JP4874431B2 - 連続鋳造用浸漬ノズル - Google Patents
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Description
本願は、2009年3月25日に、日本に出願された特願2009−074687号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
また、特許文献2に記載の技術は、内部流路に段部を形成した特別な形状のノズルに関するものである。この技術では、段部による断面積変化に伴い、内部の流動が不安定となり、上孔、下孔からの流動変動が大きくなる場合があるという問題がある。
例えば、上部の凝固殻の薄い位置への溶鋼衝突流速が早い場合には、衝突流の作用により凝固部が再溶解し、操業が不安定になる。これとともに、下向き流の流速が早い場合にも、気泡や介在物が下向き流を介して鋳片の深部に侵入して品質欠陥の要因となる。
(2) 上記(1)のノズルにおいて、前記上段の吐出口の下端と前記下段の吐出口の上端との距離が15mmから150mmの範囲であってもよい。
(3) 上記(1)または(2)のノズルにおいて、前記上段の吐出口と前記下段の吐出口との吐出角度が、いずれも水平に対して上向き5°から下向き45°の範囲であって、前記下段の吐出口の吐出角度が前記上段の吐出口の吐出角度を基準として10°以上下向きになるように、下孔と上孔が形成されていてもよい。
(4) 上記(1)または(2)のノズルにおいて、前記上段の吐出口および前記下段の吐出口がいずれも矩形であってもよい。
鉄鋼の連続鋳造に用いられる鋳型5には、平面視矩形のものが一般に用いられる。溶鋼は浸漬ノズルを介してこの鋳型5内に吐出される。浸漬ノズル本体1は、左右対となる吐出口2,3を備える。片側の吐出口は上孔2および下孔3を含む。これらの吐出口を通じ、鋳型5内に溶鋼が、左上、左下、右上、および右下の4方向に分かれて吐出される。左右の吐出口からの溶鋼の吐出流は、鋳型5の短辺側内壁5aに衝突し、鋳型5内壁に沿って上昇する上向き流と鋳型5内壁に沿って下降する下向き流とに更に分流する。
浸漬ノズル本体1は、溶鋼が上から下に通過できるように筒状に形成され、その下端部の鋳型5内に浸漬される位置には溶鋼の吐出口が設けられている。この吐出口は、上孔2と下孔3に分けて上下2段に形成されている。鉄鋼の鋳型5の2つの短辺側内壁5aに対向する位置に、ノズル軸心を挟んで左右にそれぞれ2個、合計4個の吐出口が設けられている。
左列の2つの吐出口と、右列の2つの吐出口とは、前記ノズルの軸心に対して略対称な形状を有する。左右の吐出口がノズル軸心を含む平面に対して鏡面対称であってもよいし、左右の吐出口がノズル軸心に対して回転対称であってもよい。左列の吐出口は、前記鋳型の左の短辺側内壁に対向する。一方、右列の吐出口は、前記鋳型の右の短辺側内壁に対向する。下段の吐出口の開口部面積は、上段の吐出口の開口部面積より小さい。左右夫々の列において、上段及び下段の吐出口の開口部面積の合計に対する下段の吐出口の開口部面積の比は、0.2以上0.4以下である。
溶鋼の高さ方向の圧力差があるため、同じノズル形状でも上孔と下孔を通過する溶鋼の流量が相違する。そこで上孔と下孔を通過する溶鋼の流量分配を適正化して、鋳型の短辺側内壁近傍での溶鋼の下降流の流速を低減することをこの解析の目標とした。このために、上孔と下孔の吐出部の面積比を変化させた複数の形状のノズルについて数値流体解析を行い、面積比の変化の影響を検討した。
図3に示されるように、4孔ノズルにおいて、上孔対下孔の開口面積比を変化させることにより、流量分布が変化する。
次に、表1に代表される複数の構成のノズルについて、それぞれノズル軸心から800mm離れた位置での最大下降流速(m/sec)を求めた。図4は、この結果を解析したものであり、上孔と下孔の開口部の面積比(以下、開口面積比とする)に対して、最大下降流速をプロットしたグラフである。
図4に示されるように、開口面積比が0.2以上0.4以下の範囲において、最大下降流速が低いという結果が得られた。特に、開口面積比が0.25以上0.375以下の範囲において最大下降流速がより低くなる。
240×1300×1390mm(厚さ、幅、深さ)の鋳型を用い、上孔と下孔の吐出角度が異なる4孔ノズルを製作した。これらのノズルに水を流通させる水モデル試験を実施し、吐出流の流速、湯面変動及び気泡巻き込み量を測定した。
