JP4903281B1 - 下注ぎ方式の注湯管及び注湯方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶融金属の下注ぎ方式の注湯方法において、注湯速度を低下させることなく、又は前記注湯速度が変動する条件下でも同様に、複雑な装置を設置する等の生産性低下やコスト上昇等を招来することのない簡易な方法で、注湯中の鋳型内溶融金属の湯面方向(直上方向)の流速を低減させる。
【解決手段】鋳型4の底部に設けられた吐出口3から下方へ長さLまでの領域内の注湯管1の内孔2の形状が、横方向断面の径が吐出口3たる起点から下方向に向かって漸次曲線で縮径し、かつその漸次縮径する曲線が、注湯管の中心軸を通過する縦方向断面において特定の式によって表される形状を有するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋳型底部の吐出口から溶融金属を吐出・注入して金属の鋳塊を製造する下注ぎ方式の注湯方法と注湯管に関し、より詳しくは、鋳型底部の吐出口からその直下の注湯管の内孔構造とその注湯管を用いた注湯方法に関する。
金属の鋳塊を製造する鋳造方法には、鋳型に溶融金属を注入して冷却固化させる方法がある。
この鋳造方法には上注ぎ方式と下注ぎ方式があるが、このうち下注ぎ方式の注湯方法は、鋳型の底部に設けた吐出口に溶融金属が通過する注湯管の先端を接続し、取鍋等の溶融金属容器内の溶融金属を、前記注湯管を経由させて鋳型底部の吐出口から吐出・注入するというものである。
この下注ぎ方式は、上注ぎ方式等他の方式に比較して、鋳型内への溶融金属の注入時に鋳型内の溶融金属流を穏やかにすることができるので、溶融金属の酸化や非金属介在物による懸濁等の、金属鋳塊の品質低下を抑制することを目的として採用されている。
図5は、下注ぎ方式の注湯方法による従来の注湯管を備えた鋳型の縦断面図である。同図に示すように、鋳型4の底部に設けられた吐出口3に注湯管1が接続されており、注湯管1の内孔2を溶融金属が通過しながら上昇し、吐出口3から鋳型4内に吐出・注入される。従来、注湯管1としては一般的に内孔径がほぼ一定の円筒状のものが使用されてきた。
溶融金属を鋳型4内に吐出・注入(以下「注湯」ともいう。)するとき、吐出口3直下の注湯管1の形状がこのような一般的な円筒状であると、とくに注湯初期段階では注湯管1の先端部(吐出口)での上向きすなわち注湯管軸方向の速度(エネルギー)が大きくなる。そのため溶融金属(図5の5)の上端表面(以下「湯面」という。)が隆起状に盛り上がる流れ(図5の6部分)を形成する。このような吐出口直上の湯面の隆起部分では、溶融金属5の上面に浮かんでいるスラグや酸化防止材(パウダー)等(以下「スラグ類」という。)が周囲に押しのけられて、溶融金属が露出した部分、すなわち目玉6を生じ、溶融金属の酸化等を惹き起こす。また、吐出口直上部の速度(エネルギー)の大きい溶融金属の流れは、湯面に到達した後、吐出口直上軸の周辺で横方向ないし下方向への激しい流れを形成する。この横ないし下方向の流れは鋳型4の内壁に衝突する等により、さらに激しい回転流等を生じる。このときに鋳型4内の溶融金属5を激しく撹拌し、スラグ類7を巻き込み、鋳型内の溶融金属全体にそれらスラグ類が拡散・懸濁した状態になる。その結果、金属鋳塊の品質低下を来たす。
この対策として、例えば特許文献1には、湯道(注湯管)の先端部内径と本体部内径の比を1.1以上として内孔径を上方向に向かって拡大し、かつ、先端の内孔径拡大部分の長さを先端部内径の0.2〜2.0倍にした内孔テーパー形状を有する注湯管を適用することで、溶融金属の吐出圧を分散して中心部の湯上がりの流速を低下させて鋳型内の湯面を安定させる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術では、溶融金属吐出流の直上方向中心部の最高速度はある程度減ずることができるが、その程度は十分ではない。また、その溶融金属の高速度流は依然として吐出口直上縦方向の軸付近に集中しており、前記軸の外周側(周囲)への拡散や低速度化は実現できない。
このようなことにより、鋳型内の溶融金属浴の深さが所定の深さに至る前の溶融金属浴の深さが浅い状態での溶融金属の湯面上への突出や高速度の撹拌等を抑制することは困難である。このような現象は、とくに注湯初期において、相対的に溶融金属浴の深さが浅いときほど顕著になる。特許文献1の技術では、前記諸問題点を解決するための十分な効果は得られない。
また、特許文献2には、鋳型の底部に設けられた吐出口から溶融金属を下注ぎ方式で鋳型内に吐出する際、湯流れが上向きに急激であると被覆剤の一部が巻き込まれて介在物の原因となること、その解決策として鋳型の短辺側に向けた開口を有する昇りレンガを用いることにより溶鋼流を先ず横方向に緩やかに流出させることが提案されている。
しかし、特許文献2の「鋳型の短辺側に向けた開口を有する昇りレンガ」は、上部先端が閉じた壁状になっていて、その下部に溶鋼を横方向に吐出する開口を円周上2〜4箇所設けたもので、その開口に向けた溶鋼経路となる空間(孔)の形状は「Y型」となった「昇りレンガ」であって、溶鋼は、円周上2〜4箇所に設けた開口からその開口のある部分のみの位置でその方向に従って吐出するに過ぎない。
