一に押し付けることができる。このことは、
キャビティ側での密着機能とコア側での離型の断熱機能
を物理的に付加することになり、従来に比してさらに低
圧で転写性のよい成形が安定して行える。
ャビティ内に充填された溶融樹脂がキャビティ型の表面
部に設けられた断熱層の表面に接すると、瞬時に型表面
が昇温し、溶融樹脂と優れた濡れ性を発現して溶融樹脂
は断熱層に強く密着する。このためフローマーク、ウエ
ルドライン、ジェッテイング等が解消し、キャビティ型
面を均一にかつ精密に溶融樹脂表面に転写し、かつ密着
状態が保たれる。一方、コア型はその内部に設けた加熱
機構により、キャビティ型より高温で、かつ充填樹脂と
のぬれ性発現温度以下に調節することにより、離型性機
能を保ちながら、充填樹脂のコア側への放熱を制御し、
冷却をコントロールすることができる。
での(密着状態)樹脂収縮をコア側よりスムーズに補償
することができる。その結果、キャビティ型面での樹脂
は、型面に密着し精密に転写したたまま、コア側にのみ
収縮が集中しながら、冷却が進行する。やがてキャビテ
ィ型表面の温度低下により樹脂との濡れ性が消失し、樹
脂は型離れをするが、コア型側からの引張り応力に耐え
得る固化層厚みがすでに成形されているため、キャビテ
ィ型側の成形品表面にはヒケが発生することなく、成形
品の固化に至る。
に説明する。
クの両面を平滑に研磨し、温度調節の可能な熱板上に置
き、その表面上に溶融したポリカーボネート樹脂(PC
樹脂)(300℃,8g)及びABS樹脂(230℃,
8G)を押しつけた。SUS材表面とPC及びABS樹
脂との間に濡れ性が発現して密着が始まる時のSUS材
表面温度は121℃及び101℃であった。
テトラフルオロエチレン樹脂)をうすくコートした場合
のPC及びABSの濡れ性発現温度は142℃及び12
0℃であった。
発現によるこれらの密着開始温度以下に保持することで
離型性が確保できることが解った。
cm×厚さ0.2cmの平板成形品製造用射出成形金型
を試作し、成形実験を試みた。
m×3cmのシンチュウ母型を鏡面研磨し、その表面上
に離型処理(重クロム酸溶液処理)した後、0.1mm
厚みのスルファミン酸ニッケルめっきを施した。その上
に高速応答熱電対温度センサーを張付け出力リード線を
外部に引出した。ニッケルめっき層の全面に1.5mm
厚のエポキシ樹脂複合材よりなる耐熱及び高剛性断熱層
を形成し、更に15cm×15cm×厚み3cmの鉄材
を重ね一体化(バッキング)した後、母型を脱却しキャ
ビティ型を作製した。
cm×3.5cmSUS鋼材を用い、その表面に13c
m×13cm×0.2cmの凹部を加工した。更にその
凹部に深さ5mm、幅4mmのリブ加工及び10φのピ
ンを立てキャビティ型面とタッチさせた(成形品に穴を
設ける様にした)。側面及び底部に厚さ2mmの樹脂含
浸ガラスクロス基材を張り付けて断熱加工を施し、更に
鋼材内部に2本の棒状ヒーター(計1KW)挿入用孔を
形成しコア型(以下、コアブロックともいう)を得た。
コアープレートにポケット加工を施し、更にコアプレー
トには、上記で得られたコアブロックを組込後、コアブ
ロックに前もって加工してあるヒーター挿入用穴にコア
ープレートを通って外部よりヒーターを挿入するための
貫通穴を加工した。キャビティプレート及びコアープレ
ートには各々温調用水管を加工した。この金型ベースに
キャビティ型及びコア型を組み込み本発明による射出成
形型を完成した。
熱温度117℃、高粘度ABS)、PC、ガラス繊維2
0%入PC(20%GF−PC)を各々の成形標準条件
(耐熱ABSでは、金型温度74℃、樹脂温度260
