JP2006198655A - 多孔浸漬ノズル及びこれを用いた連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 溶鋼19が上から下に通過する筒状のノズル本体11と、ノズル本体11の下端に連設して設けられ、鋳型22内に浸漬される吐出部12とを有する多孔浸漬ノズル10において、吐出部12の流路13の平均断面積はノズル本体11の下部流路14の断面積より小さく、ノズル本体11の下部流路14の内平均寸法Dと吐出部12の流路13の最小内寸法dとの比d/Dが0.8未満であり、鋳型22の短辺側を指向する吐出部12の側壁15、16には上下に複数の吐出口17、18が設けられている。
【選択図】 図1
Description
特許文献2には、下端部を閉塞した筒体(ノズル本体)の対向する側壁に一対の溶鋼の吐出口を設け、各吐出口の外側に吐出口を囲む空間部を有する滞留室を配置し、吐出口と対向する滞留室の壁に複数の小吐出口を設けて、溶鋼をノズル本体の下部及び滞留室で撹拌混合して微小介在物の合体と集合を促進して鋳型内における介在物の浮上性を良好にする浸漬ノズルが提案されている。
特許文献4には、浸漬ノズルの構造を簡素化して鋳片の気泡、介在物、及びパウダー巻き込み等の品質欠陥要因を解消するため、浸漬ノズルの吐出口を上下2段に設け、吐出口の角度を鋳型の長辺側長さ、鋳型の短辺側長さ、及び吐出口からの吐出流が鋳型の長辺側壁と衝突するまでに移動する距離をそれぞれ特定の範囲に規定することによって、浸漬ノズルからの吐出流の減衰と溶鋼の吐出流を鋳型の長辺側壁に衝突させることが提案されている。
特許文献2の発明では、浸漬ノズルの下部に流下した溶鋼流を滞留室内でその落下エネルギーを安定して減衰することができず、空間部を介して小吐出口に流れる溶鋼流に偏流が生じ、小吐出口から鋳型内への吐出流にも偏流が形成され、局部的に強い流れが発生する。その結果、溶鋼の下向き流や上向き流に起因した表面欠陥、及び気泡や介在物が鋳片の深部に侵入して発生する内部欠陥が発生する。更に、小吐出口に介在物の付着が生じて溶鋼の偏流が加速されたり、ノズルの構造が複雑になり耐火物のコストが高くなる等の問題がある。
特許文献4の発明では、特許文献3の発明における問題点に加えて、鋳型内壁で成長しつつある凝固殻の内で長辺側の凝固殻に溶鋼の吐出流が直接当たるため、長辺側に形成される凝固殻の厚みのバラツキに起因する欠陥の発生、及び鋳型の長辺側壁に衝突した溶鋼流が短辺側壁に強い流れとなって再度衝突するため、短辺側壁における下向き流が大きくなり、気泡や介在物が鋳片の深部に侵入することを十分に回避できないという問題が生じる。
前記吐出部の流路の平均断面積は前記ノズル本体の下部流路の断面積より小さく、該ノズル本体の下部流路の内平均寸法Dと該吐出部の流路の最小内寸法dとの比d/Dが0.8未満であり、前記鋳型の短辺側を指向する前記吐出部の側壁には上下に複数の吐出口が設けられている。
ここで、流路の平均断面積とは流路の上流側から下流側に沿って流路の横断面積が変化する場合における横断面積の平均値を指し、流路の最小内寸法dとは流路の横断面積が最小となる位置における内寸法の最小値を指す。また、下部流路の内平均寸法Dとは、下部流路の横断面における最大内寸法と最小内寸法の平均値を指す。更に、吐出部の流路の内寸法とは吐出部の流路の断面積に等しい円の直径を指し、ノズル本体の下部流路の内寸法とはノズル本体の下部流路の断面積に等しい円の直径を指し、吐出口の内寸法とは吐出口の断面積に等しい円の直径を指す。
特に、本発明に係る多孔浸漬ノズルにおいて、鋳型内の溶鋼のメニスカスから最上部の吐出口の外側上端までの距離Lと、吐出部の上端から最上部の吐出口の内側上端までの距離xの間に、0.1d<x<5dかつ1.5D<L−xの関係が成立する場合、側壁の上下に少なくとも2以上の吐出口を設けて下側に設けられた吐出口の内寸法(断面積)を上側に設けられた吐出口の内寸法(断面積)よりも小さくする場合では、鋳型内で極端な上向きの吐出流の発生を抑制できるので、湯面の変動を回避してパウダーの巻き込みなどの欠陥の発生を防止し、湯面近傍への熱供給を適正にして安定した鋳造が可能になる。そして、鋳片の凝固殻の内側面のウォッシング効果が積極的に発現して、凝固殻に捕捉される気泡や介在物を速やかに浮上させて、表層部の欠陥を減少することができる。更に、吐出流を緩慢にできるので、高速鋳造が可能になり、鋳造の生産性を向上できる。従って、気泡や介在物による欠陥を防止した高品質の鋳片を効率的、かつ経済的に製造できる。