このような構造の場合、吐出口の直上方向への溶鋼流速は低減できるものの、溶鋼を均一かつ広く横方向に拡散させることはできない。またこの場合は、限られた狭い部分から溶鋼流を横方向に吐出するので、吐出した溶鋼流の速度は大きくなる。この部分的な高速度の溶鋼流によって溶鋼内の非金属介在物の巻き込み流自体が、とくに溶鋼注湯初期のヘッドが浅い場合には著しくなる虞もある。
また、特許文献3には、注湯管内に溶融金属に旋回流を形成させる旋回流形成手段(旋回流形成のための捩り板等)を1個又は複数個設けることが提案されている。これは、溶融金属の経路である注湯管内で、溶融金属に旋回流を形成させ、吐出口から排出された溶融金属にも吐出口縦方向中心軸を中心とする旋回流を形成させ、吐出流の直上方向中心部の最高速度を減ずると共に、前記軸の外周側(周囲)への拡散や低速度化を実現しようとするものである。
しかしながら、特許文献3の技術では、溶融金属吐出流の直上方向中心部の最高速度はある程度減ずることができるものの、溶融金属の経路である注湯管内に設置する旋回流形成手段(旋回流形成のための捩り板等)が溶融金属流の大きな抵抗となって、注湯速度(単位時間当たりの鋳型への溶融金属注入量をいう。以下同じ。)を大きく低下させる虞がある。また注湯速度を低下させないようにする、又は注湯速度を大きくしようとすると、注湯管の内孔径を拡大する等の必要も生じる。
さらに特許文献3の旋回流形成手段を注湯管内に設置するには、精度の高い旋回流形成手段(旋回流形成のための捩り板等)の作製が必要であって、これを注湯管内へ設置するための特別な注湯管構造及び施工技術も必要である。このため、新たな費用の発生、生産性の低下等の問題が生じる可能性がある。
なお、下注ぎ方式では、連続鋳造方法におけるタンディッシュのような鋳型への注湯前にアルミナ等の非金属介在物を浮上させる容器がないことから、それら非金属介在物の多くは溶融金属内に拡散したままで鋳型内へ流入する。それらの微細な非金属介在物は浮上し難く、金属鋳塊中に分散した状態で滞留して、その品質を低下させることも多い。
特開平9−239494号公報 特開昭51−037035号公報 特開2007−216295号公報
下注ぎ方式において金属鋳塊の品質を低下させる原因となる「目玉」の発生、スラグ類や非金属介在物の溶融金属への巻き込みとそれらの鋳型内の溶融金属中への分散と滞留等は、溶融金属の吐出口から湯面、すなわち吐出口からの直上方向の溶融金属流速が相対的に大きいことが直接の主たる原因となっている。
このような目玉の発生、鋳型内の溶融金属流の乱れ等、及びこれらによる金属鋳塊の品質の低下は、鋳型形状、注湯速度、鋼種等の個別の操業条件によって変動する。
しかし、品質低下の直接的な原因である「目玉」の発生、スラグ類や非金属介在物の溶融金属への巻き込み等の発生及び程度は、吐出口での鋳型へ流入する溶融金属の流動形態によってほぼ決定付けられる。すなわち、これらの最も大きな又は根本的な要因は、吐出口から流入する溶融金属の直上方向の流速の程度にある。そのため、個別に変動する操業条件においても、これら問題点を解消することのできる、共通の課題を解決することが必要である。
そこで本発明は、溶融金属の下注ぎ方式の注湯方法において、注湯速度を低下させることなく、又は前記注湯速度が変動する条件下でも(個別の操業条件の変動に拘わらず、またとくに同一設備において注湯速度を増大させる場合等)同様に、複雑な装置を設置する等の生産性低下やコスト上昇等を招来することのない簡易な方法で、注湯中の鋳型内溶融金属の湯面方向(直上方向)の流速を低減させることを課題とする。ひいては非金属介在物や酸化に伴う金属鋳塊の品質低下を低減することを目的とする。
本発明は、鋳型底部の吐出口及びその直下(すなわち注湯管先端部分の、鋳型の吐出口に至る直前の領域)の注湯管の内孔形状を特定の形状にする。
すなわち本発明は、鋳型の底部に設けられた吐出口から溶融金属を鋳型内に吐出する下注ぎ方式の注湯方法に使用され、先端部が前記吐出孔に連通している注湯管において、前記吐出口から下方へ長さLまでの領域内の注湯管の内孔の形状が、横方向断面(溶融金属進行方向に垂直な方向の断面をいう。以下同じ。)の径が前記吐出口たる起点から下方向に向かって漸次曲線で縮径し、かつその漸次縮径する曲線が、注湯管の中心軸を通過する縦方向断面において下記の式1によって表される形状を有することを特徴とする下注ぎ方式の注湯管を提供する。


ここで、Hは下記の式2によって表される。


式2において、


また、式1及び式2において、
nは、1.5 ≦ n ≦ 5.0であり、
Lは、( Do × 1.1 ) ≦ L ≦ ( Do × 4.0 )である。

ここで、式1及び式2の各文字記号は以下の事項を示す。
L : 吐出口から下方への注湯管内孔径の変化領域の長さ
Di : 吐出口の径
Do : 前記Lの位置における注湯管内孔の横方向断面の径