図5に、水モデル試験に用いた4孔ノズルの吐出口の構成をまとめて示す。図に示すように、上孔の吐出角度は、下向き角度=15°、水平、上向き角度=7°の3種類とし、下孔の吐出角度は、すべて下向き角度=15°とした。また、比較のために2孔ノズルも作成し、これについても試験を行った。
下降流による巻き込み気泡量について、4孔ノズルはいずれも中程度以下であった。しかし、上孔を上向き7°の吐出角度で形成したノズルの場合は、湯面変動が大きかった。また、上孔と下孔の吐出角度が同一の場合よりも、15°の差を設けたノズルの方が巻き込み気泡量が少ない結果が得られた。この結果より、上孔と下孔からの溶鋼噴流に吐出角度差を設けることにより、上孔吐出流と下孔吐出流の合流効果を低減できることがわかった。
以下、本発明を構成する個々の事項についてさらに説明する。
このように下孔の開口部面積を上孔と下孔の合計開口面積の0.2〜0.4倍とすることにより、溶鋼の高さ方向の圧力差があっても上孔と下孔を通過する溶鋼の流量分布を均一にすることができる。この結果、上孔と下孔から吐出する吐出流の緩慢化及び均一化を図って溶鋼を鋳型内に吐出でき、鋳型の短辺側内壁近傍での溶鋼の下降流の流速を低減できる。
上孔、下孔とも、上向き角度が5°を超えると湯面変動によりパウダーの巻き込みが問題になる。また、下向き角度が45°を超えると気泡や介在物が鋳片の内部に侵入しやすくなる。上孔の吐出角度は、気泡や介在物の進入をより効果的に防止するために、上向き5°から下向き15°の範囲が好ましい。
図7の(c)部から(a)部に向かう矢印に示されるように、下孔での吐出角度が、上孔での吐出角度に対して下向き方向に10°以上の角度差を持つよう設定された場合、巻き込み気泡量が安定的に減少する。角度差が10°以上22°以下の範囲内である場合、更に好ましく気泡量が減少する。更に好ましくは、角度差が15°以上20°以下の範囲内である。このような構成では、上孔と下孔からの溶鋼の吐出噴流の合流をより効果的に防ぐことができる。
鋳造にあたって、実施例として、以下の構成のノズルを用いた。
(1)下孔の開口部面積が上孔と下孔の合計面積の37.5%で、上孔と下孔の吐出角度がいずれも下向き15°の4孔ノズル(実施例1)。
(2)上孔の吐出角度が0°、下孔の吐出角度が下向き15°の4孔ノズル(実施例2)。
また、比較例として、以下の構成のノズルを用いた。
(3)2孔ノズル(比較例1)。
(4)下孔と上孔の開口部面積が等しく、吐出角度はいずれも下向き15°の4孔ノズル(比較例2)。
2 上孔
3 下孔
D 上孔の下端と下孔の上端との距離
5 鋳型
5a 短辺側内壁
5b 長辺側内壁
Claims (4)
- 鉄鋼の連続鋳造用の鋳型内に溶鋼を吐出する連続鋳造用浸漬ノズルであって、筒状のノズル本体を備え、
前記ノズル本体の下端側の前記鋳型内の溶鋼に浸漬される部位に、左列上段、左列下段、右列上段、および右列下段の4つの溶鋼吐出口が開口され;
前記左列の2つの吐出口と、前記右列の2つの吐出口とは、前記ノズルの軸心に対して対称な形状を有し;
前記左列の吐出口は、前記鋳型の左の短辺側内壁に対向し;
前記右列の吐出口は、前記鋳型の右の短辺側内壁に対向し;
前記下段の吐出口の開口部面積は、前記上段の吐出口の開口部面積より小さく;
前記上段及び下段の吐出口の開口部面積の合計に対する前記下段の吐出口の開口部面積の比は、0.2以上0.4以下であることを特徴とする浸漬ノズル。 - 前記上段の吐出口の下端と前記下段の吐出口の上端との距離が15mm以上150mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の浸漬ノズル。
- 前記上段の吐出口と前記下段の吐出口との吐出角度が、いずれも水平に対して上向き5°から下向き45°の範囲であって、前記下段の吐出口の吐出角度が前記上段の吐出口の吐出角度を基準として10°以上下向きになるように、下孔と上孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浸漬ノズル。
- 前記上段の吐出口および前記下段の吐出口がいずれも矩形であることを特徴とする請求項1または2に記載の浸漬ノズル。
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