そして、少なくとも吐出部の流路及び吐出口の周囲がそれぞれカルシアを含有する耐火物及びドロマイトクリンカーを含有する耐火物のいずれか一方又は双方で構成されている場合では、アルミナ系の介在物が耐火物に付着しても介在物と耐火物中のカルシアが反応して界面に低融点化合物を形成するので、介在物が溶鋼によって下流側へ流され従来のようなアルミナ系介在物による小孔の孔詰まりを防止することが可能になる。その結果、吐出量のばらつきを減少させて製造する鋳片の品質を向上できる。
また、溶鋼中にカルシウムが添加されている場合では、生成すアルミナ系介在物を低融点化することができ、吐出口の詰まりを抑制して、安定した鋳造を行うことが可能になる。
ここに、図1は本発明の第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズルの側断面図、図2は同多孔浸漬ノズルを用いた連続鋳造方法の説明図、図3(A)は同多孔浸漬ノズルの使用状態を示す側断面図、(B)は(A)のP−P矢視断面図、図4(A)は従来例に係る浸漬ノズルの使用状態を示す側断面図、(B)は(A)のQ−Q矢視断面図、図5は本発明の第2の実施の形態に係る多孔浸漬ノズルの側断面図、図6は本発明の第3の実施の形態に係る多孔浸漬ノズルの側断面図、図7は本発明の第4の実施の形態に係る多孔浸漬ノズルの側断面図、図8は本発明の第5の実施の形態に係る多孔浸漬ノズルの側断面図である。
なお、下部流路14の内径Dと、吐出部12の流路13の内径dとの比d/Dが0.8以上になると、ノズル本体11の下部流路14を通過する溶鋼19の下降流が吐出部12内の溶鋼19に直接作用して、各吐出口17、18から吐出する吐出流の緩慢化及び均一化を図ることが困難になる。また、d/Dの下限値は0.2、好ましくは0.4である。d/Dが0.2未満では、吐出部12による圧損が大きくなり過ぎて所定の溶鋼流量を確保することが困難になる。
更に、各吐出口17、18の軸心の傾斜角度α、βを水平に対して上向き10°から下向き45°の範囲に設定することにより、各吐出口17、18から吐出する溶鋼19の上向き流及び下向き流の速度を調整することができ、上向き流に起因する湯面変動やパウダー巻き込みによる欠陥、下向き流に起因する気泡や介在物の鋳片深部への侵入を抑制することができる。
また、ノズル本体11は、従来から使用されている浸漬ノズル用の耐火物、例えばアルミナ黒鉛質耐火物を用いて形成することができる。なお、アルミナ黒鉛質耐火物とドロマイトとは反応するため、ノズル本体11と吐出部12とはジルコニア系のモルタルを介して接続されている。また、ノズル本体11をジルコニア黒鉛質耐火物で構成することも可能で、この場合は吐出部12をノズル本体11に直接接続できる。
図2に示すように、溶鋼19をタンディッシュ21に入れ、更にタンディッシュ21の下方に設けた多孔浸漬ノズル10を介して鋳型22に注湯した。なお、鋳型22は、横断面の外形及び内形が共に矩形であり、例えば、内形の寸法は250mm×1000〜1800mmである。そして、鋳型22による冷却と支持セグメント23に設けた図示しない冷却水ノズルからの散水による冷却によって、凝固殻(凝固シェル)24を生成させ、凝固殻24の成長を促進しながら、軽圧下セグメント25の複数の図示しない押圧ロールによって圧下を行い、ピンチロール26により0.6m/min以上の鋳造速度で鋳型22から引き抜き、鋳片27を鋳造する。