Z : 吐出口から下方への任意の位置までの長さ
Dz : 前記Zの位置における注湯管内孔の横方向断面の径
また本発明は、前記注湯管を用いて吐出口上方向の溶融金属の流速を低下させる下注ぎ方式の注湯方法を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは本発明に先立って、本発明の対象である下注ぎ方式とは逆方向に溶融金属を流出させる場合、すなわち、溶融金属を溶融金属容器の底部に設けた吐出口から下方に流出させる場合に、吐出口の内孔を特定の形状にすることで、整流化効果を得ることができることを見出した。
この場合、溶融金属流は、吐出口の内孔での流動方向の位置とそれぞれの位置ごとの圧力分布によって決定付けられる。言い換えると、吐出口起点とそこから下方の位置との溶鋼流のエネルギー損失の推移の状態によって決定付けられるということである。
まず、この溶融金属を溶融金属容器の底部に設けた吐出口から下方に流出させる場合の形状について説明する。
溶融金属容器の吐出口から流出する溶融金属の流速を支えるエネルギーは、基本的に吐出口(この場合吐出口起点から下方の小径側までの範囲)における溶融金属の圧力に依存するから、吐出口起点(容器下端面と同じ水平面上、大径側)から下方へ距離Zの位置における溶鋼の流速V(z)は、加速度をg、吐出口起点における溶融金属ヘッドをH、流量係数をkとすると、
V(z)=k(2g(H+Z))1/2 ………… 式3
で表される。
そして、吐出口を通過する溶融金属の流量Qは、流速vと断面積Aの積であるから、吐出口から吐出口下方までの長さをLとし、吐出口起点から下方Lの位置における溶融金属の流速をv(L)、吐出口起点から下方Lの位置の断面積をA(L)とすると、
Q=V(L)×A(L)=k(2g(H+L))1/2×A(L)……… 式4
で表される。
また、吐出口の内孔のどの位置でも溶融金属進行方向中心軸に対し垂直に断面をとっても流量Qは一定であることから、吐出口起点から下方へ距離Zの位置における断面積A(z)は、Z点における溶鋼の流速をV(z)とすると、
A(z)=Q/V(z)=k(2g(H+L))1/2×A(L)/k(2g(H+Z))1/2
…… 式5
で表わされ、両辺をA(L)で割ると、
A(z)/A(L)=((H+L)/(H+Z))1/2 ……… 式6
となる。
ここで、円周率をπ、吐出口の径(直径)をDi、吐出口から下方Lの位置の径(直径)をDo、吐出口から下方の位置方向への距離Zの位置における吐出口の内孔の径(直径)をDzとすると、A(z)=πDz/4、A(L)=πDo/4であるから、
A(z)/A(L)=(πDz/4)/(πDo/4)=((H+L)/(H+Z))1/2 … 式7
Dz/Do=((H+L)/(H+Z))1/2 … 式8
Dz=((H+L)/(H+Z))1/4×Do … 式9
となり、以下の関係が成り立つ。
ln(Dz)=(1/4)×ln((H+L)/(H+Z))+ln(Do) … 式10
すなわち、吐出口の内孔の断面形状を式9(式10)を満たす形状とすることによって、エネルギー損失(圧損)を最小とすることができる。
ここで、Hは上記の流動に関する式を基礎に、前記式2ように表す(変形する)ことができる(但し、n=4)。
前記式10をグラフに示すと4次の曲線を描く。そして、この式10のグラフに相当する、吐出口から下方長さLまでの領域の内孔の断面形状の場合に、最も溶融金属の圧力損失を小さくできることになる。しかも、この式10に合致する形状では、吐出口起点から下方に任意の距離Zの位置ごとに漸次(なだらかに)圧力が減少して、整流化された状態になる。
本発明者らは、前述の式に基づく吐出口から下方長さLまでの領域の内孔の断面形状による整流化の効果を、コンピュータ・シミュレーションによる流体解析とその結果に基づく実操業において、高い再現性・相関性と共に既に確認している。
しかし、このような溶融金属容器から前述のような吐出口(上側に拡径する形状)を経由して溶融金属を下方向に流出させる方法を、下注ぎ方式にそのまま適用しても、本発明の下注ぎ方式の課題を解決することはできない。
この「そのまま適用する」場合とは、下注ぎ方式において、鋳型直下の注湯管の先端部付近に注湯管の下方(上流)側に拡径する内孔形状を適用して、鋳型内に溶融金属を上方向に吐出させる場合(図12参照)である。この場合は、注湯管内孔の中心部流速の改善(低減)効果は得られない(後記実験例F参照)。
本発明者らは、前述の理論に基づく前記式9(式10)に対応する内孔形状を、注湯管においては鋳型側(すなわち上)方向に拡径するように適用、すなわち注湯管の内孔形状を前記式1及び式2を満足する形状とし、溶融金属を前記形状の注湯管内孔の小径側から大径側に流動させる(言い換えると、前述の容器から下方に流出させる場合とは逆の流動とする)ことで、吐出口直下の注湯管内孔の中心部上方向流速を顕著に小さくすることができることを見出した。これは、本発明の注湯管の内孔を通過して鋳型に流出する溶融金属は、その内部でエネルギーロスが局部的に大きい部分等を生じることなく、スムーズに拡径方向に流動するためと考えられる。さらに本発明者らは、前記式1及び式2の諸変数についても一定の幅で変化させることができること、及びその特定の範囲を見出した。