℃、PCでは金型温度84℃、樹脂温度280℃、20
%GF−PCでは金型温度83℃、樹脂温度300℃と
した)にて成形し、表面金属層の内側に接して埋設した
熱電対温度センサーからの出力信号をチャート紙に記録
した。記録チャートからキャビティ内への樹脂充填時の
キャビティ型表面の温度挙動ならびに、樹脂冷却時の濡
れ性消失による型離れ表面温度を求めた。その結果を図
4に示す。
填時の型表面温度と時間との関係を示す曲線、図4bは
PC樹脂充填時の型表面温度と時間との関係を示す曲
線、図4cは、20%GF−PC樹脂充填時の型表面温
度と時間との関係を示す曲線を示す。
によって測定した。
融樹脂を空打ちし、この樹脂を成形機に取付けて温調さ
れたキャビティ型面上にすばやく押し付けた。直後の冷
却過程では、剥れ方向に軽く手で力を加えた状態を保っ
た。放熱による冷却が進行し樹脂が型表面より離れた時
に発現する゛型表面温度挙動曲線上の変曲点″より型離
れ温度を読み取った(実際の成形時型内での型離れ温度
はこれより少し低いと考えられる)。
aは耐熱ABS樹脂についての、図5bはPC樹脂につ
いての、図5cは20%GF−PC樹脂についての各々
のぬれ性消失による型離れ温度を示す。
コアプレートは、温調機により同温の75℃に設定し
(モールド温調)、コア型も電気ヒーターにより同温の
75℃に設定し(コアブロック温調)、耐熱性ABS
(高粘度ABS)を成形したところ、低圧射出の条件下
ではコア面が転写しキャビティ側面にはウェルドの発生
はないものの、リブ上にヒケが発生した。又、ソリ(キ
ャビティ側に湾曲した)も発生した。高圧射出の条件下
でもリブ上のヒケは解消しなかった。
ブロック温調を90℃に設定し成形した。
発生した。一方、キャビティ側のリブ上のヒケおよびソ
リは改善されたものの、まだ少し残り、又高圧条件下で
も満足すべきものは得られなかった。
コア型の温度を120℃及び60℃に設定した場合の冷
却シミュレーションを行った。その冷却プロファイルを
図6に示す。
0℃に設定しても、意外に速く冷却し、コア側からの溶
融分子の移動によるキャビティ面の収縮補償が可能な時
間はせいぜい4〜5秒であることが解った。
後でもキャビティ部表面は約130℃の温度が保たれ、
コア側の冷却に対してキャビティ側の冷却が遅いことが
解った。
調を更に下げ60℃に設定し、コアブロック温調は12
0℃に設定して、同じく耐熱ABSで成形を行った。
リ、およびリブ上のヒケのない転写の良好な成形品を低
圧条件下で成形することができた。ベース温調即ちキャ
ビティ温度を下げることは、樹脂充填時キャビティ表面
の昇温を押え、それだけ初期冷却を早めキャビティ側の
冷却収縮分をコア側からの移動でスムーズに補償するこ
とになる。
0%ガラス繊維入ポリカーボネート樹脂の成形を行った
ところ、両樹脂共モールド温調55℃、コアブロック温
調120℃でキャビティ側にはウェルド、ソリ及びリブ
上のヒケのない転写の良好な成形品を比較的低圧で成形
することができた。
を有する比較的大きな平板成形用金型を、本金型構成で
作製した金型と、さらに別に断熱機構はなく、型表面に
PTFEコート(約0.03mm)による前記離型製断
熱層を施したコア型をつくり、コア型のみ入れ換えた構
成金型との両金型で、汎用ABS樹脂成形実験を行っ
た。
たは高圧条件下でも成形品の3mm厚部のキャビティ側
に少しヒケが発生し、全体にキャビティ型方向に湾曲し
たソリが発生した。
ク温調の調節により、モールド温調は約10℃低く設定
でき、ヒケ、ソリのない成形品がより短いサイクルで成
形できた。
であることがわかった。
尾面に溶融樹脂との濡れ性の良好な薄膜表面層(例え