ここで、鋳造速度を0.6m/min以上にすることにより、鋳片の表層や内部に欠陥のない鋳片を製造できるが、生産性をより高め、鋳片を高温度で加熱炉等の後工程に供給して熱エネルギーを有効に活用するためには、鋳造速度を0.8m/min以上にすることが好ましく、更には1m/min以上にすることが好ましい。一方、鋳造速度の上限値については規定していないが、溶鋼の凝固を行なう連続鋳造設備の冷却能力を考慮すれば、例えば、3m/min以下の鋳造速度で鋳造するのがよい。
一方、図4(A)、(B)に示すように、溶鋼19を鋳型22の短辺側に向けて吐出する1対の吐出口30、31を有底の筒状のノズル本体29の下部に設けた従来の浸漬ノズル32を使用した場合、各吐出口30、31から吐出する溶鋼19の流れが凝固殻の内面に衝突し、反転する上向き流及び下向き流が発生する。これにより、上向き流による湯面の変動やパウダー巻き込みが生じ、また強い下向き流に随伴する気泡や介在物が鋳片の深部に侵入するため、鋳片内部の気泡や介在物に起因する欠陥を防止できず、鋳片の品質低下を招いたり、鋳片を安定に製造できない問題が発生する。
以上のことから、第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル10を使用することで、アルミナ系介在物による各吐出口17、18の孔詰まりを防止し、各吐出口17、18からの溶鋼19の吐出流の偏流を抑制し、更には防止して、高品質の鋳片27を製造できる。また、溶鋼19中にカルシウム(Ca)を添加して、例えば、カルシウム濃度を5〜50ppmにすることにより、前記した効果をより顕著に発現することができる。
このような構成とすることにより、溶鋼19をノズル本体11から吐出部34に供給する際、下部流路14から吐出部34の流路35内に侵入した溶鋼19は流路35の側壁に接触することにより溶鋼流の流れが妨げられ、吐出部34による圧損を溶鋼19に付与することができ、溶鋼19の高さ方向の圧力差によって上下の吐出口17、18を通過する流量バランスが崩れるのを抑制することができ、各吐出口17、18から吐出する吐出流の緩慢化及び均一化を図って溶鋼19を鋳型22内に吐出できる。なお、第2の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル33を用いた連続鋳造方法は、第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル10を用いた連続鋳造方法と同一に行なうことができるので、説明は省略する。
これにより、落下する溶鋼19を絞り部40の段差部分に衝突させ、溶鋼19の落下エネルギーを減衰することができ、吐出部12による圧損を溶鋼19に付与することができ、溶鋼19の下部流路38の高さ方向における圧力差によって上下の吐出口17、18を通過する流量バランスが崩れるのを抑制することができ、各吐出口17、18から吐出する吐出流の緩慢化及び均一化を図って溶鋼19を鋳型22内に吐出できる。なお、第3の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル36を用いた連続鋳造方法は、第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル10を用いた連続鋳造方法と同一に行なうことができるので、説明は省略する。
ここで、整流部材45には複数(例えば、4以上)の貫通孔46が形成されている。そして、整流部材45は、ノズル本体42の内周側に、例えば、5〜10mmの幅で突出させて形成した掛止部47の上面に、その下面を当接させて配置されている。なお、各貫通孔46の内側面が溶鋼19との接触面48となるので、整流部材45を、ドロマイトクリンカーを含有する耐火物で構成することが好ましい。この場合、少なくともノズル本体42の内面側で整流部材45と直接接触する部分には、ジルコニア系のモルタルを使用する。
ここで、ひさし部53、54の傾斜角度γ、δは、水平状態に対して上向き10°から下向き35°の範囲に設定し、上側の吐出口51の上端部が、例えば、鋳型22内の溶鋼19のメニスカス位置から150〜350mmの範囲の深さで、鋳型22中の溶鋼19に浸漬させ、アルゴンガスの吹き込み量を0.2〜20ノルマルリットル/分にする。このように、ひさし部53、54の傾斜角度γ、δ、及び鋳型22内の溶鋼19への多孔浸漬ノズル49の浸漬深さ、及びアルゴンガスの吹き込み量を規定することで、各吐出口51、52から吐出する溶鋼19の上向き流及び下向き流の速度を抑制することができ、上向き流に起因する湯面変動やパウダー巻き込みによる欠陥、下向き流に起因する気泡や介在物の鋳片27深部への侵入を抑制することができる。