本発明によれば、注湯管の内孔を通過して吐出口から鋳型内に流出する溶融金属流を拡散させることで、次のような効果を得ることができる。
1.注湯管先端(吐出口)での溶融金属の上方への流速が低下すると共に、溶融金属の拡散によって湯面の変動が小さくなって安定になり、溶融金属が鋳型中央部分に湧き上がるような現象が大きく減少して目玉の発生が抑制される。
2.湯面上方にあるスラグ類の巻き込みも低減される。その結果、溶融金属中への介在物としてのスラグ類の混入及び分散が減少し、金属鋳塊の品質を向上させることができる。
3.湯面が安定することにより、溶融金属内に巻き込まれるスラグ類が減少し、湯面に投入する酸化防止材等が周辺側に偏在する傾向も少なくなり、その使用量を大幅に低減することができる。
4.注湯管内に複雑かつ溶融金属流の流動抵抗を生じやすい装置等を設置する必要がなく、改善費用や操業(ランニング)費用の増大がなく、注湯技術、方法、条件等に大幅な改変を伴わないで課題を解決することができる。
5.これらにより、溶融金属の注湯(供給)速度を低下させることなく(生産性を低下させることなく)、また生産コストを上昇させることなく(又は生産コストを低下させることも可能としつつ)、容易に金属鋳塊の品質を向上させることができる。
本発明の注湯管を示す縦断面図(イメージ)であり、(a)は鋳型を含むその全体図、(b)は吐出口及びその直下(a部)の拡大図である。 従来技術の注湯管の例(内孔が筒状=直管)を示す縦断面図(イメージ)であり、(a)は鋳型を含むその全体図、(b)は吐出口及びその直下(a部)の拡大図である。 従来技術の注湯管の例(内孔がテーパー状=特許文献1)を示す縦断面図(イメージ)であり、(a)は鋳型を含むその全体図、(b)は吐出口及びその直下(a部)の拡大図である。 比較例の注湯管の例(内孔がR=球面状)を示す縦断面図(イメージ)であり、(a)は鋳型を含むその全体図、(b)は吐出口及びその直下(a部)の拡大図である。 鋳型及び鋳型直下付近の従来技術の注湯管の例における、鋳型内の溶融金属、スラグ類の状態を模式的に示す。(但し、同時に溶融金属内への介在物の分散があるが、その状態は本図中には示していない。) 実験例A(表1)、すなわち本発明と従来技術の注湯管形状の比較に関するシミュレーション結果であり、吐出口直下の上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼中心部の直上方向速度の推移を示す。 実験例A(表1)のシミュレーション結果であり、吐出口直上250mm位置での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。 実験例A(表1)のシミュレーション結果であり、実施例1の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例A(表1)のシミュレーション結果であり、比較例1の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例A(表1)のシミュレーション結果であり、比較例2の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例A(表1)のシミュレーション結果であり、比較例3の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例B(表2)、すなわち本発明の注湯管形状において、前記式1及び前記式2中のnの値が溶鋼の速度に及ぼす影響に関するシミュレーション結果であり、吐出口直下の上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼中心部の直上方向速度の推移を示す。 実験例B(表2)のシミュレーション結果であり、吐出口直上250mm位置での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。 実験例B(表2)のシミュレーション結果であり、実施例2の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例B(表2)のシミュレーション結果であり、実施例3の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例B(表2)のシミュレーション結果であり、実施例4の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例B(表2)のシミュレーション結果であり、実施例5の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例B(表2)のシミュレーション結果であり、比較例4の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例C(表3)、すなわち本発明の注湯管形状において、前記式2中のDi/Do比の値が溶鋼の速度に及ぼす影響に関するシミュレーション結果であり、吐出口直下の上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼中心部の直上方向速度の推移を示す。 