ば、SiO2膜)を形成することにより、濡れ性発現温
度および消失温度が5〜10℃低下し、更にモールド温
調を下げることができ、より広い条件で安定した低圧転
写成形が行える。
ャビティ型面との濡れ性が消失した時、樹脂表面に形成
された靱性とさらに、進行する冷却収縮に対するコア側
からの溶融樹脂分子の移動の難易度によって成形品の表
面の型転写性、ヒケ等の品質が決定する。そこで、充填
樹脂をコア側よりキャビティ側へ空気圧で物理的に押し
付ける以下の方法を行った。
5mm厚の断熱層を有するキャビティ型と、連続気孔を
持つ5cm角、厚み1cmのポーラス鋼の表面に4cm
角、厚み2mmの凹部(キャビティ部)を有し、その反
対面に空気圧送室となる4cm×4cm×1mmの凹部
を加工したコア型を組み込んだ標準金型を作製した。コ
ア型は空気圧送室がシールされる様にO−リングを介し
て組込み外部コンプレッサーより圧縮空気を室内に導入
できるようにした。
m )の光学研磨を行った。
し、ポリカーボネート樹脂を極低圧で射出し、充填完了
と同時にコンプレッサーから空気を空気圧送室に送りコ
ア面全体を均一に押し付けた。
く、金型面を精密に転写しており、コア型側には一面に
ヒケが発生していた。
したところ、取り出した成形品の表面は、同様に歪のな
い鏡面を有しており、コア型表面は全面にヒケが発生し
ていた。
型およびコア型を組み合わせた金型構成とすることによ
り、通常型による従来の高圧条件に比べ比較的低圧で
(従来の60%以下)ヒケ、フローマーク、ウエルドマ
ーク、ソリ等のないキャビティ型面をよく転写した美し
い外観をもった成形品が、汎用樹脂から、高粘度、高耐
熱、及びガラス繊維入り樹脂まで、成形機の多段射出圧
力制御、速度制御等の必要もなく一速一圧条件で得るこ
とができる。
る。
る。
図である。
る。
ある。
場合の冷却シミュレーションを示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 キャビティ型と、コアプレートに嵌合さ
れたコア型と、該キャビティ型と該コア型との間で形成
された、溶融樹脂が充填されるキャビティ部と、を有す
る熱可塑性樹脂の射出成形用金型であって、 該キャビティ型の表面に断熱層が設けられ、 該コア型に加熱手段が設けられ、 該コア型と該コアプレートとの間には両者を断熱し得る
断熱壁が設けられ、該コア型はその全面又は一部が多孔性金属部材で形成さ
れ、該コア型の内部を通って該コア型の底面に気体を供
給し得る気体供給手段を有する、 熱可塑性樹脂の射出成
形用金型。 - 【請求項2】 前記断熱層の表面に、さらに、金属材料
にて形成された金属層が設けられている、請求項1に記
載の射出成形用金型。 - 【請求項3】 前記断熱層が、耐熱プラスチック、プラ
スチック複合材、ガガラス、セラミック、および琺瑯か
らなる群から選択された一種からなり、その熱伝導率は
0.05cal/cm・sec・℃以下であり、かつ厚
さは1〜5mmである、請求項1に記載の射出成形用金
型。 - 【請求項4】 前記断熱層が、厚さ0.1〜1.5mm
の耐熱性プラスチックまたはプラスチック複合材からな
り、その表面に0.001〜0.3mmの金属層が形成
されている、請求項1に記載の射出成形用金型 - 【請求項5】 前記コア型の表面に、フッ素系樹脂、フ
ッ素系樹脂複合材およびフッ素系樹脂分散ニッケルめっ
きからなる群から選択された一種からなる離型層が設け
られ、該離型層の厚さが0.01〜0.1mmである、
請求項1に記載の射出成形用金型。
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