ここで、図9は試験例1における多孔浸漬ノズルのd/Dを変化させた場合における製造した鋳片の不具合発生指数の変化を示す説明図、図10は試験例2における多孔浸漬ノズルのx/dを変化させた場合における製造した鋳片の不具合発生指数の変化を示す説明図、図11は試験例3における多孔浸漬ノズルで(L−x)/Dを変化させた場合における製造した鋳片の不具合発生指数の変化を示す説明図、、図12は試験例4における鋳造速度と製造した鋳片の不具合発生指数との関係を示す説明図である。
[試験例1]
第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル10において、下部流路14の内径Dと吐出部12の流路13の内径dとの比d/D(0を超え1.2未満の範囲)、吐出部12の流路13の内径dと吐出部12の上端から上側の吐出口17の内側上端までの距離xとの比x/d(0.1以上かつ5未満の範囲)、各吐出口17、18の傾斜角度α、β(上向き10°から下向き35°の範囲)、上側の吐出口17の断面積(内寸法)と下側の吐出口18の断面積(内寸法)との比(吐出口断面積比)、多孔浸漬ノズル10の浸漬深さ(150〜350mmの範囲)、アルゴンガスの吹き込み量(0.2〜20NL/minの範囲)、及び鋳造速度(0.6〜1.8m/minの範囲)をそれぞれ変化させながら、鋳片27を製造した。なお、L−x=2.5Dとした。そして、得られた鋳片27の不具合(不良品)発生指数とd/Dとの関係を調べた。その試験条件を表1、表2に、試験結果を図9に示す。ここで、鋳片27の不具合発生指数とは、所定期間内に製造した鋳片27に対する不具合の発生割合を示しており、1に近づくほど不具合が多く発生していることを示している。
第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル10において、吐出部12の流路13の内径dと吐出部12の上端から上側の吐出口17の内側上端までの距離xとの比x/d(0を超え8未満の範囲)、下部流路14の内径Dと吐出部12の流路13の内径dとの比d/D(0.2以上で0.8未満の範囲)、各吐出口17、18の傾斜角度α、β(上向き10°から下向き35°の範囲)、上側の吐出口17の断面積(内寸法)と下側の吐出口18の断面積(内寸法)との比(吐出口断面積比)、多孔浸漬ノズル10の浸漬深さ(150〜350mmの範囲)、アルゴンガスの吹き込み量(0.2〜20NL/minの範囲)、及び鋳造速度(0.6〜1.8m/minの範囲)をそれぞれ変化させながら、鋳片27を製造した。そして、得られた鋳片27の不具合発生指数とx/dとの関係を調べた。その試験条件を表3、表4に、試験結果を図10に示す。なお、L−x=2.5Dとした。
一方、d/Dが5以上又は0.1未満になると不具合発生指数の増加が顕著となった。以上のことから、多孔浸漬ノズル10のx/dは0.1を超えかつ5未満にするのがよいことが確認できた。
第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル10において、下部流路14の内径Dと吐出部12の流路13の内径dとの比d/D(0.2以上で0.8未満の範囲)、吐出部12の流路13の内径dと吐出部12の上端から上側の吐出口17の内側上端までの距離xとの比x/d(0.1を超え5未満の範囲)、鋳型22内の溶鋼19のメニスカスから上側の吐出口17の外側上端までの距離をLとして比(L−x)/D(0を超え3.5未満の範囲)、各吐出口17、18の傾斜角度α、β(上向き10°から下向き35°の範囲)、上側の吐出口17の断面積(内寸法)と下側の吐出口18の断面積(内寸法)との比、アルゴンガスの吹き込み量(0.2〜20NL/minの範囲)、及び鋳造速度(0.6〜1.8m/minの範囲)をそれぞれ変化させながら、鋳片27を製造した。そして、得られた鋳片27の不具合発生指数と(L−x)/Dとの関係を調べた。その試験条件を表5、表6に、試験結果を図11に示す。なお、x=Dとした。