実験例C(表3)のシミュレーション結果であり、吐出口直上250mm位置での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。 実験例C(表3)のシミュレーション結果であり、比較例5の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例C(表3)のシミュレーション結果であり、比較例6の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例C(表3)のシミュレーション結果であり、実施例6の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例C(表3)のシミュレーション結果であり、実施例7の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例C(表3)のシミュレーション結果であり、実施例8の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例C(表3)のシミュレーション結果であり、実施例9の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例D(表4)、すなわち本発明の注湯管形状において、前記式1及び前記式2中のLの値が溶鋼の速度に及ぼす影響に関するシミュレーション結果であり、吐出口直下の上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼中心部の直上方向速度の推移を示す。 実験例D(表4)のシミュレーション結果であり、吐出口直上250mm位置での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。 実験例D(表4)のシミュレーション結果であり、比較例7の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例D(表4)のシミュレーション結果であり、実施例12の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例D(表4)のシミュレーション結果であり、実施例13の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例D(表4)のシミュレーション結果であり、実施例14の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例E(表5)、すなわち本発明の注湯管形状において、溶鋼の流量(t/min.)の値が溶鋼の速度に及ぼす影響に関するシミュレーション結果であり、吐出口直下の上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼中心部の直上方向速度の推移を示す。 実験例E(表5)のシミュレーション結果であり、実施例15の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例E(表5)のシミュレーション結果であり、実施例16の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 実験例F(表6)、すなわち実験例Aの実施例1の本発明の注湯管形状を、実施例1とは上下逆方向に設置して(比較例9)、溶鋼の速度を調査したシミュレーション結果であり、吐出口直下の上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼中心部の直上方向速度の推移を示す。 実験例F(表6)のシミュレーション結果であり、比較例9の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼流の速度分布を示す(白色〜黒色部分。この部分は色調が濃い程高速度)。 本発明の前記式1及び前記式2を満足する内孔形状の注湯管を、上下逆に設置した(実験例Fの比較例9)場合の縦断面図(イメージ)であり、(a)は鋳型を含むその全体図、(b)は吐出口及びその直下(a部)の拡大図である。
コンピュータ・シミュレーションにより解析した結果を用いて、本発明を説明する。
このシミュレーションには、Fluent社製の流体解析ソフトウェア、商品名「Fluent Ver.6.3.26」を使用した。この流体解析ソフトウェアでの入力パラメータは、以下のとおりである。
計算セル数: 約12万(但し、モデルにより変動あり。)
Viscous Model: K−omega計算
流体(溶融金属): 溶鋼
・ 溶鋼温度 : 1580(℃)
・ 溶鋼密度 : 6.0(g/cm
・ 注湯速度 : 1.3t/min.
・ 鋳型径 : 1000mm
・ 計算時溶鋼深さ : 250mm(溶鋼深さが2000mmで鋳型内溶鋼最大量が10t程度の下注ぎ方式の注湯方法を想定し、かつ注湯初期の状態を想定した。)
・L : 吐出口から下方への注湯管内孔径の変化領域(縮径領域)の長さ(任意の長さ)
・Di: 吐出口の径
・Do: 前記Lの位置における注湯管内孔の横方向断面の径、
図5は、鋳型及び鋳型直下付近の従来技術の注湯管の例における、鋳型内の溶融金属及びスラグ類の状態を模式的に示す。また図6Dはこの従来形状(注湯管内径変化が直線状すなわち円筒の例。図2。)のコンピュータ・シミュレーションによる溶鋼流速分布を示す。
本シミュレーションでは溶鋼が250mm深さ存在する時点の状態を示している。図6Dに示すように、溶鋼流は吐出口の径とほぼ同じ幅で直上方向に集中して周囲への拡散が小さく、またほとんど減衰することなく流出していることがわかる。このように、図5に示したような目玉6が発生するのは、集中的かつ高速度の直上方向の溶融金属流が主たる原因であることがわかる。
このような集中的かつ高速度の直上方向の溶融金属流は湯面に到達した後、湯面に沿った方向(横方向)の高速度の流れに転換する。この際に湯面上のスラグ類(図5の7)は目玉の周囲に押し流されて移動するので、目玉上の湯面は溶融金属が露出して雰囲気に直接曝された状態になり、酸化性の雰囲気であれば溶融金属の酸化を招来する。さらにこの際に湯面上のスラグ類を溶融金属内に巻き込む。その後、この横方向の溶融金属流は鋳型内壁面に高速度をほぼ維持した状態で衝突し、下方向や渦流等の複雑かつ激しい撹拌流を形成して、スラグ類をさらに溶融金属中に多量に巻き込みながら拡散させてしまう。このように、集中的かつ高速度の直上方向の溶融金属流は、溶融金属のスラグ類による懸濁状態の招来すなわち汚染の一つの原因ともなる。
本発明は、このような集中的かつ高速度の直上方向の溶融金属流に伴う目玉の発生及び溶融金属の汚染等を減少させるものであり、言い換えると、吐出口から放出される溶融金属流を拡散させると共に、直上方向の流速を低減させるものである。吐出口から放出される溶融金属流の拡散と直上方向の流速は、前記溶融金属流の中心部の直上方向の流速を基準として評価することができる。すなわち、注湯速度(単位時間当たりの注湯量、例=t/min.)を維持して前記溶融金属流の中心部の直上方向の流速を低下させると、直上方向以外の方向へ流速が分散することになる。なお、ここで中心部とするのは、溶融金属流の横方向断面において流速は、中心部で最大となり、その中心から遠ざかるに従い漸次低下するからである。
このような理由から、本発明では吐出口中心部直上方向の溶融金属流速について具体的な目標を設定した。また、目玉の発生及び溶融金属の汚染等はとくに注湯初期の鋳型内の溶融金属深さの浅い時点で大きいので、鋳型内の溶融金属深さが250mm時点を基準として相対的な評価を行い、課題解決のための境界値を決定した。
図1は本発明の注湯管の例を示す。鋳型4の底部に設けられた吐出口3からその下方の注湯管先端付近(長さL)の範囲の注湯管1の内孔2の形状が、横方向断面の径が吐出口3たる起点から下方向に向かって、前記式1及び式2を満足する曲線で漸次縮径している。
言い換えると、長さLに相当する内孔径変化領域の注湯管1の内孔2の縦方向断面が、その領域の変化開始点(吐出口3から長さL下方の位置)から上方の吐出口3に向かって、前記の式1及び式2を満足する曲線を描きながら、漸次拡大する形状になっている。
このような形状にすることで、吐出口3から流出する溶融金属は上方向に集中せず、内孔2の曲線に従った方向に拡散しながら鋳型4内に流入する。しかも吐出する溶融金属流内の全体に亘って上方向の流速が低位に平均化された分布状態を示す。これは、流体が前記式1及び式2を満足する曲線に従って移動する場合にはエネルギー損失が小さくなり、その曲線に従ってスムーズに流動することができるためと考えられる。
本発明の注湯管1は、長さLに相当する内孔径変化領域の注湯管1の内孔2の縦方向断面が前述の形状になっていればよい。したがって、本発明の注湯管の製造にあたっては、その外部の形状や、本発明の対象部分以外の注湯管との分割又は接続方法等にとくに制限を設ける必要はない。
本発明の注湯管の製造方法としては、前述の内孔形状と任意の外周形状を備えた金型に、当該注湯管を成す耐火物はい土を装填して、縦方向又は横方向から加圧して成形し、乾燥、焼成、加工等を行う等の一般的な耐火物(ノズル等)の製造方法を採ることができる。このような製造方法における成形方法は、フリクション・プレス、オイル・プレス、アイソスタティック・プレス等の任意の方法を選択することができる。また、当該注湯管を成す耐火物等としては、通常このような下注ぎ方式の注湯管に用いられる、またそれぞれの操業条件に対応して設計された、任意の耐火物等とすることができる。