一方、比(L−x)/Dが1.5以下になると不具合発生指数の増加が顕著となった。以上のことから、比(L−x)/Dが1.5を超えるように多孔浸漬ノズル10の浸漬深さを設定するのがよいことが確認できた。なお、比(L−x)/Dが3.5以上で20を超えない範囲でも、不具合発生指数は0.2未満となり、高品質の鋳片27を製造できることが確認できた。
第1の実施の形態に係る多孔浸漬ノズル10において、下部流路14の内径Dと吐出部12の流路13の内径dとの比d/D(0.2以上で0.8未満の範囲)、吐出部12の流路13の内径dと吐出部12の上端から上側の吐出口17の内側上端までの距離xとの比x/d(0.1以上かつ5未満の範囲)、各吐出口17、18の傾斜角度α、β(上向き10°から下向き35°の範囲)、上側の吐出口17の断面積(内寸法)と下側の吐出口18の断面積(内寸法)との比(吐出口断面積比)、多孔浸漬ノズル10の浸漬深さ(150〜350mmの範囲)、アルゴンガスの吹き込み量(0.2〜20NL/minの範囲)、及び鋳造速度(0.6〜1.8m/minの範囲)をそれぞれ変化させながら、鋳片27を製造した。そして、得られた鋳片27の不具合(不良品)発生指数と鋳造速度との関係を調べた。その試験条件を表7、表8に、試験結果を図12にを示す。
また、従来例に係る浸漬ノズル(d/D=1、x/d=0,吐出口の傾斜角度α=15°)において、浸漬ノズルの浸漬深さ、アルゴンガスの吹き込み量、及び鋳造速度をそれぞれ表9に示す条件に設定して、鋳片を製造した。そして、得られた鋳片の不具合(不良品)発生指数と鋳造速度との関係を調べた。その結果を図12に併せて示す。
一方、従来例に係る浸漬ノズルでは、図12に示すように、鋳造速度が低速になる程、すなわち、0.7m/分未満の速度の場合、鋳片にヘゲ、スリバ等が発生し、鋳片表層の品質を低下させる。また、鋳造速度が高速になる程、すなわち、1.5m/分を超える速度の場合、鋳片に、気泡、介在物等の起因による内部欠陥が発生する。従って、不具合発生指数が、実施例に係る多孔浸漬ノズルと比較して、大幅に高くなることが分かる。以上のことから、実施例に係る多孔浸漬ノズルを使用することで、鋳型内の溶鋼の流れを緩慢にし、かつ均一な流れを形成して、気泡や介在物による欠陥を防止して高速鋳造を可能にできる。
例えば、第5の実施の形態においては、各吐出口の上部のみにひさし部を設けたが、各吐出口の下部及び側部のいずれか一方又は双方、あるいは各吐出口を囲むようにひさし部を設けてもよい。更に、第3の実施の形態においても整流部材及びひさし部のいずれか一方又は双方を設けることもできる。また、第2の実施の形態においても、絞り部、整流部材、及びひさし部のいずれか1又は任意の2以上を設けることもできる。なお、吐出部の流路及び吐出口の周囲は、カルシアを含有する耐火物で構成してもよい。
Claims (16)
- 溶鋼が上から下に通過する筒状のノズル本体と、該ノズル本体の下端に連設して設けられ、鋳型内に浸漬される吐出部とを有する浸漬ノズルにおいて、
前記吐出部の流路の平均断面積は前記ノズル本体の下部流路の断面積より小さく、該ノズル本体の下部流路の内平均寸法Dと前記吐出部の流路の最小内寸法dとの比d/Dが0.8未満であり、前記鋳型の短辺側を指向する前記吐出部の側壁には上下に複数の吐出口が設けられていることを特徴とする多孔浸漬ノズル。 - 請求項1記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記鋳型内の溶鋼のメニスカスから前記複数の吐出口のうち最上部の吐出口の外側上端までの距離Lと、前記吐出部の上端から前記最上部の吐出口の内側上端までの距離xの間に、
0.1d<x<5dかつ1.5D<L−x