[実験例A]
実験例Aは、本発明の注湯管を従来技術と比較した、コンピュータ・シミュレーションを用いた実験例を示す。
供試形状は、本発明の注湯管は図1の形状(実施例1)、比較例の注湯管は円筒状(典型的な例、比較例1。図2)、直線による上方への拡径形状(特許文献1のテーパー状、比較例2。図3)、吐出口内孔が円弧(R)状(比較例3。図4)の3種類である。なお、比較例3は、吐出口から下方にかけての部分が曲線ではあるものの、本発明の前記式1及び式2を満足しない場合の例として比較を行った。これら4つの供試料は、吐出口から長さLの下方位置までの領域の内孔形状のみが異なる条件とし、それ以外の部分は同一の条件とした。
表1に、各形状及び本発明の場合の前記式1及び式2内の各要素(変数)の値、並びに結果を、また、図6Aに、吐出口直下の上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼中心部の直上方向速度の推移(以下、単に「溶鋼速度推移」という。)を、図6Bに、吐出口直上250mm位置(以下単に「基準湯面」という。)での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。さらに、図6Cから図6Fには、各例の吐出口上流側約400mm付近から吐出口直上250mmまでの溶鋼の速度分布状態を視覚化した図を示す(以下単に「溶鋼速度分布」という。図中白色〜黒色部分で示し、この部分は色調が濃い程高速度であることを示す。以下同じ。)。
これらの結果から、比較例1は溶鋼流速がほとんど減衰することなく基準湯面に達していることがわかる。この比較例1に対し本発明の実施例1では、比較例1を100とする基準湯面における中心部流速の指数(以下単に「流速指数」という。)が3.3となり、極めて顕著な効果が得られている。一方、特許文献1の技術である比較例2は、比較例1に対する改善効果が認められるが、流速指数は16.6に止まっている。また、比較例3は、比較例1に対する改善効果が認められるが、流速指数は36.3に止まっている。
これらの結果から、本発明では従来技術のいずれよりも極めて顕著な効果が得られることがわかる。また、吐出口直下の内孔が単にテーパー状又は単に曲線状で上方に拡径していても、本発明の前記式1及び式2を満足する曲線状の場合ほどの顕著な効果は得られないことがわかる。
[実験例B]
実験例Bは、本発明の注湯管形状において、前記式1及び式2中のnの値が溶融金属の流速に及ぼす影響についての、コンピュータ・シミュレーションを用いた実験例を示す。
本発明の目的は、従来技術よりも溶融金属の流速を減ずることにあるので、本発明の流速指数の目標値は比較例2よりも小さい値、すなわち16.6未満とした(以下の実験例にて同じ)。
この実験例では、前記実験例Aの実施例1を基準に、nの値を1.0から6.0まで変化させた。
表2に前記式1及び式2の各要素(変数)の値、並びに結果を、また、図7Aに溶鋼速度推移を、図7Bにnの値に対する基準湯面での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。さらに、図7Cから図7Gには、各例の溶鋼速度分布を示す。
これらの結果から、nの値が1.5以上5.0以下で、目標値を満足しかつ顕著な効果が得られることがわかる。nの値が6.0の比較例4では、比較例1に対する改善効果は得られるものの、溶鋼速度が比較例2よりも大きくなっている。
[実験例C]
実験例Cは、本発明の注湯管形状において、前記式2中のDi/Do比の値が溶融金属の流速に及ぼす影響についての、コンピュータ・シミュレーションを用いた実験例を示す。ここでは、前記実験例Aの実施例1を基準に、Di/Do比の値を1.5から4.0まで変化させた。
表3に前記式1及び式2の各要素(変数)の値、並びに及び結果を、また、図8Aに、溶鋼速度推移を、また図8BにDi/Do比の値に対する基準湯面での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。さらに、図8Cから図8Hには、各例の溶鋼速度分布を示す。
これらの結果から、Di/Do比の値が1.8以上、また本実験での最大値4.0以下の範囲で、目標値を満足しかつ顕著な効果が得られること、及びDi/Do比の値が2.0付近で最も顕著な効果を得ることができることがわかる。
なお、Di/Do比の値が4.0を超える場合は、4.5付近から目標値を外れるものと、図8Bの結果から推測できる。
[実験例D]
実験例Dは、本発明の注湯管形状において、前記式1及び前記式2中のLの値が溶融金属の流速に及ぼす影響についての、コンピュータ・シミュレーションを用いた実験例を示す。ここでは、前記実験例Aの実施例1を基準に、Lの値をDoに対する倍率で、1.0から4.0(以下、単に倍率の値のみで示す。)まで変化させた。
表4に前記式1及び式2の各要素(変数)の値、並びに結果を、また、図9Aに溶鋼速度推移を、図9BにLの値に対する基準湯面での溶鋼中心部の直上方向速度を示す。さらに、図9Cから図9Fには、各例の溶鋼速度分布を示す。
これらの結果から、Lの値が1.1以上、また本実験での最大値4.0以下の範囲で、目標値を満足しかつ顕著な効果が得られること、及びLの値が2.0付近で最も顕著な効果を得ることができることがわかる。
なお、Lの値が4.0を超える場合は、下方部分が直線に近づくこと等により、Lの値が4.0付近での効果よりも大きく上回ることはないと推測できる。したがって、Lの値が4.0を超える範囲にまで前記式1及び前記式2を満足する形状にする必要性はなく、利点もないので、Lの値は1.1以上また本実験での最大値4.0以下とすればよい。
[実験例E]
実験例Eは、本発明の注湯管形状において、溶鋼流量 (t/min.)が溶鋼の速度に及ぼす影響についての、コンピュータ・シミュレーションを用いた実験例を示す。ここでは、前記実験例Aの実施例1を基準に、この溶鋼流量を1/2倍、2倍に変化させた。
表5に前記式1及び式2の各要素(変数)の値、並びに結果を、また、図10Aに溶鋼速度推移を示す。さらに、図10B及び図10Cには、各例の溶鋼速度分布を示す。
これらの結果から、溶鋼流量の変化に伴い相対的に溶鋼速度も変化するものの、溶鋼流量の大小にかかわらず、本発明の注湯管では顕著な効果が得られることがわかる。
[実験例F]
実験例Fは、実験例Aの実施例1の本発明の注湯管形状を、実施例1とは上下逆方向に設置した場合(図12参照)の、コンピュータ・シミュレーションを用いた実験例を示す。諸条件は実験例Aと同じである。
表6に前記式1及び式2の各要素(変数)の値、並びに結果を、また、図11Aに溶鋼速度推移を、図11Bにこの比較例9の溶鋼速度分布を比較例1と対比して示す。
この結果から、本発明の注湯管形状を逆方向に設置した場合は、中心部流速及び速度分布共に、比較例1(筒状)に対する実質的な改善効果は観られない。すなわち注湯管内で整流化されても、拡散効果は得られないことを示している。
本発明は、溶鋼の下注ぎ方式による鋼塊の鋳造をはじめ、鋳物その他の溶融金属全般の下注ぎ方法による鋳型内への注湯に適用することができる。
1 注湯管
2 注湯管の内孔(溶融金属の通過経路たる空間)
3 吐出口(鋳型底部(下端面)の開孔部)
4 鋳型
5 鋳型内の溶融金属(充満状態。但し、従来技術では介在物が懸濁した状態。)
6 目玉
7 スラグ類(介在物等)

Claims (2)

  1. 鋳型の底部に設けられた吐出口から溶融金属を鋳型内に吐出する下注ぎ方式の注湯方法に使用され、先端部が前記吐出孔に連通している注湯管において、
    前記吐出口から下方へ長さLまでの領域内の注湯管の内孔の形状が、横方向断面(溶融金属進行方向に垂直な方向の断面をいう。以下同じ。)の径が前記吐出口たる起点から下方向に向かって漸次曲線で縮径し、かつその漸次縮径する曲線が、注湯管の中心軸を通過する縦方向断面において下記の式1によって表される形状を有することを特徴とする下注ぎ方式の注湯管。


    ここで、Hは下記の式2によって表される。


    式2において、


    また、式1及び式2において、
    nは、1.5 ≦ n ≦ 5.0であり、
    Lは、( Do × 1.1 ) ≦ L ≦ ( Do × 4.0 )である。

    ここで、式1及び式2の各文字記号は以下の事項を示す。
    L : 吐出口から下方への注湯管内孔径の変化領域の長さ
    Di : 吐出口の径
    Do : 前記Lの位置における注湯管内孔の横方向断面の径
    Z : 吐出口から下方への任意の位置までの長さ
    Dz : 前記Zの位置における注湯管内孔の横方向断面の径
  2. 請求項1に記載の注湯管を用いた下注ぎ方式の注湯方法であって、前記注湯管を用いて吐出口上方向の溶融金属の流速を低下させる下注ぎ方式の注湯方法。
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