の関係が成立することを特徴とする多孔浸漬ノズル。 - 請求項1及び2のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記吐出部の流路の上端の内寸法は前記ノズル本体の下部流路の内寸法より小さく、しかも、前記吐出部の流路の内寸法は上端から下端まで一定であることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記吐出部の流路の内寸法が該吐出部の上端から下端に向けて徐々に減少していることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記側壁には上下に少なくとも2以上の前記吐出口が設けられ、下側に設けられた前記吐出口の内寸法は上側に設けられた前記吐出口の内寸法よりも小さいことを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記側壁には上下に少なくとも2以上の前記吐出口が設けられ、下側に設けられた前記吐出口の断面積は上側に設けられた前記吐出口の断面積よりも小さいことを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記吐出部の横断面の外形が矩形であることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記各吐出口の少なくとも上部及び下部のいずれか一方又は双方には、前記各吐出口から吐出した溶鋼の流れを誘導可能なひさし部が設けられていることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記下部流路の上方には、流路断面積が縮小する絞り部が設けられていることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記下部流路の上方には、溶鋼を通過させる複数の貫通孔を備えた整流部材が設けられていることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、前記各吐出口の軸心の傾斜角度が水平に対して上向き10°から下向き45°の範囲に設定されていることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の多孔浸漬ノズルにおいて、少なくとも前記吐出部の流路及び前記吐出口の周囲は、それぞれカルシアを含有する耐火物及びドロマイトクリンカーを含有する耐火物のいずれか一方又は双方で構成されていることを特徴とする多孔浸漬ノズル。
- 溶鋼が上から下に通過する筒状のノズル本体と、該ノズル本体の下端に連設して設けられ、鋳型内に浸漬される吐出部とを有し、前記吐出部の流路の平均断面積は前記ノズル本体の下部流路の断面積より小さく、該ノズル本体の下部流路の内平均寸法Dと該吐出部の流路の最小内寸法dとの比d/Dが0.8未満であり、前記鋳型の短辺側を指向する前記吐出部の側壁には上下に複数の吐出口が設けられている多孔浸漬ノズルを介して、前記鋳型内に溶鋼を注湯し、溶鋼を凝固させながら0.6m/min以上の鋳造速度で前記鋳型から引き抜くことを特徴とする連続鋳造方法。
- 請求項13記載の連続鋳造方法において、前記吐出部の上端から前記複数の吐出口のうち最上部の吐出口の内側上端までの距離xを0.1d<x<5dとし、前記鋳型内の溶鋼のメニスカスから前記最上部の吐出口の外側上端までの距離Lを1.5D<L−xとすることを特徴とする連続鋳造方法。
- 請求項13及び14のいずれか1項に記載の連続鋳造方法において、前記各吐出口の軸心の傾斜角度を水平状態に対して上向き10°から下向き45°の範囲に設定し、前記吐出部を前記鋳型内の溶鋼のメニスカス位置から150〜350mmの範囲で該鋳型中の溶鋼に浸漬させ、アルゴンガスの吹き込み量を0.2〜20ノルマルリットル/分にすることを特徴とする連続鋳造方法。
- 請求項13〜15のいずれか1項に記載の連続鋳造方法において、溶鋼中にカルシウムが添加されていることを特徴とする連続鋳造方法。
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